All language subtitles for 蝉しぐれ(3)歳月 - [1920-1920x1080@KFMVFR.hevc10_crf 20_veryslow][字]
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1
00:00:02,202 --> 00:00:06,940
♬~
2
00:00:06,940 --> 00:00:14,681
<海坂藩の郡奉行 牧 助左衛門は
さきの藩主の側室 お福様と➡
3
00:00:14,681 --> 00:00:19,953
青春の日々を振り返ります。➡
4
00:00:19,953 --> 00:00:23,624
事件から1年半の後 文四郎は➡
5
00:00:23,624 --> 00:00:28,295
家老 里村左内から
処分を解かれます。➡
6
00:00:28,295 --> 00:00:31,131
文四郎が思いを寄せる
ふくは➡
7
00:00:31,131 --> 00:00:33,634
江戸で 藩主のお手がつき➡
8
00:00:33,634 --> 00:00:38,805
ひそかに 国元に帰って
出産します。➡
9
00:00:38,805 --> 00:00:43,143
父が 非業の死を遂げて 4年。➡
10
00:00:43,143 --> 00:00:47,648
文四郎は ようやく
事の真相を知ります。➡
11
00:00:47,648 --> 00:00:51,818
父 助左衛門は
村の代官の不正を正し➡
12
00:00:51,818 --> 00:00:58,158
農民を助けようとして
里村家老に葬られたのです。➡
13
00:00:58,158 --> 00:01:01,061
その里村家老に 文四郎は➡
14
00:01:01,061 --> 00:01:06,433
藩主のお子をさらってくるように
命じられたのです。➡
15
00:01:06,433 --> 00:01:09,469
おふくと お子の命を守るため➡
16
00:01:09,469 --> 00:01:14,942
文四郎は欅御殿に向かったのです>
17
00:01:14,942 --> 00:01:25,285
♬~
18
00:01:25,285 --> 00:01:29,623
(おみち)牧 文四郎様を
ご案内いたしました。
19
00:01:29,623 --> 00:01:31,925
⚟(お福)お通しください。
20
00:01:51,645 --> 00:01:56,950
文四郎殿…
面を上げてください。
21
00:02:03,256 --> 00:02:06,927
お久しゅうございました。
22
00:02:06,927 --> 00:02:10,731
(文四郎)お方様も
お変わりなく…。
23
00:02:21,274 --> 00:02:25,779
ご健勝の ご様子にて
何よりと存じます。
24
00:02:27,447 --> 00:02:31,318
堅苦しい挨拶は
このぐらいにしましょう。
25
00:02:31,318 --> 00:02:35,022
はい。
26
00:02:37,958 --> 00:02:42,829
母上様は お変わりありませんか?
27
00:02:42,829 --> 00:02:49,569
は…。 いささか 年取りましたが
元気にしております。
28
00:02:49,569 --> 00:02:53,507
それは何よりです。
29
00:02:53,507 --> 00:02:57,644
小和田逸平殿…。
30
00:02:57,644 --> 00:03:00,414
(逸平)はい。
31
00:03:00,414 --> 00:03:06,753
お懐かしゅうございます。
(逸平)はい。 某もでございます。
32
00:03:06,753 --> 00:03:09,256
今 ご家族は?
33
00:03:09,256 --> 00:03:13,927
はい。 去年 嫁を取りまして➡
34
00:03:13,927 --> 00:03:17,731
今年 めでたく
男の子が生まれました。
35
00:03:19,800 --> 00:03:22,002
文四郎殿は?
36
00:03:24,938 --> 00:03:27,140
お嫁様は…?
37
00:03:30,610 --> 00:03:32,946
いまだ…。
38
00:03:32,946 --> 00:03:34,948
いまだ…?
39
00:03:36,817 --> 00:03:41,822
縁ありませず…
独り身でございます。
40
00:03:46,293 --> 00:03:48,228
(磯貝)では 牧殿。➡
41
00:03:48,228 --> 00:03:54,034
火急の用とやらを
伺いましょうか?はい。
42
00:03:59,473 --> 00:04:05,745
少々… 異な お願いを
申し上げます。
43
00:04:05,745 --> 00:04:09,549
驚き召されぬよう。
(磯貝)聞こう。
44
00:04:14,254 --> 00:04:18,759
お福様のお子を
某に お預けいただきたく➡
45
00:04:18,759 --> 00:04:20,694
参上つかまつりました。
46
00:04:20,694 --> 00:04:39,446
♬~
47
00:04:39,446 --> 00:04:44,951
牧殿の今の話
もし断れば 里村家老が➡
48
00:04:44,951 --> 00:04:47,621
ここを襲うやもしれぬとの
考えには➡
49
00:04:47,621 --> 00:04:49,556
何か いわれでもあるのか?
50
00:04:49,556 --> 00:04:57,297
いえ ありません。 されど
我らの一致した考えであります。
51
00:04:57,297 --> 00:05:03,403
本来なら 「根も葉もない話を
持ち込まれては困る」と➡
52
00:05:03,403 --> 00:05:06,406
断固 お引き取り
願うところだが…。
53
00:05:14,114 --> 00:05:22,088
実は 殿も「里村家老を警戒せよ」と
おっしゃった。
54
00:05:22,088 --> 00:05:25,926
すると
殿も 里村様をお疑いで?
55
00:05:25,926 --> 00:05:31,264
さよう。 さればこそ 我ら
こうして 当屋敷を守っておる。
56
00:05:31,264 --> 00:05:41,975
♬~
57
00:05:41,975 --> 00:05:44,277
(玉木)何やつだ!
58
00:05:44,277 --> 00:06:01,394
♬~
59
00:06:01,394 --> 00:06:03,396
(村上)行くぞ。
60
00:06:09,903 --> 00:06:12,739
(北村)ご油断召されるな 磯貝殿!
北村!
61
00:06:12,739 --> 00:06:18,745
狼藉者です。 この者たちも
恐らくは 一味です!
62
00:06:20,614 --> 00:06:22,749
我らは お福様の お味方。
63
00:06:22,749 --> 00:06:26,586
この一事をお疑いいただいては
困ります!
64
00:06:26,586 --> 00:06:33,093
磯貝。
文四郎殿の言うとおりじゃ。
65
00:06:36,096 --> 00:06:39,799
では どうなさる? 牧殿。
66
00:06:45,805 --> 00:06:47,807
この近くの金井村に➡
67
00:06:47,807 --> 00:06:51,278
藤次郎という
信頼できる村役人がおります。
68
00:06:51,278 --> 00:06:54,948
お福様と お子と お女中を
そこに お連れしてください。
69
00:06:54,948 --> 00:06:57,617
きっと
かくまってくれるはずです!
70
00:06:57,617 --> 00:07:01,888
北村! 篠崎!
裏門から出て お連れしろ!
71
00:07:01,888 --> 00:07:04,925
はい!
72
00:07:04,925 --> 00:07:10,730
文四郎殿は?
我らも後から駆けつけます。
73
00:07:13,233 --> 00:07:15,268
お急ぎくだされ!
74
00:07:15,268 --> 00:07:31,084
♬~
75
00:07:31,084 --> 00:07:35,955
(磯貝)牧殿。 某は 裏門まで
お送りして すぐに戻ってくる。
76
00:07:35,955 --> 00:07:37,957
お願いします!
77
00:07:37,957 --> 00:08:01,147
♬~
78
00:08:12,392 --> 00:08:21,067
人を斬ったことあるのか?
ない。 だが 斬る!
79
00:08:21,067 --> 00:08:24,771
部屋の中だ。 慌てるなよ!
80
00:08:32,412 --> 00:08:35,081
(村上)お妾殿は どこかな?
81
00:08:35,081 --> 00:08:39,586
お妾殿? それは 誰のことかな?
