All language subtitles for 蝉しぐれ(1)嵐 - [1920-1920x1080@KFMVFR.hevc10_crf 20_veryslow][字]
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1
00:00:02,202 --> 00:00:08,442
♬~
2
00:00:08,442 --> 00:00:11,945
<時は江戸時代➡
3
00:00:11,945 --> 00:00:18,285
東北地方に 海坂藩という
小さな藩がありました。➡
4
00:00:18,285 --> 00:00:23,957
海と山に程よく囲まれた
海坂藩では➡
5
00:00:23,957 --> 00:00:27,294
人々の暮らしは つましく➡
6
00:00:27,294 --> 00:00:32,165
日々 精いっぱい
生きておりました>
7
00:00:32,165 --> 00:00:59,226
♬~
8
00:00:59,226 --> 00:01:11,271
♬~
9
00:01:11,271 --> 00:01:17,077
<このお話は 小さな北国で
ひたむきに生きる人々の➡
10
00:01:17,077 --> 00:01:22,282
大きな愛の物語です>
11
00:01:22,282 --> 00:01:24,952
(平吉)お奉行様でござりますか。
(助左衛門)そうだ。
12
00:01:24,952 --> 00:01:27,287
間に合って ようございました。
13
00:01:27,287 --> 00:01:29,222
お客様 もう少しで➡
14
00:01:29,222 --> 00:01:31,792
お発ちになるところで
ございました。
15
00:01:31,792 --> 00:01:43,503
♬~
16
00:01:43,503 --> 00:01:45,706
(平吉)お見えでござります。
17
00:02:10,263 --> 00:02:17,137
お久しゅうござります。
お福様には何かと…。
18
00:02:17,137 --> 00:02:22,643
(お福)
そのような 堅苦しい挨拶など。
19
00:02:25,612 --> 00:02:30,617
よかった…。
もう おいでになられないかと。
20
00:02:42,162 --> 00:02:46,633
なんとか…
なんとか 間に合いました。
21
00:02:46,633 --> 00:02:51,638
しかし… しかし…。
22
00:02:54,808 --> 00:03:00,580
頂きました お手紙では
尼寺へ お入りのご覚悟かと。
23
00:03:00,580 --> 00:03:04,284
ええ。 この秋にも…。
24
00:03:06,253 --> 00:03:10,924
髪を下ろして 白蓮院へ入ります。
25
00:03:10,924 --> 00:03:13,260
されど…➡
26
00:03:13,260 --> 00:03:19,766
今生に残る未練に動かされ
こうして…➡
27
00:03:19,766 --> 00:03:22,269
こうして やっと…。
28
00:03:26,106 --> 00:03:28,308
文四郎さん。
29
00:03:29,943 --> 00:03:35,282
今日は そう呼ばせてください。
30
00:03:35,282 --> 00:03:37,284
お福様…。
31
00:03:41,088 --> 00:03:44,624
ふくです。
32
00:03:44,624 --> 00:03:49,796
今日の私は ふくです。
33
00:03:49,796 --> 00:03:53,633
そう呼んでください。
34
00:03:53,633 --> 00:04:00,640
遠い あの日のように。
せめて 今日だけ…。
35
00:04:04,077 --> 00:04:23,263
(蝉しぐれ)
36
00:04:23,263 --> 00:04:50,490
♬~
37
00:04:50,490 --> 00:04:53,493
今日も暑いぞ…。
38
00:05:21,454 --> 00:05:24,591
おはよう。
39
00:05:24,591 --> 00:05:27,294
おはよう!
40
00:06:11,104 --> 00:06:14,241
⚟(ふくの悲鳴)
41
00:06:14,241 --> 00:06:16,943
ふく!
42
00:06:22,115 --> 00:06:25,252
どうした? かまれたか?
43
00:06:25,252 --> 00:06:27,254
どれ。
44
00:06:36,596 --> 00:06:42,769
泣くな。 泣くんじゃない。
心配するな。
45
00:06:42,769 --> 00:06:45,972
傷は浅かろうに辛抱しろ。
46
00:06:49,542 --> 00:06:54,114
武家の子は このぐらいのことで
泣いてはならん。
47
00:06:54,114 --> 00:07:05,225
♬~
48
00:07:05,225 --> 00:07:07,160
おおかた これで大事ない。
49
00:07:07,160 --> 00:07:09,562
念のため 家に戻ったら言うんだ。
50
00:07:09,562 --> 00:07:12,899
蛇に かまれたと。
51
00:07:12,899 --> 00:07:55,208
♬~
52
00:08:22,569 --> 00:08:26,906
隣の… ふくを かみました。
53
00:08:26,906 --> 00:08:31,077
(助左衛門)それでいい。
生殺しは いかん。
54
00:08:31,077 --> 00:08:33,079
はい。
55
00:08:38,251 --> 00:08:42,122
(助左衛門)茄子の水かけを
忘れるでないぞ。
56
00:08:42,122 --> 00:08:44,124
はい。
57
00:08:47,761 --> 00:08:51,097
<文四郎の父 牧 助左衛門は➡
58
00:08:51,097 --> 00:08:54,300
義理の父でした>
59
00:08:56,603 --> 00:09:00,874
<つまり 文四郎は
牧家の養子です。➡
60
00:09:00,874 --> 00:09:04,210
この時代 武士は長男が家を継ぎ➡
61
00:09:04,210 --> 00:09:08,048
次男 三男は 跡継ぎのない家に
養子に行くのが➡
62
00:09:08,048 --> 00:09:11,051
ごく普通のことでした>
63
00:09:15,221 --> 00:09:20,560
<文四郎の義理の母 登世は
実の父の妹➡
64
00:09:20,560 --> 00:09:24,364
つまりは 叔母にあたる人でした>
65
00:09:40,246 --> 00:09:43,149
(登世)文四郎。
はい。
66
00:09:43,149 --> 00:09:48,121
何事ですか?
先ほどから何度も手を。
67
00:09:48,121 --> 00:09:51,424
あ…。 いえ…。
68
00:09:51,424 --> 00:09:56,629
行儀よくなさい。
はい。
69
00:10:01,434 --> 00:10:05,271
お代わりは?
(助左衛門)いや いい。
70
00:10:05,271 --> 00:10:09,776
<文四郎は どちらかというと
血のつながる母よりも➡
71
00:10:09,776 --> 00:10:13,580
つながらない父を
尊敬していました>
72
00:10:16,115 --> 00:10:18,151
<父 助左衛門は➡
73
00:10:18,151 --> 00:10:21,921
普請組28石 二人扶持の
下級武士でしたが➡
74
00:10:21,921 --> 00:10:26,125
寡黙で
まことに男らしい人物でした>
75
00:10:26,125 --> 00:10:28,061
お気を付けください。
76
00:10:28,061 --> 00:10:31,297
このところ 橋の普請が続いて
お疲れのご様子です。
77
00:10:31,297 --> 00:10:36,803
なんの なんの。
疲れてなどおらん。
78
00:10:36,803 --> 00:10:39,305
では。
79
00:10:39,305 --> 00:10:43,510
行ってらっしゃいませ。
行ってらっしゃいませ。
80
00:10:48,648 --> 00:10:50,583
いかん!
81
00:10:50,583 --> 00:10:56,322
どうなされました?
いや それが…。
82
00:10:56,322 --> 00:11:00,827
それがだな…。
それが 何です?
83
00:11:04,130 --> 00:11:07,133
今日は… 非番の日であった。
84
00:11:09,636 --> 00:11:12,939
やはり お疲れなのですよ。
85
00:11:12,939 --> 00:11:22,649
いや… 暑さのせいかもしれん。
それにしても いかんな。 いかん。
86
00:11:22,649 --> 00:11:41,301
♬~
87
00:11:41,301 --> 00:11:44,003
(竹刀の打ち合う音)
88
00:11:49,642 --> 00:11:52,345
(矢田)終わりか。
まだ!
89
00:11:59,819 --> 00:12:03,323
(矢田)どうした もう終わりか?
まだまだ!
