All language subtitles for Yakuza Ladies - Burning Desire (2005) - RAW [1080p][ATTKC][A5336D68]_Track03

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Original subtitles

(波の音)

(うめき声)

(雨音)

(警察無線の声)

(シャッター音)

(西郷波美子(さいごうなみこ))うう… あんた!

どいて

(警察官) 立ち入り禁止だ 待ちなさい

(柳田多平(やなぎだたへい)) シャブ中が飯場で暴れてな 止めようとして殺(や)られたんや

(波美子)ううっ

(柳田)今度の抗争には関係ない! これは事故や

単なる事故やぞ

ああ!

(山岸仙吉(やまぎしせんきち)) ああ… 大阪との抗争も終結して 3年たったけど

親分の病状は いまひとつ はかばかしゅうのうてな

本宅に籠もられたっきりや

恐らく 表へ出られることは もうないやろう

(山岸)そこでや 幹部会としても そろそろ―

跡目襲名人を 決めときたいと思うんや

まあ 組長名代として 言わしてもらうなら―

今まで組への功績から―

河本一兆(かわもといっちょう) 若者頭(がしら)を 推したいと思うんやが

みんなの考えは どないや?

(小玉正春(こだままさはる))異議なしや なあ

(灰田金雄(はいだかねお))ああ

これからは わしら極道社会も―

若いパワーで 引っ張ってもらわんとな

そら そそそそ… そうや

(伊部隆志(いべたかし)) 頭(かしら) ひと言 頼んますわ

(河本一兆)山岸舎弟頭の 思いもよらぬご指名で―

正直 こんな若輩が 菅沼(すがぬま)の代紋を背負えるかどうか

不安はありますが

お歴々諸先輩方が 私でいいと おっしゃってくださるなら

組の発展のために 死力を尽くす覚悟はできております

(小玉)でけた でけた! これで菅沼組は百年は安泰や

(拍手)

(扇子を鳴らす音)

西郷姐(ねえ)は どないやねん?

(波美子)この前 お見舞いに上がったとき

たまには一緒に温泉でも行こかと 冗談を言われて

親分 えろう お元気そうでしたで

皆さん 何をそないに 先の段取りを急いではりますのや?

そやけどな 親分ももう年やし いつ何どき…

(波美子)まるで 親分が亡くなるのを―

待ってはるような言い分 しはりますな

いやいや そんなんちゃうで わしは あの…

はっきり言うたら どうや?

あんた 河本頭の襲名に 反対なんか?

主人 西郷龍二(りゅうじ)は―

菅沼辰雄(たつお)という極道を―

生涯 ただ一人の親として 死んでいきました

わてとしては 親分がご存命のあいだは―

ほかのお人を―

たとえ仮であっても 親と呼ぶ気にはなれまへん

ほな なんで この場に出てきたんや?

今日の議題は跡目襲名人の選出やて あんたも知ってたはずやで

議長! 10対1や

満場一致でええやないけ

(河本)ちょっと待ってくれ

1人でも反対がいるなら―

俺も すんなり 指名を受けるわけにいかない

今日の決議は 議長に預けさしていただいて

改めて 西郷さんとは 腹を割って話したい

(山岸)どうや? 西郷姐 それでええやろ?

はい

(組員)おかえりなさい

(伊部) 頭 もう どないしまんねん?

近いうち 坂下(さかした)の4代目と 会う段取りついてまんのやろ?

中途半端なままやったら 格好つきまへんで

金や! そないなもん 金で話がつくわい

西郷組は前の頭の残した借金の 溝を埋めるのに―

ひいこらしとるさけえのう

(谷垣)姐さんがおかえりです

(小玉) あっ 姐さん カニ頂いてます

(河本)どうだった?

(河本蘭子(らんこ))相変わらずや

奥の離れに籠もったっきり 顔も見せへん

子どもまで連れてったのに

お付きの沖田(おきた)に聞いたら―

西郷の姐(あね)は 確かに時々 見舞いに来てるらしい

あの女子(おなご) 新地におったときから お父ちゃんのひいきで

前の頭と引き合わせたんも お父ちゃんやしな

西郷組で 跡目取る腹かもしれんのう

なあ

(伊部)弟の恭平(きょうへい)か?

(組員)お… 弟? ああっ?

(組員たち)おはようございます

(女性たち)おかえりやす

(組員たち)おはようございます

(松島藤吉(まつしまとうきち))客か?

(松島福美(ふくみ))本家の頭の姐(ねえ)さんや ああ おおきに

前田(まえだ)工務店の社長さんが お昼からずっと

それと 筒井(つつい)電気さんが 取り込み詐欺に引っかかったとかで

(西郷恭平(きょうへい))チッ

(前田)すんません

(恭平) やっと先方 つかまりましたわ

まあ なんとかなりそうですわ

ホンマでっか?

よかった

(鼻をかむ音)

河本は確かに 違う国から来た人間やし

それこそ ほかの誰よりも―

骨身を削って 組のために尽くしてきたんや

そりゃ まあ 西郷はんが生きてたら―

文句なしに 菅沼の2代目になってたやろう

かと言うて

後家のあんたが 一家のゴタゴタの 火種になるのは―

どうかと思うんやけどな

蘭子はん

あんた 泣き言 言いに来たんか?

それとも河本はんの 使いで来たんかどっちや?

(蘭子)河本はな

あんたが幹部会で言ったこと 撤回してくれたら―

西郷はんが 生前 本部に背負うた借金

坂下組との和解金の 割り当て分も含めて―

まだ1億ほど 残ってるそうやけど

そっくり ないことにする 言うてるんや

合わせて

西郷はんの弟はんに 組本部の重要なポストを約束すると

悪い話やない思うけどな

金は 汗流したら稼げる

弟は今のままの極道で 終わらせる気はない

あんたやから言うけど

わてが面白うないんは―

坂下組との抗争の最中に 西郷があんな殺され方したのに

幹部会が知らん顔で

あっさり坂下組と和解したことや

あんた まだ あのこと 根に持ってんのんか?

まさか 西郷はんが大阪に…

坂下組に やられたとでも?

(波美子)そうや

そうとしか考えられんわ

あんた 正気か?

自分が何 言ってんのか 分かってんのんか?

あんたの旦那は 今が旬の極道や

わての旦那は眠る墓もなしに―

背中からずっと わてを見てる

極道の女房なら 誰が正気でおれるかいな

病気や!

