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(店員)お待たせしました。 (雨)ありがとうございます。
♬~
♬~
(千秋)大丈夫?
おばあさんも亡くなって➡
それに…。 (日下)あと34時間。
触覚を失うまで 残り1日半です。
《どうして 私は生きてゆくんだろう》
《どうして 私は生きてゆくんだろう》
《もうすぐ 全てを失うのに》
《つらいあしたを どうして生きてゆくんだろう》
(日下)この先のことを思って 不安になる気持ちは➡
痛いほど よく分かります。 しかし あるはずです。
触覚が あなたに教えてくれることが。
触覚が あなたに教えてくれることが。
触覚が 教えてくれること…。
(純)何で こんなカワイイ子が ピーカンと?
カワイイだなんて とんでもないです。
(竜一)何かよからぬ事情で 仕方なく付き合ってんのか?
竜さん 失礼ですよ。 ねえ ピーカンさん。
竜さん 失礼ですよ。 ねえ ピーカンさん。
えっ? ああ… ハハッ。
(陽平)じゃ 今日は 雨ちゃんの初披露ということで➡
みんなでパーッとやろう ねっ。 <よっ!
よしっ あんた 乾杯の音頭取れ。
私ですか? よっ! 雨ちゃん!
あっ じゃあ…。
あっ 逢原 雨と申します。 今日はありがとうございます。
みんなで楽しみましょう~ かんぱーい!
(一同)かんぱーい!
(一同)かんぱーい!
あっ お父さん どうぞ。 あっ 「お父さん」…。
じゃ いただきます。 (一同の笑い声)
すいません ありがとうございます いただきます。
いや 何か あの いつもより ホップが効いてる気がします。
ホップだあ? 味の違いなんか分からねえくせに。
ていうか親方 何か今日 おめかししてません?
借りてきた猫状態じゃないっすか。 (陽平)うるさいんだ 君たち。
だいたい いつも こういう感じですからね。
このジジ猫 朝から ずっとこんな調子なの。
雨ちゃんに気に入られようとして ホントキモい。
口悪い。
口悪い。
太陽君。 あっ ありがとうございます。
僕までお招きいただいて すいません。
いえいえ… そんな。
(春陽)今日の陰の主役は 市役所マンだからね。
イケメンなのに おにいごときに ぼろ負けするなんて恥よ 恥。
えっ? (春陽)あっ サッカーやってるんでしょ?
なら ミサンガでも 作ってあげようか?➡
カワイイ彼女が できますようにって。
ハハッ じゃあ お言葉に甘えようかな。
ハハッ じゃあ お言葉に甘えようかな。
お願いしていい? 春陽ちゃん。
いいけど?
(落ちる音) (陽平)何やってんだ お前。
あっあっ ごめんなさい…。 (春陽)じゃあ チームの分も➡
作ってあげようか。 ねえ 雨ちゃん➡
一緒に作ろう ミサンガ。 えっ?
ああ いいよ 作ろ。 (達夫)何だい? ミサンガってのは。
(春陽)知らないの? (達夫)にさんが 6か?
サザンがオールスターズ。 (竜一)絶好調 絶好調。
(春陽) おもろいよ おっちゃん 今日。
(春陽) おもろいよ おっちゃん 今日。
(司)元気ないけど大丈夫?➡
雨ちゃんのこと? まあ…。
病気じゃなかったら 何なんだろう?って。
友達の話では➡
五感を失う病気だと 思い込んでるのかもしれないって。
ですよね。
正直 焦ってたんです。 ホントにそんな病気だったら➡
そのうち 目も見えなくなっちゃうって。
そのうち 目も見えなくなっちゃうって。
大丈夫。 だから見せてあげてください。
太陽君の花火。
はい。 でも そのためには➡
乗り越えなきゃいけないことが あって。
太陽君 何かあった?
(陽平) おそらく 桜まつりのことだな。
これ。
(純) 桜まつりがどうかしたんですか?
(陽平)いや あいつよ➡
自分の花火 上げたいって 言ってきてな。
(陽平)《うん。 ずいぶん良くなったじゃないか》
《ホントですか?》 《うん》
《じゃ 今年の桜まつりで…》 《いや それはちょっと厳しいよ》
《どうしてですか?》 《桜まつりで音頭取るのは➡
長崎花火協会だ》
《お前の花火じゃ まだ審査通らないよ》
《でも カリウムとストロンチウムの 比率は完璧です》
《でも カリウムとストロンチウムの 比率は完璧です》
《赤い色は ちゃんと出てるはずです》
《数値的にはな》
《だけど それだけじゃ 奇麗な色は作れない》
《ドンマイ》
(陽平)花火師にとって 赤が見えないってのは➡
確かに厳しい。 でもね とことん向き合って➡
乗り越えてくしかないんだよ。➡
ただ焦ることないんだよ。 あいつは まだ若い。➡
時間だって まだまだたっぷりある。
今年が駄目でも また次があるさ。
(日下)《これから3カ月かけて➡
あなたの五感を 奪わせてもらいます》
お父さん。
太陽君に チャンスをあげてくれませんか?