90
00:12:11,097 --> 00:12:13,600
まだまだまだ!
91
00:12:15,935 --> 00:12:18,938
文四郎 行け!
もう一押しだ!
92
00:12:22,275 --> 00:12:25,612
おお~!
93
00:12:25,612 --> 00:12:27,947
矢田さん。
94
00:12:27,947 --> 00:12:32,285
よし これまでにしよう。
失礼しました。
95
00:12:32,285 --> 00:12:36,789
なに 詫びることはない。
一本取られた。
96
00:12:36,789 --> 00:12:39,826
いえ。
謙遜せんでもよい。
97
00:12:39,826 --> 00:12:43,029
しばらく見ぬ間に腕を上げた。
98
00:12:49,502 --> 00:12:53,139
文四郎は 今 いくつだ?
15です。
99
00:12:53,139 --> 00:13:00,580
15か。 後生畏るべしだ。
我々も うかとはできん。
100
00:13:00,580 --> 00:13:03,483
(佐竹)いいかげんにせんか!
何べん同じことを言わせるんだ!
101
00:13:03,483 --> 00:13:06,452
拾え!
102
00:13:06,452 --> 00:13:08,755
いいか。 相打ちだ!
103
00:13:08,755 --> 00:13:12,425
逃げちゃいかん!
打たせろと言っておる。
104
00:13:12,425 --> 00:13:15,928
(逸平)また やられてるぞ。
与之助のやつ。
105
00:13:15,928 --> 00:13:19,766
打たれて痛い思いをせぬうちは
上達など思いも寄らんぞ!
106
00:13:19,766 --> 00:13:25,471
持て! それが分からぬうちは
稽古にならんのだ!
107
00:13:50,296 --> 00:13:53,332
(逸平)文四郎。 腹減ったな。
108
00:13:53,332 --> 00:13:59,639
逸平 それを言うな。
口にすると 我慢できなくなる。
109
00:13:59,639 --> 00:14:03,342
金なら あるぞ。
何か食っていくか?
110
00:14:07,747 --> 00:14:10,249
与之助 どうした?
111
00:14:10,249 --> 00:14:14,120
お前も 腹が減って動けんのか?
食おう!
112
00:14:14,120 --> 00:14:17,423
(与之助)いや… そうじゃない。
じゃ 何だ?
113
00:14:19,592 --> 00:14:24,931
俺なあ… 俺… 俺…。
114
00:14:24,931 --> 00:14:29,802
また こいつ…。
じれったい。
115
00:14:29,802 --> 00:14:32,672
鍛冶町の稽古やめる。
何?
116
00:14:32,672 --> 00:14:37,510
佐竹さんに やられたからか?
馬鹿な。
117
00:14:37,510 --> 00:14:39,479
どこへ行ったって➡
118
00:14:39,479 --> 00:14:43,950
頭をなでながら
教えてくれる道場なんて ないぞ。
119
00:14:43,950 --> 00:14:46,986
そういうんじゃないんだ。
120
00:14:46,986 --> 00:14:52,291
道場は やめて
学問一筋でいこうかと…。
121
00:14:52,291 --> 00:14:54,227
学問一筋で?
122
00:14:54,227 --> 00:14:59,465
ひょっとしたら 俺…➡
123
00:14:59,465 --> 00:15:03,169
江戸へ行くかもしれん。
おい。おい。
124
00:15:05,238 --> 00:15:07,273
江戸か…。
125
00:15:07,273 --> 00:15:10,910
江戸か…。
126
00:15:10,910 --> 00:15:19,418
どんな所なんだろうなあ。
それで いつごろ行くんだ?
127
00:15:19,418 --> 00:15:22,455
まだ はっきり
決まったわけじゃないが➡
128
00:15:22,455 --> 00:15:26,292
行くとすれば 秋だな。
129
00:15:26,292 --> 00:15:31,130
(逸平)今年のか?
うん。
130
00:15:31,130 --> 00:15:33,966
それはまた 急だな。
131
00:15:33,966 --> 00:15:38,971
俺は お前たちのような
家の跡取りじゃないからな。
132
00:15:44,443 --> 00:15:48,281
(逸平)
与之助は江戸に行くのがいい。➡
133
00:15:48,281 --> 00:15:51,617
お前は 剣は駄目だ。
134
00:15:51,617 --> 00:15:54,120
学問一筋の方がいい。
135
00:15:54,120 --> 00:15:59,292
お前の頭なら
きっと 江戸へ行っても通用する。
136
00:15:59,292 --> 00:16:04,797
しかしなあ…。
何だ?
137
00:16:06,899 --> 00:16:10,403
与之助。
お前は いつも そう…。
138
00:16:10,403 --> 00:16:16,275
会えなくなる。
こうして お前たちと…➡
139
00:16:16,275 --> 00:16:19,412
もう 会えなくなる。
140
00:16:19,412 --> 00:16:21,347
(逸平)いかん いかん。
141
00:16:21,347 --> 00:16:24,584
感傷に溺れてちゃ
何事も成就せんぞ。➡
142
00:16:24,584 --> 00:16:27,620
いいか 与之助。
143
00:16:27,620 --> 00:16:31,924
江戸は すごいんだ。
144
00:16:31,924 --> 00:16:36,596
こんな田舎町と違って
男が一生の夢を賭ける所なんだ。
145
00:16:36,596 --> 00:16:41,767
逸平。 詳しいな お前。
江戸へ行ったことがあるのか?
146
00:16:41,767 --> 00:16:47,940
馬鹿なことを聞くな。
あるわけないだろ。
147
00:16:47,940 --> 00:16:51,277
(笑い声)
148
00:16:51,277 --> 00:16:54,313
(逸平)「関々たる雎鳩」。
149
00:16:54,313 --> 00:16:57,083
(文四郎 逸平)「河の洲にあり」。
150
00:16:57,083 --> 00:17:04,724
(3人)「窈窕たる淑女 君子の好逑
参差たる こう菜➡
151
00:17:04,724 --> 00:17:07,727
左右に これを流む」。
152
00:17:13,900 --> 00:17:19,205
文四郎。 文四郎。
はい。
153
00:17:22,241 --> 00:17:26,412
(ます)おや 文四郎さん。
茄子の水かけですか?
はい。
154
00:17:26,412 --> 00:17:28,915
ご精が出ますね。
いえ。
155
00:17:28,915 --> 00:17:34,420
(ます)あのね 今年も また
ご面倒でしょうけど➡
156
00:17:34,420 --> 00:17:38,291
ふくを お祭りに
お願いしたいんですの。➡
157
00:17:38,291 --> 00:17:41,594
連れてっていただけますか?
158
00:17:48,768 --> 00:17:53,105
いいです。
(ます)ありがとうございます。
159
00:17:53,105 --> 00:17:56,609
よかったね。 ふく。
160
00:18:04,216 --> 00:18:07,887
そりゃ 子供が たくさんいて
大変でしょうけど…➡
161
00:18:07,887 --> 00:18:11,591
それにしてもね。
162
00:18:13,392 --> 00:18:20,399
これで ものを買えというのでは
ありません。 万一のたしなみ…。
163
00:18:24,570 --> 00:18:29,075
<母の登世は
ふくの母を嫌っていました。➡
164
00:18:29,075 --> 00:18:34,880
醤油を貸せ 味噌を貸せ
時には 米や金を貸せ。➡
165
00:18:34,880 --> 00:18:39,585
頼み事ばかりだと
いつも こぼしていました>
166
00:18:42,588 --> 00:19:25,898
♬~(祭り囃子)
167
00:19:25,898 --> 00:20:24,790
♬~
168
00:20:24,790 --> 00:20:29,295
はい お待たせしました。
はい どうも ありがとう。
169
00:20:29,295 --> 00:20:39,638
♬~
170
00:20:39,638 --> 00:20:43,342
水あめ 好きだったろう?
