All language subtitles for 岸辺露伴は動かない(6)「六壁坂」 - [1920-1920x1080@KFMVFR.hevc10_crf 20][字]_track5_und
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1
00:00:05,606 --> 00:00:09,476
(霧吹きの音)
2
00:00:09,476 --> 00:00:28,829
♬~
3
00:00:28,829 --> 00:00:32,132
(大郷楠宝子)カワイイ…。
4
00:00:34,301 --> 00:00:39,172
あなたは 私だけ…。
5
00:00:39,172 --> 00:00:46,647
これからも ずっと…
ずっと あなたと一緒に…。
6
00:00:46,647 --> 00:00:53,820
♬~
7
00:00:53,820 --> 00:00:56,123
(滴が落ちる音)
8
00:00:57,991 --> 00:01:06,300
♬~
9
00:01:07,801 --> 00:01:10,404
(泉 京香)いよいよですねー!
10
00:01:10,404 --> 00:01:15,609
「六壁坂」の取材!
謎の妖怪伝説とは何か?
11
00:01:15,609 --> 00:01:19,279
いい取材ができるといいですねー。
フフッ。
12
00:01:19,279 --> 00:01:22,182
(岸辺露伴)
本当なら もう行ってるはずだった。
13
00:01:22,182 --> 00:01:24,418
しょうがないですよォ。
14
00:01:24,418 --> 00:01:28,221
原稿 上げたあとで
お疲れでしたもん。ああッ!
15
00:01:31,625 --> 00:01:34,428
別に仕事のせいじゃない…。
16
00:01:37,130 --> 00:01:40,334
回想 (乙 雅三の声)露伴先生…。
17
00:01:41,969 --> 00:01:46,640
六壁坂… 返してッ。
18
00:01:46,640 --> 00:01:48,976
うぐッ… うっ! ぐうっ…。
19
00:01:48,976 --> 00:01:50,911
(剥がれていく音)
20
00:01:50,911 --> 00:01:54,648
ああッ…。
21
00:01:54,648 --> 00:02:00,253
いや~ 編集長が いつにも増して
すごい原稿だったって言ってましたよォ。
22
00:02:00,253 --> 00:02:04,124
「気迫がすごすぎて 怒りさえ感じる」って。
23
00:02:04,124 --> 00:02:07,027
ありがとうございま~す!
24
00:02:07,027 --> 00:02:09,763
読者プレゼント 早く頂けて助かりました。
25
00:02:09,763 --> 00:02:13,467
入稿作業も終わってますし
これで間に合いそうです。
26
00:02:15,268 --> 00:02:19,106
「間に合う」って 何に。
じゃあ 失礼しま~す。
27
00:02:19,106 --> 00:02:22,609
⚟(扉の開閉音)
…ったく。
28
00:02:28,615 --> 00:02:34,955
♬~
29
00:02:34,955 --> 00:02:38,925
(バス運転手)え~ まいど
ご乗車ありがとうございます。➡
30
00:02:38,925 --> 00:02:45,298
このバスは 七ツ杜駅発
六壁行きです。➡
31
00:02:45,298 --> 00:02:51,905
途中でお降りの方は
運転手まで お声がけください…。
32
00:02:51,905 --> 00:03:09,923
♬~
33
00:03:09,923 --> 00:03:12,626
(子供たち)
最初はグー! ジャンケンポイ!
34
00:03:14,261 --> 00:03:19,599
(歓声)
(子供)い~ち に~い さ~ん し~い➡
35
00:03:19,599 --> 00:03:23,603
ご~お ろ~く な~な。
36
00:03:29,276 --> 00:03:31,578
⚟先生!
37
00:03:42,422 --> 00:03:46,626
よいしょっ。
ハァ… お疲れさまで~す。
38
00:03:46,626 --> 00:03:49,963
荷物 この集会所に
置かせてもらえるそうです。
39
00:03:49,963 --> 00:03:52,799
取材基地
ここにしましょう。君 何でいるんだ。
40
00:03:52,799 --> 00:03:57,637
いや~ 先生に早く追いつこうと思って
駅から タクシーで来たんですけどォ➡
41
00:03:57,637 --> 00:03:59,573
先生 遅かったですねッ。
42
00:03:59,573 --> 00:04:02,242
駅長が この村出身だったから
話を聞いていたんだ。
43
00:04:02,242 --> 00:04:04,911
というか 話を聞き終わったら
乗ろうと思っていた➡
44
00:04:04,911 --> 00:04:07,748
1台しかなかったタクシーに
乗っていったのは 君かッ!
45
00:04:07,748 --> 00:04:10,584
…いや そうじゃない。
「どうして来たのか?」と聞いてる。
46
00:04:10,584 --> 00:04:14,454
そりゃあ 担当として
取材に協力するためですよォ。
47
00:04:14,454 --> 00:04:18,458
先生の家も
守らないといけませんし!ハッ!