82
00:08:39,586 --> 00:08:41,621
お福様だ。
83
00:08:41,621 --> 00:08:45,458
そのような方は
この屋敷には おられぬ。
84
00:08:45,458 --> 00:08:50,597
文四郎 とぼけるな。
ご家老の命を裏切るのか!?
85
00:08:50,597 --> 00:08:57,370
ほほう 正体を現したな。
逸平! 鶴之助!
86
00:08:57,370 --> 00:09:03,710
やはり こいつらは里村派だ。
あきれ果てたものよ。
87
00:09:03,710 --> 00:09:08,882
ご家老様は 初めから
皆殺しを お考えとはな。
88
00:09:08,882 --> 00:09:12,185
(斬り合う刀の音)
89
00:09:23,229 --> 00:09:28,234
⚟(斬り合う刀の音)
90
00:09:59,999 --> 00:10:02,202
うわ~っ!
91
00:10:03,970 --> 00:10:06,172
ああ~っ!
92
00:10:07,807 --> 00:10:10,276
うりゃ~っ!
93
00:10:10,276 --> 00:10:13,580
わ~っ! ううっ!
94
00:10:16,149 --> 00:10:21,454
逸平。 大丈夫か?
大丈夫だ。
95
00:10:21,454 --> 00:10:23,456
ああ~っ!
96
00:10:35,969 --> 00:10:38,271
てやっ!
97
00:10:41,140 --> 00:10:43,143
はあ~っ!
98
00:11:03,263 --> 00:11:08,935
♬~
99
00:11:08,935 --> 00:11:12,272
うわ~っ! ぐっ…。
100
00:11:12,272 --> 00:11:21,614
♬~
101
00:11:21,614 --> 00:11:24,517
やあ~っ!
102
00:11:24,517 --> 00:11:38,464
♬~
103
00:11:38,464 --> 00:11:42,302
(おみち)お福様…。
(北村)お福殿…。
104
00:11:42,302 --> 00:12:01,421
♬~
105
00:12:01,421 --> 00:12:03,456
ああ~っ!
106
00:12:03,456 --> 00:12:30,116
♬~
107
00:12:30,116 --> 00:12:32,118
えいっ!
108
00:12:34,621 --> 00:12:37,290
待てっ!
109
00:12:37,290 --> 00:12:48,301
♬~
110
00:12:48,301 --> 00:12:50,236
磯貝殿。
111
00:12:50,236 --> 00:12:54,641
大事ない。 大した傷じゃない。
112
00:12:54,641 --> 00:12:59,145
逸平! 鶴之助!
磯貝殿を頼む!
113
00:13:08,288 --> 00:13:10,923
兵馬…。
114
00:13:10,923 --> 00:13:17,263
この日 この時を…➡
115
00:13:17,263 --> 00:13:22,135
何年 待ったことか… フフッ。
116
00:13:22,135 --> 00:13:40,119
♬~
117
00:14:20,927 --> 00:15:02,535
♬~
118
00:15:02,535 --> 00:15:06,739
くそっ… はあ~っ!
119
00:15:06,739 --> 00:15:18,251
♬~
120
00:15:27,126 --> 00:15:29,629
何なんだ? 今のは。
121
00:15:35,268 --> 00:15:37,770
急ごう。
まだ 追っ手がいるかもしれん。
122
00:15:37,770 --> 00:15:39,972
お福様の後を追うんだ!
123
00:15:43,943 --> 00:15:46,279
文四郎!
124
00:15:46,279 --> 00:16:26,419
♬~
125
00:16:26,419 --> 00:16:28,354
(戸をたたく音)
126
00:16:28,354 --> 00:16:33,159
藤次郎殿。 藤次郎殿…。
127
00:16:39,966 --> 00:16:41,968
⚟(藤次郎)
どなたでございましょうか?
128
00:16:41,968 --> 00:16:45,471
牧です。 牧 文四郎です。
129
00:16:50,109 --> 00:16:54,981
藤次郎殿。 恩に着ますぞ。
いや とんでもございません。
130
00:16:54,981 --> 00:17:01,187
北村。 お福様は?
ご無事でございます。 奥の間に。
131
00:17:10,429 --> 00:17:14,734
失礼つかまつります。
⚟はい。
132
00:17:17,270 --> 00:17:21,574
文四郎殿。 お怪我は?
133
00:17:23,910 --> 00:17:27,747
一同 皆 無事にござります。
134
00:17:27,747 --> 00:17:44,764
♬~
135
00:17:50,770 --> 00:17:53,806
さあさあ
皆さん 召し上がってください。
136
00:17:53,806 --> 00:17:58,511
お~ これは かたじけない。
文四郎様も どうぞ。
137
00:17:58,511 --> 00:18:02,214
文四郎。
ここも安全とは言えんぞ。
138
00:18:02,214 --> 00:18:04,150
そのとおりだ。
139
00:18:04,150 --> 00:18:08,020
まだまだ二の矢 三の矢の討っ手を
繰り出してくるに違いない。
140
00:18:08,020 --> 00:18:11,557
(鶴之助)何としても 今夜のうちに
ご城下に潜り込まなければ。
141
00:18:11,557 --> 00:18:16,062
ああ そうだ。
お福様と お子を安全な場所へな。
142
00:18:16,062 --> 00:18:21,233
(磯貝)安全な場所とは?
横山様のお屋敷です。
143
00:18:21,233 --> 00:18:24,136
それは ちと 無理ではなかろうか。
144
00:18:24,136 --> 00:18:26,739
磯貝殿!
145
00:18:26,739 --> 00:18:29,775
この金井村から
ご城下に入る道は➡
146
00:18:29,775 --> 00:18:32,411
残らず 敵の手で
塞がれてると見るべきだ。
147
00:18:32,411 --> 00:18:35,081
それもそうだな。
148
00:18:35,081 --> 00:18:38,951
文四郎。 あの里村のことだ。
149
00:18:38,951 --> 00:18:43,255
あらゆる手段を使って
捜し出そうとするに違いないぞ。
150
00:18:43,255 --> 00:18:47,593
一か八か切り抜けるしかないか。
切り抜ける?
151
00:18:47,593 --> 00:18:51,931
ああ。 この6人で 最後の賭けだ!
そうだ。
152
00:18:51,931 --> 00:18:56,769
いや それは いかん!
文四郎!
153
00:18:56,769 --> 00:19:04,043
お前と逸平は ここまでだ。
もう十分 力を貸してくれた。
154
00:19:04,043 --> 00:19:07,380
おい 文四郎。 お前
また 水くさいこと 言うのか?
155
00:19:07,380 --> 00:19:13,886
いや違う。 気持ちはありがたいが
何と言おうと断る。
156
00:19:16,055 --> 00:19:18,557
よし 牧殿。 では 我々だけで!
157
00:19:18,557 --> 00:19:23,062
いや それも無理です。
女 子供連れです。
158
00:19:23,062 --> 00:19:27,400
我々は どうなっても
構いませぬが…。
159
00:19:27,400 --> 00:19:31,404
進退 窮まったか。
160
00:19:33,906 --> 00:19:36,208
(藤次郎)あの…。
161
00:19:37,777 --> 00:19:39,779
藤次郎殿…。
162
00:19:39,779 --> 00:19:43,582
ご城下の出入り口を
避ければよろしいのでしょうか?
163
00:19:43,582 --> 00:19:45,518
そうだが…。
164
00:19:45,518 --> 00:19:48,254
それでしたら 舟を使われては➡
165
00:19:48,254 --> 00:19:51,590
いかがでしょうか?
…舟?
