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(吉野ひかり)私 この世は
そこまで悪いものじゃないと→
信じてるんです。 心のどっかで。
例えば 父は
私と母を捨てて 女と…。
あっ 女性と出ていきましたけど
大事なものを残していきました。
犬です。
父が拾ってきたボブを
私も母も大事に育てました。
でも 16歳で肝不全に…。
目も耳も悪くなって…。
でも 最後まで
いい子だったんです。
こう 顔をマッサージしてあげると
クゥーンって甘えた声を出して。
(上野原美鶴)犬種は?
犬種? ああ… 雑種です。
(美鶴)雑種?
はい。
あっ それで
ボブが亡くなって少し経った頃→
母が 急に
「旅に出る」と言い出したんです。
「お母さんは
これから自由に暮らす」。
「だから あなたも
好きな事をしなさい」って。
それで あなたも
地元の信用組合の事務員を辞め→
それで あなたも
地元の信用組合の事務員を辞め→
新しい道を歩き始める
っていうわけね。
はい。 ずっと
動物に関わる仕事に憧れてました。
動物が好きで
なぜか 動物からも好かれます。
特に犬。
あっ 近所の犬たちも
みんな 顔見知りで…。
あっ とにかく
働きながら 通信教育で学んで→
シニア動物介護の資格も
取りました。
きっと 御社の即戦力になれると
思います。
やったよ! なっちゃん。
20社目にして
やっと ペット業界就職だよ。
見て! これ 社長なんだけど→
元カリスマトリマーで
めっちゃおしゃれでさ。
(三戸夏奈)うわあ〜!
クソおしゃれ。
あと 住むとこも見つかったの。
会社から徒歩29分で3万8000円。
都心で お風呂もトイレも付いて
この値段って…。
喜んでるとこ悪いんだけどさ
ひかり。
私 資本主義の他に
信用していないものが2つあんの。
なんだろう?
夢とか? 希望とか?
一つは
無駄に おしゃれなペットの店。
もう一つは
ありとあらゆる安すぎ物件ね。
この部屋 絶対 怪しいから。
ええ…?
確かに 激安だけど
怪しいなんて…。
♬〜
♬〜
えっ? 何?
♬〜
(息を吹く音)
(息を吹く音)
♬〜
♬〜
何してんの? 怪しすぎる…。
♬〜
(小原 樹)ああ…!
うぅ〜… ワンッ!
ああああーっ…!
わあああーっ…!
なんだ 人か…。 よかった。
よくないし。
何してるんですか?
ちょうどよかった。
ちょっとね 伺いたい事が…。
来ないで!
先に質問してるのは こっちです。
ああ… なるほど。
まあ それは 確かに道理です。
♬〜
♬〜
あっ 失敬。 私は…。
泥棒? いや ヤクザか暴力団?
はあ?
ストーカー?
ハッ… 何を馬鹿な。 私はね…。
いやーっ! 来るな! 来ないで!
警察 警察…。
警察呼ぶなら 呼べばいい。
はっ?
しかし 失礼にも程があるだろう。
人が冷静沈着に
話をしようとしてるのに→
人が冷静沈着に
話をしようとしてるのに→
初対面の人間つかまえて
いきなり 犯罪者扱いとは!
だって 犯罪…。
するように見えますか!?
この俺が!
君たち若者が赤ん坊の頃から
真面目に働き 法を守り→
何十年と 税金と年金を
納め続けてきた この俺が!
あっ… すいません。
でも
すごく犯罪者っぽかったから…。
その目は節穴か!?
このフシアナコ!
フシアナコ?
いや… 失敬。
いや… 失敬。
失礼しました。
つい 私とした事が
冷静さを欠いて…。
言葉が過ぎました。
過ぎすぎだし。
確かに ちょっとは
怪しく見えたかもしれない。
でも これは
私の大事な仕事なんです。
仕事?
ええ。
しかし もう すでに用は済んだ。
失敬。
ちょっと…。
♬〜
(ため息)
(携帯電話の振動音)
(携帯電話の振動音)
はい 小原。
(栗橋祐介)「栗橋です。
小原さん 今日の事件は?」
留守だった。 だが
郵便物で居住は確認できました。
あれ? どうかされました?