どうしても見たいんです 彼の花火。
だから…。 (陽平)いやあ…➡
今のあいつは まだ厳しいよ。 でも太陽君 あんなに頑張って…。
今のあいつは まだ厳しいよ。 でも太陽君 あんなに頑張って…。
すいません 余計なこと言って。 (陽平)いやいや。
♬~
どうかした? ううん。
みんなが見てる赤って どんな色なんだろうなって思って。
(春陽)そういえば おにい 花火のこと まだ落ち込んでた?
まったく しっかりしてほしいもんよね。
お母さんとの約束だってあるのに。
あーあ 私にも約束があればなあ。
ねえ 春陽ちゃん。 何?
春陽ちゃんは 本当は 花火師になりたいんじゃないの?
春陽ちゃんは 本当は 花火師になりたいんじゃないの?
学生時代は そう思ってたよ。
でも おとうに 「お前じゃ務まらない」って➡
一刀両断されて諦めた。
結局 その程度の気持ちだったんだよ。
ごめん 変なこと言って。
あっ 結婚しないの? 結婚?
ぶっちゃけ 2人には結婚してほしいもん。
ぶっちゃけ 2人には結婚してほしいもん。
もし雨ちゃんが 私のお姉ちゃんになったら➡
ハイパーうれしいもん。
あっ 結婚をせかしてるみたいだった?
ごめん ごめん。 ううん。
私も春陽ちゃんが 妹になってくれたら➡
すごくうれしい。
だからありがとう。 そんなふうに思ってくれて。
じゃあ 相思相愛だね 私たち。 だね。
(2人)フフフ…。
ホントですか? 桜まつりの件➡
会長に頼んでみてもいいぞ。 太陽の花火 見てほしいって。
どうして急に? いや… 実はな 昨日 雨ちゃんに➡
「チャンスをあげてほしい」って 言われてな。
お前の花火 どうしても見たいそうだ。
雨が…。 だけど いいか。
判断するのは会長だ。 見限られたら➡
来年以降の出品のハードルは 高くなると思うよ。
来年以降の出品のハードルは 高くなると思うよ。
どうする? 太陽。
チャレンジしてみたらどうかな? 花火師。
えっ? 人生って当たり前に続くって➡
ついつい思っちゃうけど➡
あした 事故に遭うかもしれないし➡
考えもしなかったようなことも 起こるから。
そうなったとき きっと思うよ。
あー あのとき もっと頑張ればよかったって。
あー あのとき もっと頑張ればよかったって。
そんなこと言ってくれたの 雨ちゃんが初めて。
ありがとう。
お姉ちゃん。 (2人)フフフ…。
じゃあね。 気を付けてね。
じゃあね。 気を付けてね。
うん。
(ドアの閉まる音)
「お姉ちゃん」か…。
<(ドアの開く音) <ただいま~。
おかえりなさい。 ご飯できてるよ。
桜まつりのこと 父さんに頼んでくれたんだよね。
今日 審査受けてみるかって 言われたよ。
それで?
断った。 断った? どうして?
桜まつりまで あと35日しかないから。
今の俺には無理だよ。
赤い色も克服できてないし。
赤い色も克服できてないし。
でも大丈夫。 次の春には 必ず合格してみせる。
次の春…。 どうかした?
あのね 太陽君…。
あっ… ううん。 頑張ってね。
あっ… ううん。 頑張ってね。
うん。
♬~
さっき 思わず言いそうになりました。
次の春までなんて待てないって。
次の春までなんて待てないって。
でも そしたら 太陽君は自分を責めちゃう。
だけど 本当は全部 話して➡
言ってほしかったんです。
「目が見えなくなる前に 雨に花火を見せるよ」って。
だったら せめて タイムリミットだけでも…。
どうして?
どうして?
(日下) そんな病気は存在しないから。
しかし いつか気が付くはずです。 五感を失う病気などないと。
そして思い悩む。➡
彼女の身には いったい何が起きたのだろう。➡
つらい秘密を 抱えていたのではないだろうかと。
彼は 答えの出ない問いを 一生 死ぬまで考え続けるのです。
あなたが選ぼうとしている道は そういう道です。
<(ノック) <雨? 入るよ。
(ドアの開閉音)
どうしたの? いや 声が聞こえたから。
ああ 春陽ちゃんと電話してたの。
ああ 春陽ちゃんと電話してたの。
今日 ミサンガ作って 材料の糸 忘れてってるよって。
そっか。
太陽君。
お願いがあるの。 んっ?
