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Original subtitles

(店長) ねえねえねえねえねえねえ そういえばさ――

あの~ 仁井君の連絡先をさ 教えてもらってないんだけど

(仁井智慧) ああ…

(店長) うん あのさ メアドとかさ LINE 教えといてよ

ほら あの~ 突然 休むとかさ――

あの~ シフト入ってないけど あの~ 突然 働きたくてしかたないとかさ――

見たい番組 録画予約し忘れたとかさ あの~ 寂しくて眠れないとかさ――

そういった情報? うん 共有? シェア? したいなと思ってる~いすてぃ

(松駒) 店長 リアルに“寂しくて 寝れない”っていうLINEしてくるの――

やめてもらっていいですか?

なに? 嫌だったの?

嫌じゃないわけないじゃないですか

(渡利) いや 松駒もさ――

店長のそのLINEに返すのはいいけどさ――

お前 ホントお人よしだからさ それをグループLINEに返すからさ――

俺の携帯も鳴りっぱなしなわけさ

(仁井) では…

店長が仕事外のメールを してこないという条件付きで――

教えても構いませんが

じゃあ 仁井君は グループに入らなければいいんだからさ

分かりました

ガラケーで赤外線も分からないので 手書きでいいですか?

うんっ さすがアナログ さすが仏教学部!

えっ なんで そんなにらむの?

あっ ねえ もうね あれだよ?

もう 携帯持ってるってこと自体がすごいね 仏教学部が

いやいや 学部はあれですけど みんな 若者ですからね

いやいやいやいやいや

あの~ “私 メールはいたしません 基本 文をしたためます”って言われても――

おかしくないよ!

よろしくお願いします

はい お~

わりとシンプルなメアドだね

(渡利) サンキュー

(松駒) あざっす

(松駒) 嫌われているのでしょうか>

♪~

~♪

店長

店長!

あっ 俺か 店長

(松駒) 仁井君 なんで雇ったんですか?

(店長) あっ 彼は 何つったらいいんだろうな

まあ やっぱり 彼って やっぱ冷めててさ――

冷静でさ クールじゃん

全部 同じ意味ですけどね

だから 強盗とか来てもさ――

もう 彼なら 慌てず騒がずさ 冷静に対処してくれそうな気がしたんだよ

松駒君なら あれだよね 絶対にね 慌てふためくよね

はい 自信あります

(松駒) 仁井君 万が一 強盗が来た時の 対処法なんだけどさ

アメリカの衝撃映像みたいなことはなくて 単に このボタンを…

(仁井) 考えてあります

まず 二つ折りのケチャップマスタードを 強盗に向かって折り

(強盗) おら 金出せ! こら! おとなしく金出せ…

(仁井) すかさず 犯人を目つぶし

そして カウンター越しにハイキック

犯人がよろめいたところで背後に回って チョークを攻めて落とす

落としたところで座禅を組ませ――

例の棒を取り出し 二度と犯罪に手を染めぬように…

せーい!

せーいっ!

(松駒) ちょっと やりすぎな気が…

落ちてるんだよね? この人

(仁井) せーいっ! せーいっ!

(松駒) もう勘弁してあげて

(仁井) 反省したことを確認したら…

(松駒) 落ちてるんだよね?

(仁井) 全ての関節を外します

(仁井) はい! はい!

はい!

はいーっ!

(松駒) 何のために?

(仁井) 暴れださないためにです

そして 最後に目つぶし

(松駒) 必要? それ

(仁井) 全く動けない状態になったところで 警察に突き出します

ここまでやれば――

強盗の再犯の可能性を 限りなく少なくすることができます

僕は 何か手伝えることあるかな?

大丈夫です

松駒さんは これ以上ないほどに 慌てふためいていてください

はい

(松駒)

(松駒) とうとうか

とうとう 宝くじを買う資金を

いつかは来ると思っていたが こんなにも早く

本当に間違いを犯す前に止めてあげよう

(仁井) いや

実際に金を盗んだところで 現行犯として警察に突き出しましょう

(松駒) あのさ 先輩なんだからさ…

(仁井) 犯罪に 先輩も後輩もありません

(松駒) いや 僕にはそんなことできない

先輩 ダメですよ レジのお金に手を出しちゃ 犯罪ですよ

(渡利) えっ? (松駒) いや “えっ?”じゃなくて

(渡利) これがレジの金を盗んでるように見えるか?

