All language subtitles for 蝉しぐれ(2)罠 - [1920-1920x1080@KFMVFR.hevc10_crf 20_veryslow][字]
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1
00:00:02,202 --> 00:00:05,772
♬~
2
00:00:05,772 --> 00:00:09,610
<海坂藩の郡奉行 牧 助左衛門は➡
3
00:00:09,610 --> 00:00:17,484
さきの藩主の側室 お福様と
青春の日々を振り返ります。➡
4
00:00:17,484 --> 00:00:21,321
牧 文四郎は
隣の家の娘 ふくを➡
5
00:00:21,321 --> 00:00:24,825
ほのかに思う
下級武士の子でした>
6
00:00:27,160 --> 00:00:32,633
<義理の父 助左衛門は
28石 二人扶持でしたが➡
7
00:00:32,633 --> 00:00:34,968
文四郎は父を尊敬し➡
8
00:00:34,968 --> 00:00:38,672
父のようになりたいと
考えていました>
9
00:00:41,141 --> 00:00:44,177
<ですが突然
父は捕らわれの身となり➡
10
00:00:44,177 --> 00:00:48,382
謀反を起こした咎で
切腹を命じられます>
11
00:00:50,150 --> 00:00:54,821
<家禄は 僅か7石。
家を取り上げられ➡
12
00:00:54,821 --> 00:00:58,125
長屋住まいになってしまいます>
13
00:00:59,993 --> 00:01:02,896
<文四郎が思いを寄せる ふくは➡
14
00:01:02,896 --> 00:01:07,601
江戸藩邸の奥勤めに
奉公に出てしまいます>
15
00:01:09,436 --> 00:01:16,777
<事件から1年半後 文四郎は
里村家老から呼び出されます。➡
16
00:01:16,777 --> 00:01:19,813
里村は切腹を命じた男。➡
17
00:01:19,813 --> 00:01:24,284
文四郎には 父の敵だったのです>
18
00:01:24,284 --> 00:01:33,293
♬~
19
00:01:36,296 --> 00:01:39,199
(里村)牧。
(文四郎)はっ。
20
00:01:39,199 --> 00:01:41,902
わしが 左内だ。
21
00:01:47,908 --> 00:01:50,310
どうした?
22
00:01:50,310 --> 00:01:52,980
いえ…。
23
00:01:52,980 --> 00:01:57,184
(里村)牧…。
はい。
24
00:02:01,588 --> 00:02:05,258
まあ そう怖い顔をするな。
25
00:02:05,258 --> 00:02:07,928
いえ 滅相もないことで
ござります。
26
00:02:07,928 --> 00:02:13,100
今夜は そなたに
伝えたいことができたので呼んだ。
27
00:02:13,100 --> 00:02:18,772
こっちは 大目付の尾形だ。
28
00:02:18,772 --> 00:02:22,976
大目付は
立ち会いのために来ておる。
29
00:02:26,513 --> 00:02:30,317
では 申し渡す。
30
00:02:38,158 --> 00:02:48,168
「牧 文四郎儀 旧禄に復し
郡奉行支配に任ずるものなり」。
31
00:02:51,304 --> 00:02:58,612
これで 無事 そなたへの仕置きが
解かれたということだ。
32
00:03:00,113 --> 00:03:05,819
どうした? 不服か?
33
00:03:05,819 --> 00:03:09,089
い… いえ…。
34
00:03:09,089 --> 00:03:12,926
(里村)御評定で
そう決まったのだ。
35
00:03:12,926 --> 00:03:18,598
住まいの方は どういう話に
なっておったかな?(尾形)はっ。
36
00:03:18,598 --> 00:03:24,938
郡奉行支配の組屋敷が1軒
この秋にも空き家になります。
37
00:03:24,938 --> 00:03:28,442
牧の家は そこに入れます。
38
00:03:28,442 --> 00:03:32,612
ということだ。
相分かったか?
39
00:03:32,612 --> 00:03:37,484
確かに承りました。
ありがたい仰せにござります。
40
00:03:37,484 --> 00:03:41,788
では。
お尋ねします!何だ?
41
00:03:41,788 --> 00:03:43,724
旧禄に戻りますと➡
42
00:03:43,724 --> 00:03:47,661
我が家の禄高は
いかほどになりましょうか。
43
00:03:47,661 --> 00:03:50,297
いかほど?
はい。
44
00:03:50,297 --> 00:03:53,800
ハハハハハハハハッ…。
45
00:03:53,800 --> 00:03:59,473
元の28石 二人扶持に戻す
ということだ。
46
00:03:59,473 --> 00:04:03,443
申し渡しの日付は?
日付は 今日になっておる。
47
00:04:03,443 --> 00:04:09,649
よって 本日より
旧禄に戻すということだ。
48
00:04:11,585 --> 00:04:16,757
まだ 何かあるか?
49
00:04:16,757 --> 00:04:22,262
いえ。 ありがとうございます!
50
00:04:22,262 --> 00:04:39,946
♬~
51
00:04:58,064 --> 00:05:00,867
(淑江)文四郎様。
52
00:05:17,250 --> 00:05:24,124
酔ってらっしゃるんですか?
そう… いけませんか?
53
00:05:24,124 --> 00:05:27,761
飲まずにいられないことだって
あります。
54
00:05:27,761 --> 00:05:30,263
おやすみなさい。
55
00:05:30,263 --> 00:05:58,792
♬~
56
00:05:58,792 --> 00:06:01,695
おやすみなさい。
57
00:06:01,695 --> 00:06:21,481
♬~
58
00:06:23,116 --> 00:06:28,255
母上。 こんな高いものを。
(登世)フフフフッ。
59
00:06:28,255 --> 00:06:32,926
よいでは ありませぬか。
久々のお祝いなのですから。
60
00:06:32,926 --> 00:06:40,100
それに 村回りで働くとなれば
精をつけておきませんとね。
61
00:06:40,100 --> 00:06:46,439
田畑や山回りで 夏は日焼けして
真っ黒になるでしょうな。
62
00:06:46,439 --> 00:06:51,278
父上の普請組も
似たようなものでしたよ。
63
00:06:51,278 --> 00:06:57,284
年中 真っ黒になって…。
そうでしたね。
64
00:06:59,619 --> 00:07:06,326
さあ 召し上がれ。
頂きます。
65
00:07:09,229 --> 00:07:16,403
出仕する時には 父上の助左衛門を
名乗りましょう。はい。
66
00:07:16,403 --> 00:07:18,338
そして 嫁をもらいましょう。
67
00:07:18,338 --> 00:07:20,907
(むせる音)
68
00:07:20,907 --> 00:07:23,810
どうしたのですか?
69
00:07:23,810 --> 00:07:29,616
いや 嫁をもらえなどと急に…。
70
00:07:29,616 --> 00:07:34,921
家禄は元に戻りましたが
勤めを許されるのは まだ先の話。
71
00:07:34,921 --> 00:07:37,757
それまでは
依然として謹慎の身です。
72
00:07:37,757 --> 00:07:43,563
いいえ。
我が家にもね やっと また➡
73
00:07:43,563 --> 00:07:46,433
春が巡ってきたのです。
74
00:07:46,433 --> 00:07:56,609
♬~
75
00:07:56,609 --> 00:07:59,913
(鈴の音)
76
00:08:03,216 --> 00:08:08,054
<文四郎は家禄が元に戻ったことを
知らせるため➡
77
00:08:08,054 --> 00:08:15,362
普請組組屋敷の山岸家と
小柳家を訪ねます。 しかし…>
78
00:08:17,397 --> 00:08:20,233
(昌江)それは それは
おめでとうございます。
79
00:08:20,233 --> 00:08:23,570
登世様も さぞや お喜びでしょう。
はい。
80
00:08:23,570 --> 00:08:28,074
この普請組に戻られたら
どんなにか うれしいんですけど。
81
00:08:28,074 --> 00:08:33,880
あら ごめんなさい。
いえね 小柳様もいなくなり➡
82
00:08:33,880 --> 00:08:38,084
この組屋敷も昔と違って
寂しくなりましたよ。
83
00:08:38,084 --> 00:08:40,587
その甚兵衛さんのおうちですが➡
84
00:08:40,587 --> 00:08:43,623
訪ねたら 別の人がおられたので
びっくりしました。
85
00:08:43,623 --> 00:08:47,360
どちらに移られたんですか?
86
00:08:47,360 --> 00:08:53,767
それがね 文四郎さん。
小柳様は出世なされたのです。
87
00:08:53,767 --> 00:08:57,937
もう 「甚兵衛さん」などと
言ってはなりません。
88
00:08:57,937 --> 00:09:01,741
そう呼ぶのは
失礼なんですね?
89
00:09:08,882 --> 00:09:12,719
すると 今 小柳のお家は?
90
00:09:12,719 --> 00:09:17,390
禄高80石で
お蔵方勤めに変わりました。
91
00:09:17,390 --> 00:09:24,063
お住まいは 与力町にあります。
80石…。
92
00:09:24,063 --> 00:09:29,402
それはまた 大変なご出世ですが
しかし それは どういう…?
93
00:09:29,402 --> 00:09:32,305
(昌江)ふくを ご存じでしょう?
94
00:09:32,305 --> 00:09:37,577
少し 内気にすぎるようでしたが
気立てのよい子でしたよ。
95
00:09:37,577 --> 00:09:39,913
その ふくが 江戸のお屋敷に➡
96
00:09:39,913 --> 00:09:42,749
ご奉公に上がったことは
ご存じでしょう?
97
00:09:42,749 --> 00:09:45,085
それは聞いております。
98
00:09:45,085 --> 00:09:48,755
あ… お菓子でも
お出ししましょうか。
99
00:09:48,755 --> 00:09:52,058
いや もう どうぞ お構いなく。
100
00:09:54,427 --> 00:09:57,764
実はね 文四郎さん…。
101
00:09:57,764 --> 00:10:04,637
ふくに お殿様のお手が
ついたそうなんです。
102
00:10:04,637 --> 00:10:09,776
小柳様は これから まだまだ
出世なさいますよ。
103
00:10:09,776 --> 00:10:32,165
♬~
104
00:10:32,165 --> 00:10:36,302
どうした? かまれたか?
