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風の中に➡
土のにおいに➡
もういちど 日本を見つける。
私を見つける。
夏の終わりの東京・西小山。
一実屋は 中村大輝さんの 祖父母が開いた果物屋です。
昭和初期から にぎわってきた 商店街の入り口に 昔ながらの店構え。
果物屋さんって 今 世間から消えてるイメージなんで➡
どうしても それを残したいんですよね。
八百屋さんとは やっぱ違う。 スーパーとは やっぱ違う。
祖母の千鶴子さんは ブドウの産地 山梨の生まれ。
3世代で 店を切り盛りしています。
もう65年で ここで。
はい 甘いよ。 ちょっとした傷ですから。 味はいいですよ。
この間も これで買って すごい おいしかった。
おいしいよね。 うちの桃 おいしいんですよ。
店の前の草むらに 千鶴子さんの宝物が。
(千鶴子)ほら スイカだよ。 ね。
(大輝)誰かが そこで食べてたんですよ。 そしたら 多分それでできた。➡
種 ペッてやったやつで できたんじゃないかな。
こうやって かぶして… かぶしておく。
こうやって こうやってたら分かんない。 アハハハ。
暑い盛りを過ぎても 人気は夏の味。
これ おっきいやつです。 スーパーサイズ。 一番大きいサイズ。
父親の実家が桃農園なんで そこの周りの畑の人から 産地直送で。➡
で 今度…
店先に感じる 季節の移り変わり。
夏から秋へ。 果物に秘められた それぞれの物語。
山梨県勝沼の収穫祭。
しゃあ~!
ブドウを手にした仏さま。
これは…
山形には アケビの畑。
お彼岸に独特の風習が。
果物を巡る甘い旅を ご一緒に。
♬~
♬~
♬~
さて 秋の果物といえば…。
梨。 梨?
豊水。 豊水? うん。
豊水と あきづきで➡
豊水の方が ちょっと表面に ざらつきがあるような梨。
夏から秋に旬を迎える梨。
今の人気は 甘みの強い赤梨。
一方 青梨の代表といえば 二十世紀です。
昭和の時代に愛された 甘酸っぱい青梨。
懐かしい二十世紀梨は どこへ行ったのでしょうか。
梨の産地 鳥取県湯梨浜町。
東郷池を囲む丘陵に 梨畑が。
関東では あまり見かけない二十世紀梨も➡
西日本では 根強い人気があります。
山のてっぺんに梨畑を持つ 山田さん夫妻。
会社勤めの隆雄さんに代わって➡
嫁いだ博子さんが 先代から畑を継ぎました。
隆雄さんの定年後は 夫婦で梨作り。
問題は 棚の高さです。
背の高いところは 何べん入ってもええけど➡
あんなとこは もう 一回入ったら もう やだけんね。
(博子)アッハハハハ。
(取材者)上に出てますよ。 アハハハハッ。
(博子)肩まで行かないでしょう。 ハハハハ。 それで どうしてもなあ。
博子さんに合わせた低い棚。
梨が ずしりと熟すと 更に下へ。
(隆雄)ああ もう。 ちょっと…
風や雨に当たると アザができる二十世紀梨。
春と初夏 二重の袋がけが必要です。
(博子)今年わりかしアザが こうやってね➡
ちょいと アザというか アレが。➡
この青いとこがいいんですよ 二十世紀のね。
(博子)みんな顔が違うの 梨の顔が。
子育てと一緒です 梨作りもね。 だから かわいいですが とっても。
やっぱ 二十世紀は値打ちがあるけど 手間がかかって➡
技術的にも やっぱり高度な技術を 要するんで。 大変は大変だけど。
だけど いいものができると うれしいんですよね。➡
皆さんに 全国の方に食べて頂きたいから この おいしい梨をね。
19世紀末に苗木が発見された 新しい梨は➡
「新世紀の王者になる」という願いを込めて その名が付けられました。
二十世紀梨は 発見から15年後に 鳥取でも栽培が始まります。
今年116歳になる 二十世紀梨。
これがね。
2メーターありますよ これ 幹回りが。 2メーター。
(笠見)きれいでしょう?