うん…。
声に
いつもの覇気がありませんよ。
声に
いつもの覇気がありませんよ。
実は ショックな事があった。
若い女性から
犯罪者呼ばわりされた。
ええっ? どうして小原さんが…。
だろ? なあ 栗橋くん。
君にはさ 僕が どう見えてる?
えーっと どうかというと…。
は… 犯罪者には見えません。
だ… だよね?
「そうです」
小原さんは 目力があって
ヒーロー顔です。
小原さんは 目力があって
ヒーロー顔です。
いやあ… そう?
目だけじゃなく
一つ一つの圧が強いというか…。
そう。 小原さんが犯罪者なら
すぐに捕まってしまいます。
声も むやみやたらと大きいし…。
あっ! だから その…
犯罪者には見えないというか。
わかった。 もう いいよ。
あの 僕は…→
僕は 小原さんの そういう
生命力にあふれたところを→
美点だと思っています。
尊敬もしています。
ありがとう。 僕も大好きだよ。
君の その正直なところが。
ありがとう。 僕も大好きだよ。
君の その正直なところが。
♬〜
(ため息)
仕事?
一体 なんなの? あの人。
「天地」…。
「狗」?
なんじゃ こりゃ。
♬〜
ありがとうございます。
あっ! 大家さん。
お世話になります。
(青柳昌代)こちらこそ。
あっ うちは ペット禁止よ。
守ってね。
はい もちろんです。
失礼します。
よいしょ。
よいしょ。 よいしょ。
(二川研一)あれ? 引っ越しかな?
朝からお騒がせして すいません。
202号室に引っ越してきました
吉野と申します。
そうだ。 これ よかったら…。
(二川悠馬)あっ! ハンカチだ。
手拭いだよ。 わざわざ
ご丁寧に ありがとうございます。
二川です。
二川悠馬です。 4年生です。
お母さんは43歳です。
(二川夢子)ちょっとやだ!
そんな事 言わなくていいの!
俺 サッカーうまいんだよ。
去年 準優勝。
そうなんだ! 東京のお子さんは
かっこいいですね。
あっ すみません。
お手伝いもできませんけど…。
いや とんでもないです。
いってらっしゃい。
いってきます。 よし 行くぞ!
(悠馬)うん!
よかった。
いいアパートじゃない。
よかった。
いいアパートじゃない。
(夢子)ちゃんと下見て。 ほら。
(研一)今日も
サッカー 頑張ってくるんだぞ。
(悠馬)うん!
♬〜
♬〜
ああ〜! かわいい!
チワワちゃん。
この不況でもね
ペット業界だけはプラス成長なの。
この不況でもね
ペット業界だけはプラス成長なの。
都内にね
あと3軒 サロンを開くから→
手が足りないのよ。
はい。 主な仕事は→
ホテルでお預かりするペットの
お世話や健康チェックですよね。
(中田)社長。 坂下さんが
ワクチンの接種証明がないと…。
ルーガちゃんなら 前にも
お預かりしてるんだから大丈夫よ。
今回は
スパを おすすめしてくれる?
それから
グレインフリーのドッグフード→
お試し頂けますって。
はい! もしもし。 はい。
忙しそうですね。
いいえ。 あなたには…。
あなたには 私の秘書 兼 事務を
お願いしたいの。
えっ!? でも ペットのお世話は…。
トリマーやトレーナーの
資格を持ってない あなたを→
私が なんで雇ったと思う?
事務や経理ができるからよ。
それから 明日から→
もう少し 小ぎれいな格好で
来てちょうだいね。
そうですか…。 わかりました。
そうですか…。 わかりました。
(電卓を打つ音)
わんことのふれあいゼロだった…。
でも やっぱり
社長 かっこいいなあ。
そうだよね。 この仕事は
きっと わんこの役に立つはず。
よし! 頑張ろう!
よし! 頑張ろう!
ᗒ(犬の鳴き声)
んっ? 鳴き声?
気のせい?
ᗕ(犬の鳴き声)
(鳴き声)
どうするつもりよ!
あんたのせいよ!
大体な お前が悪いんだろ!
嘘…。
あんなに仲良さそうだったのに。
ᗒ(ぶつかる音)
おおっ…!
(あくび)
全然 眠れんかった…。
(悠馬)知らないの?
(男の子)知らない。
(悠馬)メッシは
アルゼンチンの中の最強なんだよ。
よかった。
やっぱり 聞き間違え…?
あっ こちらです。
えっ?