どれ。
105
00:10:36,302 --> 00:11:15,942
♬~
106
00:11:15,942 --> 00:11:20,113
<ふくとのことは終わったのだ。
ふくは もはや➡
107
00:11:20,113 --> 00:11:24,617
手の届かぬ遠い所へ
去ってしまったのだ。➡
108
00:11:24,617 --> 00:11:27,954
今日をかぎりに 忘れることを➡
109
00:11:27,954 --> 00:11:32,458
忘れ果てることを
学ばねばならない。➡
110
00:11:32,458 --> 00:11:38,264
文四郎は そう厳しく
自分に言い聞かせていました。➡
111
00:11:38,264 --> 00:11:44,971
しかし その決意とは裏腹に
自分でも驚くほどに激しく➡
112
00:11:44,971 --> 00:11:48,808
ふくへの いとおしさが
込み上げてくるのです>
113
00:11:48,808 --> 00:12:05,258
♬~
114
00:12:05,258 --> 00:12:09,262
(雨音)
115
00:12:12,599 --> 00:12:16,269
はっ!
116
00:12:16,269 --> 00:12:18,271
やあっ!
117
00:12:20,940 --> 00:12:23,443
やあっ!
118
00:12:23,443 --> 00:12:25,378
やあっ!
119
00:12:25,378 --> 00:12:28,114
はっ! やっ!
120
00:12:28,114 --> 00:12:30,416
はっ! はっ!
121
00:12:35,455 --> 00:12:40,627
(石栗)何を迷っておるのだ?
は?
122
00:12:40,627 --> 00:12:47,967
先ほどの型には迷いが表れておる。
女でもできたか?
123
00:12:47,967 --> 00:12:51,471
いえ…
とんでもないことでございます。
124
00:12:51,471 --> 00:12:54,307
相手をしてやろう。
125
00:12:54,307 --> 00:12:57,810
打ち込んでこい。
竹刀に変えます。
126
00:12:57,810 --> 00:13:02,315
いや 構わん! 遠慮せずに来い。
127
00:13:19,132 --> 00:13:21,134
やっ!
128
00:13:35,281 --> 00:14:45,618
♬~
129
00:14:45,618 --> 00:14:47,620
やっ! うっ!
130
00:14:52,492 --> 00:14:54,494
参りました!
131
00:14:59,966 --> 00:15:07,707
先ほどの技を見たか?
はい… しかと。
132
00:15:07,707 --> 00:15:11,911
しかと… どう見た?
133
00:15:11,911 --> 00:15:17,216
言葉になりません。
何かの秘剣のようで。
134
00:15:23,523 --> 00:15:27,927
秘剣 村雨。
135
00:15:27,927 --> 00:15:31,764
秘剣 村雨?
136
00:15:31,764 --> 00:15:40,439
その秘剣 村雨…
そなたに伝授いたそうと思う。
137
00:15:40,439 --> 00:15:45,778
ただし
すぐにというわけではない。
138
00:15:45,778 --> 00:15:51,951
そなたは 松川道場の
興津新之丞を知っているか?
139
00:15:51,951 --> 00:15:58,291
はい。 名前は聞いております。
城下一の剣士と呼び声の高い。
140
00:15:58,291 --> 00:16:05,398
その興津新之丞と
この秋の奉納試合で戦ってみよ。
141
00:16:05,398 --> 00:16:07,733
私がですか?
142
00:16:07,733 --> 00:16:11,904
もし そなたが
興津に勝つことができれば➡
143
00:16:11,904 --> 00:16:19,645
その暁には
秘剣 村雨 そなたに伝授いたす。
144
00:16:19,645 --> 00:16:22,081
待ってください 先生。
145
00:16:22,081 --> 00:16:26,953
この道場には 佐竹さんがおられ
丸岡さんが おられます。
146
00:16:26,953 --> 00:16:33,092
あの2人は 今のところは
技では そなたより上だが➡
147
00:16:33,092 --> 00:16:39,866
その器ではない。
いや ほかにも…。
148
00:16:39,866 --> 00:16:44,170
犬飼兵馬か?
はい。
149
00:16:49,275 --> 00:16:54,113
(石栗)犬飼は確かに
天賦の才を持っている。
150
00:16:54,113 --> 00:16:59,919
しかし あやつの剣には
狂気が潜んでいる。
151
00:16:59,919 --> 00:17:08,394
その狂気に
秘伝を授けるわけにはいかん。➡
152
00:17:08,394 --> 00:17:12,064
文四郎。
はい。
153
00:17:12,064 --> 00:17:18,838
死んだ親父殿は 剣の道に
励めと言われたそうだな?
154
00:17:18,838 --> 00:17:23,776
はい。 腹を切る前の日でした。
155
00:17:23,776 --> 00:17:31,083
ならば 励め!
迷いを捨て 剣の道に励め。
156
00:17:33,452 --> 00:17:35,454
はい!
157
00:17:47,600 --> 00:17:49,635
⚟うお~っ!
158
00:17:49,635 --> 00:17:55,274
⚟(刀の音)
159
00:17:55,274 --> 00:17:58,177
何事でしょう? あの音は。
確かめてきます。
160
00:17:58,177 --> 00:18:01,180
お静かに お待ちください。
161
00:18:05,885 --> 00:18:08,087
うわ~っ!
162
00:18:18,230 --> 00:18:23,903
鶴之助殿 刀を引きなさい。
野瀬様に失礼じゃありませんか。
163
00:18:23,903 --> 00:18:28,207
みっともない まねは…。
(鶴之助)前に出るんじゃない!
164
00:18:32,611 --> 00:18:36,115
誰だ。 何をする!
165
00:18:37,917 --> 00:18:40,586
おい そこのお人。
166
00:18:40,586 --> 00:18:44,423
刀を収めて 早々に立ち去られては
いかがかな。離せ!
167
00:18:44,423 --> 00:18:46,459
ぐずぐずしてると
あとの始末までは➡
168
00:18:46,459 --> 00:18:49,762
つきあいかねますぞ!
169
00:18:49,762 --> 00:18:52,264
(野瀬)御免。
待て!
170
00:18:59,939 --> 00:19:03,709
おい。 余計なことをしてくれたな。
171
00:19:03,709 --> 00:19:07,546
小野道場の布施鶴之助か?
えっ?
172
00:19:07,546 --> 00:19:10,449
そちらの道場に出向いた時
見かけたことがある。
173
00:19:10,449 --> 00:19:15,154
俺は 石栗道場の牧だ。
牧 文四郎。
174
00:19:19,892 --> 00:19:25,398
それで 矢田殿のご妻女とは
どういう つながりなんだ?
175
00:19:25,398 --> 00:19:31,070
知らなかったか?
あれは 実の姉だ。
176
00:19:31,070 --> 00:19:39,578
姉? そうか 姉上か…。
177
00:19:39,578 --> 00:19:41,514
不出来な姉だ。
178
00:19:41,514 --> 00:19:45,751
そんなことはなかろう。
いい姉上だ。
179
00:19:45,751 --> 00:19:48,587
ところが さにあらずでな。
180
00:19:48,587 --> 00:19:52,758
姉の不貞を知らせに来た者がいた。
181
00:19:52,758 --> 00:19:59,065
この長屋の者か?
さよう。 ここの住人だ。
182
00:20:06,105 --> 00:20:12,912
恥ずかしかった。 家族一同
消え入りたい思いをした。
183
00:20:15,781 --> 00:20:19,618
野瀬というのは何者なんだ?
184
00:20:19,618 --> 00:20:25,291
野瀬郁之進。 300石の御奏者役
野瀬家の嫡男だ。
185
00:20:25,291 --> 00:20:33,032
300石!? すごいではないか。
そのとおりだ。
186
00:20:33,032 --> 00:20:39,038
しかし けしからんのは
この男には妻子がおるのだ。
187
00:20:40,840 --> 00:20:44,343
つまりは… 不義だ。
188
00:20:52,518 --> 00:20:56,655
実は 矢田作之丞殿より以前に➡
189
00:20:56,655 --> 00:21:01,093
野瀬が姉を見初めて
結納まで交わした仲だったのだ。➡
190
00:21:01,093 --> 00:21:04,964
それを 野瀬の親族が
家格違いを盾に➡
191
00:21:04,964 --> 00:21:10,803
強硬に異を唱えて
破談になってしまった。
192
00:21:10,803 --> 00:21:18,811
向こうは 300石
俺の家は 75石だからな。
193
00:21:21,280 --> 00:21:27,586
だが すぐに 作之丞殿との縁談が
うまく まとまってな。
194
00:21:30,289 --> 00:21:34,960
(鶴之助)作之丞殿は
100石の御納戸勤めだが➡
195
00:21:34,960 --> 00:21:42,301
剣ができて 人物も 野瀬などより
はるかに優れたお方だった。➡
196
00:21:42,301 --> 00:21:47,806
今も思い出すが
良縁に恵まれたと➡
197
00:21:47,806 --> 00:21:52,511
あのころは
姉も我が家も幸せだった。
198
00:21:56,515 --> 00:22:03,255
その幸せも 長くは続かなかった。
199
00:22:03,255 --> 00:22:09,962
某も 矢田さんは 道場で
最も尊敬した 兄弟子だった。
200
00:22:12,965 --> 00:22:15,434
よくぞ 話してくれた。
201
00:22:15,434 --> 00:23:08,120
♬~
202
00:23:11,924 --> 00:23:13,926
はい お待ち。
203
00:23:24,270 --> 00:23:26,605
(逸平)
文四郎 遅かったじゃないか!
204
00:23:26,605 --> 00:23:29,275
これでも走ってきたんだ!
急用とは何だ?
