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1
00:00:39,230 --> 00:00:42,510
風の中に➡
2
00:00:42,510 --> 00:00:46,440
土のにおいに➡
3
00:00:46,440 --> 00:00:52,180
もういちど 日本を見つける。
4
00:00:52,180 --> 00:00:57,190
私を見つける。
5
00:01:10,870 --> 00:01:16,170
夏の終わりの東京・西小山。
6
00:01:16,170 --> 00:01:23,750
一実屋は 中村大輝さんの
祖父母が開いた果物屋です。
7
00:01:23,750 --> 00:01:32,250
昭和初期から にぎわってきた
商店街の入り口に 昔ながらの店構え。
8
00:01:34,760 --> 00:01:39,300
果物屋さんって
今 世間から消えてるイメージなんで➡
9
00:01:39,300 --> 00:01:41,230
どうしても それを残したいんですよね。
10
00:01:41,230 --> 00:01:45,100
八百屋さんとは やっぱ違う。
スーパーとは やっぱ違う。
11
00:01:45,100 --> 00:01:50,440
祖母の千鶴子さんは
ブドウの産地 山梨の生まれ。
12
00:01:50,440 --> 00:01:54,940
3世代で 店を切り盛りしています。
13
00:01:54,940 --> 00:01:57,950
もう65年で ここで。
14
00:01:59,680 --> 00:02:03,450
はい 甘いよ。 ちょっとした傷ですから。
味はいいですよ。
15
00:02:03,450 --> 00:02:05,390
この間も これで買って
すごい おいしかった。
16
00:02:05,390 --> 00:02:08,389
おいしいよね。
うちの桃 おいしいんですよ。
17
00:02:19,270 --> 00:02:23,870
店の前の草むらに 千鶴子さんの宝物が。
18
00:02:30,040 --> 00:02:34,550
(千鶴子)ほら スイカだよ。 ね。
19
00:02:39,090 --> 00:02:42,930
(大輝)誰かが そこで食べてたんですよ。
そしたら 多分それでできた。➡
20
00:02:42,930 --> 00:02:45,960
種 ペッてやったやつで
できたんじゃないかな。
21
00:02:45,960 --> 00:02:49,160
こうやって かぶして… かぶしておく。
22
00:02:51,530 --> 00:02:55,100
こうやって
こうやってたら分かんない。 アハハハ。
23
00:02:55,100 --> 00:02:59,970
暑い盛りを過ぎても 人気は夏の味。
24
00:02:59,970 --> 00:03:04,650
これ おっきいやつです。
スーパーサイズ。 一番大きいサイズ。
25
00:03:04,650 --> 00:03:10,450
父親の実家が桃農園なんで
そこの周りの畑の人から 産地直送で。➡
26
00:03:10,450 --> 00:03:12,450
で 今度…
27
00:03:15,290 --> 00:03:20,630
店先に感じる 季節の移り変わり。
28
00:03:20,630 --> 00:03:28,040
夏から秋へ。
果物に秘められた それぞれの物語。
29
00:03:28,040 --> 00:03:31,540
山梨県勝沼の収穫祭。
30
00:03:31,540 --> 00:03:33,910
しゃあ~!
31
00:03:33,910 --> 00:03:36,780
ブドウを手にした仏さま。
32
00:03:36,780 --> 00:03:38,780
これは…
33
00:03:40,420 --> 00:03:42,880
山形には アケビの畑。
34
00:03:42,880 --> 00:03:46,490
お彼岸に独特の風習が。
35
00:03:51,730 --> 00:03:57,330
果物を巡る甘い旅を ご一緒に。
36
00:03:57,330 --> 00:04:12,350
♬~
37
00:04:12,350 --> 00:04:27,360
♬~
38
00:04:27,360 --> 00:04:31,430
♬~
39
00:04:33,970 --> 00:04:37,940
さて 秋の果物といえば…。
40
00:04:37,940 --> 00:04:40,070
梨。
梨?
41
00:04:40,070 --> 00:04:42,010
豊水。
豊水?
うん。
42
00:04:42,010 --> 00:04:43,950
豊水と あきづきで➡
43
00:04:43,950 --> 00:04:47,820
豊水の方が ちょっと表面に
ざらつきがあるような梨。
44
00:04:47,820 --> 00:04:50,850
夏から秋に旬を迎える梨。
45
00:04:50,850 --> 00:04:55,090
今の人気は 甘みの強い赤梨。
46
00:04:55,090 --> 00:05:00,190
一方 青梨の代表といえば
二十世紀です。
47
00:05:08,440 --> 00:05:13,310
昭和の時代に愛された 甘酸っぱい青梨。
48
00:05:13,310 --> 00:05:19,810
懐かしい二十世紀梨は
どこへ行ったのでしょうか。
49
00:05:23,750 --> 00:05:28,120
梨の産地 鳥取県湯梨浜町。
50
00:05:28,120 --> 00:05:33,700
東郷池を囲む丘陵に 梨畑が。
51
00:05:33,700 --> 00:05:37,070
関東では
あまり見かけない二十世紀梨も➡
52
00:05:37,070 --> 00:05:40,870
西日本では 根強い人気があります。
53
00:05:42,540 --> 00:05:47,280
山のてっぺんに梨畑を持つ 山田さん夫妻。
54
00:05:47,280 --> 00:05:49,910
会社勤めの隆雄さんに代わって➡
55
00:05:49,910 --> 00:05:55,080
嫁いだ博子さんが
先代から畑を継ぎました。
56
00:05:55,080 --> 00:05:59,750
隆雄さんの定年後は 夫婦で梨作り。
57
00:05:59,750 --> 00:06:03,930
問題は 棚の高さです。
58
00:06:03,930 --> 00:06:05,860
背の高いところは
何べん入ってもええけど➡
59
00:06:05,860 --> 00:06:08,860
あんなとこは もう 一回入ったら
もう やだけんね。
60
00:06:14,000 --> 00:06:15,940
(博子)アッハハハハ。
61
00:06:15,940 --> 00:06:19,880
(取材者)上に出てますよ。
アハハハハッ。
62
00:06:19,880 --> 00:06:25,110
(博子)肩まで行かないでしょう。
ハハハハ。 それで どうしてもなあ。
63
00:06:25,110 --> 00:06:28,350
博子さんに合わせた低い棚。
64
00:06:28,350 --> 00:06:32,650
梨が ずしりと熟すと
更に下へ。
65
00:06:37,860 --> 00:06:39,860
(隆雄)ああ もう。 ちょっと…
66
00:06:41,830 --> 00:06:46,570
風や雨に当たると
アザができる二十世紀梨。
67
00:06:46,570 --> 00:06:51,110
春と初夏 二重の袋がけが必要です。
68
00:06:51,110 --> 00:06:53,140
(博子)今年わりかしアザが
こうやってね➡
69
00:06:53,140 --> 00:06:55,310
ちょいと
アザというか アレが。➡
70
00:06:55,310 --> 00:06:58,010
この青いとこがいいんですよ
二十世紀のね。
71
00:06:59,680 --> 00:07:02,180
(博子)みんな顔が違うの 梨の顔が。
72
00:07:02,180 --> 00:07:08,620
子育てと一緒です 梨作りもね。
だから かわいいですが とっても。
73
00:07:08,620 --> 00:07:11,530
やっぱ 二十世紀は値打ちがあるけど
手間がかかって➡
74
00:07:11,530 --> 00:07:17,000
技術的にも やっぱり高度な技術を
要するんで。 大変は大変だけど。
75
00:07:17,000 --> 00:07:20,640
だけど いいものができると
うれしいんですよね。➡
76
00:07:20,640 --> 00:07:25,940
皆さんに 全国の方に食べて頂きたいから
この おいしい梨をね。
77
00:07:27,440 --> 00:07:31,950
19世紀末に苗木が発見された
新しい梨は➡
78
00:07:31,950 --> 00:07:38,520
「新世紀の王者になる」という願いを込めて
その名が付けられました。
79
00:07:38,520 --> 00:07:46,430
二十世紀梨は 発見から15年後に
鳥取でも栽培が始まります。
80
00:07:48,100 --> 00:07:52,900
今年116歳になる 二十世紀梨。
81
00:07:52,900 --> 00:07:55,670
これがね。
82
00:07:55,670 --> 00:07:59,570
2メーターありますよ これ
幹回りが。 2メーター。
83
00:08:01,210 --> 00:08:03,810
(笠見)きれいでしょう?
