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「君が跳んだ 水たまりへと」
「街の翳が」
「雪崩れてゆくよ」
「不意に 微笑う」
「ただ それだけで」
「胸の棘が抜ける気がする」
「手のひらの上に太陽を乗せて」
「心の暗がり照らし出しておくれ」
「Dreaming Girl Dreaming Girl」
「雨上がりの少女」
「Dreaming Girl 君と」
「めぐり逢えた」
「素敵な奇跡」
「Dreaming Girl」
(のぞみ) 私が お姉さんに ケガをさせてしまいました。
(光子) あなたが? はい。
お墓の現場写真を写したフィルムを
お姉さんが カメラから 抜き取ろうとなさったので つい…。
(光子) つい? 殴ったのがい? いえ 殴ってなんていません。
もみ合いになって お姉さんが転んで 膝を擦りむかれたんです。
(光子) えっ ちょっと…。 まあ あんた どうしてくれんです~?
こっちの弁護士が ケガさせたなんて 負い目 作ったら
戻ってくるお骨も 戻ってこねぐ なっちまうじゃないですか!
(竹永) 本当に すみません。
申し訳ありません!
(光子) 大体 あなた 見習いでしょう!? そこまで出しゃばって いいのかい?
(竹永) いや~ 本当に あの~ 大変 申し訳ないと…。
私の監督不行き届きです。
あの… できるかぎりのことは 何でも いたします。
はい! 何でも させていただきます。 うん。 そんなら
すぐにでも 姉から お骨 取り戻してきておくれ!
(相楽) はい。 これ お使いなさい。
何だ こりゃ? うん? おまんじゅう。
先方のお姉さんのね 好物なんですって。
どうして それを ご存じなんですか? アハハ! ちょっとしたネットワークよ。
お見舞い 行くのに 手ぶらじゃ行けないでしょう?
ほう~。 さすが さすが さすが かあちゃんだね。 ええ?
(相楽) あ~ん その呼び方は おやめください。
いいな? まずは謝るんだぞ。 依頼の件に関してはな
向こうが 心を開いてから ゆっくり切り出す。
まあ それまでは とにかく 頭を下げて 謝り倒すんだ。
でもよ ちゃんと ちゃんと謝れよ。 なっ?
ただ 頭下げてるだけじゃよ 簡単に 見抜かれっからよ。
向こうは 弁護士ってだけで 壁一枚ってとこがあんだからな。
よし…。
よし 行くぞ! 最初は 私のやり方を よく見ときなさい。
(星野) はい。 うん。
はい。 行くぞ。
(信子) 帰っとくれ! 弁護士なんがさ 用はねえ!
待ってください! ひと言 おわびをさせてください。おわび?
昨日は 本当に すみませんでした。 申し訳ありませんでした。
ハハッ!
(竹永) あの~ うちの者が 昨日 大変失礼な振る舞いに出たそうで
本当に え~ 申し訳ございません。
え~ これは なんですけど あの 気持ちですので…。
ああ。 昨日のこと言ってんのがい? はい!
大したことねえよ。 ちょごっと擦りむいただけだ。 大げさな。
あの~ ほんの気持ちですから…。
頂けねえない! いや そう おっしゃらずに どうぞ。
光子の弁護士さんから 物をもらうわけにはいがねえ。 頂けねえ。
これは あの~ 妹さんとは別で 私どもの本当の気持ちですので。 はい。
弁護士さんさ 気持ちなんか あんのかい?
お宅ら ただ 仕事で来ただけだべよ。
待ってください。 今日は 心から おわびを申し上げるつもりで参りました。
ご心配なく。 これしきのケガで 騒いだりしねえがら!
ただし 母の骨は どだごとあっても渡さねえ!
でも… あの… 妹さんも
お姉さんと同じように お母さんのこと 大事に思ってらっしゃるんですよ。
(信子) なにが 大事なもんがい! 一度も墓参りに来ねえで…。
いや あの それはですね…。 (信子) 分がってます。
私が勝手に建て直した墓なんか 見だくもねえって言うんだべ。
(竹永) ええ まあ…。 (信子) 光子さ 言っておぐれ。
「母の骨は 私が手厚く葬りました。
心配だら 自分で 自分の目で 見に来たらいいべ」って。
私が言いてえのは それだけだ。 お帰りくだっしょ!