(仁井) その他の可能性を全く感じません

バカか お前ら バカすぎる

俺がそんなことするような男に見えるか?

(仁井・松駒) 見えます

分かる 確かに うん いかにもだ

しかし! 俺がやっていたのは――

ギザ10探しだ

(松駒) ギザ10?

(渡利) 10円の側面に ギザギザが付いてる10円玉のことだ

(松駒) そんなもの探して どうするんですか?

(渡利) ホントお前らの無知さには あきれるよ

いいか ギザ10っていうのはな――

昭和26年から昭和33年にかけて製造された 10円硬貨のことなんだ

ポカ~ン

みたいな顔か!

分かれよ! たった8年間しか製造されてないんだぞ

ということは どういうことか分かるだろ?

ポカ~ン

また ポカ~ンか お前ら

いつまでも ポカ~ンか

えっ? いいか 貴重なんだよ な? 貴重

ということは どういうことか分かるか お前

プレミアが付いてるんだよ

(松駒) ああ…

(渡利) いいか 絶対に誰にも言うなよ

特に――

昭和33年には たった2千5百万枚しか 製造されていないため――

高価で取引されているんだ

硬貨が 高価で

ハハハ…

ハハハッ…!

いいか これも絶対に内緒だぞ

更にだ お前

昭和26年には純金が含有されているため――

これも高価で取引されてるんだ

他のものも貴重だけどな

これ 100枚 集めたら――

1億円にはなるぞ

(松駒) しかし なんで そんな極秘情報を どこで入手したんですか?

(渡利) ウィキペディアだ

(松駒) いや みんな知ってますよ それ

バカか! お前

わざわざ 誰がギザ10の情報を ウィキペディアで調べる?

俺ほど金を欲してる人間しか ありえないだろ

それで――

33年と26年のものは見つかったんですか?

ない

ていうかレジにはない しかし! 必ず見つける

後で お前たちの財布の中身も チェックさせてもらうぞ

いいか お前らも10円玉を入手したら 必ずチェックしろ

そして ギザ10に出会ったら すぐ俺に 即行で連絡しろ いいか

いつでもいい どこでもいい 連絡し… してくれたら 俺は駆け付ける

先輩

僕の財布に2枚ありました

(渡利) デカした

デカし過ぎだぞ 仁井

その20円 10円で買い取ろう

(松駒) なんで?

(仁井) お客さん来ました

(松駒) あっ! ああ… ああっ ああっ!

ああ~ もう もう!

レジのお金 1円でも合わないと 店長に叱られますよ

何やってん… ちょっと もう

(仁井) これで全部ですかね?

(松駒) もう 勘弁してくださいよ 先輩

(渡利) おかしい

音からして 43枚 落としたはずなのに――

42枚しかない

うん?

うん?

向こうから 10円玉のにおいがするな

(においを嗅ぐ音)

(渡利) あったー!

(仁井) 金欠の人間の五感は 動物並みに研ぎ澄まされているんですね

(松駒) すばらしい

ハア…

最近 売り上げが めっきり落ちております

(松駒) はい

(店長) ここで 起死回生の商品が必要だと考えました

店長 しかし この前のブルーハワイおにぎりも…

(店長) おい ちょっと 黙れ

皆まで聞け

数々の失敗は成功の基だっていうじゃないか そうだろ?

これまでのデータを正確に分析してですね――

そして これなら この商品なら絶対に話題になる そう確信しました

その商品とは――

これです!

いちご大福ミルク~!

これはおいしいぞー

(松駒) いちごミルクではないんですね?

(店長) そう いちご大福ミルク~!

(渡利) 大福の部分が――

どう処理されているのか 今のところ 想像できません

(店長) ねっ! (松駒) えっ まだ飲んでないんですか?

えっ? 飲んでないに決まってんじゃん 怖いじゃん

いや どうして 怖くて飲めない物をこんなに?

(店長) おい 松駒

怖いもの見たさ そして 飲みたさ

恋しさと せつなさと 心強さ

(松駒) ありますかね

いちご そして あんこ そして 周りのお餅 そこにミルク

最後に あの 周りにまぶしてある白い粉

ミックスミックス! ワオ! ディズ イズ ワオ!

(渡利) どれだけ発注したんですか?

(店長) とりあえず1000個 ワオ!

アイ アム ワオ!

(店長) はっ!

