All language subtitles for Yakuza Ladies Revisited Pt.2 - RAW [1080p][ATTKC][27FF6E34]_Track03

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Original subtitles

(女性)ヒャアッ!

(男性)車 回しとけや

(桑原加代子(くわばらかよこ))悔しいなあ

極道の女房になったからには―

まともに主人の死に目に会えると 思うてなんだけど―

このままでは白い着物を 着せてあげることもでけへん

あの世で どんな寒い思い してると思うとな

(野木安積(のぎあづみ))姐(ねえ)さん あきらめはることないと思います

警察かて まだ捜査続けてますし

やめてんか そんな気休め

かえって つろうなるだけや

(安積)姐さん

あの人は もう二度と戻ってきいひん

この世から消されたんや

警察にも 誰にも分からんような やり方でな

極道のありようも 時代とともに変わってくる

人を殺して 赤い着物で 箔(はく)つけるようなアホは―

もう通用せえへんのや

ああ…

あんたと ここ えらい騒ぎになってるようやな

安積はん

気いつけなあかんで

住民運動いうたかて きょうびのことや

根元掘り返したら 何が出てくるか分からへん

野木はんも うちとこの主人と同(おんな)じで―

筋目にこだわる 昔ながらの極道や

あんたら よっぽど あんじょう かじ取りせな

うちとこと おんなじ目に遭うで

お言葉 よう胸に刻んでおきます

(男性)勝った 勝った! 勝ったぞ!

(男性) 暴力団は出ていけ!

(デモ隊一同) 暴力団は出ていけ!

(男性)ビルを明け渡せ!

(デモ隊一同)ビルを明け渡せ!

(男性)お前たちは社会の敵だ!

(春日井一馬(かすがいかずま))一つ!

千之崎(せんのざき)ビルは 千之崎組の組事務所として―

使用してはならない!

(一同)そうだ そうだ!

二つ!

組員が日に7人以上 ビルに出入りした場合には―

1日につき100万円の 制裁金を―

科するものとする!

(男性)暴力団は出ていけー!

(野木高明(たかあき))騒ぐなよ 話しだ

兄貴が…

組長が住民のみんなに 話しがあるんだ

野木万(のぎまん) どうした

いよいよ降参か

ビル 立ち退く決心ついたんか?

(野木万乃助(まんのすけ))みんな 聞いてくれ

わしは今日まで―

ここにいる市会議員の春日井ら 住民代表と―

何度も誠意を持って 話しをしてきた

…が しかし 残念なことに こういう結果になってまった

最後に ひと言だけ言っとく

この千之崎組は暴力団じゃねえ

岡浜(おかはま)で明治の時代から 根を張ってきた―

伝統ある極道の一家だ

みんなは わしのこのビルのせいで―

暴力団の抗争に巻き込まれる心配が あると言っとるが―

わしを追い出したら それこそ この岡浜には―

日本中のヤクザどもが 流れ込んできて―

わやくちゃになってまうど

(春日井)みんな 脅しに乗るな!

(一同)そうだー!

(万乃助) 脅しじゃにゃあ! 真実だ

(春日井)ヤクザに真実があるか!

(一同)そうだ!

(万乃助)なに!

(笹部(ささべ)勝志)ゆうべ―

中部神龍会(こんりゅうかい)のみんなと 話し合ったんだが―

この際(しゃあ) 大阪にゲタ預けるしか―

解決の道は にゃあんでねえか ということになったんだ

(田沼(たぬま)) わしらが中に立とうとしても―

住民は まあ 話しに乗ってけえへんしのう

(中井(なかい))淡野(だんの)の本部なら 一級の弁護士も抱えとるし―

なんとかしてくれるだろ

帰(けえ)ってくれ

兄弟(きょうでえ)

もう誰にも頼みやせん 帰(けえ)ってくれ

兄貴 そりゃ にゃあだろ

二本松(にほんまつ)のおじきさんも 中井さんらあも―

千之崎のためを思って 骨 折ってくださるんだで

うるせえ!

わしら中部のもんはよお

これまで大阪や東京の風を 跳ね返(けえ)して―

一枚(いちみゃあ)岩の結束を守ってきたんだ

大阪に頭下げるぐれえなら―

このビルぶち壊して 死んだほうがマシだ

相変わらずの石頭だの 兄弟は

ああ 二本松のおじきさん

中井の親分さん 田沼の親分さん

どうも失礼いたしました ちょっと出かけてたもんですから

いやいや わしらも急に思いついて 押しかけてきたもんでな

さあ どうぞお茶代わりに

(組員1)失礼します (組員2)ご無礼します

じゃあ 遠慮のう

尼崎(あまがさき) どだった

姐(ねえ)さん わりと元気にしてはりました

おお おお 桑原の見舞いに行ったんかね

(安積)はい

しかし 不思議な事件だな あれは

まあ 1か月になるが 神隠しになってまってから

誰がやったかは はっきりしとるよ

桑原の兄貴は―

最後まで佐郷(さごう)の4代目襲名には 反対(はんてえ)しとった

兄弟 めったなことを口にするな

大阪に聞こえてまったら どうする

(万乃助)おめえ よっぽど 大阪が怖(こえ)えようだの

なに?

てめえこそ あんまり突っ張っとったら―

桑原さんみてえに―

冷蔵庫を棺おけ代わりに することになってまうぞ

なに?

(笹部)おみゃあのために…

やめてください 2人とも

姐(ねえ)さんも大変だな あれやこれやと

はい

でも岡浜のことは カタギさん相手ですから―

しばらくは目つむって耳ふさいでな しょうがない思てます

千之崎も ごっついもん建てすぎたんだわ

確かに目立つからのう このビルは

わてが もめの種まいたようなもんです

ビルの色 黒に決めて

そうだ

おめえが―

女が余計なくちばし挟むから こんなことんなってまったんだ

兄貴も賛成しとったじゃ にゃあですか

黒は何も染まらん男の色だって

うるせえ おみゃあは黙っとれ

まったく八つ当たりだ

(組員)兄貴! 頭(かしら) 帰ってきました

おかえんなさい

電話は?

