All language subtitles for Kitaro Tanjo - Gegege no Nazo - 1080p WEB H.264 -NanDesuKa (AMZN)_track3_jpn

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Original subtitles

ハァ ハァ…

よいしょ

ついに突き止めたぞ!

都市伝説“妖怪少年 ゲゲゲの鬼太郎きたろう” その出生しゅっせいの秘密!

あれ?

引き返してください

えっ?

この先は 何が起こるか わかりません

やあ 鬼太郎くん

どうしても 君に聞きたいことが…

警告は しましたよ

ううっ! うう…

“哭倉なぐら”?

しつこい記者ね

お母さん…

どうじゃ? もう ほとんど…

そうか

あれから70年 ついに この時が来たか

あの男も 今日は ここに来ておるかもしれんな

うちの雑誌は 次で廃刊

最後に この記事だけは!

廃村? こんな山奥に?

ひいっ!

お… 面白おもしれえじゃんか

うう… 鬼太郎く~ん!

鬼太郎くん!?

うわっ! わわわわっ…

うわあ~!

ええっ!?

イテテテ…

助けて…

えっ?

助けて~!

もしも~し

ここは…?

何なんだ ここは

うわっ… あっ

ああ 痛い痛い…

助けて!

うあああ~っ!

あああ…

ウウ~ッ!

ギャーッ!

キャーッ!

ご… ご当主とうしゅ様が~!

何! 龍賀りゅうが時貞ときさだ翁おうが!?

まだ他には漏れてないだろうね?

よし わかった!

フーッ… ちょっと失敬

龍賀一族

その当主ともなれば 絶大な権力を握ることとなる

跡目あとめ争いは 熾烈しれつなものとなるぞ

新当主と よしみを結ぶべきかと

誰になると思うかね?

望ましいのは 龍賀製薬の克典かつのり氏ですが

彼は 入いり婿むこですから

克典氏ですよ

水木くん! 無礼じゃないかね!

嫡男ちゃくなんの時麿ときまろ氏は 健康面に問題があるらしく

何年も表に出ておりません

克典氏は 時貞翁の信任 厚く

禅譲ぜんじょうの内示を 受けていたと聞きます

そうか 君は 龍賀製薬 担当だったな

克典社長には かわいがってもらっております

私を行かせてください

必ず 克典社長を当主に

しかし 君ね 龍賀の本家は その所在地すら…

哭倉なぐら村

宴席で克典社長が 漏らしたことがあります

い… 行ったこと あるのかね?

いえ そこまでは

今から夜行に乗れば 明日の昼には着けます

行かせてください

フーッ

いいだろう

君に我が社の命運を 託そうじゃないか

ありがとうございます

ところで

龍賀といえば 例のアレだ

あ…

おっ…

むろん 探さぐってまいります

よし 行け

社長 あの村は…

今度こそ 無事の帰還を祈ろうじゃないか

社長も部長も

俺を使い捨てのコマとしか 思っていない

龍賀製薬は 日清 日露で名を知らしめ

太平洋戦争で 大きく業績を伸ばした

時貞翁は その立役者である 立志伝中りっしでんちゅうの人

その原動力となるのは“アレ”

龍賀一族には 謎が多い

だが だからこそ その内側に食い込むことができれば

俺の社内での立場は 有利になる

重役のイスは確実だ

捨てられる前に のし上がる!

ん?

おぬし 死相が出ておるぞ

はあ?

この先 地獄が待っておる

ハァ…

ワシには見えるのじゃ

見えないモノが見えるのじゃ

何 寝ぼけたこと言ってんだ じいさん

あっ!

現に そら…

おぬしの後ろ

大勢 憑ついておる

アチッ!

バカな…

しかし お客さんも物好きですなぁ

あんな へんぴな山ん中の村まで

この辺の者もんでも ようけ近づかん所ですわ

他人と同じことをしていたのでは 生き残れないからな

生き残る?

死にたくない…

おめおめと 生き残った者たちがいる

何ですと!

ひきょう者どもめ 死ぬのを恐れたか!

玉砕ぎょくさいを発表してしまった以上

あの者たちが生きていてはマズい

もう一度 突撃させるのだ!

このトンネルの先が 哭倉なぐら村ですわ

♪~

~♪

あれは…

フーッ

お困りですか?

ああ 鼻緒が切れてしまったんですね

これは大変だ 貸してください

直しましょう

あっ でも…

さあ

あの 失礼ですけど…

東京から来ました

龍賀製薬と お取引させていただいてる 会社の者です

東京から…

さあ

おつらいでしょう 私の肩に手を

足も かまわず乗せてください

失礼します

具合は いかがです?

大丈夫そうです

さよ姉ねえ~!

トキちゃん!

やだ もう 驚いた

外に出て大丈夫なの?

エヘヘ…

おじさんが よそ者の人だね?

よそ者?

トキちゃん!

みんな 言ってたもん

“よそ者が村に入ってきた”って

ねえ どこから来たの?

あっ… ああ

僕は水木という

東京から来たんだ

東京!? すごいや!

ねえ じゃあ 川上の試合 見たことある?

トキちゃん お客さんが驚いてしまうでしょ

それに あんまり興奮すると また熱が出てしまいますよ

え~ 大丈夫なのに

僕は しばらく この村に滞在するつもりだから

また機会があったら話そう

川上の2000本安打の話

ホント?

ああ

沙代… さん

はい

龍賀様のお屋敷へは…

この道を まっすぐ行っていただくと…

いやあ どうも

またね 坊や

うん

沙代さんも 機会があったら また

はい 水木様

フハハハ…

何か ご用でしょうか?

私は帝国血液銀行の 水木と申します

仕事で 龍賀克典様に…

水木くん?

おお やはり水木くんか!

社長!

ご無沙汰しております

このたびは まことに ご愁傷さまです

早速 駆け付けてくれたか

まあ ひとつ 上がりたまえ

お邪魔いたします

ここまで来るのは 大変だっただろう

社長が ご当主となられる場に

ぜひ立ち会わねばと その一心で…

ハッハッハッ… 気が早いな 君は

だが 嫌いではないよ その身軽さは

ああ 君

この方を あとで 離れに お通ししてくれ

へ… へえ でも今夜は お籠こもりじゃ?

だから 離れに通すんだ

用意を頼むぞ

お籠り?