(仁井) 何かがつっかえて――

一滴たりとも吸えません

(店長) お餅だね

(渡利) 丸ごと入ってる可能性 出てきたな

(店長) 売れるね 吸えない飲み物として 話題 呼びまくるね

(仁井) 観自在菩薩 行深般若波羅蜜多時

照見五蘊 皆空 (松駒) “ご愁傷さま”という意味かと

(店長) そんなことない! 絶対ない!

(仁井) 色不異空 空不異色 色即是空 空即…

亦復如是 舎利子 是諸法空相 不生不滅

不垢不浄 不増不減 是故空中

無眼耳鼻舌身意 無色声香味触法…

(仁井) …眼界乃至無意識界… (店長) 吸えない!

(ドアチャイム)

(塩山 楓) こんばんは

(松駒) あれ? 酔ってるの? 楓

(楓) もうね 飲まないと ここに来れませんよ

シラフで仁井君に会えませんよ

(松駒) もう 分かる気もするけど 逆効果ってこともあるよ

(楓) 今日はリラックスした状態で まったりトークするわよ

(松駒) あのさ ここ ホストクラブじゃないんだからさ

(楓) 仁井君!

仁井君 どちら~?

(倒れる音) (楓) アアッ!

ウウッ…

体を冷やすといけないので 僕が介抱してきます

(松駒) えっ

おっ

おおっ

はっ 仁井君 おっ おおっ あっ

おっ おおっ あらら…

あっ あ~そう ああ そう あ~ そうっすか

うわ~ 作戦成功

なのに 楓 気絶 完全に意味なし

(ぶつかる音)

(松駒) あっ そりゃ無理だね

(ぶつかる音) (松駒) そりゃ無理だよ

足…

それ大丈夫だよね

仁井君

いや ニーチェ先生

優しいところもあるんだな

あっ ありがとね 友達が迷惑かけちゃって

(仁井) いえ 当然のことをしたまでです

(松駒) 僕の感動を返して

確かに 気道は確保されている

体温を逃さないようにという対処は あながち 間違いではない

よかったな 楓

あれなら風邪引かないね ありがとう

店内で嘔吐されるという 最悪な事態を避けられて何よりです

この前は申し訳ありませんでした

(松駒) うんうん

ちゃんと謝りなさい ちゃんと

(楓) 酔っぱらった方が 仁井君と まともに話せるかなと思って――

ついつい飲み過ぎちゃって

そしたら 記憶も飛んじゃって…

(松駒) 仁井君が君を抱えて 事務所へ運んでくれたんだよ

(楓) え~っ!?

お姫様抱っこですか? それは お姫様抱っこですか?

(松駒) うん まあ

私はお姫様ですか?

君はお姫様じゃない

仁井君は王子様ですね

そんなこともない

仁井君

私のこと お姫様だと思っててくれてたなんて

よろしければ――

お名前を教えていただけますか?

え~っ!?

えっ! 仁井君 マジ?

(楓) え~っ! 婚姻届ですか?

もしかして そこに婚姻届が 既に用意されてるんですね?

急展開! ものすごい急展開

しかし 受けとめます 私

シンデレラだってそうだった

靴のサイズが合ったら 速攻 結婚だったもの

白雪姫も キスして速攻だったもの

あざーっす!

塩山 楓と申します

(松駒) すっごいよ いや こんなことってホントにあるんだね

楓 おめでとう ホントにおめ…

(楓) 書きます! 自分の名前は自分で書きます

ハンコは母印でいいですか?

(松駒) あっ もう… あの… もう見ない方がいい

(楓) どうして? (松駒) いや ホント見ない方がいい

あの~ 外で あの… 頭冷やしてから帰ってきて

(楓) なんでなんで?

(松駒) ちょちょちょちょ… 待って待って ホントホントホント

もう帰って帰って 帰ろう帰ろう はい はいはいはい…

(楓) えっ なんで?

(松駒) 仁井君 賞味期限切れのお弁当を どんだけ持ち帰ってもいいんだよ

それが深夜バイトの特権

(仁井) はい

(渡利) ただし――

先に選ぶ権利は俺にある なぜなら俺は先輩だからだ

決して貧乏だからじゃないぞ 先輩だからだ

(仁井) はい

サンドイッチしか残らなくても 文句は言えないぞ

なぜなら お前は新人だからな

(仁井) はい

悔しいなら 悔しい顔をしてもいいんだぞ

しないんだな

それはそれでよし

(ドアチャイム) (松駒) いらっしゃ…

どうしたんだろう

(渡利) いや 親一緒だろ

ですよね

(松駒) 誰もいませんね

(渡利) この時間に1人?