84
00:08:10,890 --> 00:08:16,020
滑らかな味わいは
登場と同時に 一世をふうび。
85
00:08:16,020 --> 00:08:20,860
湯梨浜町でも
斜面を切り開いて 次々と梨畑が。
86
00:08:20,860 --> 00:08:23,730
(笠見)作業はしにくいわな
平たんに比べたらね。
87
00:08:23,730 --> 00:08:29,140
けど できる品物がいいだな 果物が。
水はけがようて。
88
00:08:30,840 --> 00:08:35,740
戦時中
果物は 不要不急のぜいたく品に。
89
00:08:44,190 --> 00:08:47,790
けど まあ なんか隠れて➡
90
00:08:47,790 --> 00:08:51,060
梨を残しといて
助かったという うちもあるし。
91
00:08:51,060 --> 00:08:53,060
ハハハハ ハハハハ…。
92
00:08:54,730 --> 00:08:56,760
二十世紀梨の出荷は➡
93
00:08:56,760 --> 00:09:01,100
8月から9月にかけての
僅か3週間。
94
00:09:01,100 --> 00:09:06,810
選果場に
一日36万個が集まります。
95
00:09:08,510 --> 00:09:11,410
暑い暑い もう。 暑い。
96
00:09:11,410 --> 00:09:14,350
梨作りは古株の博子さん。
97
00:09:14,350 --> 00:09:18,850
梨の等級を仕分ける
チーフを任されています。
98
00:09:20,620 --> 00:09:23,890
一方 隆雄さんは 今日も畑に。
99
00:09:23,890 --> 00:09:27,230
うい。 あ 腰いてぇ。
100
00:09:27,230 --> 00:09:29,160
定年後 隆雄さんは➡
101
00:09:29,160 --> 00:09:34,970
梨作りの講座に 11年通って
栽培を学びました。
102
00:09:34,970 --> 00:09:38,640
大して 技術も何にも知らんなと。
103
00:09:38,640 --> 00:09:41,980
博子さんに聞くのは しゃくに障るし。
104
00:09:41,980 --> 00:09:47,720
男のプライドでしょうな。 ハハハハッ。
105
00:09:47,720 --> 00:09:53,050
昔は
うちの博子ちゃんって言ってましたよ。
106
00:09:53,050 --> 00:09:57,260
今は 少し敬意を払って
博子さん。 フフッ。
107
00:09:57,260 --> 00:10:00,060
今日は 赤梨も収穫。
108
00:10:00,060 --> 00:10:06,400
二十世紀梨に比べて 酸味がありません。
109
00:10:06,400 --> 00:10:10,270
うまいなあって感じるのは 二十世紀。➡
110
00:10:10,270 --> 00:10:13,580
これは ただ甘いっていうだけで。
111
00:10:13,580 --> 00:10:16,280
若いもんは この方がええって言うし。
112
00:10:17,980 --> 00:10:24,090
二十世紀の梨畑に
若い借り手が現れました。
113
00:10:26,520 --> 00:10:31,990
会社勤めを辞めて 故郷で
梨作りを始めました。
114
00:10:31,990 --> 00:10:35,300
師匠と弟子みたいな関係ですね。
115
00:10:39,740 --> 00:10:41,670
(笑い声)
116
00:10:41,670 --> 00:10:44,910
やめとけっていうふうにも
言われたんですけど。
117
00:10:44,910 --> 00:10:49,710
同僚たちに食べてもらったら
ものすごい評判が良くて➡
118
00:10:49,710 --> 00:10:51,950
こんな おいしい梨
食ったことないっていうふうに。
119
00:10:51,950 --> 00:10:55,820
それまで 当たり前に食っとった
その二十世紀梨が➡
120
00:10:55,820 --> 00:10:59,420
こうやって 人に喜んでもらえるんだな
っていうのが分かって。
121
00:11:01,120 --> 00:11:04,590
同じ たまたま山田でしてね。
122
00:11:04,590 --> 00:11:09,000
山の畑の¼を貸しました。
123
00:11:10,530 --> 00:11:15,670
作りたいのは 手間のかかる二十世紀梨。
124
00:11:15,670 --> 00:11:20,780
後継者のいない2人の うれしい隣人です。
125
00:11:23,540 --> 00:11:27,620
この辺を採ろうか。
これか それ。
126
00:11:27,620 --> 00:11:30,520
きれいだ。
127
00:11:30,520 --> 00:11:34,720
はい。 採れました。
採れました。
128
00:11:40,100 --> 00:11:44,430
2人で分け合う 甘酸っぱい味。
129
00:11:44,430 --> 00:11:48,140
何世紀になっても。
130
00:11:51,310 --> 00:11:56,210
九州の天草諸島 下島。
131
00:11:59,910 --> 00:12:03,520
潜伏キリシタンの
文化を伝える漁師町では➡
132
00:12:03,520 --> 00:12:07,720
土産物屋の店先に イチジクが。
133
00:12:07,720 --> 00:12:10,020
天草では 南蛮柿。
134
00:12:12,230 --> 00:12:16,700
ここは 発祥の地ってなってますから。
135
00:12:16,700 --> 00:12:20,630
このイチジクは
明治時代に アメリカから来た➡
136
00:12:20,630 --> 00:12:23,140
ドーフィンという品種。
137
00:12:23,140 --> 00:12:27,010
今は これが
イチジクの主流です。
138
00:12:27,010 --> 00:12:30,250
しかし 天草の南蛮柿は➡
139
00:12:30,250 --> 00:12:36,750
戦国時代に
ポルトガルから来たと伝わります。
140
00:12:41,560 --> 00:12:47,360
信長の時代 ヨーロッパへの少年使節を
引率したメスキータ神父は➡
141
00:12:47,360 --> 00:12:50,300
天草に 6年滞在しました。
142
00:12:50,300 --> 00:12:53,300
その手紙には…。
143
00:13:04,110 --> 00:13:06,850
森 亨さんが育てているのは➡
144
00:13:06,850 --> 00:13:11,550
しぶとく生きてきた
昔ながらのイチジク。
145
00:13:13,250 --> 00:13:17,360
蓬莱柿という品種です。
146
00:13:19,960 --> 00:13:24,670
(森)これが いわゆる南蛮柿なので。
147
00:13:28,970 --> 00:13:31,670
(森)だんだん なくなって
ほぼ今ないんですよ。➡
148
00:13:31,670 --> 00:13:36,080
せっかくですね 天草に伝わった
イチジクっちゅうとが廃れてしまうと➡
149
00:13:36,080 --> 00:13:39,310
ちょっと悲しいかなと思って。➡
150
00:13:39,310 --> 00:13:45,750
そやけん まあ 自分んとこだけでも
残せていけたらなあって。
151
00:13:45,750 --> 00:13:50,290
7年前 運送業から転職した森さん。
152
00:13:50,290 --> 00:13:56,100
耕作放棄地を借りて
独学で 南蛮柿を作り始めました。
153
00:13:56,100 --> 00:13:59,100
(森)いまいちですね。➡
154
00:13:59,100 --> 00:14:04,770
誰に教わるって その
作ってる品種が違うので。➡
155
00:14:04,770 --> 00:14:11,350
収穫量は今年は多かやろ? って
先輩が言われても 僕 少ないって…。
156
00:14:11,350 --> 00:14:15,850
森さんのこだわりは 自然栽培の南蛮柿。
157
00:14:15,850 --> 00:14:22,920
農薬も動物性堆肥も使わず
下草には ハーブを植えています。
158
00:14:22,920 --> 00:14:25,790
アップルミントです。
アップルミント 匂いが強いので➡
159
00:14:25,790 --> 00:14:29,260
タヌキが来なくなりましたよね。
160
00:14:29,260 --> 00:14:32,600
収穫は 完熟ぎりぎり待ってから。
161
00:14:32,600 --> 00:14:36,370
(森)開きすぎて
ひょっとしたら もう あしたの朝には➡
162
00:14:36,370 --> 00:14:40,240
ダメになっとるかもしれんですけど。➡
163
00:14:40,240 --> 00:14:44,250
う~ん。
あしたの朝まで置いとってみましょう。
164
00:14:45,980 --> 00:14:50,820
一般に売られるドーフィンより
実のつきが少ない南蛮柿。
165
00:14:50,820 --> 00:14:57,330
皮が薄く 日もちもしないので
栽培する農家は ごく僅か。
166
00:14:58,990 --> 00:15:05,570
(森)触るだけで 皮がつるんと
破けるとですよ。 熟したやつはですね。
167
00:15:05,570 --> 00:15:09,000
完熟 やっぱ 何でもおいしいので。
168
00:15:09,000 --> 00:15:13,910
採ったら すぐに
注文先に送ります。
169
00:15:15,580 --> 00:15:17,950
新米農家の森さん。
170
00:15:17,950 --> 00:15:20,850
南蛮柿でも収穫量を稼ごうと➡
171
00:15:20,850 --> 00:15:25,690
丘の上に 畑を切り開きました。
しかし…。