166
00:19:51,590 --> 00:19:59,265
ええ。 この金井村に 権六という
名前の船頭がおります。
167
00:19:59,265 --> 00:20:01,200
五間川で魚を取ったり➡
168
00:20:01,200 --> 00:20:05,771
時には 城下に
物を運んだりしている者です。
169
00:20:05,771 --> 00:20:08,607
人を乗せる舟では ありませんが➡
170
00:20:08,607 --> 00:20:10,910
乗っていけると思います。
171
00:20:14,780 --> 00:20:18,451
それはいい。
藤次郎殿。 その 権六とやらに➡
172
00:20:18,451 --> 00:20:21,654
頼んでみては くれまいか?
かしこまりました。
173
00:20:27,960 --> 00:20:30,663
⚟お福様。 磯貝です。
174
00:20:35,468 --> 00:20:41,140
まさに 大きな賭けでした。
175
00:20:41,140 --> 00:20:45,144
今 思い出しても
この身が震えます。
176
00:20:47,012 --> 00:20:50,483
あの時 私は➡
177
00:20:50,483 --> 00:20:55,154
妙に静かな気持ちでした。
178
00:20:55,154 --> 00:20:58,657
静かな気持ちとは?
179
00:20:58,657 --> 00:21:04,764
死ぬるものなら
このまま死んでもいいと…。
180
00:21:04,764 --> 00:21:07,566
不思議と そう思えたのです。
181
00:21:12,271 --> 00:21:16,609
文四郎さんと一緒なら…➡
182
00:21:16,609 --> 00:21:19,945
それも本望だと。
183
00:21:19,945 --> 00:21:26,252
(蝉しぐれ)
184
00:22:03,088 --> 00:22:09,094
お福様。 では 参ります。
185
00:22:12,097 --> 00:22:17,603
逸平。 鶴之助…。
186
00:22:17,603 --> 00:22:22,608
(磯貝)くれぐれも
お福様を頼みましたぞ。
187
00:22:26,779 --> 00:22:30,082
牧様。 急ぎませぬと。
188
00:22:37,423 --> 00:22:39,625
では…。
189
00:22:45,631 --> 00:23:35,281
♬~
190
00:23:35,281 --> 00:23:37,983
お寒くは ありませんか?
191
00:23:45,291 --> 00:23:47,960
夜でも こぐことがあるのか?
192
00:23:47,960 --> 00:23:50,462
(権六)
ええ。 何度か 急病人 乗せて➡
193
00:23:50,462 --> 00:23:52,965
ご城下まで行きやした。
194
00:23:52,965 --> 00:23:56,835
もっとも 年がら年中
上り下りしてる川ですからな。
195
00:23:56,835 --> 00:24:00,406
目ぇ つぶってたって
川筋は分かりやす。
196
00:24:00,406 --> 00:24:02,708
そういうものか。
197
00:24:05,911 --> 00:24:09,415
旦那さん。 火ぃ消してくだせえ。
198
00:24:09,415 --> 00:24:12,618
どうかしたか?
あれ。
199
00:24:16,188 --> 00:24:19,191
顔見せい 顔!
200
00:24:24,964 --> 00:24:29,468
伏せて。
早く… 早くしてください。
201
00:24:48,153 --> 00:25:29,094
♬~
202
00:25:29,094 --> 00:25:31,130
待て待て 待て待て!
どけ!
203
00:25:31,130 --> 00:25:33,265
顔 見せてみろ!
顔 見せてみろ!
204
00:25:33,265 --> 00:25:35,200
違う!
205
00:25:35,200 --> 00:25:37,903
どうだ!?
206
00:25:39,605 --> 00:25:42,508
違う! 行くぞ!
207
00:25:42,508 --> 00:26:16,442
♬~
208
00:26:16,442 --> 00:26:19,244
まだ見つからんのか!? まだ!
209
00:26:19,244 --> 00:26:31,423
♬~
210
00:26:31,423 --> 00:26:37,095
(岸本)もたもたするな!
もたもた! 早く歩け!
211
00:26:37,095 --> 00:26:41,600
おい… あれは 何だ?
212
00:26:45,437 --> 00:26:48,440
(山井)ただの魚籠よ。
213
00:26:54,146 --> 00:27:43,929
♬~
214
00:27:43,929 --> 00:27:46,231
さっ 着きやした。
215
00:27:51,603 --> 00:27:53,605
気を付けて。
216
00:28:02,247 --> 00:28:06,118
権六。 気を付けて帰れよ。
217
00:28:06,118 --> 00:28:09,087
もう 平気でさ。
のんびり帰りやす。
218
00:28:09,087 --> 00:28:24,603
♬~
219
00:28:24,603 --> 00:28:29,241
お福様 参りましょう。
220
00:28:29,241 --> 00:28:31,443
お子をこちらに。
221
00:28:38,250 --> 00:28:45,757
<「ふくの子供だ」と
文四郎は思いました。➡
222
00:28:45,757 --> 00:28:49,261
「殿様の子だ」とは考えまい。➡
223
00:28:49,261 --> 00:28:54,099
考えれば 運命にあらがえぬ
ふくも 自分も➡
224
00:28:54,099 --> 00:28:56,935
哀れに思えてくるのです>
225
00:28:56,935 --> 00:30:16,615
♬~
226
00:30:16,615 --> 00:30:18,817
文四郎さん…。
227
00:30:22,120 --> 00:30:28,894
あなたの名前を呼びたかった。
文四郎さん…。
228
00:30:28,894 --> 00:30:42,140
♬~
229
00:30:42,140 --> 00:30:48,313
文四郎さん。 どんなに…➡
230
00:30:48,313 --> 00:30:52,484
どんなに あなたのことを…。
231
00:30:52,484 --> 00:31:02,094
♬~
232
00:31:02,094 --> 00:31:04,596
つけられています。
233
00:31:08,433 --> 00:31:15,107
どうか このままに…。
今 お子をお渡しします。
234
00:31:15,107 --> 00:31:54,312
♬~
235
00:31:54,312 --> 00:31:57,983
<おふくと抱き合うた姿を
見た者を➡
236
00:31:57,983 --> 00:32:01,853
この世に生かしておくことは
できない。➡
237
00:32:01,853 --> 00:32:09,428
そう 文四郎は考えたのです>
(小助)うっ…。
238
00:32:09,428 --> 00:32:18,603
♬~
239
00:32:18,603 --> 00:32:35,954
♬~(子守歌)
240
00:32:35,954 --> 00:32:37,956
⚟(今村)牧殿。
241
00:32:44,663 --> 00:32:49,301
(今村)お待たせ申した。
横山様がお会いになります。
242
00:32:49,301 --> 00:32:53,505
お福様は 今しばらく
こちらで お休みくださりませ。
243
00:33:27,138 --> 00:33:32,944
牧 文四郎殿が参りました。
⚟(横山)通せ。
244
00:33:49,127 --> 00:33:53,298
(横山)牧 文四郎か?
はい。
245
00:33:53,298 --> 00:33:59,804
(横山)又助だ。 怪我はないか?
ござりませぬ。
246
00:34:02,974 --> 00:34:06,945
お福様は ご無事か?