龍賀の伝統的な しきたりでな

お清めのために 葬儀の前夜は みんな

個室に閉じこもって 潔斎けっさいするそうだ

迷信が まだまだ幅を利かせている 田舎の村だからな

来る途中 見なかったかね?

山の手の神社

龍賀家の代々の当主は あそこの神職しんしょくも兼ねていてな

時貞様も?

何やら妖あやしげな 土属どぞくの神を祀まつって

奇妙な儀式ばかり しておった

私は正直 この村が苦手でね

あっ…

あ…

遠慮は いらん 入りたまえ

はっ

見かけない顔が いるようだけど?

私の客だ

東京からの立会人たちあいにんだよ

帝国血液銀行の水木と申します

こちらの迷惑も考えずに 乗り込んでくるあたり

確かに あなたの お仕事相手らしいですわね

フン

ぶしつけは重々 承知しております

しかし 居ても立ってもいられず…

ご心痛 お察しいたします

お察しします?

あなたに わかるというのですか?

お父様を亡くした 私わたくしたちの悲しみが!

ははっ

克典社長の妻

時貞翁の長女 乙米

ねえ 早く始めてよ

足 しびれちゃったわよ~

丙江さん!

次女 丙江

だいぶ写真と印象が違う

若い頃 駆け落ちして 連れ戻されたと聞く

遅くなりました

あっ おじさん!

あっ ああ…

あら~ もう お知り合い?

やるじゃな~い アハハハ…

母かあ様!

早く座って

時弥の母は 村長の家に嫁入りした三女 庚子

ということは あの男 村長の長田おさだであったか!

あっ…

皆 揃そろうたか?

時麿兄さん

時麿?

時麿だと!? 健在であったのか!

あ…

何だ あれは?

聞いてた話と違う

社長!

では 先生 お願いします

はっ

では これより 龍賀時貞様の遺言いごんによる

龍賀家を継ぐ 新たな当主の指名を 行わせていただきます

“現当主 龍賀時貞として”

“以下のように 子孫たちに申し渡す”

“一ひとつ、我が跡を継ぎ 新たな龍賀家当主には”

“長男 時麿を指名する”

くっ…!

“一ひとつ、時麿は長田時弥を養子とし”

“時弥の成人後は 時麿に代わり”

“時弥が当主の座に就くものとする”

僕が? 時弥!

“一ひとつ、龍賀製薬の社長は 克典のままとする”

“ただし 妻 乙米を会長とし”

“社の方針に関する 一切の最終決定権は”

“乙米が持つものとする”

以上です

以上!?

バ… バカな! ウソだ!

私は龍賀家の発展のために これだけ尽くしてきたというのに!

お義父とうさんは 私に後事こうじを託すと おっしゃっていたんだ!

フン

お父様の口約束を 真に受けるなんて…

よこせ! それはニセモノだ!

何を なさいます!

そんなことより あたしの取り分は?

ワシら分家衆は?

ワシらには何もないんですか?

おい 邪魔だ! この野郎!

あ…

沙代さん

水木様

助けてください

むろん 僕は 克典社長の味方です

おお?

とと様…

あっ…

まろは… まろは寂さびしゅうござります

とと様が おらねば まろは…

まろは…

とと様~っ!

一族の者は お籠りを始めるように

兄さん!

今のって そういうことよね?

あなたに務まるんでしょうね?

まろは ひたすら とと様のもとで修行に務めてきたのだ

嫁取りも許されず

お願いしますよ 本当に

沙代 何してるの? いらっしゃい

失礼します

お母様

とと様…

何だったんだ?

東京から来た客って あんたかい?

ヒヒヒ…

よいしょっと… 案内しろってさ

ついてきな~

ハァ…

このままでは東京に帰れない

しかし 克典社長も詰めが甘い

当てにした俺も甘いが…

フーッ

あれから10年

せっかく拾った命だ ムダには できぬ

ハァ ハァ ハァ…

突撃!

うおおー!

殺せ! 殺せ!

俺を殺せ~!

あっ…

ハァ ハァ ハァ…

あああ~っ!

誰か! 誰か~!

ご当主様が お籠りのお社やしろの中で!

あっ

あ…

ぼ… 坊っちゃん?

うわあ~っ!

たた… 助けて~!

うわっ!

ああ… ひいっ!

時麿兄にい!

どうしたことだ これは

たたりじゃ

たたりじゃ たたりじゃ…

哭倉なぐら様の…

ううっ

ううう…

お屋敷の方々

怪しい よそ者もんがいたんで

ひっ捕らえてまいりました

ほれ! 早く上がってこい!

あっ…

ゲゲッ! うわ~っ

そいつじゃ! そいつの仕業しわざじゃ!

そいつが ご当主様を 殺あやめたんじゃ!

そうじゃ そうじゃ! そいつの仕業じゃ!

ずいぶん乱暴な村じゃのう

ワシは 争いごとは嫌いなんじゃよ

どうじゃ ここは ひとつ 皆で湯にでも入って のんびりと…

こいつ! ふざけたこと言いやがって!

村に災いを持ち込んだのは この者でしょう

よって その咎とがを祓はらいます

祓う?

えっ?

ああ…

ヤア~ッ!

やめろ~!

ちょっと待ってください

暴力は いけません 暴力は

それに その男が犯人と 決まったわけでは ないではないですか

日本は法治国家ですよ

冷静になりましょう

あ…

社長!

ん? うん…

冗談は そのくらいにしたまえ

東京の客人が驚いている

へえ… すみません

警察を呼びましょう

すべて警察に任せるべきです

警察は来ません

先ほど 報告がありました

崖崩れで 麓ふもととの連絡が 途切れたそうです

そうですね? 長田

はい 奥様

ま… 間違いねえです

んだんだ

昨日の龍哭りゅうこくのせいでしょう

りゅうこく?

あれか…

あっ それでは―

僕らは この村に 閉じ込められたということですか?

時麿さんを殺した―

何者かと一緒に…

入れ!

水木様には 以後 この男の監視を お願いしたく存じます

僕が?

あなたの言葉で この男の処遇が決まったのです

目を離すと心配でしょう?

いや それは…

のちほど 布団を運ばせます

クソッ

お前 何者だ?

名前は?

名乗らないなら…

ゲゲッ!

“ゲゲ郎ろう”と呼ぶぞ

1本 くれんか

フーッ

やだね

やはり

私わたくしには…

あっ 奥様!

ハァ…

あの2人は?