172
00:15:25,690 --> 00:15:28,720
(森)ここは実際に
実が あんまり なってないので。➡
173
00:15:28,720 --> 00:15:35,260
どうしたもんかな~って。
う~ん 考えてますよね。➡
174
00:15:35,260 --> 00:15:38,670
何で… 原因が分からないです。
175
00:15:38,670 --> 00:15:42,870
はかない抵抗 育たない果実。
176
00:15:42,870 --> 00:15:47,780
まだまだ勉強不足ですよね。
177
00:15:55,420 --> 00:16:01,190
森さんの農業のきっかけは
アトピーに苦しむ 一人息子でした。
178
00:16:01,190 --> 00:16:05,660
最初は
無農薬の野菜とハーブも。
179
00:16:05,660 --> 00:16:11,470
息子の症状が落ち着いてから
南蛮柿だけの農家へ。
180
00:16:13,100 --> 00:16:17,000
作業場には
日本にイチジクを持ってきたという➡
181
00:16:17,000 --> 00:16:20,310
メスキータ神父の手紙が。
182
00:16:20,310 --> 00:16:24,950
秀吉の禁教令で 神父は天草から去り➡
183
00:16:24,950 --> 00:16:27,720
ヨーロッパに伴った少年たちも➡
184
00:16:27,720 --> 00:16:33,150
一人は 信仰を捨て
一人は 処刑され…。
185
00:16:33,150 --> 00:16:37,560
イチジクだけが 天草に残りました。
186
00:16:39,030 --> 00:16:44,160
これが うちにかかってる しめ縄です。
187
00:16:44,160 --> 00:16:48,000
季節外れの しめ縄。
188
00:16:48,000 --> 00:16:51,870
(森)ずっと1年間 飾りっぱなしです。
189
00:16:51,870 --> 00:16:55,740
キリシタン弾圧があった時に➡
190
00:16:55,740 --> 00:16:59,550
うちは キリシタンではありませんよ
という合図で➡
191
00:16:59,550 --> 00:17:02,150
ずっと しめ縄を
飾ってるっていうふうな。
192
00:17:08,890 --> 00:17:14,300
今も続く風習は ひそかな抵抗の記憶。
193
00:17:16,000 --> 00:17:19,300
おはようございま~す。
194
00:17:19,300 --> 00:17:23,170
森さんが 冬に
せんていを手伝っている岡村家は➡
195
00:17:23,170 --> 00:17:27,040
江戸時代以前から続く旧家です。
196
00:17:27,040 --> 00:17:29,780
(岡村)今年は早いです なるのが。
(森)あ そうですか。
197
00:17:29,780 --> 00:17:33,050
ただ ⅓ぐらいですね。
大きさがですね。
198
00:17:33,050 --> 00:17:34,980
雨が多いもんだから。
199
00:17:34,980 --> 00:17:37,890
中庭に 立派なイチジク。
200
00:17:37,890 --> 00:17:40,260
(岡村)食べてみませんか?
いっぱい なりよる。
201
00:17:40,260 --> 00:17:42,190
(森)そうですね。
202
00:17:42,190 --> 00:17:45,590
イチジクの木はですね
もう一本あったんですよ。
203
00:17:45,590 --> 00:17:48,800
そっちは イチジクって
うちのじいさん 言いよったんですよね。
204
00:17:48,800 --> 00:17:52,200
これだけ イチジクじゃなくて
南蛮って言いよったんです。➡
205
00:17:52,200 --> 00:17:54,800
普通のイチジクと 型が違うんですよね。
206
00:17:54,800 --> 00:17:57,200
(森)この辺りが 紫色なんですよ。
207
00:17:57,200 --> 00:18:02,910
一緒ばい。 味は うちのと。
ほ~。
208
00:18:07,480 --> 00:18:10,880
(森)こう ほんと しっとりしとる。
うん。
209
00:18:10,880 --> 00:18:14,220
(岡村)まあ 江戸時代からあるのは
間違いないですね。➡
210
00:18:14,220 --> 00:18:16,160
ヨーロッパの方からですね➡
211
00:18:16,160 --> 00:18:20,930
天草に持ってきた
イチジクなんだっていうことですね。
212
00:18:20,930 --> 00:18:25,570
岡村家の古い南蛮柿。
213
00:18:25,570 --> 00:18:31,340
森さんは その枝をもらって
自分の畑に植えました。
214
00:18:31,340 --> 00:18:36,080
10本ほどの若木が根づいています。
215
00:18:36,080 --> 00:18:42,580
その 歴史といいますか
それを大事にしたいなと思いますし➡
216
00:18:42,580 --> 00:18:46,090
最終的には これだけに
やろうかなと思ってるんですよ。
217
00:18:46,090 --> 00:18:49,290
これを増やしていこうと。
218
00:18:49,290 --> 00:18:55,100
いつかは 果物屋の店先に この味を。
219
00:19:01,270 --> 00:19:07,080
それを目がけて 買いに来て下さる
お客さんがおられたら うれしいですね。
220
00:19:07,080 --> 00:19:10,940
小さくてもいいですから
南蛮柿と書いて頂ければ➡
221
00:19:10,940 --> 00:19:14,820
なお うれしいです。
アッハッハッハッハッハ。
222
00:19:14,820 --> 00:19:21,090
今は 品種の説明もない
店先のイチジク。
223
00:19:21,090 --> 00:19:28,200
南蛮柿のひそかな抵抗に 乞うご期待。
224
00:19:30,770 --> 00:19:35,740
(女性)今日はね ちょっとお医者さん。
(大輝)いってらっしゃい。
225
00:19:35,740 --> 00:19:38,070
(女性)今日は涼しくて いいね。
(千鶴子)ねえ 今日はねえ。
226
00:19:38,070 --> 00:19:40,040
(女性)ほんとに楽。 暑いと もう。
227
00:19:40,040 --> 00:19:42,440
はい ありがとうございました。
(女性)どうもね。
228
00:19:42,440 --> 00:19:46,450
おはようございます。
おはようございます。
229
00:19:54,150 --> 00:19:56,890
(女性)このピオーネ おいしそうだね。➡
230
00:19:56,890 --> 00:20:01,730
でも やっぱり こっちの方がね。
どれにしようか。
231
00:20:01,730 --> 00:20:03,960
(大輝)シャインマスカットとかも
普通に買っていきますね。➡
232
00:20:03,960 --> 00:20:05,900
値段出しても買うっていう。
233
00:20:05,900 --> 00:20:09,540
スナックとかあるんで
そこのママに持ってったり。
234
00:20:09,540 --> 00:20:12,470
近くの焼き肉です。
焼き肉屋さん。
235
00:20:12,470 --> 00:20:15,440
はい。 すいません。
236
00:20:15,440 --> 00:20:18,650
クラフトビールを
メインで扱ってるお店で➡
237
00:20:18,650 --> 00:20:22,120
レモンサワーを
自家製で仕込んでます。➡
238
00:20:22,120 --> 00:20:27,920
うちの売り上げの50パー
これで持っていく。 ハハハハハ。
239
00:20:27,920 --> 00:20:36,630
♬~
240
00:20:36,630 --> 00:20:51,650
♬~
241
00:20:51,650 --> 00:20:55,850
♬~
242
00:20:59,720 --> 00:21:02,920
おじいちゃん おばあちゃんち
泊まり行くっつったら ここになるんで。
243
00:21:02,920 --> 00:21:05,830
(鈴の音)
244
00:21:16,570 --> 00:21:19,710
ほんと これ1枚しかないです。➡
245
00:21:19,710 --> 00:21:22,940
これ お店の 冷蔵庫 置いてるところ。➡
246
00:21:22,940 --> 00:21:25,280
1歳にもなってないですよね 多分。➡
247
00:21:25,280 --> 00:21:29,950
育ててもらったんで
周りも 果物屋さん なくなってる中で➡
248
00:21:29,950 --> 00:21:36,220
果物屋を残したいなっていうのが
心の中にある。
249
00:21:36,220 --> 00:21:40,430
♬~
250
00:21:44,930 --> 00:21:59,210
♬~
251
00:21:59,210 --> 00:22:01,180
それこそ あれですもんね➡
252
00:22:01,180 --> 00:22:03,820
4時ごろから
みんな動いてるんですよね 朝からね。
253
00:22:03,820 --> 00:22:07,620
ほんとに 取りたて 取れたての…。
254
00:22:25,110 --> 00:22:29,280
(佳央)桃樺ちゃん。 桃樺ちゃん。
255
00:22:29,280 --> 00:22:33,480
うちの娘です。
今 10か月です。
256
00:22:35,480 --> 00:22:38,520
(大輝)桃樺です。
うちのイチオシが桃なんで➡
257
00:22:38,520 --> 00:22:41,290
「桃」 付けようと思ってました。
258
00:22:41,290 --> 00:22:43,390
(千鶴子)桃樺ちゃん ブドウ食べたの?