あんた うちと違(ちご)うてカス引いて 男 見る目がなかったからや

人を恨むの ええかげんにしときや

お客さん お帰りやで

(福美) 頭が帰ってきてはりますけど

通し

(蘭子)頭

あんたんとこの女組長さん 早いとこクビにせんと

あんたら みんな ドツボに はまんで

河本の姐さん えらい けんまくでんな

いろいろあって ドタマに来たし ちょっと かましたった

幹部会の皆に聞こえるようにな

跡目の件 聞きましたよ “姐さん ドカンやってくれた”と

若手の組長ら みんな喜んどりました

大阪に へえこらしっ放しの 今の執行部には―

みんな批判的ですさかいね

(波美子) 井桁(いげた)商事の手形の件どうやった?

ヘッ

やっぱり破産はハッタリで―

手形 乱発して 現ナマでごっそりやっとりました

若い愛人のこと 嫁はんにバラしたったら―

嫁はん ヒス起こして

金の隠し場所 ペラッペラしゃべりおってね

あんたや みんなが 頑張ってくれたおかげで―

借金も来年中には ほとんど埋めるめどが立った

懲役が5人 残ってるが―

早いもんは あと3か月

長いもんも1年半で戻ってくる

正直 一時は どうなることかと思うたけど

どうにか ここまでやってこれた

どないしはりましたんや 義姉(ねえ)さん 急に湿っぽうなって

今年いっぱいで わては西郷組姐(あね) 引かせてもらう

あんたが跡を継ぐんや

…で 義姉さん どないしはりますんや?

(波美子) わては主人の位はいの守りして ゆっくりさせてもらうわ

義姉さん 一人で兄貴の敵(かたき)討つ気でっか?

アホなこと言いな

知ってまっせ

マル暴の刑事(デカ)使うて

ずっと兄貴の件 追っかけてはりまっしゃろ?

ゴタゴタ言わんと―

わての言うとおりにしなはれ

分かりました

言うとくけど 兄貴が死んだあと

義姉さんが西郷姐を名乗ったから わしは極道の道に入ったんや

義姉さん カタギになるんやったら わしもカタギになりますわ

ごめんやす

(河本)ざっと5000坪

破産物件で今なら捨て値で買える

ごっつい金がいるな

(河本) 西郷姐(ねえ)さんとは会えたのか?

ごねてる理由は やっぱり旦那のことや

大阪に殺されたと思い込んでるわ

あんたも 一丁 かんでんのんと違うの?

(河本)バカ言うな

なあ 蘭子

俺は このままじゃ終わんねえぞ

こんだけの広い土地があれば 生涯懸けたデッカい仕事ができる

長嶺(ながみね)はんに頼むしかないな

ホンマ言うとな うち

長嶺はんに 北新地で 店やらへんかと言われてるんや

うちが若いころ働いてた店が 売りに出てるんやわ

俺は菅沼の跡目を継ぐ身だぞ

誰にも借りは作りたくない

なあ 一兆

利用できるもんは 何でも利用しようやないの

人殺しでも 泥棒の金でも

長嶺さんに会おう

(松島香里(かおり))こんばんは

月末で忙しい思うたし お弁当 作ってきたわ

(福美)ああ よう気がつくな (松島)こら うまそうやな

(香里)お父ちゃん

血圧高いんやし 食べ過ぎたらあかん

料理 ウマなったな ウマなったな

(恭平)おう 香里

(香里)あっ 頭の分もあるし

(恭平)うまそうやな

(鶴田保一)香里ちゃん 香里ちゃん 香里ちゃん

わしのは?

鶴たんは 愛妻弁当があるやんか

それがな 腹ボテのつわりで どうにもならんのよ

(香里) まだ 時間あるし寄ったげよう

ああ おおきに

(福美)はい 鶴さん はい 真ちゃんも

はい これ使い これ使い

(田町真治(たまちしんじ))じゃ いただきます

(福美)手 洗(あろ)うたか?

(松島)おい アホ それ わいのやないか

(香里)お父ちゃん!

(福美)もう

食べ過ぎたらあかんって 香里に言われたやろ?

(泣き声)

(福美)清江(きよえ)はん どないしたんや?

(玉井(たまい)清江)あの人 おなかすかしてんやろか思うて

うちかて お弁当こさえたげたいわ

(福美)ああ そうやなあ

(松島)玉井は あと 三月(みつき)で出所やないけ

帰ってきたらヘドが出るほど 食わしてやるがな

これも食わしてやるがな チンポコちゃんを

ハハハハ…

(香里)ほな うちはお先に

(福美)香里 こないだの話 姐さんに いつ返事するんや?

もうちょっと待って

話って何や?

(清江)縁談ですやろ?

姐さんの知り合いで エリートのサラリーマン

一流大学 出てはるんやて

なんで わしに黙っとったんや?

あんた 香里が嫁に行く言うたら ショック死するやろ?

どアホ! 姐さんの話やったら別や

もうやめて その話は

頭 たまにはうちの診療所に 寄って検査しいや

若いからいうて油断でけへんよ

お前も油断しとったらな 白衣着たまま負け犬になるぞ

(福美)言われた

男で苦労して死ぬよりマシやわ

ほな いってきまーす

(福美)いってらっしゃーい

(福美)香里がおにぎり 持ってきてくれてますけど

どうぞ

(波美子)ありがとう

姐さん いろいろ あるみたいやけど―

頭のことは松島が しっかり見てると言うてますから

(ドアの開閉音)

何か?

(白英玉(はくえいぎょく))人を捜してます

失礼ですが こちらさんとは ご同業の者で

お力を貸していただければと 思いまして

どうぞ

私 名は ペ・ヨンオク

ああ… 白英玉といいます

わてが この一家を預かるもんやが 捜してるのは?

私の夫です

いつごろの写真や?

7年前 韓国の済州(チェジュ)で 撮ったもんです

夫は日本に働きに出てから 5年以上 音信不通です

名前は ペ・イッチョル

日本では 河本一兆と名乗ってました

あんた 今まで何してたんや?

刑務所にいました

ちょうど5年のあいだ 夫の身代わりで

悪いけど ほか当ってくれるか?

知ってるんですね?