それは…

どうしましょう

あの~ お姉ちゃん

(女の子) えっ?

(松駒) あの~ 1人で来たの?

そう

なんで?

(女の子) 目が覚めちゃったの

パパとママ 起こしたんだけど起きてくれなくて つまんなかったから

う~ん とはいえ ちょっと この時間に1人じゃ危ないぞ

危なくないよ いつも来てるお店だもん

あっ いつも来てくれてるんだ? ありがとうございます

(女の子) あなた 見ない顔ね

(松駒) うん

うん まあ 僕は夜にしかいない顔なんだ

ということで 帰ろうか おうち

(女の子) 嫌だ (松駒) いや~

(松駒) パパとママは 起きて お姉ちゃん いなかったら――

びっくりすると思うけどな

(佐江) 佐江

佐江? あっ 佐江ちゃん いなかったらさ

(佐江) 嫌だ 帰りたくない もっと遊ぶ

(松駒) う~ん とはいえ 時間も時間だし

(雨の音)

(渡利) 松駒 大雨だぞ

(松駒) え~ どうしましょう

(佐江) ねえねえ 何してるの?

(松駒) ああ…

このお兄さんは 今 新しい食べ物と古い食べ物を取り換え中

(佐江) 面白そう 佐江もやる

(松駒) いや やらなくていいよ ねっ?

雨降ってきちゃったし お兄さんが送ってあげるから 家まで

(佐江) 嫌だ (松駒) いやいや 送ってあげるからさ

(佐江) 嫌だ~ (松駒) 送ってあげるから 送ってあげるから

(佐江) あ~… (松駒) うわっ 送ってあげ… あは~ いや~

違う ちゃうよ 違うよ 違う そういうことで送るんじゃない

あの… うん 普通… あの… 普通の あの… 女の子とか…

そういう子供とかはないってことです そういうのないです 僕は そういうのは

(店長) おいおい どうした えっ? 何をそんなに騒いでいるんだい?

(松駒) この女の子が こんな時間に1人で…

(佐江) 佐江!

食べ物の入れ替え 手伝うから

(店長) あ~ 佐江ちゃん そんなの手伝わなくていい

まあ 確かにな あ~ 女の子はさ 夜働くと もうかる なあ?

佐江ちゃんが もっと大きくなってな その… 露出の激しい服を着てさ なあ?

そんで 胸の谷間をしっかりと露出してね

え~ かつね 脚フェチの 僕のね 期待にね 僕のよ? 僕の期待に応えてくれてね

え~ そして 男の人を相手にするようなね 仕事に就けば たくさんのお金がもらえるよ うん

恐らく 僕は そこに通う

だけども 何も そんな年でさ…

(松駒) 店長! 店長 何を言い出したんですか やめてください

えっ なんで?

(仁井) やめてください

場所が違います

(松駒) ガチのダメ出しだ

(仁井) そこも違います やめてください 僕がやるので

(松駒) 仁井君 何もそんなガチな感じでダメ出ししなくてもさ

(仁井) 僕は――

水っぽいカレーと同じくらい――

子供が嫌いなんです

水っぽいカレーは確かに おいしくないね

(渡利) ああ… こちら どうぞ

こんなことさせて いいんですかね?

下手をすれば監禁の罪だね

お疲れさまでした

はい

今日は帰ってよし

はい

(店長・松駒) え~っ?

(松駒) あの… お兄ちゃんが送るよ

(仁井) 松駒さん

その子は もう一人前です

1人で帰れます

はい

(店長) まあ とはいえ 雨だしな

(仁井) 本日のバイト代です

(佐江) ありがとうございます

(店長) 何か… すばらしいね

(仁井) 使えますよ あいつ

(3人) え~…

♪~

~♪

(松駒) 面接の途中に“君 要らない”って

(仁井) そんなことで死ぬには早すぎます

(松駒) どんなところを見込んで バイトに採用したんですか?

(店長) 何かを やってくれそうな目をしてたんだよ

(楓) 仁井君が 私の知らないところで実家を訪ねるのよ

僕以上に はるかに意外ですよ

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