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お前のことをただの山好きの医者って➡

言ったこと 撤回するよ｡えっ？

お前は➡

あっ…｡

うっ！江森先生？

うっ…｡胸が苦しいですか？

ああ｡冠動脈の疾患が？

心筋梗塞を引き起こしたかもしれない｡

救助隊に連絡します｡はい｡

江森先生 ザック下ろしましょう｡ああ｡

江森先生が？ヘリを要請したんですが➡

燃料の補給に戻ってからだともうヘリを出せる時間に➡

間に合わないかもしれないと言われて｡

ヘリの状況については➡

こっちで確認して随時 連絡するから｡

受け入れの準備もしておく｡はい お願いします｡

ヘリは来ない｡温かくして待ちましょう｡

はい｡はぁ… いいから帰れ！

もう山で誰かを失う思いはしたくないんですよ｡

うっ あっ！江森先生？

先生｡江森先生？

江森先生｡江森先生｡

ニトロ ２cc 静注しましょう｡はい｡

巻き添えにして すまない…｡そんなこといいですから｡

あぁ…｡

お願いします｡はい｡

腕 まくりますよ｡

事情は もちろん承知してます｡

でも どうにかヘリを➡

飛ばしてもらうわけにはいかないんですか？

申し訳ありませんいくら信濃総合病院の要請でも➡

出動はできません｡規則なので｡

一刻を争う状況なんです！

失礼します｡

あっ もしもし？あっ…｡ﾂｰﾂｰ

ちょっと お待ちください｡すいません 困ります｡

また救助ヘリを要請したようですね｡➡

１度ならず２度までも山のお医者さんごっこで➡

二次被害を引き起こすおつもりですか？

そんなつもりじゃありません｡➡

ただ 今 救助に行かないと…｡

自業自得でしょう｡➡

何度言わせれば気が済むんです？

医師を山に登らせるべきじゃないと言いましたよね｡

山の救助は救助隊に任せて➡

医師は病院での治療に専念すればいい｡

ＭＭＴは救助隊の足手まといなんですよ｡

足手まといなんかじゃありません！

現場の医師たちは➡

命をつなぐために力を尽くしてるんです｡

よし｡骨盤骨折は➡

放射線科でアンギオ｡そっちは心外に連絡してＩＣＵへ｡

はい｡もし血圧が下がったら➡

ドレナージして｡はい｡

頼んだよ｡はい｡

今 運ばれたのは➡

土砂崩れ事故で救助された方たちです｡

医師が山の現場に向かっていなければ➡

救えなかった命です｡

もちろん➡

医師が山に行くリスクは承知のうえです｡➡

でも それでも救える命があるなら全力を尽くしたい｡

医師が そう思うのは当然じゃないですか？➡

だから 江森先生も➡

自分の体に負担をかけることになってでも➡

患者の命を救おうとしたんです｡

江森先生に何かあったんですか？

現場で倒れたと連絡が｡

えっ？ヘリで搬送しなければ➡

恐らく…｡そんな｡

治療なら病院でだって可能なのに➡

わざわざ現場へ向かった｡➡

自業自得じゃありませんか｡

ただ受け入れて待つことだけが医療でしょうか？

助けを求めている命を救うために➡

積極的に山に向かったから｡➡

江森先生 宮本先生看護師の鮎川さん➡

３人が現場で適切な応急処置をしてくれたから➡

病院に搬送するまで命をつなげられたんです｡➡

だから私たちが救えた命なんです｡

それが山岳医療の１つの可能性なんじゃないですか？

何とか江森先生のところまで➡

ヘリを出してもらえるよう消防にお願いできませんか？

救助隊は この街の山岳救助に必要不可欠な人材です｡

リスクの高い救助に行かせるわけには…｡

その高いリスクをわかったうえで！➡

江森先生は命を救おうと闘ったんじゃないですか｡➡

それを見殺しにするっていうんですか？

残念ですが➡

どの道 もうタイムリミットは過ぎています｡

知事にかけても答えは同じです｡

規則上ヘリの要請には応じられません｡

はぁ～｡

あぁ…｡点滴 交換します｡