滑らかな味わいは 登場と同時に 一世をふうび。
湯梨浜町でも 斜面を切り開いて 次々と梨畑が。
(笠見)作業はしにくいわな 平たんに比べたらね。
けど できる品物がいいだな 果物が。 水はけがようて。
戦時中 果物は 不要不急のぜいたく品に。
けど まあ なんか隠れて➡
梨を残しといて 助かったという うちもあるし。
ハハハハ ハハハハ…。
二十世紀梨の出荷は➡
8月から9月にかけての 僅か3週間。
選果場に 一日36万個が集まります。
暑い暑い もう。 暑い。
梨作りは古株の博子さん。
梨の等級を仕分ける チーフを任されています。
一方 隆雄さんは 今日も畑に。
うい。 あ 腰いてぇ。
定年後 隆雄さんは➡
梨作りの講座に 11年通って 栽培を学びました。
大して 技術も何にも知らんなと。
博子さんに聞くのは しゃくに障るし。
男のプライドでしょうな。 ハハハハッ。
昔は うちの博子ちゃんって言ってましたよ。
今は 少し敬意を払って 博子さん。 フフッ。
今日は 赤梨も収穫。
二十世紀梨に比べて 酸味がありません。
うまいなあって感じるのは 二十世紀。➡
これは ただ甘いっていうだけで。
若いもんは この方がええって言うし。
二十世紀の梨畑に 若い借り手が現れました。
会社勤めを辞めて 故郷で 梨作りを始めました。
師匠と弟子みたいな関係ですね。
(笑い声)
やめとけっていうふうにも 言われたんですけど。
同僚たちに食べてもらったら ものすごい評判が良くて➡
こんな おいしい梨 食ったことないっていうふうに。
それまで 当たり前に食っとった その二十世紀梨が➡
こうやって 人に喜んでもらえるんだな っていうのが分かって。
同じ たまたま山田でしてね。
山の畑の¼を貸しました。
作りたいのは 手間のかかる二十世紀梨。
後継者のいない2人の うれしい隣人です。
この辺を採ろうか。 これか それ。
きれいだ。
はい。 採れました。 採れました。
2人で分け合う 甘酸っぱい味。
何世紀になっても。
九州の天草諸島 下島。
潜伏キリシタンの 文化を伝える漁師町では➡
土産物屋の店先に イチジクが。
天草では 南蛮柿。
ここは 発祥の地ってなってますから。
このイチジクは 明治時代に アメリカから来た➡
ドーフィンという品種。
今は これが イチジクの主流です。
しかし 天草の南蛮柿は➡
戦国時代に ポルトガルから来たと伝わります。
信長の時代 ヨーロッパへの少年使節を 引率したメスキータ神父は➡
天草に 6年滞在しました。
その手紙には…。
森 亨さんが育てているのは➡
しぶとく生きてきた 昔ながらのイチジク。
蓬莱柿という品種です。
(森)これが いわゆる南蛮柿なので。
(森)だんだん なくなって ほぼ今ないんですよ。➡
せっかくですね 天草に伝わった イチジクっちゅうとが廃れてしまうと➡
ちょっと悲しいかなと思って。➡
そやけん まあ 自分んとこだけでも 残せていけたらなあって。
7年前 運送業から転職した森さん。
耕作放棄地を借りて 独学で 南蛮柿を作り始めました。
(森)いまいちですね。➡
誰に教わるって その 作ってる品種が違うので。➡
収穫量は今年は多かやろ? って 先輩が言われても 僕 少ないって…。
森さんのこだわりは 自然栽培の南蛮柿。
農薬も動物性堆肥も使わず 下草には ハーブを植えています。
アップルミントです。 アップルミント 匂いが強いので➡
タヌキが来なくなりましたよね。
収穫は 完熟ぎりぎり待ってから。
(森)開きすぎて ひょっとしたら もう あしたの朝には➡
ダメになっとるかもしれんですけど。➡
う~ん。 あしたの朝まで置いとってみましょう。
一般に売られるドーフィンより 実のつきが少ない南蛮柿。
皮が薄く 日もちもしないので 栽培する農家は ごく僅か。
(森)触るだけで 皮がつるんと 破けるとですよ。 熟したやつはですね。
完熟 やっぱ 何でもおいしいので。
採ったら すぐに 注文先に送ります。
新米農家の森さん。
南蛮柿でも収穫量を稼ごうと➡
丘の上に 畑を切り開きました。 しかし…。