わてに言えるのは―

このまま国に帰ったほうが あんたのためやということだけや

ご面倒をおかけしました

殺したらあかんで

(ドアの開閉音)

(長嶺昇三(しょうぞう)) なんぼ金がかかっても かまわん

あんたが ええように 改装してくれたらええ

女も一級品をそろえて

小うるさい東京の連中が わあっと目ぇむくような―

そんな坂下組の応接室にしたいんや

もうけは全部 あんたのもんや

(蘭子)うちなんかが看板では 役者不足と違いますか?

わしは 先代親分の供で よう この店に来たが

あのころのあんたは―

ずぬけて色っぽうて まぶしかったで

やらせてください

日本一のお店にしてみせます

うええ~

(本田克己(ほんだかつみ))頭

河本さんが見えました

どうぞ

すいません お忙しいところ

早速ですが これが資料です

物件の図面と 債権者の仮契約書が入ってます

(長嶺)あの物件の話は わしも知ってる

上げてカスリ取るだけでは つまらん

あそこは 国道沿いで場所もええから―

何か事業始めたら どうやろうな?

ええ

アウトレットの ショッピングセンターが―

いいかと思うんですが

(長嶺) 輸入のブランド品なんかのな

アウトレットモールや

アウトレットモール お前 知っとるか? おい

(蘭子)そらええわ 長嶺はん

この人 台湾や香港で商売してて 向こうで顔 広いんです

(長嶺)考えとくわ

4代目は―

あんたが 菅沼の2代目になったら―

五寸の盃(さかずき) 交わしてもええて 言うてはる

それだけ菅沼の看板は大きいんや

しっかり頼むで

しっかり頼む

姐さん

業者 待たしとるから 今日中に工事の打ち合わせ済ませて

あしたから開店準備にかかってや

オープンは来月の13日 大安吉日や

4代目や関東の客も招待するしな

できたら 菅沼親分にも 顔 出してほしいんやが

まだ生きてはるかな

笑うとこやで

ホンマにすごい人や

1万5000の大組織の ナンバー2(ツー)だけあるわ

(河本)大丈夫か?

あんた次第や

うちが がっしり バックアップするし

頑張ろうな

(携帯の着信音)

はい

(谷垣勇次(たにがきゆうじ))組長に客が

何や 組長と訳ありみたいでっせ

名前は 白英玉やと…

私 分かる?

(谷垣)もしもし… はい

パパ 好き?

(英玉)ママは?

なんで?

姐さんは しつけに厳しいですから

おう… どうした?

お父ちゃん 危ないらしいわ

(河本)なに?

山岸のおじさんが あんたに すぐに来るようにって

俺は… 急用ができた お前 先 行ってろ

(蘭子)お父ちゃん 死ぬかもしれへんのやで

(河本)組の生き死に関わる 大事な用だ

(ドアの開閉音)

うちや

(英玉)返す

(河本)ヨンオク

(英玉) 突然そんな大金 送ってくるのは 別れたい いうことやろ?

事情は分かった 別れたげる

そやけど 金で 逃げようとしたんはムカつく

はよ その金 持って消えて

(施錠音)

おい ヨンオク!

おい 話 聞けよ!

(ドライヤーの音)

子どもは今の妻の連れ子だ

妻は 東神戸で一番勢力のある 菅沼組の親分の娘だ

親分は重病で もうすぐ俺が跡継ぎになる

大きい事業にも取りかかってる

すべてが軌道に乗ったら お前を呼ぶつもりでいた

おい ヨンオク!

俺は お前のことを 一日たりとも忘れたことはない

(英玉)私を呼んでどうする気?

今の妻と別れて 昔のようにお前と暮らす

(英玉)苦労して手に入れたもん 全部 捨てて?

俺が 心から愛してるのは お前一人だ

(英玉)フッ

おい! 俺のこと信じねえのか?

信じたいけど―

5年たったら―

あんただけ違(ちご)うて 私も変わるよ

ほかの女と 争うてまで―

すさんだ暮らしに 戻ろうとは思わへん

(河本)ヨンオク (英玉)やめたほうがええ

お互い 地獄を見ることになるで

お前は俺のもんだ

(英玉)あっ

刑務所に 日本人の女彫り師がいてな

こうでもせんと 自分を抑えられへんかった

ある人に あんたを殺すなと 言われたけど―

ホンマは八つ裂きにしてやりたい

せやけどやめとくわ

あんたには 命助けられた 恩義があるからな

どこ行くつもりだ?

(英玉)どこで寝ても あの島のムショよりはマシや

金 持ってけよ

ヨンオク

(ドアの開閉音)

(沖田耕三(こうぞう))ご苦労さまです

(組員たち)ご苦労さまです

なんや 兄貴 起きられるんかいな

えらい心配さしてからに

(菅沼辰雄) ああ おおきに おおきに

お迎えがあっても お前らは呼ばへんで

(山岸)うん?

地獄へ行くのは一人に限るんや

なっ ハハハ

(山岸)兄貴 アホなこと言わんと 元気になってくれよ

ああ… 龍二の弟 年なんぼになったんや?

西郷恭平のことでおますか?

ああ そうや

龍二が親代わりになって 育てた男や

25歳になりました

西郷組の頭で よう頑張ってくれてます

(菅沼)うーん

龍二が 一家を興して―

菅沼組の頭になったのも 25の年やった

わしの跡目は西郷恭平に譲る

(山岸)兄貴 い… 今 何と?

(菅沼) 龍二の血を引くもんのほかに―

菅沼の代紋は渡さん

もし万一 1人でも 反対する者がおったら―

菅沼組は わし一代で終わりや

お言葉でおますが 西郷恭平は渡世も浅く―

千人の大所帯の菅沼組の代紋は 荷が重たすぎると存じます

龍二の弔いのときに恭平に会うた

まだ学生やったが―

兄貴に劣らん ええ面構えしとった

わしの目に狂いはないで

兄貴 河本をどないしよう?

いや 実はな 幹部会では 河本の頭を跡目候補に決めて―

兄貴に報告することにしてたんや

出来の悪い娘を 子どもごと もろうてくれたんや

まあ なんとか 身の立つようにしてやってくれ

なっ

ええか 済んだことは もう忘れるんや なっ

過去の恨みつらみ

若いもんに背負わせたら かわいそうやで なっ

親分

うん…

この家に もう…

生きて帰ってくることは ないやろうな

(山岸)兄貴

ハハッ

なんや しんどうなった

寝かせてもらうわ なっ

そばにおってや なっ

ああ… あっ

うーん

はあ

そんなもん お前 なんぼ親分の指名でも聞けんぞ

死んだ頭の弟かなんか 知らんけどや

そんな青臭いガキ

わしらが みこしに担げるわけ…

(蘭子)お父ちゃんは ボケがきてるんや

山岸のおじさん

まさか…

お父ちゃんの言うこと

うのみには せえへんやろうね?

