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「君が跳んだ 水たまりへと」
「街の翳が」
「雪崩れてゆくよ」
「不意に 微笑う」
「ただそれだけで」
「胸の棘が 抜ける気がする」
「手のひらの上に太陽を乗せて」
「心の暗がり照らし出しておくれ」
「Dreaming Girl Dreaming Girl」
「雨上がりの少女」
「Dreaming Girl 君と」
「めぐり逢えた」
「素敵な 奇跡」
「Dreaming Girl」
(リキ) 旅立ちの朝であります。
今日から 1年4か月 我が のぞみ嬢ちゃんは
うららばあさんの待つ福島で 弁護士 検事 裁判官の実務修習
いわば 見習い実習をするのであります
(のぞみ) じゃあ そろそろ行くね。 (あづさ) あら? もう行くの?
うん。 赤松さんとこ 挨拶して 行くから。 あ~ そう。
(薫乃) ちょっと… ちょっと待ってね。 今ね 新幹線の中で食べる お弁当
もう 出来たんだけどね… 待ってね。
いつもありがとう 薫乃ちゃん。 (薫乃) えっ?
ごめんね。 何もかも うちのこと やらせて 全然 手伝わなくて…。
のぞみ…。
お母さんも ありがとう。
結局 この年まで 「おんぶに だっこ」で来ちゃった。
何? 急に…。 (薫乃) ハハハ…。
いつか ちゃ~んと 恩返しするからね!
何 言ってんの! 家族に恩返しなんて いらないのよ!
そうよ。 さあ 行きなさい。 フフフ…。
いった…!
(達也) 似合わねえこと言うからだろ。
あっ 聞いてたの? (達也) 聞こえたの。
もう いつも そうやって 人のことば~っかり気にしてるんだから。
早くしろよ。 えっ?
バイト行くついでにさ 駅まで 送ってってやるよ。
達也…。 早くしろよ。
じゃあね リキ。 いい子にしてるんだよ。
大丈夫。 お休みには帰ってくるからね。
ああ… せめて 言葉が しゃべれたら…
結構 重いな これ…。
のぞみ 気を付けてよ。 風邪ひかないようにね。
いい? うららちゃんに 面倒 見てもらうんじゃなくて
見てあげるつもりで行くのよ。 はい。
「螢の光」 こら 茶化さないの! こら!
達也!もう…。 じゃあ 行ってきます。
うん 気を付けてね。 はい 行ってらっしゃい。
達也!
はあ… 行っちゃった…。
「旅立ちの 背に大いなる 雲の峰」。
いい! 今までの最高傑作じゃないですか お義母さん!本当?
うん! フフフ…。 あっ ねえ あづささん。
今夜ね 2人で懐石でも食べに行かない?
えっ 懐石ですか? うん。
子供たちは みんな こうやって出ていくし
これからは 私たちも 楽しまなくちゃ… ねっ?
そうですね!
(赤松) そうか…。 今日 たつのか。 は~い 行ってらっしゃい。
え~? それだけですか? えっ? それ以外 何があるっていうんだ?
何って… 「頑張れよ」とか 「しっかりやれよ」とか
はなむけの言葉があるでしょう?
フッフフ… そんなこと言われんと 頑張れんのか?
冷たいんですねえ。
せっかく 東京を離れる 一番最後に会いに来たのに…。
(赤松) 何 大げさな。 新幹線で 1時間半だろうが。
あ~! 1時間半でも 私 初めて 東京を出て 生活するんですよ。
そんなこと自慢して どうするんだ? えっ?
世間知らずを 宣伝してるようなもんだぞ。
あっ そっか…。 そうだ。
忙しそうですね。 例の埼玉の事件ですか?
ああ そろそろ 終盤だからな。
手伝いましょうか? いや 結構。
おい! そんなことよりも 自分の勉強せんか。
してますよ…。 本当か?
本当です! やっと 目的地が見えてきたのに
サボったりなんかしません。 ほう~ 目的地ねえ…。
じゃあ… そろそろ行きます。
しばらく会えませんけど お元気で。 ああ… うん。
おい! はい!
よく 来たな。
今頃 何 言ってるんですか?
いや~ よくぞ ここまで 寄り道をしてきたって言ってるんだ。
はい? 君は 行くと決めたら
脇目も振らず 寄り道もせず ひたすら 突っ走るところがあるからな。
いつも そう言われます。
(赤松) フッ 何を 得意気な顔してるんだ。 バカ!えっ?
いいか? 目的に向かって まっしぐらなんていうのは
誇れたもんじゃないんだぞ。 はっ?
そういうやつに限って 周りのことなんか 何も考えんで
あがいたり 迷ったりしてる人間を バカにするところがあるもんだ。
はい…。 いいか? たまには寄り道もしろ
無駄もしろってこった…。 はい。
(赤松) どうだ? はなむけの言葉になったか?
はい。 随分 辛口ですけど…。
フフフ… そうか。 うん。 だったら もう さっさと行け!
はい。 じゃあ 行ってきます。 おう。
あの…。 うん?
いえ… 裁判 頑張ってください。
おう…。
私も 頑張ります。 (赤松) うん。
「たまには 寄り道もしろ。 無駄なこともしろ」。
もっともな お言葉ですが
ずっと後になって この言葉が
のぞみ嬢ちゃん そして 赤ゲン本人の心に
大きく そして 痛く響いてくることに なろうとは…。
この時は もちろん 誰も 知らなかったのであります
(うらら) 「きっと 帰ってくるんだと お岩木山で」
(みどり) 母ちゃん。 まだ そこ 掃いでんの?
