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♪~
(宗田義人(そうだよしひと))ええ それでは
頭(かしら)の2年ぶりの社会復帰を祝う会を 始めたいと思います
頭
なお 2代目の 喪中ということもありまして―
ささやかな身内だけの 集まりになりましたことを―
最初にお断り申し上げておきます
早速ですが 乾杯の音頭を―
2代目の急死という不幸を 乗り越えて―
頭の留守中 先頭に立って この藤波(ふじなみ)組を支えてきた
2代目霊代にお願いします
(藤波加奈江(かなえ)) 頭の帰りを待てんかったんが おやじの唯一の心残りやったと思う
本来やったら ここで…
まあ それは それとして これから3代目を継いで―
組をしょって立つ頭の 無事 社会復帰と―
組のますますの発展を祈って
乾杯
(一同)乾杯!
~♪
(松岡龍三(まつおかりゅうぞう))55では早すぎましたわ
これからや いうときに…
おやじさんの胸の内を思うと わしゃ 無念で
心臓やから しゃあない
さんざん 好き放題やった極道が 畳の上で死ねたんや
それだけでも幸せや思うわ
それより あんた 早(はよ)う3代目襲名して
わてに楽させてや
そない言われると なんや…
義姉(ねえ)さんを引退させるのが 惜しゅうなりますな
ハハハッ
どないでっしゃろ 組の相談役として残るいうんは
アホなこと言わんとき
これからは頼(より)ちゃんの時代や
(松岡頼子(よりこ)) うちなんか 何もできへんし
お姉ちゃんと比べたら 月とスッポンや
3代目の姐さんなんて 自信ないわ
何 言うてんの
頼ちゃんは頼ちゃんのやり方で やったら ええやないか
(宗田雅美(まさみ))そうや 叔母ちゃん
お母ちゃんのマネしても
家付き娘や陰の組長やら言われて よけいな苦労 しょい込むだけや
カネを稼ぐのが男
うちら 女子(おなご)は それを使うのが 仕事や思うとったらええねん
それで あんた 亭主 ほったらかして
旅行やら何やら 一人遊びほうけてんのか?
そうや
うっとこの人は よう稼いでくれはるしな
(殿山誠(とのやままこと))若
若!
(松岡)お前 こないだ
株の仕手戦で 相当 もうけたそやな
(宗田) いやいや わしが仕手戦やったん ちゃいまんねん
仕手筋に頼まれて 名義 貸しただけですわ
(矢内一重(やないかずしげ))名 貸しただけで 何億いう銭が入るんやから―
最近のシノギも変わったもんや
わしら古いもんは ついていけんわ
(国井勝次(くにいかつじ))本部長
(宗田)ちょっと すんまへん
おい
お前 あんまりトロいことばっかり 言ったら あかんぞ
(宗田)ええ?
お前 ほんなら銭 どっかで 作ってこれんのかい
おい あの2人 相変わらず 反りが合わんようやな
(カメラマン) はい それでは皆さん ニコッと笑ってください
いきますよ
(シャッター音)
(カメラマン)はい おおきに
(加奈江) みんな どんどん楽しんでや
(女たち)おおきに
先生まで 組の顧問弁護士 辞めてしまうの?
(桐島美佐子(きりしまみさこ)) 奥さんあっての私でしたし
それに弁護士協会のほうからも いろいろありまして
この際 広島にでも 事務所を移して―
一から出直してみようと 思ってるんです
うち 賛成や
お母ちゃんに学費やら―
親やらの面倒 見てもろうたからいうて
いつまでも 先生 組に縛られてることないわ
別に縛られてると 思ってたわけじゃありませんけど
わても少し甘えすぎて
先生に無理させてきたのかも しれへんな
新しい土地で 新しい生き方したほうが―
先生のためにも ええ思うわ
ありがとうございます
(カメラマン) はい ニコッと笑ってください
はい おおきに
(松岡) おお 直也(なおや)! こっち来い
最近 お前 周りの細かい組に―
つまらんちょっかい 出してるそうやな
(藤波直也)誰に聞いたんや? おふくろかい
(松岡)おい!
直也 極道は 今 難しい時期なんや
ひとつヘタ売ってみい たちまち神原(かんばら)みたいな―
ごつい組織にのみ込まれて ドボンや
そうやって いちいち 神原の顔色うかがってたら―
何もできへんわ
わしは独立して間(ま)もないしな
姉貴の婿はんみたいに 器用なシノギも
妙に跳ねたらあかん言うとんのじゃ
聞いとるんかい? どないや?
分かったわ
けど もう遅いかもしれんで
何やて?
わし 今日 神原の枝 潰したんや
あいつら 頭に血 上って―
この船に カチコミかけくるかもしれへんで
(爆発音) (一同)うわー!
(直也)ハハハハッ!
冗談や
ただの爆竹や
おい!
頭の出所祝いに 派手にやれ言うといたんや
お前ってやつは!
言うてええ冗談と悪い冗談の 区別もつかへんのかいな
ええ? このアホんだら!
(カメラマン) 若 ちょっと立ってくれますか?
(直也) わしは ここでええんじゃい
(松岡)しょうがないやっちゃな
(加奈江)直也!
おやじが甘やかしすぎたんや
あれは ほっとき
(カメラマン)ほな いきます
(シャッター音)
(松岡)おい (美穂(みほ))パパ!
(松岡)ハハハハッ おとなしゅう待っとったか?
(美穂) 待ち合わせは 昨日やったのに
うち 一人でさみしかったわ
(松岡)そのかわり 今晩 たっぷりかわいがったるがな
ハハハハッ
(下川(しもかわ))おやっさん (山口(やまぐち))おい おやじ どこや?
(美穂の泣き声)
(美穂)ああーっ
(山口)泣いとらんで はっきり言わんか アホ!
(美穂)ああっ
そやから うちが シャワー浴びてるときに
ちょっと散歩してくる言うて…
(下川)オラァ!
ほかにおやじ 何も言わんと 出ていったんか オラァ
(美穂)そうや うち 何も知らん
ホンマや!
(山口)どアホ!
(下川)この女(あま)!
おやじ!
お姉ちゃん!
みんなが見てるんや しっかりせな あかんで
(国井)おやじ!
(山口・下川)すんまへん!
(国井)お前ら!
(クラクション)
(殿山)若! 若!
(山口)うっ
(殿山)若!
(下川)うっ うっ…
(美佐子)直也さん!
(直也)おやじ!
(直也の泣き声)
単独でやった言うてんのか?
(美佐子)はい
4年前に 組を解散させられてから―
一人で松岡さんを殺す機会を 狙ってたと供述してます
(加奈江)4年も一人でか? おかしな話やな
…で その小便(しょんべん)ホステスは?
(美佐子)無関係のようですね
とにかく いくら調べても 犯人の背後関係を示す物は―
何ひとつ浮かび上がって こないんです
香港の警察も 単独犯と断定するようですね
しょうもな
(美佐子) 神原が関係してるんでしょうか?
(加奈江) もうちょっと情報 集めんとな
これから こっちの警察に 探り入れてくれるか?
(美佐子)分かりました
(電話の着信音)
(男性)はい 通夜は7時からになっております
身内だけやちゅうことで
邦(くに)ちゃん
国井さん どないしたんや?