171
00:20:52,651 --> 00:20:56,522
もうすぐ からくりが始まるぞ。
172
00:20:56,522 --> 00:20:58,824
まだ 子供だな。
173
00:21:07,933 --> 00:21:10,636
すいません。 はい はい。
174
00:21:26,285 --> 00:21:28,787
(笛と 太鼓の音)
175
00:21:28,787 --> 00:21:33,292
(歓声)
176
00:21:33,292 --> 00:21:50,643
♬~
177
00:21:50,643 --> 00:21:53,679
逸平!
与之助を見なかったか?
178
00:21:53,679 --> 00:21:56,515
見てない。
与之助が どうかしたか?
179
00:21:56,515 --> 00:22:00,452
あれ? この人は 誰だったかな?
180
00:22:00,452 --> 00:22:07,092
小柳のおふくだ。
(逸平)ああ 隣の…。➡
181
00:22:07,092 --> 00:22:09,795
きれいになったなあ。
182
00:22:12,765 --> 00:22:22,441
(歓声)
183
00:22:22,441 --> 00:22:24,944
それで 与之助は?
184
00:22:24,944 --> 00:22:29,815
いや ここに来る途中 妙なことを
聞いたんだ。妙なこと?
185
00:22:29,815 --> 00:22:32,685
与之助が どこかに
連れ去られたというんだ。
186
00:22:32,685 --> 00:22:35,654
誰に?
大勢にだ。 5~6人いたらしい。
187
00:22:35,654 --> 00:22:38,457
何だと!
188
00:22:38,457 --> 00:22:56,842
♬~
189
00:22:56,842 --> 00:22:59,745
与之助!
与之助!
190
00:22:59,745 --> 00:23:15,761
♬~
191
00:23:15,761 --> 00:23:18,264
与之助!
192
00:23:18,264 --> 00:23:32,278
♬~
193
00:23:32,278 --> 00:23:34,313
文四郎!
194
00:23:34,313 --> 00:23:47,626
♬~
195
00:23:47,626 --> 00:23:50,329
やられたな。
196
00:23:51,964 --> 00:23:57,836
あいつら 居駒塾の連中だぞ。
197
00:23:57,836 --> 00:24:06,245
与之助を妬んでの仕打ちだ。
学問のできる与之助を。
198
00:24:06,245 --> 00:24:12,951
与之助…。 与之助!
ここだよ…。
199
00:24:14,753 --> 00:24:19,091
ここだよ!
200
00:24:19,091 --> 00:24:24,596
お… おい 気は確かか?
201
00:24:24,596 --> 00:24:27,933
行くぞ…。
202
00:24:27,933 --> 00:24:32,604
俺は江戸へ行く! 江戸へ行く!
203
00:24:32,604 --> 00:24:36,108
与之助…。
204
00:24:36,108 --> 00:24:42,881
こうなったら
意地でも 江戸で学問して➡
205
00:24:42,881 --> 00:24:47,286
やつらを見返してやれよ。
206
00:24:47,286 --> 00:24:50,289
ああ…。
207
00:24:52,157 --> 00:25:00,232
(雨音)
208
00:25:00,232 --> 00:25:45,811
♬~
209
00:25:45,811 --> 00:25:48,113
帰るぞ。
210
00:25:56,488 --> 00:26:02,561
あの時は…
本当に びっくりいたしました。
211
00:26:02,561 --> 00:26:10,569
いや… 某 何とも
申し訳ないことをしました。
212
00:26:19,578 --> 00:26:21,513
何か変わったことは?
213
00:26:21,513 --> 00:26:26,018
(いと)ございません。
大丈夫でございます。
そう。
214
00:26:28,587 --> 00:26:32,424
この者なら信用できます。
215
00:26:32,424 --> 00:26:37,296
万事心得ていて 私が呼ぶまでは➡
216
00:26:37,296 --> 00:26:42,101
誰も この部屋に近づかぬよう
見張っているはずです。
217
00:26:42,101 --> 00:26:44,136
さようですか。
218
00:26:44,136 --> 00:26:48,841
冷めないうちに どうぞ。
219
00:26:56,281 --> 00:27:00,586
いろいろ ございましたねえ…。
220
00:27:03,088 --> 00:27:09,828
ええ…。
与之助が江戸へ行ってしまい➡
221
00:27:09,828 --> 00:27:14,633
それから いろいろと…。
222
00:27:19,238 --> 00:27:25,577
まさしく… いろいろと。
223
00:27:25,577 --> 00:27:28,280
(打ち合う音)
224
00:27:42,761 --> 00:27:45,264
脇が甘いぞ!
225
00:27:45,264 --> 00:27:47,266
まだまだ!
226
00:28:15,227 --> 00:28:17,229
やあっ!
227
00:28:27,239 --> 00:28:30,142
矢田さん…。
228
00:28:30,142 --> 00:28:36,248
参った。 もう かなわぬ。
229
00:28:36,248 --> 00:28:39,151
(石栗)それまでだ。
230
00:28:39,151 --> 00:29:01,206
♬~
231
00:29:01,206 --> 00:29:06,545
逸平。 待っててくれたのか。
いや 腹減ったな。
232
00:29:06,545 --> 00:29:09,047
またか。 お前 それしか
考えることないのか!
233
00:29:09,047 --> 00:29:11,883
ほかに何があるんだよ。
234
00:29:11,883 --> 00:29:18,757
あっ… 妙な雲行きだ。
早く帰った方がいい。
ああ。
235
00:29:18,757 --> 00:29:44,583
♬~
236
00:29:44,583 --> 00:29:46,518
どなただ?
237
00:29:46,518 --> 00:29:53,258
美しい人だろう。 あのような人を
嫁に もらえたらなあ。
238
00:29:53,258 --> 00:29:57,963
矢田さんの?
そうよ。 矢田さんの ご妻女だ。
239
00:30:02,267 --> 00:30:09,141
羨ましい限りだ。
行こう。 みっともないぞ。
240
00:30:09,141 --> 00:30:14,846
(激しい雨音)
241
00:30:14,846 --> 00:30:26,124
⚟(太鼓の音)
242
00:30:26,124 --> 00:30:29,628
<深夜の太鼓は五間川が氾濫して➡
243
00:30:29,628 --> 00:30:32,464
市中が
水浸しになるのを防ぐため➡
244
00:30:32,464 --> 00:30:39,805
普請組と常雇い全員に
非常呼集をかけるものでした>
245
00:30:39,805 --> 00:30:47,979
⚟(太鼓の音)
246
00:30:47,979 --> 00:30:51,650
母上。
出水ですね。
247
00:30:51,650 --> 00:30:57,355
父上は?
まだ戻られませぬ。
248
00:31:00,258 --> 00:31:06,264
では 私が
父の代わりに勤めてまいります。
249
00:31:09,768 --> 00:31:13,071
立派に勤めを
果たしてくるのですよ。
250
00:31:17,275 --> 00:31:22,280
(戸をたたく音)
251
00:31:25,016 --> 00:31:27,319
(戸をたたく音)
252
00:31:42,300 --> 00:31:46,138
甚兵衛様。
私を連れてってください。
253
00:31:46,138 --> 00:31:49,174
(甚兵衛)親父殿は どうされた!
254
00:31:49,174 --> 00:31:54,179
まだ 戻りません。
父の代わりに参ります!
255
00:31:56,648 --> 00:31:59,317
行ってらっしゃいませ。
256
00:31:59,317 --> 00:32:08,326
(激しい雨音)
257
00:32:21,573 --> 00:32:23,875
⚟(ます)ふく!
258
00:32:28,780 --> 00:32:35,287
(半鐘の音)
259
00:32:35,287 --> 00:32:38,957
<海坂藩で
さまざまな工事を担う普請組が➡
260
00:32:38,957 --> 00:32:40,892
市中の洪水を防ぐため➡
261
00:32:40,892 --> 00:32:45,730
上流の堤防に向かって
走ります。➡
262
00:32:45,730 --> 00:32:49,467
上流の堤防を壊して
水をあふれさせ➡
263
00:32:49,467 --> 00:32:53,472
城下を流れる水量を
減らそうとするものです>
264
00:33:00,579 --> 00:33:02,881
(相羽)上れ~!