サチュレーション｡はい｡

江森先生 大丈夫ですか？

頑張りましょう 江森先生｡大丈夫ですよ｡

失礼します｡はぁ…｡

サチュレーション７５％です｡

まずいな 心不全 合併してる｡

江森先生 一緒に頑張りましょう｡

一緒に生きて帰りましょう｡

血圧｡はい｡

一緒に頑張りましょうね江森先生｡

血圧１９２の１００です｡

ニトロ ５cc 静注｡このままじゃもたない｡

挿管しましょう｡はい｡

ミダゾラム ２cc 静注｡

サチュレーション９３➡

血圧１３２の８４まで改善してます｡

でも 早く病院に搬送しないと…｡

この時間じゃ もうヘリは｡

宮本先生｡

手を貸してもらえますか？宮本先生｡

病院に連れてかないと｡

宮本先生！

諦めたくないです｡

江森先生 起こしますよ｡

はぁはぁ はぁ…｡

江森先生 はぁ はぁ…｡

なぜ こいつを山に行かせた？

まだ ぺ～ぺ～だろ｡

山を愛せる山の医者になりたいんです｡

理想を追うのは勝手だが現実は甘くないぞ｡

山岳医になったからといって過信するなよ｡

今のお前は まだただの山好きの医者だ｡

まだ学びたいことが山ほどあります｡

自分１人では ここまでの判断はできませんでした｡

お前が救ったんだ｡

お前が命をつないだんだ｡

この県に山がいくつあると思ってる？

お前１人の力でどうにかなるもんじゃない｡

はぁ はぁ… 教えてほしいことがたくさんあります｡

医師が山に行けば救える命がある｡

ＭＭＴの その理想を俺たちで探していかないとな｡

はぁ はぁ… 帰ったら➡

理想を一緒に探すんですよね？

何とか言ってくださいよ｡

こんな所で死んじゃだめでしょ！

はぁはぁ はぁ…｡

聞こえてるんでしょ？

はぁはぁ はぁ…｡

医者が山で死んで どうすんだよ！

宮本先生｡

呼吸が止まってます｡

うっ…｡

江森先生 大丈夫ですか？

うっ…｡

宮本先生｡

生きて帰りますよ｡うっうっ うっ…｡

絶対死なせない｡

うっ…｡

江森先生｡

江森先生！うっ…｡

ブー…

今の音｡

ヘリだ｡

江森先生 はぁ… ヘリ来ました｡

もう少し｡はぁ はぁ… 頑張りましょう｡

宮本先生！遅くなりました｡

一刻を争う状況です｡ストレッチャー 準備！

はい！

来てくれて本当にありがとうございます｡

先生方は多くの遭難者の命をつないでくれました｡➡

我々も命をつなぐことが使命ですから｡

ＣＰＲお願いします｡わかりました｡

つり上げるぞ！了解！

はい 行くぞ！

はい ロックして｡１ ２ ３！

心マ 入ります｡さあ 行こう！

はい｡江森先生！➡

はい 江森先生 病院着いたよ｡

心マ代わります｡はい サンキュー｡

江森先生！切り返しますよ｡

江森君！

１ ２ ３！

酸素切り替えます｡モニターつけます｡

キンコーン キンコーン…

モニターつきました｡

ピピピッ… ピピピッ…

ＶＦ！１５０ｼﾞｭｰﾙ｡

江森先生 頑張って！

離れて｡

心マ再開する！江森先生！

さあ 江森先生 しっかり！

ごほっ ごほっ ごほっ…｡

小宮山先生 反応ありました｡

心拍再開しました｡血圧測って➡

十二誘導とるよ｡はい｡

ＡＭＩです｡

すぐにカテ室に連絡｡エコーとって｡➡

Ａラインちょうだい｡はい｡

手は尽くしました｡

…が 正直 危険な状態です｡

搬送まで時間がかかったのに➡

ここまで持ちこたえただけでも｡➡

私も認めたくありませんが➡

覚悟はしておいたほうがいいでしょう｡

本当にありがとうございました知事 ううっ…｡

皆さん ご無事で何よりです｡では｡

ご案内します｡

松澤院長もご苦労さまでした｡

いえ｡江森医師の件➡

ヘリで搬送しなければ山で亡くなるところでした｡➡

本当にありがとうございます｡

我々は何もしていません｡

全ては航空隊の豪徳寺隊長以下現場の独断ですので｡

良くも悪くもね｡

規則違反には相応の処分が必要かもしれませんね｡