205
00:23:29,275 --> 00:23:33,445
おお それそれ。 フッ ハハハハッ。
206
00:23:33,445 --> 00:23:36,348
何が おかしい?
いいか? 驚くなよ。
207
00:23:36,348 --> 00:23:38,651
文四郎だぞ~!
208
00:23:40,319 --> 00:23:42,454
与之助!
209
00:23:42,454 --> 00:23:44,390
(与之助)やあ~ しばらく!
210
00:23:44,390 --> 00:23:48,327
いつだ? いつ 帰ってきた?
昨日だ。 昨日 着いたばかりだ。
211
00:23:48,327 --> 00:23:50,329
なぜ知らせんのだ?
212
00:23:50,329 --> 00:23:53,098
この間もらった手紙には
帰国のことなど全く…。
213
00:23:53,098 --> 00:23:57,803
許せ 許せ。 貴公らの
びっくりする顔が見たくてな。
214
00:23:57,803 --> 00:24:01,073
とにかく 上がってくれ 文四郎。
おう!
215
00:24:01,073 --> 00:24:04,410
一時帰国?
(与之助)うん そうなんだ。➡
216
00:24:04,410 --> 00:24:09,281
この度は 江戸の葛西蘭堂先生の
お供でな 二十日間の帰国だ。
217
00:24:09,281 --> 00:24:12,084
では また 江戸に
戻ってしまうのか?
218
00:24:12,084 --> 00:24:16,255
そういうことだ。
だから 真っ先に会いに来た。
219
00:24:16,255 --> 00:24:18,757
しかしな 文四郎。
与之助がすごいのは➡
220
00:24:18,757 --> 00:24:21,427
ただのお供ではないところだ。
221
00:24:21,427 --> 00:24:25,264
蘭堂先生は 我が三省館で
二十日間の講義をなさるが➡
222
00:24:25,264 --> 00:24:30,936
その中でな 与之助も
「論語」の講義をするそうだ。
223
00:24:30,936 --> 00:24:35,274
それは すごい。
与之助は 江戸へ行って➡
224
00:24:35,274 --> 00:24:37,776
立派に 学問の道を
究めたってわけだ。
225
00:24:37,776 --> 00:24:39,712
いや~ なんの なんの。
226
00:24:39,712 --> 00:24:43,115
まだ ほんの駆け出しにすぎんよ。
ヘヘヘヘッ。
227
00:24:43,115 --> 00:24:48,454
とにかくな
今夜は 与之助の帰国祝だ。
228
00:24:48,454 --> 00:24:56,261
金なら心配するな 任せておけ。
今夜は 染川町へ行くぞ。
229
00:25:00,733 --> 00:25:09,441
♬~(三味線)
230
00:25:09,441 --> 00:25:15,147
(おとら)お待たせしました。
ささっ どうぞ こちらへ。
231
00:25:18,751 --> 00:25:21,053
へい お待ち遠さま!
232
00:25:25,624 --> 00:25:29,928
与之助。 ん…。
ああ すまん すまん。 ハハハッ。
233
00:25:29,928 --> 00:25:31,864
じゃ お酒 お持ちしますよ。
234
00:25:31,864 --> 00:25:35,667
おお! どんどん持ってきてくれ!
235
00:25:43,776 --> 00:25:46,812
ここが 染川町か。
236
00:25:46,812 --> 00:25:50,949
いやいや
ここは まだ ほんの入り口だ。
237
00:25:50,949 --> 00:25:54,453
入り口?
うん。
238
00:25:54,453 --> 00:25:57,122
来る途中に 橋があったろう?
うん。
239
00:25:57,122 --> 00:26:01,393
あの向こう側
あそこが本物の染川町よ。
240
00:26:01,393 --> 00:26:03,896
美人ぞろいの女郎屋が
並んでいてな➡
241
00:26:03,896 --> 00:26:07,399
ここで 一杯やってから繰り出す。
なっ。 なっ!
242
00:26:07,399 --> 00:26:11,570
お待ち遠さま。
(おきみ)いらっしゃいませ。
243
00:26:11,570 --> 00:26:15,240
お~ 来たか 来たか。
あんた 名前は?
244
00:26:15,240 --> 00:26:18,076
おとら。 こっちは おきみちゃん。
かわいいでしょ。
245
00:26:18,076 --> 00:26:21,413
(逸平)いやいや 2人とも
なかなかの美人ではないか。➡
246
00:26:21,413 --> 00:26:26,585
よし おきみ。 文四郎の隣へ座れ。
それから おとら…。
247
00:26:26,585 --> 00:26:30,255
おとらは こっちだ。
俺の横がいい。
248
00:26:30,255 --> 00:26:32,191
与之助!
249
00:26:32,191 --> 00:26:35,928
許せ。 好みでな。 アハハハハッ!
あ~ うれしい!
250
00:26:35,928 --> 00:26:37,863
よろしく。
お~ よし よし よし。
251
00:26:37,863 --> 00:26:40,099
おい 文四郎。
与之助は江戸へ行って➡
252
00:26:40,099 --> 00:26:43,602
人が変わってしまったぞ!
俺も そう思う。
253
00:26:43,602 --> 00:26:46,638
もう あの泣き虫 与之助ではない。
254
00:26:46,638 --> 00:26:49,274
それどころか
人を煙にまく 狸だ!
255
00:26:49,274 --> 00:26:53,779
おいおい 狸は ひどいな。
だったら 大狸だ!
256
00:26:53,779 --> 00:26:57,950
ばれたか。
私 大狸さん 大好き。
257
00:26:57,950 --> 00:27:00,853
あらら そうか そうか。
ハッハッハッハッ!
258
00:27:00,853 --> 00:27:06,859
参ったな。
参った。
259
00:27:10,395 --> 00:27:15,901
おい 文四郎。
お前 敵に後ろを見せるのか!
260
00:27:15,901 --> 00:27:17,836
そうではない。
261
00:27:17,836 --> 00:27:22,140
女郎屋まで行っては
謹慎中の身としては まずいのだ。
262
00:27:24,076 --> 00:27:27,579
俺も帰る。
何だと!
263
00:27:27,579 --> 00:27:30,916
表向きは
蘭堂先生のお供だからな。
264
00:27:30,916 --> 00:27:34,586
あまり はめを外して
先生に迷惑が かかってもいかん。
265
00:27:34,586 --> 00:27:38,457
はあ~ 2人とも情けないやつだ。
266
00:27:38,457 --> 00:27:43,161
もういい! 俺は行く。
一人でも行くぞ!
267
00:27:47,599 --> 00:27:54,273
やい! そこの2人!
肝っ玉の小さいやつらだ。
268
00:27:54,273 --> 00:28:00,579
そんなことじゃな
人間 大成せんぞ!
269
00:28:02,714 --> 00:28:07,052
大成せんか…。
そうかもしれんな。
270
00:28:07,052 --> 00:28:10,255
しかし 逸平だって
大成は難しかろう。
271
00:28:14,560 --> 00:28:21,733
文四郎。 お福様という
殿の新しい お側女のことだが➡
272
00:28:21,733 --> 00:28:26,572
文四郎の隣家の娘だそうだな。
そうだ。
273
00:28:26,572 --> 00:28:29,408
俺は全く知らなかったが➡
274
00:28:29,408 --> 00:28:33,245
お前 その人と
相思の間柄だったのか?
275
00:28:33,245 --> 00:28:36,081
まさか…。
276
00:28:36,081 --> 00:28:39,585
おい。
誰が言ったんだ そんなこと。
277
00:28:39,585 --> 00:28:45,257
逸平だよ。
逸平か…。 でたらめだ。
278
00:28:45,257 --> 00:28:50,128
そうか。 ならば その
お福様の話などというものは➡
279
00:28:50,128 --> 00:28:54,766
あまり興味はないか。
どういうことだ? それは。
280
00:28:54,766 --> 00:28:59,438
ん? いや…
知りたい気持ちがあるなら➡
281
00:28:59,438 --> 00:29:04,042
江戸で耳にしたことを
教えてやろうと思ってな。
282
00:29:04,042 --> 00:29:10,716
よい知らせか?
悪い知らせか?
283
00:29:10,716 --> 00:29:14,219
まあ 悪い知らせだな。
284
00:29:14,219 --> 00:29:18,890
それでは 聞かぬわけには
いかんだろう。 話してくれ。
285
00:29:18,890 --> 00:29:26,098
こっちに来る間際に聞いた話だが
お福様は お子が流れたらしい。
286
00:29:28,400 --> 00:29:30,402
流産だよ。
287
00:29:37,909 --> 00:29:40,579
(与之助)
おふね様を知っておるか?
288
00:29:40,579 --> 00:29:43,615
お世継ぎの松之丞様の
おふくろ様で➡
289
00:29:43,615 --> 00:29:48,086
江戸の奥を仕切る
大変な勢力家の。➡
290
00:29:48,086 --> 00:29:50,756
お福様の流産はな➡
291
00:29:50,756 --> 00:29:54,559
その おふね様の差し金だという
うわさがある。
292
00:29:58,430 --> 00:30:03,635
与之助。
もうちょっと つきあわんか?
293
00:30:06,772 --> 00:30:10,275
酒か? 女か?
294
00:30:10,275 --> 00:30:17,783
酒だ。 とことん飲みたい。
よかろう。
295
00:30:17,783 --> 00:30:30,295
♬~(三味線)
296
00:30:30,295 --> 00:30:47,312
♬~
297
00:31:28,286 --> 00:31:32,124
<おふくは人の子を流産し➡
298
00:31:32,124 --> 00:31:36,628
俺は なぜ こんな所で
酔い潰れているのか…。➡
299
00:31:36,628 --> 00:31:40,799
そう 文四郎は思っていました。➡
300
00:31:40,799 --> 00:31:45,137
そして 朝の光にも似た➡
301
00:31:45,137 --> 00:31:52,144
淡い悲しみが
胸を満たしてくるのです>
302
00:31:58,483 --> 00:32:02,454
(お福)お子を失うた時➡
303
00:32:02,454 --> 00:32:07,259
いっそ 死んでしまいたいと
思ったのです。
304
00:32:10,095 --> 00:32:18,804
それを押しとどめたのは…
文四郎さん あなたでした。
305
00:32:18,804 --> 00:32:21,106
某?