私のもとに

頃合いを見て 始末します

フーッ

会社の連中に 気取けどられないように

心得ております

ちょっと惜しいわね~

東京の男 佐田さだ啓二けいじみたいでさ

丙江さん!

わかってますって

もうムダ使いしませんから

ハァ… 一体 何者が あんなことを!

窖あなぐらが騒がしくなっています

このままでは もって3日ほどかと

3日…

やはり 時弥に 継がせるしかありません

お姉様

あの子は このところ 体調が思わしくありません

あなたの管理が至らないのです!

いいですね 3日以内に 時弥を連れてくるのです

さもなくば…

ハァ…

時弥くん

まだ 秘密の話だけどね

もうじき東京に 世界一高い電波塔が できるらしい

すごい! 日本が世界一だなんて

ゴホッ ゴホッ…

大丈夫かい? さあ 約束だよ

もう布団に戻るんだ

おじいさまが亡くなってから ひどいんだ

時麿おじさまも亡くなったし 次は 僕の番かもしれない

バカな! 今は科学の時代だよ

おじいさまたちに不幸があったって 君には関係ない

世界一の電波塔 見られるかな?

もちろん見られるとも!

電波塔だけじゃない

日本は これから どんどん豊かになる

時弥くんが大人になる頃には 戦争も貧困も なくなって

どんな病気だって治せるような そんな幸せな国になるんだ

ホント? ああ

おじさんも そう思う?

ゲゲ郎じゃよ

そこの男には そう呼ばれておる

ゲゲ郎さん?

あっ おい!

ホントに そんな未来が 見られるのかなぁ?

そうじゃなぁ

トキちゃんたち 明日を背負う 子どもたちが本気で願うなら

そういう時代も 来るかもしれんの

じゃが…

じゃが?

じゃが 変化を望まず 恐れて つぶそうとする者もおる

その せめぎ合いで 時代は紡つむがれてゆくのじゃよ

ごめんなさい よくわからないや

子ども相手に そんな話はなしして どうする?

“おためごかし”より マシじゃ

おい! おためごかしとは 何のことだ!

おためごかしは おためごかしじゃ

何だと!

う… うん! 難しいってことは わかったよ

でも だったら より 頑張り甲斐がいがあるってことだよね

聡さとい子じゃ

ありがとう まずは元気にならなくちゃね!

うん また明日の

子どもに気を使わせちまった

しかし 子ども相手だと よく しゃべるじゃないか

話してもムダな相手とは 話さぬだけじゃ

ご当主殺しが お前でないなら

何をしに こんな山ん中の村まで 来たんだ?

話したら そこから出してやる

ん?

本当か?

俺は ウソは つかん

お互い この村じゃ よそ者同士だ

腹割って話そうや

う~ん

やれやれ 仕方ない

チョロいな

ワシは捜し物をしに来たんじゃよ

捜し物? まさか“M”か!

エム? 何じゃ それは?

違うなら いい

捜しているのは ワシの妻じゃ

なんだ お前 カミさんに逃げられたのか

違うわ!

ある事情があっての

生き別れに なってしまったんじゃ

もう何年も捜し続けておる

おっ…

どれどれ?

美人だ

しかし なんだって この村に?

旧ふるい仲間から

この辺りで 妻の気配を感じた という知らせがあったんじゃ

気配ね

こいつは ただの負け犬だな

何の役にも立つまい

話したぞ 出してくれ

あ?

ああ 明日な

騙だましたのか?

確かに お前は 人殺しでは なさそうだ

お人ひと好よしすぎる

待て!

ヤア~ッ!

ハアアアーッ!

ハッ!

ハァ ハァ ハァ…

ん?

えっ? ちょっと… 何だ これ ゲゲ郎!

逃げやがったのか? ゲゲ郎!

おっ…

どうやったんだ あいつ

しかし…

バレる前に捕まえないと!

なるほど

ゲゲ郎!

ゲゲ郎!

あっ… もう1人 いなかったか?

ほう 見えたか

おぬしも入るか?

そこから出るんだ!

一体 どうやって 抜け出しやがった?

あの程度 簡単じゃよ

牢破ろうやぶりか

俺は今日 お前を解放してくれるよう 頼みに行くつもりだったんだぜ

あっ

クソ… 晴れてきやがった

時間がない

少しの間 俺の言うことを聞いてくれ

頼む

フゥ… 仕方ない

いい湯じゃったのに

ハハッ 恩にきるぜ

あっ… 何だ 今の?

祖先の霊毛れいもうを編んだ 組くみ紐ひもじゃよ

はあ? お前 奇術師きじゅつしか?

まあ ともかく 話をしてくるから お前は この辺に隠れてろ

承知

おとなしくしてろよ

早はよう行け

とんだ邪魔が入りましたな

失礼いたした

とは言ったものの

どう切り出したものか…

ん?

あれは…

誰だ?

叔父の孝三こうぞうです

沙代さん!

孝三…

確か 時麿様の弟君おとうとぎみ

おとといは お見えになりませんでしたが…

叔父は 心を なくしてしまっているんです

10年ほど前

この村に伝わる ある“禁”を 犯したせいで と聞いています

禁?

ん? あら~?

あの島…

あそこは何人なんぴとも立ち入ってはならない 禁域とされているんです

でも 叔父は…

そんなことより 水木様

東京のお話を 聞かせてくださいませんこと?

東京の? さて…

銀座のパーラーに行かれたことは?

ええ ありますよ

クリームソーダを喫きっしました

クリームソーダ! ああ すてき

この村には お茶屋さんすら ありませんのよ

村を出たことは?

いいえ 一度も

今度 時弥くんと一緒に いらっしゃい

私わたくし あなたと行きたいですわ

えっ?

なんだね もう勝手に仲良くなっていたのか

君も 隅に置けんなぁ 水木くん

いえ… 別に そういうことでは

そうです お父様ったら

すまん すまん

だが 父親としては気になってな

実際のとこ どうなんだ?

知りません

社長 その 僕は決して…

いや かまわんよ

事と次第によっては 本当に あれをくれてやる

龍賀の名と共にな

えっ…

少し いいかね

わかった

あの男の処遇については 君の責に任せよう

ありがとうございます

実際 私は 時麿殺しは身内の犯行だと思うとる

もちろん 私ではないがね

お身内の?

おっ…

ヘヘッ 東京でも こんな酒は手に入らんだろう?