265
00:33:06,918 --> 00:33:09,221
(相羽)止まれ~!
266
00:33:16,595 --> 00:33:20,298
(濁流の音)
267
00:33:27,606 --> 00:33:31,109
よ~し! 仕事にかかるぞ!
268
00:33:31,109 --> 00:33:36,448
切開の場所は ここ!
金井村 柳の曲がりだ!
269
00:33:36,448 --> 00:33:40,285
奉行助役の相羽様だ。
今夜の指図をおとりになる。
270
00:33:40,285 --> 00:33:46,091
(相羽)この災害は捨て置くと
城下の半分に及ぶと思われる!➡
271
00:33:46,091 --> 00:33:51,463
従って この土手を切れば
市中の水は引くであろう!
272
00:33:51,463 --> 00:33:58,803
ひと皮残す あんばいに
土手を外側から切り崩していく!
273
00:33:58,803 --> 00:34:04,075
よいな! もはや
一刻の猶予もならん! かかれ!
274
00:34:04,075 --> 00:34:09,281
(一同)オ~ッ!
275
00:34:16,421 --> 00:34:22,227
⚟お待ちくださ~い!
お待ちくださ~い!
276
00:34:22,227 --> 00:34:25,130
(相羽)助左か。
この忙しい時に何事だ!
277
00:34:25,130 --> 00:34:31,903
火急のお願いがございます!
手短に申せ!
278
00:34:31,903 --> 00:34:36,107
切開の場所を 上流の鴨の曲がりに
変えていただきたい!
279
00:34:36,107 --> 00:34:39,611
たわ言を申すな!
そんな暇はない!
280
00:34:39,611 --> 00:34:45,951
いや ぜひとも!
何!? 訳を言え!
281
00:34:45,951 --> 00:34:52,157
ここで土手を切れば ご覧のごとく
取り入れ前の稲田が潰れます!
282
00:34:55,126 --> 00:34:57,796
(助左衛門)しかし 鴨の曲がりなら
一帯は荒れ地。
283
00:34:57,796 --> 00:35:01,566
水があふれたとしても
損害は ほとんど ございません!
284
00:35:01,566 --> 00:35:05,070
金井村の百姓も あのように➡
285
00:35:05,070 --> 00:35:07,906
お願いに来ております!
286
00:35:07,906 --> 00:35:13,078
(相羽)この土手を切って
潰れる田んぼは どれぐらいだ!?
287
00:35:13,078 --> 00:35:17,916
ざっと 10町歩!
しかし 間に合わんな。
288
00:35:17,916 --> 00:35:21,419
いや 間に合います!
鴨の曲がりでは 既に➡
289
00:35:21,419 --> 00:35:24,456
金井村の皆の衆が
手助けをせんと待っております!
290
00:35:24,456 --> 00:35:28,760
ご決断ください!
291
00:35:28,760 --> 00:35:31,429
鴨の曲がりまで僅かに3町!➡
292
00:35:31,429 --> 00:35:34,132
ご決断ください!
293
00:35:36,601 --> 00:35:40,472
もっともだ! よく言った!➡
294
00:35:40,472 --> 00:35:43,274
みんな 聞け~!➡
295
00:35:43,274 --> 00:35:47,445
切開の場所を
鴨の曲がりに変更する!➡
296
00:35:47,445 --> 00:35:52,317
かかれ~!
(一同)オ~ッ!
297
00:35:52,317 --> 00:35:56,121
<父は すごい。 父を見習いたい。➡
298
00:35:56,121 --> 00:35:59,624
文四郎は
心から そう思ったのです。➡
299
00:35:59,624 --> 00:36:02,227
ふだんは 静かで寡黙な父が➡
300
00:36:02,227 --> 00:36:05,263
10町歩の稲田と
農民を救ったことに➡
301
00:36:05,263 --> 00:36:09,901
文四郎は深く感動していました>
302
00:36:09,901 --> 00:36:30,188
♬~
303
00:36:56,781 --> 00:37:01,753
明けまして…
おめでとうございます。
304
00:37:01,753 --> 00:37:03,755
おめでとう。
305
00:37:19,738 --> 00:37:25,043
お帰りなさい。
先ほど ふくに会いました。
306
00:37:26,911 --> 00:37:32,083
かわいそうに。
何か?
307
00:37:32,083 --> 00:37:39,257
お餅を借りに来たのですよ。
また 母親に押しつけられて。➡
308
00:37:39,257 --> 00:37:45,263
正月早々で
あの子も つらかったでしょうよ。
309
00:37:52,604 --> 00:37:54,906
(かしわ手)
310
00:37:59,377 --> 00:38:01,679
ほら 文四郎。
311
00:38:10,555 --> 00:38:17,328
<正月なのに ふだん着のままで
ふくは お餅を借りに走る。➡
312
00:38:17,328 --> 00:38:21,633
文四郎は少し切なくなりました>
313
00:38:25,570 --> 00:38:28,072
急げ 急げ!
314
00:38:41,419 --> 00:38:44,923
文四郎 あそこにもだ。
315
00:38:53,932 --> 00:38:57,268
異変が起きたらしいな。
(逸平)うん。
316
00:38:57,268 --> 00:39:01,139
以前 聞いたことがある。
城下に異変が起きた時は➡
317
00:39:01,139 --> 00:39:05,977
槍組 鉄砲組が動いて
国境の四方の木戸を固めると。
318
00:39:05,977 --> 00:39:08,279
おい まただ。
319
00:39:11,783 --> 00:39:14,786
母上! 母上!
320
00:39:19,524 --> 00:39:23,228
あ… 甚兵衛様。
321
00:39:23,228 --> 00:39:29,100
今なあ 母上にも
話しておったところじゃが➡
322
00:39:29,100 --> 00:39:38,076
助左衛門殿は 明日になれば
戻されて 帰ってくるかもしれん。
323
00:39:38,076 --> 00:39:43,248
それは… 何の話ですか?
324
00:39:43,248 --> 00:39:49,921
父上が 何かのお疑いを受けて➡
325
00:39:49,921 --> 00:39:54,259
監察の方々に
連れてゆかれたというのです。
326
00:39:54,259 --> 00:39:57,595
監察に?
327
00:39:57,595 --> 00:40:05,270
何でも 大目付を家中の長老5人
御使番8人が補佐して➡
328
00:40:05,270 --> 00:40:08,172
疑惑の解明にあたるんだそうだ。
329
00:40:08,172 --> 00:40:12,944
疑惑? 何の疑いですか?
330
00:40:12,944 --> 00:40:17,115
わしにも 何のことやら
さっぱり分からんのだが…。
331
00:40:17,115 --> 00:40:21,986
わしも呼ばれて あれや これやと
問いただされたが➡
332
00:40:21,986 --> 00:40:26,824
幸いにも 帰ってよいと言われた。
333
00:40:26,824 --> 00:40:30,962
監察の方に留め置かれたのは
父一人ですか?
334
00:40:30,962 --> 00:40:34,465
いや この普請組からは 3人。
335
00:40:34,465 --> 00:40:39,304
ほかは何人かは知らん。
336
00:40:39,304 --> 00:40:46,811
今夜中にも
龍興寺に送られるそうだ。
337
00:40:49,814 --> 00:40:55,520
何かの… 間違いでしょうよ。
338
00:41:04,095 --> 00:41:12,303
<その夜 遅く 文四郎の実の兄
服部市左衛門が訪ねてきました>
339
00:41:22,113 --> 00:41:27,452
(市左衛門)文四郎。
はい。
340
00:41:27,452 --> 00:41:33,124
何事があろうと
取り乱すでないぞ。
341
00:41:33,124 --> 00:41:38,296
はい… 心得ております。
342
00:41:38,296 --> 00:41:44,102
夫の罪は 何でござりましょうか?