306
00:32:21,106 --> 00:32:28,447
ええ。 生きていれば
また いつか きっと➡
307
00:32:28,447 --> 00:32:33,118
お会いする日が
来るやもしれぬと…。
308
00:32:33,118 --> 00:32:36,621
それだけを頼りに…。
309
00:32:36,621 --> 00:32:48,800
♬~
310
00:32:48,800 --> 00:32:50,836
(太鼓の音)
311
00:32:50,836 --> 00:32:59,511
<秋の奉納試合を迎えました。
決戦の時が やって参りました>
312
00:32:59,511 --> 00:33:02,013
(小野)牧 文四郎。
313
00:33:03,915 --> 00:33:07,219
(小野)興津新之丞。
314
00:33:16,261 --> 00:33:18,463
(小野)始め!
315
00:33:53,164 --> 00:33:55,800
(小野)まだまだ!
316
00:33:55,800 --> 00:34:00,405
<海坂藩の奉納試合は
木刀で立ち合います。➡
317
00:34:00,405 --> 00:34:04,576
木太刀とはいえ 打ちどころを
間違えれば 死を招きます。➡
318
00:34:04,576 --> 00:34:10,749
従って当たる直前 紙一重で
太刀を止めなければなりません。➡
319
00:34:10,749 --> 00:34:17,255
文四郎も 興津も 既に
その技を身につけていたのです>
320
00:34:17,255 --> 00:34:32,804
♬~
321
00:34:32,804 --> 00:34:35,106
やあっ!
322
00:34:35,106 --> 00:34:39,311
(小野)一本! それまで!
323
00:34:49,454 --> 00:34:58,797
(石栗)秘剣 村雨。 その伝授の前に
話しておくことがある。
324
00:34:58,797 --> 00:35:05,604
なぜ 家禄が戻されたか分かるか?
いえ 分かりません。
325
00:35:05,604 --> 00:35:08,239
矢田さんや ほかの家は戻されず➡
326
00:35:08,239 --> 00:35:13,078
なぜ 私の家だけ戻されたのか
いまだに 不審に思っております。
327
00:35:13,078 --> 00:35:18,950
里村様のおかげだと思うか?
328
00:35:18,950 --> 00:35:26,591
油断するな。
あのお方は怖いお方だ。
329
00:35:26,591 --> 00:35:34,099
里村様は むしろ そなたの家を
潰そうと考えておられた。
330
00:35:34,099 --> 00:35:40,438
随分 昔の話だが
五間川の水が あふれて➡
331
00:35:40,438 --> 00:35:46,111
町が
水浸しになったことがあった。➡
332
00:35:46,111 --> 00:35:50,949
だが そなたの親父殿の働きで➡
333
00:35:50,949 --> 00:35:56,821
10町歩の稲田が助かる
ということがあった。
334
00:35:56,821 --> 00:36:04,596
金井村 青畑村の者たちは 稲田を
救ってくれたことを徳として➡
335
00:36:04,596 --> 00:36:09,234
決して
親父殿のことを忘れなかった。
336
00:36:09,234 --> 00:36:15,740
それゆえに 村人たちは
助左衛門殿が腹切らされる前に➡
337
00:36:15,740 --> 00:36:20,612
助命願を
大目付に願い出たのだ。
338
00:36:20,612 --> 00:36:22,914
まことのことですか?
339
00:36:27,252 --> 00:36:32,757
初めて… 初めて伺う お話です。
340
00:36:32,757 --> 00:36:41,066
だが 里村様は 一切 取り合わず
握り潰してしまわれたのだ。
341
00:36:45,270 --> 00:36:51,943
親父殿は 腹切らされてしまったが
それでも 村人たちは諦めず➡
342
00:36:51,943 --> 00:36:57,816
今度は 横山様の屋敷に
願い出たのだ。
343
00:36:57,816 --> 00:37:02,387
横山様とは
父が仕えたお人ですね。
344
00:37:02,387 --> 00:37:10,729
(横山)この書状 見覚えが
おありでは ござりませぬか?
345
00:37:10,729 --> 00:37:15,066
(石栗)
横山様は 先の御評定の席で➡
346
00:37:15,066 --> 00:37:18,903
その助命願を
里村様に突きつけた。
347
00:37:18,903 --> 00:37:24,075
そして 舌鋒鋭く
13名もの秀でた男たちを➡
348
00:37:24,075 --> 00:37:28,747
多数 腹切らせた刑の行き過ぎを
咎めた。➡
349
00:37:28,747 --> 00:37:37,422
されど 横山様の演説で
御評定の大勢が救済に傾き➡
350
00:37:37,422 --> 00:37:40,925
里村のもくろみは ついえた。
351
00:37:46,931 --> 00:37:52,804
そなたの家に
家禄が戻されたのは➡
352
00:37:52,804 --> 00:37:55,640
村人たちのおかげ➡
353
00:37:55,640 --> 00:38:00,645
ひいては 親父殿のおかげだ。
354
00:38:05,884 --> 00:38:10,188
委細 のみ込めたか?
355
00:38:13,391 --> 00:38:17,262
ありがたく承りました。
356
00:38:17,262 --> 00:38:20,265
ただいまのお話を伺って➡
357
00:38:20,265 --> 00:38:24,736
これまでの大きな謎が
解けてまいりました。
358
00:38:24,736 --> 00:38:29,407
(助左衛門)わしは
恥ずべきことをしたわけではない。
359
00:38:29,407 --> 00:38:33,411
私の欲ではなく
義のために やったことだ。
360
00:38:57,468 --> 00:39:01,673
では… 伝授いたす。
361
00:39:20,058 --> 00:39:23,561
秘剣 村雨?
362
00:39:23,561 --> 00:39:28,066
玄妙にして 不敗の剣です。
363
00:39:28,066 --> 00:39:32,770
それは どのような?
いや…。
364
00:39:37,075 --> 00:39:42,747
その夜から 七夜にわたって
伝授を受けましたが➡
365
00:39:42,747 --> 00:39:47,619
それは 剣というより
舞いのようでもあり…。
366
00:39:47,619 --> 00:39:51,923
舞い?
ええ…。
367
00:39:51,923 --> 00:41:02,226
♬~
368
00:41:38,296 --> 00:42:05,456
♬~
369
00:42:05,456 --> 00:42:07,759
文四郎様…。
370
00:42:07,759 --> 00:42:33,985
♬~
371
00:42:33,985 --> 00:42:40,458
<矢田作之丞の妻 淑江の
何か言いたげな ほほ笑みが➡
372
00:42:40,458 --> 00:42:44,462
文四郎の心に
いつまでも残りました>
373
00:42:50,168 --> 00:42:56,307
<その年の春 家禄が いまだ戻らぬ
淑江が気がかりなまま➡
374
00:42:56,307 --> 00:43:03,081
文四郎は 葺屋町の長屋を引っ越し
郷方組屋敷の家へ移りました。➡
375
00:43:03,081 --> 00:43:06,417
しかし 依然として
勤めに出ることは➡
376
00:43:06,417 --> 00:43:09,120
許されなかったのです>
377
00:43:12,590 --> 00:43:16,461
文四郎! 文四郎。
378
00:43:16,461 --> 00:43:19,097
いや 急に立ち寄って 申し訳ない。
379
00:43:19,097 --> 00:43:23,935
どうした?
実はな…。
380
00:43:23,935 --> 00:43:28,606
フフフフフフッ…。
381
00:43:28,606 --> 00:43:34,278
その先は言うな 逸平。
言わなくても分かる。
382
00:43:34,278 --> 00:43:36,280
分かるか?
383
00:43:38,449 --> 00:43:42,320
今度こそ
嫁が決まったろう。
384
00:43:42,320 --> 00:43:45,957
当たった!
(笑い声)
385
00:43:45,957 --> 00:43:48,292
まずは めでたい。
386
00:43:48,292 --> 00:43:53,464
それで どこの娘だ?
御勘定目付の池内の娘だ。
387
00:43:53,464 --> 00:43:57,969
美人か?
いや それが…。
388
00:44:00,137 --> 00:44:02,573
顔なんぞ知らんのだ。
話だけで決まったからな。
389
00:44:02,573 --> 00:44:05,476
それは残念だな。
そこでだ 文四郎。
390
00:44:05,476 --> 00:44:08,746
その娘 名前は 琴代というらしい。
391
00:44:08,746 --> 00:44:12,083
10日に1度は 常楽院に
手習いに通ってるそうだ。
392
00:44:12,083 --> 00:44:14,752
ちょこっと 顔を見たいんだが
なっ お前も つきあえ。
393
00:44:14,752 --> 00:44:17,421
馬鹿なことを言うな。
やっぱり まずいかな?
394
00:44:17,421 --> 00:44:19,924
そんなことが ほかに漏れてみろ。
395
00:44:19,924 --> 00:44:22,760
せっかく まとまった縁談が
壊れるぞ。
396
00:44:22,760 --> 00:44:26,430
壊れていいのか?
いやいやいや それは困る。
397
00:44:26,430 --> 00:44:33,137
困るだろ?
困るよ! ヘヘヘヘヘッ…。
398
00:44:39,944 --> 00:44:44,615
文四郎。母上。
お邪魔いたしております。
399
00:44:44,615 --> 00:44:48,486
布施様が お見えです。
上がってもらってください。
400
00:44:48,486 --> 00:44:51,789
それが…。
逸平なら構いません。
401
00:44:51,789 --> 00:44:54,625
知ってるだろう?
小野道場の布施鶴之助。
402
00:44:54,625 --> 00:44:57,295
ああ 知ってるとも。
403
00:44:57,295 --> 00:45:02,133
母上。
お上がりにならないのです。
404
00:45:02,133 --> 00:45:04,835
少し ご様子が…。
405
00:45:11,409 --> 00:45:13,411
鶴之助。
406
00:45:22,420 --> 00:45:24,422
どうした?