48
00:04:18,458 --> 00:04:23,163
それに~ 私 都市伝説とか
いろいろ調べてたじゃないですかァー。
49
00:04:23,163 --> 00:04:26,133
何か 六壁坂の妖怪伝説だけ➡
50
00:04:26,133 --> 00:04:31,605
ちょっと感じが違うなァ~って
気がしてきたんですよねェー。
51
00:04:31,605 --> 00:04:34,608
なので
手伝います 取材ッ。
52
00:04:36,476 --> 00:04:39,279
んっ? あの子 何だろ。
53
00:04:39,279 --> 00:04:41,781
これも駅長に聞いたんだが➡
54
00:04:41,781 --> 00:04:45,652
一帯の山林を僕が購入したことが
うわさになってるそうだ。
55
00:04:45,652 --> 00:04:49,523
へ~ さっすが先生。
56
00:04:49,523 --> 00:04:51,525
(息をのむ音)
57
00:04:53,793 --> 00:04:58,298
マズいな…
あれは「お友達」を連れてくるパターンだ。
58
00:04:58,298 --> 00:05:00,567
あ~ あるあるですね~。
59
00:05:00,567 --> 00:05:04,237
君 担当編集として
しっかり仕事してくれよ。
60
00:05:04,237 --> 00:05:09,376
今日は さすがに
読者サービスをする気はない。
えっ?
61
00:05:09,376 --> 00:05:12,913
あ もちろんです。 任せてください!
取材の方も…。
62
00:05:12,913 --> 00:05:14,848
そっちはいいッ。
63
00:05:14,848 --> 00:05:17,350
じゃあ ちょっと行ってきますんで。
64
00:05:17,350 --> 00:05:19,920
ハァ ハァ…。
65
00:05:19,920 --> 00:05:26,259
先生 ハァ… この村 坂ばっかりですけど
「六壁坂」って どの辺ですか?
66
00:05:26,259 --> 00:05:30,096
マップでは 坂の名前までは
出てこないんですよね。当然だ。
67
00:05:30,096 --> 00:05:34,935
「六壁坂村」とは言っているが
実は 「六壁坂」という「坂」は存在しない。
68
00:05:34,935 --> 00:05:36,870
えっ そうなんですかぁ⁉
69
00:05:36,870 --> 00:05:38,805
もちろん かつては あったはずだ。
70
00:05:38,805 --> 00:05:42,809
だが 六壁坂の伝説が
完全なタブーとなって 忘れられた時に➡
71
00:05:42,809 --> 00:05:45,579
坂自体も消えたんだろう。
72
00:05:45,579 --> 00:05:51,384
じゃあ 先生が「破産」するほど
「山」を買ったのって…。ああ。
73
00:05:51,384 --> 00:05:53,620
「場所」が分からないせいだ。
74
00:05:53,620 --> 00:06:00,227
大体… あの辺から あの辺 全部買った。
(京香が息をのむ音)
75
00:06:00,227 --> 00:06:04,564
さすがに
こっち側の集落までは買えなかったが。
76
00:06:04,564 --> 00:06:06,499
いや 当然ですよ。
77
00:06:06,499 --> 00:06:09,236
だが 「こっち側」にないとも
言い切れないだろッ。
78
00:06:09,236 --> 00:06:12,572
そうですけど…
何か 「あて」あるんですかぁ?
79
00:06:12,572 --> 00:06:17,577
まあ 可能性は低いが 駅で聞いたのは…。
80
00:06:23,250 --> 00:06:26,119
♬~
81
00:06:26,119 --> 00:06:29,389
ここだ。
ハァ…。
82
00:06:29,389 --> 00:06:32,259
入れませんよ。
ああ。
83
00:06:32,259 --> 00:06:37,130
だが ここが
この村で一番大きな「坂道」らしい。
84
00:06:37,130 --> 00:06:41,968
ああ… 確かに結構長いかも。
85
00:06:41,968 --> 00:06:46,606
大きな家があって…
そこで行き止まりになってます。
86
00:06:46,606 --> 00:06:50,477
今いるのが ここだ。 屋敷は ここ。
87
00:06:50,477 --> 00:06:53,480
裏に面しているのは 僕が買った山だ。
88
00:06:53,480 --> 00:06:55,949
地図で見ると 改めて すごいですね。
89
00:06:55,949 --> 00:06:59,619
この屋敷は古くて
100年以上 空き家だったが➡
90
00:06:59,619 --> 00:07:03,490
三十数年前に
元の持ち主が戻ってきたそうだ。へ~。
91
00:07:03,490 --> 00:07:07,394
庭も広いし 立派。
92
00:07:07,394 --> 00:07:21,107
♬~
93
00:07:26,246 --> 00:07:29,582
奥様って感じでしたねー。
94
00:07:29,582 --> 00:07:32,252
⚟(子供)いた!