247
00:34:06,945 --> 00:34:14,085
はい。 お子ともども
ご無事でございます。
248
00:34:14,085 --> 00:34:18,924
今村から
おおよそのことは聞いたが➡
249
00:34:18,924 --> 00:34:22,227
今夜あったことを
詳しく話してもらおうか。
250
00:34:24,796 --> 00:34:29,100
その前に 里村様から
呼ばれた時のことから➡
251
00:34:29,100 --> 00:34:31,937
お話し申し上げるのが
よろしいかと。
252
00:34:31,937 --> 00:34:37,943
うん。 話せ。 残らず聞こう。
253
00:34:41,947 --> 00:35:15,580
♬~
254
00:35:15,580 --> 00:35:18,083
回想 文四郎さん…。
255
00:35:18,083 --> 00:35:24,756
あなたの名前を呼びたかった。
文四郎さん…。
256
00:35:24,756 --> 00:35:59,257
♬~
257
00:36:02,894 --> 00:36:10,068
牧 文四郎。 よくぞ話してくれた。
はっ。
258
00:36:10,068 --> 00:36:13,405
その方が お福様を
当屋敷へ お連れしたことは➡
259
00:36:13,405 --> 00:36:16,107
実に賢明であった。
260
00:36:20,912 --> 00:36:28,787
殿も お聞きになれば
きっと お喜びになられるぞ。➡
261
00:36:28,787 --> 00:36:33,091
大儀であった。
はっ。
262
00:36:47,439 --> 00:36:52,243
牧 文四郎にござります。
⚟はい。
263
00:37:00,885 --> 00:37:06,558
ご安心ください。
横山様にお話し申し上げました。
264
00:37:06,558 --> 00:37:10,428
ご案じなさることは
何も ございません。
265
00:37:10,428 --> 00:37:13,231
そうですか…。
266
00:37:13,231 --> 00:37:18,069
いろいろと
ありがとうございました。
267
00:37:18,069 --> 00:37:20,371
いえ…。
268
00:37:23,875 --> 00:37:28,079
文四郎殿は… これから?
269
00:37:29,781 --> 00:37:32,083
家へ戻ります。
270
00:37:39,090 --> 00:37:46,598
では… どうか くれぐれも
御身お大切になされてください。
271
00:37:52,937 --> 00:37:55,140
文四郎殿。
272
00:38:06,484 --> 00:38:15,293
文四郎殿も どうか… お元気で。
273
00:38:35,513 --> 00:38:49,928
♬~
274
00:38:49,928 --> 00:38:58,269
<おふくには もう二度と会えない。
その思いを断ち切るかのように➡
275
00:38:58,269 --> 00:39:03,875
文四郎は 里村左内の屋敷に
やって来たのです>
276
00:39:03,875 --> 00:39:19,424
♬~
277
00:39:19,424 --> 00:39:25,897
(沢木)おい! ちょっと待て。
どこへ行く?
278
00:39:25,897 --> 00:39:30,235
ご家老に用があって参った。
279
00:39:30,235 --> 00:39:33,571
牧だぞ! おい こやつ 牧だぞ!
280
00:39:33,571 --> 00:39:36,274
何だと!?
281
00:39:40,245 --> 00:39:43,281
お静かに願いたい。
282
00:39:43,281 --> 00:39:46,918
恨みも何もない貴公たちに
怪我は させたくない。
283
00:39:46,918 --> 00:39:48,920
(権田)何だと!
284
00:39:51,422 --> 00:39:56,094
ご家老に話があるだけで
手荒なまねはせぬ。
285
00:39:56,094 --> 00:39:58,997
ここで お待ち願いたい。
こしゃくなことをぬかす!
286
00:39:58,997 --> 00:40:01,966
(木戸)
わしらを何だと思ってるんだ!
287
00:40:01,966 --> 00:40:36,634
♬~
288
00:40:36,634 --> 00:40:40,138
斬ってはおらぬ!
介抱してやってくれ。
289
00:40:43,508 --> 00:40:45,710
やあ~っ!
290
00:41:13,471 --> 00:41:15,473
(障子が開く音)
291
00:41:42,133 --> 00:41:47,338
軽輩と見て 侮られましたな。
292
00:41:50,008 --> 00:41:55,313
無益に 人が死にましたぞ。
293
00:41:55,313 --> 00:42:02,120
某も 振りかかる火の粉は
払わねばなりませぬ。
294
00:42:02,120 --> 00:42:06,591
ご家老の 私利私欲のために
人が死んだのです。
295
00:42:06,591 --> 00:42:09,093
違うだろう。
お家のために死んだのだ。
296
00:42:09,093 --> 00:42:12,764
お黙りあれ!
297
00:42:12,764 --> 00:42:21,272
そのような物の言い方は
もはや 聞き飽きましたぞ!
298
00:42:21,272 --> 00:42:27,779
どうやら ご家老は
死んでゆく者の気持ちを➡
299
00:42:27,779 --> 00:42:31,282
推し量れぬ お人らしい。
300
00:42:33,451 --> 00:42:36,954
死に行く者の気持ちとは…。
301
00:42:41,192 --> 00:42:45,396
死に行く者の気持ちとは!
302
00:42:59,577 --> 00:43:04,916
その気持ちは かようなものです!
303
00:43:04,916 --> 00:43:19,464
♬~
304
00:43:19,464 --> 00:43:22,333
ご無礼つかまつりました。
305
00:43:22,333 --> 00:43:24,335
やあ~っ!
306
00:43:26,938 --> 00:43:29,974
侮りを受けては 某も武士!
307
00:43:29,974 --> 00:43:33,811
見過ごし難く
かような振る舞いに及びました。
308
00:43:33,811 --> 00:43:38,115
お腹立ちであれば いつでも
討っ手をお向けください。
309
00:43:38,115 --> 00:43:41,319
尋常に お相手つかまつりまする。
310
00:43:45,623 --> 00:43:47,959
(里村)待て!
311
00:43:47,959 --> 00:43:53,764
これから 横山の屋敷へ
駆け込むつもりだな。
312
00:43:56,968 --> 00:44:01,739
いえ 既に駆け込んでおります。
313
00:44:01,739 --> 00:44:08,246
もはや 横山様が ご筆頭の
御評定が行われておりましょう。
314
00:44:08,246 --> 00:44:12,116
ご家老の…
終わりの時が来たようですな。
315
00:44:12,116 --> 00:44:40,611
♬~
316
00:44:40,611 --> 00:44:44,916
(助左衛門)私の欲ではなく
義のために やったことだ。
317
00:44:48,352 --> 00:44:52,957
そのことは 胸に しまっておけ。
318
00:44:52,957 --> 00:45:14,745
♬~
319
00:45:14,745 --> 00:45:16,747
父上…。
320
00:45:29,594 --> 00:45:34,932
<それから 2か月後。
梅雨の訪れとともに➡
321
00:45:34,932 --> 00:45:38,936
里村派の処分が発表されました>
322
00:45:41,272 --> 00:45:45,776
里村左内
以下のとおり申しつける。
323
00:45:48,613 --> 00:45:51,949
(横山)「元主席家老 里村左内➡
324
00:45:51,949 --> 00:45:58,456
右の者 謀反を企てるをもって
領外追放 仰せつけ候」。
325
00:46:02,059 --> 00:46:12,370
謹んで… お請けつかまつり候。
326
00:46:30,421 --> 00:46:35,760
<里村左内は 領外追放となり
家族とともに➡
327
00:46:35,760 --> 00:46:39,964
海坂藩を去るように
命じられたのです>
328
00:46:44,935 --> 00:46:49,106
<そんな ある日のことでした。
以前と同じく➡
329
00:46:49,106 --> 00:46:52,610
村回りの仕事に明け暮れる
文四郎にも➡
330
00:46:52,610 --> 00:46:55,913
大きな変化が やって来たのです>
331
00:47:00,217 --> 00:47:05,056
(路)あら 文四郎さん!