(岡邦彦(おかくにひこ)) 霊代に呼ばれて 本家に行きよりました
霊代にな
ここで手間取ったりしたら―
それこそ 神原につけいる隙 与えるようなもんや
3代目 立てるんが 先決や思うんやけどな
(矢内)わしも賛成です
神原はおる
お上(かみ)は わけ分からん法律を 作ろうとしている
わしらみたいな古い極道は―
もう どない組 動かしたらええか 分からんわ
宗田 お前 どないだ?
(宗田)ええ いや わしは はっきり言うて―
今までのやり方では 代紋は もう守れんと思いますわ
今度の法律は―
抗争の火種があっただけで 組事務所は閉鎖される
組員のシノギも 組員やと分かったとたんに没収や
力にばっかり頼ってるような 体質の組は―
真っ先に潰されますわ
組織の在り方を近代的に変えて 力をつけること
これがサツからも神原からも 身を守る方法やと思うとります
お前の言うとおりかも
国井 あんたは どない思うとるんや?
近代化も大事や思いますけど―
わしら 極道です 力も…
(加奈江)そうや
そやから あんたが若頭になって 宗田 支えてくれへんか?
(矢内) わしも それが組のためには 一番や思います
どうなんや? 国井 霊代に返事せんかい
分かりました
あんた この藤波の代紋
きっと守ってくれるな?
はい
3代目 やり
(無線の声)こちら203号車 こちら203号車
今のところ 異常ありません
(読経)
神原の角谷(かどたに)さんが見えました
(直也) 今日は身内だけや言うとんのに なんでしゃしゃり出てきたんや
おんどれらで若頭 殺しといて
はっきりもせんこと めったに口にするもんやない
そやから あんたはあかんのや
(角谷孝仁(たかひと)) 身内だけやとは聞いとったんですが
松岡はんには若いころ えらい世話になりましたさかい
しかし えらい災難でしたな
これからの任侠(にんきょう)界をしょって立つ お人やったのに
おやじから霊代さんにも 力を落とされんよう
くれぐれもよろしゅう言うてくれ 頼まれましたんや
(加奈江)ご丁寧に恐れ入ります
まあ 災難でしたけどな
うちには この宗田もおりますさかい
なんとか乗り切れる思いますわ
4代目にも そうよろしゅう お伝えください
角谷はんのお帰りや お送りし
(殿山)どうぞ
(業者1)ほな どうも (業者2)どうも
(砂岡勝子(すなおかかつこ)) ピシャッと姐さんにやられて
角谷 何も言えんように なってしもうたそうや
(渡海由起(とがいゆき))さすが 姐さん 根性が違いますなあ
(勝子)そら そうや
5年前の神原との抗争のとき 一歩も引かんで済んだんは―
姐さんが根性据えて 支えてくれたおかげや
(若原(わかはら))角谷 来たそやな
つけいる隙がないか 様子 見にきたんでっしゃろ
それにしても2代目に続いて 若頭をなくすとは―
この組 天中殺と違うか?
ハッ そうかもしれまへんなあ
若原はんに 占(うらの)うてもらいたいくらいですわ
香港の警察 捜査 打ち切ったわ
結局 単独犯ちゅうことや
(加奈江)そうでっか …で こっちは?
(若原) もし 神原がやったとしてもやで 証拠は挙がらんわ
あそこ 最近…
暗殺チーム 作ったっていう話や
極道もお勤めして名を挙げる時代や のうなったいうことやろな
これからは個人よりも組織や
まあ 神原がどうのこうのより 早(はよ)う3代目 立てるこっちゃな
神原も大きゅうなりすぎて 組内でシノギ争ってる状態や
あんたんとこのシマ おいしゅう見えるはずやで
(加奈江) カリブや何や知らんけど―
一人遊びほうけて 通夜にも間に合わん女房では―
あんたの恥になるんやで
(宗田)すんません
(加奈江)わてに遠慮せんと もっとビシッとやりなはれ
責任感を持たせるんや
雅美は3代目の姐さん なるんやからな
(組員)本部長! (宗田)あ?
あっ ちょっと
(直也)もう3代目の話かい
親父のときも そやったけど 誰が死んでも涙ひとつ見せん
立派な霊代やな
クソッタレが
(直也)はよ せんかい! (金子(かねこ))あっ すんまへん
(金子)おい カネや
(店員)ありがとうございました
(直也)あとどのくらいで わし 宗田みたいなビル
持てるんやろな
(金子)会長の実力やったら 1年や思いますわ
(直也)確かか?
(金子)間違いおまへんがな
(直也)そういうの お世辞ちゅうんや!
ウリャ ウリャ ウリャ ウリャ ウリャ!
(組員1)おかえりやす (組員2)おかえりやす
(組員3)おかえりやす (組員4)おかえりやす
(直也) ここらは中立系で こまいのが 多いから狙い目やな 保(たもつ)
(守谷(もりや)保) 前田(まえだ)組なんか どないでっか?
(川島寛次(かわしまかんじ)) あっこは女の商売がうもうて 結構 ええって話ですわ
(直也) 前田いうんは どんな男や?
(殿山)そうでんな… 目端の利くタイプや思いますわ
そら ええわ
目端が利くんやったら うちと正面に構えて―
とことんやり合う気は 起こさんやろ
決めた! 次は前田や 潰せ!
(殿山)若 今は 慎重に せな あかん時期でっせ
もうちょっと考えてから 決めても遅うは…
(直也) うるさいな このご意見番は
そんな水戸黄門(みとこうもん)みたいな能書き 聞いとったら―
極道は のし上がれんのや!
若!
わしは2代目から 若を頼む 言われたんです
あれは遺言や思うてます
そやから若が何と言おうが―
言いたいことは 言わしてもらいますわ
(直也) ホンマに かわいげないやっちゃな
ウリャ ウリャアアアア
ハハハハハッ
若から“かわいい”言われたら おしまいですわ
ハハハハハハッ
うううう…
(直也)コラ! 上等やないか コラ
ほら やってみんかい
なんぼでもこい ほい
ウリャ ウリャ!
(殿山)若! 若!
(金子)おやっさん! (直也)うん?
(金子)松岡組の岡さんが 見えられましたが
おっ もうそんな時間かい
わし 出かけなあかんさかい この件は また今度や
保 前田んとこの情報 それまでに集めとけ
(守谷)はい (殿山)若!
(殿山) 8時から緊急幹部会でっせ
どこへ出かけるんで?
あんなん わしが出ても出んでも一緒や
(殿山)若! (直也)分かってるって
(直也) ロックフェスティバルに行くだけや
(殿山)何でっか? それ
(直也) まっ お前と音楽について 語り合う気にはなれんわな
行こか
(岡)どうも
岡 お前 高校の同級生 かさに着て―
若をあんまり わけの 分からんものに誘ったりすんなよ
わしが誘われたんですがな
(大音量のダンスミュージック)
やかましいわい!
(若者たちのはしゃぎ声)
(岡)コラァ!