259
00:22:45,860 --> 00:22:48,430
はい。
あ~ん。
260
00:22:48,430 --> 00:22:50,730
うん おいちい。
261
00:22:58,540 --> 00:23:01,040
おしまい。
おしまい。
おしまい。
262
00:23:01,040 --> 00:23:03,110
ないない。
263
00:23:03,110 --> 00:23:06,680
(大輝)もう ないよ? ない。
ない。
264
00:23:06,680 --> 00:23:09,020
ウ~…。
もう ない。
265
00:23:09,020 --> 00:23:11,320
うま うまうま。
266
00:23:18,030 --> 00:23:20,730
(千鶴子)どうも ありがとうございました。
どうもね。
267
00:23:24,730 --> 00:23:26,770
フフフッ やってみます はい。
268
00:23:26,770 --> 00:23:33,370
これからは 栗だろうね。
梨が出て その前にブドウが出て。
269
00:23:35,380 --> 00:23:38,350
(大輝)果実です。 基本的に…
270
00:23:38,350 --> 00:23:40,350
そうだよな。
271
00:23:44,090 --> 00:23:47,390
ねえ? はい どうも。
272
00:23:52,630 --> 00:23:55,430
中山道の宿場町…
273
00:23:58,000 --> 00:24:01,000
古くから栗の産地です。
274
00:24:04,610 --> 00:24:06,540
街道沿いには➡
275
00:24:06,540 --> 00:24:10,710
江戸時代からの
老舗が並んでいます。
276
00:24:10,710 --> 00:24:14,580
「すや」は お酢を売ったお店。
277
00:24:14,580 --> 00:24:18,950
「川上屋」は 鍛冶屋から始まりました。
278
00:24:18,950 --> 00:24:23,860
今は どちらも
栗のお菓子が自慢の和菓子屋です。
279
00:24:32,270 --> 00:24:35,140
中津川の名物 栗きんとんは➡
280
00:24:35,140 --> 00:24:38,670
おせち料理に出るものではありません。
281
00:24:38,670 --> 00:24:42,910
栗の身を出して
再び 栗の姿に戻すという➡
282
00:24:42,910 --> 00:24:45,410
素朴な お菓子。
283
00:24:47,550 --> 00:24:51,320
野生のしば栗が豊かだった この土地。
284
00:24:51,320 --> 00:24:57,830
栗は 米が作られるまで
日本列島の住人の主食でした。
285
00:24:59,990 --> 00:25:02,230
今は 世話がしやすいよう➡
286
00:25:02,230 --> 00:25:06,200
樹高を低く仕立てた畑で栗拾い。
287
00:25:06,200 --> 00:25:09,440
原 忠男さんは 秋になると毎日➡
288
00:25:09,440 --> 00:25:12,470
和菓子屋に 栗を卸しています。
289
00:25:12,470 --> 00:25:15,040
落ちてるのを みんな拾ってしまいます。➡
290
00:25:15,040 --> 00:25:19,250
あまり ほかっとくと
新鮮さが なくなっちゃうと。
291
00:25:19,250 --> 00:25:23,020
栗は 落ちた時が食べ頃。
292
00:25:23,020 --> 00:25:26,890
どうかすると 直撃 受ける時もあります。
ハハハッ。
293
00:25:26,890 --> 00:25:30,090
イガごと。 痛いですよ。
294
00:25:37,060 --> 00:25:39,400
「丹沢」。
295
00:25:39,400 --> 00:25:43,200
丹沢という種類で
栗きんとんに好ましいです。
296
00:25:51,980 --> 00:25:55,750
出荷できないものを 蒸し栗にしました。
297
00:25:55,750 --> 00:25:57,950
ここ 色が悪いで。
298
00:26:01,890 --> 00:26:04,290
まあまあやな。
おいしいよ。
299
00:26:06,860 --> 00:26:12,430
(公子)何かに こう ほじり出して
それに お砂糖を入れて煮るというか。
300
00:26:12,430 --> 00:26:16,300
おじいさんの代から やっとったもんで。
フフフフッ。➡
301
00:26:16,300 --> 00:26:18,910
きんとんっていうと これになるわけ。
302
00:26:18,910 --> 00:26:24,110
栗きんとんは 昔 どの家でも作りました。
303
00:26:24,110 --> 00:26:27,910
明治の頃から
和菓子屋でも売り始めます。
304
00:26:27,910 --> 00:26:32,890
ああ いいですね。 色艶もいいし。
305
00:26:32,890 --> 00:26:40,060
忠男さんの親戚 原 善一郎さんは
老舗和菓子屋の4代目です。
306
00:26:40,060 --> 00:26:43,800
(忠男)それと あの
丹沢が もう終わりかけますので。
307
00:26:43,800 --> 00:26:45,730
(善一郎)いい栗やわ。
(忠男)おおきに。
308
00:26:45,730 --> 00:26:47,770
(善一郎)大粒やし。
309
00:26:47,770 --> 00:26:52,970
生菓子の栗きんとんは
栗が落ちる季節だけ。
310
00:26:52,970 --> 00:27:00,680
秋は 街道の町のかき入れ時。
この日の目標は 2万個です。
311
00:27:00,680 --> 00:27:04,550
練った栗を 茶巾でキュッと絞って➡
312
00:27:04,550 --> 00:27:08,420
栗の実のとんがりの 出来上がり。
313
00:27:08,420 --> 00:27:10,490
力を入れ過ぎてしまうと➡
314
00:27:10,490 --> 00:27:13,890
食べた時に
かたい食感になってしまいますので…
315
00:27:15,800 --> 00:27:19,700
(潤一郎)
程よい力加減で絞ることが 難しいですね。
316
00:27:30,310 --> 00:27:37,520
中津川では 18軒の和菓子屋が
同じ栗きんとんを看板にしています。
317
00:27:37,520 --> 00:27:39,450
(善一郎)こんにちは~。
318
00:27:39,450 --> 00:27:41,720
江戸創業の老舗仲間。
319
00:27:41,720 --> 00:27:43,720
(善一郎)どうですか 今年の栗の調子は。
320
00:27:43,720 --> 00:27:47,190
栗は… ものは いい感じはありますけど➡
321
00:27:47,190 --> 00:27:50,870
なかなかの お値段の方が…
っていう状況です。
そうやね 品薄やね。
322
00:27:50,870 --> 00:27:54,840
前田さんとこの栗きんとんが
こういうふうになってますね。➡
323
00:27:54,840 --> 00:27:58,170
大体 見た目は
どこのお菓子も一緒なんですよ。
324
00:27:58,170 --> 00:28:01,080
(前田)栗を栗のまま どうお伝えするか。➡
325
00:28:01,080 --> 00:28:03,980
なぜか同じ味が
絶対 どこのお店も出ない。
326
00:28:03,980 --> 00:28:06,610
だから けんかしないんでしょうね。
327
00:28:06,610 --> 00:28:10,320
オープン5年目の 新しいお店。
328
00:28:10,320 --> 00:28:13,220
年は 結構 食っとるんやけど。
アハハハッ!