お留守に お邪魔しております。
332
00:47:05,056 --> 00:47:07,091
お久しぶりでございます。
333
00:47:07,091 --> 00:47:09,927
(路)まあまあ
随分と 日焼けなされて➡
334
00:47:09,927 --> 00:47:14,231
お仕事お忙しそうですねえ。
はあ。
335
00:47:14,231 --> 00:47:16,567
(路)そうそう こちらはね➡
336
00:47:16,567 --> 00:47:22,273
青苧蔵役の岡崎亀次様の次女で
せつ様。
337
00:47:24,442 --> 00:47:28,946
(せつ)せつにござります。
お初に お目にかかります。
338
00:47:32,416 --> 00:47:35,920
牧 文四郎です。
(路)せつ様はね➡
339
00:47:35,920 --> 00:47:40,257
私の新しい お弟子さんですのよ。
ほら これ…。
340
00:47:40,257 --> 00:47:43,094
よおっ! 長刀のね。
341
00:47:43,094 --> 00:47:46,964
(笑い声)
342
00:47:46,964 --> 00:47:49,767
(登世)
せつ様のお父上は お若い時➡
343
00:47:49,767 --> 00:47:52,436
父と同じ道場で学んだそうです。
344
00:47:52,436 --> 00:47:54,372
石栗道場の。
ええ。
345
00:47:54,372 --> 00:47:58,776
(路)ただ 腕前の方は
随分と違ってたらしいですよ。
346
00:47:58,776 --> 00:48:00,711
亡くなられた助左衛門殿は➡
347
00:48:00,711 --> 00:48:02,646
師範代にもなろうかという➡
348
00:48:02,646 --> 00:48:04,582
お方でしょう?
349
00:48:04,582 --> 00:48:06,584
言ってみれば 文四郎さんと➡
350
00:48:06,584 --> 00:48:09,420
うちの逸平ぐらいの差は
あったかもしれませんね。
351
00:48:09,420 --> 00:48:14,725
そうでしょう? せつさん。
そのように父から聞いております。
352
00:48:14,725 --> 00:48:20,231
(路)これは とにかく
何かのご縁に違いありませんよ。➡
353
00:48:20,231 --> 00:48:23,067
ねえ 文四郎さん。
354
00:48:23,067 --> 00:48:25,002
はあ…。
355
00:48:25,002 --> 00:48:27,905
(路)いけません。
私 つい余計なことを➡
356
00:48:27,905 --> 00:48:33,244
おしゃべりしてしまいました。
どうしましょう せつさん。
357
00:48:33,244 --> 00:48:36,547
あっ まあ… オホホホホッ…。
358
00:48:44,755 --> 00:48:48,425
<お福様にも
大きな変化がありました。➡
359
00:48:48,425 --> 00:48:52,596
江戸の殿のお指図で
国元の城に入り➡
360
00:48:52,596 --> 00:48:56,267
正式な側室となります。➡
361
00:48:56,267 --> 00:49:02,273
文四郎にとって もはや
手の届かぬ人と なったのです>
362
00:49:05,543 --> 00:49:10,214
(おきみ)気を付けてくださいよ。
今日は 楽しかったよ。
363
00:49:10,214 --> 00:49:15,085
まあ ありがとうございます。
また お待ちしてますよ。
364
00:49:15,085 --> 00:49:18,389
ありがとうございました。
365
00:49:22,226 --> 00:49:25,529
おきみちゃん 大丈夫?
366
00:49:34,805 --> 00:49:37,708
(与之助)なかなかの
美人だそうじゃないか。➡
367
00:49:37,708 --> 00:49:40,010
今度の縁談の相手。
368
00:49:45,449 --> 00:49:48,452
逸平から聞いたよ。
369
00:49:48,452 --> 00:49:54,925
なるほど それでか
今夜 俺を呼び出したのは。
370
00:49:54,925 --> 00:49:57,761
逸平に頼まれたのか?
お前からも勧めろと。
371
00:49:57,761 --> 00:50:00,464
ハハッ ばれたか。
372
00:50:02,633 --> 00:50:06,470
しかしな それだけじゃないぞ。
373
00:50:06,470 --> 00:50:11,308
実は 俺は俺で お前の気持ちを
確かめようと思ってな。
374
00:50:11,308 --> 00:50:17,515
俺の気持ち?
そうだ。 お福様のことだ。
375
00:50:20,017 --> 00:50:22,019
まあ 飲め!
376
00:50:25,623 --> 00:50:28,959
ずばり聞く。
377
00:50:28,959 --> 00:50:34,131
あのお方は
今でも お前の心の中にいるのか?
378
00:50:34,131 --> 00:50:38,302
やめてくれ そんな話。
いや 今日は聞く。
379
00:50:38,302 --> 00:50:40,971
俺はな 文四郎…。
380
00:50:40,971 --> 00:50:44,475
今まで
口に出したことはなかったが➡
381
00:50:44,475 --> 00:50:47,811
お前の気持ち…。
もういい。
382
00:50:47,811 --> 00:50:53,984
文四郎。
あの人は もういない。
383
00:50:53,984 --> 00:50:58,856
俺の心の中に もういない。
384
00:50:58,856 --> 00:51:01,792
本心か?
385
00:51:01,792 --> 00:51:05,095
本心だ。
386
00:51:05,095 --> 00:51:07,031
そうでなければ➡
387
00:51:07,031 --> 00:51:10,034
何にも知らずに嫁に来る人に
失礼ではないか。
388
00:51:16,106 --> 00:51:20,945
与之助。
何だ?
389
00:51:20,945 --> 00:51:26,617
祝言には来てくれるよな?
390
00:51:26,617 --> 00:51:29,119
喜んでな。
391
00:51:33,958 --> 00:51:42,299
♬~(謡曲「高砂」)
392
00:51:42,299 --> 00:51:45,636
<小和田逸平が
仲人を買って出て➡
393
00:51:45,636 --> 00:51:50,507
内々のささやかな祝言が
執り行われました>
394
00:51:50,507 --> 00:52:10,260
♬~(謡曲「高砂」)
395
00:52:10,260 --> 00:52:51,301
♬~
396
00:52:51,301 --> 00:52:56,974
<ふくとの青春の日々が
終わりを告げている。➡
397
00:52:56,974 --> 00:53:01,178
文四郎は そう思ったのです>
398
00:53:31,809 --> 00:53:35,112
母上…。
お帰りなさい。
399
00:53:35,112 --> 00:53:40,451
いけませんよ。
横になっていなければ。
400
00:53:40,451 --> 00:53:45,255
それがね 文四郎。
もうすっかり いいようですよ。
401
00:53:48,325 --> 00:53:51,795
おっ 熱は引きましたね。
402
00:53:51,795 --> 00:53:57,601
そうでしょう? 何だか 体が
す~っと 軽くなりましたよ。
403
00:53:57,601 --> 00:54:00,404
玄斎先生の薬が効きましたな。
404
00:54:00,404 --> 00:54:06,276
いいえ。 せつのおかげですよ。
せつの?
405
00:54:06,276 --> 00:54:10,581
ゆうべも また 一睡も
していないはずですよ。
406
00:54:10,581 --> 00:54:15,452
もう 楽になったからと言っても
ずっと 付きっきりでね➡
407
00:54:15,452 --> 00:54:18,322
あちこち 汗を拭いてくれて。
408
00:54:18,322 --> 00:54:24,628
そうでしたか。 ゆうべは村回りで
今し方 戻ったものですから。
409
00:54:27,030 --> 00:54:30,901
(登世)文四郎。
はい。
410
00:54:30,901 --> 00:54:36,807
せつは まことに よい嫁ですよ。
411
00:54:36,807 --> 00:55:00,230
♬~
412
00:55:00,230 --> 00:55:02,733
せつ。
はい。
413
00:55:02,733 --> 00:55:11,441
これは 何か 貝を煮たものか?
はい。 たにしでございます。
414
00:55:11,441 --> 00:55:18,582
たにし?
あの 田んぼにいる たにしか?
415
00:55:18,582 --> 00:55:23,754
お口に合いませぬか?
あっ いやいや そうではない。
416
00:55:23,754 --> 00:55:28,926
こんなに うまいのは 初めてだ。
417
00:55:28,926 --> 00:55:34,264
そうか…。
たにしは こんなに うまいのか。
418
00:55:34,264 --> 00:55:38,936
里の母に教わりました。
母上にも?