シントウ鋼材から何度か 新工場の件 再考させてほしいと

またキャンセルですか

もう図面はできとる キャンセルさせんぞ

小口だけど ミズタモーターの仕事取れた

見積もり行ってくれ

はい

(野木千尋(ちひろ))おかえり 昼は?

終わった

どうなん そっちは 先月の上がりは?

(千尋)まあまあや

どやった? 親分のご機嫌

え? 裁判やる言って 張り切っとったわ

裁判?

(高明)住民側と法律でケンカだ

俺は あした大阪行き

(千尋)まーた お金いるな

(高明)ハア… これから集金 走らんならん

お前のほうから50ほど また回してくれんか

(千尋)うん

あっ そや

あとで店 寄れる?

二本松のおじさんから 電話があったんや

親分に内緒で話 あるんやて

(高明)どういうことなん

すごく大事な用やって 言うてはったわ

(千尋)いらっしゃいませ

いよお 高明君 まあ座れや

早速だが紹介しよう

淡野組の本部長の雁田(かりた)さんだ

おみゃあも知ってのとおり

今度 4代目にならした 佐郷さんの若頭で―

知恵袋と言われたお方だ

雁田さん

これが千之崎の弟の 高明ですわ

はじめまして 野木高明です

(雁田和光)雁田や

雁田さん ウイスキーのロックだ 最高のやつな

(千尋)かしこまりました

あのママが 高明君のカカアですわ

なかなかのしっかりもんで―

高明君と2人で 千之崎の台所 支えとるんです

おじき あの… 話ちゅうのは?

うん

雁田さんが東京からの帰(きゃあ)りに わざわざ名古屋へ寄られて―

おみゃあに会いたあ 言われてな

千之崎は中部きっての名門やしな

その跡継ぎんなる男の顔 見ときたかったんや

どういう話か よう分かりませんけど あの…

いずれにしても私は 千之崎の跡継ぎじゃありません

兄貴は身内だからといって―

甘い顔 見せるような人間じゃない ちゅうことは―

おじきも よう分かっとる…

しかし おみゃあ 極道の道に入ったからには―

まっと太くなる腹 持っとるだろうが

兄貴 見とったら とてもそんな

欲のねえやつだのお

夫婦そろって 牛や馬みたいにコキ使われて

え? それでええのか

ママ お前も何とか言ったれ

亭主のケツ たたいたれや

おじき やめてください

わしゃ 自分の分際 よう分かっとりますけ

今のままでは 千之崎は長(なご)うもたんぞ

お前の兄貴は 極道としては大したもんや

しかしな

一家一紋の親分として 今の時代 さばける器やない

お前の腹ひとつで―

淡野組が 後押ししてやってもええんやで

おじき…

今夜の話は 聞かなんだことにします

すいません

失礼します

(笹部)待て 高明

まっと話を聞け

ママさん

(千尋)あ…

あんた

昔は野木の愛人やったそうやな

野木の嫁はんがやきもち焼いて 仲 引き裂いて―

義理の弟 つまり―

今の旦那を あんたに押しつけたと聞いたが

そのとおりです

よう我慢したな

うちが望んで一緒になったんです

あんたとしては 何としても―

旦那を千之崎の跡目にせにゃ―

勘定 合わんな

今のままで十分です

ホンマか?

雁田さん あんたさん わざわざ よそのうちを―

モマしに来はったんですか

それが日本一の組の 大幹部のご趣味なんですか

気に障ったら堪忍やで

あんたが あんまり いい女やさかい―

つい ちょっかい 出しとうなっただけや

何ぞあったら大阪へ わし 訪ねてくれ

どうか ご心配なく

今夜あったこと私も忘れます

こんなこと 万一 うちの親分の耳にでも入ったら―

たとえ淡野組相手でも ただでは済まん思いますよってに

あんたは気に入った

あんな田舎には―

惜しい女や

それぐらい受け取らんかい

(デモ隊一同)暴力団は出ていけ!

(クラクション)

(組員)どかんか コラ ひき殺すぞ この野郎!

(千尋)うわ! 何やこれ

姐(ねえ)さん?

姐さん どないしはったん

夜のうちに排水溝に コンクリート詰められたんや

知らんと上の風呂 使(つこ)うたもんやし―

ゆうべの雨と重なって これや

何ちゅうことを

やっぱり あいつらですか

ハハッ まあ そういうことやろな

あいつらこそ コンクリ詰めにしたったらええねや

親分に顔 見せてあげて

ずっとモグラの穴籠もりで 腐ってはるんや

はい

姐さん これ

主人から今月の分です

(電話の着信音)

姐さん

水道屋 何べんかけても 電話 切りよりますわ

(安積) 行って引っ張っといで!

はい

わてや

親分

何だ おみゃあか

ご無沙汰でした バタバタしてたもんですから

(万乃助)座れ (千尋)あっ はい

(万乃助)飲め (千尋)あっ 頂きます

今 親父(おやじ)と話しとった

わしの代(でい)になって こんな恥さらしてまって―

申し訳ねえと

親分 何 言うてはりますのや

親分は間違(まちご)うてはりゃしません

汚いのはあいつらや

うちら みんな親分信じて 頑張ってますのやで

そうか みんなわしのこと 信じてくれとるんか

はい

元気 出してください

そや

花札でもしまひょうか

昔2人で ようしましたやないか

あっ… 親分

何しはりますのや!

たまには ええやろ

アホなこと…

あては もう 高明の女房でっせ

かみゃあせん

こっちが かまいますのや

こんなこと姐さんに知れたら 殺されます…

千尋 わしゃあな ホント言うとな

もうイヤになってるんだ

安積の手前 口には出せんが―

引退して 高明に 跡目は譲ろうかと思ってる

親分

それ

本気ですか

本気だ

こんなこと冗談で言えるか

千尋

わしはな 今でも お前をかわいいと思ってる

高明に渡したこと後悔しとる

ほら 見てみ このとおりだ えっ

ほら えっ 元のとおりや

ちっとも変わっとりゃせんだろ

ま… 待ってください

千尋

じっと…

じっとしててください

親分

こんなこと ホンマに 冗談では済みまへんのやで

千之崎の跡目のことも

(男性)暴力団は出ていけ!