(氏家葉子(うじいえようこ))すいません
あの…
あの…
眼鏡
(宗田) 頭の組葬は3月23日いうことで
皆さん ひとつ協力よろしゅう お願いします
(矢内)それは それとして…
3代目のことやが
頭がああいう死に方をしたことで 組内に動揺がある
神原も控えてるこっちゃし―
早急に3代目 立てて 体制固めせなあかん
…で その候補やが
わしは実力から言うても 本部長の宗田が適任や思うとる
(杉田陽平(すぎたようへい)) 死んだ頭が3代目継いでたら―
あとの頭 本部長ということや
筋から言うても 間違いない思いますわ のう?
(幹部たち) そうや! 異議なし! そや! そやそや!
(杉田) これで決まりや な? うん うん
(矢内)国井 お前はどないや?
みんなが ええ言うんなら―
わしも おじきの言うとおりで かまわんと思いますけど
特に異論はないようやから…
本部長
みんなが そう言うてくれんのやったら―
わしも喜んで 3代目 引き受けさせてもらいます
いや みんな知ってのとおり 神原が日に日に大きゅうなって―
大変なときや
霊代とも話したんやが―
ゆくゆくは関東の 村尾(むらお)さんとも盃(さかずき)を交わし
神原を包囲し 組防衛の…
(直也)そんな人の手ばっかし 当てにしてんのが3代目になったら
組 すぐ潰れるわ
神原とやり合うぐらいの 気構え 持っとらんと―
餌食にされるだけやで
わし 立候補や
立候補?
おう!
さっきから聞いてると―
どっかの誰かが絵描いた 出来レースみたいで つまらんわ
本部長の考え方も 気に入らんしな
わし 3代目に立候補や
何が立候補や
学校のクラス委員やあるまいし
まさか あんたら 本気にしたんやないやろな?
(矢内) 若は本気やないんでっか?
ハハッ 本気やったらアホや
わてが絵描いた思うての 嫌がらせやろ
それで どないしたん?
はあ 何しろ面食ろうてしもうて―
正式な話は 次の定例幹部会でということで
(加奈江)あんたも あんたや
なんで その場で ビシッとあれに言えへんのや
(宗田)すんまへん
あんたが3代目になったら 直也をどうしたい思うてるか―
わての気持ち 分かっとるやろ?
はい
ゴチャゴチャ あれに二度と言わせんとき
(加奈江)待たせたな 直也が またゴタゴタ起こして
(頼子)かまへん 1人で先にやってたから
(加奈江)頼ちゃん
(頼子) うちやないみたいやろ? ねっ
(加奈江)ビックリしたわ どないしたん?
(頼子)ウフフ 解放や
(加奈江)なんや それ
(頼子)はい
東京でマンション 買(こ)うてきた
今の家 国井に売って 東京に住むことにしたんや
(加奈江)なんでや?
(頼子) うちの小さいころからの 夢やったんや
藤波の家も 極道も関係ない世界に住みたい
松岡が死んで やっと夢がかのうたわ
こんなこと お姉ちゃんにしか 言えへんけどな
うち まだ40や
女として もういっぺん 人生やり直せる
ええときに松岡が死んでくれて ホンマ 感謝したいくらいや
なんや 松岡が死ぬの 待ってたような言い方やな
あんた 嫌いやったんか?
お姉ちゃんは どうなんや?
義兄(にい)さん 愛してたんか?
(加奈江)フフッ
(頼子)組のためや言われて―
2人とも お父ちゃんから 極道 押しつけられた
それも 17~18の 何も分からん小娘のころにや
そりゃ 松岡にも ええとこはあったで
決して嫌いいうわけやない
けど 極道の女房は つまらん
“姐さん 姐さん”言われて―
神棚に祭り上げられてるよって
亭主に浮気され倒しても 愚痴ひとつ言えん
やること言うたら 男の尻ぬぐいばっかりや
(加奈江)ホンマやな
(頼子)東京はええで
誰も うちのこと知らんから 好き勝手できる
人間に戻ったいう感じがしてな
お姉ちゃんもこんな組 早(はよ)うほかして一緒に行かへんか?
自由やで 伸び伸びするわ
(加奈江) ハハッ なんや 頼ちゃん 子どもに戻ったみたいやな
(頼子)うん
今になってみるとな
うち 子どもがのうて ホンマよかった思うわ
そうや 亭主にかけられる苦労より
子どもにかけられる苦労のほうが 何倍もつらいわ
(頼子)そう言うてても 直ちゃんが かわいいんやろ?
ホンマは 極道 辞めさせたいんやろ?
そうや
宗田が3代目 継いだら―
わてと一緒に直也にも 極道 引かせたい
そない 宗田にも言うてあるんや
(玄関チャイム)
(葉子)はい
(女性)花屋ですけど
これ ついでにお届けするように 頼まれましたんで
ありがとうございました
(葉子)どうも
直也…
わあ
(裁判官)被告人 成瀬明(なるせあきら)に
懲役1年 執行猶予2年の 判決を言い渡す
(成瀬明)先生! 先生!
先生のおかげで執行猶予じゃ
おおきに おおきに! ホンマおおきに!
(大沢(おおさわ)) 登山ナイフで 相手 メッタ突きにしたやつを―
こっちの書類上の不備 突いて 猶予付きにするなんて
さすが極道の飼い犬やな
(美佐子) それを言うんなら―
お宅はお上の 飼い犬じゃないですか
あんた 藤波組との 関係について―
弁護士協会から 勧告 受けてるそやな
極道にも 弁護される権利はあります
極道はクズ それを弁護するあんたはカスや
その極道と裏で取り引きする
警察や検事は 何て言うんですか?
(大沢) 調子に乗って そのうち弁護士資格 剥奪されんようにするこっちゃな
さっき 明の件 聞いたわ
いやあ さすが美佐子先生や 偉い!
美人やし 切れるし もう最高の弁護士や
(美佐子)今度は何ですか? (直也)え?
(美佐子)昔から直也さんが 下手(したで)に出るとき―
ろくなことありませんからね
お世辞は話のあとに聞きますから
今度は誰が何をしたんですか?
(直也)その… わしがな…
(美佐子)暴行ですか?
傷害ですか?
(直也) いや そういうのやのうて
(美佐子)まさか 殺しじゃないでしょうね?
(直也)違うて
恋や
女 好きになったんや その相談や
(美佐子)アホくさ
(直也) ちょっ… ちょっと怒らんで 頼むわ!
相手 英文科の女子大生でな
デートの約束は つけたんやけど―
何せ わしらと違(ちご)うて 偏差値の世界で生きてきた女やろ
もう どない相手していいのか 分からんのや
周り見回しても 大学出いうたら 先生しかおらんしな
なっ 頼むわ!
相談に乗ってな このとおりや!
ビルをたくさん持ってて―
従業員700人もいるなんて すごいわ
(直也)まあ 従業員と 呼ぶほどのもんでもないけどな
大学卒業したら どうすんの?
両親 故郷(くに)に帰ってこいって うるさいんです
私は こっちで旅行社に 就職したいんですけど
(直也)旅行社?
世界中を回るのが夢なんです
直也さんの夢は?