それで 江森医師の容体は？

今も危険な状態だと｡

そうですか｡

やはり 医師が山に行くことには➡

想像以上のリスクがあるようですね｡

これ以上 二次被害を出すわけにはいきません｡

本日をもって ＭＭＴは無期限の活動停止➡

解散としましょう｡

待ってください 解散って…｡

知事｡もう決まったことなので｡

失礼します｡

解散？院長 解散というのは➡

もう どうにもならないんですか？

どうして｡➡

ここまで努力してきたのに｡

これじゃ 命を懸けた江森先生も報われません｡

ＭＭＴがあったから救えた命もあったはずです｡

医師が山に行けないなら➡

どうして山岳医なんて制度が存在するんですか？

本当にごめんなさい｡

ＭＭＴのみんなには頑張ってもらっていたのに｡➡

でも もうこれ以上 みんなを山に行かせて➡

危険な目に遭わせるわけにはいかない｡

私は…｡

ＭＭＴのみんなを心から誇りに思っています｡

でも これは➡

院長としての判断です｡

今はとにかく➡

江森先生の無事を祈りましょう｡

江森先生｡

ＭＭＴ 解散だそうです｡

僕たちが信じてきたことは➡

無意味なことだったんでしょうか｡

ＭＭＴが解散？ほんとですか？

だから もう➡

そっちの診療所続けられなくなって…｡

待ってくださいオーナーに代わります｡

えっ？

ＭＭＴ 解散するのか｡

どうしておじいちゃんが山小屋にいるの？

自宅で安静にって言われたでしょ？

あのな俺 体も がたきてるし➡

山小屋 畳むことに決めたんだよ｡

本気なの？残念だが➡

継いでくれる人のめども立たないしな｡

診療所が続けられないなら➡

ちょうど良かったのかもしれないな｡

まだ夏は終わってないのに➡

こんな形でＭＭＴが終わるなんて➡

悔しすぎる｡

そうだよな｡

ＭＭＴは悪くねぇのに｡

歩も典子も玲さんも➡

すげぇ悩んでけど すげぇ頑張ってたの➡

俺 見てたから｡

何でＭＭＴがなくなんなきゃいけないのか➡

マジで意味わかんねぇし｡

ほんと｡

俺が何とかすっから｡

どうにもならないんだよ きっと｡

どうにもならなくてもどうにかすっから｡

ふぅ～｡

ＭＭＴの解散 決まったのか？

ええ｡さっき純家さんから連絡があってね｡➡

これで典子さんも目を覚ますでしょう｡➡

正しかったのは私のほうだってね｡

ははっ｡

その使命はただ１つ｡

｢山での 死亡者ゼロ を目指す｣｡

ＭＭＴ？マウンテン･メディカル･チーム｡

みんな前を向いてるんだよ｡

そこに歩がいなくてどうするの？

医師が山に行けば救える命がある｡

大丈夫？歩けるかな｡

もう…｡

大丈夫ですか？

ちょっといいですか？はい｡

山岳医療パトロール？

宮本先生が？はい｡➡

ヘリに乗れなくても 自分の足で➡

登山者に向き合うことはできると言ってました｡

それもこれも江森先生の影響ですね｡

まあ個人で啓発活動をする分には➡

自由ですもんね｡

諦めてなかったんです｡

山岳医になって➡

自分がやると決めたことを貫こうとしてるんだ｡

たとえ自分１人になってもできることはあるって｡

はい これで大丈夫です｡

はぁ～｡ありがとうございます｡

良かったら こちらのサイトを参考にしてみてください｡

山でけがや病気にならないように➡

最低限の準備や心掛けが書かれてますから｡

はい｡ご迷惑をおかけしました｡

いえ｡気を付けてください｡

ありがとうございます｡はい｡

コンコン コン！

おかえりなさい｡よく帰ってきたわね｡

ＳＮＳの投稿を取り消してください｡

何のことかしら｡江森先生は亡くなっていません｡

そんなことを言いにわざわざ来たの？➡

あなたもわかったでしょう？

医者が山なんか行くもんじゃないって｡

私は そうは思いません｡

往生際が悪いわね｡

松澤院長もＭＭＴの解散に同意したんでしょ？