(デモ隊一同)暴力団は出ていけ!

(男性)ビルを明け渡せ!

(デモ隊一同)ビルを明け渡せ!

ひきょう者!

ヤクザが国家権力に 助けを求めるとは何事だ!

ヤクザならヤクザらしく―

市民のリーダーたる この春日井を刺せ!

(女性たちの悲鳴)

(常石力男(つねいしりきお))野郎 オリャア!

(常石)ええか!

今の社会も警察も 腐りきっとる!

よう見とれ!

これがホントの―

極道ちゅうもんだ!

クソ…

千之崎親分!

絶対 負けんでちょうよ!

日本中の極道が 応援しとるんや!

ええ若(わきゃ)あ衆だな

ええ極道になるやろ

親分! 頑張ってちょうよ

(佐郷隆之(たかゆき))千之崎 しばらくやったな

(万乃助) ご無沙汰をしております

このたびは4代目になられ おめでとう存じます

3代目 姐(ねえ)さんの たってのご指名でな

よう来てくれた

千之崎の

初めてやな 雁田とは

わしの若頭で 今 淡野の本部長やらしとる

はじめまして 雁田でおます よろしゅうに

わしのほうこそ

(淡野組幹部1)野木さん

今日わざわざ来てもろうたんは ほかでもない

岡浜での騒動のことや

ただちに 事態を終結してもらいたい

(淡野組幹部2) あんたも聞いとるやろうが―

警察は淡野や新城(しんじょう)会など 一部の組を特定して―

新しい法律で 取り締まりを強化しようとしとる

まあ 我々としては―

断固 新法の成立を 阻止せにゃならんが―

そのためにも 岡浜での 住民側とのゴタゴタは―

甚だ迷惑なんや

(淡野組幹部1) 高裁への提訴を取り下げたうえ 住民側と和解してくれまへんか

(佐郷)雁田よ お前 岡浜行ったれ

銭や

住民側のリーダーに しっかりと毒まんじゅう食わしたれ

それで片がつく

(雁田)はい

(万乃助)待ってくれ 佐郷さん

岡浜のことは わしの手でケリつける

ほっといてもらえんか

(笹部)兄弟 ここはひとつ 本家に任したほうがええぞ

もう1年以上 モタモタしとるんだしな

(万乃助)うるせえ

わしは3代目とは 盃(さかずき)を交わしたが―

ここにおる誰とも 義理交わした覚えはにゃあ

(笹部)口 慎め

(佐郷)千之崎の

盃やの義理やのと―

古くさいこと言うとったら 代紋が腐ってしまうわ

雁田 お前から よう話せ

(雁田)はっ

(雷鳴)

(雁田) 野木さん 実はなあ

住民側 幹部連中とは もう なしついてまんねん

(万乃助)なに?

(笹部) 看板のせえや 看板の

淡野の名前出したら 連中コロッといってまったわ

(万乃助)笹部よ

おみゃあが真っ先に―

佐郷の毒まんじゅうで イカれてまったようだな

(笹部)わしだけじゃねえ

高明も名古屋で 雁田さんに会っとるんだ

(万乃助)何だと?

(雁田)この際や

はっきり言うが

あんたんとこのビル 淡野で買い取ろやないか

5億でどや 相場の倍や

(笹部)賢うなれ

お互い 桑原の二の舞は御免だ

兄弟

待て!

(ドアが閉まった音) (雁田)笹部さん

(笹部) あっ すまん 雁田さん

もう一度 わしから腹割って話すから

(雁田)ほっといたらええ

そのうち自分で 棺おけ担いで死にに行きよる

(雷鳴)

(雁田)あれは―

そういうタイプの極道や

(雁田)高明

おみゃあ 名古屋で雁田に 会ったそうだな

(高明)はい

おじきに呼び出されて

でも すぐ帰りました

黙ってて すいません

(万乃助) 終わってまったことはええ

(高明)おじき…

(万乃助)黙っとれ!

高明

佐郷を殺(や)れ

佐郷 殺ったれ

何だ そのツラ

おみゃあ ぶるかんどるんか

それでも男か

(高明の声にならない声)

(万乃助)たわけ!

佐郷だって人間だ 首は1つだ

おめえも このあたりで 金筋になれ

佐郷 殺ったら 千之崎6代目は おみゃあだわ

あんた どないしはりましたんや

安積

大阪と戦争だ

このビルは銭に換えるぞ

(雷鳴)

親分 主人に何 言いはりましたんや

何だ いきなり

高明 大阪から帰るなり―

もう仕事できんようになった お前やれ 言うんです

そのとおりにせんか

言うてください 何があったんですか

うるせえ!

汚すぎるわ

なに?

親分 高明 殺す気なんや

もうイヤんなった

引退して高明に跡目譲るって はっきり約束したくせに

姐(ねえ)さん 黙ってんと助けて

高明 死ぬ気や うちには分かるんや!

帰れ言うてはるやろ

姐さん…

これ以上 親分に逆ろうたら わてが許さへんで

納得できひんわ

うちらかて生きてるんや 生活があるんや!

親分の勝手で虫けら扱いされたら やってられんわい!

ああっ… 何すんや!

ああ!

上等や

あんたらの腹 よう分かったわ

姐さん

虫けらには―

虫けらの意地あるいうことを―

忘れんといてや

さいなら

あんたら 下 行っとき

はい

あの女―

高明を潰してしまいやがった

大阪へはわしが行くしかない

大阪で何がおましたんや

淡野組の佐郷が わしのシマ狙ってる

桑原の兄貴 殺ったのも佐郷だ 間違いねえ

チャカがいるんだ

マシンガンも 手りゅう弾もだ

どえれえ銭がいるんだ

何だ

こりゃ わしが―

おみゃあの護身用に くれてやったもんだろ

こんなもん 屁(へ)の突っ張りにもなるか

大阪へは わてが行きます

なに?