(直也)僕か? そやなあ…
うーん まあ 事業を どんどん拡大してって…
神原いう大きな会社 あるんやけどな
いずれ それを傘下に収めて―
うちの会社 日本一にするのが 僕の夢やな
直也さんて 仕事が好きなんですね
直也さんなら できるかもしれないわ
いや ええ笑顔や思って
ウフフッ
周りに そういうふうに 笑(わろ)うてくれる女
いてへんから
ヘヘッ
(直也)よお
(岡) 女子大生とデートやったんやてな
このあいだの眼鏡の子やろ?
(金子) 眼鏡かけてるような女なんですか?
(岡)おう
あいつ 昔から眼鏡かけて 勉強できる女の子に弱いんや
何せ 初恋が―
(岡)美佐子先生やったからな (成瀬)ホンマですか?
(直也)おい! よけいなこと言うなよ
ホンマや ホンマ
中学んときな―
あいつ 美佐子先生に夜ばいかけて
タマ 蹴られたあげく “10年早い”言われて―
一晩中 漢字の書き取り やらされたんじゃ
(直也) お前 しょうもないこと言うなよ お前 そんなこと言いに来たんかい
(岡) ちゃうちゃう ちゃう ちゃうよ!
大事な話があるねん
(直也)ちょっと席 外せ (金子)へい
(直也)…で なに?
(岡)直ちゃん 本気で 3代目に立候補する気あるんか?
なんで そんなこと聞くんや?
いや うちのおやじな
“本部長は よう腹の分からん人で 不安や”言うんや
“3代目になったら何するか 分からん人や”まで言うとる
その点 直ちゃんやったら―
うちの組で修業もしたことやし 気心も知れとる
それに若いだけで―
いずれは組をしょって立つだけの 器量がある人やと
前々から思っとった言うんや
お世辞やないのか?
極道が命張る人間決めるのに なんでお世辞 使わなあかんのや
うちのおやじな―
直ちゃんが本気なら 霊代 敵に回しても―
直ちゃんにつく言うとる
(加奈江) バタバタとそんな急いで 東京に行かんでもええのに
(頼子) はよせんと なんや残りの時間が 少のうなるような気してな
(宗田)国井
われ いったい いきなり 何 言いだすんじゃ
もっぺん言うてみ!
神原が牙むいてるときに―
組の近代化がどうたら 言うてる人間に―
命預ける気がせんのじゃ
わしは3代目には 若のほうが適任や思うとる
直也君 本気か?
本気や
まあ このとおり 若もやる気やし
何ちゅうても 武闘派で鳴らした藤波直系の血筋や
死んだ頭も 自分のあとの4代目は―
若に継がせるつもりや 言うとったんや
わしゃ そんなん聞いてへんぞ
当たり前や
お前みたいなチンピラに 頭が腹の内 明かすかい
何やと?
おんどりゃ わしに ケンカ売っとんのか? オラァ
(矢内)やめんかい!
ほかの者は どうなんや?
砂岡
(砂岡亮一(りょういち)) そりゃあ わしは うーん
渡海 お前 どうなんや?
(渡海一成(かずなり))わしかいな (砂岡)おう
わしは お前…
(せき込み)
ヘッ 中沢(なかざわ) われは さっきから黙って―
自分の意見 言わんかいな
(中沢清(きよし))まあ 日を改めて―
入れ札で決めるっつうのは どないや?
ボケ!
入れ札なんて 身内の恥 外にさらすようなもんじゃ
ほんで おじきは どない思ってはるんでっか?
そやな
本部長や若やいうても―
これは藤波家のコップの中の嵐や
筋から言うても―
霊代に決めてもらうのが 一番確かやろ
チッ
霊代 霊代
何かというと おじきは すぐそれや
よその組のもんが 何ちゅうてるか知っとるか?
藤波のもんは女にケツかかれんと 何もできん言われとるんや
女は極道やないんやで
フン 実子や思うて 貫目も足らんくせに
甘ったれとるから そんなこと言えるんや
(直也)このダボ! この!
(宗田)おい おい!
待て!
分かった 分かった 分かったから!
分かったから ちょっと気 静めたらんかい!
どないしても 3代目やるっちゅうんやな?
(直也)そや!
わしは計算ばっかりウマいんが 極道とは思わん
力で組を強うしてくのが結局
神原からこの組 守る 手段や思うてる
(宗田) いやまあ とにかく これは おじきも言うとおり―
コップの中の嵐や
当人同士 本家の話し合いで 解決させてもらいま
直也君 そんでええな?
(加奈江)ハア…
ハア
宗田 あれの事務所に電話しい
(宗田)はい
おう 宗田や
殿山 出せや
わてや 直也は どないしたんや?
アホ!
1時間前に出たんやったら とっくに着いてるはずや
言い訳は要らん
首に縄 付けても わてんとこに連れてき
(ドアをたたく音)
(葉子)はい
直也さん! どうしたんですか?
入ってもええか?
別にイヤやったらええんや
(葉子)待って!
どうぞ
お願い あんまり見ないで
(直也)うん?
(葉子) だって 狭くて恥ずかしいから
直也さんのおうちは 広いんでしょ?
(直也)広うても ちょっとも おもろないわ
勉強してたんか?
(葉子)うん
コンタクトにするわ
(直也) 右目0.03 左目0.08って―
どのくらいの視力なんや?
そっから僕の顔 見えるか?
ボヤッと輪郭だけ
(直也)どのくらいやったら はっきり見えるんや?
(葉子)そうねえ…
ここ?
(葉子)お願い 電気消して
あっ
ああ…
ああ…
あっ
ああっ!
ああ…
(水の音)
(直也)ハァ
(葉子)来ないで!
来ないで 来ないで
ああー!
ああー! やだー
やだー!
やだー!
やだー…
(葉子の泣き声)
やだー やだー
(加奈江) 3代目になろういう男が―
わての顔ひとつ まともに見られへんのか?
(直也)そうやって並んでると まるでホンマもんの親子やな
(宗田)何ちゅうこと言うんや!
(加奈江) あんた そんなこと言うて 楽しいんか?
(直也) おうおう 結構 楽しいわい
わてを誰や思うとるんや?
ここにおんのは あんたを産んだ母親やない
藤波組2代目霊代や
ナメた口 利いたら殺すで
あんた 今 自分が何しとるか 分かっとんのか?
組 割ろうとしてるんやで
わての命令や
すぐ3代目の件から 手 引き
命令や言われてもな
わしを3代目の器と見込んで 応援してくれる人間もおるんや
そう簡単に手 引けんな
フンッ 3代目の器?
国井がそう言うたん あんた 本気にしとんのか?
あれの本心は別や
一生 宗田の風下に 立つぐらいやったら―
張り子の神輿(みこし) 担いだほうが 得や思うて―
あんたのケツかいたんやろ
わしは張り子で…
義兄(にい)さんは 金(きん)の神輿かい
直也
(直也)上等や!
張り子でも金でも―
同じ神輿なら わし 一歩も引かへんで!
とことんやったるわい
直也!
(大音量のダンスミュージック)
(成瀬) ここに りえっちゅう女 おるやろ 出さんかい
(従業員1)お客さん 何のこと言うてはるんですか?