あの部屋ですね。
行きますか。
♬〜
(ノック)
ごめんください。
ごめんください。
二川さん いらっしゃいませんか?
やっぱり あの人…。
今日も不在ですか。
仕方ありません。 お願いします。
(砥沢譲吉)ラジャー。
♬〜
♬〜
えっ!?
(解錠音)
イエス アンロック完了。
ありがとうございます。
裁判所です。 中に入ります。
えっ!? 何してんの?
おはようございます。
どなたか いらっしゃいませんか?
失礼します。
♬〜
(須賀川 悟)留守ですかね。
ええ。 しかし…。
♬〜
やっぱり 犯罪じゃないですか!
勝手に
人の部屋の鍵 開けるなんて!
いや…。
(浅水美佐男)これはですね…。
ちょっと 人の事 フシアナコとか
なんとか言っといて…。
警察! 管理人さんに…。
(浅水)あの それは誤解で…!
えっ!?
シッ! 静かに。
はあ? 「静かに」って不法侵入…。
シーッ!
はあ?
ᗒ(犬の鳴き声)
えっ? 犬?
い… 犬!?
多分…。
昨日 聞いたのと同じか?
チワワ… いや ポメラニアン?
オーマイゴッド!
(息を吐く音)
♬〜
失敬。
ああっ! 勝手に開けて…。
シッ!
♬〜
♬〜
ヒィィーッ!
(砥沢)なんだ!? 何があったんだ!?
二川さんですね?
何をしてるんですか?
ああ ああ…
よかった。 生きてる。
ああ ああ…
よかった。 生きてる。
出てきてください。
何もしません。
隠れる事はありませんよ。
(ため息)
うおおおおーっ!
ああ! やっぱり わんこだ。
よーしよし。 大丈夫?
狭かったね。 よいしょ。
よーしよし。 大丈夫?
狭かったね。 よいしょ。
オーサム! 素晴らしい!
はい?
そのまま…
そのままグッて抱いててくれ。
二川研一さんですね。
…はい。
なぜ 隠れていたんですか?
また 大家さんが来たのかと…。
誰もいないふりして
静かにしていたんですが…。
そうしたら 鍵を
こじ開ける音がしたもんだから→
怖くなって…。
しかし この部屋を明け渡すよう
判決が出ている事は→
すでに
おわかりになっていたはずです。
判決?
家賃を滞納してますね?
(研一)…はい。
ご存じのように 債権者である
この部屋の持ち主は→
家賃を 長期間 支払わなかった
債務者のあなたに対し→
住居を出ていくように
訴えを提起し→
すでに 裁判で
明け渡しの判決が出てます。
1カ月後までに
この部屋を明け渡してください。
えっ!?
1カ月後までに この部屋を?
公示書を貼らせて頂きます。
えー… 続けて→
これまで 家賃を滞納しているので
動産の差し押さえをします。
♬〜
♬〜
これって…。
二川さんねえ
感じのいい夫婦だったのに→
会社クビになってから大変よ。
家賃は滞納するし
派手に喧嘩するし。
犬まで勝手に拾ってきて。
で 向かいの住人も
怒って出てっちゃったの。
で 向かいの住人も
怒って出てっちゃったの。
それで格安だったのか…。
仕方ないから 弁護士さんに頼んで
裁判までして…。
でも 全然 駄目!
裁判で 出ていけって
判決出てるのに→
ちっとも出ていかないんだもの。
えっ? 裁判の判決って
守らなくていいんですか?
いいわけないのよ! なのに
平気な顔で ずっと住んでるの。
もう なんのための裁判よ!
って頭にきて→
それで とうとう お願いしたわけ。
執行官に。
執行官?
執行官?
(研一)
1カ月後なんて無理ですよ!
行く場所もないんです。
せめて もう少し…。
時間は十分にあったはずです。
それでは
1カ月後に参りますので→
それまでに退去をお願いします。
(研一)いや でも…。
(ため息)
あれが執行官…。
先ほどは
ご協力ありがとうございました。
私 どうも
犬は好まないもので…。
あっ… はい。
私も あなたが犯罪者じゃない事は
よくわかりました。
失礼しました。
いえ。
でも…。
私 裁判とか よくわからないし→
私 裁判とか よくわからないし→
あなたも 裁判所の
偉い人なのかもしれません。
でも それでも→
私の常識から考えて→
あなたがやってる事は
やっぱり 変です。
人の家に ずかずか入って
お金返せって…。
まるで 闇金とかヤクザみたいで
とても まともな仕事とは…。
そうだな。 その感覚はまともだ。
そうだな。 その感覚はまともだ。
だが 私は
この仕事に誇りを持ってる。
ケース クローズド。
事件を落着させる。
誰かが それを やらねばならない。
落着?