ぎゅってしててほしいの。
朝まで ずっと。 お願い。
寒い? ううん あったかい。
すごくあったかい。
あのね 太陽君。 うん。
大げさなこと言ってもいい? 大げさなこと?
私たち 付き合って もうすぐ3週間だね。
うん。
まだ たったの3週間だけど それでも 私…。
まだ たったの3週間だけど それでも 私…。
太陽君のこと 愛してる。
この先 目が見えなくなっても➡
耳が聞こえなくなっても➡
あったかさを 感じられなくなっても➡
あったかさを 感じられなくなっても➡
思ってることを 伝えられなくなっても…。
ずっとずっと 愛してるからね。
♬~
♬~
それだけは変わらない。
ずっと変わらない。
俺も愛してる。
フフ… うれしい。
すごくうれしい。
ありがとう 太陽君。
♬~
♬~
ハァ ハァ ハァ ハァ…。
ハァ ハァ…。
<(衝撃音)
<(衝撃音)
雨!?
落ちたの!? 大丈夫!?
全然平気だよ バランス崩しちゃって。
待って。 血 出てる。 えっ?
痛くないの?
救急車 呼ぶから! 大丈夫だから。
いや でも…。 違うの。
感じないの。
何も… 感じないの。
(戸の開く音)
先生 雨は…。
頭部の傷は浅く 脳にも異常は見られませんでした。
しかし 一つ気になることが。
雨…。
ないんだね。 触覚…。
大げさだなあ 入院なんてしなくてよかったのに。
先生が検査入院した方がいいって。
先生が検査入院した方がいいって。
ねえ 雨。 本当は病気じゃないんでしょ?
何があったの?
病気じゃないなら どうして?
太陽君は気にしないで。 大丈夫だから。
大丈夫じゃないって!
大丈夫じゃないって!
触覚が急になくなるなんて そんなのどう考えてもおかしいよ。
教えてほしいんだ。 どんなことでも 受け止めるから。
(日下)《彼は 答えの出ない問いを 一生 死ぬまで考え続けるのです》
こっち来て。
変な感じ。
さっきまで あんなに あったかかったのに…。
心地よかったのに…。
フッ… なくなっちゃったんだな。
フッ… なくなっちゃったんだな。
私の触覚。
ねえ。 何が…。
奇跡なの。 えっ?
私 奇跡を背負ったの。
私 奇跡を背負ったの。
奇跡?
今から言うことも 起こることも➡
何があっても驚かないでね。
千秋さん 日下さん。
えっ? 私は案内人の日下です。
えっ? 私は案内人の日下です。
こちらが…。 (千秋)千秋です。
われわれは あなた方の奇跡を 見届けるため ここにいます。
あの… 奇跡って何なんですか?
説明してください。
太陽君 前に事故に遭ったよね?
うん それが? 意識をなくしてるとき➡
うん それが? 意識をなくしてるとき➡
日下さんが現れて言ったの。
このままじゃ太陽君は死んじゃう。
でも 助ける方法が一つだけある。
私が五感を差し出せば あなたを救うことができるって。
だよね。
だよね。
急に そんなこと言われても 信じられないよね。
私も最初は夢かと思ったもん。
でも…。
私 その奇跡を受け入れた。
だけど安心して。 全っ然平気だから。
フ… フフ…。
あり得ないよ…。
そんな… 奇跡なんてあるはずないって。
雨は この人たちにだまされてるんだよ。
雨は この人たちにだまされてるんだよ。
本当のことよ。
黙っててくださいよ。
あなたたち… 雨に何をしたんですか?
言ってくださいよ!
本当のこと言ってください!
(日下)われわれに 触れることはできません。➡
この姿も あなたと逢原 雨さん以外には➡
一切見えない。 そんな…。
一切見えない。 そんな…。
奇跡なんて…。
朝野 太陽君。
(日下) 《この奇跡を受け入れるのなら➡
朝野 太陽君を助けましょう。 しかし断れば 彼は死にます》➡
《さあ 決断を。 彼に心を 捧げますか?》
《さあ 決断を。 彼に心を 捧げますか?》
♬~
♬~
どうして…。
何で…。
(千秋) 雨ちゃんは ずっと悩んでいたわ。
本当のことを話したら あなたは自分を責めてしまう。
だから 何も言わずに たった一人で闘っていたの。➡
分かってあげて。
分かってあげて。
ホントなの?
ホントに奇跡を?
じゃあ 雨が夢を諦めたのも…。
じゃあ 雨が夢を諦めたのも…。
昨日の言葉も…。
全部 俺のために?