419
00:55:38,936 --> 00:55:43,140
はい。 おいしいと
喜んでくださいました。
420
00:55:46,276 --> 00:55:49,079
しかし うまい。 うん…。
421
00:55:57,287 --> 00:56:01,258
<その数日後のことです>
422
00:56:01,258 --> 00:56:04,461
お帰りなさいませ。
うん。
423
00:56:08,398 --> 00:56:13,604
小和田様が お見えです。逸平が?
はい。
424
00:56:19,042 --> 00:56:21,044
⚟(せつ)失礼いたします。
425
00:56:26,583 --> 00:56:31,088
待たせたな。
おお。 随分 黒くなったなあ。
426
00:56:31,088 --> 00:56:33,924
村回りらしく なってきたのかな?
427
00:56:33,924 --> 00:56:36,593
郷方勤めは
日に焼けて半人前というんだが➡
428
00:56:36,593 --> 00:56:41,465
とにかく 村回りは疲れるぞ。
そうか 疲れるか。
429
00:56:41,465 --> 00:56:45,302
俺なんぞは 城と家を
行き来するだけでも 疲れる。
430
00:56:45,302 --> 00:56:49,106
いかにも お前らしいな。
ハハハハハハッ!
431
00:56:49,106 --> 00:56:51,942
そういえば
与之助は どうしてる?
432
00:56:51,942 --> 00:56:57,614
おお そのことで来たんだ。
433
00:56:57,614 --> 00:57:02,452
実は昨日な 三省館へ行って
与之助を訪ねたんだ。
434
00:57:02,452 --> 00:57:04,421
その時 与之助が➡
435
00:57:04,421 --> 00:57:07,925
聞き捨てならんことを
言いだしてな。
何だ?
436
00:57:11,561 --> 00:57:17,234
驚くなよ。 おぬしに対して
刺客が放たれたらしいというのだ。
437
00:57:17,234 --> 00:57:21,571
刺客? 誰が そんなことをした?
438
00:57:21,571 --> 00:57:24,374
追放された 里村だ。
439
00:57:28,445 --> 00:57:32,449
ご家老の…
終わりの時が来たようですな。
440
00:57:36,119 --> 00:57:39,756
で 刺客は 誰なのかな?
441
00:57:39,756 --> 00:57:44,628
それは 分からんと
与之助は言っておった。
442
00:57:44,628 --> 00:57:47,431
しかし おぬしを狙う刺客だ。
443
00:57:47,431 --> 00:57:49,366
おぬしと同じか あるいは➡
444
00:57:49,366 --> 00:57:54,604
それ以上の腕を持つ者に
違いあるまい。
445
00:57:54,604 --> 00:57:58,108
それにしても 里村も
往生際が悪い。
446
00:57:58,108 --> 00:58:02,079
いや 里村殿にしてみれば➡
447
00:58:02,079 --> 00:58:05,382
この俺は
殺しても飽き足らん男だろう。
448
00:58:05,382 --> 00:58:08,418
その気持ちも分からんでもない。
449
00:58:08,418 --> 00:58:13,123
人を罠にはめておいて
失敗したからか? 冗談じゃない。
450
00:58:13,123 --> 00:58:16,026
こっちは おかげで危うくお陀仏に
なるとこだったんだからな。
451
00:58:16,026 --> 00:58:20,397
⚟(せつ)失礼いたします。
白湯をお持ちしました。
452
00:58:20,397 --> 00:58:22,399
うん。
453
00:58:25,068 --> 00:58:27,738
新しい白湯をお持ちしました。
454
00:58:27,738 --> 00:58:30,640
おお これは ありがたい。
455
00:58:30,640 --> 00:58:33,610
いや この煎餅が うますぎて
ほら このとおり。
456
00:58:33,610 --> 00:58:36,079
もう 1枚しか残っておりません。
457
00:58:36,079 --> 00:58:40,250
この逸平はな 昔から
食うことしか頭になかったんだ。
458
00:58:40,250 --> 00:58:42,919
おい 文四郎!
そうではないか。
459
00:58:42,919 --> 00:58:45,589
(逸平)食うことしかってことは
ないだろう。 しかってことは。
460
00:58:45,589 --> 00:58:48,592
どうぞ ごゆっくりなさいまし。
461
00:58:55,932 --> 00:59:00,370
あっ そうだ 文四郎。
浅井平三郎殿が➡
462
00:59:00,370 --> 00:59:04,541
町奉行に取り立てられた話を
聞いたか?いや。
463
00:59:04,541 --> 00:59:09,379
里村追放のあと 横山派の人間の
論功行賞が行われていることは➡
464
00:59:09,379 --> 00:59:13,050
知ってるな?
うん。
465
00:59:13,050 --> 00:59:16,553
俺たち どうなんだろう?
俺たち?
466
00:59:16,553 --> 00:59:18,488
あれだけの働きを成し遂げ➡
467
00:59:18,488 --> 00:59:22,359
監察に呼ばれて
事の顛末を明らかにした。
468
00:59:22,359 --> 00:59:27,264
功浅からずという気もするんだが
違うか?
469
00:59:27,264 --> 00:59:29,266
そういう気はするが➡
470
00:59:29,266 --> 00:59:33,003
こちらから
申し立てるべきものでもなかろう。
471
00:59:33,003 --> 00:59:35,806
それも そうだな。
472
00:59:42,779 --> 00:59:47,284
しかし… 腹減ったなあ。
473
00:59:52,355 --> 00:59:56,760
<その後
里村が放った刺客は現れず➡
474
00:59:56,760 --> 01:00:01,264
逸平が期待した
褒章の声も かからないままに➡
475
01:00:01,264 --> 01:00:05,102
ひとつきほどが たちました。➡
476
01:00:05,102 --> 01:00:10,607
文四郎は そんな ある日 無外流の
小野道場を訪ねました。➡
477
01:00:10,607 --> 01:00:15,612
久しぶりに 布施鶴之助に
会いたいと思ったのです>
478
01:00:22,786 --> 01:00:25,288
<稽古をしている一人が➡
479
01:00:25,288 --> 01:00:27,324
興津新之丞です。➡
480
01:00:27,324 --> 01:00:30,794
かつて
奉納試合で戦った時よりも➡
481
01:00:30,794 --> 01:00:35,599
興津の剣は
鋭く冴え渡っていました>
482
01:00:38,301 --> 01:00:40,637
(鶴之助)これは 珍しい。
483
01:00:40,637 --> 01:00:42,973
やあ。 突然に邪魔してる。
484
01:00:42,973 --> 01:00:48,478
いやいや おぬしなら大歓迎だ。
まっ 上がってくれ。
485
01:00:51,314 --> 01:00:55,185
(稽古の掛け声)
486
01:00:55,185 --> 01:00:58,488
あの興津は よく来てるのかな?
487
01:00:58,488 --> 01:01:02,926
ああ この ふたつき
急に また来るようになった。
488
01:01:02,926 --> 01:01:08,098
この ふたつき?
うん。 それが 何か?
489
01:01:08,098 --> 01:01:11,401
いや 何でもない。
490
01:01:18,275 --> 01:01:20,210
たあ~っ!
491
01:01:20,210 --> 01:01:22,212
(三宅)それまで!
492
01:01:27,450 --> 01:01:29,786
あの人は?
(三宅)礼。
493
01:01:29,786 --> 01:01:33,623
(鶴之助)
師範代の三宅藤右衛門殿だ。
494
01:01:33,623 --> 01:01:37,794
あの人が三宅さんか。
知り合いか?
495
01:01:37,794 --> 01:01:41,298
いや そうではないが
居合抜きでは➡
496
01:01:41,298 --> 01:01:44,601
ご城下で 右に出る者はおらぬと
聞いておる。
497
01:01:52,909 --> 01:01:55,845
牧 文四郎殿でござるか?