あっ それと…。
私は そんな偉い人じゃない。
♬〜
♬〜
(ドアの開く音)
二川さん。
あっ ああ…。
みっともないところを
お見せしました。
(研一)就職した頃は→
これで 死ぬまで安泰だと
思ったんだけどなあ。
不況で 給料は
上がるどころか 下がる一方で→
5年前には
まさかの解雇通知です。
それで 妻と→
子供服の輸入ネット販売を
始めたんですが…。
子供服の輸入ネット販売を
始めたんですが…。
同業の争いが熾烈になって
生き残れず倒産。
貯金を切り崩して
やってきたんですが→
それも もう…。
そうだったんですか…。
でも…→
私たちは出ていきませんよ。
えっ?
だって
他に行く所ないんですから。
だって
他に行く所ないんですから。
あの人たちも→
無理に追い出すような事は
できないでしょ。
そんな事したら うちら家族
路上生活者になっちゃいますから。
なあ?
そう… ですよね。
(研一)よしよしよし… よし。
んっ? どうした?
ただいま!
(夢子)もう嫌!
なんで こんな事になったの!?
(研一)仕方ないだろ!
もう どうしようもないんだよ!
私は ちゃんとやってた!
なのに なんで…!
私は ちゃんとやってた!
なのに なんで…!
だから 仕方ないって!
(夢子)仕方ないって→
あなた そればっかり!
なんとかしてよ!
(研一)なんとかならないから
こうなんだろうが!
(夢子)もう!
どうしたらいいのよ!
(研一)だから
なんとかしたいんだよ 俺だって!
(夢子)どうにかしてよ!
なんとかしてよ!
(研一)朝から ずっと頑張って…!
(夢子)ちゃんと考えてよ! ねえ!
今すぐ ちゃんと考えて!
(研一)ずっと考えてるよ!
♬〜
♬〜
二川さん どうなるんだろう。
あのわんこも…。
♬〜
(中田)えっ!? 辞める!?
もう 心も体もボロボロです。
こんな店じゃ ペットに
十分なケアとかできません。
しかし…。
もう行こう。
失礼します。
ちょっ… ちょっと
ちょっと ちょっと!
ああ! 吉野さん よかった。
ああ! 吉野さん よかった。
もう るなちゃんの
お迎えの時間なんだ。
あと ひまりちゃんのお散歩も。
頼む!
えっ!? あっ いや でも…。
あっ! 吉野さん?
あなた 今 どこにいるのよ!
はい。 すぐ戻ります。 10分で…。
あっ はい。 5分で。 はい。
ああっ! そっち行かないで!
こっち こっち。 こっち こっち。
みんな こっち。 みんな こっち。
みんな こっち。 こっち こっち。
ああ! 違う!
みんな こっち。 こっち こっち。
ああ! 違う!
♬〜
債務者の家の様子は どうすか?
出てった形跡はない。
出てった形跡はない。
つい先日も 大家さんから→
スーパーで 大量に→
食料の買い出ししてる姿を
見たって。
なるほど。 そりゃ
働きがいがありそうっすね。
ああ。
あっ 小原さん 早いですね。
ああ。 今日も明日も→
犬絡みの事件ばかりで憂鬱でーす。
ハハッ…。
行きましょう。
(長窪・砥沢・奈良井)はい!
いってらっしゃい。
(ベル)
無事の落着を。
無事の落着を。
(携帯電話の着信音)
(夏奈の声)「お〜い 生きてる?」
(ひかりの声)「ギリ生きとる。
今日は夜勤」
(夏奈の声)「えー
全然休んでなくなーい?」
(ひかりの声)「そうなの。
在庫管理やって→
社長の雑務やって
犬の世話して掃除して」
「つか 書類作成とか
データ入力とか電話対応とか→
前の仕事と
ちっとも変わんないし」
(夏奈の声)「はよ辞めな。
そんな くそおしゃれ会社」
(夏奈の声)「はよ辞めな。
そんな くそおしゃれ会社」
(ひかりの声)「でも 私が辞めたら→
誰が 社長と あのわんこたちの
お世話すんの?」
(夏奈の声)
「それ すでに社畜の考えだし」
えっ…? マジ?