佐郷はんの命(タマ) 取ってきたら よろしおますのやろ

何やと?

あんたは ここへ残って―

社会との大きい戦争のケリ つけとくなはれ

ただの人殺しなら 女子(おなご)のわてにかて できまっせ

黙れ 黙らんか!

おのりゃあ

わしをこのまんま このビルで腐らす気か

やっと

やっとケンカがやれるんだ

男になって死ねるんだ

わしの手で火つけて 日本中 火だるまにして―

千之崎5代目 野木万乃助が どれだけの極道か

日本中のやつらに見したるんだ!

女のおみゃあの 出る幕じゃねえ!

邪魔すると ぶっ殺すぞ!

ええか

このビルは銭に換えるぞ

岡浜のことは もう終わった 今日中にケリつけたる

文句があるなら たった今 ここを出ていけ

(女性)親分

どえりゃあ荒れようだな

えっ

伊勢湾台風 思い出すぎゃ

あの 親分 今日は何も支度が…

ええ ええ

春日井 今でも来とるか

はい

そうか

わしが会いたい言っとったと 伝えてくれ

話し合(え)えだ

和解(わきゃあ)の話し合えだと

もうすぐ お見えになると思いますけど

さっき電話で お客さんだから空けとけと

(春日井)こんな天気に わざわざ ご苦労さんやったなあ

(笹部)いやあ 約束は約束だから

(女性)いらっしゃいまし

おお… 兄弟

野木君では にゃあか

そういうことか

おめえら 最初からグルになって わしを潰しにかかっとったんだな

兄弟 誤解はすんな

わしゃあ おめえのために 春日井さんと話し合いに来たんだ

野木君 君も本心では 和解(わきゃあ)を望んどんのとちゃうか

だから ここにおるんじゃろ

おお ええ折りじゃ

みんなで話し合おうではねえか

ななな… 何だ

何する…

やめろ やめてくれよ

兄弟! やめとけ やめとけ

うるせえ!

ああっ… くっ

やめろ! やめて イヤア…

おみゃあ! いつからガキになったんや

春日井!

佐郷から いくら取ったんだ

金など… 金など もらっとりゃあせん!

兄弟 こりゃ わしの善意でやったことだ

大阪とは関係ねえや

やかましい!

引っ込んどれえ!

佐郷の犬に 兄弟呼ばわりされる覚えないわ!

い… 犬だと?

おみゃあ わしまで敵に回す気か

おお 敵だ敵だ

全部 敵だ!

おみゃあから 往生させたるにゃあ

(女性)キャア!

やめろ やめんか

殺せ こいつやってまえ

(銃声) (万乃助)邪魔するな!

(安積)ケガは おまへんか

ハッ…

たわけー!

(千尋)姐(ねえ)さん

しばらくやな

うち

お別れを言いに来たんです

お別れ?

(千尋) 岡浜 出よう思うてますねん

どういうことや

自分が極道の女房には向かん いうことが よう分かったんです

姐さんみたいなマネ 絶対に ようせんし

この先 親分や主人に ついてく自信もありません

意外やなあ

あんたの口から そんなこと聞くやなんて

そら あんたには ずいぶん苦労かけたし―

イヤな思いもさしてきた

そやけど―

ここんところ 立ち退き騒ぎも 下火んなったと聞いてたし

落ち着いてくれてるもんやと ばっかり思うてたんや

姐さん

詳しいことは 何も知りはらしませんのやろ

あ… そやなあ

面会も一切断って―

この半年で あんたが初めてやしな

今の岡浜 見はったら ショックで倒れてしまいはるわ

千之崎ビルは―

真っ白けになりました

真っ白やて?

高裁の抗告が 棄却んなったとき―

親分 黒を白くしたら 文句ないやろ言うて―

ビル全部 白に 塗り替えはって―

千之崎の看板 英語にしはったんです

そんなアホな!

(千尋)それから

二本松のおじきさんとの もめは―

淡野組の親分の仲立ちで 手打ちになりました

佐郷はんの仲立ちやてか

主人なんか

これで親分は大手を振って どこでも歩ける言うて―

えらい喜んでます

あの台風の日

姐さんとうちとで すったもんだして―

殺し合い寸前にまでなって

今となったら―

何や アホらしいて

千尋

ホンマ言うとな

わて ここへ来るときに―

離婚届の用紙もろて ずっと持ってるんや

(千尋)離婚届?

女だてらに あんな事件起こして みっとものうて―

もう岡浜へは戻れん 思うたしな

(千尋)あっ…

せやけど 親分 方々で自慢してはるみたいですけど

姐さんは日本一の女房や言うて

ハ… ハハッ

口と腹ん中は別や

女房に命助けられて ええ気分でいるような人とは違う

きっとシコリは残る

もう昔のようには いかへん

姐さん

2人で出直しましょ

お互い まだ若いのに このまま腐ってもうたらつまらんわ

うちは 今までのことは 全部ほかして―

普通の女に戻って―

普通の幸せ見つけます

姐さん

もう二度と 会うことはないと思いますけど―

ホンマに長いこと お世話になりました

♪~

~♪

あっ どうぞ

サンキュー

チアーズ

あっ ハハ

あっ おおきに あんたもカッコええわ ハハッ

え?

朝までで千ドル?

ハハッ

さいなら

あれは結婚式ですか

はい そうです

(花杜(はなもり)昌治)よろしかったら―

一緒に祝ってやってください

わてが?

私の若い仲間の結婚式でね

日本女性のゲストがいないので みんな さみしがってるんです

同席願えれば うれしいんですが

花婿のユァン・クァンレー

花嫁のランさんです

おめでとうさん お幸せに

アリガトウ ゴザイマス

(安積)何か

パーティーの前に 固めの盃を交わすんですがね

2人とも身よりがないもんで

(安積)わてに介添えの役を?

