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(のぞみ) キャッ!
助けて… 誰か~!
「君が跳んだ 水たまりへと」
「街の翳が」
「雪崩れてゆくよ」
「手のひらの上に」
「太陽を乗せて」
「心の暗がり照らし出しておくれ」
「Dreaming Girl Dreaming Girl」
「雨上がりの少女」
「Dreaming Girl 君と」
「めぐり逢えた」
「素敵な奇跡」
「Dreaming Girl」
(赤松) 俺は 弁護士だ。
ここに来る人間は 近所のおやじに 人生相談に来るのとは違うんだぞ。
法律的な解決を求めて 来るんだ。
(ノック)
はい。 どうぞ。
(静江) ああ。 あなただわ。 ねえ あなた 言ってくれましたよね?
あの… 「話し合えば 方法はある」って。
ねえ 先生! 言ってくれましたよね?
私 先生じゃないんです。 ここの事務をして…。
いえ そんなことは どうでもいいんですよ!
ねっ 言ってくれましたよね? (寺島) 言ったんですか?
まあ どうぞ あの… お掛けください。 さあ…。
今 お茶を…。 (寺島) お茶なんか要りません。
さっきの質問に答えてください。
はい…。 (寺島) 本当に言ったんですか?
だとしたら どういう法律なのか どういう条例なのか
説明していただきたいですね。 ねえ どうなの?
座って。 言って! はい…。
座らなくていい。 彼女は うちの事務員です。
弁護士では ありません。 彼女は 軽い気持ちで
「お話をすれば 道がある」と 答えたかもしれませんが
法律上 そこには 何の裏打ちもありません。
私が不在の上に うちの従業員が 不用意な発言をしたことを
おわび申し上げます。 申し訳ありません!
じゃあ あの 「話し合えば 分かってくれるかも」って言ったのは…。
すみません。 そうであればいいという 希望的観測で…。
ええ~? ごらんなさい!
ごめんなさい。 (寺島) いや~ しかし 人騒がせな事務員ですねえ。
いや~ おかしいと思ったんだ。
拾った犬をネコババしてもいいなんてのは どこの条例にも 見たことないからね。
ネコババ!? そうじゃないですか。
法律には お詳しいようですな。 (寺島) ええ まあ。 商売上ね。
ご商売は ペット…? ええ。 まあ ブリーダーです。
(赤松) ああ ブリーダー。 いや~ 私は そういうの とんと 疎いもんですから。
いや~ 血統書付きの猫や犬の 掛け合わせとか 売買をやるんですよ。
ほう…。 さあ!
じゃあ 本当の弁護士さん 立ち会いの下で 返していただきましょうか。
ちょっと… 返しなさいよ。
弁護士さ~ん 何とか言ってくださいよ。
この人には 何の権利も ないんですよね?
(赤松) ええ。 そうです。 所有者は あなたですから
河合さんは こちらに 犬を返さなくてはなりません。
(寺島) ほら…。 返しなさい。
(犬の鳴き声)
あっ いてっ! いてえ…。 (犬の鳴き声)
チビ…。 ケッ。 貧乏くさい名前付けやがって。
犬自身は こちらを主人だと 思ってるみたいですねえ。
それが何だって言うんですか。 私ら そりゃ商売ですからね
いちいち 全ての犬に 優しくなんか してられませんよ。
それが仕事なんです。 分かりました。
河合さん 法律上 所有者は こちらですから 犬を返してください。
(犬の鳴き声)
んっ… ヘヘヘヘ…。 (赤松) それで いいんですね?
ええ まあ。 こっちは 返してさえもらえれば…。
何しろ 商売道具ですから。 ヘヘヘ…。
(赤松) そうですか。 じゃあ 今度は 次の話をしましょうか。
次の話? 今度は 所有者のあなたが
拾得者に 報労金として 最低5%から 20%の金額を
渡さなくてはなりません。 それは まあ 知ってますけどね。
それと 河合さんは 事故に遭ってる犬を拾って
動物病院に 連れていかれたそうです。
その治療代を あなたは 返還しなくてはいけません。
治療代? ええ。 どれぐらい かかりました?
8万円です。 あの… あんまり高くて びっくりしたのを覚えています。
8万円… ほう…。
この犬の品種は 確か ポメラニアン… ですよね?
え… ええ…。
…となると 売買する場合の 相場というのは 最低でも 20万円。
報労金の上限をとると 20万の20%で 4万円。
合計すると 約10万円は あなた 河合さんに 支払わなくてはなりません。
そんな! あのね 事故の傷のある犬じゃ 商売になるかどうか分かんないんですよ。
そこんとこ考えていただかないと。 いや~ それは できません。
報労金と治療費を あなたは 支払う義務が発生したんですから。
そう杓子定規なことを 言われましてもねえ。
(赤松) 法律っていうのはね 杓子定規なものなんですよ。
でもね あの これでも 商売なんですから…。
(赤松) じゃあ… 放棄しますか? えっ?
いや その所有権を 放棄したら どうですか?
そうすれば あなたは 払う義務が消滅するんです。
(優・小声で) 今 ちょっと 俺 行ってくるから。
はい。 お待たせしました~。 はいはいはい…。
どうしたんだよ~。 おい 浮かない顔して。 うん?
いや だって 昨日は あんなに威勢が よかったじゃないか。
失敗しちゃったの。 赤ゲン先生んとこでか?
…んな 失敗なんか 誰にでもあるんだからさ
食べて 元気出せよ。 ねっ?
(星野) そう落ち込むなよ。
犬は おばあさんのものに なったんだから。
何だか 怖くなっちゃった。
私のひと言で 人の人生 変えることが あるんだもんね。
(星野) まあな。
ありがとう! 何だよ?