(店員2)お客さん 困りますよ
(成瀬)じゃかあしいわ コラァ
(悲鳴)
(須藤(すどう))女 盗んだとか 無茶苦茶な言いがかりつけてきて
藤竜(とうりゅう)会の外道 うちのシマ 乗っ取るつもりですわ
(飯尾(いいお))伊丹(いたみ)の木下(きのした)組も―
似たような手で 藤竜会にやられましてな
無理難題 吹っかけられたあげく―
七三の盃 交わして 傘下に入ったっちゅうことですわ
おやっさん 戦争や
(前田)アホか
藤竜会 言うたら お前 藤波の息子んとこやないけ
藤波と戦争やれ言うんか このボケが うん?
ええか
あんなデカい組から マジで狙われてみい
うちみたいな こんなこまいとこは どないにもならんど
そやろ?
(従業員1)おやじさん
お前 ドンパチの時代と ちゃうんやから
もっと頭 使え 頭
(殿山)若
前田が わしとの盃 五分で承知しました
(守谷)これで うちの組 倍になりまんな
いやあ 大勝利や
前田っちゅう男 案外 骨ありまへんでしたな
前田は利口なんや
利口なやつは用心せんとあかん
間を置かんと2~3日中にでも 前田との盃 きっちり固めい
(殿山)分かりました
(直也) わしは これから例の土地の件で 議員先生に会わなあかん
弾 足らんように なるかもしれへんから
用意 頼むで
(殿山)はい
それから…
(殿山)はい
わしを二度と“若”と呼ぶな
今度 呼んだら破門じゃ
ええな?
はい
(直也)おう (組員)へい
会長 なんや 感じ変わりましたな
腰据えたんやろ
あれでも 若…
いや 会長 力つけようと必死なんや
かわいいとこあるわ
わしらも頑張らんとな
(一同)はい!
まだ3代目になれんのか?
こんな手間取って
何のために お前 松岡 やったんや?
わしの計算違いでした
まさか あのアホ息子が―
突っかかってくるとは 思わへんかったさかい
おやじも首 長うして お前が3代目なるの待っとるんや
あんまり待たしたら―
おやじの評価 変わるかもしれへんで
敵に回したら一番(いっちゃん)怖い霊代相手に わしかて苦労しとりまんのや
そこら辺の 安う買いたたける代紋と―
藤波の代紋と一緒にしてもろうたら 困りまんな
分かっとるがな
そやから お前には 高い土産 持ってきとんのや
神原の幹部会に出れる直若やで
ホンマでっか?
藤波の代紋を 神原に変えただけで―
シノギも 今の何倍にも何十倍にもなる
おやじは お前のその腕 見込んどんのや
そやから 藤波のせがれ 何とかせえ
(葉子)お母ちゃん?
(氏家光子(みつこ))ああ 葉子 あんた お客さんやで
藤波はんいう人やけどな
なんか おかしな人やな
お土産や言うて あんた 神戸牛 50キロ
50キロやで ハハハッ
あららら どうもどうも すんまへんな
すんまへん どうもどうも 重いでっしゃろ?
どうもどうも どうもどうも はいはい どうも
(直也)ええお母さんやな
明るうて優しゅうて
母親って ああいうもんなんだよな
(葉子)何しに来たんですか?
(直也)うん
もちろん 結婚申し込みや
結婚?
(光子)葉子 せっかくやさかい すき焼きの支度でもしようか?
何やったら 藤波さん
よう食べてってもろうたら ええがな なっ?
(葉子)要らん
帰る言ってるから その辺まで送ってく
(光子)葉子 葉子!
極道やいうても その辺のチンピラやない
藤波組の3代目を継ぐんや
あんたには苦労かけへん
世界中 旅行するのが夢や 言うとったやろ?
なんぼでもさせたる そやから…
一緒になってくれへんか?
私をホントに好きなんですか?
見せられるもんなら 心の中 見せたいわ
(葉子) だったら あきらめてください
私 極道 嫌い
極道の女なんかになりたくない
だから お願い!
怖いの
これ以上 つきまとわないで
そうか
分かった
あきらめるから 最後に握手ぐらいしてくれや
してくれへんかったら あきらめへんぞ
ハハハハハッ
ハア…
その笑うた顔 好きやったなあ
何か困ったことあったら…
極道でも役に立つことある
いつでも頼りにしてくれや
迷惑かけたな
ごめん
(葉子)直…
(大沢)懲戒にかかるんやてな
広島の弁護士協会も あんたに 来るな言うてるそうやないか
もう弁護士 辞めて 極道になるしかないんとちゃうか?
ハハハハッ
何のために 今まで勉強してきたんだ
(ドアをたたく音)
(ドアをたたく音)
(美佐子)どなた?
(直也)先生!
藤波直也
10年ぶりに 夜ばいにまいりました
(美佐子)しっかりしてよ
ほら! 私も酔っ払ってんだから
(直也)冗談や
(美佐子)あっ 痛っ
(直也) 先生も男にフラれたんかい?
ヘヘヘヘッ
そや
あの子や
日向(ひるが)まで結婚申し込みに行って 玉砕や
先生 フッたの どこのどいつや?
何なら わし 今から そいつにカチコミかけたろか?
(美佐子)気持ちだけ もらっときます
(直也) 先生 彼女に少し似てるな
(美佐子)似てないわよ
(直也)逆か
彼女が先生に似てる
(美佐子) もう しっかりしてよ!
お待たせして 直也の母です
(葉子)氏家葉子です 聖徳大学の3回生です
そうですか どうぞ
何や 直也のことで 話があると聞きましたが
(葉子)はい あの…
私 直也さんに 結婚 申し込まれたんです
えっ? 親やのに ちいとも知らんで
それで?
(葉子)断ったんです けど…
ああ… 分かりました
将来ある学生さんやのに 極道につきまとわれたら大変や
うちから あの子に…
違うんです そういうことじゃなくて
私 直也さんが好きなんです
だから お願いです
直也さんに 藤波組 継がせないでください
極道 辞めさせてください
直也さん 極道なんて向いてません
傷つきやすくて ホントは優しい人なんです
好きになった人が極道なんて あんまりです
お母さんなら分かってくれると 思ったんです
なに!
何やかんや言うて 盃事(さかずきごと) 一日延ばしにするもんですから―
おかしいと思って 保に調べさせてみたら…
(守谷)前田の外道
わしらに黙ってほかの組と 盃 交わしてしもうたんですわ
(直也)どこや?
神原の角谷の枝の組です
(殿山) 神原とは… やられましたわ
(川島)クソガキ
保
(守谷)はい
前田 やれ
会長 それはあかん
前田 やったら 神原と戦争に…
戦争になったらあかんのかい!
(殿山)当たり前やおまへんか
神原には2万からの組員が…
ケンカは数やない! そやろ
お前らがやらへんのやったらな
わしが やったるわい
腐れ外道にナメられて 引っ込んでられるかい!
会長 頼んます ここで短気を起こしたら―
神原にええように されるだけでっせ
(直也)放せ ボケ (殿山)早(はよ)う止めんかい!
(直也) ここで お前 引いたらな―
ケンカもせんうちから 神原にナメられるわ
会長の言うとおりや
わし やりま
(殿山)保!
