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淳子：アンタごときが　宝来くん
目指してんじゃねえよ。

（翔）みんなのＱちゃんを見る目が
ガラッと変わる。

「ストフリ」に載るっていうのは
そういうことだから。

（宝来）星学の鈴木くん。

（宝来）こういうの
受けないタイプだと思ってた。

（Ｑ）一人じゃ何もできなかった。

みんなが　いてくれなかったら
どうすることも　できなかった。

入れてください　このチームに。

よろしくな　Ｑちゃん！

死んだんだよ　オヤジさん。

自殺。

終わっても
死ぬってことじゃないんだよね。

終わる　イコール
死ぬじゃないんだよね。

（セイラ）そういうのも
洗脳なんじゃないかな。

あれ？　ねぇ君。

なら　家で飲もうよ。
えっ？

Ｑちゃんち。
それなら大丈夫っしょ？

えっ　いや…　えっ？
こっち？

えっ　うん…
あぁ　いや…　えっ？

高志：淳子…　淳子。

ん？
（高志）食事中。

雑誌　やめなさい。
あぁ。

はぁ！？
お前　もう高３だぞ？

カッコばっか気にして…
勉強は？　勉強。

返せ…　返せ！

私より
コイツのこと心配したら！？

えっ。
話を　そらすな。

いや　クセぇんだって　マジで。
コイツ絶対　タバコ吸ってるからね？

成績よければ
なんでもありですかぁ？

秋久…。

マジ終わってるよ　この家族。

あぁ？

（悦子）星学に通う子が
タバコなんか吸うわけないでしょ。

そういえば　秋くん
鈴木大臣のお孫さんと

同じクラスになったんでしょ？
もう　お話したの？

う…　うん。
（悦子）家に連れてきてもいいのよ。

いやぁ　まぁ　うん。

うん…　いいよ
無理して帰ってこなくても。

うん。
お父さんも遅くなるって。

えっ？
いい。　適当に食べるから。

はい　はい。

チッ。

（ドアの開く音）

（宝来）おじゃましま～す。

チッ。

（宝来）う～わ　庶民的。

言ったじゃん　普通の家だって。
（宝来）いや　謙遜だと思うじゃん。

星学行ってるヤツって

みんな　でかい家
住んでんのかと思ってた。

あっ。

姉です。
あぁ！

あっ　マジすか。
あっ　はじめまして。

俺…　Ｑちゃんの友達で

江戸橋学園の宝来。

ごめんね　突然。

いえ…。

ぎこちねえ　ウケる。

姉ちゃんか。
母さんは？

終電　間に合わないって…。

ウエ　共働き？

せつねえ…。
あっ　俺の部屋ね　こっち。

あぁ。
ねぇ　パパって何屋？

サラリーマン。
リーマン。

カルチャーショック。

ハァ…。

星学に
こんな苦労人がいたとはね。

鈴木くんと　つるんでんのが
ホント不思議だわ。

あぁ　いい意味でね。
あぁ　うん。

あ…　うちのオヤジも政治家でさ。

あっ　へぇ。
だから　彼のこと

それなりに知っててさ。
まぁ　うちは

じいちゃんが
東北で積み上げた地盤だから。

田舎の地主程度にしか
思われてないんだろうけどさ。

いや　翔は
そういうタイプじゃないと思うけど。

うん。
ふ～ん。

フフッ…　何も知らないのに
よく言えんじゃん。

（笑い声）

やることねえな。

ねぇ　姉ちゃん呼ぼうよ。

３人で飲もう。
いや　だから　それは　あの

あんま仲よくないしさ。
いや　今日から仲よくなろうよ。

取り持つよ俺。
いや　さすがに　それは

無理　ちょっと…。
無理だって。

宝来くん。
ちょっ　宝来くん。