(森)ここは実際に 実が あんまり なってないので。➡
どうしたもんかな~って。 う~ん 考えてますよね。➡
何で… 原因が分からないです。
はかない抵抗 育たない果実。
まだまだ勉強不足ですよね。
森さんの農業のきっかけは アトピーに苦しむ 一人息子でした。
最初は 無農薬の野菜とハーブも。
息子の症状が落ち着いてから 南蛮柿だけの農家へ。
作業場には 日本にイチジクを持ってきたという➡
メスキータ神父の手紙が。
秀吉の禁教令で 神父は天草から去り➡
ヨーロッパに伴った少年たちも➡
一人は 信仰を捨て 一人は 処刑され…。
イチジクだけが 天草に残りました。
これが うちにかかってる しめ縄です。
季節外れの しめ縄。
(森)ずっと1年間 飾りっぱなしです。
キリシタン弾圧があった時に➡
うちは キリシタンではありませんよ という合図で➡
ずっと しめ縄を 飾ってるっていうふうな。
今も続く風習は ひそかな抵抗の記憶。
おはようございま~す。
森さんが 冬に せんていを手伝っている岡村家は➡
江戸時代以前から続く旧家です。
(岡村)今年は早いです なるのが。 (森)あ そうですか。
ただ ⅓ぐらいですね。 大きさがですね。
雨が多いもんだから。
中庭に 立派なイチジク。
(岡村)食べてみませんか? いっぱい なりよる。
(森)そうですね。
イチジクの木はですね もう一本あったんですよ。
そっちは イチジクって うちのじいさん 言いよったんですよね。
これだけ イチジクじゃなくて 南蛮って言いよったんです。➡
普通のイチジクと 型が違うんですよね。
(森)この辺りが 紫色なんですよ。
一緒ばい。 味は うちのと。 ほ~。
(森)こう ほんと しっとりしとる。 うん。
(岡村)まあ 江戸時代からあるのは 間違いないですね。➡
ヨーロッパの方からですね➡
天草に持ってきた イチジクなんだっていうことですね。
岡村家の古い南蛮柿。
森さんは その枝をもらって 自分の畑に植えました。
10本ほどの若木が根づいています。
その 歴史といいますか それを大事にしたいなと思いますし➡
最終的には これだけに やろうかなと思ってるんですよ。
これを増やしていこうと。
いつかは 果物屋の店先に この味を。
それを目がけて 買いに来て下さる お客さんがおられたら うれしいですね。
小さくてもいいですから 南蛮柿と書いて頂ければ➡
なお うれしいです。 アッハッハッハッハッハ。
今は 品種の説明もない 店先のイチジク。
南蛮柿のひそかな抵抗に 乞うご期待。
(女性)今日はね ちょっとお医者さん。 (大輝)いってらっしゃい。
(女性)今日は涼しくて いいね。 (千鶴子)ねえ 今日はねえ。
(女性)ほんとに楽。 暑いと もう。
はい ありがとうございました。 (女性)どうもね。
おはようございます。 おはようございます。
(女性)このピオーネ おいしそうだね。➡
でも やっぱり こっちの方がね。 どれにしようか。
(大輝)シャインマスカットとかも 普通に買っていきますね。➡
値段出しても買うっていう。
スナックとかあるんで そこのママに持ってったり。
近くの焼き肉です。 焼き肉屋さん。
はい。 すいません。
クラフトビールを メインで扱ってるお店で➡
レモンサワーを 自家製で仕込んでます。➡
うちの売り上げの50パー これで持っていく。 ハハハハハ。
♬~
♬~
♬~
おじいちゃん おばあちゃんち 泊まり行くっつったら ここになるんで。
(鈴の音)
ほんと これ1枚しかないです。➡
これ お店の 冷蔵庫 置いてるところ。➡
1歳にもなってないですよね 多分。➡
育ててもらったんで 周りも 果物屋さん なくなってる中で➡
果物屋を残したいなっていうのが 心の中にある。
♬~
♬~
それこそ あれですもんね➡
4時ごろから みんな動いてるんですよね 朝からね。
ほんとに 取りたて 取れたての…。
(佳央)桃樺ちゃん。 桃樺ちゃん。
うちの娘です。 今 10か月です。
(大輝)桃樺です。 うちのイチオシが桃なんで➡
「桃」 付けようと思ってました。
(千鶴子)桃樺ちゃん ブドウ食べたの?