ＭＭＴがなくなったって山岳医療に関わることはできます｡

はぁ？何を言っているの？

あなたは内科を目指してゼロからやり直すの｡

そして この病院を継ぐのよ｡

私は麻酔科医です｡➡

それに山岳医の認定を取ると決めたので｡

今 私にできることをやってくために｡

４５年間 よく頑張った｡➡

もう おやすみ｡

待って｡

休むのは おじいちゃんだけ｡

ん？長い間お疲れさま｡

後は…｡

私が受け継ぐから｡

玲さんが？

どうして？診療所は続けられなくても➡

この山小屋をなくすわけにはいかない｡

登山者の安全のために｡

玲…｡でも看護師の仕事は？

もちろん仕事は辞めない｡

だから➡

協力してくれる人が必要なんだけど…｡

もちろん力になります｡自分にやらせてください｡

ちょっと私が先に言おうと思ってたのに！

関係ない そんなの｡お前たち ううっ…｡

ありがとう｡ははっ｡

じゃあ まずは➡

看板 元に戻そっか｡

はい オーナー｡

ふふっ｡よし｡➡

上げるよ｡はい｡

せぇ～の よいしょ｡

ＭＭＴのみんなね➡

解散してもまだ山に関わろうとしてる｡

江森君ほんとに これで良かったのかな｡

院長｡

宮本先生｡

今日も山に？

はい｡

無理しないでよ？休めるときは休まないと｡

大丈夫です｡病院には迷惑をかけないようにしますから｡

初めて会った頃がうそのようね｡

江森先生に ペ～ペ～だって言われて叱られてたのが➡

何だか遠い昔みたい｡

べつに変わってませんよ今も勉強中の身ですから｡

ほんとにありがとう｡

宮本先生がうちに来てくれて➡

山岳医療と向き合ってくれたからこそ➡

その未来を考えようとする人が増えたと思う｡

江森先生が➡

その準備をしてくれてたんだと思います｡

だから自分も自分ができる範囲で➡

山を見守っていきたいんです｡

江森先生みたいに｡

死んだみたいに… 言うな｡

えっ？

江森先生？

江森君？

江森先生 わかりますか？

うぅ…｡

良かった｡

信じられませんあの状態から回復するなんて｡

俺もだよ｡救助隊の皆さんと➡

我々ＭＭＴが総力を挙げた結果です｡

まあ ＭＭＴは解散になっちゃいましたけどね｡

みんなには迷惑かけたな｡

江森先生に生きる力があったからこそです｡

本当に良かったです｡

もう むちゃしないでくださいよ｡

どうぞ｡

突然お時間を頂き恐縮です｡

今度は何でしょうか｡

ＭＭＴの件についてお話があります｡

行政指導を受けたとおりＭＭＴは既に解散していますが➡

まだ何か問題でも？

ええ 大問題です｡

これ以上 私たちに何をしろと言うんですか？

解散を撤回していただきたいのです｡

はぁ？

実は先日…｡

すいません！信濃総合病院の➡

ＭＭＴ解散の件についてお話があるんですけども➡

担当者の方はいますか？

はい｡失礼ですが皆さんは どういった…｡

以前 ＭＭＴの先生たちに救ってもらった➡

ＭＭＴ患者の会です｡

患者？ これは➡

ＭＭＴの存続を願う人たちの署名です｡

山頂の景色母ちゃんに見したくて｡

結衣｡

江森先生への訴えを取り下げると｡

私 山が好きなんです｡

いつかまた一緒に登りたいね｡

奥さんの命が懸かってんだよ｡

ありがとうございます｡

歩 ありがとう｡

今度はみんなで行こう｡

山登りできたのお父さんのおかげだから｡

歩が来てくれてほんとに心強かったよ｡

ＭＭＴをなくさないでください➡

お願いします！お願いします！

お願いします！ＭＭＴが必要なんです｡

どうか もう１度考え直してもらえませんか？➡

ＭＭＴの先生たちがいるから➡

子供からお年寄りまで安心して山に登れるんです｡➡

地元の俺たちも 山と寄り添って生きていけるんです｡

患者さん皆さんの気持ちはよくわかりました｡

ですが これには関係各所からの上申書も届いておりまして…｡

私からもお願いします｡

君は…｡

消防防災航空隊としても➡