私が 「法律だけが解決策じゃない」って 言った時 味方してくれた。
「人を守るはずの法律に 人が 苦しめられるようなことがあるなんて
おかしい」… な~んて かっこよかったですよ。
思わぬ援軍に うれしかった。 別に 味方したわけじゃないよ。
あっ そう。
俺の親父さ… 10年前に 有罪判決 受けたんだ。
えっ? 北陸の建設会社に勤めててね
バイパス道路造る時 政治家に 100万の賄賂 贈ったのを
検察に摘発されてね。 まあ 会社の命令で
金の運び役を押しつけられたんだけど 親父一人が起訴されて
おまけに 会社からは 親父の独断で やったことだって
贈った100万の損害賠償まで 請求されてさ…。
懲役2年 執行猶予3年。 会社は 懲戒解雇されて
きっちり 金まで払わされたってわけ。 そんな…。
まあ 早く言やあ はめられて 詰め腹 切らされたんだよな。
控訴は しなかったんですか? 俺は 勧めたよ。
でも 親父は これ以上 他人に引っかき回されて
神経 すり減らすのは嫌だって 聞かなかった。
それで 星野さん 弁護士を? そう。
他人に任せるのが嫌なら 俺が 裁判のやり直しを要求して
親父の名誉を回復してやろうと 思ったんだ。
そうだったんですか…。
うまくいくと いいですね。
(純一郎) こんばんは。 (桃子) あ~ いらっしゃいませ。
純ちゃん!よう! こっち おいでよ。
星野さん いいでしょ? どうぞ。
ああ… お久しぶりです。
配達かい? ええ! 今 やっと終わったところ。
へえ…。 え~っとね 16文ハンバーグと ピラフ!
はいよ。 は~い。
配達って…? ああ… いや 今ね
親父の後 継いで 会社やってんですよ。
いや もう シッチャカ メッチャカで。 なっ?
うん。 これでも 社長さんなんだって。
親父さん 病気? あ~ いや…
会社 潰れて おかしくなっちゃったんですよ。
裸一貫で 財産築いた人なのに 再起できないんですよ。
だから まあ 俺が 会社 立て直して 元気つけてやろうと思って。
ふ~ん 偉いね。
星野さんだって 偉いじゃないですか。
あ…。 何か あったの?
うん。 話しても いいですか?
やめれば? 今の話 ウソなんだ。 えっ?
全部 ウソ。 作り話。
君が あんまり しつこく どうして 弁護士になりたいのか聞くから
それらしい話をしただけ。 ウソでしょ?
すみません お勘定 お願いします。 (桃子) あっ は~い。(優) はい。
ねえ ウソでしょう? 私が無責任に 「偉い」なんて言ったから
怒ったんですか? どうして 俺が そんなことで
怒んなくちゃいけないの。
君 落ち込んでたから 座興やってやったんだ。
あんまり うぬぼれない方がいいよ。
人が 自分の話で 一喜一憂すると思ったら 大間違いだ。
私 そんなこと思ってません。 いや。 君は どっかで 自分が
太陽だと思ってるところがある。 太陽?
皆が 自分に注目するって 思ってるってこと。
そんな!
弁護士って 脇役に回ることが ほとんどだから
今から覚悟しておいた方がいいぜ。
(桃子) あっ はい。 ごちそうさま。ありがとうございました。
何よ あれ! もう…。
おはよう!(あづさ) おはよう。 (薫乃) おはよう。
のぞみちゃん 手紙来てたわ そこ。 あっ サンキュー。
忘れてた。 ごめんなさい。 あっ!
(あづさ) 何? 司法研修所から。
修習地内定の通知だと思うんだけど。 早く 開けてみなさいよ!
うん…。 (薫乃) ああっ!
あ~ うららさん このマヨネーズ 入れちゃったんですか?
(うらら) んだ。 悪がったのかい?
自分の鼻 信じらんねぐなっだら 主婦も引退だべ。
またやってるの。 (薫乃) 福島ではね ものが もつかもしれませんけど
東京は空気が悪いし エアコンは エアコンで
部屋中が密封状態ですからね ものが 腐りやすいんですのよ。
ええっ!? うん?
どうした? 福島だ。えっ?
実務修習地 福島になっちゃった。 えっ どれ…。
本当だ!
(達也) あらら…。 ああ ショック~。
せめて 静岡か 甲府には 引っ掛かると思ってたのに
よりによって 一番最後に書いた 福島とは。
いいんでねえかい。 福島は いいとこだぞい。
あっ そりゃ いい所ではありますけど…。
おばあちゃん ついでっでやっか。 (3人) えっ?
一人では物騒だし 飯炊きも 要るべした。
1年半 付き添うから!
うららさん? 福島へ行かれるんですか?
う~ん そういうことに なるわい。
あら~ 寂しくなるわ。
よく言うよ。 たった今 ケンカしたじゃんかよ。 なあ?
あら 本当よ。 私ね うららさんがいたから
いろんなこと 乗り越えられたとこ あるんですもの。
(うらら) 薫乃さん 私 また 帰ってくっから。
(薫乃) 本当 うららさん?
(うらら) うん。 本当だども。 (薫乃) 帰ってきてね。
(リキ) のぞみ嬢ちゃんが 本格的に 弁護士修業を始める
実務修習地は 福島に決定! フフフ…。
えっ 何を笑っているかって?
おはようございます! おう。
実務修習地が決定しました。 どこだ?
おはようございます! 最終号が出来上がりました。
それから 実務修習地が決定しました。 うん。
どこですか? えっ そっちは?
星野さんから言ってください。 君から 言えよ。
私が先に聞いたんです。
福島だよ。 第4希望。
君は?
えっ? 福島です。 第8希望。
(笑い声)
あらららら…。 神は いつも いたずらを したがるものなのです。 ワン!
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