河本の跡目襲名が―

なしになることは ないやろうね?

兄貴はボケとらへん

龍二の血引くもん以外には―

菅沼の代紋は渡さんと はっきり言うた

1人でも反対したら 菅沼は自分一代で終わると

西郷の姐(あね)や

あの女が親分たらしこんで―

こんな ど汚い絵図 描きよったんや

わしが示しつけたるわい

はっきり言うとくぞ

なんぼ親分の指名でもやな

幹部会の同意がなかったら 組員は誰もついてこんのじゃい

われの好きなようには させんしな

よう分かってます

わてとしても親分のお言葉を そのまま受けるつもりはおません

どういうこっちゃ?

考えさしてください しばらくのあいだ

山岸のおじ御(ご)さん 皆の衆も どうか

今夜 ここで起きたことは 胸に納めて

外に漏らさんように お願いいたします

(波美子)あんた えらいことになってしもうた

みんなは わてが 仕組んだように言うけど

仕組んだんは親分や

ヘタしたら恭平さんまで―

あんたと同じ目に 遭わされてしまうわ

どうしたらいいの?

どうしたらええんやろう?

(泣き声)

(男)何を迷うとるんじゃ

(波美子)あんた?

あんたか?

(西郷) われも極道の女房なら引くな

意地 見せんかい!

(激しい雨音)

(長嶺)はあ

(本田)頭 (長嶺)おう

(本田)河本の姐(ねえ)さんが お見えになりました

(長嶺の鼻歌)

(本田)どうぞ

(長嶺)ハハハハ

菅沼辰雄っちゅう極道

やっぱ ただもんやないな

最後っ屁(ぺ)1発で 何もかんもひっくり返すとは

(蘭子)殺して

一人残らず殺してほしい

お父ちゃんも西郷の姐(あね)も 河本一兆も

(長嶺)河本まで?

どういうことや?

女がおったんや

うちがお父ちゃんと西郷の姐に 煮え湯 飲まされてる最中に

六甲のホテルで イチャついとったんや

あいつから先に殺して

それで お前 一人になって どないする気や?

長嶺さんについてくわ

2号でも3号でもかまへん

あんたは きっと 山野井(やまのい)さんに代わって―

極道世界のてっぺんに 立つ人やし

あんたに うちの命 預けるわ

まあ落ち着け

今さっき 河本が持ってきた 事業計画 見たら―

なかなかのもんや

あの男は使える

お前も浮気されたぐらいで 見限ったら後悔こくぞ

ただの浮気やない! 女はあいつの嫁なんや

事務所に押しかけてきて―

若いもんに 一兆の妻やと 名乗ったそうや

あいつは ずっとうちを だましてたんや!

どうしても許せんのなら 自分の手でやれ

あんたは人殺しのプロやろ

お前 何 言うてんのや?

知ってるで

菅沼の前の頭 西郷をやったんも あんたやろ?

それで菅沼は白旗揚げて―

4代目はんに あんたは 認められたんやないの

あんたがどうしても “やらん”言うなら―

じかに4代目はんに頼むわ

うちは新地におったころ

4代目はんには かわいがってもろうてたしな

じゃかあしいわ

(殴る音) (蘭子)ああっ

ああ…

ええか?

河本は生かしとく

まだ使い道があるからや

(たたく音) (蘭子)あっ

西郷の姐もな

4代目が目つけてたんは われやのうて西郷の姐や

(たたく音) (蘭子)ああっ

われは菅沼の娘やいうこと 抜きにしたら―

ただのカスや ボケ

(たたく音) (蘭子)ああっ

うちを… うちを どうする気やの?

われの使い道は これしかないやろ

(蘭子)ああっ

(長嶺) オラ! やってやるわ

(蘭子)イヤ! ああっ イヤ イヤや

(蘭子)イヤや! (服を破く音)

(長嶺)静かにしてろ

(服を破く音)

(蘭子)あっ ああっ

(長嶺)コラ おい!

(蘭子)ああっ あっ!

イヤーッ

ああっ ああ!

うう…

ああ…

あんたは… あんたは きっと うちを助けてくれる

うちの邪魔するやつを 殺してくれる

信じてるしな

(河本萌(もえ)) あとは スパゲッティとか食べた

(河本) そうか もういらないの?

(萌)もういい (河本)うん

あっ ちょっとだけ見ていい?

(河本)いいよ

(萌)もうちょっと (河本)うん オーケー

(お手伝い) おかえりなさいませ

(河本)ああ おかえり

(子どもたち)ママ おはよう (蘭子)おはよう

(河本)よし お前ら 学校 遅れるぞ 行こう

(子どもたち)いってきます! (河本)はいよ

さあ 頑張ってな

(河本)ゆうべ ママがいなくて寂しいってな

2人とも俺のベッドで寝たんだよ

(蘭子) お父ちゃんの家であったこと 聞いたやろ?

(河本)ああ… ゆうべ 伊部(いべ)から何度も電話あった

ひと晩で何もかも 変わっちまったな

(蘭子) うちとあんたの関係もな

包み隠さず洗いざらい言うわ

お父ちゃんと西郷姐に ドンデンかまされて―

大阪へ助けを頼みに行ったんや

おかげで うち

あんたの妻と名乗る資格 なくしてしもうた

(河本)長嶺か?

(蘭子)長嶺さんは菅沼の代紋 あんたの手に戻す約束してくれた

お互い 体も心も バラバラになったけど

うちとしては このまま 夫婦でいてもええ思うてる

あんた次第やけど

俺は国で 一緒に 暮らしていた女がいた

日本人でな

香港のアヘン窟(くつ)で 死にそうになってるのを助けたんだ

2人で俺の故郷 済州に戻って 悪事の限りを尽くした

俺は人殺しもした

その女が俺の身代わりになって 警察に自首したんだ

まだ ホレてるんやな

何もしてない

フラれたんだよ

手切れ金代わりに送った金だ

突き返しに来た

憎いことするな

しばらく この街にいるそうだ

あんた どっち選ぶの?