407
00:45:28,759 --> 00:45:33,764
もしや… 姉上の身に
何か あったのか?
408
00:45:36,500 --> 00:45:38,502
死んだ。
409
00:45:42,306 --> 00:45:45,776
いつだ?
410
00:45:45,776 --> 00:45:50,448
分かったのは… 一昨日だ。
411
00:45:50,448 --> 00:46:01,892
♬~
412
00:46:01,892 --> 00:46:05,730
野瀬郁之進を覚えておるか?
413
00:46:05,730 --> 00:46:07,932
ああ。
414
00:46:09,900 --> 00:46:15,773
心中だ。 あの男と 2人で…。
415
00:46:15,773 --> 00:46:30,755
♬~
416
00:46:30,755 --> 00:46:33,424
<人の世は むごい。➡
417
00:46:33,424 --> 00:46:39,230
文四郎の心に あの別れの淑江の
美しい ほほ笑みが➡
418
00:46:39,230 --> 00:46:44,935
あまりに切なく 残酷に
よみがえってくるのでした>
419
00:46:44,935 --> 00:46:54,612
♬~
420
00:46:54,612 --> 00:46:59,316
<流れゆく水のように
季節は巡ります>
421
00:47:02,353 --> 00:47:08,159
<再びの春が来る頃 文四郎は
ようやく 勤めに出るのを許され➡
422
00:47:08,159 --> 00:47:15,466
郷村出役として 村回り 山回りの
仕事を始めることになったのです>
423
00:47:22,406 --> 00:47:26,744
<一方 小和田家では
めでたく 男子が誕生し➡
424
00:47:26,744 --> 00:47:30,581
逸平は 父親となりました。➡
425
00:47:30,581 --> 00:47:37,455
初夏を迎え 出世した与之助が
藩校の助教となって帰国し➡
426
00:47:37,455 --> 00:47:44,428
江戸のふくの
驚くべき真相をもたらします>
427
00:47:44,428 --> 00:47:51,102
小柳ふく お福様のことだ。
428
00:47:51,102 --> 00:47:54,772
ほら 顔色が変わったぞ。
429
00:47:54,772 --> 00:47:58,275
これを聞いたら
もっと変わるかもしれん。
430
00:48:03,047 --> 00:48:06,917
じらさずに言ってみろ。
431
00:48:06,917 --> 00:48:13,691
お福様は国元に帰っておられるぞ。
432
00:48:13,691 --> 00:48:21,065
知っているか?
いや… 初耳だ。
433
00:48:21,065 --> 00:48:25,403
というより こちらでは
そんなこと 話す者は誰もおらん。
434
00:48:25,403 --> 00:48:30,608
そうだろうな。
事は極秘に運ばれたらしい。
435
00:48:33,577 --> 00:48:36,280
欅御殿は知っているな?
436
00:48:38,916 --> 00:48:42,753
金井村の近く 殿の別邸だ。
437
00:48:42,753 --> 00:48:47,958
お福様は 人に かしずかれて
欅御殿に おられるはずだ。
438
00:48:57,601 --> 00:49:01,038
世間では お福様が
殿のお子を流されて➡
439
00:49:01,038 --> 00:49:02,973
お役御免になったと
そう思われているが➡
440
00:49:02,973 --> 00:49:04,975
実は違うんだ。
441
00:49:08,913 --> 00:49:14,552
しかもだ…。
しかも 何だ?
442
00:49:14,552 --> 00:49:21,225
お福様は今 新しい子を
みごもられているらしい。
443
00:49:21,225 --> 00:49:26,230
殿のお子か?
無論 殿のお子だ。
444
00:49:29,934 --> 00:49:32,837
以前 帰国した折に話したな。
445
00:49:32,837 --> 00:49:37,241
江戸の奥を束ねる
おふね様のことだが。
446
00:49:37,241 --> 00:49:43,914
お福様のお子が邪魔だと
陰で流産を仕組んだお人か。
447
00:49:43,914 --> 00:49:47,251
待て。
448
00:49:47,251 --> 00:49:51,922
国元とて 決して何も起こらんとは
限らんぞ。 おふね様は 確か…。
449
00:49:51,922 --> 00:49:58,596
そうだ。 主席家老の里村左内様と
手を組んでおられる。
450
00:49:58,596 --> 00:50:02,466
与之助!
何だ?
451
00:50:02,466 --> 00:50:10,207
欅御殿のお福様を
里村家老に知られると…。
452
00:50:10,207 --> 00:50:14,445
お子だけではなく
お福様ともども…。
453
00:50:14,445 --> 00:50:19,149
闇討ち…。 やりかねんぞ。
454
00:50:21,318 --> 00:50:25,956
<半月が過ぎて ようやく
非番になった文四郎は➡
455
00:50:25,956 --> 00:50:29,827
かねてよりの企てを
実行に移します。➡
456
00:50:29,827 --> 00:50:34,632
城下から
欅御殿を目指したのです>
457
00:50:34,632 --> 00:51:05,329
♬~
458
00:51:22,146 --> 00:51:26,150
(磯貝)何か 当屋敷に用でも?
459
00:51:32,690 --> 00:51:38,295
郷方の村回りの者です。
ご懸念なく。
460
00:51:38,295 --> 00:51:44,969
(北村)当屋敷を なんと心得るか?
殿の別邸にございます。
461
00:51:44,969 --> 00:51:48,305
中の様子を うかがっていたかに
見たが。
462
00:51:48,305 --> 00:51:50,641
いやいや それも ご懸念なく。
463
00:51:50,641 --> 00:51:55,479
あまりの欅の見事さに
つい 目を奪われておりました。
464
00:51:55,479 --> 00:51:59,316
それにしても 村回りが なぜ?
465
00:51:59,316 --> 00:52:06,123
失礼いたした。 どうぞ行かれよ。
では。
466
00:52:06,123 --> 00:52:11,428
今日 ここであったこと ほかに
漏らさんでもらうと ありがたい。
467
00:52:11,428 --> 00:52:14,231
できようか?
468
00:52:16,600 --> 00:52:22,106
お二人のことを?
あったこと 一切だ。
469
00:52:22,106 --> 00:52:24,308
承知した。
470
00:52:26,610 --> 00:52:29,646
念のため お伺いしておこう。
471
00:52:29,646 --> 00:52:35,152
お役名と姓名を
お聞かせ願いたい。
472
00:52:37,621 --> 00:52:43,293
郷村出役 牧 文四郎です。
473
00:52:43,293 --> 00:52:58,642
♬~
474
00:52:58,642 --> 00:53:03,247
<間違いない。
おふくは欅御殿にいる。➡
475
00:53:03,247 --> 00:53:06,750
文四郎は思ったのです。➡
476
00:53:06,750 --> 00:53:12,756
あの おふくが 命を狙われて
今すぐそこにいると…>
477
00:53:19,096 --> 00:53:26,103
そうでしたか…。
欅御殿にいらしたのですね。
478
00:53:27,771 --> 00:53:34,078
もしかしたらと… 思いました。
もしかしたら?
479
00:53:36,113 --> 00:53:41,919
牧 文四郎と名乗ったことを
警護の武士が➡
480
00:53:41,919 --> 00:53:46,223
あなたに伝えるのではないかと…。
伝えたのです。
481
00:53:49,460 --> 00:53:58,268
「牧 文四郎なる者が 屋敷の様子を
うかがっていた」と聞きました。
482
00:53:59,970 --> 00:54:03,740
その名を聞いた時…。
483
00:54:03,740 --> 00:54:05,776
聞いた時?
484
00:54:05,776 --> 00:54:19,590
♬~
485
00:54:19,590 --> 00:54:24,595
(すすり泣き)
486
00:54:31,201 --> 00:54:35,205
(蝉しぐれ)
487
00:54:41,979 --> 00:54:46,283
(青木)
これから訪ねるのは 金井村の
藤次郎という村役人だが➡
488
00:54:46,283 --> 00:54:52,156
この名前に心当たりは?
いいえ。
489
00:54:52,156 --> 00:54:55,993
貴公の親父殿が 腹切らされた時➡
490
00:54:55,993 --> 00:54:59,463
この金井村と
隣の青畑村が連名して➡
491
00:54:59,463 --> 00:55:02,232
大目付に助命願を出した。
492
00:55:02,232 --> 00:55:05,269
藤次郎は その時の願いを
取りまとめた男だから➡
493
00:55:05,269 --> 00:55:08,071
覚えておく方がいい。
494
00:55:09,907 --> 00:55:13,744
その方が
まとめてくださったんですか?
495
00:55:13,744 --> 00:55:21,084
貴公 助命願を知っていたのか?
はあ… さる人から聞きました。
496
00:55:21,084 --> 00:55:28,425
さる人というと 横山様かな?
いえ 違います。
497
00:55:28,425 --> 00:55:34,131
誰か言えんのか?
申し訳ありません。
498
00:55:35,766 --> 00:55:38,268
まあ いい。
499
00:55:44,942 --> 00:55:46,944
ここだ。
500
00:55:51,448 --> 00:55:53,784
(藤次郎)
お役目ご苦労さまでございます。➡
501
00:55:53,784 --> 00:55:55,819
お待ちしておりました。
502
00:55:55,819 --> 00:55:59,590
一とおり 見回ったところでは
例年並みの出来具合だな。
503
00:55:59,590 --> 00:56:01,525
(藤次郎)おかげさまで。
504
00:56:01,525 --> 00:56:04,428
冷たいヤマセが吹いた時は
心配しましたが➡
505
00:56:04,428 --> 00:56:08,232
そのあと 持ち直してくれました。
506
00:56:08,232 --> 00:56:10,167
そうだ 藤次郎。
507
00:56:10,167 --> 00:56:15,172
これが 以前 話していた
牧 助左衛門の伜だ。
508
00:56:20,244 --> 00:56:23,914
さようでございますか。
509
00:56:23,914 --> 00:56:26,216
牧様の…。
510
00:56:30,087 --> 00:56:33,924
牧 文四郎です。
511
00:56:33,924 --> 00:56:37,261
父の助命願い書を
まとめてくださったこと➡
512
00:56:37,261 --> 00:56:39,930
深く お礼申し上げます。
513
00:56:39,930 --> 00:56:41,865
いいえ。
514
00:56:41,865 --> 00:56:46,870
金井村として 当然のことを
いたしたまででございます。
515
00:56:51,942 --> 00:56:53,877
どうぞ。
これは これは…。
516
00:56:53,877 --> 00:56:58,815
牧様も どうぞ。
頂きます。
517
00:56:58,815 --> 00:57:06,223
あなた様の お父上様も
私どものそばが お好きでした。
518
00:57:06,223 --> 00:57:12,429
父が?