ᗒ(浅水)おはようございます。
ᗒ(須賀川)おはようございます。
(浅水)いい天気ですね。
あっ お待たせしました。
(浅水)ご苦労さまです。
じゃあ お願いします。
(砥沢)はい。
もしかして 今日が1カ月後…?
二川さん おはようございます。
裁判所です。
今日は明け渡し期日です。
ドアを開けてください。
やはり 出ていってないようだね。
二川さん 鍵を開けてください!
開けなければ また
こちらで開ける事になりますよ!
♬〜
♬〜
(解錠音)
イエス アンロック完了。
ありがとうございます。
(砥沢)ジーザス! チェーンかよ。
二川さん どうしました?
今日は どんな事をしても
建物明け渡し執行を行います!
今日は どんな事をしても
建物明け渡し執行を行います!
チェーンを外しなさい!
やっぱり…。
ᗕ(研一)
私は この部屋を出ません!
ᗕチェーンも外しません!
二川さん…。
構いませんか?
はい。 もう 猶予はできません。
わかりました。
カッターをください。
(長窪)はい どうぞ。
ありがとうございます。
では チェーンを切ります。
切りますよ!
(切断する音)
切りますよ!
(切断する音)
入ります!
(研一)
ああ… ちょちょ ちょちょ…!
(夢子)入ってきた! 警察…!
(研一)け… 警察 警察!
(夢子)警察 呼んでくるから!
(研一)気をつけて 気をつけて…!
(犬の鳴き声)
おいで。
おいで。
警察を呼ぶんでしたら どうぞ。
しかし そんな事よりも
どこか行く当てはあるんですか?
行く当て? そんなとこ
あるわけないでしょう!
1カ月前にも言ったとおり→
今日が この部屋の
明け渡し期日なんです。
中の物品は 全て運び出し
鍵も換えます。
あなた方も 出ていくより他に
方法はないんですよ。
今すぐ 必要な荷物をまとめ→
今夜 泊まる場所を探す事を
おすすめします。
今夜 泊まる場所を探す事を
おすすめします。
私たちは
この部屋を絶対に出ていかない!
裁判所の判決に従い 執行します。
着手してください。
(長窪)了解。
鍵の交換も お願いします。
(砥沢)ラジャー。
(長窪)よし 行くぞ。 失礼します。
(奈良井)失礼します。
(研一)ちょ… ちょっと待って…!
嘘… 嘘…? 本当…?
(研一)ちょっと 何するんですか!
やめろ! やめてくれ!
(研一)聞いてますか?
だから やめろって!
(研一)聞いてますか?
だから やめろって!
(長窪)ああ… はい はい はい
すいませんね。 よいしょっと…。
この部屋を空にするために
これらのものは… ここですね。
1カ月間だけ保管します。
後日 必要でしたら
取りに行ってください。
よくも そんな…。
あんたら 血も涙もないのか!
あの… あの…!
(長窪)はい?
ちょっと強引じゃないですか?
こんな…。
おっと… いいねえ。
そういう絵に描いたような正義感。
でも 邪魔すると
公務執行妨害になっちゃうよ。
えっ? 公務… 執行妨害…?
(砥沢)裁判所の判決なんて→
(砥沢)裁判所の判決なんて→
守んなきゃ
ただの紙切れだからさ。
(須賀川)そう。 守られない判決を
実現させるのが執行です。
(長窪)なんでもするよ 執行官は。
執行のためならね。
よいしょ…。
♬〜
警察よ!
この人たちが
勝手に鍵を開けたんです!
ご苦労さまです。 執行官です。
ご苦労さまです。 執行官です。
ああ… 執行官でしたか。
お疲れさまです。
捕まえないの?
警察は国民の味方でしょ?
いや 裁判所の執行は
止められませんよ。
嘘でしょ…。
何よ 執行 執行って。
執行官なんか しょせん
裁判所の犬じゃないの!
(研一)夢子… もう やめよう。
(夢子)はあ!?
悠馬 みんなで
このお家 出る事になったんだ。
大事なものや教科書は
ランドセルに詰めなさい。
えっ…? なんで?