343
00:41:44,102 --> 00:41:48,006
もし ご存じであれば…。
344
00:41:48,006 --> 00:41:55,313
これは…
他聞をはばかることですが。
345
00:42:01,252 --> 00:42:05,590
殿のお世継ぎを
どなたとするかで➡
346
00:42:05,590 --> 00:42:08,493
以前から 家中で
争いがあるのです。
347
00:42:08,493 --> 00:42:15,600
助左衛門殿は どうも そちらに
関わり合われたらしい。
348
00:42:15,600 --> 00:42:20,104
殿のお世継ぎ?
349
00:42:20,104 --> 00:42:35,319
♬~
350
00:42:38,122 --> 00:42:43,795
あれは 確か
殿のお世継ぎ争いに➡
351
00:42:43,795 --> 00:42:48,299
文四郎さんの お父上が
巻き込まれて…。
352
00:42:48,299 --> 00:42:54,639
さよう。
家中が2つに分かれて争い➡
353
00:42:54,639 --> 00:43:02,447
私の父は負け組の一人として
咎めを受けるはめに。
354
00:43:02,447 --> 00:43:07,585
それで 実家のお兄様と ご一緒に。
355
00:43:07,585 --> 00:43:14,091
龍興寺へ参りました。
父に会いに。
356
00:43:14,091 --> 00:43:16,894
ちょうど 今日のように…。
357
00:43:18,930 --> 00:43:23,101
暑い日でした。
358
00:43:23,101 --> 00:43:29,807
蝉が鳴いて
うだるような暑さでした。
359
00:43:34,812 --> 00:43:38,282
<半月が過ぎて 文四郎は➡
360
00:43:38,282 --> 00:43:43,154
ようやく 父の助左衛門に
会うことを許されました>
361
00:43:43,154 --> 00:43:48,292
兄上。 処分が決まった
ということですか?
362
00:43:48,292 --> 00:43:54,165
まあ そういうことだ。
切腹ですか?
363
00:43:54,165 --> 00:43:59,637
それは まだだ。
正式のご沙汰は 明日出される。➡
364
00:43:59,637 --> 00:44:01,906
いいか 文四郎。
365
00:44:01,906 --> 00:44:04,809
助左衛門殿に会うのは
ほんの僅かの間だ。
366
00:44:04,809 --> 00:44:07,712
泣く暇はないぞ。
367
00:44:07,712 --> 00:44:10,581
また そのような醜態は許さん。
368
00:44:10,581 --> 00:44:12,917
牧の跡取りとして
人の侮りを受けぬよう➡
369
00:44:12,917 --> 00:44:16,621
立派に振る舞うのだ。 よいか?
370
00:44:18,589 --> 00:44:20,591
文四郎。
371
00:44:23,761 --> 00:44:25,696
(市左衛門)文四郎?
372
00:44:25,696 --> 00:44:44,081
♬~
373
00:44:44,081 --> 00:44:46,884
牧 助左衛門の身内の者だ。
374
00:44:48,920 --> 00:44:50,922
お通りあれ。
375
00:45:01,599 --> 00:45:03,601
座れ。
376
00:45:35,933 --> 00:45:42,273
<石栗道場の先輩 矢田作之丞の妻
淑江でした。➡
377
00:45:42,273 --> 00:45:46,110
父 助左衛門と同じく
矢田作之丞もまた➡
378
00:45:46,110 --> 00:45:49,914
処分を受ける一人だったのです>
379
00:46:11,902 --> 00:46:15,206
(脇田)では これより 対面を行う。
380
00:46:20,077 --> 00:46:25,416
対面は 無用な混乱を来さぬため
一家一人とする。➡
381
00:46:25,416 --> 00:46:28,753
何は話してもよい
何は話して悪いとは言わぬが➡
382
00:46:28,753 --> 00:46:34,425
対面の間は ごく短いゆえ
手短に話すよう 心掛けられたい。
383
00:46:34,425 --> 00:46:40,598
(関口)少々 お伺いして
よろしいか?(脇田)何だ?
384
00:46:40,598 --> 00:46:48,339
某は 足軽目付 関口晋作の
父でござるが➡
385
00:46:48,339 --> 00:46:54,612
伜が何の罪で腹切らされるのか➡
386
00:46:54,612 --> 00:46:59,417
お分かりであれば
ここで伺いたい。
387
00:47:06,557 --> 00:47:09,060
正式のご沙汰は
明朝 それぞれの家に➡
388
00:47:09,060 --> 00:47:11,729
言い渡されることになっておる。➡
389
00:47:11,729 --> 00:47:16,600
ご老人の言う 罪の子細も
その時に示されるものと思うが➡
390
00:47:16,600 --> 00:47:23,340
今は まだ 切腹か否かを
言うわけにはまいらぬ。
391
00:47:23,340 --> 00:47:28,579
しかし それでは…。
(脇田)ただし…。
392
00:47:28,579 --> 00:47:33,250
対面には 切腹のお沙汰も
あるという含みで➡
393
00:47:33,250 --> 00:47:36,587
臨まれたら よかろう。
394
00:47:36,587 --> 00:47:42,593
⚟(蝉しぐれ)
395
00:48:09,487 --> 00:48:14,191
たまらんな この暑さ。
全くだ。
396
00:48:41,252 --> 00:49:01,872
♬~
397
00:49:01,872 --> 00:49:06,076
変わりはないか?
はい。
398
00:49:15,219 --> 00:49:20,891
こたびのことでは
さぞ驚いたであろう。
399
00:49:20,891 --> 00:49:23,394
心配をかけたな。
400
00:49:29,233 --> 00:49:31,902
父上…。
401
00:49:31,902 --> 00:49:35,406
何事があったのか
お聞かせください。
402
00:49:40,578 --> 00:49:44,782
それは いずれ分かる。
403
00:49:46,917 --> 00:49:53,257
しかし わしは恥ずべきことを
したわけではない。
404
00:49:53,257 --> 00:49:57,761
私の欲ではなく
義のために やったことだ。➡
405
00:49:57,761 --> 00:50:01,932
恐らく あとには
反逆の汚名が残り➡
406
00:50:01,932 --> 00:50:05,803
そなたたちが苦労することは
目に見えている。
407
00:50:05,803 --> 00:50:12,109
しかし… 文四郎は
わしを恥じてはならん!
408
00:50:16,480 --> 00:50:22,319
そのことは 胸に しまっておけ。
409
00:50:22,319 --> 00:50:25,956
はい。
410
00:50:25,956 --> 00:50:30,828
矢田作之丞殿から話を伺うた。
411
00:50:30,828 --> 00:50:38,836
道場の若い者の中では
最も筋がいいそうだな。 励め。
412
00:50:50,180 --> 00:50:53,884
(伊藤)牧 助左衛門。 それまでだ。
413
00:51:09,266 --> 00:51:12,269
登世を頼むぞ。
414
00:51:43,801 --> 00:51:47,004
⚟文四郎。
415
00:51:53,310 --> 00:51:58,482
親父殿の様子は どうだった?
いつもと変わらなかった。
416
00:51:58,482 --> 00:52:02,753
2人だけで会えたんだな。
そうだ。
417
00:52:02,753 --> 00:52:04,755
何か話したか?
418
00:52:07,424 --> 00:52:09,626
文四郎…。
419
00:52:12,930 --> 00:52:15,633
泣きたいのか?