クサいのは長田家よ

時弥の当主就任を早めて 龍賀のすべてを乗っ取るつもりと みた

そこでだ 水木くん

私に力を貸してくれないか?

これは…!

やはり知っていたか

特定顧客のみに卸おろされ

龍賀の富の源泉でもある 血液製剤“M”

フーッ

製品にする工程は 東京で やっている

だが 精製前の原液は この村で作られているらしい

らしい?

そう

原液の製法や 製造場所は

社長である私にも 秘密にされているのだ

結局 龍賀の生まれでない私は

いつまで経っても よそ者扱いなのだよ!

このままでは 会社は私の手から奪われてしまう

Mの秘密を手に入れなくては… だ

それを 僕に探れと?

君も知ってのとおり この村の連中は 血の気が多い

しかし 君が 我々と同じ側に来る気があるなら

覚悟を見せてくれ

わかりました お引き受けします

ゲホッ ゲホッ…

ハッハッハッハッ…

では よろしく頼むぞ

ハハハハハ…

チクショー! バカにしやがって!

まあ いい

もとより アレの謎解きは こっちも望むところだ

うまく立ち回れば… ヘヘヘッ

あっ

あの野郎! 禁域に…

ゲゲ郎 引き返せ! ゲゲ郎!

クソッ!

こら 戻れ!

ひゃ~ ごめんなさい!

えっ?

んっ!

クソッ この!

あ~ ダメダメ そんな漕こぎ方じゃ

手本を見せてくれ!

なんで俺が?

頼むぜ 先生

先生?

先生? 僕が?

ヨ~ソロ ヨ~ソロ

あの島までだ

えっ あそこは…

駄賃は はずむぜ

へい! ヨ~ソロ ヨ~ソロ

ここで待っててくれ

あっ… 何だ?

ゲゲ郎!

ハァ ハァ ハァ…

ハッ!

窖あなぐら…?

ううっ… うっ…

何だ ここは?

ハァ ハァ…

ああっ あっ

ハァ ハァ ハァ…

しっかりせい 水木!

荒事あらごとは よすのじゃ!

お鎮しずまりくだされ 皆の衆!

退散するぞ

ひい~っ!

わあっ!

おかげで助かりましたぞ

さすが幽霊族! 顔が広いぜ

幽霊?

それはそうと ねずみの…

ギクッ!

今度は何を企たくらんでおる?

やや… やだなぁ

僕は心機一転 田舎でやり直そうと…

大変だ~!

今度は丙江様が!

あっ…

丙江! 丙江~! 奥様!

ふむ… 人間の仕業とは思えんの

待てよ!

人間の仕業じゃないなら 何の仕業だってんだ?

この村は 一体 どうなってる?

あの島のバケモノたちに カッパみたいな生き物

それに…

それに“幽霊族”って何なんだ?

この村だけが おかしいのではない

あの島に いたのは

おぬしら 人間が “妖怪”と呼ぶ存在じゃ

妖怪? 妖怪だと?

妖怪は どこにでも おるぞ

おぬしが生まれた時から おぬしの周りにも無数に おった

ただ おぬしが 見ようとせんかっただけじゃ

よせ… ウソだ!

そして ワシら幽霊族も また

妖怪のようなもんなのじゃ

つまり お前は 人間ではないのか?

遡さかのぼれば…

人間たちの歴史より古く ワシらは この世界にあった

しかし 長い時の中で

人間が増えるにつれ

ワシらの生活圏は奪われていき

ついに 人間たちに追われ 狩られて数を減らしていったのじゃ

今や ワシと妻が 最後の2人となってしまった

人間に…

なぜ俺を助けた?

憐あわれみをかけた

この野郎!

くっ…

妖怪の話は ガキの頃 子守のばあさんに よく聞かされたぜ

まさか ホントに いたとはな

目で見るモノだけ 見ようとするから 見えんのじゃ

片方 隠すくらいで ちょうどいい

ハァ ハァ…

助けて おじいさま…

ハァ ハァ…

実は 俺も この村で探してるものがあるんだ

南方なんぽうにいた頃 ある噂うわさを聞いた

いわく 国力が劣る日本が 日清 日露と勝利できたのは

すさまじい力を持ち

何日も飲まず 食わず 眠らずで 戦い続けることができる―

不死身の部隊の おかげであり

その不死身の秘密とは “M”と呼ばれる薬にあったと

不死身?

その時は よくある 戦場の お伽話とぎばなしだと思った

しかし…

“M” これが あの…

さすがに不死身とまでは いかんが 効果は絶大

ぜひ我が社でも量産したい

やはり 軍隊向けですか?

企業の戦士たちだよ 水木くん

戦争は まだ続いているのだ

そんなもの ありがたがる人間の気が知れぬわ

Mのおかげで 日本は焼け跡から 奇跡の復興を遂げつつある

皆が こいつを打って働けば

日本は世界一 豊かな国になるだろう

ゲゲ郎 俺と手を組まないか?

ふむ…

この村は 人間も妖怪も 何か秘密を隠してる

そこに 俺たちの探してるものも 関係あるに違いない

暴あばいてやろうぜ

我が妻の行方と 不死の妙薬か

よかろう

よし! 交渉成立だ!

ただし…

何を見ても 逃げるでないぞ

フン お前こそ

もう一度 あの島に 上陸できないだろうか?

問題は あの窖あなぐらじゃよ

旧ふるい結界が封をしておったが ほころびが見られた

そこから わずかに漏れ出た力に 当てられ

あそこの妖怪たちは おかしくなってしもうたんじゃ

あっ…

ヘヘヘ…

こら~っ!

その力ってのは?

怨念おんねんじゃよ 非常に強力な

おそらく その正体は

妖怪“狂骨きょうこつ”

狂骨?

殺され 井戸に うち捨てられた―

死者の怨念から生まれる妖怪じゃ

あの窖あなぐらそのものを 井戸と見立てると しっくりくる

あれほどの力を持つには 数百年は かかろう大物じゃぞ

時麿たちを殺したのも?

わからぬ

結界がある以上 あの島からは出られぬはずじゃ

村に“依代よりしろ”でも おらぬ限りはな

ああ…

窖あなぐら?

何か いわくなど ご存じないですか?

あの島に行ったのですか?