はい。 大変に お好きでしたよ。
519
00:57:18,735 --> 00:57:22,406
アハハハ…。
520
00:57:22,406 --> 00:57:26,276
あっ 私のおしゃべりよりも
お疲れでございましょう。
521
00:57:26,276 --> 00:57:28,779
どうぞ ごゆっくり。
522
00:57:34,584 --> 00:57:38,255
牧。
はい。
523
00:57:38,255 --> 00:57:40,924
以前から 貴公に
話したいことがあった。
524
00:57:40,924 --> 00:57:44,261
今日は ちょうどよい折だ。
525
00:57:44,261 --> 00:57:47,597
何か 仕事上の ご忠告でも?
526
00:57:47,597 --> 00:57:51,101
いやいや 仕事は よくやっている。
そのことではない。
527
00:57:54,771 --> 00:57:59,276
牧は今 お家が
2つに割れていることを承知かな。
528
00:57:59,276 --> 00:58:02,546
はい。 耳にしております。
529
00:58:02,546 --> 00:58:06,049
では聞くが その2つとは?
530
00:58:06,049 --> 00:58:08,385
主席家老 里村様の一派と➡
531
00:58:08,385 --> 00:58:12,889
家老 横山様の一派だと
承っております。
532
00:58:14,558 --> 00:58:19,896
貴公の親父殿が
横山様の下で働いていたことは?
533
00:58:19,896 --> 00:58:22,399
およそ… 耳にしております。
534
00:58:22,399 --> 00:58:27,270
ほう。 ならば 話は早い。
535
00:58:27,270 --> 00:58:31,575
では 改めて
貴公の気持ちを伺おう。
536
00:58:31,575 --> 00:58:34,378
横山様に つく気持ちはないか?
537
00:58:37,914 --> 00:58:42,586
どうした? 里村派が
新しい お世継ぎを擁して➡
538
00:58:42,586 --> 00:58:47,591
政を私せんとしていることも
耳にせぬはずは あるまい。
539
00:58:52,929 --> 00:58:58,802
聞いておらぬなら
4年前の親父殿の話をしよう。
540
00:58:58,802 --> 00:59:05,809
牧…。 この国は 滅ぶかもしらん。
541
00:59:07,577 --> 00:59:10,414
(青木)親父殿が殺された時➡
542
00:59:10,414 --> 00:59:17,254
里村の一派は 息のかかった
代官どもを使い 村役人を脅し➡
543
00:59:17,254 --> 00:59:23,560
百姓から年貢を絞り上げ
自分の懐に入れておったのだ。
544
00:59:23,560 --> 00:59:27,431
横山様は
不正が次第に広がるのを恐れ➡
545
00:59:27,431 --> 00:59:29,900
心ある同志を募り➡
546
00:59:29,900 --> 00:59:34,404
里村派の代官と村役人の腐れ縁を
断ち切ろうとなされた。
547
00:59:37,073 --> 00:59:41,945
(青木)横山様は 一人でも多くの
同志を募っておられる。
548
00:59:41,945 --> 00:59:46,950
いずれ 里村派と 真っ向から
ぶつかる その日に備えてな。
549
00:59:52,255 --> 00:59:57,260
実りの秋に 村の衆の笑顔を
見たいではないか。
550
00:59:59,596 --> 01:00:02,265
お話は よく分かりました。
551
01:00:02,265 --> 01:00:09,606
しかし ただいま ここで
即答は いたしかねます。
552
01:00:09,606 --> 01:00:11,641
なるほど。
553
01:00:11,641 --> 01:00:14,478
父は父。 子は子というわけか。
554
01:00:14,478 --> 01:00:19,950
そういうつもりで
申し上げたのではありません!
555
01:00:19,950 --> 01:00:26,122
私は 牧 助左衛門の子です。
556
01:00:26,122 --> 01:00:29,626
ならば…。
557
01:00:29,626 --> 01:00:37,300
父は 腹を切る前に
「母を頼むぞ」と言葉を残しました。
558
01:00:37,300 --> 01:00:41,471
父が死んで
長い間 冷や飯を食わされ➡
559
01:00:41,471 --> 01:00:44,140
やっと 家禄を戻されましたが➡
560
01:00:44,140 --> 01:00:47,344
母が
どんなに つらい思いをしたか。
561
01:00:59,489 --> 01:01:04,995
青木さん。 気を付けてください。
何?
562
01:01:08,298 --> 01:01:12,602
(村上)やあ どうも
見たような顔だと思ったら➡
563
01:01:12,602 --> 01:01:14,938
村回りの青木孫蔵ではないか。
564
01:01:14,938 --> 01:01:17,440
里村派の者だ。
565
01:01:17,440 --> 01:01:22,946
青木。 このごろ
妙な動きをしているようだが➡
566
01:01:22,946 --> 01:01:26,616
何のためかのう?
567
01:01:26,616 --> 01:01:32,322
よせ。 貴公らのかなう
相手ではない。
568
01:01:37,627 --> 01:01:39,563
兵馬!?
569
01:01:39,563 --> 01:01:43,133
(兵馬)久しぶりだのう。
570
01:01:43,133 --> 01:01:47,304
だいぶ
腕を上げたそうじゃないか。
571
01:01:47,304 --> 01:01:49,506
楽しみだな。
572
01:01:52,809 --> 01:01:58,315
(兵馬)文四郎。 昔のよしみで
ひと言 言っておくが➡
573
01:01:58,315 --> 01:02:03,587
その男の甘い口車に乗らんことだ。
574
01:02:03,587 --> 01:02:06,623
またな。
575
01:02:06,623 --> 01:02:08,825
行くぞ!
576
01:02:22,772 --> 01:02:27,944
<初雪の舞う
年の暮れも近づいた頃でした。➡
577
01:02:27,944 --> 01:02:34,751
欅御殿のおふくは 人知れず
無事に 殿のお子を出産します>
578
01:02:38,288 --> 01:02:40,790
<しかし それは おふくの身が➡
579
01:02:40,790 --> 01:02:46,129
今にも増して
危うくなることだったのです>
580
01:02:46,129 --> 01:02:53,470
逸平。 降ってきたぞ。
たまらんなあ。
581
01:02:53,470 --> 01:02:56,673
また 雪に埋もれる日々が
やって来るぞ。
582
01:03:12,822 --> 01:03:14,824
逃げろ!
583
01:03:17,260 --> 01:03:20,096
うわ~っ!
584
01:03:20,096 --> 01:03:24,434
ああっ… はっ…。
585
01:03:24,434 --> 01:03:26,469
あ~っ!
586
01:03:26,469 --> 01:03:28,471
急げ 逸平!
587
01:03:32,108 --> 01:03:35,612
ああっ… ああ…。
588
01:03:35,612 --> 01:03:54,998
♬~
589
01:03:54,998 --> 01:03:56,100
大事ないか?
590
01:04:05,075 --> 01:04:09,779
どうだ?
駄目だ。 助からん。
591
01:04:11,414 --> 01:04:13,416
青木さん。
592
01:04:15,285 --> 01:04:17,287
水…。
593
01:04:19,589 --> 01:04:23,760
知ってる人か?
一緒に村回りを勤める先輩だ。
594
01:04:23,760 --> 01:04:38,608
♬~
595
01:04:38,608 --> 01:04:41,277
兵馬だ。
596
01:04:41,277 --> 01:04:47,450
兵馬…。 犬飼兵馬か?
597
01:04:47,450 --> 01:04:52,455
間違いない… やつだ。
598
01:04:56,126 --> 01:05:01,931
<翌年の春。 藩主が江戸へ出府して
間もなくのことでした。➡
599
01:05:01,931 --> 01:05:05,935
文四郎は
主席家老の里村左内から➡
600
01:05:05,935 --> 01:05:08,571
呼び出されました>
601
01:05:08,571 --> 01:06:08,565
♬~
602
01:06:18,575 --> 01:06:20,577
牧。
603
01:06:22,445 --> 01:06:25,915
はい。
殿の側女に➡
604
01:06:25,915 --> 01:06:32,088
お福というのが
おるのを知っておるか?
605
01:06:32,088 --> 01:06:34,023
存じております。
606
01:06:34,023 --> 01:06:38,595
では そのお福様が
ひそかに国元に戻り➡
607
01:06:38,595 --> 01:06:45,101
欅御殿で 殿のお子を産んだのは
聞いておるか?