うちか あっちか

(河本)うーん

実はな 今の今まで悩んでた

だが お前と長嶺の話を聞いて 腹 決めたよ

つまらん情に溺れて 元のクソバエに戻るのはごめんだ

(蘭子)その女が また現れたら この世から消してくれるか?

(河本)なあ お前 長嶺とまだ続けてくつもりか?

(蘭子)やける?

長嶺の金は 俺たちの命綱だからな

これ うちがもろうとくわ

お店のオープンに ドレスにジュエリー

菅沼組2代目の姐に ふさわしいもん身につけたいしな

ウフフ…

(松島)ここらの風俗やヤミ金は たいてい大阪のひも付きですわ

(クラクション)

(鶴田) どかんかい 鼻くそ コラ

(小西 勉(こにしつとむ))なんやと! コラァ

(谷垣)コラァ 組長 お帰りだ バカ野郎

(恭平)河本の親分

西郷組の西郷恭平です

よう しばらくだな

お前の評判 聞いてるぞ

義姉(ねえ)さん守って しっかりやってるそうじゃないか

まあ なんとか

親分 この辺りに なんぞご用ですか?

いや

ちょっとした店舗 出そうと思ってな

まあ そのうち お前のとこにも 挨拶に行くよ

これから いろんな事業展開 考えてるから

よろしく頼むわ

こちらこそ よろしくお願いします

メシでも食えよ

さすが 大した役者でんな

跡目の件には だんまりで

コードバンの財布 まるごとでっか

預かっといてくれや

ラーメンでも食うか

チイ 車や

(田口)うわっ

(女性)どうしたん? キャ!

(田口)助けて! (鶴田)おやじ どないした?

(田口)頭 た… 助けて

(松島) だから どないしたんや?

(田口) 男が 急に包丁つかんで わしが女取ったとか

どいつじゃ わしを殺そうしとんのは

おのれか?

おのれか?

シャブ中ですわ

わしが相手してるあいだに 客 逃がすようにしろ

おい

わしは この辺りを仕切っとる 西郷組のもんや

話 聞こうやないか

(男)ヤクザか?

まあ そんなとこや

話によっては あんたに代わって わしがケジメ取ったる

その物騒なもん しまえや

(男の叫び声)

(松島)頭!

(銃声)

ああ…

(恭平)おやっさん! (松島)ああ…

(恭平)おやっさん!

(銃声)

(組員たち)頭!

(組員)おやっさん (恭平)早く車へ運べ

(組員)しっかりしてください

(恭平)待ってください

わしは西郷組の西郷恭平です

おかげさんで 命拾わせてもらいました

差し支えなかったら お名前だけでも

そいつ最初っから あんたを狙ってたで

(香里)お父ちゃん しっかりせなあかんで

ええな しっかりするんやで

(波美子)何があったんや?

(恭平)シャブ中が暴れて いきなりハジキ出して

小頭が わしをかぼうて撃たれて

わしも やられかけたところ―

居合わせた女の客が ハジキで…

(波美子)女?

(恭平)腹の据わった女で―

そのシャブ中の男は 最初から わしを狙ってたと

(波美子) スラッとした男のなりした?

(恭平)義姉さん 知ったはるんですか?

(波美子)それで?

(恭平)そのまま どっかへ

(足音)

姐(ねえ)さん

お父ちゃん 助かるって

そうか

よかった

うう…

西郷がやられたんと同じ手口や

今度は運がよかっただけや

あんたの立場は今までと違う

一歩でも横道にそれたら 地雷が埋まってると思わなあかん

分かってるな?

はい

(自動ドアが開く音)

西郷

シャブ中の男を撃った女 お前 知り合いか?

知りません

隠したら ただおかんぞ

わしは あの人のおかげで 命拾うたんや

知ってても言わんよ

なんやと? コラ

聞きたいことがある

頭 借りるで

ほな 行こうか

(香里)姐さん 頭 どうなるんですか?

あんたが気にすることない

これは別世界の出来事や

今夜のことは忘れてしまいや

もし―

頭やお父ちゃんが 誰かに殺(や)られかけたら―

うちかて そいつを殺すと思うわ

(香里)あの… 私

西郷組の頭の 身寄りの者ですけど

もしかして あなた ゆうべ 頭を助けてくれた…

そうなんや

あなたやったんですね

(英玉)撃たれた人は?

(香里)助かりました

私の父なんです

(英玉)そうか

よかったな

(香里)よかったら うちに来てください

すぐ近くですから

もう寒いし―

こんなとこにいてたら 風邪をひきますから

頭 あなたがいてなかったら 死んでたと言うてました

私 神様が助けてくれたんやと

そしたら あなたに あそこで

ホンマにお会いできてよかったわ

お礼を言いたかったんです どうしても

恋人なん?

いいえ

兄貴みたいなものです

その写真 誕生日に 大阪に遊びに行ったときので

大人になって 初めて2人っきりで

(英玉)カッコええ人やな

今度 本家の跡を継ぐことに 決まったんですよ

親分さんのご指名で

もうすぐ―

私なんかの手の届かへんとこに 行ってしまうんです

本家?

(香里)菅沼組っていって 神戸では名門なんです

あっ うち食事 済んだら 診療所に戻りますけど

奥に布団 敷いときますから ゆっくり休んでください

あなたと会ったこと

頭にも 姐さんにも 言わんようにしますから

いつまで いてもらっても ええんですよ

(波美子)デパートに寄って 一番ええ肉 張り込んだんや

主人がいてたときは 3人でよう食事したけど

2人では初めてやな

義姉さん 話ありますのやろ?

ゆっくり ごちそうになりたいし 先 頼みますわ

今朝 早(はよ)うに 山岸舎弟頭に呼ばれてな

あんたの跡目襲名を 辞退するように言われたわ

理由はともあれ

殺しの絡む事件を 起こすような者に―

菅沼の代紋を預けることはできん

幹部会から そういう声が出てると言うんや

おじ御はん 気の毒に 板挟みで やつれてしもうてな

さあ もういけるで

(恭平)ああ おおきに

その返事 わしがじかに 河本頭にしますわ

河本頭に?

幹部会 首輪でつないでんのは 大阪でっしゃろ

河本は長嶺の背中に―

長嶺は山野井4代目の背中に 乗ってるわけやから―

わしの返事は そのまま 山野井に届くわけやしね

覚悟あるんやな?