(竹永) あっ あのあの あのあの…。
(俊一) どうも すみません。 (優) ああ これが印鑑証明ね。
はい。 (桃子) まあちゃん 本当にいいの?
何言ってんだよ。 当たり前じゃないか。
えっと ここへ押せば いいんだね? (俊一) はい。
うん。
あっ! 何だよ?
ちょっと待って。 俊一 あなた 本当に大丈夫なのね!?
優さんに迷惑かかるようなこと ないのね?
大丈夫。 今月さえ しのげれば 倒産は免れるんだ。
来月には 大口の契約が決まっとるで 期限までには 必ず返済できる。 うん。
そう…。 もう いいじゃないか。
さんざん それは確認したんだから。 だって…。
この店が担保になっちゃうかと思うと…。
あ~ 押すぞ。
ああっ! (優) いいかげんにしろよ。
弟のこと信じろよ! はい…。
よし。
これでいいかな? すみません… 本当にすみません!
いや~ ハハッ 愛する桃子の 弟の頼みだからね。 ハハハハ…。
まあちゃん…。 いや~ ふだん いくら ほら
「愛してる」とか言ってもさ いざって時に 何もできないんじゃ意味がないからね。
ハハハハ…。 まあちゃん!
ハハハ… バカだなあ…。
(白井) お疲れさまでした。
あ~ もう どうなってるの~?
お見舞い 一つ 受け取ってもらえないなんて。
はっきり言いますけどね 大事な場面に 修習生を同行させたりするから
話が ややこしくなるんですよ!
(竹永) しかし この件に関しては 最初から この2人に関わってもらってんだから。
(相楽) 大体ね それが間違ってるんです。
いきなり 修習生だけで 調査に行かせるなんて
私はね 早すぎると思いますよ。
だからといって 一日中 ここに座ってよ 判例 読んでてくださいって言うんじゃ
実務になんないだろう?
司法試験の勉強してる時はさ 本しか読んでねえんだから。
まあまあまあ 理想がお高いのは結構ですけどね…。
何だべ そういうことじゃねえだろう? 何だっけ 何だいのう…!
(油座) お邪魔します! 何だよ!?
あっ… どうも! 同期の修習生でございます。
地裁を見学さ行った帰りなんで
ちょごっと 誘いさ 寄らしてもらったんだげんちょも…。
お取り込み中で いらっしゃいました?
それは いきなり 大事件だない。 (早瀬) どこの墓?
それは ちょっと…。 あんた 弁護士の息子だろう。
守秘義務だよ。 守秘義務。 (一丸) しかし おばさん怒らせると
大変だよ。 見舞い 受け取ってもらうまでに 3回
話を聞いてもらうまでに 5回 許してもらうまでに 10回は かかるね。
おばさん 詳しいの? 変な言い方しないでよ。
うち 呉服屋だからね。 女の客の扱いに関しては
7つの時から 仕込まれてきたの。 7つがら!?
やめてよ。 とにかく おばさん なめちゃいけないって言ってんの。
あ~あ 引き受けなきゃよかったかな。
何だ~? もう 気弱になってんの?
気弱になんて なってませんよ。
けど 最初に この依頼 引き受けるかどうか聞かれた時
星野さんが言ったのも 当たってるなと思って。
(油座) 何つったんだい? 星野君。 いや 大したこと言ってないですよ。
親族同士の争いに 第三者が入ると 余計 こじれるから
やめとけって言ったんだ。 (早瀬) のぞみちゃんは?
のぞみちゃん? いいでしょ? 親近感湧くもん。
いいけど。 私は 勝手に お骨を持ってくなんて あんまりだし
自分たちで解決できなくて 依頼に来たわけだから
引き受けた方がいいって。 (怜) 甘いわね それ。
私は 星野さんの意見に賛成。
親族同士って そうやって 争い事を楽しんでるところあるのよ。
他人の介入なんて 単なるスパイス。
それに振り回されて 手間をとられるのは つまらないわ。
まあない。 確かに 親子だ 兄弟だっつって ケンカ始めたら
人に いさめられたって なかなか 収まるもんではないがんない。
うん。 僕も よく兄弟ゲンカしたけど
止めに入ったお手伝いさんに 一緒になって かかってったりしたな。
お手伝いさんなんて いるの? うち 両親とも 弁護士だから。
僕んちも 昔は いましたよ。 えっ?