420
00:52:18,602 --> 00:52:25,309
泣きたかったら存分に泣け。
俺は構わんぞ。
421
00:52:27,111 --> 00:52:34,284
もっと ほかに言うことが
あったんだ。
422
00:52:34,284 --> 00:52:40,791
親父に会ってる間は
思いつかなかった。
423
00:52:40,791 --> 00:52:48,532
そういうものだ。
人間は後悔するようにできておる。
424
00:52:48,532 --> 00:52:55,305
親父を尊敬していると
言えばよかったんだ。
425
00:52:55,305 --> 00:52:57,808
そうか。
426
00:52:57,808 --> 00:53:05,249
母のことは心配いりませんと
俺から言うべきだった。
427
00:53:05,249 --> 00:53:13,924
いや 何より… 何より➡
428
00:53:13,924 --> 00:53:17,795
ここまで育ててくれて
ありがとうございましたと➡
429
00:53:17,795 --> 00:53:20,597
言うべきだった。
430
00:53:37,614 --> 00:53:41,785
「牧 助左衛門儀
謀反企て候につき➡
431
00:53:41,785 --> 00:53:44,621
切腹 申しつくるものなり。➡
432
00:53:44,621 --> 00:53:48,125
向後 牧家は 家禄7石へ減じ➡
433
00:53:48,125 --> 00:53:57,134
普請組御免の上 葺屋町へ引っ越し
仰せつけられ候ものなり」。
434
00:53:59,837 --> 00:54:05,409
謹んで承りまする。
435
00:54:05,409 --> 00:54:09,580
遺骸 引き取りには
荷車を用意するが よろしかろう。
436
00:54:09,580 --> 00:54:11,582
はっ。
437
00:54:21,592 --> 00:54:24,495
⚟(登世)文四郎。
438
00:54:24,495 --> 00:54:34,938
♬~
439
00:54:34,938 --> 00:54:40,444
<母が今 何を見ているかが
文四郎にも分かりました。➡
440
00:54:40,444 --> 00:54:46,250
母が目を向けているのは
父のいる龍興寺の方角でした>
441
00:54:49,453 --> 00:54:52,122
暑い所は お体に毒です。
442
00:54:52,122 --> 00:54:57,461
お静かに うちの中で
お待ちになってください。
443
00:54:57,461 --> 00:55:01,465
父上は
私が お連れしてまいります。
444
00:55:09,573 --> 00:55:18,248
(すすり泣き)
445
00:55:18,248 --> 00:55:47,110
♬~
446
00:55:47,110 --> 00:55:49,613
もう関わっては いけません。
447
00:55:54,284 --> 00:56:00,090
あの日のことを覚えていますか?
448
00:56:00,090 --> 00:56:03,393
あの日とは?
449
00:56:03,393 --> 00:56:07,197
あの日も 蝉が鳴いておりました。
450
00:56:10,567 --> 00:56:14,271
目がくらむような
暑い日でした。
451
00:56:16,740 --> 00:56:23,513
文四郎さんは たった一人で
お父上を お迎えに…。
452
00:56:23,513 --> 00:56:35,592
♬~
453
00:56:35,592 --> 00:57:23,907
(蝉しぐれ)
454
00:57:23,907 --> 00:57:30,247
この真っ昼間に
死人を引き取れとは。
455
00:57:30,247 --> 00:57:34,251
死者を遇する作法を
心得ぬか。
456
00:57:41,258 --> 00:57:47,931
引き取りは 明け方か
日暮れ時か…➡
457
00:57:47,931 --> 00:57:52,936
いずれにしろ もっと 時を選んで
しかるべきではないのか。
458
00:57:56,273 --> 00:58:12,289
(蝉しぐれ)
459
00:58:31,408 --> 00:58:36,613
(木戸)おい! 牧 文四郎だな。
460
00:58:38,181 --> 00:58:40,484
はい。
461
00:58:48,258 --> 00:59:38,575
♬~
462
00:59:38,575 --> 00:59:41,912
(山根)おっ 来た! 文四郎だ!
おっ どこだ どこだ!?
463
00:59:41,912 --> 00:59:47,417
(山根)大八 引いてるぞ 大八。
(笑い声)
464
00:59:47,417 --> 01:00:23,220
♬~
465
01:00:23,220 --> 01:00:28,792
重そうだなあ。 荷物は何だ?
ハハハ…。
466
01:00:28,792 --> 01:00:32,662
(大橋)ほう 罪人の子が
死人を運んできたぞ。
467
01:00:32,662 --> 01:00:37,968
(田代)
罪人は 牧 助左衛門といったな。
468
01:00:37,968 --> 01:00:41,838
(山根)普請組を
御免になったそうじゃな。➡
469
01:00:41,838 --> 01:00:46,977
まあ こうなっては
お役を勤めることはできんがの。
470
01:00:46,977 --> 01:00:50,313
(笑い声)
471
01:00:50,313 --> 01:01:02,959
♬~
472
01:01:02,959 --> 01:01:09,099
しっかりせんか 牧 文四郎。
腰が ひょろついとるぞ!
473
01:01:09,099 --> 01:01:14,604
<「父を恥じてはならん
父を恥じてはならん」。➡
474
01:01:14,604 --> 01:01:16,940
蟻のごとく歩みつつ➡
475
01:01:16,940 --> 01:01:21,811
文四郎は 心の中で
そう つぶやいていました>
476
01:01:21,811 --> 01:01:38,228
♬~
477
01:01:38,228 --> 01:01:44,234
(荒い息遣い)
478
01:02:04,254 --> 01:02:08,258
(車輪が滑る音)
479
01:03:01,911 --> 01:03:08,918
(荒い息遣い)
480
01:03:25,135 --> 01:03:31,274
(荒い息遣い)
481
01:03:31,274 --> 01:03:42,285
(蝉の声)
482
01:03:48,291 --> 01:05:28,258
♬~
483
01:05:28,258 --> 01:05:33,430
<牧 助左衛門の死後
文四郎と母の登世は➡
484
01:05:33,430 --> 01:05:35,932
それまで住み慣れた家を追われ➡
485
01:05:35,932 --> 01:05:42,272
葺屋町の狭い長屋住まいを
命ぜられました>
486
01:05:42,272 --> 01:05:50,280
(雨音)
487
01:05:57,287 --> 01:06:13,303
♬~
488
01:06:25,248 --> 01:06:27,250
文四郎!
489
01:06:29,586 --> 01:06:32,889
文四郎は おるか!?
490
01:06:34,924 --> 01:06:39,429
逸平…。
久しぶりだな。
491
01:06:42,265 --> 01:06:47,136
今な 矢田さんのご妻女に会ったが
この長屋にいるのか?
492
01:06:47,136 --> 01:06:50,940
ああ…。 まあ 入れよ。
493
01:06:50,940 --> 01:06:54,777
母上。
(登世)はい。
494
01:06:54,777 --> 01:06:58,648
逸平が来てくれました。
495
01:06:58,648 --> 01:07:01,584
これは これは 小和田様。
496
01:07:01,584 --> 01:07:05,421
ご無沙汰いたしております。
いかがですか? お気持ちの方は。
497
01:07:05,421 --> 01:07:09,425
いくらか落ち着かれましたか?
498
01:07:09,425 --> 01:07:14,898
まだ とても…。
夢を見ているようで。
499
01:07:14,898 --> 01:07:16,933
そうでしょうな。
500
01:07:16,933 --> 01:07:21,771
実に 思いがけないことが
起こるものです。
501
01:07:21,771 --> 01:07:26,242
それにしても
家禄を半分以下に減らされ➡
502
01:07:26,242 --> 01:07:31,114
こんなボロ長屋に押し込めるとは
ご家老方も やりすぎですな 全く。
503
01:07:31,114 --> 01:07:37,854
いえ 助左衛門は
お家に盾ついた罪人ですから➡
504
01:07:37,854 --> 01:07:40,256
たとえ古くても
住むうちを下さり➡
505
01:07:40,256 --> 01:07:44,127
禄米を残していただいたのは
ありがたいと思っております。
506
01:07:44,127 --> 01:07:49,265
そのお気持ちで 新しい暮らしに
早く慣れることです。
507
01:07:49,265 --> 01:07:55,138
小和田様は ご出仕されて
ずんと大人になられましたこと。
508
01:07:55,138 --> 01:07:58,441
見違えるようですよ。
いやいや お恥ずかしい。
509
01:07:58,441 --> 01:08:04,247
あっ あの… これ 忘れてました。
田原屋の茶菓子です。
510
01:08:04,247 --> 01:08:07,884
ありがとうございます。 わざわざ。
511
01:08:07,884 --> 01:08:14,557
いえいえ 母です。
私の母が これをぜひ 母上にと。
512
01:08:14,557 --> 01:08:19,228
まことに どうも…。
母が申しておりました。
513
01:08:19,228 --> 01:08:21,564
我が家も 母一人 子一人。
514
01:08:21,564 --> 01:08:25,368
困ったことがありましたら
どうぞ ご遠慮なくと。
515
01:08:37,914 --> 01:08:43,219
おう こりゃ
足の踏み場もないな。
516
01:08:45,588 --> 01:08:51,461
その後 道場へは行ったか?