はい。 あ~ん。
うん おいちい。
おしまい。 おしまい。 おしまい。
ないない。
(大輝)もう ないよ? ない。 ない。
ウ~…。 もう ない。
うま うまうま。
(千鶴子)どうも ありがとうございました。 どうもね。
フフフッ やってみます はい。
これからは 栗だろうね。 梨が出て その前にブドウが出て。
(大輝)果実です。 基本的に…
そうだよな。
ねえ? はい どうも。
中山道の宿場町…
古くから栗の産地です。
街道沿いには➡
江戸時代からの 老舗が並んでいます。
「すや」は お酢を売ったお店。
「川上屋」は 鍛冶屋から始まりました。
今は どちらも 栗のお菓子が自慢の和菓子屋です。
中津川の名物 栗きんとんは➡
おせち料理に出るものではありません。
栗の身を出して 再び 栗の姿に戻すという➡
素朴な お菓子。
野生のしば栗が豊かだった この土地。
栗は 米が作られるまで 日本列島の住人の主食でした。
今は 世話がしやすいよう➡
樹高を低く仕立てた畑で栗拾い。
原 忠男さんは 秋になると毎日➡
和菓子屋に 栗を卸しています。
落ちてるのを みんな拾ってしまいます。➡
あまり ほかっとくと 新鮮さが なくなっちゃうと。
栗は 落ちた時が食べ頃。
どうかすると 直撃 受ける時もあります。 ハハハッ。
イガごと。 痛いですよ。
「丹沢」。
丹沢という種類で 栗きんとんに好ましいです。
出荷できないものを 蒸し栗にしました。
ここ 色が悪いで。
まあまあやな。 おいしいよ。
(公子)何かに こう ほじり出して それに お砂糖を入れて煮るというか。
おじいさんの代から やっとったもんで。 フフフフッ。➡
きんとんっていうと これになるわけ。
栗きんとんは 昔 どの家でも作りました。
明治の頃から 和菓子屋でも売り始めます。
ああ いいですね。 色艶もいいし。
忠男さんの親戚 原 善一郎さんは 老舗和菓子屋の4代目です。
(忠男)それと あの 丹沢が もう終わりかけますので。
(善一郎)いい栗やわ。 (忠男)おおきに。
(善一郎)大粒やし。
生菓子の栗きんとんは 栗が落ちる季節だけ。
秋は 街道の町のかき入れ時。 この日の目標は 2万個です。
練った栗を 茶巾でキュッと絞って➡
栗の実のとんがりの 出来上がり。
力を入れ過ぎてしまうと➡
食べた時に かたい食感になってしまいますので…
(潤一郎) 程よい力加減で絞ることが 難しいですね。
中津川では 18軒の和菓子屋が 同じ栗きんとんを看板にしています。
(善一郎)こんにちは~。
江戸創業の老舗仲間。
(善一郎)どうですか 今年の栗の調子は。
栗は… ものは いい感じはありますけど➡
なかなかの お値段の方が… っていう状況です。 そうやね 品薄やね。
前田さんとこの栗きんとんが こういうふうになってますね。➡
大体 見た目は どこのお菓子も一緒なんですよ。
(前田)栗を栗のまま どうお伝えするか。➡
なぜか同じ味が 絶対 どこのお店も出ない。
だから けんかしないんでしょうね。
オープン5年目の 新しいお店。
年は 結構 食っとるんやけど。 アハハハッ!