いえ… はい

私わたくし うれしかったんですのよ

あなたに呼び出されて

けれど あなたの目的は

私わたくしたち 龍賀の秘密を 探ることだったのですね

いえ 僕は あなたや時弥くんを 守りたいのです

この村では 何か恐ろしい怪異かいいが…

水木さん 1つ 約束をしていただけませんか?

そうしたら 私わたくしが知ることを お教えします

約束… ですか?

私わたくしを ここから連れ出してください

“連れて”って… どうして?

東京では 女も自由に 生きることができると聞きました

ここでは それは無理

僕は ただの勤め人です

財産もない 地位もない

あなたの望みを かなえる力は…

私わたくしは あなたの気持ちを 伺っているのです

できるか どうかではなく

あなたが私わたくしと共にいたいと 思ってくださるか どうか

私わたくしには それだけが問題なのです

わかりました

あなたが望むなら 僕が外の世界に お連れします

うれしい!

きっとですよ 水木さん

ああ… 沙代は幸せ者です

やっと運命の人に 巡り会えたのですから

沙代さん…

ごめんなさい

少し はしたないですね

あの窖あなぐらについて?

は… はい

いわくなどは 特に…

孝三さんが入ったことある との話ですが どうやって?

屋敷の地下には あの島に通ずる鍾乳洞しょうにゅうどうがあるのです

地下で つながっている!?

屋敷の どこに?

成人するまで 教えてもらえないので 私わたくしも…

ごめんなさい

孝三さんから 直接 話を聞けないだろうか?

お話できる状態か どうか…

でも それが 水木さんの望みなのでしたら

何とか してみます

私わたくし自身でも調べてみますわ

あなたも 私わたくしの望みを かなえてくださるのですから

このままでは 私わたくしたちは皆 殺されてしまう

あと1日しか ありません 今すぐ時弥を…

時弥は あなたのものでは ありませんわ

は… 母親は私なのですよ

わきまえてほしいですわね お姉様!

庚子…

フフ…

フーッ

ここに おったか

少し 考え事をな

墓場で考え事とは 趣味が良い

よければ付き合わぬか?

ああ うまい

じゃろう

山向こうのカラス天狗てんぐが 仕込んだ逸品じゃ

ほう 天狗の酒か

で… 話は何だ?

何か言いたいことが あったんだろう?

ふむ…

あの娘 沙代嬢ちゃんへの おぬしの態度のことじゃよ

盗み聞きとは趣味悪い

あの子は本気じゃぞ どうするつもりじゃ?

どうもしない! できるはずもない

夢見がちな少女の 一時いっときの気の迷いさ

じきに目が覚める

人の真剣な気持ちを もてあそぶな

それだけは やっちゃいかん

おぬしは本当に 誰かを愛いとしいと 思ったことはないのか?

俺に そんな器うつわはない

南方で俺は見たんだ

お国のため 銃後じゅうごの家族を守るためと 来たはずなのに

ただ 自分の都合や 面子めんつのためだけに

理不尽に部下を打うち据すえる 上官たちに

どう見ても意味のない戦いに 駆り立てられて

何人もの仲間が死んでいくのを…

戦争が終わって 夢にまで見た内地に戻ってきたら

おふくろは 死んだおやじの 親戚連中に騙だまされて

なけなしの財産を すべて失っていた

街は 餓死者や戦災孤児で あふれる一方

戦争を指導した連中は 隠匿いんとく物資を横領して 贅沢三昧ぜいたくざんまいだ

俺は思ったよ

戦場も故郷も関係ない

弱い者は いつも食い物にされて 馬鹿を見るんだ

だから 俺は力が欲しい

誰にも踏みつけられない力を!

そのためなら 何だって やってやる!

他のことは 俺には…

そうか

おお すまんの

おおっ!

あ…

“つるべ火び”か…

ワシは ずっと 人間が大嫌いじゃったよ

憎んでおった

じゃがな 妻は人間を愛しておった

愛? こりゃまた 大仰おおぎょうな言い草だな

妻が好んで使っておったのじゃよ

そして ワシから見ても

なるほど 妻は 愛にあふれた女じゃった

人間の弱さ 愚かさを

憐あわれみ 慈いつくしみ そして愛した

愛して 信じ

常に 彼らと 共にあろうとしたのじゃ

それは もう きれいな女じゃったんじゃぞ

ううう… お前 泣き上戸じょうごか

人里 離れて 暮らしていたワシと違い

妻は人間の社会に交まじって 生きておった

今でも思う

もし彼女と出会わなければ ワシは今頃 どうなっていたか…

よいか 水木よ

おぬしにも いつか必ず 自分より大事なものが現れる

その時 今まで 自分には見えていなかったものが

また見えるじゃろう

そんな日が 俺にも来るのだろうか?

来るさ

誰しも いつかは 運命に巡り合うのじゃ 必ずな

ん?

奥さん 見つかるといいな

ああ

フーッ

クソッ 飲みすぎた!

兄さん 兄さん!

よっと… お嬢さんから おことづけだぜ

沙代さんから?

早速 手配してくれたんだ

ほう で… 何と言ったか その男?

孝三さん

ああ…

ハッ!

うああ~っ!

孝三様

結界が!

ひいっ! た… 助けて…

孝三さん! 危ない!

あっ…

あんた 大丈夫かね?

ゲゲ郎

これ…

あんた この者と 会ったことがあるのか?

知らない 何も…

知らぬはずは あるまい! どこで会った?

この者は どこにおる?

それは 僕の夢に 出てくる人なんだ

夢などでは ない!

この者は 我が妻なのじゃ!

落ち着け ゲゲ郎!

どこじゃ? どこにおる?

知らない 許して…

この!

孝三様は ウソは言ってませんよ

その絵の女性は 孝三様の記憶にない想おもい人びとなのです

長田さん

あの窖あなぐらに捕らわれた その女性に懸想けそうした孝三様は

一族を裏切り 彼女を解放しようとしたのですが

試みは失敗しました

龍賀に仕える“裏鬼道うらきどう” その術に襲われて

裏鬼道?

ううっ…

孝三様は心を破壊されて 記憶を失ってしまったのです

龍賀の者でなければ 命も落としたことでしょう

陰陽師おんみょうじの一派“鬼道衆きどうしゅう”

その中でも外法げほうを操り 破門されし者たち

裏鬼道

龍賀に拾われておったか

我ら 幽霊族を狩ってきた 外道ども!

何!

あなたが あの女と 夫婦めおとであったとは驚きましたよ

すっかり狩り尽くしてしまったかと 思っていましたからね

うれしい驚きです

水木よ 下がっておれ

あ…

フンッ! ハアッ!