宝来くん…。
すみません　お姉さん。

宝来です。　もしも～し。

ごめんて　マジで　ごめんて。

指図すんなって。

失礼しま～す。

えっ　えっ
何バッチリ　メークしちゃってんすか！

着替えてるし！
えっ　マジで　さっきと同じ人？

あれ？　「ストフリ」じゃん。
ってか俺じゃん！

本物どうすか？
ねぇ　どう？　ねぇ

ほら　どう？
まぁ…。

反応うっす。

（宝来）ってか
その服　かわいいね。

こんな時間に　服着替えて

バッチリ　メークして
どっか行くの？

行くわけでもないでしょ。
あぁ　俺のため。

（宝来）いいよいいよ。

（淳子）ダメだって…。
弟いるし…。

ちょっ　ちょっと…。
（宝来）いいでしょ。

（淳子）イヤ　待って…
ダメだって…。

イヤ…。

（淳子の声）

『Ｍａｒｉｏｎｅｔｔｅ　～マリオネット～』

（淳子）恥ずかしい…。

あっ…。

イヤ…　イヤ…。

『Ｍａｒｉｏｎｅｔｔｅ　～マリオネット～』

「鏡の中のマリオネット
もつれた糸を断ち切って」

「鏡の中のマリオネット
気分のままに踊りな」

帰るわ。

じゃあ　また。
今度は外で遊ぼうよ

Ｑちゃん。

（ドアの閉まる音）

え～　地下鉄サリン事件発生から
５８日目の今日

５月１６日　いよいよ
麻原容疑者逮捕の

Ｘデーを迎えています。
え～　５時４５分くらい…。

（淳子）おはよ。

おはよ。

現在　かなりの数の捜査員が
強制捜査を行っています。

いただきます。

数えられないですね。
何百人規模の捜査員かも

しれません。

本日　午前９時４５分

オウム真理教教祖　麻原彰晃こと
松本智津夫　４０歳を

殺人罪　および
殺人未遂罪で逮捕いたしました。

（ざわめき）

あの　見たんだけど　「ストフリ」。

超カッコよかった。
Ｑくんって　今…。

（ざわめき）

（マルコ）ヘイ　有名人！
うわさになってんぞ～！

あれ？　あの
ス…　「ストフリ」の件なんすけど…。

これか　これなんだよ。

（ざわめき）

すごくない？　これ。
ねぇ　どの辺で遊んでるの？

サインして　サイン。
（ざわめき）

（マルコ）おい！

お前ら　お前ら
列になれ！　列になれって！

ってか順番！　順番　順番！

俺にも話しかけていいよ！
俺にも話しかけていいって！

ちょちょちょ　写ってる…。

悪い。
（レオ）おぉ…。

何なに？　ばっくれ？

（ざわめき）

（女子たち）サイン　サイン…。

おぉ　なんだ…
人生ちょろいぜ！

（レオ）おい　サインでいいの？
（ざわめき）

（栗田）おざす！

（栗田）Ｑさんっすよね？

自分　１年の
栗田健吾っていいます。

やっぱ
Ｑさんも　モク吸うんすね。

自分で買ったのは　初めて。

いや　またまた。
あの　俺…　Ｑさんのチーム

マジかっけぇと思ってて。

おなしゃす！
俺を　Ｑさんのチームに

入れてください！

決めるのは　僕じゃないんで。

あっ　やっぱ
リーダーって翔さんすか？

あっ　じゃあ　どうにか
つないでもらえないすかね。

いや俺　接点なくて。
いや絶対　役に立つと

思うんすけどね俺。

だったら　自分で
どうにかしたらいいだろ。

えっ？

勝手に期待すんな　俺に！

ケホッ　ケホッ…。

クソ…。

なんなんだよ。

クソ…。

（ポケベルの音）

何？　あのメッセージ。
（ドヨン）まんまだよ。

暗号かと思った。
ホシって星？

（ドヨン）他に何があるんだよ。