329
00:28:13,220 --> 00:28:16,520
中津川は特殊だなと思って。
330
00:28:21,430 --> 00:28:24,870
どこのお店も よく似ています。
331
00:28:24,870 --> 00:28:28,400
(祝詞)
332
00:28:28,400 --> 00:28:32,010
9月9日は 重陽の節句。
333
00:28:32,010 --> 00:28:34,910
中津川では 「栗節句」と呼んで➡
334
00:28:34,910 --> 00:28:39,480
和菓子屋が集まり
豊作と商売繁盛を祈ります。
335
00:28:39,480 --> 00:28:43,350
(神主)「栗きんとんは
いとも好まれたまいてんあり」。
336
00:28:43,350 --> 00:28:47,360
今年は ちょっとした余興が
加わりました。
337
00:28:50,690 --> 00:28:52,660
当ててみましょうと。
338
00:28:52,660 --> 00:28:55,360
どっちか分かるか? 見て。
僕 全然 分からん。
339
00:28:57,570 --> 00:29:00,270
1番。
1番で。
340
00:29:00,270 --> 00:29:02,970
1番!
(笑い声)
341
00:29:02,970 --> 00:29:06,210
≪正解は!
≪仁太郎さんです。
342
00:29:06,210 --> 00:29:08,140
≪美濃屋さんです。
ありがとうございます。
343
00:29:08,140 --> 00:29:10,850
≪ヤマツさんです。
正解です。
344
00:29:12,710 --> 00:29:16,180
川上屋です。 え~ ここ 8番?
345
00:29:16,180 --> 00:29:18,120
≪7番いますか?
はい。
346
00:29:18,120 --> 00:29:20,150
松葉さん?
松葉です。
347
00:29:20,150 --> 00:29:23,720
≪7番 はい。
≪川上屋さんです。
348
00:29:23,720 --> 00:29:26,290
一番 間違えちゃいけない!
そこ 大事なとこですね。
349
00:29:26,290 --> 00:29:28,500
もろ間違えた!
350
00:29:33,670 --> 00:29:37,570
駅前では 栗きんとんが配られます。
351
00:29:37,570 --> 00:29:43,280
かつて 中山道を行く旅人に
焼き栗を分けたように。
352
00:29:47,210 --> 00:29:50,120
誰が絞った きんとんか。
353
00:29:50,120 --> 00:29:58,160
和菓子屋さん自慢の栗は
甘くてやわらかい 秋だけのプレゼント。
354
00:29:58,160 --> 00:30:00,800
フフフッ どう?➡
355
00:30:00,800 --> 00:30:04,730
甘くて おいしいね。
356
00:30:04,730 --> 00:30:08,200
おいしい!
357
00:30:08,200 --> 00:30:11,640
口の中が 収穫祭だ。
358
00:30:11,640 --> 00:30:15,480
みずみずしさが 体を駆け抜ける。
359
00:30:15,480 --> 00:30:20,310
暑い夏を乗り越えた
僕らへのご褒美。
360
00:30:20,310 --> 00:30:24,850
とことん 甘えてやる。
361
00:30:24,850 --> 00:30:34,860
♬~
362
00:30:41,300 --> 00:30:44,700
玄界灘に浮かぶ島…
363
00:30:47,910 --> 00:30:50,810
最北端の漁港 勝本に➡
364
00:30:50,810 --> 00:30:56,150
「朝市通り」と呼ばれる
商店街があります。
365
00:30:56,150 --> 00:31:01,860
朝7時前。 一番に店を開くのが
果物屋さん。
366
00:31:03,760 --> 00:31:05,690
一番ですね。
367
00:31:05,690 --> 00:31:07,800
島の果物屋…
368
00:31:15,130 --> 00:31:19,540
ここへ ず~っと ずらっと
場所取りでね。
369
00:31:21,470 --> 00:31:24,880
一番乗りの 商いさん。
370
00:31:26,350 --> 00:31:29,580
ニラね。 切りごぼう 手切り。 フフッ。➡
371
00:31:29,580 --> 00:31:31,890
生しいたけね。
372
00:31:35,150 --> 00:31:38,930
みんな こう いつも固定の 大体ね。
373
00:31:38,930 --> 00:31:44,730
また別の 商いさん。
さつまいもと かぼちゃです。
374
00:31:44,730 --> 00:31:47,630
ハハハッ おはようございます。
375
00:31:47,630 --> 00:31:50,440
そして もう一人。
376
00:31:50,440 --> 00:31:54,710
なぜか
果物屋の周りに 集まってきます。
377
00:31:54,710 --> 00:31:58,810
コロナ 注射したけぇ。
ああ そうやったん。
378
00:32:01,820 --> 00:32:04,220
(下條)昨日 何で休みかなあと思いよった。
379
00:32:04,220 --> 00:32:06,750
そうじゃなかったばってんな
昨日1日は もう。
380
00:32:06,750 --> 00:32:13,260
野菜…。
うわ~ おおけな。
ハッハッハッ。
381
00:32:15,060 --> 00:32:17,770
よか? ありがとう。
後で 入れもん 持ってくる。
382
00:32:17,770 --> 00:32:19,770
早速 売れています。
383
00:32:28,140 --> 00:32:31,240
しいたけ。
しいたけ ある。
ある?
384
00:32:35,280 --> 00:32:38,180
数的には入っちょる。
うん これがいい。
385
00:32:38,180 --> 00:32:44,490
商店街や港町の人が お客さん。
時には 商いさん同士も。
386
00:32:44,490 --> 00:32:47,230
アスパラ。
アスパラ?
387
00:32:47,230 --> 00:32:49,300
毎朝 お昼まで。
388
00:32:49,300 --> 00:32:53,100
それぞれ 家にできるものを
持ち寄っています。
389
00:32:55,700 --> 00:33:03,210
江戸時代 海のものと山のものを
物々交換したのが 朝市の始まり。
390
00:33:03,210 --> 00:33:08,050
閉ざされた島の暮らしを
潤してきました。
391
00:33:08,050 --> 00:33:11,880
壱岐の 3つの港町でにぎわった
朝市は➡
392
00:33:11,880 --> 00:33:20,430
車と大型店の登場で消え
今は 勝本港だけに残されています。
393
00:33:20,430 --> 00:33:25,270
昭和の朝市は この にぎわい。
394
00:33:25,270 --> 00:33:31,570
今は おしゃべりが楽しくて商い。
395
00:33:31,570 --> 00:33:34,880
うんうん やっぱ もう 足悪いし…。
396
00:33:42,220 --> 00:33:44,180
梨でも みかんでもね。
397
00:33:44,180 --> 00:33:48,420
今は なんもない。
この前から 梨のあったけどね。
398
00:33:48,420 --> 00:33:51,630
うちも 柿はありますね。
いっぱい なってます。
399
00:33:54,030 --> 00:33:58,430
柿の木があるという…
400
00:33:58,430 --> 00:34:02,240
今年 米寿。
401
00:34:02,240 --> 00:34:07,010
住んでいるのは
海から坂を上がった山の中。
402
00:34:07,010 --> 00:34:11,610
往復 1時間歩いて 毎朝 商いに。
403
00:34:14,409 --> 00:34:17,380
(中原)あれ。➡
404
00:34:17,380 --> 00:34:19,590
これ1本です 柿の木。
405
00:34:29,030 --> 00:34:31,230
それが楽しみ。
406
00:34:35,370 --> 00:34:39,639
秋が待ち遠しい サチコさんの柿。
407
00:34:39,639 --> 00:34:43,909
もう一人の商いさん…
408
00:34:43,909 --> 00:34:47,780
甘夏の…。
409
00:34:47,780 --> 00:34:51,389
(有田)ヘヘヘッ 大きいでしょ?