しっかりとね

なあ 恭平さん

親分は 過去の恨みつらみを―

あんたに背負わせるなと 言いはったんや

そら 主人の遺恨を思えば 血のたぎる怒りはあるが

あんたを押しも押されん 菅沼の2代目にすることで

あの人に 仏に なってもらおうと思うてる

分かるな

あの河本一兆いう極道 それなりの筋もんや

腹割って 小細工抜きで ぶつかってみようと思うてまんのや

西郷は一滴(ひとしずく)も飲めんかったけど

ああ… わしもあかんのですわ

このごろ 箸の持ち方や食い方まで 兄貴にそっくりになってきたと―

松島のおやじに 笑われてしもうてね

ふう…

わては あんたに 何をしてあげたらええんやろうな

注文あるか?

わし―

義姉さんが兄貴の嫁で来たときから ずっとホレてましてん

まあ注文は そうやな…

これからも そうやって わしの前で―

いつまでも キレイで元気でおってください

(河本)親分への挨拶に 俺につきあえと?

(恭平)はい

(河本)俺を何だと思ってるんだ

(恭平) 組長の肩書も代紋の重さも わしには関係おまへんのや

あんたさんと がっしり組んで―

菅沼組を ほかの どの組織にも負けん

大一家にしたいんですわ

兄 西郷龍二が存命であれば そうしたようにね

(河本) お前のやる気は認めるが―

根性だけでは どうにもならんのがこの世界だ

はっきりした絵 見せろ

(恭平) まだ 何にもおまへんのや

しかし関東から九州まで

しっかりやれと 声かけてもろうとりますさかいに

菅沼の親分と兄貴の顔で…

(河本)親頼みか?

(恭平)意地と根性だけは 誰にも負けません

先頭を切って 丸裸で突っ走りますわ

どうか かじ取り お頼申します

俺が お前の襲名を認めないと 言ったら どうするんだ?

ヘヘッ

そんな返事 返ってくるとは思てまへん

あんたを男やと 信じてますさかいに

(英玉)そうか もらい子やったんか

父親が極道で… 刑務所で死んで

母親は 赤ん坊のうちを―

今のお父ちゃんの 家の前に ほかして―

どこかへ消えたそうです

(英玉)よかったな ええ人に拾われて

私なんか 実の親に売られたんや

大酒飲みの あかんたれの―

メイド・イン・ジャパンの ヤクザ屋さんにな

英玉さんは 西郷の姐さんに 会うたと言うてはりましたね

頭の心には 姐さんしかないんです

でも かめへんのです

うちは あの人のそばにおるだけで

何かあったときに 守ってあげることができたら

それだけで ええんです

頭は あんたを愛してる

あんたを遠ざけようとするんは 心から大事やと思うからや

ちゃんと あんたの気持ち 受け止めてくれるはずや

信じてます うちも

(スタッフ)いらっしゃいませ

(ホステスたち)いらっしゃいませ

こんばんは

どうぞ 今後とも よろしゅうお願いいたします

(ホステス)いらっしゃいませ (スタッフ)いらっしゃいませ

(蘭子)姐さん!

よう来てくれはりましたな

蘭子さん おめでとう

お店 すっかり変わったな

豪華で あんたらしいわ

マダム 姐(あね)さんから 過分のお祝いを頂戴しました

すんません 気使(つこ)うてもろうて

ほんの気持ちや

姐(ねえ)さん 覚えてはるか?

昌子(まさこ)はん

(波美子)いや… 昌子やないの

(沢(さわ)昌子)お久しぶり

怖い姐御(あねご)になってるか思うてたけど ちっとも変わってへんやん

(波美子)あんたも ここにおったときと同じや

ホンマ 懐かしいわ

(蘭子)この人も男にミソつけて フラフラしてるし

手伝ってもらうことにしたんやわ

ゆっくり同窓会やっててな

(ホステスたち)いらっしゃいませ

(蘭子)いらっしゃいませ どうぞ

(スタッフ)いらっしゃいませ (ホステスたち)いらっしゃいませ

(ボーイ)いらっしゃいませ

(蘭子)いらっしゃいませ

(鴫田(しぎた)光雅)おう (蘭子)いらっしゃいませ

(長嶺)親分からや

(蘭子)これは まあ 恐れ入ります

(昌子) あの人 坂下組の4代目やろ

ちょっと 挨拶してくる

(昌子)ちょっと 挨拶って大丈夫なん?

相手 日本のドンやで

ここにおったとき 口説かれてたんや しつこく

(昌子)ええ…

(長嶺)親分 西郷組の姐(ねえ)さんですわ

西郷波美子でおます

坂下組4代目になられて初めて ご挨拶させていただきます

何とぞ よろしゅうお頼み申します

親分 覚えてはりますか?

姐さんは以前 この店に勤めてはったんですよ

(山野井正邦(まさくに))覚えてるがな

わしも 粉かけてたんやが―

若いのにあっさり 持っていかれてしもうた

鴫田はん これですわ 評判の女侠は

(鴫田)おう うわさにたがわん 任侠世界の菩薩(ぼさつ)やな

(長嶺)ヘヘヘッ 中身は夜叉(やしゃ)かもしれまへんで

(鴫田)こんな夜叉になら 食われてみたいわ フフフ…

(長嶺)京都の鴫田親分や

(山野井)おう まあ座れや

(スタッフ) いらっしゃいませ ようこそ

(ホステスたち)いらっしゃいませ

ヒナです

マリです

英玉です

(長嶺)これはまた とびっきりの美人やな

おい お前

鴫田親分のサービスせい 親分は面食いやしな

いらっしゃいませ

よろしくお願いします

あんた 顔色悪いけど どうかしはったんか?

(長嶺)両御大の前で 緊張してんのやろう

未来の坂下の大幹部が―

そんなことで 大きい仕事はできんで

実はな 今 鴫田はんと 話し合うてな

関西の極道を一つに集めて 大きい組織作ろうとしてるんや

つまらん抗争をなくすためや

ドンパチでもの言わす 時代やないしな

長嶺と河本にまとめ役させよう 思うとる

西郷組は菅沼では 最上席の幹部やしな

ぜひ後押ししてやってほしいんや

よろしくお願いします

とうに見抜かれてるよ

知ってて雇うたのは あの女なんやから

さすが あんたがパートナーに 選んだだけのことはあるな

(長嶺)あのべっぴんが 河本の前の女房か

あんたと こうなる前なら セン 切れてたけど―

今となっては 河本を締め上げる ええネタやわ

あんた あの女の手から 逃げられへんで

安心しい 別れたげる

私 ちょっとご機嫌やさかい

(河本)どういうことだ?

