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♬「山へ行こう 次の日曜」
♬「昔みたいに 雨が降れば」
♬「川底に沈む橋越えて」
♬「胸まである 草分けて」
♬「ぐんぐん進む背中を」
♬「追いかけていた」
♬「見失わないように」
♬「抱えられて」
♬「渡った小川」
♬「今はひらり」
♬「飛び越えられる」
♬「一緒にね いろんな話ししよう」
♬「晴れたらいいね 晴れたらいいね」
♬「晴れたらいいね」
1人になれる時間が欲しいと 前から思っていた ゆき子は
ワンルームを借りてしまいました。
しかし 驚いたわねえ。
誰にも ないしょにしといて。 家族にも言ってないし。
春子や町子にも とりあえず秘密にしといて。
ホントは 私にも 言いたくなかったんでしょ?
まあね。 でも ちゃんとした保証人 立ててくれって言われて
礼子しか思い浮かばなかった。
洋一さんの名前で借りれば 簡単なのよ。
ねえ 家庭の主婦なんて 夫がいないと何の意味もないのね。
社会的にはね。 だけど 月7万の家賃 大丈夫?
私の貯金もあるし 月々のお小遣いも 少しはあるし。
1年ぐらいなら住める。 敷金 礼金は?
6つ。 42万か…。
もうね ここはもう 徹底的に 私好みのインテリアにするの。
カーテンも すてきなのにしたいし
この床に 大きなクッション置いてね 座るんだ。
あ~。
あ~! フフン。
フローリングのリビングって 夢だったのよね~。
しかし 思い切ったことしたもんよね。
家族に秘密で これだけのことして。
普通の主婦はね やりたくても勇気がないわよ。
フフン 分かってる。
だけどさ そこのキッチンのところに しゃれた外国製のコーヒーカップ並べて
毎日1時間でいいの。 1人きりで コーヒー飲みたい。
そうすれば 家族に うんと優しくなれる気がするんだ。
あなた 洋一さんと うまくいってないんじゃないの?
あ… 普通よ。 仲よくもないし悪くもない。
今 けんかして 寝室別だけど。
あらら。 まあさ 礼子みたいに いい仕事して
社会的にも保証人として認められる女には 分かんないわよ。
普通の主婦の 一人になりたい願望なんて。
…ったく よく言うじゃない。
結婚する時 ブイサイン出してたでしょ。 あなたも春子も町子も。
で 何? 私宛ての年賀状に 毎年 書いてきてたじゃない。
「今年こそ 王子様が現れると いいですね」ってか?
あなたたちがね そうやって はしゃいでいる間
私は ず~っと一人で 仕事の地盤作ってきたのよ。
何が今更 一人になりたい願望よ。
あら あなたこそ よく言うわよ。
しゅうと しゅうとめに仕えることに 比べたら
一人で仕事の地盤作るなんて 軽いもんよ。
それを承知で結婚したんでしょ?
だったら最後まで 夫に責任を取れっていうのよ。
こんなとこ借りるよりも 寝室を一緒にする努力の方が先じゃない?
独身の女は甘いわよ。 そりゃ 好きで結婚したわよ。
でも 毎日暮らしてればね 飽きるの。 うんざりするの。
これは 理屈じゃないのよ。
そ。
あの~ 今日 そちらに うちの女房 伺っておりませんでしょうか?
明子が家を出て 2日がたちました。
もちろん 何の音沙汰もなく 梅若は 心当たりに確かめるのですが
どこにもいません。
ハンコ。 うん。領収書。
うん うん。そういった事務的な こまごましたものはね
え~と たんすの一番上の引き出しね。 引き出しね はい。
それから… あ それからね
火事なんかあった時に 持って逃げてほしいのは
押し入れの中に入ってる赤いトランク。 赤いトランク はい。
ありがとうございました。 ありがとう お世話さまでしたね。
どうも。 とりあえずは そんなところかな。
うん 分かった。 そいじゃ 見つからないうちに
そろそろ帰ろうかな。 あ そうだね。
あ ちょっと!
みんな 元気にしてる? うん 元気。
梅響も おとなしく 毎日 竜太先生んとこ通ってるし
寒風山の股割りも 市子に教わって いい線いきだした。
あ そう。 ほかのみんなは?
ほかって… うん 紅梅山なんかも めちゃくちゃ元気だし
梅ノ川 もう 絶好調。 あ そう。
ほかのみんなは?
ほか? あ 行司の正浩 あの子 真面目でしょう。
毎日 相撲文字の練習してる。 あの子はね 同期の中で…。
私がいなくて さみしいなんて言ってる人 誰もいないの?
いない。
あ 一人いた。 誰?
言わせるの? 分かってるくせに。 分かんないわよ 誰よ。
エディ。 日本のママがいないって さみしがってる。
あとは全員 元気モリモリ ちゃんこバカスカ
早く来い来い九月場所って感じかな。 あ そう。
じゃ 帰るわ。 あ そうそう それからね
これ 子供たちに手紙書いたの。 渡しといて。
それじゃね。
おかみさん。ん? ちょっ ちょっ ちょっ ちょっ…。
ん? おかみさん
うちのお姉ちゃんと よく似てる。 何が?
思ってること なかなか言わないから。 何も思ってないもの。
私なら 真っ先に聞くけどな。
「親方どうしてる? 親方 私がいなくて さみしがってな~い?」って。
やめてよ。
親方ね 全然元気ないよ。
毎日 あちこちに電話して おかみさんの居場所聞いてる。
ホント?
それで? もう 毎日しょんぼりしてる。
目なんか どよ~んとしちゃって。
あれはね 脳天が腐って 流れて 完全になくなっちゃった顔だよ。
もともと少し流れ気味なのよ。 私がいないと
何にもできないんだから あの人。 おかみさん もういいでしょ?