ヤアッ!

フッ フッ フッ!

ハッ!

うあっ!

ハアッ!

うああっ!

ハアッ!

うああっ!

フンッ!

フッ フッ フッ!

フンッ!

ぐっ! ううっ!

おおっ!

ううっ!

ウアアアッ!

ハアッ! フッ! ハアーッ!

ウアアアッ!

ハアアッ!

フンッ!

うっ…

ハッ! ハアッ!

フンッ!

うわっ…

ハアッ! ううっ

ハアアッ!

うわっ…

ううっ…

うっ!

あああっ…

ああっ!

さすがは幽霊族

それでこそ 我らの術も 生きるというものです

唵おん!

ひいっ! 出た~っ!

狂骨!

狂骨だと? どういうことだ!

ただの狂骨では ありません

より強力な力を 持っているのですよ

何!

うわっ!

ううっ… うっ…

お前… たちは…!

吽うん!

ああっ

あ…

よくやってくれました 長田

妻を返してくれ…

ワシは どうなっても かまわん

頼む 妻を自由にしてくれ

このとおりじゃ

自由? バケモノのくせに自由ですって?

笑わせないでちょうだい

地下に潜もぐって モグラ同然だった幽霊族

その血に価値を見み出いだして 居場所を与えてやってきたのは

我ら 龍賀一族なのですよ

お前が あの女と夫婦めおとだというなら ちょうどよい

つがわせましょう

子どもをつくりなさい

そうか

やはり“M”とやらの材料は 我ら 幽霊族の血じゃったか

えっ…

何!

不死の妙薬…

まさかとは思ったが 貴様ら

ワシの妻からも血を奪ったのか!

ええ… 今 この時も ずっと

貴様~っ!

唵おん!

ううっ!

フーッ 少し しつけが必要なようね

ウウッ!

オラァ!

フンッ フンッ フンッ!

ううっ…

やめろ! やめてくれ!

フーッ

乙米さん!

フンッ!

ハアッ!

ハッ…

水木とやら

その首 つながったまま 東京に帰りたければ

この村で見たことは すべて忘れなさい

気に病むことはない

これは すべて お父様の夢のためなのです

この国を あの屈辱的な敗戦から 立ち上がらせ

再び世界に君臨させる

我が龍賀は その崇高な義務のある者なのです

大義のための犠牲となるなら 幽霊族も本望ほんもうでしょう

少尉 ここからは 俺に代わって指揮を執とれ!

はあ… どうした?

参謀殿は

我々と共に死んでくださるのでは なかったのですか?

俺は お前たちの最期を 兵団長閣下に報告する義務があるのだ

な… 何だ お前たち

さては 玉砕ぎょくさいの心が揺らいだか!

お… お前たちは 大義のために死ぬるのだ!

本望ほんもうだと思え!

そちらの社長さんには よしなに

情けない…

お嬢様 お呼びですか?

お嬢様?

これを水木さんへ

何です?

時麿おじさまの日記です

沙代さん

早く! それに水木さんの 知りたかったことが書いてあります

行って!

あいよっ

沙代さん ここ 時麿兄さんの部屋よね?

何をしてるの?

庚子おばさま

どうか このことは 母には黙っていていただけませんか?

ダメよ

時弥が当主になったら この家は私たちのものですもの

それが あなたでも 乙米姉さんでも 勝手は許さない!

フフフ…

ああ…

長田 もう時間がありません

幽霊族の男は工場へ

それから 村の者たちに

時弥の当主継承の儀の準備を 進めさせるのです

庚子が何と言おうと やらねばなりません!

承知しました 奥様

沙代も連れてきなさい

あの子は時弥と妻合めあわせ 今度こそ 次の当主を産ませますから

はっ

ホントに残念だわ

あの子が ちゃんと お父様の子を身ごもっていれば

さぞや 力の強い跡継ぎが 生まれていたでしょうに

はあ?

沙代さんが?

時貞の…

あんた 何を言ってるんだ?

そういえば お前に克典が 何か言っていたようね

忘れなさい

沙代も龍賀の女

龍賀の女には 優れた霊力を持つ子孫を産むために

当主に身を捧げる 栄はえある務めが あるのです

み… 身を捧げるって まさか…

うう…

ゲホッ ゲホッ…

そうか

だから 俺なんかに…

最悪だ

ここまで醜悪な一族に 憧れていたなんて

自分が腹立たしい

あんたたちは人間じゃない!

長田

その男は 土蔵にでも放り込んでおきなさい

はっ

兄さん

兄さん!

おい 目を覚ませよ!

うう…

捜したぜ 兄さん

お嬢さんから預かりものだ

あっ…

うああっ! 何だよ これ!

そりゃ ただの村じゃねえとは 思っていたけどよ

村ぐるみで イカれてやがるぜ こいつら

まったく 人間ってヤツは…

この日記を持って帰れば 俺の任務は完了だ

お… おい!

すべて頭に入れた

そ… そうかい

俺はズラかるぜ

しばらく人間界は うんざりだ

あばよ!

水木さん…

沙代さん

ハッ!

庚子おばさま まで…

ああ…

キャーッ!

水木さん もう限界です 早く逃げましょう!

この村は呪われているんです!

しかし 外への道は…

あれは 母がついたウソです

この村を孤立させるための

何だって!

母にとっては この村が すべてなんです

私わたくしは そんなのはイヤ!

だから…

わかった 東京へ行こう

幽霊族の血を 直接 人間に輸血すると

生きたまま 屍しかばねになってしまう

屍人しびとから採った血を精製することで “M”を作るのです

それが 龍賀の秘伝

村人を いけにえにしたのか

村の者たちは

屍人にする人間を さらってきて 世話をするのが役目

村ぐるみとは 重い因果を背負わせたものじゃ

手足は必要ない 切り落として

はっ

お前は これから ずっと ここで飼われ続けるのですよ

フフフフ…

まずは右腕から

ハハハハハッ…

やめろ…

声をあげても 誰も来ない

いくぜ!

あ…

ハハッ ハハハハッ

ハア~ッ!

ん?

水木!

ハッ!

その男を放せ! さもなくば…

お母様 助けてください!

沙代! なぜ お前たちが ここに?

あっ…

水木さん?

あなたは 先に行ってください

僕は あとから きっと追いかけます

幽霊族の人を助けに行くの?