中津川は特殊だなと思って。
どこのお店も よく似ています。
(祝詞)
9月9日は 重陽の節句。
中津川では 「栗節句」と呼んで➡
和菓子屋が集まり 豊作と商売繁盛を祈ります。
(神主)「栗きんとんは いとも好まれたまいてんあり」。
今年は ちょっとした余興が 加わりました。
当ててみましょうと。
どっちか分かるか? 見て。 僕 全然 分からん。
1番。 1番で。
1番! (笑い声)
≪正解は! ≪仁太郎さんです。
≪美濃屋さんです。 ありがとうございます。
≪ヤマツさんです。 正解です。
川上屋です。 え~ ここ 8番?
≪7番いますか? はい。
松葉さん? 松葉です。
≪7番 はい。 ≪川上屋さんです。
一番 間違えちゃいけない! そこ 大事なとこですね。
もろ間違えた!
駅前では 栗きんとんが配られます。
かつて 中山道を行く旅人に 焼き栗を分けたように。
誰が絞った きんとんか。
和菓子屋さん自慢の栗は 甘くてやわらかい 秋だけのプレゼント。
フフフッ どう?➡
甘くて おいしいね。
おいしい!
口の中が 収穫祭だ。
みずみずしさが 体を駆け抜ける。
暑い夏を乗り越えた 僕らへのご褒美。
とことん 甘えてやる。
♬~
玄界灘に浮かぶ島…
最北端の漁港 勝本に➡
「朝市通り」と呼ばれる 商店街があります。
朝7時前。 一番に店を開くのが 果物屋さん。
一番ですね。
島の果物屋…
ここへ ず~っと ずらっと 場所取りでね。
一番乗りの 商いさん。
ニラね。 切りごぼう 手切り。 フフッ。➡
生しいたけね。
みんな こう いつも固定の 大体ね。
また別の 商いさん。 さつまいもと かぼちゃです。
ハハハッ おはようございます。
そして もう一人。
なぜか 果物屋の周りに 集まってきます。
コロナ 注射したけぇ。 ああ そうやったん。
(下條)昨日 何で休みかなあと思いよった。
そうじゃなかったばってんな 昨日1日は もう。
野菜…。 うわ~ おおけな。 ハッハッハッ。
よか? ありがとう。 後で 入れもん 持ってくる。
早速 売れています。
しいたけ。 しいたけ ある。 ある?
数的には入っちょる。 うん これがいい。
商店街や港町の人が お客さん。 時には 商いさん同士も。
アスパラ。 アスパラ?
毎朝 お昼まで。
それぞれ 家にできるものを 持ち寄っています。
江戸時代 海のものと山のものを 物々交換したのが 朝市の始まり。
閉ざされた島の暮らしを 潤してきました。
壱岐の 3つの港町でにぎわった 朝市は➡
車と大型店の登場で消え 今は 勝本港だけに残されています。
昭和の朝市は この にぎわい。
今は おしゃべりが楽しくて商い。
うんうん やっぱ もう 足悪いし…。
梨でも みかんでもね。
今は なんもない。 この前から 梨のあったけどね。
うちも 柿はありますね。 いっぱい なってます。
柿の木があるという…
今年 米寿。
住んでいるのは 海から坂を上がった山の中。
往復 1時間歩いて 毎朝 商いに。
(中原)あれ。➡
これ1本です 柿の木。
それが楽しみ。
秋が待ち遠しい サチコさんの柿。
もう一人の商いさん…
甘夏の…。
(有田)ヘヘヘッ 大きいでしょ? 最初は ずっと ならんかったと。➡
何のなるとやろっちゅう思ったら 甘夏やった。
幸子さんの甘夏。
実は 果物屋に売っています。