ＭＭＴの存続を切に願っています｡➡

山岳救助の未来のためにも➡

医師の方々の力は必要不可欠だと考えます｡

お願いします ＭＭＴを解散しないでください｡➡

お願いします！ お願いします！

お願いします｡反対！

お願いします｡ お願いします｡

それだけではありません｡

ＳＮＳでも新たな影響が｡

県にも多くの要望が寄せられまして➡

知事と再検討した結果➡

医療が行政や組織の都合ではなく➡

あくまで患者のためにあるべきという基本思想に基づいて➡

ＭＭＴに対する解散の指導を撤回することになりました｡

光栄です｡

大勢の方々にそこまで思っていただけて｡

だからといってうぬぼれられては困りますが｡

もちろん ＭＭＴの医師だけで➡

山の患者さん全てを救えるとは思ってません｡

大自然というものは➡

人が太刀打ちできるものじゃありません｡

救助に関わる警察 消防 航空隊➡

それを手助けする遭対協や山小屋の人たち➡

医療に関わる病院｡

山に関わる全ての人たちがううっ…➡

どう連携し どう役割分担をしていけばいいのか｡

山岳医療と山岳救助のシステムについて➡

考えていくべきだと思っています｡

まあ 否定の余地はありませんね｡

でしたら レスキューヘリの件も是非 よろしくご検討ください｡

それとこれとは話が別ではありますが｡

予算の兼ね合いなど引き続き検討しましょう｡

ううっ… 本当に➡

本当にありがとうございます｡

えっ 解散 撤回ですか？

そうよ｡

おい！おいおい！ははっ｡

それだけじゃないわよ｡➡

当初は夏限定だったけど｡

｢春夏秋冬｣… 一年中ですか？

特に冬は登山者の数こそ少ないけれど➡

遭難事故の危険が高まります｡それは同時に➡

医師が山に行くリスクにも直結します｡➡

でも このメンバーのみんなに➡

引き続き力を貸してほしいの｡

わかりました｡ありがとう｡

僕たちの経験が いつか➡

山岳医療の未来につながると思うんです｡

山と寄り添って 地域に寄り添って人と寄り添って｡

山岳医療があり続けるためにみんなで作っていきましょう｡

おう｡

解散 撤回って…どういうことですか？

はぁ～｡ご報告は以上です｡

待って｡これでいいんですか？

あなたは悔しくないんですか？

良くも悪くも私は組織の人間ですから➡

組織の意向に従うだけです｡

あぁ～！

あの いまいましいＭＭＴを潰せて➡

これで うちの娘を育て直せると思ったのに｡➡

はぁはぁ…｡

村松先生➡

あなたにとって医療とは何ですか？

はぁ？

私の病院はね➡

祖父の代から受け継いだ地元でも由緒ある病院なのよ｡

その歴史と地域の健康を守っていく使命があるの｡

すばらしい｡

ですが今までの歴史だけではなく➡

これからの未来を守っていくのも医療の使命だと思いませんか？

それがＭＭＴだとでも？

それは これからの彼らの頑張りしだいです｡

ただいま｡

出かけるときは一声かけてって言ったでしょ｡

いや ちょっと自動販売機までってつもりで｡

はぁ～｡どうかした？

もう おとうさんがね➡

夜なのに１人っきりで出かけて帰ってこれなくて｡➡

歩がくれたこれで見つけられたのよ｡➡

こんなことじゃ心配で登山なんてできませんよ｡

いや…｡えっ？

登山行くの？２人で？

もちろんそんな大変な所には行かないから｡

あっ おとうさんは大丈夫だよ➡

ほらよく家族４人で登っただろう｡

いつの話だよ｡はははっ｡

そういう昔のことは覚えてんだよね 案外｡不思議と｡

この土地の人間はみんな➡

北アルプスの山々に育てられたようなもんだ｡➡

大自然の恵みがあるからこそ命を授かって生かされてる｡

あぁ～！

私たちの体の中に山の命が息づいてるんだ｡

そうね｡感謝の気持ちを忘れずに➡

元気いっぱい登って命を分けてもらおう｡➡

ふふっ｡

俺も行くよ ははっ｡

また みんなで登ろ｡

ははっ｡さあ ご飯➡