まぁ　つきあえ。

（ドヨン）じいちゃんと一緒に
神戸に住んでたんだ。

今年の１月まで。
じゃあ　最近じゃん　こっち来たの。

あぁ。　だから正直

渋谷には　どうも慣れない。

ふぅん。

えっ。

１月？

（ドヨン）ど真ん中ではねえよ。
じいちゃんも無事。

でも　あのときさ
俺が住んでた街でも

でっかい停電になってさ。

そのときの空が　まぁすごかった。

まさに満天の星空だよ。

皮肉だよな。

あの空を見て以来　なぜだか

夜の空を見上げることが
できなくなった。

だから　なんつうか
これは　つまり

リハビリだよ。

お前さ

世界の終わりって　イメージできる？

ん？
俺は　結構

はっきり　イメージできる。

目の前の景色が崩れて
ボロボロになる。

がれきの下に人間の足が見える。

泣き声　うめき声　悲鳴。

なんかのにおい。
気分のいいもんじゃない。

一人では生きていけないことを
痛感するよ。

なんで　そんな話　俺にするの？

翔が気にしてた。

様子がおかしいって。

何があった？

はい　それでは
お時間になりましたので…。

悪い。　今は　こっちだ。
始めていきたいと思います。

これは　今日の夜
９時ごろの空です。

いろんな星が見えていますが
５月ごろですと

南の空のほうに
春の星座の星たちが

見えてます。

ねぇ。
（ドヨン）ん？

翔は　なんで俺を仲間に
入れようと思ったんだろう。

主役張れる男が
欲しかったんだって。

翔がいるじゃん。

アイツや　俺らじゃ　ダメなんだよ。

なんで？
だって　俺ら

嫌なヤツばっかりじゃん。

金の力で　なんとかしたり
腕力で　説き伏せたり。

主人公ってのはさ
もっと　かわいげがあって

しかも　根性据わったヤツじゃないと
ダメなんだよ　たぶん。

なんだよ　それ。
そのうちわかるよ　たぶん。

あぁ　でも
今日　初めて気付いたよ。

俺…　生まれてから今まで
星を見ようって思ったこと

なかった。　ありがとう。

作りもんだけどな。
いや　いいんだよ。

本物なんか見ちゃったら
俺も夜空　見られなくなるから。

一人じゃ生きていけない　か…。

あっ　ドヨン。
ん？

話したいことがあるんだ。

何もできなかった。

こんな俺に
チームにいる資格はない。

資格なんて　どうでもいい。

問題は
お前が傷ついてるか　どうかだ。

悪いが
お前の姉ちゃんには興味はねえ。

遊ばれた自分を直視できねえなら
放っておくだけだ。

それより　お前だ。

どうなんだ　Ｑ…。

傷ついてるのか？

憎んでる。

アイツと
簡単に　ヤラれて

平気な顔してる姉ちゃんと…。

でも　いちばんは

見て見ぬフリした自分に
腹が立ってる。

それでいいのか？

そうやって
傷を　えぐり続けるのか？

この先も　ずっと。

嫌だ。

そんなの嫌だ。

わかった。

（新城）おつかれ。
おつかれさまです。

吸うんだね　広重くん。

最近…。
へぇ。　いいよね　高校生って。

今のうちに遊びまくんな？

特に高２の夏なんて最強だよ。

その辺　歩いてる女子高生なんて
絶対　怖いもんないでしょ。

いいよなぁ。
えっ　新城さん

女子高生になりたいんすか？
質問が斬新だね。

就活　どうなんすか？
畳みかけるねぇ。
はい。

しない。　社会のシステムに
刃向かう予定だから。

って　うっそ～ん　ぼい～ん。

家を継ぐ予定です。

継がざるをえない的な？