下條果物では 季節のジャムを作っています。
次男坊で後を継いだ 明博さんが始めました。
あっ テント きれいになったわ。 みんな 見て。
明博さんは 店先の様子を 知り合いに ライブ配信しています。
昨日からね 「西村早生」って中が黒いやつ。➡
これも ジャム作るけん ジャム 焦げ茶色になるよ。
この おばちゃんたち いなかったら➡
もう ほんと シーンとした商店街なんで。
商いさんが登場することも。
サチコさんの梅干し。
きれいな梅干し。➡
これを あの ジャムとか果物と一緒に送るんですよ。
注文で。
(明博)この人が。 大層もなかばってん もう。
(明博)めっちゃ…。 この前よか あるかしら。
(明博)めちゃくちゃ おいしかったって。 あっ そう? フフッ。
(明博)また よろしくお願いします。 はい はい。
持ちつ 持たれつ。
島の果物屋の周りでは 今日も 立ち話の花が咲く。
果物王国といわれる 山形。
最上川の恵みを受けて➡
豊かな果樹が育ちます。
お彼岸が近づくと 店に並ぶのは あまり見かけない紫色。
全国の森に自生する アケビ。
白田甲子郎さんは 40年前➡
裏山で 野生のアケビを掘り出し 畑を作りました。
昔は 薪用に きれいに切るんですよ。
そうすると 木が若くって…
冬の備えに 森で薪を取っていた時代。 山仕事に疲れると…。
日が当たらないんで 伸びられない。
あのころは やっぱり 今と違ってほら おやつなんて もう ないし➡
あったとしても お金がないしね。➡
だから 山に行って アケビを食べたのかなと思いますね。
そう 貧しかったですよ うん。
あ~あ~ なってる。➡
なってた。➡
これから 色づくんですね。 ねっ ほらこれ。 うん。
(甲子郎)何でも 野生のものを改良して➡
いい品物に作りかえたっていうかね うん。
りんごにしろ 梨にしろ。
最上川に霧が立つと 秋。
朝夕の冷え込みが アケビを紫に色づかせます。
ブドウ棚の隣には アケビ棚。
森で掘った根っこから 改良を重ね➡
40年かけ 立派なアケビ畑に。
これなんかも ちょっと薄いけども 収穫できる。➡
裏の方まで 紫の色が回ってくれば 収穫OKです。 こんな感じ。
森で食べていた ほんのり甘い中身。
(甲子郎)ほとんど 種の方が多いね。➡
昔の味。 昔はこうやってね 親指で すくって。
種 飲んじゃった。
おいしいよ これ。 甘くって。
高値で売れると聞いて始めた アケビ栽培。
こうやって…
これが ポックリ枯れる可能性も あるってこと。
簡単には手なずけられない 山育ち。
父の代から 時代に合わせて➡
葉タバコ ホップ ブドウと 栽培してきました。
お彼岸の中日。
同居する息子一家と墓参りに。
分家だった父。 畑も何もないところからの出発でした。
最上川流域には いつからか伝わる お彼岸の伝承が。
昔からの言い伝えで…
作っているのは お供えにするアケビ料理。
甘い中身を取り除いて 皮だけを使います。
キノコや野菜を炒めて詰める 郷土料理は…。
アケビの包み焼き。 (笑い声)
ずんだ餅 芋煮。
そして 舟のようなアケビの包み焼き。
(鈴の音)
苦労を重ねたご先祖様の乗り物です。
いただきます。 (一同)いただきます。
お彼岸の食卓も もちろんアケビ。
(甲子郎) ガブッと食べて。
さて お味は?