♬〜
…わかった。
♬〜
♬〜
(警察官)じゃあ 私は失礼します。
ご苦労さまです。
♬〜
失礼します。
手伝わせてください。
せっかく お向かいさんに
なったんですから。
せっかく お向かいさんに
なったんですから。
ありがとう。
じゃあ ここの書類 お願いします。
はい!
ほら 夢子!
♬〜
あっ お鍋とかもあったほうが
便利なんじゃないですか?
お茶わんとかも。
あっ 悠馬くん
この三角定規とか どうする?
あっ 悠馬くん
この三角定規とか どうする?
あっ これは使う。
じゃあ こっちも入れちゃおう。
うん。
(須賀川)ほう…。
若いのにもいるんだな
ああいう おせっかいが。
じゃあ 入れよう。
(悠馬)うん。
はい! はい。
(悠馬)ありがとう。
恐竜も入れる?
(悠馬)うん。 頭から突っ込む。
頭 突っ込む? 頭から…。
(奈良井)
よいしょ! よいしょ…。
(長窪)おい 危ねえぞ。
(長窪)おい 危ねえぞ。
はい。
(奈良井)あざっす。
(研一)ありがとうございます。
二晩だけ 保護施設に
泊めてもらえる事になりました。
明日から 住む所を探します。
そうですか。
(施錠音)
本件建物の明け渡しを終了します。
(浅水)はい 確かに。
お疲れさまでした。
お疲れさまでした。
ありがとうございました。
(長窪)なんだ? これ。
(長窪)閉めといて。
(奈良井)はい。
荷物 多いか? 持てる?
うーん…。
うーん…。
悠馬 ほら。
(長窪)ほい。
ありがとう。
うん。
じゃあ 出発しますんで。
はい。 お願いします。
(長窪)お願いします!
(窓ガラスをたたく音)
(長窪)行くぞ。
鍵を換えましたので この部屋に
戻ってくる事はできません。
鍵を換えましたので この部屋に
戻ってくる事はできません。
これから また
頑張って生活なさってください。
何が「頑張って」よ!
(研一)おい… もう やめよう!
この人は関係ない。
(夢子)わかってる! でも…。
二川さん!
これ 大家さんが
冷蔵庫に入ってた野菜と卵→
買い取ってくれたんです。
あと ストックの調味料も。
食品ロスって言ったら
この執行官さんが→
食品ロスって言ったら
この執行官さんが→
そういう手もあるって
教えてくれたんです。
少しですけど
これは 二川さんのものですから。
そうですか。
大家さんにも
お世話になったのに…。
真面目に働いてたんですよ
この人。
真面目に働いてたんですよ
この人。
それなのに…→
何も悪い事なんかしてないのに…。
(夢子のすすり泣き)
もう泣くなよ。
あっ… お父さん
トロフィー忘れた!
サッカーのトロフィー!
俺 せっかく もらったのに…。
あっ 大丈夫ですよ。
保管物は 倉庫で守られる。
保管物は 倉庫で守られる。
そうなの?
うん。
そうだ。
取り戻しに行こう 必ず。
うん!
♬〜
これ…。
♬〜
♬〜
(ため息)
ケース クローズド。
一件落着。
えっ? 落着?
君は なかなか興味深い人だ。
今日は助かりました。
じゃあ また どこかで。
また? またとかないし。
♬〜
(研一)
次のデザイナーとの打ち合わせ→
あさっての午後で
再調整 お願いします。
(研一)大丈夫?
(夢子)だいぶ動くようになった。
(研一)本当!? パパだよ。
(研一)部長…。
(夢子)大丈夫だからね 研ちゃん。
(悠馬)パパ 遊ぼう。
(夢子)遊んでもらおうか。
(研一)おお〜!
(夢子)わあ〜!
(研一)順調 順調!
(夢子)えっ? よかった!
これ 似合うんじゃない?
(研一)あっ 取られた…!
よし 取った!
(夢子)悠馬 頑張れ!
♬〜
♬〜
ごめんな…。
ごめんな 悠馬。
なんで?
お父さんもお母さんも
頑張ってたじゃん。
3人で出かけるの久しぶりで
俺 嬉しいよ。
出かけるって…
帰るとこもないのに…。
出かけるって…
帰るとこもないのに…。
フッ… そうだな。
♬〜
ここからが
俺たち家族の旅の始まりだ!