俺が奪ったんだ…。 違うよ。
雨の夢も…。 違う。
幸せも…。 違うから!
全部 俺が…。
全部 俺が…。
(泣き声)
あの…。
お願いします…。
俺の五感を 雨に渡してください。
俺はどうなったって構いません。
だから それで この奇跡を終わらせてください。
できません。
どうして? 一度 奇跡を受け入れたら➡
全ての五感を失うまで終われない。
じゃあ… 俺は…➡
雨が ただ苦しむのを➡
見てるしかないってことですか?
見てるしかないってことですか?
五感が奪われるのを 何もできずに…。
うっ…。 そのとおりです。
うっ… ううう…。
あなたに 彼女を救うことはできません。
ううっ… うっ…。
(はなをすする音)
(泣き声)
何で…。
(日下)そんなことをしても 五感は返せない。
奇跡が続いている間に あなたが死ねば➡
逢原 雨さんも 命を失うことになる。
(はなをすする音)
(すすり泣き)
(すすり泣き)
<(つえを突く音)
(泣き声)
(泣き声)
(泣き声)
(泣き声)
(泣き声)
私なら大丈夫。 後悔なんてしてないよ。
だからお願い 泣かないで。
大丈夫なわけないよ。
だってパティシエは➡
雨の 子供の頃からの夢だったのに…。
雨の 子供の頃からの夢だったのに…。
においも 歩くことも…。
なのに どうして…。
俺なんて死んでよかったのに!
助けることなかったのに…。
救う価値なんて ちっともないのに…。
救う価値なんて ちっともないのに…。
あるよ。
あるに決まってるじゃん。
太陽君には価値がある。 絶対にある。
君がないって言っても 私は何回だって言うよ。
君がないって言っても 私は何回だって言うよ。
何百回でも 何千回でも言うから。
君には…。
《君には…》
誰にも負けない すてきな価値があるよって。
《誰にも負けない すてきな価値があるよって》
だって あなたは…。
だって あなたは…。
私の人生を変えてくれたから。
太陽は➡
この世界に必要だよ。
♬~
♬~
♬~
♬~
♬~
《変な感じ》
《さっきまで あんなに あったかかったのに…》
日下さん。
日下さん。
いまさらだけど分かったんです。
触覚が教えてくれること。
触覚って きっと…。
《負けるな 雨!》➡
《自分に負けるな!》
きっと…。
幸せを確かめるために あるんですね。
たくさん教えてもらったな。
この手に 肌に➡
たくさんの幸せを。
でも こんなことなら…。
でも こんなことなら…。
もっと確かめておけばよかった。
次の感覚が表示されるとき➡
彼と2人だけでいさせてください。
分かりました。
間違えてなかったですよね? 私が選んだ道。
あなたの選択は間違っていない。
だから残り1カ月➡
自分の幸せだけを願えばいい。
♬~
♬~
<太陽君。
今 何時?
今 何時?
もうすぐ0時だよ。 そっか…。
0時ちょうどになるとね➡
この時計に 次に奪われる感覚と タイムリミットが表示されるの。
次は 目か耳。
どっちにしても また迷惑掛けちゃうね。
ごめんね 太陽君。
今まで黙ってて。
たくさん心配掛けて ごめんね。
♬~
♬~
視覚だ…。
ついに来ちゃったか。
タイムリミットは 34日後。
3月24日…。
《どうして 私は生きてゆくんだろう》
《もうすぐ 全てを失うのに》
《つらいあしたを どうして生きてゆくんだろう》
ごめんね 雨。
雨の大事なもの たくさん奪って…。
ホントにごめんね。
《そんなの一つだ》
《たった一つだ》
左手 貸して。
♬~
さっき 2階で作ったの。
力加減が分からないから 苦戦したけど➡
なかなか上出来でしょ。
♬~
♬~
あ…。
「たくさん奪った」か…。
そんなことないけどな。
でも そう思うなら➡
でも そう思うなら➡
1つだけ もらっていい?
《私が あしたを生きる理由》
《それは…》
あなたの花火を 私に見せて。
あなたの花火を 私に見せて。
次の春までなんて待てない。
あと1カ月しかない。
でも もし太陽君の花火を 見ることができたら…。
もう それ以上 何もいらない。
だからお願い。
赤い色になんか負けないでよ。
雨…。
♬~
♬~
負けるな 太陽。
自分に負けるな。
♬~
大丈夫。
大丈夫。
太陽君ならできる。
きっとできるよ。
(はなをすする音)
かなえるよ。
今度こそ かなえる。
絶対かなえる。
♬~
♬~
目が見えなくなる前に…。
雨に花火 見せるから。
やったあ。
じゃあ…。
約束ね。
約束。
(2人)フフ…。
♬~
♬~
[『君が心をくれたから』の…]
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