何やってんすか？　家…。

花火職人。
もう何代も続いてる。

いるんすね　花火職人。

なっ。　いるんだよ　実は。

（ポケベルの音）

ハァ　ハァ　ハァ…。

遅いよ　Ｑちゃん。
ごめん。

ちょっと　バイトが…。

広重くん！
なぁに勝手に　しゃべってんだよ。

ドヨンに聞いた。

仲間を傷つけたヤツが　どうなるか

今から　わからせてやるよ。

（吉田）あっ！

（吉田）ちょ…　待てよ。
俺は関係ないだろ。

あぁ？
知らねえとでも思ってんのか？

うちの学生に
ありもしねえパー券

配ってんだろ。

あっ　あぁ…。
最近　クスリも　さばいてるよな？

ガキのくせによぉ！

あっ…。
オラ！

ちょっと！
オラ！

フゥー！
お前　オラ…。

えぇ！　オラオラオラ…。

お前　ちげぇよ。　オラオラオラ！

目ぇそらすな。

共犯だ。　俺たちは
仲間を傷つけられたら

その相手を全力で潰す。

同じだけ罪を背負い
同じだけ傷つくんだ。

Ｑ…　逃げるな。

それが…　ふん！

チームだ。

オラ。
渋谷から　消えろよ　オラ！

オラ！

オラ　そろそろ　わかったか？

思ってること言えよ
聞いてやるから。

助けて…。

あぁっ！
今何を思ってますかぁ？

おっ　俺たちが　悪かった。

悪い？　悪いって何が？

えぇ？
調子に乗った…。

あぁ。
えっ　それの何が悪いの？

あぁ？
めい…　わくだから…。

誰が！？
お前らが…。

（蹴る音）

あぁ～！
はい　わかってねえなぁ。

わかってねえよ　この　クソ虫が！

あっ　あぁ…。

オラ…
その意味のねえ脳みそ

吐き出せ　ゴラ！

オラ！

あぁ　おいおい　おいおい
寝んのは　はえぇぞ

まだ質問が終わってねえんだよ
こっちは。
ダメダメ　マジ　これ以上は

ヤバいって！
最後までやらせろ　マルコ。

いや　でも…。
やめとけ　翔…。
いやいや

お前って　リーダー？
いいから　やめろ！

ひよってんじゃねえよ　ドヨン！
テメェのビビリを　俺たちに

押しつけんな　クソが！　あぁ！？
オメェこそ酔ってんじゃねえのか？

オラ！
おい！

お前ら　なんで
仲間割れしてんだよ！

おい！　Ｑちゃん…。

もう気ぃ済んだろ？
済んだよな？　なぁ？

ちょっと　バカ　お前ら…。
まだだよ！

全然　済んでねえよ　Ｑちゃん。

なぁ。

Ｑちゃんの気持ちは
まだ全然　済んでない。

だって　やられた本人が
まだ　なんにもしてねえんだぞ？

そのために我慢して
取っといたんだから　コイツ。

うっ…。
やろうぜ　Ｑちゃん。

えっ。
いっ　言うからな！

牧野さんに　言うからな。

ヤベぇぞ！
牧野さんが本気で動いたら！

はぁ！？　牧野が何？

言えねえ体にしてやるよ。
やめろ！

やめろって！

ごめんって言ってんだろ。

いいから立て。
はぁ？

わかったって！
立てっつってんだよ！

わかったから！　わかった…。

ちゃんと立て　クソが。

え…。
お前に　１回だけ　チャンスやるよ。

アイツと戦え。

えっ？
お前が勝ったら

これ以上は　なんにもしない。
すぐに　こっから出してやるよ。

大丈夫。

うちの大将は俺たちと違って
王道で生きてるから。

ひきょうな手は使わねえし

何があっても
俺たちは絶対に手を出さない。

思う存分　やっちまえ。

と…　いうわけだ。

負けたら　そこまでだぞ。

背負ってるもんが違うだろ？

うわぁ～！

あっ！　うっ　うっ…。

～