いや 本当ですよ。 うちの呉服屋は 江戸時代から続いた店なんです。
それが 一連の地上げで 店が潰れて
女房も それがもとで 実家に帰ってしまって
最後は さんざんでしたけどね。 じゃあ それが原因で弁護士を?
そう。 絶対に潰れない 確固たる仕事が欲しくて
一念発起したんです。 (油座) へえ~ あんたも苦労してんだない。
それほどでもありませんけどね。 一人息子の 跡継ぎとして
育てられてきましたからねえ。 一人息子がい。
うん。 星野君 きょうだいは?
俺は 姉貴。 田舎で とっくに結婚してます。
(早瀬) のぞみちゃんは? うちは弟。
あっ 今ちょうど 福島に遊びに来てるの。 (早瀬) へえ~ いくつ?
21歳の バイト暮らし。 情けないやつなのよ。
(油座) いいべした。 若いんだから。 フフッ そうかしら?
小牧さんは?
えっ? いない。
(油座) 一人っ子? じゃないけど…。
いいじゃない 身元調査なんて。
いや。 別に 身元調査するつもりは ないんだげんちょも…。
(安代) ごめんくださ~い。
いらっしゃい! (星野) お邪魔してます。
そろそろ 御飯の支度 始めっかい? おっ 頼む 頼む。
こないだ 喜んでくださったから 今日も タヌキ汁でいいんだべか?
おっ ポンだよ。 ポンだない。
アハハハ! ちょっと待っててない。
はい。 (達也) へえ~ これが…。
(真紀) タヌキ汁…。俺 要らねえ。 どうして?
そうよ。 せっかく 達也が 東京に帰るって言うから
わざわざ もらってきてあげたのよ。 だって タヌキだろ?
(うらら) 男は 食い物に 度胸ねえがんない。 アハハ。
(みどり) 達ちゃんは 特に 女ばっかの中で育ってっからない。
望んだことじゃありません。 (松男) アハハ… 言うない! やんない。
あっ 味方ができたと思って 喜んじまって。
やっぱし うちさ 男がいっと いいない。
どうだべした? 達也君。 いっそのこと こっちで暮らさねえがい?
えっ? あ~ いや 向こうにも バイトありますから。
や~っぱし 駄目がい…。 決まってんでねえがい。
達ちゃんみてえな若い子が こだ 古いうちさ 来るわけないじゃないの!
そうがあ…。 でも まあ 旅行ぐらいなら いいんじゃない?
いつでも おいでよ。 御飯ぐらいなら ごちそうしてあげるから。
フッ 給料 安いくせに何言ってんだよ。 こっちが おごってやるよ。
(すすり泣き) 何? 何だよ 急に…?
きょうだいって いいですね。 私 一人っ子だから羨ましくて…。
そんな 泣くことないじゃない。
(あづさ) ああっ! (薫乃) えっ?
うん? あ~ びっくりした~。 俳句かあ。
本当に 例のもの書いてるのかと 思いましたよ。例のもの?
遺言状。
あれはね あづささんが ちゃんと納得してから書きます。
お義母さん 私 納得なんてしませんよ。 あら させてみせますよ。
しぶといですねえ! まあ そっちこそ!
⚟(優) こんばんは! あっ?はい。
(薫乃) あっ 優?優さん うん。 あら どうしたの? こんな時間に。
えっ? いや これ これ これ。 ちょっとね パウンドケーキ焼いたんだ。
お~ おいしそう! うわ~ おいしそう!
お茶いれるわね。 あっ たまには 私 いれます。
あら そう? 桃ちゃんは?
えっ? ああ ゆうべ あの~ 名古屋から 弟が出てきてね
今 東京駅まで送りに行ってる。
こっちへ寄ってくだされば よかったのに~。
うん。 でも 何か忙しそうだったから。 (薫乃) ふ~ん そう。
あっ! 今月は あれなんだ。 懐かしいなあ。
俺が 高校入った時 親父が 作ってくれたやつだよね?
覚えてるの? バカにしてたくせに。
そういう年頃だったんだよ。
あなたも 変な子ねえ。 えっ?
親が恋しくなったんなら 「ケーキ焼いた」なんて言い訳 作らずに
堂々と来ればいいのに。
よく言うよ。 俺はね 別に 母さんなんか恋しくありませんよ。
おいしい。
いっせ~の~せ! そろわねえ…。
(一同) いっせ~の~せ。 いっせ~の~せ。
そろった! ああ~!
嵐の前の つかの間の 静けさでありました
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