あんたなんかに言うても 分からんことや

菅沼の跡目の件やが

一歩 引いて 河本に 譲ったってほしいんや

その代わり あんたの義理の弟

西郷恭平いうたかな…

わしが預かって 金筋の極道に育てたる

坂下のプラチナのバッジは―

サビの回った菅沼の代紋よか よっぽど値打ちもんやで

お言葉ですが 西郷恭平の菅沼組襲名は―

もう 一家身内に通達しました

わてのことも合わせて―

もう お構いなしに お願いいたします

(長嶺)あんまり つまらん意地張ってると―

地獄見ることになるど

(波美子)地獄ならとうに見たわ

長嶺はん

もし まだ菅沼の庭に ちょっかい出す気でいたら…

(長嶺)どないするっちゅうんや?

わてから先にいわしとかんと どうなるか知りまへんで

よう言うた!

(英玉)お相手 代わっていただけませんか?

なんじゃ われ ここのホステスやないけ

(英玉)たった今 辞めました

どうぞ お相手を

あんたやな うちの頭 助けてくれたんは

♪~

(手拍子)

(歓声) ~♪

(波美子)ああっ

よう我慢したな 旦那のこと

(英玉)姐さんに会わんかったら 亭主殺しやってたかもしれません

こんばんは ご苦労さんです

(警察官)あんまり飲み過ぎて 川に はまったらあかんで

私の姿 警察には見えないんです

弾も当たったことないし

うちの事務所にも サツが張り付いてる

やっぱり国に帰ったほうが ええのと違うか?

見届けたいことが あるんです この街で

頭と香里か?

(英玉)知ってたんですね

親には わてから話 しようと思うてる

2代目姐(あね)として あれ以上の娘はおらんしな

はあ…

何や お前 また来とったんか

おかえんなさい

いつも 悪いな

早かったんやね

すぐ出かけんならん

本部でお偉いさんに 挨拶するんや

(香里)ああ 着替えたら? (恭平)おう

シャワーで汗流してな

(恭平)拭くだけでええわ

あかん 体は清潔にしとかんと 風邪ひくんやで

(恭平) お前うるさい嫁はんになりそうやな

(ドアが閉まる音)

(恭平)おい お前

あの 義姉さんが持ってきてくれた 縁談 どないした?

断った

お前 エリートのサラリーマンやろ

診療所でお前のこと気に入って―

何もかも承知で 義姉さんに頼みに来たそうやないか

何が不足なんや?

今日から ここへ 引っ越してきたらあかん?

何て?

毎日ごはん作ったり洗濯したり してあげたいから

ああ… 住み込みのお手伝いか

まあ 見てのとおりの大邸宅やしな

うちは真剣やわ

ほんなら真剣に言うたる

お前のおやっさんは わしのために一生

寝たきりの体になるかもしれん

心配かけるな

カタギの嫁になって親孝行せい

うちの人生はうちが決める

お父ちゃんが あんなことになって―

頭のそばには 誰もついてへんから

うちが守ってあげるんや

心配せんかて

奥さんにしてくれなんて 言わへんから

お前なんかに 何ができるっちゅうんや?

帰れ

二度と勝手にわしの家に入るな

出ていけ

おい 鍵 置いてけよ

また来るから

(ドアの開閉音)

(萌)水も持ってったほうが いいんじゃない?

フフッ

どういう風の吹き回しやの? 急に こんなとこ誘って

何する気やの?

西郷の若造 思いのほか怖い男だ

生かしておいたら こっちがやられる

殺(や)るん?

長嶺さんにな 今度は 自分の手を汚せと言われた

やらなければ縁を切る

例の仕事も渡さないと

別れてくれるか?

えっ?

子どもたちまで 泥まみれにしたくないんだ

いまさら何 言うてんの?

極道の勝負は殺(や)るか殺(や)られるか それしかない

うちも一緒に泥かぶったる

うちは あんたの女房なんやで

うちも子どもらも あんたのもんや

あんたに この命 預けるわ

(グラスの割れる音)

(蘭子)ああ…

(蘭子のあえぎ声)

(せきこみ)

(ラジオから流れる外国語)

トン

ナン

ペイと覚えといてください

(彫(ほり)タツ)あー うまい

うまいわ

波美子はん いつも すまんのう

(波美子) 近くまで来たもんやから

お弟子さん また逃げられたんですか?

ヘッ 長続きしたほうや

半年もおったからな ハハハ…

どうやら この彫タツの看板も わしで終わりや

そんなこと言わんと

そうや

あんたんとこの頭… 恭平はん

こないだ ここに来よってな

わしに墨入れてほしい言うて

あんたの旦那が背負うてた竜をな…

断らせてもろうた

あの竜は なまはんかな覚悟で 背負えるもんやない

それに わしは―

あるお人に 一世一代の竜を入れてしもうた

わしには もう あれ以上の竜は彫れん

そう言うてな

(ドアのノック音)

恭平やないか あっ?

なんや 龍二… 龍二が 生き返ってきたみたいや

親分の名を汚さんよう

菅沼組と侠道の発展のため 身命をなげうって尽くす覚悟です

(菅沼)ああ… うん

おお 波美子も来とるのんか

(山岸)兄貴 会うてほしい女がおるんです

(恭平)親分 妻の香里です

おお… 嫁もうたんか

香里と申します

ふつつか者ですが 一生懸命に務めますので―

よろしくお願いいたします

ああ… そうかそうか

ええ 嫁はんや ああ…

波美子にも負けん 立派な姐御になるやろ

なあ

(菅沼)ああ… 沖田 (沖田)はい

あっ… あれ 持ってきてんか

(沖田)親分…

これはな わしの守り刀の兼次(かねつぐ)や

龍二に代替わりのときに 渡すんやったが…

わしと龍二の―

魂やと思うて

そばに置いとけ

ありがたく頂戴いたします

(外国語) (銃声)

(恭平)うわっ

(銃声)

(銃声)

(恭平)伏せろ 香里

アハハハ…

(女子中学生の悲鳴)

(外国語)

(銃声)

(外国語)

(男の叫び声)

(銃声)

(銃声)

(香里)恭平さん (恭平)行け! 行け

(銃声)

(鶴田)うわあっ

(銃声)

(銃声) (外国語)

うう…

(恭平)香里!

(男の叫び声)

河本!