ご飯 ご飯｡ははははっ｡腹すいたろ｡

ねぇ｡おとうさん 手伝ってよ｡

はい｡じゃあ みそ汁やりま～す｡

はい お願いします｡はい｡

山から命を分けてもらってるなんて➡

考えもしなかったよ｡

これからも頑張るよ｡俺にしかなれない医者を目指して｡

退院おめでと｡

面倒をかけたな｡いいえ｡

はい これ 退院祝い｡

救助隊から預かっておいたの｡

やっと見つかったね｡

帰ってきたのよあなたのところに｡

ああ｡

ありがとう｡

そのかわりもう むちゃな登山は やめてよね｡

まあ 山に登らなくてもＭＭＴとして➡

江森君には やってもらいたいこといっぱいあるから｡

言われなくても そのつもりだ｡

うん うん｡➡

山岳医療を医学の分野に｡➡

きゃ～！もう 院長さすがだな｡➡

どこまでも ついていきたいって感じだよね はははっ｡

あっ そうそう聞きました？レスキューヘリの件｡

ん？国が本格的に➡

助成を検討してるってうわさですよ｡

えっ じゃあ うちの病院にもヘリが配備されるんですか？

本当か｡努力が報われたな～｡

えっ それってどっちですか？ヘリ？それとも…｡

副院長の椅子に決まってんだろうが ふふふっ｡

ですよね｡うん｡

でも 良かったですね｡これで奥さんに ばか眼鏡…｡

あほ眼鏡な｡あぁ…｡

って言われることもなくなりますね｡

甘いよ君は何にもわかっちゃいない｡

えっ 何でですか？副院長になったらなったで➡

次は いつ院長になるんだと言われるのがオチなんだよ｡

そんなのもはや無期懲役じゃないですか｡

掛川先生➡

結婚は愛の服役だよ｡➡

これ君のうんちくに使っていいからね｡

いや… えっ 使えます？

使えます｡

良かったな玲ちゃんが戻ってきてくれて｡

診療所も復活して➡

この山小屋も生き返るよ｡うん｡

玲さん｡は～い｡

古い登山者ノート どうします？あぁ～ どうしよっかな｡

おっおっ おいおいそ… それ捨てちゃだめだぞ｡

捨てるわけないでしょ｡棚にしまっとこっかな｡

はい｡玲さん｡

は～い｡食事のﾒﾆｭｰなんですけど｡

おっ｡あっ｡➡

これ 私が考えたんですよ｡おぉ～｡

ははっ｡メニュー変えるの？

おぉ～｡もう おじいちゃん うるさい｡

新しいメニューを増やそうと思ってるだけ｡

増やすって何？これです｡

あぁ… ありゃりゃ｡食べれる？食べれる？これは｡

はははっ｡はははっ｡

あの人 絶対やめる気ないでしょ｡

やめる気ないね｡ないない｡

さすがに これはないだろ｡ない｡

いいと思うんですけどね｡いや いいよ いいよ｡

長い間 お世話になりました｡

ほんとに これでいいの？

好きになさい｡➡

もう あなたに期待しても無駄だということが➡

よくわかったので｡➡

ただ これだけは譲らないわ｡➡

あなたを一人前の医師に育てたのは➡

この私だから｡➡

どこで何をしようと あなたは➡

私の娘よ｡

本当にありがとうございました｡

お母さん｡

ははっ｡

山の現場でのファーストエイドにおいて➡

最も大切なのは➡

傷病者が命に関わる容体かどうか➡

すぐに病院に搬送すべきかどうかを➡

迅速に見極めることです｡

そのために重要なこととしては➡

生命維持に必須な呼吸器系 循環器系➡

中枢神経系に問題がないかどうかを➡

確認することです｡

じゃあ 足 診ます｡➡

大丈夫ですか？ここ 痛いですか？どうですか？

足は後でいいので➡

まずは大出血してる場所を確認しましょう｡

脈を測りましょうか｡はい｡

ここですね｡はい｡

悪いな 忙しいのに｡

いえ自分自身のためでもあるので｡

死ぬなよ｡

えっ？

冬の山は夏の比じゃないからな｡

はい｡

宮本｡

はい｡

お前のことをただの山好きの医者って➡

言ったこと 撤回するよ｡

えっ？お前は…｡

お前は もう➡

山の医者だ｡

ありがとう｡

ありがとうございます｡