頭 冷やさんかい
これは藤竜会だけの問題やない
藤波組全体の生き死に 関わることなんじゃ
どいてください
どかん
どうしても行くんやったら…
わしのしかばね 越えていけ
殿山
(殿山)はい
うっ
うっ…
しかばねじゃい
お前を迎えるときは わしが3代目や
盛大に迎えてやるさかいな
頼むで
はい
(加奈江)うちが引退したら―
直也があのホテルの社長になる 予定なんです
(葉子) あんな すごいホテルのですか?
(加奈江)ここ 直也が極道 辞めたときのことを考えて―
建てましたんや
(葉子)ええ?
あんなしょうもない子を―
好きになってくれた葉子さんやから 言うんやけど―
うちも あの子には―
前々から極道 辞めさせたい 思うてましたんや
(葉子)ええ?
うちは生まれたときから ずっと極道ばっかり見てきた女です
そやから分かるんです
直也は 早死にするタイプの極道です
(青信号を示す音楽)
(銃声)
わしがついときながら―
若を止められんで すんませんでした
(加奈江)やめとき!
戦争になったら どないするんや?
指詰めてチャカも握れん男 わては要らんで
何やと?
分かった
アホか!
戦争か?
(宗田)ああ
(雅美) あんただけは死なんといてね
(宗田) お前 そんなこと言うとるけど―
俺よりも弟のほうが 大事なんちゃうんか?
(雅美) あんたのほうが大事や
あんただけや
(宗田)わしもや
わしも お前だけや
お前だけは あれこれ言わへん
何や?
(組員1)何の用じゃ コラァ (組員2)何や 何や オラァ
(組員たちの怒号)
(直也) もっと静かにやったらんかい
(若原)藤波直也 公職選挙法違反じゃ
いつの選挙や
別件もええとこや しょうもない手 使(つこ)うて
(若原)まっ 頼むわ
(刑事たち) 行くぞ! ほら 立て! おい ほら!
先生に連絡せえや
(銃声)
(梅本(うめもと))おやじの敵(かたき)や おやじの敵や オラァ
おおっ!
ああっ
(重田(しげた))失礼します
わしや
(矢内)若が撃たれた? (宗田)何やと?
(矢内)モタモタ話すな
生きとんのんか? どっちや?
それ 先に話せ ボケ!
弾 左腕かすっただけで あとは無事やったそうです
霊代 すぐ病院のほうへ
(加奈江)行かんでええ
そんな暇ないわ
それより神原の指令かどうか 調べるのが先や
(矢内) 息子が撃たれたいうのに 顔色ひとつ 変えへん
何ちゅう母親じゃ
考え事したいよって しばらく一人にしてくれへんか
(重田)はい
ハア… ハア…
無事やった
ハア ハア ハア…
(殿山)若
(美佐子) 診断書 書いてもらって―
警察とも 話つけてきましたから
当分のあいだ ここで おとなしくしててください
(直也)何 言うとんのや
神原と戦争っちゅうときに―
かすり傷で こんなとこ寝てられるかい
勝手にナシつけんな!
(美佐子) じゃあ 警察 行きますか?
(直也)おう!
どうせ別件や 2~3日で済むやろ
殿山 服や
ここから一歩も出さんように 霊代に言われてます
こんな所 わし閉じ込めて あの女 いったい何 考えとんのや
(美佐子) 決まってるじゃないですか
奥さん 直也さんのこと心配して…
(直也)そないことあるかい!
自分は顔ひとつ 見せんで 弁護士 代わりによこすような親や
何かたくらんどるに 決まっとるわい
殿山 服 出さんかい!
お前の親は わしや
言うこと聞かんと殺すぞ!
(殿山)分かりました
(直也)うっ
何が何でもベッドに くくりつけておきます
(銃声)
なに眠たいこと ぬかしとるんじゃ
戦争やで 兵隊 出さんかい 兵隊!
このボケが!
(銃声) (女性たち)キャーッ!
(銃声)
(角谷)980から560 うん
お前んとこ 難波(なんば)観光株 担保に 130億 突っ込め
(組員)分かりました
(角谷)それから? うん
280 うん
(組員)藤波の霊代が供一人だけで 乗り込んできはりました
(角谷)よし 通せ
(組員)へい
(角谷)分かった うん
(角谷)フフフフッ
あんたが その辺の男やったら―
ぶち殺されてるところですわ
ハハハッ ホンマですなあ
角谷はんのことは 昔から よう知ってます
わての話ぐらい 聞いてくれる 度量のあるお人や
そう思うとらんと―
とても ここには 来られしまへんでしたわ
ハハハハッ
(角谷) まあ 話にもよりけりだすな さあ どうぞ
(加奈江)実は わて 休戦 申し込みに来たんだす
(角谷)休戦?
(加奈江) 今度の件 元はというたら―
極道にとって命より大事な盃 二股かけた前田が原因
そやけど こうなった以上―
お宅さんも 引くに引けんのを承知で―
ケリつけさせてほしいんです
(角谷)ほう ケリをなあ
どう つけはるつもりでっか?
藤波直也を引退させて 藤竜会を解散させます
引いてくれませんやろか?
そやけど 息子はん 簡単に引退しますやろか?
聞いたところによると 実の親子やいうのに―
息子はん あんたの言うことを 意地でも聞かへんそうやないか
わてが体張ってでも あれを引退させます
そのための休戦申し込みです
(角谷)こっちは命(タマ) 3人 取られてるんでっせ
息子はんの引退ぐらいで 勘定が合うかどうか
(組員)ちょっ…
何 さらすんじゃ われ
角谷はん 神原が なんぼ大きい言いましても―
わてのとこかて 先代からずっとあの土地に―
何百人からの極道の血 吸わして 根 生やして―
生き残ってきたんです
あんまり追い込みかけすぎると 代償 高うつきまっせ
(角谷)分かった
せっかくのあんたの頼み おやじには わしから言うとくわ
(アナウンス) 内科のアマノ先生 内科のアマノ先生
受付までご連絡ください
(美佐子)奥さん
(加奈江)ああ 美佐ちゃん
悪かったな 迎えに来てもろて
(美佐子) あっ いえ それより手…
(加奈江)アハハッ どうっちゅうことない
所詮 体の痛みや
(美佐子)何か気になることでも あるんですか?
(加奈江) あっさり角谷が引いたのが 気になってなあ
それになんや うちの内部の事情を よう知ってるような感じなんや
(美佐子) 身内の情報を流してる者が いるってことですか?
まさか…
(加奈江)そやな
(美佐子)奥さん
霊代として 角谷に乗り込んだんですか?
それとも母親としてですか?
直也さん 引退しませんよ そういう人ですよ
そんな約束して―
反対に直也さん 追い詰めることに なるんじゃないですか?
自分の身 傷つけてまでも―
そんなに直也さんのこと 大事なら…
組なんか 捨てればいいんです 解散させればいいんです
組 一番重荷に思ってたの 奥さんじゃないですか
(角谷)代紋 売るも何も…
フフフッ
戦争になってもうたら おやじに合わす顔がないわ
おい 腹 切れ
おのれの腹 切るか―
それとも あのガキ いわすか どっちや?
わしは どっちでもええんやで
両方ともできへん言うんなら お前との話は なしや
力で藤波 たたき潰したる
(宗田)ちょっと ちょっと ちょっと待っておくんなはれ
もうちょっとのあいだ 待っておくんなはれ
(角谷)兵隊やったら なんぼでも貸すで
(殿山) 若! どこ行くんですか!