オラ！うっ　　クソ！

クソ庶民が！
調子乗んな！

死ね！　死ね！　死ね！

ほら～　根性見せろ　Ｑ！

うっ…。

うぅあぁ～！

～

やれば　終わるんだな？

（宝来）うっ…。

うぅあぁ～！

～

ナメんな！

お前こそ　ナメんな！

うっ　うっ　うっ…。

うわぁ～！

ゲホッ　ゲホッ…。

Ｑ…　終わりだ。

Ｑ…。

終わりだ。
（すすり泣く声）

お前の勝ちだ。

（すすり泣く声）

ほら

Ｑちゃんに謝れ。

謝れ。
ご…　ご…。

ごべん…　ばざい…。

ゲホッ　ゲホッ…。

よくやった。

終了？

勝ちどきだぁ～！
うお～！

うおぉ～！
（カラオケ）

オラ！
（マルコ／翔）フォー！

皆さん　ご唱和くださ～い！

「必ず手に入れたいものは」

「誰にも知られたくない」

殴れよ。
「百ある甘そな話なら」

「一度は触れてみたいさ」

殴れって。
いつかな。

楽しみに取っとく。
「その気になればいい」

「掴んだ拳を使えずに」

「言葉を失くしてないかい」
おい　レオ　レオ！

来い来い。　来い　早く。

「傷つけられたら牙をむけ」

「自分を失くさぬために」
おい！　ドヨン！

「今から一緒に　これから一緒に」

「殴りに行こうか」
せ～のっ！

「ＹＡＨ　ＹＡＨ　ＹＡＨ　ＹＡＨ　ＹＡＨ　ＹＡＨ　ＹＡＨ」

（合いの手）

「ＹＡＨ　ＹＡＨ　ＹＡＨ　ＹＡＨ　ＹＡＨ　ＹＡＨ　ＹＡＨ

今日は暴れたぁ。
お前ら　はしゃぎすぎ。

なんか腹減ったな。
よし　じゃあ　メケメケ行くか。

おっ　賛成！
祝杯だぁ～！

あぁ　ヤベ。
ん？
ちょっと　タバコ買ってく。

あぁ　早くしろよ。

主役が来ねえと
締まんねえからな。
うん。

どもっす！
なんかあったんすか？

ボッコボコの宝来さん
見かけましたけど。

気安く話しかけんなって…。
えっ？

ハァ　ハァ　ハァ…。

うっそ～。
忙しいんだよ　こっちは。

させん…。

あっ　おつぁした　Ｑ先輩！
また！

えっ　何してんの？

漫画。
家で読めば？

好きなの　ここが。

俺だけの
秘密の場所だと思ってた。

こっちも　そう思ってた。

この前さ

君…　ホントに死ねるのかなって
言ったよね？

世界の終わり。　ノストラダムス。

あれから思ったんだけどさ…。

世界って　結構
終わんないのかもしんないね。

まぁ　どっちにしろ
俺たちは生き残るけど。

翔と　レオと
ドヨンと　マルコと

生き残って　大人になって

一緒に　終わったあとの世界
見にいく予定だから。

だから　君もさ…。

セイラもさ…。

死なないでよ。

っていうか　言わないでよ。
「死ねるの？」とか。

俺そういうの　マジで嫌なんだよね。

ふざけんなって！　生きろって！

一緒に大人になれよ！
カッコいい大人にさぁ！

何があったの？

何も。

言うと怒られるんだ？　翔に。

はぁ？

アイツは俺のためなら
なんでも　やってくれるヤツだよ。

変なこと言うな。

フッ…　フフッ…。

そっか。
いや　そうだよ。

君…　洗脳されたんだね

（萌香）ごめんなさい。
確かに　ウソをついてました。

（萌香）私は今
岸セイラという女性について

調べています。

こうでもしないと
お話が伺えないと思って…。

君は誰だ？

セイラの　なんなんだ。

なんとなく
気付いてたんじゃないんですか？

だから　こんな話まで
してくれたのかと思いました。

誰だ？

娘です。

（萌香）あの人の娘です。