最初は ずっと ならんかったと。➡
410
00:34:51,389 --> 00:34:54,290
何のなるとやろっちゅう思ったら
甘夏やった。
411
00:34:54,290 --> 00:34:57,190
幸子さんの甘夏。
412
00:34:57,190 --> 00:35:00,690
実は 果物屋に売っています。
413
00:35:06,670 --> 00:35:11,340
下條果物では
季節のジャムを作っています。
414
00:35:11,340 --> 00:35:15,640
次男坊で後を継いだ
明博さんが始めました。
415
00:35:23,080 --> 00:35:25,920
あっ テント きれいになったわ。
みんな 見て。
416
00:35:25,920 --> 00:35:31,130
明博さんは 店先の様子を
知り合いに ライブ配信しています。
417
00:35:31,130 --> 00:35:35,530
昨日からね
「西村早生」って中が黒いやつ。➡
418
00:35:35,530 --> 00:35:38,630
これも ジャム作るけん
ジャム 焦げ茶色になるよ。
419
00:35:43,270 --> 00:35:45,240
この おばちゃんたち いなかったら➡
420
00:35:45,240 --> 00:35:50,010
もう ほんと
シーンとした商店街なんで。
421
00:35:50,010 --> 00:35:53,650
商いさんが登場することも。
422
00:35:53,650 --> 00:35:57,280
サチコさんの梅干し。
423
00:35:57,280 --> 00:35:59,720
きれいな梅干し。➡
424
00:35:59,720 --> 00:36:03,220
これを あの
ジャムとか果物と一緒に送るんですよ。
425
00:36:03,220 --> 00:36:05,830
注文で。
426
00:36:07,930 --> 00:36:10,830
(明博)この人が。
大層もなかばってん もう。
427
00:36:10,830 --> 00:36:12,770
(明博)めっちゃ…。
この前よか あるかしら。
428
00:36:12,770 --> 00:36:15,770
(明博)めちゃくちゃ おいしかったって。
あっ そう? フフッ。
429
00:36:15,770 --> 00:36:17,970
(明博)また よろしくお願いします。
はい はい。
430
00:36:21,310 --> 00:36:24,210
持ちつ 持たれつ。
431
00:36:24,210 --> 00:36:31,020
島の果物屋の周りでは
今日も 立ち話の花が咲く。
432
00:36:37,390 --> 00:36:40,960
果物王国といわれる 山形。
433
00:36:40,960 --> 00:36:43,300
最上川の恵みを受けて➡
434
00:36:43,300 --> 00:36:46,100
豊かな果樹が育ちます。
435
00:36:47,870 --> 00:36:53,670
お彼岸が近づくと 店に並ぶのは
あまり見かけない紫色。
436
00:37:13,530 --> 00:37:16,900
全国の森に自生する アケビ。
437
00:37:16,900 --> 00:37:19,670
白田甲子郎さんは 40年前➡
438
00:37:19,670 --> 00:37:25,010
裏山で 野生のアケビを掘り出し
畑を作りました。
439
00:37:25,010 --> 00:37:28,880
昔は 薪用に きれいに切るんですよ。
440
00:37:28,880 --> 00:37:31,980
そうすると 木が若くって…
441
00:37:36,180 --> 00:37:42,290
冬の備えに 森で薪を取っていた時代。
山仕事に疲れると…。
442
00:37:46,560 --> 00:37:50,060
日が当たらないんで 伸びられない。
443
00:37:51,860 --> 00:37:56,700
あのころは やっぱり 今と違ってほら
おやつなんて もう ないし➡
444
00:37:56,700 --> 00:37:59,070
あったとしても お金がないしね。➡
445
00:37:59,070 --> 00:38:04,210
だから 山に行って
アケビを食べたのかなと思いますね。
446
00:38:04,210 --> 00:38:07,980
そう 貧しかったですよ うん。
447
00:38:07,980 --> 00:38:10,850
あ~あ~ なってる。➡
448
00:38:10,850 --> 00:38:15,690
なってた。➡
449
00:38:15,690 --> 00:38:21,190
これから 色づくんですね。
ねっ ほらこれ。 うん。
450
00:38:27,300 --> 00:38:30,500
(甲子郎)何でも 野生のものを改良して➡
451
00:38:30,500 --> 00:38:33,940
いい品物に作りかえたっていうかね うん。
452
00:38:33,940 --> 00:38:36,910
りんごにしろ 梨にしろ。
453
00:38:36,910 --> 00:38:40,710
最上川に霧が立つと 秋。
454
00:38:40,710 --> 00:38:45,920
朝夕の冷え込みが
アケビを紫に色づかせます。
455
00:38:47,590 --> 00:38:51,990
ブドウ棚の隣には アケビ棚。
456
00:38:54,660 --> 00:38:58,400
森で掘った根っこから 改良を重ね➡
457
00:38:58,400 --> 00:39:03,600
40年かけ 立派なアケビ畑に。
458
00:39:05,540 --> 00:39:11,180
これなんかも ちょっと薄いけども
収穫できる。➡
459
00:39:11,180 --> 00:39:17,580
裏の方まで 紫の色が回ってくれば
収穫OKです。 こんな感じ。
460
00:39:17,580 --> 00:39:21,420
森で食べていた ほんのり甘い中身。
461
00:39:21,420 --> 00:39:23,360
(甲子郎)ほとんど 種の方が多いね。➡
462
00:39:23,360 --> 00:39:28,860
昔の味。 昔はこうやってね
親指で すくって。
463
00:39:30,760 --> 00:39:33,670
種 飲んじゃった。
464
00:39:33,670 --> 00:39:36,970
おいしいよ これ。 甘くって。
465
00:39:39,840 --> 00:39:44,840
高値で売れると聞いて始めた
アケビ栽培。
466
00:39:47,550 --> 00:39:49,750
こうやって…
467
00:39:51,420 --> 00:39:53,990
これが ポックリ枯れる可能性も
あるってこと。
468
00:39:53,990 --> 00:39:59,930
簡単には手なずけられない 山育ち。
469
00:39:59,930 --> 00:40:03,260
父の代から 時代に合わせて➡
470
00:40:03,260 --> 00:40:08,270
葉タバコ ホップ ブドウと
栽培してきました。
471
00:40:10,570 --> 00:40:12,570
お彼岸の中日。
472
00:40:12,570 --> 00:40:16,080
同居する息子一家と墓参りに。
473
00:40:16,080 --> 00:40:21,980
分家だった父。
畑も何もないところからの出発でした。
474
00:40:30,420 --> 00:40:36,300
最上川流域には
いつからか伝わる お彼岸の伝承が。
475
00:40:36,300 --> 00:40:39,400
昔からの言い伝えで…
476
00:40:55,410 --> 00:41:00,250
作っているのは
お供えにするアケビ料理。
477
00:41:00,250 --> 00:41:04,660
甘い中身を取り除いて
皮だけを使います。
478
00:41:06,660 --> 00:41:11,130
キノコや野菜を炒めて詰める
郷土料理は…。
479
00:41:11,130 --> 00:41:15,030
アケビの包み焼き。
(笑い声)
480
00:41:19,570 --> 00:41:22,070
ずんだ餅 芋煮。
481
00:41:22,070 --> 00:41:25,810
そして 舟のようなアケビの包み焼き。
482
00:41:25,810 --> 00:41:27,750
(鈴の音)
483
00:41:27,750 --> 00:41:32,690
苦労を重ねたご先祖様の乗り物です。
484
00:41:32,690 --> 00:41:35,290
いただきます。
(一同)いただきます。
485
00:41:35,290 --> 00:41:39,560
お彼岸の食卓も もちろんアケビ。
486
00:41:39,560 --> 00:41:42,760
(甲子郎)
ガブッと食べて。
487
00:41:44,800 --> 00:41:47,670
さて お味は?