(直也) 部屋ん中にばっかしおったら 窒息してまうわ
(殿山)若!
(葉子)これ (直也)単なる見舞いか?
(直也) それとも戻ってきてくれたんか どっちや?
単なる見舞いなら 来やしません
(葉子)冷たくて気持ちいい
でも 怖い
(直也) 入れなんだら よかったな
消せないの?
消せないわよね
(直也)好きや
私も好き
直也さんが好き
でも 極道はヤなの
ねえ お願い
極道 辞めて
殺されかかったんじゃない
私 そういうのって たまんない
そういうこと考えないように しようって思うんだけど…
どうしても…
私…
そういうの…
(直也)分かった
そのうち 極道を辞める
(葉子)ホント? いつ? あした? あさって?
(直也) そう すぐいうわけには…
あとの生活っちゅうこともあるし
(葉子)それなら大丈夫よ
だって 直也さんには ホテルがあるじゃない
極道 辞めて ホテルの仕事に本腰 入れたら―
きっと立派な経営者になる
(直也)おふくろが言うたんか?
お前… お前 おふくろの指図でここに来たんかよ
極道 辞めえ
そう言えって おふくろに言われたんかい?
聞いてんのや!
(葉子)そうよ!
だから お願い 辞めて
キャッ
(加奈江)何や?
(直也)あんた 俺の女まで利用するんかい
極道 辞め言うて どういうこっちゃ!
(加奈江) どないしよういうんや?
(直也) 神原と休戦したそうやな
(加奈江)ああ
(直也) 向こうに何 言うたんじゃい
あんたの引退と 藤竜会の解散よ
なに!
そしたら戦争せんで済む
そやから あんた 引退しい
(直也)ジャラジャラぬかすな!
(加奈江)どないした? 斬れへんのかいな
引退がイヤやったら わてを斬って―
3代目でも何でも 継いだらええ
それくらいの根性 あるやろ?
どないした?
早(はよ)うやりな!
(直也)ああっ!
満足かい
出来損ないの息子 やっと組から追い出せて
腹の底で笑うとんのやろ
けどな わし 引退せえへんで
(加奈江)なら 破門や
そんなに わしが嫌いか
わしが破門されたら 義兄さんは すんなり3代目や
あんたの描いた絵どおりにな
それが組のためや!
(直也)組 組 組!
昔っから いっつもそれや
組のためやったら わしが どないなってもええんか?
わしの気持ちなんて…
引退してくれるな?
引退はせん 破門にせえや!
直也!
この手で神原と 話 つけたんかい?
あんた そこらの極道より よっぼど根性がある
けどな 所詮 女や
どういうこっちゃ?
神原は攻めの組織や
一度食らいついたら 攻めて攻めて攻めまくってくる
わしの引退だけでは済まへんで
気がついたときはドツボや
女は守ることしかできへん
けどな 守ってばっかりおったら 極道は しまいじゃ!
戦争するんやったら わしが要るで
それでも破門にするか?
する!
そうか
縁 切った!
(加奈江) あんた どないしても 極道 続ける言うんか?
葉子さんは どないするんや? 好きなんやろ?
(直也)女のために生き方 変えられるような人間やったら―
とっくに変えてるわい!
わしは この家に生まれたんじゃい
極道しか知らんのや!
(加奈江) 母親のわてが頼んでもか?
母親?
そんなもん どこにおるんじゃい
わしの目の前におんのは 鬼と違うんかい
アホ!
母親やから鬼になれるんや!
的にかけられる息子を持って 喜ぶ母親がどこにおる!
あんた そんなことも 分からへんのか?
ああっ…
あんたの顔 見るたんびに―
今日は無事やった けど あしたは死ぬかもしれへん
そう思うて何年も何年も 心の安まる日はなかった
そんなん もうたくさんや
頼むわ
あんたは たった一人の 腹 痛めた息子や
あんたが死んだら わて…
極道 辞めてえな
このとおりや!
脅しの次は泣き落としかい
次から次と まあ よう手 使うな
(加奈江)ハア…
こんなに言うても 分かってくれへんのか
縁 切ったんや!
あんたが何 言おうが関係ない
わしは一生 極道 辞めへん
それが なんで分からんのや!
そうか
重田 緊急幹部会 開く
みんなに電話し
(重田)分かりました
わしの死刑の宣告かい
それを決めるんは もう わての仕事やない
あんた いつの間にか 一人前の極道になっとったんやな
やっぱり藤波の血や
極道になるいうことは 親子の絆 断つことや
あんたは さっき わてとの縁を切った
つらいけど わても あんたをあきらめる
死んでも泣かん
そやさかい 舎利になっても 行く道 行かんとあかんで
直也の言うとおり―
ここで引いたら 神原のドツボにはまる
けど 戦争で体 張らなあかんのは あんたらや
2年でも3年でも 戦争 続けられる金は―
わてが用意する
直也の引退か 神原との戦争か
どっちにしろ 決めるのは あんたらや
(国井)やりま
(矢内)若 引退させたら わしらも あの世に行って―
おやじや頭に合わせる顔ないわ
(幹部たち)そうや! おじきの言うとおりや!
(砂岡)わしも やりま!
(国井) 本部長 あんた どないや?
(宗田)五分に持ってったら この戦争は勝てま
やりまひょう
こういうときや みんなが心をひとつにせんと戦えん
3代目は直也君 あんたが継いだらええ
霊代
みんなが ええ言うんやったら
(宗田)わしが頭になって 3代目をきっと支えたる
なっ それでええか?
(矢内)よう言うた!
藤波のもんが一致団結したら 怖いもんなしや
のう?
みんなで若 もり立てて―
神原のド腐れのケツに 火 つけたろやんけ!
(幹部たち)よっしゃ!
いっちょやったろやないかい のう?
(幹部たち) いけいけ! 負けるかいや! いけいけや!
勝手に病院 抜け出したりして わしの立場は どうなるんや?
逮捕状 出てるんやで
え? 出頭?
ホンマやな?
あしたの朝までしか待てへんど
(美佐子)的にかけられる 恐れがあるので―
時間と出頭する署は 若原さんにもウソ言っときました
(加奈江)そうか
警察の出入りは 美佐ちゃんに頼むで
情報 漏れんようにな
用心に用心を重ねて あの子 守ってな
(美佐子)はい
(加奈江)直也の祝い酒や
美佐ちゃんも 1杯 つきおうてや
あの子は もう わての子どもやない
そう思うとらんと―
あしたから 生きていかれへんからな
ハア…
(宗田)こうやって直也君と サシで飲むっつうのなんか―
何年ぶりやろうな
わしも ちょいちょい―
こうやって やりたかったんやけどな
(直也) わしが しょうもない意地 張っとったから
義兄(にい)さんは誰よりも切れるしな
おふくろも 何かといえば “宗田 宗田”やろ
わし やきもち焼いとったんや
ハッ 何を言うとんのや お前
そやけど 義兄さんは―
損得勘定でしか動かん人やと 思っとったわ
3代目になったら―
平気で神原とも 盃 交わしたりするんやないかとな
アホなこと言うなや
そんなことしてみ
お義母(かあ)はんにお前 殺されてまうがな
あんな
わし 正直なこと言うたらな―
この世の中で一番怖いのが お義母はんや
分かるやろ?