♬〜
(研一)よし!
(研一)よし!
♬〜
どうしてるかなあ? 二川さん。
夜勤明けなのに悪いね。
あっ いえ…。
でも 昨日
ちょっと いろいろあって…。
えっ!?
ん? どうしたの?
あっ いえ… すいません。
幻を見てしまったみたいで。
ワオ! 驚いたな。 運命を感じる。
本物…。
どうりで
犬の扱いが うまいわけだ。
あっ 失敬。
改めて 裁判所の執行官で
小原樹と申します。
こちらに 社長の上野原美鶴さんは
いらっしゃいますか?
ん?
えっ? まさか…。
お待たせ致しました。
あら?
裁判所からいらっしゃるから→
どんなお堅い方かと思ったら…
アハハハ…!
ドーベルマンみたいな男前で
びっくり!
飲み物は いりません。
今日は インターロック金融からの
申し立てで→
動産執行に参りました。
えっ…?
フフフ… やだ!
フフフ… やだ!
ここには 会社のものなんか
何もありませんのよ。
この椅子も このテーブルも
みーんな リースですから。
そうですか。
はい。
では それ以外のものを
全て 差し押さえます。
はい?
♬〜
(美鶴)ちょっ… ちょちょちょ…!
ちょっと待ってください!
お金なら あるんですよ。
インターロック金融とも
ちゃんと 話はついてるんです。
インターロック金融とも
ちゃんと 話はついてるんです。
ですから こ… こんなものを
ベタベタ貼るの やめてください。
先ほど インターロック金融の
代理人弁護士と話しました。
あなたからの返済はなく→
すぐにでも執行をと言われてます。
(美鶴)あっ 嫌… 嫌…!
ああ 念のため→
そのリースの契約書のほうも
確認させてください。
あっ 契約書でしたら…。
(美鶴)ちょ… ちょっと黙って!
フフッ…。
契約書がないようでしたら
やはり 念のため 差し押さえを。
契約書がないようでしたら
やはり 念のため 差し押さえを。
いやあ ちょっと… フフッ…。
契約書 持ってきて!
(美鶴)早く!
ああ… はい!
どうぞ こちらです。
ありがとう。
♬〜
♬〜
この契約書に書かれているものと
サイズが違いますが。
あっ 君 ちょっと。
えっ? 私?
そう。
身長152センチぐらいの あなた。
ああ… 私だ。 はい。
そこに付けて。
いくつって書いてありますか?
1200…。
1600。 やはり違う。
どちらも
この契約書に書かれているものと→
サイズが違いますね。
では 念のため 差し押さえを。
ちょちょ…
ちょっと やめてください!
ちょちょ…
ちょっと やめてください!
あなた 何をお手伝いしてるのよ!
剥がしなさい!
あっ… はい!
ああーっ!
標目票を勝手に剥がすと
封印等破棄罪に問われますよ。
えっ!?
(美鶴)いいから剥がしなさい!
あなたも
何をボーッとしてるのよ!
剥がしなさいよ!
いえ 僕は罪に問われるのは
ちょっと…。
(美鶴)ああ〜 もう!
剥がしなさい!
ちょっと… ちょっと… 貼るな!
もう やめてくださいよ!
わかりました。 払いますよ!
払えばいいんでしょ!? 払います!
払えばいいんでしょ!? 払います!
いつですか?
どうなっちゃうの? これ…。
(息を吐く音)
(須賀川)はい お待ち。
ああ… すいません。
また やられたの?
ああ… 今日は
不動産の現況調査の最中に→
バターナイフ持って
追っかけられましたよ。
バターナイフ持って
追っかけられましたよ。
(須賀川)ハハハハ… ご苦労さん。
(ため息)
(夢子)執行官なんか しょせん
裁判所の犬じゃないの!
(研一)
あんたら 血も涙もないのか!
あなたがやってる事は
やっぱり 変です。
とても まともな仕事とは…。
(ため息)
大丈夫。 そのうち慣れる。
こんにちは。 いつもの!
(須賀川)はいよ!
こんにちは。 いつもの!
(須賀川)はいよ!
おう。
あっ 小原さん!
今日も ここでしたか。
これ食べるとね 気が晴れるのよ。
ですよね。
ああ そうだ。
例のさ ペットサロンの事件→
あれって まだ
取り下げになってないよね?