いや 全く行ってない。
517
01:08:51,461 --> 01:08:54,263
俺もな 勤めに追われて➡
518
01:08:54,263 --> 01:08:57,767
昨日 久しぶりにな
道場を のぞいてきた。
519
01:09:00,870 --> 01:09:05,375
いつの間にか
ちょっと面白い男が入ってるぞ。
520
01:09:05,375 --> 01:09:07,677
面白い男?
521
01:09:09,545 --> 01:09:16,052
と言うより 嫌な男と言った方が
いいかもしれんな。
522
01:09:16,052 --> 01:09:21,858
犬飼兵馬というそうだ。
聞いたことあるか?いや。
523
01:09:21,858 --> 01:09:26,062
父親が 江戸から国勤めに変わって
この春 帰ってきたらしい。
524
01:09:26,062 --> 01:09:29,899
その兵馬というやつ
俺たちと同い年なんだが➡
525
01:09:29,899 --> 01:09:32,802
これが強い。
空鈍流か?
526
01:09:32,802 --> 01:09:37,807
いや それは分からんが
俺は 軽く ひねられてしまった。
527
01:09:41,911 --> 01:09:47,083
俺だけじゃない 誰もかもだ。
だから 嫌なやつか。
528
01:09:47,083 --> 01:09:50,119
そうじゃない。 会えば分かる。
529
01:09:50,119 --> 01:09:54,824
ぞっとするような
冷たい目をした男だ。
530
01:09:54,824 --> 01:09:58,428
文四郎 この犬飼兵馬➡
531
01:09:58,428 --> 01:10:03,099
貴様の手ごわい相手に
なりそうだぞ。
532
01:10:03,099 --> 01:10:06,969
内密の話とは そのことか。
しっ!
533
01:10:06,969 --> 01:10:09,172
焦るな。
534
01:10:19,949 --> 01:10:24,620
少しな 事の子細が分かってきた。
535
01:10:24,620 --> 01:10:26,956
こたびの騒動が
お世継ぎを誰にするかで➡
536
01:10:26,956 --> 01:10:30,159
争われたことは知ってるな。
ああ。
537
01:10:35,131 --> 01:10:37,166
家中に 2つの勢力があって➡
538
01:10:37,166 --> 01:10:41,471
貴様の親父殿がくみした一派が
この争いに敗れてしまったわけだ。
539
01:10:41,471 --> 01:10:43,806
俺の親父のくみした一派とは?
540
01:10:43,806 --> 01:10:48,978
前の主席家老 横山又助様。
541
01:10:48,978 --> 01:10:53,649
反対派を指図したのが誰か
聞きたくないか?誰だ?
542
01:10:53,649 --> 01:11:00,256
親父殿の敵などと
意気込まんことだ。誰だ。
543
01:11:00,256 --> 01:11:03,292
里村左内様。
544
01:11:03,292 --> 01:11:07,096
次席家老のか?
主席家老だ。 既に。
545
01:11:09,432 --> 01:11:14,937
そうか…。
親父に腹切らせたのは…。
546
01:11:14,937 --> 01:11:18,274
そうか…。
しっ!
547
01:11:18,274 --> 01:11:28,284
⚟(読経)
548
01:11:28,284 --> 01:11:33,156
(読経)
549
01:11:33,156 --> 01:11:38,628
いや 馬鹿な話だがな
この俺に向かって➡
550
01:11:38,628 --> 01:11:41,964
「ここへは近寄らん方がいい」
などと言うやつが おるんでな。
551
01:11:41,964 --> 01:11:45,468
まっ 用心 用心。
552
01:11:45,468 --> 01:11:49,806
俺は反逆者の伜だからな。
その俺に近づいてるとなると…。
553
01:11:49,806 --> 01:11:52,608
怒るぞ!
554
01:11:54,977 --> 01:11:57,780
言いたいやつには
言わしておけば いいのよ。
555
01:12:04,587 --> 01:12:11,093
それより… 腹減ったな。
556
01:12:11,093 --> 01:12:18,267
(笑い声)
557
01:12:18,267 --> 01:12:30,580
(雨漏りの音)
558
01:12:34,617 --> 01:12:40,323
(打ち合う音)
559
01:12:57,306 --> 01:13:00,309
(兵馬)牧 文四郎か?
560
01:13:02,144 --> 01:13:06,949
犬飼兵馬だ。 お手合わせ願おう。
561
01:14:06,108 --> 01:14:08,110
まだだ!
562
01:14:21,924 --> 01:14:23,926
やあっ!
563
01:14:31,267 --> 01:14:33,569
やあ~っ!
564
01:14:39,141 --> 01:14:43,646
えい! えい! えい!
565
01:14:55,958 --> 01:14:58,260
(石栗)それまで!
566
01:15:03,566 --> 01:15:06,469
私闘は許さんぞ。
567
01:15:06,469 --> 01:15:11,774
私闘ではありません。
普通の試合です。
568
01:15:20,583 --> 01:15:39,935
♬~
569
01:15:39,935 --> 01:15:41,871
あっ! あっ!
570
01:15:41,871 --> 01:15:44,807
気を付けろ!
すいません。
571
01:15:44,807 --> 01:15:59,121
♬~
572
01:15:59,121 --> 01:16:04,093
ふく…。
おや まあ どうしたのですか?
573
01:16:04,093 --> 01:16:08,564
文四郎様は?
(登世)文四郎?➡
574
01:16:08,564 --> 01:16:14,236
文四郎が どうかしたのですか?
いらっしゃいますか?
575
01:16:14,236 --> 01:16:20,743
いえ 文四郎なら留守ですよ。
今日は 久しぶりに道場へ行って。
576
01:16:29,585 --> 01:16:31,520
ふく…。
577
01:16:31,520 --> 01:16:42,598
♬~
578
01:16:42,598 --> 01:16:44,533
ただいま戻りました。
579
01:16:44,533 --> 01:16:47,436
おふくに会いましたか?
おふく?
580
01:16:47,436 --> 01:16:51,607
小柳のふくさんですよ。
たった今 帰ったばかりですよ。
581
01:16:51,607 --> 01:16:55,277
その辺りで
出会いませんでしたか?
582
01:16:55,277 --> 01:16:58,114
ここに来てたんですか?
583
01:16:58,114 --> 01:17:03,385
それがね 「急に江戸へ
行くことになった」と➡
584
01:17:03,385 --> 01:17:05,721
挨拶に見えたのですよ。
江戸へ?
585
01:17:05,721 --> 01:17:09,592
明日 発つそうです。
586
01:17:09,592 --> 01:17:14,597
江戸のお屋敷の
奥勤めになったとかで。
587
01:17:17,233 --> 01:17:19,568
その話は あとにして
追いかけてみたら どうですか?
588
01:17:19,568 --> 01:17:22,238
まだ その辺に
いるかもしれませんよ。
589
01:17:22,238 --> 01:17:39,255
♬~
590
01:17:39,255 --> 01:17:43,425
すぐに 後を追ったのです。
591
01:17:43,425 --> 01:17:47,229
「江戸の屋敷の奥勤めになった」と
母に聞いて。
592
01:17:52,434 --> 01:17:58,140
しかし… もう 姿はなかった。
593
01:18:01,043 --> 01:18:09,752
なぜか お分かりでしたか?