このまま逃げたんじゃ あいつに笑われますからね

そいつは 癪しゃくだ

ならば 私わたくしも行きます

どこまでも あなたと共に

お前に沙代が殺せるの?

殺せるさ! 俺は兵隊上がりだ

ハハッ ずいぶん仲良くなったこと

さすがは龍賀の女

狂言は おやめなさい 沙代

その男が本気で お前のことを想ってくれるとでも?

知っているのですよ

お前が お父様の お気に入りだったこと

ハッ!

ん…

あ… ああ…

ハハハハ…

お前は この里でしか 生きていけないのです

そうさせたのは お前たちだろ!

だから 沙代さんは

妖怪に とり憑つかれてしまったんだ!

そのせいで 何人もの人を…

ハッ…

まさか 沙代…

お前が?

フッ フフフ…

そっか… それも知ってたんだ 水木さん

ゲゲ郎と付き合ううち 俺は見えるようになってしまったんだ

見えないはずのモノ

見えないはずの世界が…

時麿おじさまは 当主になった途端

私わたくしに おじいさまと同じことを しようとした

丙江おばさまは

水木さんに おじいさまとのことを 黙っていてほしければと

私わたくしを脅してきた

だから…

庚子おばさままで

私わたくしを邪魔しようとした

本当は 誰も私わたくしのことなんて 見てなかったくせに

見ていたのは 龍賀の名前と血 ただ それだけ

私わたくしは 一族の道具じゃない!

僕も同罪だ

龍賀一族に近づくために 君を利用しようとしたんだ

それは どんなことをしても償う

だから こんな村を出て 東京へ行こう!

イヤよ!

私わたくし 本当は知ってたの

東京も この村と同じ

どこにも自由なんてない!

でも あなたなら…

あなたならって信じてたのに

私わたくしのことを見てくれるって

しっかりしなさい 沙代!

お前は 栄はえある龍賀の…

仕方がありません

忌まわしき龍賀の呪いを 受けし者として

すべて終わらせましょう

この村も 龍賀も 私わたくしも…

ああっ!

狂骨!?

唵おん!

何!

バカな…

沙代! 使役しえきすべきバケモノに 操られるとは 何事です!

いいえ お母様 操っているのは 私わたくしのほう

さあ 恨みを持つ者たちよ 力を貸して!

ハアッ!

ああっ 一体…

ああっ…

ハアアッ!

ハッ…

死ね!

ギャーッ!

ああ~っ!

フンッ! ヤアッ!

ううっ!

お許しを…

ウオッ! ウオッ!

うあああ~っ!

長田 助けなさい! 長田!

奥様! 乙米様!

あああ…

ああっ ああっ…!

ああああーっ!

あ…

んっ!

うう… あっ ああっ…

あああ…! ああああっ!

かはっ…

ああっ… ゴホッ ゴホッ

バケモノ… うう…

水木… さん…

沙代さん

イヤ…

イヤ!

ハッ!

ああっ…

沙代さん!

沙代さん!

すまない… すまない!

んっ!

んっ!

悪いな 遅くなった

待っておったよ

窖あなぐらは この先だ

行こうぜ うむ

ハァ ハァ ハァ…

ハァ ハァ ハァ…

んっ!

あっ

うっ! ああっ…

ここが窖あなぐらの底じゃな

ここが?

桜…

あっ…

水木!

時貞翁!

ここは 人間には危険な所だよ

時弥くん! どうして君が ここに?

貴様 何者じゃ?

何 言ってんだ あれは…

僕だよ 時弥だよ

僕だよ

時弥だよ

時貞!

ほう 魂の姿が見えるか

いかにも!

余こそ昭和の天下人てんかびとにして

薬学の天才 稀代きだいの大術者

龍賀時貞 その人であ~る!

ハッハッハッハッハ

ハッハッハッハッハ…

どういうことだ? 時貞は…

だまらっしゃい! 口の利き方に気をつけよ 青二才

幽霊族…

よう来たのう

自ら いけにえに なりに来たか

ハッハッ…

悪霊め 外法を使ったな

トキちゃんの魂を追い出して 身体からだを奪ったか!

身体を…

奪う?

時弥のヤツ 思いの外ほか 抵抗しおって

少々 手間取ったわ

あやうく この結界も 壊れるところであった

今頃 余に代わって 地獄で 獄卒ごくそつどもに いじめられとるだろう

ハッハッハッハ

自分の孫だぞ…

齢よわい80を超えて 余は日々 嘆いておった

時麿を始めとして 余の子どもたち

いや 今どきの若造どもは ことごとく愚かで ふがいない

こりゃ まだまだ この国は 余が教え 導いていかねばならぬ

そこで ひそかに 魂移まぶいうつしの外法を使って

よみがえることに したのよ

時弥は その器とするため つくった子だわい

なんと! 魂を もてあそぶとは…

龍賀時貞

あんなヤツのために 沙代さんは…

ああ! 沙代は惜しいこと したのう

じゃが 代わりは いくらでも つくれるわい

ハッハッハッハ

てめえ!

待て 水木! よく見よ

うわっ… あっ ああっ

きょ… 狂骨!?

これほど多くの命が 奪われておったとは…

こやつらはのう 幽霊族の怨念から生まれた狂骨よ

えっ…

気付いたか? この窖あなぐらの結界

その正体は 呪詛じゅそ返しじゃ!

幽霊族の怨念を集めて 幽霊族に返す

ハア~ッ!

幽霊族のお前に 勝ち目はないぞ

我が妻は どこじゃ?

そう慌てるでない

せっかくだから 桜でも愛めでよ

妖樹血桜ようじゅちざくら あの花の紅べにはのう

お前の女房の血じゃ!

えっ…

あっ! くっ…

ゲゲ郎!

これは…!

ああ… ハァ…

皆 ワシの同胞たち… 幽霊族の亡骸なきがらじゃ

この中に ワシの妻も…

何!

クソッ!

んっ!

血桜は その霊力により 囚とらえた者を できるだけ永ながらえさせ

血を吸い続けることができる

そのため 囚とらえた者たちの苦しみは 永く続き

その怨念は 強い狂骨を生む

う~ん 芳醇ほうじゅんな香りだわい

どこじゃ? どこに おる?