いや 無理だって言いました

かましまへん

こんなキレイな2人の 親代わりなら―

喜んで務めさしてもらいます

(三線の音色)

(花杜の歌声)

大哥(たいこう)のお国の歌です

鳳仙花(ほうせんか)を爪先に染めるように―

親の教えを心に染めなさい

私たち 大好きな歌

うれしいときも 悲しいときも 大哥に歌ってもらうのです

(中国語で会話する声)

みんな あんたの女?

まあね

ハハッ まるで獣やなあ

休もう

サンキュー

あいつ あんたを売れって言うんだ

すごい美人だから 千ドル出すって言うんだ

たったの

もうちょっと若けりゃ 1万ドルも惜しくないそうだ

ハ… ハハッ

(安積たちの笑い声)

気に入ったわ ここが

わても住んでみようかなあ

軽く言わないでほしいね

ここは世界中の獣の集まる ジャングルなんだ

どこにでもエサはあるが―

隙を見せると たちまち 食い殺されてしまうんだ

あんたは ただの獣やなさそやな

何人 殺した

数えたことないね

今は―

あんたに殺されかけてる

あんた

俺がこれまで出会った 最も ちゅーけもんさ

俺の故郷(くに)の言葉で―

美しい獣のことだ

ゆうべ 外国の男に 同じ言葉で褒められて―

その気になったら 2時間で500ドル

朝までなら千ドル言われて―

ずっこけてしもうた

ハハッ

そいつは もひとつやった

あんたを買うわ

夜が明けるまで

(男性)ああ こっちのほうはな バブルの崩壊なんてどこ吹く風だ

うめえ話 いっぱいあるぞ

(常石)おい 兄ちゃん

(男性)何だ

おめえらも小学校ぐらい 出とるだろ

なに!

表 出て 張り紙よう見てこい

携帯電話お断りと 書いてあるぞ

それが どないしちゃっちゅうんじゃ

コラァ

(男たち)何じゃ!

やめんか てめえら!

おめえらも この岡浜で 商売したかったらなあ―

ちゃんと行儀習って よう出直してこい

行こう 行こうぜ

おい 行こうぜ コラ

はよせえ

釣りいらん

おねえちゃん

わしゃ今度 千之崎親分の身内になった―

常石力男ちゅうもんだ

(店員)はい…

何かあったら すぐ事務所に言ってちょ

最近 ややこしいのが ぎょうさん流れ込んどるでね

コーヒーと 野菜のサンドイッチもらうわ

おめえらは?

同(おんな)じもんで結構です

おねえちゃん 同じの3つちょ

(店員)はい…

やーさん 3丁!

コラァ!

やーさんとは何だ

すいません…

わしらヤクザと違って 極道なんや

兄貴

おお?

やーさんって 野菜サンドのことですわ

何だ 英語きゃ

(女性客の笑い声)

(組員)何じゃ こりゃ!

(常石)コラァ! やめんか

おねえさん

あんたら一般市民の方にゃ 分からんやろうけど―

ヤクザと極道は 絶対(ぜってゃあ) 違うんです

極道は カタギには迷惑かけんせん

それだけは 間違わんといてください

(店員) ありがとうございました

ゴルフて ホンマに おもろいもんですね 姐(ねえ)さん

へえー

そないに面白そうには 見えなんだけど

もっと早(はよ)うに いろいろしといたら よかったわ

うん

あんたは ずっと―

旦那と一家のお守りに かかりっきりやったもんなあ

懲役のあいだ 本読んだり 習い事したり

普通の女らしいこと いろいろできたんです

普通の女か

迷いはないんやな

千之崎は事業のほうも あんばいよういってるようやし

わては なるべく遠くに離れて 暮らすつもりです

きちんと弁護士立てて 話つけなあかん

男は 女のほうから 別れ話 言い出したら―

意地になるもんや

取るもん取って さきざきのことも考えなあかん

お金も何もいりません

自分一人なら 何とでもなります

甘いなあ

極道の色は染まるにやすうて 抜くのは やっかいや

あんたかて さんざん ぜいたくしてきたんやし

姐さんは ずっと自分で 一家束ねていかはるつもりですか?

うちには別れ話する相手もおらん

そのうち 主人の葬式出せる日も来るやろ

姐さんは偉いですねえ

何 言うてんねや

あんたこそ 第二の人生 あんじょう歩いてや

日本中の極道の女房が あんたの生き方 見守ってんねやで

姐さん そろそろスタートの時間ですけど

(クラクション)

(女性たち)お疲れさま

お疲れさーん

お風呂 沸いてるし!

ディナーは すき焼きだよ!

お肉 いっぱい食べてね

(組員)頭(かしら) 無事に

(高明)はい お疲れ

はい お疲れさん ご苦労

早速だけど これ 来週の現場や

はい

回りきれますかね こんだけ

(高明)頑張ってよ

はい

(女性)頭 洗濯物(もん) 出しといてちょうだい

晩ごはんは?

(高明)いや みんなと 一緒に食うから いいや

はい

あんた 一緒に帰るんかね

おお

(高明)苦労かけて すまんな

ハッ… 頭 もうそろそろ―

誰か見つけられたほうが ええのんと違いますか

(高明)ほっとけ アホ

(笑い声)

頭 親分がお見えです

兄貴

どうぞ

どうぞ

高明

二本松との盃 水に流すぞ

おじきと… 縁をですか?