なぜ会いに行ったか。
594
01:18:09,752 --> 01:18:11,754
いや…。
595
01:18:20,062 --> 01:18:23,399
江戸に行くのが嫌で…。
596
01:18:23,399 --> 01:18:26,735
あの時は母上様に➡
597
01:18:26,735 --> 01:18:32,541
「私を 文四郎さんの
お嫁にしてください」と➡
598
01:18:32,541 --> 01:18:35,244
頼みに行ったのです。
599
01:18:38,347 --> 01:18:44,153
でも そんなことは
とても言えませんでした。
600
01:19:12,047 --> 01:19:16,885
ハハハハッ。
元気そうではないか 文四郎。➡
601
01:19:16,885 --> 01:19:20,756
しかし 妙だな。
602
01:19:20,756 --> 01:19:25,394
謀反人の伜が のうのうと
生き延びておるとはのう。
603
01:19:25,394 --> 01:19:29,265
ご重役方も
ちと甘すぎるのではないか。
604
01:19:29,265 --> 01:19:32,067
貴様の親父がしたことを
考えれば➡
605
01:19:32,067 --> 01:19:36,872
伜のお前にも 腹を切らせて
しかるべきではないか!
606
01:19:43,245 --> 01:19:47,082
やめてくれ!
無益な争い事など したくない。
607
01:19:47,082 --> 01:19:50,753
おらっ!
608
01:19:50,753 --> 01:19:53,656
この~っ!
609
01:19:53,656 --> 01:20:15,611
♬~
610
01:20:15,611 --> 01:20:23,919
ふく… ふく… ふく…。
611
01:20:32,161 --> 01:20:37,866
暗い道を…
泣きながら家に戻ったのを➡
612
01:20:37,866 --> 01:20:41,637
忘れることができません。
613
01:20:41,637 --> 01:20:45,974
翌朝も そうでした。
614
01:20:45,974 --> 01:20:51,780
泣きながら…
泣きながら 江戸へ参りました。
615
01:20:59,822 --> 01:21:03,692
<ふくが
藩の江戸屋敷に奉公に出て➡
616
01:21:03,692 --> 01:21:09,498
1年半余りの時が
過ぎてゆきました。➡
617
01:21:09,498 --> 01:21:16,105
北国の長い冬も終わりに近づいた
3月の初め➡
618
01:21:16,105 --> 01:21:20,275
文四郎の家に 予期せぬ出来事が
起こりました。➡
619
01:21:20,275 --> 01:21:26,081
突然 主席家老 里村左内の使いが
訪ねてきたのです。➡
620
01:21:26,081 --> 01:21:30,619
それは 今夜 五ツ 夜8時に➡
621
01:21:30,619 --> 01:21:35,290
里村様の屋敷に出頭せよとの
口上でした>
622
01:21:35,290 --> 01:21:38,293
しかと承りました。
623
01:21:56,979 --> 01:22:04,086
母上。
何事でしょうね。
624
01:22:04,086 --> 01:22:11,960
さあ 何事か分かりませんが
今より悪いことも起こりますまい。
625
01:22:11,960 --> 01:22:15,597
どうか分かるものですか!
626
01:22:15,597 --> 01:22:20,769
そなたの話によれば 里村様は
助左衛門殿に腹切らせた➡
627
01:22:20,769 --> 01:22:24,640
張本人だと
言うではありませぬか!
628
01:22:24,640 --> 01:22:30,779
それは 逸平が言ったことです。
629
01:22:30,779 --> 01:22:35,117
確かなことではありません。
気休めは よしてください。
630
01:22:35,117 --> 01:22:38,921
いや そんな…。
631
01:22:41,890 --> 01:22:46,628
不吉な気がして
ならないのです。
632
01:22:46,628 --> 01:22:51,500
とにかく… 行ってみなければ
分からぬことです。
633
01:22:51,500 --> 01:22:55,637
あまり 気をもまれても
かえって。
634
01:22:55,637 --> 01:23:10,919
♬~
635
01:23:10,919 --> 01:23:15,257
<一体 何事か?
母を とりなしたものの➡
636
01:23:15,257 --> 01:23:20,596
文四郎も 大きな不安に
包まれておりました。➡
637
01:23:20,596 --> 01:23:25,100
父を含めて
家中13名が切腹した事件の➡
638
01:23:25,100 --> 01:23:27,936
最終処分が下される。➡
639
01:23:27,936 --> 01:23:32,808
「お家断絶 領外追放も
覚悟しなければならない」。➡
640
01:23:32,808 --> 01:23:36,278
そう 文四郎は思ったのです>
641
01:23:36,278 --> 01:24:04,072
♬~
642
01:24:04,072 --> 01:24:06,909
<あの男が また来ている。➡
643
01:24:06,909 --> 01:24:10,779
文四郎は不快感に襲われました。➡
644
01:24:10,779 --> 01:24:14,650
父と共に非業の死を遂げた
道場の先輩➡
645
01:24:14,650 --> 01:24:20,455
矢田作之丞の妻 淑江と
名も知らぬ その若い武士は➡
646
01:24:20,455 --> 01:24:24,259
既に 長屋中のうわさに
なっていました>
647
01:24:50,953 --> 01:24:55,958
(竹中)牧 文四郎殿 参られました。
⚟(里村)通せ。
648
01:25:16,912 --> 01:25:23,085
牧 文四郎 お招きにより
参上いたしました。
649
01:25:23,085 --> 01:25:26,088
(里村)顔を上げて 楽にいたせ。
650
01:25:29,958 --> 01:25:33,595
(尾形)これが助左衛門の伜か。
651
01:25:33,595 --> 01:25:37,432
いや なかなか
骨格たくましい若者になった。
652
01:25:37,432 --> 01:25:40,335
(里村)子供は すぐに育つ。
653
01:25:40,335 --> 01:25:44,940
我々のように
先の見えた年寄りとは違う。
654
01:25:44,940 --> 01:25:49,811
(尾形)ハッハッハッハッハッ。
(里村)牧。
655
01:25:49,811 --> 01:25:51,813
はっ。
656
01:25:51,813 --> 01:25:54,816
わしが 左内だ。
657
01:25:58,954 --> 01:26:01,556
どうした?
658
01:26:01,556 --> 01:26:04,226
いえ…。
659
01:26:04,226 --> 01:26:13,235
♬~
660
01:26:19,241 --> 01:26:21,743
<文四郎の家禄は 元に戻され➡
661
01:26:21,743 --> 01:26:26,415
住まいが組屋敷に変わります。➡
662
01:26:26,415 --> 01:26:29,251
ふくは 藩主のお手がつき➡
663
01:26:29,251 --> 01:26:32,287
国元に帰って
お子を出産しますが➡
664
01:26:32,287 --> 01:26:38,593
世継ぎ争いの陰謀に
巻き込まれてしまいます。➡
665
01:26:38,593 --> 01:26:45,267
道場主から 無敗の技 秘剣 村雨を
伝授すると伝えられた文四郎。➡
666
01:26:45,267 --> 01:26:52,274
そのためには 試合で 城下一の
剣士に勝たねばなりません>
667
01:26:53,942 --> 01:26:59,281
<文四郎は ついに
父 切腹の真相を知ります。➡
668
01:26:59,281 --> 01:27:03,552
助左衛門は 村の代官の不正を
正そうとして➡
669
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里村家老に葬られたのです>
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01:27:17,065 --> 01:27:20,102
<どうぞ ご期待ください>
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01:27:20,102 --> 01:27:31,580
♬「もしも 私
生きているのが」
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01:27:31,580 --> 01:27:37,919
♬「一年だけなら」
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01:27:37,919 --> 01:27:46,428
♬「春の息吹を
うけたら すぐに」
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01:27:46,428 --> 01:27:57,939
♬「もしも 私
生きているのが」
675
01:27:57,939 --> 01:28:04,045
♬「一瞬だけなら」
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01:28:04,045 --> 01:28:12,554
♬「うまれたままの
心と姿」
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01:28:12,554 --> 01:28:18,727
♬「花を抱きしめ
躍りだすのよ」
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01:28:18,727 --> 01:28:24,533
♬「あなたと一緒に」
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01:28:24,533 --> 01:28:30,338
♬「花を抱きしめ
躍りだすのよ」
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01:28:30,338 --> 01:28:37,045
♬「あなたと一緒に」
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