(山岸)河本 助けんかい

何しとるんじゃい! はよ助けんかい!

今 行ったら 俺らもやられますよ

(山岸)おんどれ それでも男か!

俺までやられたら 菅沼はどうするんだ?

組 潰す気か!

(銃声)

河本!

コラァ!

(銃声)

ああっ

香里 逃げえ… 香里

逃げえ 香里

(恭平)香里 どくんや

香里 ダメや

どけっ

(外国語)

(銃声)

ああっ!

ウッ ウ…

(銃声)

ああ…

ああ… 香里

香里

香里… わしだ

香里 わしだ

分かるか 香里

香里 わしだ

死ぬな 死なんでくれ

死なんでくれ!

香里!

香里!

(足音)

(松島)香里!

(松島)香里 (福美)香里

香里!

ああ… 香里

ああ… 香里

香里を連れて帰るんや

香里は死んでへん

あんた…

うちへ連れて帰るんや

あんた! あんた!

(松島)ああっ (福美)あんた

香里…

香里!

(松島夫妻の泣き声)

あんたや

あんたが香里を殺した

おどれの意地で頭を 菅沼の2代目にしようとして―

香里を殺した!

わしの大事な香里を―

あんたが殺した!

あんた! あんた それでも男か!

頭は命を取り留めたんやで

香里が…

香里が…

自分の命に代えて頭を守ったんや

あんた 香里に 恥ずかしないんか!

どアホ! どアホ!

(松島)香里!

うちへ帰ろうな

うちへ帰ろうな 香里

(波美子)わてのドジや

わてが あの子を殺した

(柳田)知ってるか?

菅沼 ついさっき死んだで

(警察無線)県警本部から 各車へ 状況をどうぞ

(刑事)浜尾から本部へ…

(伊部)長嶺はん はやばやと恐縮でおます

(長嶺)ヘヘヘ ヘヘッ

長嶺さんがお越しです

河本はん 話があるんや

はあ…

すぐ ふけるんや

(河本)えっ?

西郷の若造がやられた件で サツがお前に目をつけとる

(長嶺)1億ある

フィリピンでも香港でもええ 日本から姿消すんや

長嶺さん どういうことかな?

あれは あんたがやれと…

(本田)さあ! どうぞ

フッ そういうことか 長嶺

お前 はなから 俺に罪をかぶせるつもりで…

(蘭子) あんた なんも言わんと―

この金 持って 済州へ帰ったほうがええよ

(河本)蘭子

(蘭子)あんたは優しいし 賢いし ええ人やけど―

流れてる血の違いは どうしようもないんや

お父ちゃんが あんたを避けようとしたのも―

それが原因や

黙って消えたほうが あんたのためなんや

分かった 俺は消えるよ

だがな 日本の国からは 出てかねえぞ

お前ら必ず 見返してやるからな

(長嶺)よう言うた

西郷姐(あね)や! 西郷姐が来よったで

役者がそろったな

面白いことになるぞ

親分

2代目菅沼組 西郷恭平は―

妻 香里と親分から授かった この兼次に守られて―

どうにか一命は取り留めました

わてとしては これ以上 2代目に危難の降りかからぬよう

外道どもを一人残らず無限地獄に 送るしかおませんのや

どうか 見ていてください

(沖田)おらっ

やあっ 死ね おら

やあ!

(沖田)入るんじゃねえ この野郎

入るんじゃねえぜ

(銃声)

入るんじゃねえぞ コラ

うおっ うお…

ああ…

(銃声)

(男たちの悲鳴)

おのれ! うわっ

(銃声)

(組員1)早(はよ)う撃たんかい!

(組員2)おとなしゅうせい コラ

(銃声)

おんどりゃ

(組員3)うわっ

(組員4)おんどりゃあ

ああっ

(銃声)

ああ…

(銃声)

クソッ

(銃声)

うああ!

(銃声)

(組員5)うわっ ああ…

いやあっ!

(銃声)

(組員6)でやあっ!

(伊部)うっ うう…

うわっ ま… 待て!

ねねね… 姐(ねえ)さん わしゃ… わしゃ なんの関係もないんや

わし… わし…

わしの気の弱いの 知っとるやろ?

なあ… なあ 2代目殺(や)ったんはな―

長嶺と河本や

ホンマやて ホンマやて…

長嶺 どこや!

ど… どこ行ったか分かれへん

ホント わし 知らへんねん

知らへん

言わへんで わし… 知らへんで

あかん しょんべん ちびってもうた

うわあっ!

うぬっ

(銃声) (伊部)あっ

(組員7)ひゃあっ (英玉)うっ ああ…

(銃声)

(銃声)

(組員8)うわあっ

(争う声)

(銃声)

(蘭子)キャー

(長嶺)われは わし殺したら どうなるか分かっとんのか?

坂下には 1万5000の組員がおるんや

われの舎弟も残ったもんも 皆殺しにされっぞ コラ!

じゃかあしい 外道めが

地獄で一足先に山野井 待てや

(銃声)

(長嶺)うわっ ああ…

ぐう… うわあっ

うわあっ!

(英玉)やあ!

(銃声)

(銃声)

(英玉)姐さん!

(蘭子)キャー

(銃声)

(銃声) (英玉)ううっ

(銃声)

(蘭子)キャーッ

(空撃ちする音)

(蘭子)あんた この女 殺すんや

西郷姐(あね)と こいつ殺したら このケンカは あんたの勝ちやで

(英玉)弾は1発 残ってる

私を撃ちいな

あんたみたいなクズを殺しても 到底 あの子は浮かばれん

もう一回 あんたに代わって 私が罪を償うことにするわ

(蘭子)何してるんや 早(はよ)う撃つんや

撃ち殺すんや!

英玉

確かにお前の言うとおりだ

俺は 日本に来て男になろうと思い 人の道を踏み外した

だがな 今は―

この女と子どもたちを愛してるんだ

(銃声)

イヤー!

その金 持って 子どもらのとこに行き

早(はよ)う!

(蘭子)ホンマ 堪忍な

姐さん 勝手なマネして…

許してください

(波美子)これでよかったんや

あんたがホレただけある

河本一兆はホンマもんの男や

ホンマもんの女を 見抜けなんだとこもな

姐さんに つきあいたいけど…

もう十分や

あの世で 2人きりで―

男の悪口 肴(さかな)に飲もうな

♪~

(ホステスたちの悲鳴)

~♪

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