底辺を這はいずり回る人生か…

みじめじゃのう

人間 ああは なりたくないわ

ハァ ハァ…

かはっ…

チクショー… 体が…

やれやれ

それ以上 桜を傷つけるな 無粋ぶすいなヤツらめ

今 会わせてやるわい

お前!

えっ…

ヘッヘッヘッ…

元は大した美形だったがな

血を採りすぎてしもうたわ

ハァ ハァ ハァ…

あ…

あなた…

ずいぶん長い間 独りにさせてしまったの

すまぬ…

フフッ

相変わらず 泣き虫ね

独りじゃなかったわ

えっ…

アハハ…

ん? おおっ!

さては お前 子を宿しておったか!

ダッハハハ! これは手間が省けて ありがたい

さすがは幽霊族!

我が子を守るため 身ごもり続けておったとは!

気色の悪いバケモノめ! してやられたわ

だが 残念

その ややこは 余のものである!

ダッハッハッハ!

これで“M”も大増産!

日本の未来は明るいわ~!

ハッハッハッハ~ッ!

未来を語るな!

貴様に 命をあずかる資格は ないわ!

フン…

少し しつけが必要だな

思い知るがよい

唵おん!

ああっ…

ううっ!

ああっ…

ウウッ!

フンッ!

ううっ! うわあ…!

フンッ!

かはっ…

勝ち目はないと 言うたであろうが

余としても 貴重な幽霊族を殺しとうはない

腹の ややこのためにも 諦めよ

諦めて 親子3人 余に飼われるがよい

どうせ カスのような人生じゃ

そのほうが 人の役にも立つわなぁ!

ハッハッハッハッ…

諦める?

イヤだね

ワシは諦めが悪いんじゃ

ん?

そして それはワシの相棒もな!

ああ…

ほう… この窖あなぐらで まだ動けるか

ああ…

んっ… ううっ…

余を倒せば 狂骨が お前たちを殺して 外に飛び出るぞ

ハァ ハァ…

会社を2つ 3つ持たせてやろう

余の配下となれ

会社を持つ?

もっと いい服を着ろ

御殿ごてんに住んで 運転手付きの高級車に乗れ

美酒に美食 美女を たっぷり味わえ

これぞ人生ぞ!

あ…

時貞翁

ん?

あんた つまんねえな!

あっ!

覚悟しやがれ!

狂骨!

うおおお~っ!

ヒャーッ!

あ… アホ!

こ… これを壊したら 狂骨が暴れて…

国ごと滅ぼすぞ!

ハッハハハ!

ツケは払わなきゃな!

あああ…

ああっ…

ああ…

うう…

ゴホッ ゴホッ

かよわい年寄りを…

助けてください…

貴様は もう死ぬことはできぬ

ああっ あああ…

あっ ああ… はあっ

ああああ~っ!

その苦しみは永遠に続くぞ

うあああ~っ!

助けて… 助けて~!

くっ…

フンッ!

ううっ… うっ…

んっ!

おおお…

おおお…

おおお…

ご先祖様…

うっ うう…

終わったのか?

一度 生じた恨みの念は 簡単には消えぬ

怨念は 怨念を呼び 狂骨を生み続ける

じきに 結界は破れるじゃろう

結局 すべて狂骨どもの 思いどおりとなってしまった

ああっ

これを着ておれば

狂骨どもに やられても

心を失うことは あるまい

水木よ 我が妻と子を頼む

この呪われた村から 外へ逃がしてくれ

お前は どうするんだ?

怨念を引き受けよう

大丈夫なのか?

わからぬ

じゃが やらねば狂骨は増え続け 国を滅ぼすこととなる

いいじゃないか! やらせとけ!

お前が犠牲になることは ねえんだ!

我が子が生まれる世界じゃ

ワシが やらねばならぬ

それに…

ハハハ…

アハッ… アハハハッ!

どけ!

おおっ… うあっ!

約束しろ

絶対に生きて戻ってくると

ああ また会おう

必ずだぞ

早はよう行け

ハァ ハァ ハァ…

うっ…

それに…

うううっ! うっ…

それに 友よ

おぬしが生きる未来

この目で 見てみとうなった!

うう… ううっ

うっ!

さあ 来い! すべての恨みを持つ者たちよ

今より ワシが新たな依代よりしろじゃ!

やはり…

ワシ1人で押さえ込むのは 無理か…

我が子よ…

ギャーッ!

ウウ~ッ!

ううっ…

霊毛れいもうちゃんちゃんこ!

ぐへっ!

邪魔よ 下がってなさい!

ひいっ…

あれが最後の1体です

髪の毛針!

待て 鬼太郎!

そうか おぬしか

おぬしが最後に残ってしまったか…

無理もない

未来を奪われた おぬしの無念

ワシは おぬしを救えなかった

すまなかったのう トキちゃん

のう トキちゃん

あれから 長い刻ときが経った

残念ながら この国は

あの日 君と夢見た未来とは程遠い

相変わらず 皆 心貧しく 苦しみ続けておる

じゃが ワシは この子 鬼太郎を得ることができた

時弥くん 君のことは 父さんから聞いてる

キタ ロウ…

君の その苦しみ…

何か 僕に できることはないか?

ワスレナイデ…

えっ?

僕 ここにいたよ!

忘れない

君の想いは 僕が受け継いでいくよ

アリ… ガト…

あ…

ハハハッ!

水木よ 見ておるか?

この村で 何があったんですか?

鬼太郎くん なぜ君は 人間を助けてくれるんだ?

その理由が この村での出来事だというのなら

教えてください!

僕が書き残し 必ず 語り伝えます!

ですから…

うん… 長い物語になるぞ

かまいません!

そのために 僕は ここまで来たんです!

では 語ろうかのう

ワシと あの男が いかに出会い

そして この村で起こった すべてのことを…

誰か いるぞ! こっちだ!

おい しっかりしろ!

あんた あの村の生き残りか?

彼女は どうなりました?

彼女って… 他に 誰か同行者がいたのか?

誰か…

誰か…?

そう 僕は誰かといた… はずなのに…

ここは どこだ?

僕は どうして ここにいる?

何も思い出せない…

思い出せないのに

なんで こんなに悲しいんだ…

♪~

~♪

あうっ…

あっ ああ…

あっ… うあっ…

あっ!

墓穴はかあなから 赤ん坊が生まれた!

この子はバケモノの子だ

生かしておいたら どんな災いが起こるか わからない

ならば いっそ…!

♪~

ハッ!

ああっ!

~♪

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