そだ。 遠来の客 迎えっ時は 玄関は 清めてやるもんだぞい。
姉ちゃんに のぞみちゃんを 客扱いすんなって言われてるくせに。
はあ… よろしくね。
(竹永) 南田さ~ん! 南田さん!
(竹永) 南田さ~ん! 南田のぞみさんは いませんが?
は~い! 私です!
あんたが 南田さん? はい。
ああ そうですか。 私 竹永です。
あなたが 最初に 弁護修習につく弁護士だね。
あっ 竹永先生ですか? ああ 昨日は 電話をどうも…。
あっ いえ… これから よろしくお願いします。
わざわざ お迎えいただきまして 申し訳ありません。
いやいや… いいんだ いいんだ…。
あなたをね 迎えに来たわけじゃないんだ。 はっ?
私ね これから庭坂までね 緊急な件で 依頼人と会わなきゃ いけないんだよ。
ああ そうですか。ところがね もう一件 緊急な件があるんだ。
今晩7時に 打ち合わせがあるけどね もう一人の弁護士がね 出払っててね
文献集めにね もう 手が足らないんだ。
だからね あなた 今すぐ うちの事務所へ行って
夕方 私が帰るまでにね やっといてもらいたいんだよ。
はっ? 今からですか? いやいや 分かっとる。
本当は 勤務は明日からだよ。 でもね 地方はね
何でも そう きちっきちっとは いかないんだよ。 分かるね? ねっ?
はい!あっ じゃあね これ あの~ 事務所の地図と
それから… タクシー 1メーターだから これで行って。
急いで。 ねっ よろしくね! はい!
(発車のベル)
(白井) あなたが 修習生? はい。 4か月間 お世話になります。
事務の白井です。 よろしく お願いします。
挨拶は結構です。 どうぞ こちらへ。 はい…。
お仲間の到着ですよ。 (星野) よう。
星野さん もう 着いてたんですか?
(星野) 俺 3日前に こっち 入ったから。 じゃあ あとは お二人で頼みますよ。
何か… あんまり 歓迎されてないみたいですね。
まあ 修習生なんて 足手まといだからな。
はあ…。 (星野) まあ 仲よくやろうぜ。
同じ事務所に配属された以上 反目してちゃ しょうがないからな。
ええ… はい。 よろしくお願いします。
文献集めの方は 大体 終わったから 判例の方 手伝って。
事案は 借地契約の更新解除。
(優) 懐石? 実は 今日ね
2人で懐石 食べに行くつもりだったの。 そう…。
そしたらね 上野の椿亭が休みだったのよ。
な~んだ。 それで うち 来たの?
(桃子) でも どうして 急に 懐石なんですか?
のぞみが行っちゃって まあ ほっとしたってとこ。
ねっ お義母さん?そうね。 フフフ。
まあ それにね… ちょっと あづささんに ゆっくり 相談したいことも あって…。
あっ ちょうど よかったわ。 優たちもいて。
何? 母さん。
相談っていうのはねえ…
遺言のことなの。 遺言!?うん。
私ね 遺言状を書くことにしたのよ。
あづささんに あの家と土地を譲ることに決めたの。
えっ? (優) 母さん…。
(薫乃) 嫌なの? いや 嫌ってことはないけど…
どうしたの? 急に。 急じゃないわよ。
ず~っと考えてたのよ。 もしも 私が ポックリ死んだら
あと どうなるんだろうって…。 (桃子) どうなるんですか?
そりゃあ あなたね 法的には
あの家と土地は 徹と優のものになるのよ。 でも おかしいと思わない?
20年も 家を出てった者に 家と土地が行って…
20年間 一生懸命 家族を養ってくれた者に
1円も行かないなんて…。 いいんですよ お義母さん。
よくありませんよ! 例えば 私が 今 ここで
優が作ってくれたハンバーグ 喉に詰まらせて 死んだとするわね。
(優) ちょっと 変な たとえ するなよ! お葬式には 徹が来るでしょう?
そうすると あなたたちは
「どういうふうに あの家と土地を 分けようか」って話すわよね。
もう~ ちょっと やめようよ そんな話。 (薫乃) 大事なことじゃないの。
ねっ? もし そんなことで もめたら あづささん いられなくなっちゃうわよ。
病院 畳んで 出ていかなければ ならなくなるじゃないの。
だから 私は… あづささんが 誰にも気兼ねなく
病院を続けていけるように しといておきたいのよ。
そうしてあげたいの。 だから 遺言状には
家と土地は あづささんと のぞみと達也に譲るって書いとく。
そうすれば ほら あづささんが のぞみたちに譲る時に
ねっ 税金も省けるし
まあ 達也もねえ そんなことでも しとけば
少しは 自覚というものも 出てくるんじゃないかなと思ってね。
はあ~ 本当に考えたんだな。
そうよ。 だから 優… ねっ?
あなたと徹には 相続のことは 諦めてもらいたいの。 いいでしょう?
ああ いいよ。 もともと 俺 ほら 親の財産なんか 当てにしてないもん。
駄目よ。 そんなの 絶対駄目です! (薫乃) あづささん…。
土地とか家は 親から子が 引き継ぐもんです。
あづささんは 私の 実の娘みたいなものなのよ。
でも 実の娘ではありません!
まあ~ 人の気も知らないで。 だって…。
ちょ… ちょっと やめてよ! 財産 譲り合って ケンカして どうするの!
ああ のぞみ嬢ちゃんが 出ていった早々
またもや 事件が勃発です!
あっ のぞみ! ハハハ のぞみ~!
来たよ~!
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