488
00:41:47,670 --> 00:41:53,040
苦くて あんまり…
あんまり好きじゃないです。
489
00:41:53,040 --> 00:41:54,970
(笑い声)
490
00:41:54,970 --> 00:41:58,810
(甲子郎)アケビは このほろ苦いところが
おいしいんだよ。➡
491
00:41:58,810 --> 00:42:01,720
大人になってくると分かる。
492
00:42:03,650 --> 00:42:09,460
白田さんの暮らす朝日町は
最上川の難所の一つ。
493
00:42:09,460 --> 00:42:12,930
今は カヌーの人気スポットです。
494
00:42:12,930 --> 00:42:20,330
かつては 川舟で
物資や人を運びました。
495
00:42:22,600 --> 00:42:26,510
甘さと苦さを あわせ持つ果物。
496
00:42:26,510 --> 00:42:34,110
ほろ苦い味わいも 先祖の苦労が
身にしみるのも 年を重ねてから。
497
00:42:47,130 --> 00:42:50,030
今 つくづく そういうふうに。
498
00:42:50,030 --> 00:42:57,140
人生を振り返る お彼岸のアケビ舟。
499
00:43:00,440 --> 00:43:04,840
京都の南 宇治田原町は 宇治茶の産地。
500
00:43:06,850 --> 00:43:11,520
茶畑の中には 点々と柿の木が…。
501
00:43:11,520 --> 00:43:16,120
11月 干し柿の季節が始まります。
502
00:43:16,120 --> 00:43:21,430
この地域にしかない
珍しい干し柿です。
503
00:43:29,030 --> 00:43:35,440
下岡清富さんは
大きな茶園の4代目。
504
00:43:35,440 --> 00:43:37,840
こんな木 何年たってるか
分からへんね もう。
505
00:43:37,840 --> 00:43:42,220
茶畑が先やったんか
柿の木が先やったんか。
506
00:43:42,220 --> 00:43:46,090
茶畑の中に渋柿が実っています。
507
00:43:46,090 --> 00:43:48,490
でも だいぶ減ったけど。
508
00:43:48,490 --> 00:43:51,090
邪魔になるから
切る人も いっぱいいるけど。
509
00:44:03,400 --> 00:44:07,570
今は 扇風機が霜よけを
するようになりましたが➡
510
00:44:07,570 --> 00:44:13,480
お茶農家は 代々
茶畑の柿で干し柿を作ってきました。
511
00:44:15,320 --> 00:44:18,520
「古老柿」と呼ばれています。
512
00:44:23,360 --> 00:44:26,060
(清富)これ このまま食べたら
おいしいねんけど…
513
00:44:28,530 --> 00:44:32,260
古老柿にするのは 完熟直前。
514
00:44:32,260 --> 00:44:36,470
鶴ノ子という
日本で最も小さい柿の一つです。
515
00:44:38,410 --> 00:44:42,710
収穫は 昔ながらのやり方で。
516
00:44:46,150 --> 00:44:49,620
古代から食べられていた柿。
517
00:44:49,620 --> 00:44:53,550
採り方は 猿をまねたのでしょうか。
518
00:44:53,550 --> 00:45:04,630
♬~
519
00:45:04,630 --> 00:45:09,340
(清富)風強い日もっと揺れる。
しがみついてなあかんぐらい。➡
520
00:45:09,340 --> 00:45:14,440
登ってんの
気持ちいいもんやけどな 慣れたら。
521
00:45:19,010 --> 00:45:24,250
手が届かない所は 竹ざおで下へ。
522
00:45:24,250 --> 00:45:29,160
茶畑が優しく受け止めます。
523
00:45:34,990 --> 00:45:39,600
(久五郎)もう 大方 採れたんか。
(清富)うん。
524
00:45:39,600 --> 00:45:44,700
80歳になる先代も まだまだ達者。
525
00:46:01,720 --> 00:46:05,430
普通の干し柿は
ヘタを使って つるしますが➡
526
00:46:05,430 --> 00:46:09,330
この柿は ヘタを取ってしまいます。
527
00:46:11,560 --> 00:46:16,400
古老柿作りは
お茶の仕事が一段落した秋。
528
00:46:16,400 --> 00:46:21,110
お茶農家の冬の収入源です。
529
00:46:23,680 --> 00:46:30,020
甘い結晶を吹いた柿は
お茶と共に都に運ばれました。
530
00:46:30,020 --> 00:46:33,350
かたいで。
かたそうやな。
531
00:46:33,350 --> 00:46:39,560
味を互いに引き立て合う
干し柿と お茶。
532
00:46:41,090 --> 00:46:45,360
干し柿の甘さ かたさを
バロメーターに➡
533
00:46:45,360 --> 00:46:48,330
京都のお茶のお菓子が
できたということや。
534
00:46:48,330 --> 00:46:52,540
(清富)これ以上 甘すぎても
お茶の味を邪魔するし。
535
00:46:52,540 --> 00:46:54,640
縁起物みたいな。
536
00:47:07,190 --> 00:47:10,820
青い柿を搾って作る柿渋。
537
00:47:10,820 --> 00:47:15,730
茶摘み籠など畑の農具を
水や虫から守ります。
538
00:47:15,730 --> 00:47:18,570
こうやって塗っといたら
長もちすんねん。
539
00:47:18,570 --> 00:47:22,370
しかし 強烈な臭いが。
540
00:47:33,650 --> 00:47:39,050
嫌われ者の柿渋ですが お茶には大丈夫。
541
00:47:41,390 --> 00:47:45,320
稲刈りのあと 田んぼに現れる柿屋。
542
00:47:45,320 --> 00:47:50,960
つるすには小さすぎる柿の寝床です。
543
00:47:50,960 --> 00:47:54,200
下岡家の柿屋は 5階建て。
544
00:47:54,200 --> 00:47:57,500
毎年 親子で建ててきました。
545
00:48:00,010 --> 00:48:08,510
♬~
546
00:48:11,750 --> 00:48:15,820
棚の上で熟した柿は
木枯らしが吹く頃➡
547
00:48:15,820 --> 00:48:19,830
箕の中で踊らせて 甘くなります。
548
00:48:22,230 --> 00:48:29,240
やがて 真っ白な衣をまとって
お茶のもとに お嫁入り。
549
00:48:33,870 --> 00:48:36,580
葡萄が実り始める頃➡
550
00:48:36,580 --> 00:48:41,880
山梨県勝沼では
鳥居焼きの準備が始まります。
551
00:48:41,880 --> 00:48:44,150
(生徒たち)おはようございま~す。
552
00:48:44,150 --> 00:48:50,560
平安時代から 盆の送り火として
行われた鳥居焼き。
553
00:48:50,560 --> 00:48:56,360
今は 秋の収穫祭の中に
受け継がれています。
554
00:48:56,360 --> 00:48:58,630
祭りまで2週間。
555
00:48:58,630 --> 00:49:00,600
(男子生徒)う~わ こわ。
556
00:49:00,600 --> 00:49:07,410
急斜面に護摩木の準備に来たのは
地元 勝沼中学の生徒たち。
557
00:49:10,980 --> 00:49:15,380
下界は 見渡す限りの葡萄畑。
558
00:49:15,380 --> 00:49:19,490
日本で最も古い葡萄の産地です。
559
00:49:23,790 --> 00:49:26,590
うい~。 向き逆。
560
00:49:28,630 --> 00:49:34,430
祭りの夜
たいまつを運ぶのは 男の子たち。
561
00:49:34,430 --> 00:49:37,340
(取材者)どっから見たの? この鳥居焼き。
(2人)家です。
562
00:49:37,340 --> 00:49:39,340
家の前 通っていきます。
563
00:49:39,340 --> 00:49:41,340
みんな
たいまつ持って➡
564
00:49:41,340 --> 00:49:44,740
掛け声かけて
かっこいいです。
565
00:49:46,850 --> 00:49:53,350
護摩木を積み終えた子供たちが
参拝に来たのは 通称 ぶどう寺。
566
00:49:57,990 --> 00:50:03,800
大善寺は 奈良時代の僧侶
行基が開いたと伝わります。
567
00:50:03,800 --> 00:50:08,170
ご本尊は 5年に一度の御開帳。
568
00:50:08,170 --> 00:50:11,770
ブドウを手にした
薬師如来です。
569
00:50:13,770 --> 00:50:19,080
夢枕に立ったその姿を
行基自身が彫ったとか。
570
00:50:25,420 --> 00:50:30,420
鳥居焼きの山も
かつては 寺の領地でした。
571
00:50:47,540 --> 00:50:51,240
仏教伝来と共に大陸から来たブドウを➡
572
00:50:51,240 --> 00:50:55,850
行基が この地に運んだと伝わります。
573
00:51:03,920 --> 00:51:08,260
千手観音が手の一つに持っているのも…。
574
00:51:08,260 --> 00:51:13,630
中国で「蒲桃」という
五穀豊じょうの印。
575
00:51:13,630 --> 00:51:18,240
日本では この果物が
ブドウと呼ばれました。
576
00:51:22,680 --> 00:51:27,950
参道の両脇に広がるブドウ棚は
大善寺の畑。
577
00:51:27,950 --> 00:51:33,390
住職の井上さんが自ら栽培しています。
578
00:51:33,390 --> 00:51:40,290
このブドウは ベリーAという品種でね。
これは赤ワイン用に。
579
00:51:40,290 --> 00:51:42,890
まあ 今年は
甘いには甘いけども。
580
00:51:47,870 --> 00:51:52,470
これは 甲州ブドウ。
これで甲州のワインを搾る。
581
00:51:56,580 --> 00:51:59,780
ま これは万能薬の薬ですな。
ハッハッハッハ。
582
00:52:01,710 --> 00:52:04,920
これは オリエンタルスターっていう。
583
00:52:04,920 --> 00:52:11,020
お坊さんの畑とは思えないほど
多彩な品種。
584
00:52:11,020 --> 00:52:15,660
でも ちょっと手が足りないけどね。
こういうのは抜かなきゃいけない。➡
585
00:52:15,660 --> 00:52:19,470
粒が そろってない。
とても やりきれないから。
586
00:52:19,470 --> 00:52:24,400
楽しいですよ。
ブドウの木は ウソつかないから。➡
587
00:52:24,400 --> 00:52:28,710
他の果物は 木が自分が負担が多ければ
実を落とすの。➡
588
00:52:28,710 --> 00:52:30,680
ブドウだけは落とさないんですよ。➡
589
00:52:30,680 --> 00:52:33,980
なってるもの全部
実らせようとするから。➡
590
00:52:33,980 --> 00:52:39,890
人間さまは それぞれ 煩悩があるから。
いいブドウ作りたいのも煩悩だし。➡
591
00:52:39,890 --> 00:52:43,520
ブドウに説法されてんですね。
592
00:52:43,520 --> 00:52:46,530
こんなもの着てると ろくなこと
言わないから。 ハッハッハ!