切る

あのたわけ 佐郷の盃 受けやがった

中部神龍会 全員だ

わしにも同調せえと しつこく言って来とる

盃 せえへんのですか

極道として 死んでも曲げれん筋目はある

おみゃあも覚悟しとけ

これから先 ちびっとばかり 風当たりが きつなるかもしれんぞ

親父が―

いつも言っとった

世の中のもんは 何でも表と裏がある

人間も同(おんな)じだがや

できのええ者(もん)も 悪い者もある

誰かがクズを拾ってやらにゃ 世の中 地獄だとよ

極道の看板は そのためだけにあったらええんだ

極道 行きたい 家も墓もいりゃせん

それが―

任侠道(にんきょうどう)ちゅうもんだ

(ギターの音色と男性の歌声)

すいません 耳障りで

いや

みんな カカアやガキと離れて―

遠い異国で頑張っとるんだな

安積のやつ

おめえんとこに何か 言ってきとりゃせんか

いえ

そうか

姐(ねえ)さん 必ず戻ってこられますよ

姐さんにかぎって 兄貴 背くようなことは…

バカもん

もう とっくに背いとるわ

旅先から離婚届 送ってきやがった

離婚届 送っ…

高明

千尋を連れ戻せ

何としても呼び戻せ

近いうち おみゃあに 千之崎の代紋 渡したる

代紋…

(万乃助)常石 (常石)はい

これで人夫たちに うみゃあ酒でも差し入れたれ

はい

千尋 兄貴がわしに代紋 渡す言っとる

ホントだよ

それで お前 一度 戻ってきてもらいたいんだ

今度は本気ぞ

姐さんが離婚届 送ってきたらしいんだけど―

わし一人じゃ どう対処していいか分からんから

頼むから 一度 戻ってきてくれ

え? 手遅れって…

どうして

いや… わし 悪いとこ直すから

手遅れちゅうことないだろうが

(通話が切れる音)

千尋

(ギターの演奏と歌声)

(組員)おっ 頭(かしら)

頭 ええ眺めですねえ

台湾もブラジルも―

みんな元気にやっとりますわ

わしらの親分のような 苦労人のとこで働けるもんは―

極道も人夫もホント 幸せですわ

クッソ たわけ…

(発砲音)

誰の… 誰の

どこの鉄砲玉だ…

(発砲音)

おい おみゃあ 野木組の人夫だな

こんなとこで 何しとるんけ

待たんか!

うわ!

クッソタレが!

うああっ

クソッタレ!

クソォ!

(高明)どけ… どけ!

どけ オラ

兄貴… 兄貴

兄貴 どうした

どうしたんだ 兄貴

何だ これ

何だ これ!

起きてえ

起きてえ!

(宇野(うの)) お前がやらせたんじゃろうが お前が!

おみゃあ ずっと 兄貴に頭 押さえられて―

恨んどったんだ

おみゃあもヤクザだったら すっぱり泥吐け 泥を!

どうせ この岡浜じゃ もうメシ食っていけんのだから

これが犯人の似顔絵なんだがね

その男 知ってるのか

知っとるんじゃないか!

いえ

隠すとよう

おみゃあさんのためん ならんぞ

共犯者が1人おって 犯人は今 逃走中だが―

常石に刺されて 重傷を負っとる

もうすぐ指名手配の網に かかるやろ

今度の事件は 分からんことが多すぎる

単純な暴力団同士の抗争とは 言い切れんな

はっきり言って おみゃあも容疑者の1人だ

おみゃあの署名 捺印(なついん)のある 離婚届だ

捜査が終わってまうまで なるべく この岡浜を離れんように

分かっとるやろな

ご迷惑をかけぬようにいたします

花杜の家 ハウス 知りたいんや

花杜に会いたい

ハウス知りたいんや

う… ノー!

(安積)誰か知らへんか

花杜に会いたいんや

ドゥ・ユー・ノウ?

ドゥ・ユー・ノウ?

花杜の家 ハウス知りたいんや

誰か知らへんか

花杜に会いたいんや

(ノックする音)

(足音)

(三線の音楽)

(安積)あんたは やっぱり ただの獣やなかったんやな

クァンレー使(つこ)うて あんたが殺したんは―

わての主人なんや

そのようだね

知っていたとしても やったがね

それが俺のビジネスだから

今度は遊びやのうて 取り引きに来たんや

あんたが鉄砲玉やいうことは 分かってる

あんたの陰にいる 本当の主人の敵(かたき)を知りたいんや

なんぼ出したら あんたを買えるんや

断るしかないね

俺はキャッシュさえ 手の内に乗せれば 何だってやる

家も国籍もいらない

だが―

ここは気に入ってるんだ

香港の組織だけは裏切れない

(ノックする音)

あんた…

結婚式では ありがとうございました

大哥 寂しそうでした 奥様が帰ったあと

どうぞ ごゆっくり

クァンレーとランツァンは 近くカナダへ行くんだ

2人は中国からの難民でね

香港が本土に還(かえ)る前に ここを離れたかった

2人の夢がかなった

きっと金持ちになって 長生きするだろう

どう?

あんたも何もかも忘れて ここで俺と楽しくやらないか

金もある

人生は長い

こうして あんたと再会できたのは―

俺にとって 最高の目が出たってわけだ

あの夜のあんたは悪くなかった

まさに ちゅーけもんだった

あんたさえ その気になれば―

あの夜の夢は―

一生 続くんだ

ええ話やけど 今のわてには もう無縁の夢や

あんたの前にいるのは―

ど田舎ながら100年続いた 極道一家の古女房や

主人の死に顔 見たとたん―

待ったなしで 体中の血ぃが逆さまに流れてしもた

わては ケンカのために ここへ来たんや

一生いっぺんきりの 浮気の相手が―

あんたという 一級の殺し屋やったのが―

わてには最高の目やった

わてのケンカは あんたなしでは でけへんねやし

目いっぱい納得できるだけの値段 つけなはれ

わては 何もかも投げ出す腹で ここへ来たんやし

分かってないねえ

あんたが俺を千ドルで買った

まあ こんなところだろ

女にだらしのない獣の 値段としてはね

おおきに

淡野組の本部長をしている 雁田から依頼があったそうだ

(銃声)

(千尋) ありがとうございました

またよろしゅう お願いします

姐(ねえ)さん…

どうぞ

頼むわね

どうぞ

(店員)いらっしゃい

ビックリしたわ 姐さんがここに見えるやなんて

ええ店やないか

初めはホステスなんかして ウロウロしてたんやけど―

やっぱり自分の店 持ちたかったし

借金して なんとか

姐さんも お変わりのうて何よりでした

親分のお悔やみ

一緒に言わんならんのが つらいとこやけど

そのことで あんたに 聞きたいことがあって来たんや

(千尋)何ですか?