608
01:06:49,772 --> 01:06:53,943
存じませぬ。
609
01:06:53,943 --> 01:07:00,950
そうか… 知ってはおらんのか。
610
01:07:03,553 --> 01:07:09,225
知っておらぬなら聞かせるが
そのお子は 去年の夏 生まれた。
611
01:07:09,225 --> 01:07:11,895
男のお子だ。
612
01:07:11,895 --> 01:07:15,732
寵浅からざる側女ゆえ➡
613
01:07:15,732 --> 01:07:22,238
殿は 大層な
喜びようだったらしいが➡
614
01:07:22,238 --> 01:07:28,544
実は 災いの種は そのお子だ。
615
01:07:30,413 --> 01:07:33,917
殿のお世継ぎが
おふね様のお子 松之丞様で➡
616
01:07:33,917 --> 01:07:40,590
ほぼ決まっておることは
牧も知っておるのう?はい。
617
01:07:40,590 --> 01:07:43,426
ところがだ➡
618
01:07:43,426 --> 01:07:48,932
お子が生まれたことを知った
家中の一派の者たちが➡
619
01:07:48,932 --> 01:07:54,604
赤子を お世継ぎに立てんと
陰で動き回っておる。
620
01:07:54,604 --> 01:08:00,109
ゆゆしきことだ。
このまま ほっておいたら➡
621
01:08:00,109 --> 01:08:04,614
今また新たな
お家騒動にも なりかねん。
622
01:08:07,383 --> 01:08:17,193
そこで そちを呼び寄せた
今夜の用件だが…。
623
01:08:21,898 --> 01:08:27,704
他言は 一切無用だぞ。
はい。
624
01:08:27,704 --> 01:08:34,911
欅御殿から お福様のお子を
さらってこい。
625
01:08:42,919 --> 01:08:49,425
お指図なれど 某の手に余る
仕事かと思われます。
626
01:08:51,260 --> 01:08:53,930
フッフッフッフッ…。
627
01:08:53,930 --> 01:08:59,802
よいか 牧。
我々に敵対する一派の者が➡
628
01:08:59,802 --> 01:09:04,540
近く ひそかに欅御殿を襲い➡
629
01:09:04,540 --> 01:09:09,879
お子を奪い取るとの知らせが
入ってきておる。
630
01:09:09,879 --> 01:09:14,717
我らを陥れる腹だ。
もともと 我らが➡
631
01:09:14,717 --> 01:09:19,389
お子の誕生を喜んでおらぬことを
殿は知っておられる。
632
01:09:19,389 --> 01:09:23,059
よって 彼らは
お子をさらった上で➡
633
01:09:23,059 --> 01:09:26,896
殿に こう 上申するに違いない。
634
01:09:26,896 --> 01:09:33,403
「里村派よりも先に お子をさらい
お守りした」と。
635
01:09:35,071 --> 01:09:43,579
いや それよりも 更に
憂うべきことがある。
636
01:09:43,579 --> 01:09:46,416
それは…。
637
01:09:46,416 --> 01:09:53,423
彼らは さらった お福様のお子を
殺すかもしれん。
638
01:09:56,092 --> 01:10:01,264
こちらの仕業に
見せかけるつもりでな。
639
01:10:01,264 --> 01:10:07,970
それゆえに 我らは己を守るために
先手を打たねばならん!
640
01:10:09,972 --> 01:10:12,775
やってくれるな 牧!
お待ちください。
641
01:10:12,775 --> 01:10:19,482
(里村)うん?
なぜ… 某に?
642
01:10:24,487 --> 01:10:31,627
そのことよ 牧 文四郎。
643
01:10:31,627 --> 01:10:41,637
殿ご寵愛のお福様は
そなたの幼なじみだったそうだな。
644
01:10:41,637 --> 01:10:45,475
幼なじみの そなたなら
お福様を説得して➡
645
01:10:45,475 --> 01:10:47,810
赤子を預かって
来られるではないか。
646
01:10:47,810 --> 01:10:51,481
幼なじみと申しましても
それは昔のお話。
647
01:10:51,481 --> 01:10:55,651
お福様が 某の説得を
お聞きになるとは思えません。
648
01:10:55,651 --> 01:10:58,321
牧!
649
01:10:58,321 --> 01:11:06,429
これは藩の命令だ。
それとも 藩命に逆らうのか?
650
01:11:06,429 --> 01:11:11,100
いえ…
滅相もないことでござります。
651
01:11:11,100 --> 01:11:18,841
忘れたわけでは あるまいのう。
このわしに 借りがあることを。
652
01:11:18,841 --> 01:11:22,712
借り?
そうよ。
653
01:11:22,712 --> 01:11:27,450
牧の家は取り潰すべしという声が
多かったのを➡
654
01:11:27,450 --> 01:11:34,457
一体 誰が制し
救いの手を差し伸べたか。
655
01:11:40,463 --> 01:11:45,301
首尾よくやったらの…➡
656
01:11:45,301 --> 01:11:51,307
また格別に 取り立ててつかわす。
657
01:11:58,481 --> 01:12:03,920
<狡猾な里村家老は
おのが権勢を守るために➡
658
01:12:03,920 --> 01:12:08,257
文四郎を利用しようとしている。➡
659
01:12:08,257 --> 01:12:12,595
おぞましい罠でした。➡
660
01:12:12,595 --> 01:12:18,401
おふくと おふくの子の命を
何としてでも守りたい。➡
661
01:12:18,401 --> 01:12:22,605
そう 文四郎は 心に誓ったのです>
662
01:12:32,448 --> 01:12:35,785
(登世)文四郎。
663
01:12:35,785 --> 01:12:39,622
里村様のお話は
何だったのですか?
664
01:12:39,622 --> 01:12:42,959
それは…
大したことではありません。
665
01:12:42,959 --> 01:12:46,796
こんな夜更けに
突然 呼び出された お話が➡
666
01:12:46,796 --> 01:12:49,799
大したことはないのですか?
667
01:12:53,970 --> 01:12:58,975
文四郎…
本当のことを言ってください。
668
01:13:02,245 --> 01:13:05,281
ある仕事を命ぜられました。
669
01:13:05,281 --> 01:13:10,586
それが首尾よくいけば
取り立ててくださるとのことです。
670
01:13:10,586 --> 01:13:14,757
ある仕事とは 何でしょうか?
671
01:13:14,757 --> 01:13:20,062
それは申し上げられません。
他言無用です。
672
01:13:23,933 --> 01:13:29,739
では これだけは答えてください。
673
01:13:29,739 --> 01:13:36,245
何か危うい目に遭うような
そんな お仕事ですか?
674
01:13:44,620 --> 01:13:46,622
文四郎。
675
01:13:51,961 --> 01:13:55,831
違います。 それは ご心配なく。
676
01:13:55,831 --> 01:13:59,635
まことですね?
677
01:13:59,635 --> 01:14:01,637
はい。
678
01:14:04,473 --> 01:14:08,444
私はね 文四郎…。
679
01:14:08,444 --> 01:14:15,084
里村様というお方が
どうしても分からないのですよ。
680
01:14:15,084 --> 01:14:17,420
分からない?
681
01:14:17,420 --> 01:14:24,927
あのお方は
父上に腹切らせた お方ですよね。
682
01:14:24,927 --> 01:14:29,799
そのお方が ある日 突然
家禄を元に戻してくださり➡
683
01:14:29,799 --> 01:14:37,106
今また 首尾よくゆけば
取り立ててくださるとおっしゃる。
684
01:14:37,106 --> 01:14:41,977
ありがたと思わなければ
いけないのに➡
685
01:14:41,977 --> 01:14:45,781
なぜか 素直に
そうは思えないのです。
686
01:14:48,117 --> 01:14:50,119
母上…。
687
01:14:52,788 --> 01:14:57,626
それは 私も同じです。
688
01:14:57,626 --> 01:15:04,400
ですが これだけは
母上に申し上げておきます。
689
01:15:04,400 --> 01:15:10,272
私は 牧 助左衛門の伜です。
690
01:15:10,272 --> 01:15:16,011
私の欲のためでなく
義のために腹切らされた父上を➡
691
01:15:16,011 --> 01:15:18,514
誰よりも敬うております。
692
01:15:20,850 --> 01:15:24,086
父上の名に
恥じるようなことだけは➡
693
01:15:24,086 --> 01:15:26,922
決していたしません。
694
01:15:26,922 --> 01:15:30,626
いつも その覚悟でおります。
695
01:15:33,262 --> 01:15:38,100
ありがとう 文四郎…。
696
01:15:38,100 --> 01:15:45,908
その言葉を聞いて
母は得心いたしました。
697
01:16:05,261 --> 01:16:08,264
傘を持ってくるべきだったか…。
698
01:16:31,253 --> 01:16:34,590
里村様にお伝えいただきたい。
699
01:16:34,590 --> 01:16:37,626
「命ぜられた仕事は
間違いなく果たすゆえ➡
700
01:16:37,626 --> 01:16:40,629
付け回すのは
やめていただきたい」とな。
701
01:16:43,599 --> 01:16:45,901
ああ~っ!
702
01:16:48,938 --> 01:16:53,442
頼みましたぞ。
里村様に しかと お伝え願いたい。
703
01:16:53,442 --> 01:16:55,945
うわっ!
704
01:16:59,949 --> 01:17:02,918
罠だ!
ちょっと待て 決めつけるな。
705
01:17:02,918 --> 01:17:06,722
しかし そうではないか!
うまくいけば 取り立てるなどと➡
706
01:17:06,722 --> 01:17:10,059
おためごかしに決まっている!
まるで うさんくさい!
707
01:17:10,059 --> 01:17:13,896
逸平の言うとおりかもしれんな。
708
01:17:13,896 --> 01:17:16,565
子供を連れ出すと
あとは どうやっても➡
709
01:17:16,565 --> 01:17:20,069
文四郎の立場は
不利を免れぬようだ。
710
01:17:20,069 --> 01:17:23,405
ご家老のおっしゃる
横山派の陰謀なるものが➡
711
01:17:23,405 --> 01:17:26,242
まことの話であるとすれば
別だがな。
712
01:17:26,242 --> 01:17:31,080
九分九厘 横山様が
そんな無理をなさるとは思えん。
713
01:17:31,080 --> 01:17:35,417
罠だ! 何だか訳は分からんが➡
714
01:17:35,417 --> 01:17:39,755
これは 文四郎を
罠にはめようとする話だ!