苦くて あんまり… あんまり好きじゃないです。
(笑い声)
(甲子郎)アケビは このほろ苦いところが おいしいんだよ。➡
大人になってくると分かる。
白田さんの暮らす朝日町は 最上川の難所の一つ。
今は カヌーの人気スポットです。
かつては 川舟で 物資や人を運びました。
甘さと苦さを あわせ持つ果物。
ほろ苦い味わいも 先祖の苦労が 身にしみるのも 年を重ねてから。
今 つくづく そういうふうに。
人生を振り返る お彼岸のアケビ舟。
京都の南 宇治田原町は 宇治茶の産地。
茶畑の中には 点々と柿の木が…。
11月 干し柿の季節が始まります。
この地域にしかない 珍しい干し柿です。
下岡清富さんは 大きな茶園の4代目。
こんな木 何年たってるか 分からへんね もう。
茶畑が先やったんか 柿の木が先やったんか。
茶畑の中に渋柿が実っています。
でも だいぶ減ったけど。
邪魔になるから 切る人も いっぱいいるけど。
今は 扇風機が霜よけを するようになりましたが➡
お茶農家は 代々 茶畑の柿で干し柿を作ってきました。
「古老柿」と呼ばれています。
(清富)これ このまま食べたら おいしいねんけど…
古老柿にするのは 完熟直前。
鶴ノ子という 日本で最も小さい柿の一つです。
収穫は 昔ながらのやり方で。
古代から食べられていた柿。
採り方は 猿をまねたのでしょうか。
♬~
(清富)風強い日もっと揺れる。 しがみついてなあかんぐらい。➡
登ってんの 気持ちいいもんやけどな 慣れたら。
手が届かない所は 竹ざおで下へ。
茶畑が優しく受け止めます。
(久五郎)もう 大方 採れたんか。 (清富)うん。
80歳になる先代も まだまだ達者。
普通の干し柿は ヘタを使って つるしますが➡
この柿は ヘタを取ってしまいます。
古老柿作りは お茶の仕事が一段落した秋。
お茶農家の冬の収入源です。
甘い結晶を吹いた柿は お茶と共に都に運ばれました。
かたいで。 かたそうやな。
味を互いに引き立て合う 干し柿と お茶。
干し柿の甘さ かたさを バロメーターに➡
京都のお茶のお菓子が できたということや。
(清富)これ以上 甘すぎても お茶の味を邪魔するし。
縁起物みたいな。
青い柿を搾って作る柿渋。
茶摘み籠など畑の農具を 水や虫から守ります。
こうやって塗っといたら 長もちすんねん。
しかし 強烈な臭いが。
嫌われ者の柿渋ですが お茶には大丈夫。
稲刈りのあと 田んぼに現れる柿屋。
つるすには小さすぎる柿の寝床です。
下岡家の柿屋は 5階建て。
毎年 親子で建ててきました。
♬~
棚の上で熟した柿は 木枯らしが吹く頃➡
箕の中で踊らせて 甘くなります。
やがて 真っ白な衣をまとって お茶のもとに お嫁入り。
葡萄が実り始める頃➡
山梨県勝沼では 鳥居焼きの準備が始まります。
(生徒たち)おはようございま~す。
平安時代から 盆の送り火として 行われた鳥居焼き。
今は 秋の収穫祭の中に 受け継がれています。
祭りまで2週間。
(男子生徒)う~わ こわ。
急斜面に護摩木の準備に来たのは 地元 勝沼中学の生徒たち。
下界は 見渡す限りの葡萄畑。
日本で最も古い葡萄の産地です。
うい~。 向き逆。
祭りの夜 たいまつを運ぶのは 男の子たち。
(取材者)どっから見たの? この鳥居焼き。 (2人)家です。
家の前 通っていきます。
みんな たいまつ持って➡
掛け声かけて かっこいいです。
護摩木を積み終えた子供たちが 参拝に来たのは 通称 ぶどう寺。
大善寺は 奈良時代の僧侶 行基が開いたと伝わります。
ご本尊は 5年に一度の御開帳。
ブドウを手にした 薬師如来です。
夢枕に立ったその姿を 行基自身が彫ったとか。
鳥居焼きの山も かつては 寺の領地でした。
仏教伝来と共に大陸から来たブドウを➡
行基が この地に運んだと伝わります。
千手観音が手の一つに持っているのも…。
中国で「蒲桃」という 五穀豊じょうの印。
日本では この果物が ブドウと呼ばれました。
参道の両脇に広がるブドウ棚は 大善寺の畑。
住職の井上さんが自ら栽培しています。
このブドウは ベリーAという品種でね。 これは赤ワイン用に。
まあ 今年は 甘いには甘いけども。
これは 甲州ブドウ。 これで甲州のワインを搾る。
ま これは万能薬の薬ですな。 ハッハッハッハ。
これは オリエンタルスターっていう。
お坊さんの畑とは思えないほど 多彩な品種。
でも ちょっと手が足りないけどね。 こういうのは抜かなきゃいけない。➡
粒が そろってない。 とても やりきれないから。
楽しいですよ。 ブドウの木は ウソつかないから。➡
他の果物は 木が自分が負担が多ければ 実を落とすの。➡
ブドウだけは落とさないんですよ。➡
なってるもの全部 実らせようとするから。➡
人間さまは それぞれ 煩悩があるから。 いいブドウ作りたいのも煩悩だし。➡
ブドウに説法されてんですね。
こんなもの着てると ろくなこと 言わないから。 ハッハッハ!