498
01:01:55,845 --> 01:01:57,847
はい。
499
01:01:59,649 --> 01:02:02,919
当道場 師範代 三宅藤右衛門です。
500
01:02:02,919 --> 01:02:07,257
以後 お見知りおきを。
こちらこそ。
501
01:02:07,257 --> 01:02:09,759
実は ぶしつけでござるが➡
502
01:02:09,759 --> 01:02:13,263
興津が 貴公と試合をしたいと
言っておりましてな。
503
01:02:15,632 --> 01:02:18,935
いや…。
一本勝負で いいそうです。
504
01:02:18,935 --> 01:02:24,240
どうです? うちの門人たちにも
見せてやってくれまいか?
505
01:02:29,446 --> 01:02:33,783
俺からも ぜひ 頼む。
師範代の言うとおり➡
506
01:02:33,783 --> 01:02:36,453
貴公と興津さんの
試合などというものは➡
507
01:02:36,453 --> 01:02:39,356
めったに見られるものではない。
508
01:02:39,356 --> 01:02:42,859
ひとつ
見せてやってもらいたいな。
509
01:02:49,966 --> 01:02:54,671
竹刀を お借りできますか?
うん。
510
01:02:59,309 --> 01:03:02,278
しばらく。
(興津)逃げるかと思ったぞ。
511
01:03:02,278 --> 01:03:06,583
逃げはせん。 行くか。
512
01:04:07,744 --> 01:04:10,547
参った。
(三宅)それまで!
513
01:04:12,248 --> 01:04:14,250
(三宅)礼。
514
01:04:27,797 --> 01:04:30,500
(三宅)牧殿。
515
01:04:35,105 --> 01:04:37,040
ありがとうございました。
いやいや。
516
01:04:37,040 --> 01:04:41,277
また いつでも お越しください。
517
01:04:41,277 --> 01:04:45,081
秘剣 村雨を使わなかったですな。
518
01:04:47,951 --> 01:04:51,755
あれを使えば 打たれることは
なかったでしょうに。
519
01:04:56,292 --> 01:04:58,294
では…。
520
01:05:05,101 --> 01:05:08,405
なぜだ…。
521
01:05:08,405 --> 01:05:13,610
秘剣 村雨のことを
なぜ あの人が…。
522
01:05:18,748 --> 01:05:21,251
<それから しばらくして➡
523
01:05:21,251 --> 01:05:27,590
新しい主席家老の横山又助から
文四郎は呼び出されました>
524
01:05:27,590 --> 01:05:32,262
(横山)遅くなったが 牧と
小和田逸平 布施鶴之助の➡
525
01:05:32,262 --> 01:05:35,298
褒章のあらましが決まったので
呼んだ。
526
01:05:35,298 --> 01:05:42,972
はい。さて その褒章だが まずは
小和田逸平に 加増5石。
527
01:05:42,972 --> 01:05:47,777
牧 文四郎には
加増30石と決まった。
528
01:05:49,612 --> 01:05:53,450
あ… いや…。
529
01:05:53,450 --> 01:05:58,621
どうした?
小和田が 5石の加増で➡
530
01:05:58,621 --> 01:06:03,459
30石は 多すぎると
思っておるのだな?
はい。
531
01:06:03,459 --> 01:06:07,230
いや 多すぎてはおらん。
532
01:06:07,230 --> 01:06:13,036
この加増分には 腹切って死なせた
助左衛門の褒章も含まれておる。
533
01:06:16,906 --> 01:06:24,781
親父殿に劣らぬよう… 励め。
534
01:06:24,781 --> 01:06:28,518
ありがたき幸せにござります。
535
01:06:28,518 --> 01:06:33,022
亡き父も
さぞ 喜ぶことと存じます。
536
01:06:38,094 --> 01:06:41,931
ところで いまひとつは
布施鶴之助のことだ。
537
01:06:41,931 --> 01:06:44,968
布施は部屋住みゆえ
この際 召し出して➡
538
01:06:44,968 --> 01:06:52,442
一家を構えさせては どうかという
考えがある。 そなた どう思う?
539
01:06:52,442 --> 01:06:59,949
されば… 僭越ながら…。
(横山)遠慮はいらん。
540
01:06:59,949 --> 01:07:05,221
父と同じく 腹切らされた
矢田作之丞殿のお家は➡
541
01:07:05,221 --> 01:07:09,225
その後 いかように
なっておりましょうか?
542
01:07:12,095 --> 01:07:16,833
(榊原)確か 親戚預けになっていた
作之丞の老母に➡
543
01:07:16,833 --> 01:07:20,703
捨て扶持を与えておるはずです。
544
01:07:20,703 --> 01:07:26,509
牧。 矢田の家が どうした?
545
01:07:26,509 --> 01:07:30,246
これは 某の思いつきに
すぎませぬが➡
546
01:07:30,246 --> 01:07:36,586
布施は 自害した妻女の弟で
矢田の縁につながる者です。
547
01:07:36,586 --> 01:07:39,489
後を継がせて
矢田家を再興することを➡
548
01:07:39,489 --> 01:07:42,692
ご一考いただきたいと
願うたのですが…。
549
01:07:48,197 --> 01:07:51,768
よくぞ申した。
550
01:07:51,768 --> 01:07:57,640
死んだ矢田作之丞は
わしのために働いてくれた男だ。
551
01:07:57,640 --> 01:08:06,149
その 矢田家を再興させるとは…
よい考えじゃ。
552
01:08:29,505 --> 01:08:32,241
(掛け声)
553
01:08:32,241 --> 01:08:35,244
(刀を打ち合う音)
554
01:09:17,053 --> 01:09:21,858
刺客とは… 貴公でしたか。
555
01:09:24,727 --> 01:09:26,763
いかにも…。
556
01:09:26,763 --> 01:10:01,631
♬~
557
01:10:01,631 --> 01:10:07,103
秘剣 村雨
しかと見せてもらおう。
558
01:10:07,103 --> 01:10:33,963
♬~
559
01:10:33,963 --> 01:10:36,265
たあ~っ!
560
01:10:38,301 --> 01:10:40,303
うっ!
561
01:11:09,098 --> 01:11:13,402
<20年近くの歳月が流れて…>
562
01:11:15,271 --> 01:11:19,942
<文四郎は 父の名を継いで
牧 助左衛門を名乗り➡
563
01:11:19,942 --> 01:11:25,114
農民の暮らしを預かる
郡奉行となっておりました>
564
01:11:25,114 --> 01:11:28,618
(徳助)お奉行様。
お戻りなさりませ。➡
565
01:11:28,618 --> 01:11:30,553
八ツ過ぎになるかと
思いましたが➡
566
01:11:30,553 --> 01:11:32,955
存外 お早い お帰りで。➡
567
01:11:32,955 --> 01:11:34,991
さぞ 暑かったでござんしょう。
568
01:11:34,991 --> 01:11:37,126
それも 明日で終わりそうだ。
569
01:11:37,126 --> 01:11:40,630
山回りも ほとんど済ませた。
ああ さようでございますか。
570
01:11:40,630 --> 01:11:43,299
では 明日は お屋敷へ
お戻りでございますね。
571
01:11:43,299 --> 01:11:47,470
うん。 明日の夜は
屋敷に戻れそうだ。
572
01:11:47,470 --> 01:11:50,273
(風鈴の音)
573
01:11:58,114 --> 01:12:00,583
(中山)お奉行様。
574
01:12:00,583 --> 01:12:05,087
おっ 中山か。 今 戻ったところだ。
575
01:12:05,087 --> 01:12:09,926
今朝ほど 客がございました。
客? わしにか?