分からへんのや

どうしても 主人の殺されたワケが

(千尋)そのことと うちと 何の関係がありますの?

まあ 聞きいな

やったのはプロや

桑原の親分が消されたのも プロの仕事や言われてるけど

事情が全然違う

今の千之崎は 淡野組の配下も同然や

中部も淡野に 飲み込まれてるし―

なんで主人が殺されな ならんのか

分からんのや

姐さん

うちは もう千之崎とは 何の関係もない人間ですよ

なんで そんなこと 聞かされな ならんのですか

主人を殺せと 香港の組織に依頼したんは―

淡野組の本部長 雁田はんと分かったんや

ハッ…

わてが香港へ行って 調べてきた

よう そんなデマカセ言えますね

なんぼうちかて 香港の組織の怖さぐらい知ってます

姐さんに調べられるはずが ないやないの

わてが香港で浮気した相手が 偶然そのプロの殺し屋やったんや

(千尋)そんなアホな

アホなことが 実際にあったんや

わてが雇て日本へ連れてきた

千尋

あんたやろ

あんたが雁田はんに近づいて 主人 殺させたんやろ

ウフフ

アッハハハ

姐さん

あんた 親分 殺されたショックで 頭おかしなってんのと違う?

きっと 犬みたいに 嗅ぎ回って―

うちのスポンサーは 雁田はんと分かったもんやし―

疑(うたご)うてんのやろうけど―

見当違いもええとこやわ

雁田はんは 今では淡野組のナンバー2(ツー)や

うちみたいな人間が どうすり寄ったかて―

鉄砲玉で使えるはずが ないやないの

とぼけてもあかん!

あんたの気性は わてが一番 よう知ってる

台風の日に あんたは―

虫けらには虫けらの意地がある 言うたやろ

あれがあんたの本性や ホンマの姿や

あんたは見事に意地見せて―

高明さんの手ぇに 千之崎の代紋つかませたんや

上等や

そうまで言われたら こっちとしても黙ってられへんわ

このケンカ 受けて立とうやないの

せやけど覚えときや

そっちが香港の殺し屋なら―

こっちには2万5000の淡野組が ついてるんや

承知のうえや

岡浜の騒動から始まって―

カタギも極道もひっくるめて 主人の敵(かたき)なんやし

日本中 火だるまにせな 主人 浮かばれへんわ

(雁田)フジシマ製鋼 ストップ高の棒上げや

2億ほどもうけた

どないした

さえへん顔しとるやないけ

何もかも お前の思いどおりに 運んどんのに―

まだ文句あるんか?

今日 姐(ねえ)さんが来てな

姐さん? 野木のか

ぜーんぶバレとったわ

あんたが 絶対バレることない 言うてたこと全部や

それで つじつまが合(お)うた

今朝 東露幇(とうろはん)のブツが 香港湾に浮かんだ

殺し屋の裏切りらしいな

あの女 その殺し屋と一緒らしいで

まずいなあ

日本中 火だるまにする 言うてはったわ

何やて

やりかねへんわ あの女だったら

冗談やないで

1週間後にはな

うちの親分の4代目襲名 3周年パーティーがあるんや

わしが責任者や

千之崎6代目は 私(わたくし) 野木安積が襲名いたします

何やと?

姐さん 何を言いだすんだ

あんた今まで そんなこと いっぺんも言ったことなかったがね

おみゃあ 正気か

正気で言っとるんか

千之崎の代紋は わてが受け継ぎ―

弟 高明には千之崎ビルをはじめ 故人の遺産のすべてを譲り渡し―

極道の足洗わせたうえで―

カタギの稼業に 専念させる所存でおます

(笹部)とろくせえこと言うな

おみゃあ 兄弟の葬式も ほったらかしといて―

ようそんな たわけたことが 言えたもんだな

わては千之崎5代目の 霊代でおます

わてが決めたことに 故人も異存なきものと存じます

承知できん!

わしゃあ承知できんぞ

高明君 おみゃあはどうだ

今日までの苦労 全部 泡になってまうぞ

黙っとるんかい

みんなはどうや

こんな女に千之崎 任したら 中部はどうなると思う

何とか言ったれ

言ったらんかい!

(笹部) 高明よ 分かっとっだろ

あの女 とうとう牙をむきやがった

本性 見せたんじゃ

千之崎のもの なーんもかんも吸い上げる腹だ

実はな―

あの女を殺せと 雁田さんから指令が来とる

(高明)姐さんを?

そうだ

おみゃあの手でやるんだ

(高明)おじき!

しっかりせんかい!

おみゃあも カカアを犠牲にして 欲しかった―

千之崎の代紋とちゃうんか

兄貴は俺に代紋くれるって 言ったんだ!

殺される前に 俺に代紋くれるって言ったんだ!

おじき…

頼む

姐さんと話し合って

話し合ってくれ 頼む

アホんだら!

いまさら 何言ってもムダだ

手遅れんなってまうぞ

殺すんじゃい

こりゃ おみゃあと あの女とのケンカだ

おみゃあも男だろ!

腹くくれ! 腹

あのクソたわけが

体ばっかりデッカくて 肝のちっせえ

おじき…

姐さん

あんた もう 何もかんも知っとるんでしょ

わしも男だ 逃げも隠れもせんよ

3年前

兄貴が佐郷 殺(や)れ ちゅうたとき 俺

兄貴 殺るつもりやったんや

兄貴 殺ったん わしよ!

あんたに千之崎の代紋 渡すわけ いかん

もう あとに引けんのよ

高明さん

あんた 千尋から聞くまで 知らなんだやろ?