ああ…
ワンダフルヘブンでしたっけ?
うん。
そうですね。
かあ〜っ! あの女社長
払う払うって言ったのに。
仕方ない…。
そろそろ 売却期日だ。
仕方ない…。
そろそろ 売却期日だ。
差し押さえ物品売却の準備するか。
いや… ちょっと待ってください。
ん?
さっき その会社に→
他の債権者からも
申し立てが出ていたような…。
えっ?
あっ これです。
この差し押さえ申し立てです。
えっ?
インターロック金融からだけじゃなくて→
城南信販からもか?
はい。 こうなると 確か→
この2件の事件は
併合して進める事になりますよね。
以前 差し押さえたものに
プラスして→
差し押さえるものがあるかを調べ→
もし なければ 2社が共同で
前に差し押さえたものを売って…。
もし なければ 2社が共同で
前に差し押さえたものを売って…。
ちょっと待って…。
えっ?
ツケな!
ツケね!
小原さん?
♬〜
ああっ…!
♬〜
♬〜
ああ… しまった…。
あのワンダフルヘブンって会社ね
夜逃げしましたよ 先週くらいに。
ああ… ガッデム!
執行不能だ…。
♬〜
(骨の鳴る音)
(骨の鳴る音)
あっ… 腰が…。
(須賀川の声)
もし 執行不能なら 悔しいねえ。
執行官は 国家公務員でありながら
出来高制だから。
ええ。 国からは
一円もお金をもらえない→
独立かつ単独制の司法機関。
ハハッ… 興味深い仕事です。
(ため息)
(ため息)
すいません…。
(ため息)
そういや あの犬娘
どうなったかな?
(犬の鳴き声)
はあ…。 なんで こんな事に…。
だから言ったじゃん。
信用できないって。
(由比千尋)ペット産業も
有象無象あるからさ。
あっ その点ね ひかりちゃん→
あっ その点ね ひかりちゃん→
うちのカフェ
志だけは確かだから。
ああ…。
ここ ボランティアだけどね。
(千尋)ああ〜 就職決まるまで
働いてくれたら 助かるなあ。
あっ もしね 住むとこ困ったら→
そこ 寝泊まりしてもらって
構わないからね。
ねっ? よろしく!
ああ… はい。 フフッ…。
どうしよう… この先の家賃…。
二川さん…?
(悠馬の声)「202のお姉さんへ」
「お元気ですか」
「ぼくは 岡山でも
サッカーをしています」
「お父さんとお母さんは
おじいちゃんの畑を手伝いながら→
しょくぎょうくんれん学校に
通っています」
「今も時々 ケンカをするけど→
前よりずっと よく笑っています」
「ポチも元気です」
「ポチも元気です」
へえ〜。 あのわんこ
ポチっていうんだ。
(悠馬の声)
「お姉さん どうもありがとう」
よかった。
よかった〜!
♬〜
えっ?
おう。
なんで…!?
よかった〜!
まだ追い出されずにいたようだね。
はあ!? 何 言ってんですか!
あなたのせいで
私は こうして 職も失って…!
そうか! 職を…。
イッツ パーフェクトタイミング。
はあ!?
おいで。
♬〜
♬〜
ここって 裁判所…?
お疲れさまです。
お疲れさまです。
♬〜
お疲れさまです。
お疲れさまです。
♬〜
どうぞ。 熱々ですから→
どうぞ。 熱々ですから→
気をつけてくださいね。
(渋川万亀夫)おお…。
(間々田 稔)
へえ〜。 冷凍鮭の差し押さえね。
(渋川)ええ。 冷凍庫での作業で
冷えきりましたよ。
アツツツ…!
(日野純二)釧路にいた頃→
養殖魚の差し押さえなんてのも
あったなあ。
へえ〜。 それ
どれくらいの魚がいたんですか?
それがね 総数 数万匹で
なんと 売却価格8000万だよ!
ええっ!?
ただ今 戻りました。
お疲れさまです。
(日野)ご苦労さん!
えっ…?
失礼します。
っていうか ここ なんですか?
(渋川)おい 困るよ 小原くん
部外者を入れちゃ。
(渋川)おい 困るよ 小原くん
部外者を入れちゃ。
いえいえ…。 あっ 紹介します。
彼女は 私の執行補助者です。
はい?
この女性が執行補助者?
えっ? 執行補助者って… 何?
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