576
01:12:09,926 --> 01:12:15,431
はい。 箕浦の三国屋の番頭が
これを持ってまいりました。
577
01:12:24,106 --> 01:12:26,442
ほかに 伝言は?
いいえ。
578
01:12:26,442 --> 01:12:29,278
ただ これをお渡ししてくれと。
579
01:12:29,278 --> 01:12:32,982
そうか。 いや ご苦労であった。
580
01:13:03,913 --> 01:13:12,088
「私 この秋 白蓮院に入り
尼になることと相決め申し候。➡
581
01:13:12,088 --> 01:13:17,760
さりながら
今生の未練と存じ候えども➡
582
01:13:17,760 --> 01:13:21,631
あなた様に
ひとたび お会いいたしたく➡
583
01:13:21,631 --> 01:13:26,435
本日 箕浦に まかり越し候。➡
584
01:13:26,435 --> 01:13:33,609
もし おめもじ かない候はば
無上の喜びにて候えども➡
585
01:13:33,609 --> 01:13:38,481
決して 無理申す儀にては
これなく候。➡
586
01:13:38,481 --> 01:13:45,955
万が一つの幸いを頼みに
この文 参らせ候。➡
587
01:13:45,955 --> 01:13:50,660
二十日には
城に帰る心積もりに候」。
588
01:13:59,302 --> 01:14:02,071
<殿様が病で亡くなって➡
589
01:14:02,071 --> 01:14:06,242
1年近い月日が
たっておりました。➡
590
01:14:06,242 --> 01:14:11,414
「お福様は その一周忌を前に
髪を下ろすのだろう」と➡
591
01:14:11,414 --> 01:14:14,917
助左衛門は思いました。➡
592
01:14:14,917 --> 01:14:19,088
それにしても
大胆なことだと驚きつつ➡
593
01:14:19,088 --> 01:14:21,757
「二十日に城に帰る」との
添え書きを➡
594
01:14:21,757 --> 01:14:25,094
いま一度 見つめました。➡
595
01:14:25,094 --> 01:14:30,433
二十日といえば
今日のことなのです>
596
01:14:30,433 --> 01:15:06,902
♬~
597
01:15:06,902 --> 01:15:09,739
(平吉)お奉行様でござりますか?
そうだ。
598
01:15:09,739 --> 01:15:13,576
間に合って ようございました。
お客様 もう少しで➡
599
01:15:13,576 --> 01:15:16,412
お発ちになるところで
ございました。
600
01:15:16,412 --> 01:15:28,924
♬~
601
01:15:28,924 --> 01:15:30,926
(平吉)お見えでござります。
602
01:15:55,151 --> 01:16:01,924
お久しゅうござります。
お福様には何かと…。
603
01:16:01,924 --> 01:16:06,128
そのような 堅苦しい挨拶など…。
604
01:16:10,232 --> 01:16:15,538
よかった…。
もう おいでになられないかと。
605
01:16:27,249 --> 01:16:31,587
なんとか…
なんとか 間に合いました。
606
01:16:31,587 --> 01:16:36,392
しかし… しかし…。
607
01:16:39,261 --> 01:16:45,434
頂きました お手紙では
尼寺へ お入りのご覚悟かと。
608
01:16:45,434 --> 01:16:51,106
ええ。 この秋にも…。
609
01:16:51,106 --> 01:16:55,778
髪を下ろして 白蓮院へ入ります。
610
01:16:55,778 --> 01:16:58,114
されど…➡
611
01:16:58,114 --> 01:17:01,984
今生に残る未練に動かされ…。
612
01:17:01,984 --> 01:17:06,989
こうして… こうして やっと。
613
01:17:11,060 --> 01:17:13,262
文四郎さん。
614
01:17:14,897 --> 01:17:21,904
今日は そう呼ばせてください。
お福様…。
615
01:17:25,908 --> 01:17:27,910
ふくです。
616
01:17:29,745 --> 01:17:34,583
今日の私は ふくです。
617
01:17:34,583 --> 01:17:41,924
そう呼んでください。
遠い あの日のように…。
618
01:17:41,924 --> 01:17:45,628
せめて 今日だけは…。
619
01:17:48,797 --> 01:18:05,047
(蝉しぐれ)
620
01:18:05,047 --> 01:19:18,554
♬~
621
01:19:18,554 --> 01:19:22,224
文四郎さん。
622
01:19:22,224 --> 01:19:26,395
文四郎さんの お子は?
623
01:19:26,395 --> 01:19:33,269
2人です。
上の息子は 15歳になりまして➡
624
01:19:33,269 --> 01:19:37,740
今年から 小姓組の見習いとして
勤めております。
625
01:19:37,740 --> 01:19:41,076
下の娘も 13で➡
626
01:19:41,076 --> 01:19:46,882
ちょうど あのころのような年に
なりました。
627
01:19:46,882 --> 01:19:52,688
お互い それぞれ
人の親になったのですね。
628
01:19:52,688 --> 01:19:56,091
さようです。
629
01:19:56,091 --> 01:20:00,929
文四郎さんのお子が 私の子で➡
630
01:20:00,929 --> 01:20:05,267
私の子が 文四郎さんの
お子であるような道は➡
631
01:20:05,267 --> 01:20:07,970
なかったのでしょうか。
632
01:20:20,282 --> 01:20:29,958
それができなかったことを
某 生涯の悔いとしております。
633
01:20:29,958 --> 01:20:32,161
本当に?
634
01:20:38,967 --> 01:20:42,304
うれしい…。
635
01:20:42,304 --> 01:20:48,110
でも きっと こういうふうに
終わるのでしょうね。
636
01:20:48,110 --> 01:20:53,482
この世に 悔いを持たぬ人など
いないでしょうから。
637
01:20:53,482 --> 01:20:57,319
はかない世の中…。
638
01:20:57,319 --> 01:21:14,336
(蝉しぐれ)
639
01:21:17,606 --> 01:21:19,908
文四郎さん…。
640
01:21:27,282 --> 01:21:32,087
この指を… 覚えてますか?
641
01:21:34,156 --> 01:21:36,158
どれ。
642
01:21:43,832 --> 01:21:47,136
武家の子は このぐらいのことで
泣いてはならん。
643
01:21:54,810 --> 01:21:57,613
蛇に かまれた指です。
644
01:21:59,314 --> 01:22:06,121
さよう。
某が血を吸ってさし上げた。
645
01:22:06,121 --> 01:22:43,458
♬~
646
01:22:43,458 --> 01:22:45,761
文四郎さん…。
647
01:22:49,331 --> 01:22:51,633
ふく…。
648
01:22:51,633 --> 01:23:01,910
♬~
649
01:23:01,910 --> 01:23:03,846
ふく。
650
01:23:03,846 --> 01:25:19,147
♬~
651
01:26:07,696 --> 01:26:43,999
(ひぐらしの声)
652
01:26:52,207 --> 01:27:10,225
♬~(「遥かな愛…」)
653
01:27:10,225 --> 01:27:21,570
♬「もしも 私
生きているのが」
654
01:27:21,570 --> 01:27:27,909
♬「一年だけなら」
655
01:27:27,909 --> 01:27:36,418
♬「春の息吹を
うけたら すぐに」
656
01:27:36,418 --> 01:27:47,929
♬「もしも 私
生きているのが」
657
01:27:47,929 --> 01:27:54,102
♬「一瞬だけなら」
658
01:27:54,102 --> 01:28:02,544
♬「うまれたままの
心と姿」
659
01:28:02,544 --> 01:28:08,717
♬「花を抱きしめ
躍りだすのよ」
660
01:28:08,717 --> 01:28:14,523
♬「あなたと一緒に」
661
01:28:14,523 --> 01:28:20,328
♬「花を抱きしめ
躍りだすのよ」
662
01:28:20,328 --> 01:28:27,035
♬「あなたと一緒に」
56322