千尋が兄さん殺したいうこと

違う! 千尋違う わし一人でやったあ

ウソついても分かる

ずーっと母親代わりで見てきた このわてや

うるせえ!

ええな

あんたは わてが決めたとおり カタギになって―

今までの仕事続けなはれ

そしたら兄さんも 許してくれはる

わても あんたを とがめはせえへん

ナメるな おんどりゃ

わしも極道の端くれじゃ!

あんた わてを斬る気か?

わてが斬れるんか?

うおおお!

よう分かったやろ

極道なんてもんは―

誰にでもできるいうもんや ないんやで

兄貴

あんた わしに―

千之崎の代紋 渡す 言うたやろ

わしを跡目と認めたやろ

なあ 兄貴

兄貴 そうだろ

そうだろ

そうだろ

そうだろ!

そうだろ!

兄貴!

そうだろ!

(クラクション)

(テレビの音声) 昨夜 午後11時ごろ

愛知県 岡浜市 鯛島(たいしま)地区にある―

暴力団千之崎組の ビル事務所が全焼しました

焼け跡から 野木万乃助組長の実弟―

高明さんのものと思われる 焼死体が見つかりました

ふっ!

(テレビの消す音)

あの女の仕事やな

あの女 うちの手で殺す

(雁田)どないする気や

(千尋)あの女のことや

4代目のパーティー 見逃すはずないわ

わしらを―

狙(ねろ)うてくるっちゅうのか

そうや

4代目もや

雁田はん

うちに腕の立つ若いもん 10人ほど貸してほしい

待ち伏せか

あんたにヘタ売らさへん

どんなことしても うちが あの女いわしたる

こうなったら…

うちにとっても 主人の敵討ちや

見舞いに来たんですが

ダメだ 帰れ

(司会者) 皆様 大変長らくのあいだ お待たせいたしました

ただ今 4代目 淡野組組長が お見えになりました

(拍手)

それでは 早速ではございますが―

佐郷組長に ご挨拶をお願いいたします

(拍手)

みんな よう来てくれた

わしは このとおり元気や

みんなに言うことがある

淡野組は 今日かぎり解散する

(ざわめき)

新たに淡野連合として―

北海道から沖縄に至る 大組織に生まれ変わる

今日は東京から新城会の 新城正道(まさみち)会長も―

わざわざ祝いに来てくださった

(拍手)

(男) 供の方は 入れまへんのや

(司会者)それでは 新城会長に 乾杯の音頭をお願いいたします

(新城) それでは4代目淡野組と―

淡野連合の発展を祈って 乾杯!

(一同)乾杯!

初めてお目にかかります

千之崎5代目 野木万乃助の家内でおます

ほーお あんたが

主人の存命中は 一方ならずお世話になり―

ありがとうございました

まだ喪中ではおますが―

このたび わてが 亡き主人のあとを受けて―

千之崎6代目を 襲名することになりましたので―

ご挨拶に参ったしだいでおます

あんたが 千之崎の跡目を継ぐ ちゅうのか

はい なにぶん未熟者でおます

どうかよろしゅう お頼申します

分かった 中部のことは雁田に任せてある

面倒 見てもらえ

(千尋)姐(ねえ)さん

うちが雁田さんに 引き合わしてあげるわ

姐さん 紹介するわ

この人が雁田さんや

今では―

うちの一番大事な人や

野木安積でおます

千尋がお世話になってるそうで

雁田や

あんたのことは千尋から 耳にタコができるほど聞いてた

笹部と千尋の亭主の 始末のつけ方

なかなかのもんやが―

鉄砲玉 一匹連れて 乗り込んでくるとは―

ちょっと のぼせすぎと違うか

主人のやり方 マネただけでおます

主人は真っ向勝負のケンカが 得手でおましたよってに

千尋

ほれぼれするな お前の姉貴分

そうやろ

同(おんな)じ極道の女房でも うちとは月とすっぽんの大違いや

外見も中身も バリバリの金筋や

お前がどう料理するか 楽しみやで

そやなあ

そのキレイな顔 ズタズタに刻んで―

殺し屋の兄さんと心中で 大阪湾に浮かんでもらおうかしら

ええ格好しいの この女には ピッタリやろ

そいつから やるんや

(安積)千尋

最後に頼みがあるんやけどな

(千尋)何や 言うてみ

その人と わてと 2人重ねてやってくれへんやろか

何やて?

先(せん)に香港で浮気した言うたやろ

今では本気になってしもた

その人は わてが主人以外にホレた たった一人の男なんや

こんな しょうもない男に ホレるとは―

あんたも焼きが回ったもんやな

千尋

ケンカはお前の勝ちや

情けかけたれ

そやな

何のかんの言うても―

長いつきあいやしな

きついぞ

両手でしっかり握って撃つんや

姐さん

やっとカタついたな

巻きつけるんだ

固く… 固く縛るんだ

(千尋)姐さん

うちらの勝負

まだ ついてへんでえ

(空撃ちする音)

(空撃ちする音)

姐さん

あんた ツイてるわ

うちとは えらい違いや

(組員) おい 親分のお帰りだぜ

(組員たち)へい

(組員たち)ご苦労さんです

ご苦労さんです

もう無理や 次の折 待とう

死ねえ!

あんたら 覚悟しいや!

(パトカーのサイレン)

何なんだよ ありゃ

横から飛び出して 俺の獲物をかっさらったやつは

あいつも あんたの 鉄砲玉なのか

主人が育てた極道や

主人が最後の意地 見せたんや

お別れやな

もう一度 口説くつもりだった

だが あきらめた

クイヌウ ムクトゥン

イラナ クガリウミ

かなわぬ恋で苦しむほど ムダなことはない

俺の故郷(くに)の古い歌だ

大哥!

一緒に行こう

わては最高にええ気分なんや

あんたも―

金持ちになって―

長生きしなはれ

♪~

大哥 早く!

お前たちだけで行け

大哥!

行け!

(パトカーのサイレン)

~♪

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