715
01:17:39,755 --> 01:17:45,094
逃げ道はないのだ。
家名断絶覚悟で 俺が断れば➡
716
01:17:45,094 --> 01:17:48,931
間違いなく 里村派は
自分らで 欅御殿を襲う。
717
01:17:48,931 --> 01:17:53,936
そうなれば 赤子は無論
お福様も助からん。
718
01:17:57,940 --> 01:18:00,709
絶体絶命の窮地だな。
719
01:18:00,709 --> 01:18:05,581
いや むざむざ
罠にはまるつもりはない。
720
01:18:05,581 --> 01:18:10,886
文四郎。
(逸平)何か 手があるのか?
721
01:18:10,886 --> 01:18:13,222
お福様から お子を預かり➡
722
01:18:13,222 --> 01:18:15,724
その足で
横山様のお屋敷に駆け込み➡
723
01:18:15,724 --> 01:18:17,660
洗いざらい 子細を打ち明ける。
724
01:18:17,660 --> 01:18:21,597
(逸平)おお。
横山派に駆け込むか。
725
01:18:21,597 --> 01:18:24,400
殿のお子が動かぬ証拠だ。
726
01:18:24,400 --> 01:18:28,237
横山様は 俺の話を
信じてくださるに違いない。
727
01:18:28,237 --> 01:18:32,408
名案だ。
うん。 その手しかあるまい。
728
01:18:32,408 --> 01:18:35,444
…で 決行は いつだ?
729
01:18:35,444 --> 01:18:38,213
明後日の夜。
730
01:18:38,213 --> 01:18:40,916
しかし これだけの大仕事だ。
731
01:18:40,916 --> 01:18:43,953
いくら 腕が立つからといって
お前一人では無理だ。
732
01:18:43,953 --> 01:18:46,088
誰か助太刀は いるのか?
733
01:18:46,088 --> 01:18:49,758
布施鶴之助に
加勢を仰ごうと考えている。
734
01:18:49,758 --> 01:18:54,263
悪いが 俺は行きたくても
役に立たんぞ。
735
01:18:54,263 --> 01:18:56,198
気持ちだけで ありがたい。
736
01:18:56,198 --> 01:19:02,705
よし。 俺が行こう。
いや お前には頼めん。なぜだ?
737
01:19:02,705 --> 01:19:07,876
お前は 俺や布施と違って
独り身ではない。
738
01:19:07,876 --> 01:19:11,380
生まれたばかりの赤子もいる。
739
01:19:11,380 --> 01:19:15,217
なに 命には別状あるまい。
俺が行く。
740
01:19:15,217 --> 01:19:18,887
いかん! お前には頼めん。
741
01:19:18,887 --> 01:19:24,760
文四郎。 俺と お前は
いつからの つきあいだ?
742
01:19:24,760 --> 01:19:28,063
聞くだけ聞かせておいて
むざむざ お前が やられるのを➡
743
01:19:28,063 --> 01:19:32,768
黙って 見過ごせと言うのか!?
それしきの つきあいだったのか!?
744
01:19:42,411 --> 01:19:53,922
文四郎…。 俺は お前のことを
生涯の友だと思っている。
745
01:19:53,922 --> 01:19:59,728
死ぬる時は…
一緒だとも思っている。
746
01:20:08,937 --> 01:20:13,776
逸平… すまん…。
747
01:20:13,776 --> 01:20:30,292
♬~
748
01:20:39,635 --> 01:20:44,340
⚟ただいま 参上いたしました。
入れ。
749
01:20:58,821 --> 01:21:02,324
(里村)
あ~ よいよい。 楽にいたせ。
750
01:21:04,426 --> 01:21:11,600
欅御殿の話 聞いておるかな?
伺っております。
751
01:21:11,600 --> 01:21:18,273
牧 文四郎に命じたことも。
聞いております。
752
01:21:18,273 --> 01:21:22,611
ならば 話が早い 犬飼。
はい。
753
01:21:22,611 --> 01:21:31,620
犬飼兵馬と 牧 文四郎
どちらが強いかの?
754
01:21:47,136 --> 01:21:51,473
よくぞ誘ってくれた。
礼を言うぞ。
755
01:21:51,473 --> 01:21:57,146
礼など とんでもない。
身を危うくするかもしれぬ。
756
01:21:57,146 --> 01:21:59,481
俺はな 牧…。
757
01:21:59,481 --> 01:22:06,088
死んだ姉のためにも
一矢報いたいのだ。
758
01:22:06,088 --> 01:22:09,124
姉は 確かに自害した。
759
01:22:09,124 --> 01:22:12,961
しかし その姉を
死に追い詰めた者がいたことを➡
760
01:22:12,961 --> 01:22:15,798
俺は 後になって気付いた。
761
01:22:15,798 --> 01:22:19,435
死に追い詰めた者?
762
01:22:19,435 --> 01:22:23,272
里村左内だ。
763
01:22:23,272 --> 01:22:28,143
里村は 貴公の親父殿と同じく➡
764
01:22:28,143 --> 01:22:31,947
義兄の矢田作之丞殿に
腹を切らせ➡
765
01:22:31,947 --> 01:22:34,983
後家となった姉を…➡
766
01:22:34,983 --> 01:22:41,957
まだ 若い身空の姉を…
あの長屋に閉じ込めた。
767
01:22:41,957 --> 01:22:46,628
しかも 武家の掟で
家に縛りつけ➡
768
01:22:46,628 --> 01:22:50,632
生かさず殺さずの
生殺し同然にな…。
769
01:22:52,501 --> 01:22:54,703
布施…。
770
01:22:57,973 --> 01:23:02,578
覚悟の上で
一緒に行ってくれるのか?
771
01:23:02,578 --> 01:23:06,782
小野道場で 席次は 3番だ。
772
01:23:12,287 --> 01:23:14,489
かたじけない…。
773
01:23:21,263 --> 01:23:24,766
<決行の時を迎えました>
774
01:23:24,766 --> 01:24:03,071
♬~
775
01:24:03,071 --> 01:24:05,007
(門をたたく音)
776
01:24:05,007 --> 01:24:09,578
お頼み申す! お頼み申す!
777
01:24:09,578 --> 01:24:11,880
(門をたたく音)
778
01:24:15,384 --> 01:24:18,086
お頼み申す!
779
01:24:18,086 --> 01:24:22,257
夜分 恐れ入るが
急用あって参りました!
780
01:24:22,257 --> 01:24:24,760
お通しいただきたい!
781
01:24:28,764 --> 01:24:30,766
文四郎。
782
01:24:34,102 --> 01:24:37,439
⚟(磯貝)ここは
人の立ち寄る場所ではない。➡
783
01:24:37,439 --> 01:24:41,310
急用とは何か?
784
01:24:41,310 --> 01:24:44,313
お福様に
「火急の用があって➡
785
01:24:44,313 --> 01:24:49,051
牧 文四郎が お目通りを
賜りたい」と お伝え願いたい!
786
01:24:49,051 --> 01:24:55,457
⚟(磯貝)牧 文四郎…。
そうです。 牧 文四郎です。
787
01:24:55,457 --> 01:24:58,360
⚟(磯貝)文四郎なる者が何用?
788
01:24:58,360 --> 01:25:04,566
昨年の今頃 某 当お屋敷の外で
貴殿に お目にかかっております。
789
01:25:04,566 --> 01:25:09,438
貴殿の その声 覚えております。
その節 確か…➡
790
01:25:09,438 --> 01:25:13,241
「郷方の村回り 牧 文四郎」と
名乗った者です。
791
01:25:13,241 --> 01:25:17,112
急を要します!
お願いでございます!
792
01:25:17,112 --> 01:25:42,938
♬~
793
01:25:42,938 --> 01:25:45,240
その2人は?
794
01:25:47,776 --> 01:25:53,649
一人は 小和田逸平。
お福様も ご存じです。
795
01:25:53,649 --> 01:26:05,727
♬~
796
01:26:05,727 --> 01:26:08,397
(おみち)お福様が
お会いになるそうです。➡
797
01:26:08,397 --> 01:26:10,432
ご案内いたします。
798
01:26:10,432 --> 01:26:26,782
♬~
799
01:26:26,782 --> 01:26:32,621
<ふくに会える。
5年ぶりに会える。➡
800
01:26:32,621 --> 01:26:36,425
文四郎は おのが使命を胸に秘め➡
801
01:26:36,425 --> 01:26:40,128
ふくへの思いが
募ってくるのです>
802
01:26:47,135 --> 01:26:51,273
<文四郎は ふくと お子の命を
守り抜いて➡
803
01:26:51,273 --> 01:26:56,778
父の敵 里村左内と
決着をつけます>
804
01:26:56,778 --> 01:27:01,750
死に行く者の気持ちとは!
805
01:27:01,750 --> 01:27:06,388
<そして 平穏な日々を
迎えるのですが…>
806
01:27:06,388 --> 01:27:10,225
(逸平)おぬしに対して
刺客が放たれたらしい。
807
01:27:10,225 --> 01:27:14,096
<20年余りの時が流れ➡
808
01:27:14,096 --> 01:27:19,401
文四郎は望まれて
ふくと再会することになるのです>
809
01:27:21,570 --> 01:27:23,772
<「蝉しぐれ」…>
810
01:27:26,441 --> 01:27:30,245
<どうぞ ご期待ください>
811
01:27:30,245 --> 01:27:41,590
♬「もしも 私
生きているのが」
812
01:27:41,590 --> 01:27:47,929
♬「一年だけなら」
813
01:27:47,929 --> 01:27:56,438
♬「春の息吹を
うけたら すぐに」
814
01:27:56,438 --> 01:28:07,883
♬「もしも 私
生きているのが」
815
01:28:07,883 --> 01:28:14,055
♬「一瞬だけなら」
816
01:28:14,055 --> 01:28:22,564
♬「うまれたままの
心と姿」
817
01:28:22,564 --> 01:28:28,737
♬「花を抱きしめ
躍りだすのよ」
818
01:28:28,737 --> 01:28:34,543
♬「あなたと一緒に」
819
01:28:34,543 --> 01:28:40,348
♬「花を抱きしめ
躍りだすのよ」
820
01:28:40,348 --> 01:28:47,055
♬「あなたと一緒に」
73310