お百姓さんの格好しなきゃ駄目ですね 畑いる時は。 ハッハッハッハ!
こちらが畑にいる時の本来の姿。
今日は説法もありません。
かつて 広大なブドウ畑を所有した大善寺。
小作人を雇って 寺を維持してきました。
戦後の農地開放で 多くの土地を失い➡
寺を離れた小作人たちは ブドウ農家に。
先代住職が 新たに 境内や参道脇を開墾。
井上さんも子供の頃から 手伝ってきました。
秋に参拝客が買っていくブドウが 今も寺を支えています。
よいしょ。
これ いいけ? うん。
孫娘の賀己子ちゃん。 後継ぎに名乗りを上げています。
え 黄色だと うまいの? 黄色い方が おいしい。
将来 住職になるために➡
ちょっと 今のうちに 伸ばしとこうかなって思って。
甘いぞ。 いいの? 食べて。 うん。
甘いだろ。 甘っ!
砂地が多い勝沼は 米作りには向きません。
代わって 斜面に育つブドウが 暮らしを支えてきました。
こういう一升瓶➡
いわゆる日本酒の代わりに➡
この土地で栽培されたブドウからできた…
(新田)地酒といえば ブドウ酒。
大善寺でも ブドウ酒造りが始まりました。
結構甘い 今年は。 甘い。
白ワインを搾るのは 日本で最も古い品種。
ご本尊が その手に持つブドウです。
ここでも 井上さんは自らブドウ酒造り。
大善寺ワインは 参拝客に提供しています。
(男性客)いただきます。
でも おいしいよね。 あ すっごいブドウ!
(女性客)ブドウ酒! って感じ。
ブドウ酒ができると収穫祭。
10月1日。 中学生の代表が 鳥居焼きに たいまつを運びます。
一番前だよね。 先頭で。 そう。
緊張してます。
井上さんもまた 七変化。
あちらは 農家の おっさんでございますから。
(ほら貝)
(太鼓と読経)
ブドウを手にした仏さまと➡
ブドウを育てるお坊さん。
ぶどう寺の礎です。
(読経)
♬~
ブドウ畑の坂道を 子供たちの たいまつが上ります。
♬~
♬~
あ~! あっ!
てか 触ってみ? おっ! 重っ!
♬~
お疲れ お疲れ。 お疲れ~。
≪はい 気をつけてね~。 お疲れ~。
≪お疲れ! みんなお疲れ!
米に代わって 実った果実に感謝して…。
ブドウ酒で見送った 亡き人を思って…。
(花火の音)
ブドウの粒のような満開の花火が ふるさとを包みます。
(花火の音)
どれが一番おいしいの?
ああ じゃあ じゃあ じゃあ これ。 はい。
当たり前じゃないすか。 ハッハッハ! ねえ!
ハッハッハッハッハ!
いや おいしい…
ありがとうございます。 はい はい。
食べようと思って。
今 家族っていうか…
ごめんなさい 五十円玉なくて ごめんなさい。 は~い。
どうも。
大切な人と分け合う ささやかな ぜいたく。
あなたも 一房 いかがですか?
果物を育てた 土と人を思いながら。
♬~
♬~
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