593
00:52:46,530 --> 00:52:52,230
お百姓さんの格好しなきゃ駄目ですね
畑いる時は。 ハッハッハッハ!
594
00:52:52,230 --> 00:52:57,440
こちらが畑にいる時の本来の姿。
595
00:53:00,110 --> 00:53:04,910
今日は説法もありません。
596
00:53:10,950 --> 00:53:15,790
かつて
広大なブドウ畑を所有した大善寺。
597
00:53:15,790 --> 00:53:20,460
小作人を雇って 寺を維持してきました。
598
00:53:20,460 --> 00:53:24,330
戦後の農地開放で 多くの土地を失い➡
599
00:53:24,330 --> 00:53:30,140
寺を離れた小作人たちは
ブドウ農家に。
600
00:53:30,140 --> 00:53:35,840
先代住職が 新たに
境内や参道脇を開墾。
601
00:53:35,840 --> 00:53:40,150
井上さんも子供の頃から
手伝ってきました。
602
00:53:41,750 --> 00:53:47,920
秋に参拝客が買っていくブドウが
今も寺を支えています。
603
00:53:47,920 --> 00:53:49,920
よいしょ。
604
00:53:52,760 --> 00:53:54,730
これ いいけ?
うん。
605
00:53:54,730 --> 00:54:00,330
孫娘の賀己子ちゃん。
後継ぎに名乗りを上げています。
606
00:54:02,430 --> 00:54:07,270
え 黄色だと うまいの?
黄色い方が おいしい。
607
00:54:07,270 --> 00:54:10,580
将来 住職になるために➡
608
00:54:10,580 --> 00:54:15,010
ちょっと 今のうちに
伸ばしとこうかなって思って。
609
00:54:15,010 --> 00:54:18,620
甘いぞ。
いいの? 食べて。
うん。
610
00:54:18,620 --> 00:54:21,820
甘いだろ。
甘っ!
611
00:54:21,820 --> 00:54:27,360
砂地が多い勝沼は
米作りには向きません。
612
00:54:27,360 --> 00:54:32,970
代わって 斜面に育つブドウが
暮らしを支えてきました。
613
00:54:36,070 --> 00:54:38,040
こういう一升瓶➡
614
00:54:38,040 --> 00:54:40,810
いわゆる日本酒の代わりに➡
615
00:54:40,810 --> 00:54:44,410
この土地で栽培されたブドウからできた…
616
00:54:49,220 --> 00:54:52,850
(新田)地酒といえば ブドウ酒。
617
00:54:52,850 --> 00:54:58,220
大善寺でも
ブドウ酒造りが始まりました。
618
00:54:58,220 --> 00:55:01,890
結構甘い 今年は。
甘い。
619
00:55:01,890 --> 00:55:07,300
白ワインを搾るのは
日本で最も古い品種。
620
00:55:07,300 --> 00:55:11,570
ご本尊が その手に持つブドウです。
621
00:55:11,570 --> 00:55:17,180
ここでも 井上さんは自らブドウ酒造り。
622
00:55:19,140 --> 00:55:23,850
大善寺ワインは
参拝客に提供しています。
623
00:55:25,890 --> 00:55:27,820
(男性客)いただきます。
624
00:55:27,820 --> 00:55:30,660
でも おいしいよね。
あ すっごいブドウ!
625
00:55:30,660 --> 00:55:33,360
(女性客)ブドウ酒! って感じ。
626
00:55:33,360 --> 00:55:36,260
ブドウ酒ができると収穫祭。
627
00:55:36,260 --> 00:55:44,000
10月1日。 中学生の代表が
鳥居焼きに たいまつを運びます。
628
00:55:44,000 --> 00:55:46,770
一番前だよね。
先頭で。
そう。
629
00:55:46,770 --> 00:55:49,010
緊張してます。
630
00:55:49,010 --> 00:55:53,510
井上さんもまた 七変化。
631
00:55:58,620 --> 00:56:01,090
あちらは 農家の
おっさんでございますから。
632
00:56:01,090 --> 00:56:07,730
(ほら貝)
633
00:56:07,730 --> 00:56:13,870
(太鼓と読経)
634
00:56:13,870 --> 00:56:17,340
ブドウを手にした仏さまと➡
635
00:56:17,340 --> 00:56:20,940
ブドウを育てるお坊さん。
636
00:56:20,940 --> 00:56:24,810
ぶどう寺の礎です。
637
00:56:24,810 --> 00:56:27,780
(読経)
638
00:56:27,780 --> 00:56:36,860
♬~
639
00:56:36,860 --> 00:56:43,960
ブドウ畑の坂道を
子供たちの たいまつが上ります。
640
00:56:43,960 --> 00:56:58,980
♬~
641
00:56:58,980 --> 00:57:02,650
♬~
642
00:57:02,650 --> 00:57:06,450
あ~! あっ!
643
00:57:08,450 --> 00:57:12,820
てか 触ってみ?
おっ! 重っ!
644
00:57:12,820 --> 00:57:16,700
♬~
645
00:57:16,700 --> 00:57:19,100
お疲れ お疲れ。
お疲れ~。
646
00:57:19,100 --> 00:57:21,030
≪はい 気をつけてね~。
お疲れ~。
647
00:57:21,030 --> 00:57:23,140
≪お疲れ! みんなお疲れ!
648
00:57:25,240 --> 00:57:30,440
米に代わって 実った果実に感謝して…。
649
00:57:30,440 --> 00:57:34,810
ブドウ酒で見送った 亡き人を思って…。
650
00:57:34,810 --> 00:57:36,750
(花火の音)
651
00:57:36,750 --> 00:57:42,250
ブドウの粒のような満開の花火が
ふるさとを包みます。
652
00:57:42,250 --> 00:57:53,470
(花火の音)
653
00:57:58,740 --> 00:58:01,970
どれが一番おいしいの?
654
00:58:01,970 --> 00:58:03,980
ああ じゃあ じゃあ じゃあ これ。
はい。
655
00:58:05,840 --> 00:58:08,750
当たり前じゃないすか。
ハッハッハ! ねえ!
656
00:58:08,750 --> 00:58:11,580
ハッハッハッハッハ!
657
00:58:11,580 --> 00:58:14,490
いや おいしい…
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00:58:14,490 --> 00:58:16,490
ありがとうございます。
はい はい。
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食べようと思って。
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今 家族っていうか…
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ごめんなさい
五十円玉なくて ごめんなさい。
は~い。
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どうも。
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大切な人と分け合う
ささやかな ぜいたく。
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あなたも 一房 いかがですか?
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果物を育てた 土と人を思いながら。
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♬~
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