分かるわ
なっ ハハハッ
(宗田)先生
あしたの直也君の出頭 大丈夫やろな
大丈夫です
わしら 直也君 亡くしたら しまいやさかい
安全なように ちゃんと段取ってくれてるやろな
西署には6時に出頭すると 連絡しておきましたが―
東署に4時に出頭するつもりです
(宗田)そうか まっ あんじょう頼むわ
(美佐子)はい
(加奈江)何や? こんなとこで
直也 風邪ひくで
(直也)わし ここ 好きなんや
(加奈江)何 言うてんねや
あしたから2~3日 警察やろ?
ちゃんと寝ときや
(直也)ここがええ
子どものころから ずっとここや
(加奈江)ハハッ しょうがない子や
(直也)お母ちゃん
(加奈江)うん?
(直也) 角谷と約束したんやろ?
反故(ほご)にして大丈夫か?
わてのことは心配せんでええ
お母ちゃんには 神原に指一本 触れさせへん
わしが守るさかいな
わし…
お母ちゃんより先には死なへん
当たり前や アホ
(男たち) オラァ! おんどりゃ!
(銃声)
(男たち) どかんかい! どかんかい!
(美佐子)直也さん! (直也)大丈夫や
(美佐子)直也さん 直也さん!
(警察官)待たんかい!
(直也) お母ちゃんに ごめんて…
(美佐子)直也さん
(殿山)若! 死んだらあかん!
(美佐子)直也さん!
(殿山)立たんかい!
立ってください 若!
立って 若! 若!
組へ帰るんや 若!
(美佐子)直也さん!
(雷鳴)
(加奈江)直也
直也
大丈夫や
あんたに言うたもんな
死んでも泣かへんて
そやから泣かん
泣かん
泣かん
ああ…
直也!
直也!
なんでや!
なんでや 直也!
ああ…
ああ 直也…
(加奈江の泣き声)
(加奈江)あの子 ホンマに子どものころから―
ここが好きでな
おやじや わての仕事 よう邪魔して
(美佐子)直也さん…
私が殺したんです
(加奈江)え?
(美佐子)あれは待ち伏せです
情報が漏れてたんです
漏らしたのは私です
どういうこっちゃ?
藤竜会の人間には 車でたつ寸前に場所を教えたんです
ですから 情報 漏らす暇ありません
あの時間と場所を知ってたのは…
たった2人
誰や?
私と…
宗田です
(宗田)おい わしや
よう やってくれたのう
ハハハハッ
(宗田) 角谷はんの所にはな こいつらが送ってくさかいな
(男たち)おおきに おおきに
ありがとうございます
(銃声) (男たち)うっ ああっ うわっ
たった数時間でも あんたは3代目やったんや
ちゃんとしてあげなな
わしが… わしが直也君に ついていっておったら―
こんなことには
わしは悔しゅうて
角谷は わしがやりま
あんたの気持ちは よう分かる
わてかて同(おんな)じや
けど 今は組はガタガタや
こんなときに焦ったらいかん
矢内 どうや
(矢内)こんなことで うちは ビクともせんいうことを
神原に まず見せつけて
戦争は それからですわ
宗田に華々しゅう 4代目襲名披露させて―
組内の士気を高めるいうのは どないですか?
宗田 矢内の意見どない思う?
ええ… いや それは ええ思いまっけど―
サツかて張り付いてるこっちゃし
襲名披露やからいうて―
身内残らず集めるっちゅうのは ちょっと難しいんちゃいまっか?
そやな
来週 ベイホテルの 完成パーティーがある
その前に家族も呼んで―
組内だけの完成祝いの パーティーやるいう名目で―
4代目宣言させたら どないや?
はあ…
まさか 疑ごうてけつかんの ちゃうやろな
(加奈江)何や?
(宗田)直也君の骨 分けてもらえまへんやろか?
(加奈江)なんでや?
(宗田) わし これから組に命懸けま
直也君の悔しい思い 忘れんためにも
直也君の骨 肌身離さず持って―
わしのやること 一部始終を 直也君に見とってほしいんです
あきまへんやろか?
(加奈江)分かった
重田
大事にしてや
おおきに
これは わしの守り神ですわ
直也も喜ぶやろ
(電話の着信音)
ハア…
ああ お母ちゃん
頼子叔母ちゃんが入院?
胆石らしいんや
うん 心細い言うてるから―
あんた これから 東京 行ってくれるか?
いや パーティーには あんたは出んでも大丈夫や
わてから宗田に事情 話しとく
うん 頼むで 今すぐ行ってや
(加奈江)ご苦労はんやったな (宗田)ええ
雅美は どないしたんや?
(宗田)えっ? まだ来ておりまへんか?
ハッ しゃあない子や
それより あんた―
ちゃんと 挨拶 用意してきたか?
(宗田)ええ
組の一人ひとりが あんたの言葉 待っとるんや
組の心 ひとつにまとめるんが―
4代目としての あんたの最初の仕事や
分かっとんな?
(宗田)はい
ほな
あんたら ここでええ
“現在 藤波組は―”
“重大な局面を迎えております”
“この難局にあたり 直也君が3代目として―”
“藤波組の代紋を背負うと 宣言されたやさき”
“凶弾に倒れたことを 誠に無念に思います”
(ノック)
どうぞ
“直也君の死を ムダにしないためにも―”
“4代目として 歴代に恥じぬよう…”
(加奈江) 4代目の最初で最後の挨拶や
時間は たっぷりある
やりいな
おかしいと思うとったんや
直也の骨 返し
(宗田)知ってて わしに骨 くれたんか?
この組 土産に 神原の直若にでも なろう思うとったんか?
こんなこまい組で―
あんたら家族に気い使(つこ)うてんのが アホくさなったんじゃ!
(加奈江)極道の組織は家族や 家族を売るもんは外道や
けどな あんたは雅美の婿や
義理とはいえ 息子に手かけることは でけへん
弾1発 入ってる
落とし前は自分でしい
逃げてもムダやで
外に一歩でも出たら あんたは蜂の巣や
(宗田)道連れじゃ!
(空撃ちする音)
それが あんたの礼儀か?
わては親としての礼儀 尽くしたで
待ってえな
待ってえな 待ってえな お義母はん!
お義母はん!
(銃声)
(足音)
(宗田) わしを甘(あも)う見すぎたようやの
かわいい息子に…
今すぐ会わしたるわい
(銃声)
(美佐子)うううっ…
うううっ…
(雅美)なんでや なんで宗田を?
うち 宗田を愛してたんや
あんた わてが宗田を やらせたとでも言うんか?
あれがやられて一番困っとんのは このわてなんや
(雅美)そやかて…
お母ちゃん 今までいっぺんでも―
あんたにウソついたこと あるか?
あったら言うてみい
(雅美)お母ちゃん…
(組員)姐さん ぼちぼち 時間ですよって
(読経)
それでは お焼香をお願いします
初めに施主 藤波加奈江殿
(銃声)
(銃声)
(男たち)ぐわっ うわっ
♪~
~♪
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