戻っておいでよ。 理由もないのに帰れないわ。
理由なんかなくたっていいでしょ 夫婦なんだから。
「ごめんなさいね 戻ってきたわ」って それで済むでしょ。
今回は いろいろあってね それじゃ済まないの。
私はさ お姉ちゃんと顔合わせなくていいから
助かるけどさ。 みのりちゃん どうしてる?
うん 友達はね 竜太先生が好きなんじゃなくて
結婚したいだけじゃないかって言うの。 考えてみりゃ
簡単に私に言ったのよね。 「もう身を引くわ」みたいなこと。
ホントに好きなら もう少し粘るでしょ。
いくら姉妹で争うのが みっともなくたって…。
みのりちゃんね 竜太先生のこと 本気だと思うのよ。
でもね 結婚に対して ひらりちゃんより余裕がなくて
ひらりちゃんより現実的に考えてんのは 確かよね。
だから 竜太先生に代わる人が現れればいいの。
やっぱり そうか。 でも 私と よく似ててね
恋愛が下手なタイプでしょ。 だから 誰かが紹介するとかしないとね。
でも おかみさんは 親方と恋愛したんでしょ?
ううん 嵐月って うちのお店で 紹介されただけよ。
あとは 親方が強引に 私のこと かっさらっちゃっただけ。
あっ どうも。
そういう 心の中言えない人には そういう強引な男の人がいないとね。
そいじゃ 帰る。 ね!
ありがとうございました!
おかみさん!
戻っておいで。
親方が心配してるって分かっただけで いい気分。
連れ戻しに来るまで戻らない。
親方だって プライドあるもん。 連れ戻しになんか来ないよ。
来る来る。 あの人の気性は 私が一番よく知ってるんだから。
それに 私の方から戻ると 今後
全部 親方の言うこと 聞かなきゃならなくなるから。
ずっと迎えに来なかったら どうするの?
その時は ひらりちゃん さりげなく ホテルにいるって そう言って。
ごめ~ん! おかみさんと会っててさ 遅くなっちゃった。
よいしょ 今日は休講だな。
ほ~ら 竜太先生の好きな から揚げ弁当買ってきましたよ~だ。
よいしょ ほら。
わっ でけえ。
アハッ どうぞ。 おお。 まあ食ってやるか。
頂きます。 どうぞ。
頂きます。
あのさ 竜太先生のお友達で 結婚したがってる人いない?
フン いるよ。 強引な人がいいんだけど。
何だ お前 結婚してえのか。
私じゃないよ お姉ちゃん。 ああ。
あ! みのりちゃんとなら ぴったりのやついるよ。
優秀な外科医でさ。 見た目も まあまあ?うん かなりの線。
その人 お姉ちゃんに 紹介してあげられないかな。
お姉ちゃんならね きっと いいお嫁さんになれると思うのよ。
そうか いいかもしんねえな。
ホント? 話してみてくれる? うん 分かった。
ありがとう~! じゃあ 先生 これも これも食べて。
これもいいから 私。お前 無理すんなよ。 ホント ホント ホント…。
一本でも しわの少ないうちに ウエディングドレス着たいわ。
あればっかは 似合う年ってのがあんのよねえ。
あんたみたいに 43の男にほれる っていうのは いいわよね。
披露宴で 27のあんたが 若いねって言われるんだからさ。
でも 29の男と結婚してごらんよ。
必ず もっと若いのいなかったのかって 思われるよ。
情けないよねえ 女は男の年で決められんだから。
ま 披露宴に こぎ着けられるかが先決よ。 銀次さん 私に関心ないもん。
あんたも みのりも大変よね。 私みたいに 何にもないのが
幸せかもね。
どうしたのよ。 何 何 何?
竜太先生から電話があってね 「結婚のことで話がある」って。
え~! 私 もう だまされないと思って聞いたの。
うん。 「結婚の話って 何ですか?」って。
そしたらね 「電話じゃ詳しく話せないけれども
乱暴者で強引な外科医と結婚する意志は ありますか?」って。
それって…。 プロポーズじゃない?
分かんないけど はっきり そう言った。 だから 私 「はい」って返事した。
うそみたい…。
私 今夜 彼の診療所に 寄ることになってんの。
詳しいことは 明日 話すから。 ね!
何だ おい どうした!? あ… はい。大丈夫?
大丈夫です。 あ… お待たせしました。
座って。 はい。
座って。
ごめんね 疲れてるとこ。 いえ 大事なことですから。
はい。
一番左の男 どうかな?
へ? よかったら 会ってみない?
小林っていうんだけど 本人は みのりちゃんに会いたいって。
私に お見合い紹介してくれる ってことですか?
フフン そんな大げさなもんじゃないよ。
今日 ひらりちゃんが 「お姉ちゃんには 強引な男が合う」って言ってね。
ああ見えても あいつ お姉さん思いだね。 心配してたよ 君の結婚。
返事は今じゃなくていいけど まあ 一応考えてみてよ。
せっかくですけど お断りします。 私 今 仕事が面白いものですから。
おい 大丈夫か? 大丈夫です!
大丈夫ですから。
感動するよなあ 寝冷えをしないようにって。
みんなのこと 心配してたもん。 「親方の言うことを聞いて
頑張ってください」か。
ちょっ…。
親方! 親方にも今に こう 分厚い 特製が届きますよ。
そうですよ! 元気出してくださいよ!
いらん! あんなやつ。
親方! 俺の読んでみます? 親方 俺のも!
そうか? よし じゃあ見せてみろ。
読んでください。
こんばんは。 こんばんは。
ひらり ちょっと。 え?
痛っ 何?
どうしたのよ。
どこまで恥かかせんのよ!
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