(子供たち)いた~!
95
00:07:32,252 --> 00:07:35,922
先生 ここは私が。 一旦
さっきの取材基地に避難しててください。
96
00:07:35,922 --> 00:07:38,658
こんにちは~。 君たち 村の子?
97
00:07:38,658 --> 00:07:41,561
あれ 岸辺露伴でしょ?
ねえ サイン下さい!
98
00:07:41,561 --> 00:07:43,496
あっ… ちょっ! ちょっとちょっと!
(子供たち)サイン! サイン!
99
00:07:43,496 --> 00:07:46,933
あ~あ~ 分かった分かった!
あっ サインは また今度。
100
00:07:46,933 --> 00:07:49,602
露伴先生 今日
お仕事で来てるから。
101
00:07:49,602 --> 00:07:52,505
ウソだぁ
漫画描いてなかったじゃん。
(舌打ち)
102
00:07:52,505 --> 00:07:54,474
漫画を描くための取材。
103
00:07:54,474 --> 00:07:57,944
そうだ 君たちも知らないかなぁ?
不思議な話。
104
00:07:57,944 --> 00:08:00,213
(子供)学校の怪談とか?
うん! そういうの。
105
00:08:00,213 --> 00:08:03,717
もしかしたら
露伴先生の漫画になるかも!
106
00:08:03,717 --> 00:08:13,226
(村内放送)
107
00:08:13,226 --> 00:08:19,532
心の声 手がかりは やはり
橋本陽馬と 乙 雅三か…。
108
00:08:21,568 --> 00:08:24,604
心の声
走ることに取り憑かれた陽馬は➡
109
00:08:24,604 --> 00:08:28,441
恐らく 六壁坂に入った。➡
110
00:08:28,441 --> 00:08:36,750
…とすると 恋人が発見された場所か
その近くが 六壁坂のはずだが。
111
00:08:45,258 --> 00:08:50,130
心の声 乙 雅三が
交渉に行った地主の家は ここだ。➡
112
00:08:50,130 --> 00:08:55,835
陽馬が 恋人の死体を捨てた場所とは
ルートが全く重ならない。
113
00:09:01,040 --> 00:09:03,043
心の声 「捨てる」…。
114
00:09:04,911 --> 00:09:08,715
乙 雅三も 何か…。
115
00:09:10,717 --> 00:09:15,221
(乙 雅三)「交渉が難航している地主に
また あいさつに行ったら➡
116
00:09:15,221 --> 00:09:20,059
岸辺露伴という漫画家に
全部 売ってしまったという。➡
117
00:09:20,059 --> 00:09:24,230
帰り道には迷うし 最悪。➡
118
00:09:24,230 --> 00:09:28,067
腹立って 土産のメロンは投げ捨てた」。
(風の音)
119
00:09:28,067 --> 00:09:35,375
♬~
120
00:09:35,375 --> 00:09:39,179
乙 雅三は 迷ったんだ。
121
00:09:40,914 --> 00:09:43,817
地主の家から帰る途中➡
122
00:09:43,817 --> 00:09:47,787
どこかに入り込んだとしたら…。
123
00:09:47,787 --> 00:09:54,461
♬~
124
00:09:54,461 --> 00:09:57,464
これは…。
125
00:09:57,464 --> 00:10:04,938
♬~
126
00:10:04,938 --> 00:10:07,607
山道か?
127
00:10:07,607 --> 00:10:24,624
♬~
128
00:10:24,624 --> 00:10:29,429
さっきの屋敷…。
129
00:10:29,429 --> 00:10:35,268
もし この道が 六壁坂だとしたら…。
130
00:10:35,268 --> 00:10:45,311
♬~
131
00:10:45,311 --> 00:10:48,648
⚟先生! よいしょ…。
132
00:10:48,648 --> 00:10:52,152
あの~ ちょっと
サインをお願いしたいって人が。
133
00:10:52,152 --> 00:10:55,989
泉くん… 君 何のために…。
134
00:10:55,989 --> 00:10:58,324
(小声で)さっきのお屋敷の人ですよね。
135
00:10:58,324 --> 00:11:01,227
アポ取らなくても
話 聞けそうじゃないですか。
136
00:11:01,227 --> 00:11:03,596
じゃ 取材基地の方で。
137
00:11:03,596 --> 00:11:07,767
私は 子供たちから 話 集めますね。
結構 いい情報 持ってるんですよッ!
138
00:11:07,767 --> 00:11:10,270
じゃ 失礼しま~す。
139
00:11:20,480 --> 00:11:25,485
(風の音)
140
00:11:29,055 --> 00:11:34,994
改めまして
私 大郷楠宝子と申します。
141
00:11:34,994 --> 00:11:37,630
ぶしつけなお願いで
申し訳ありません。
142
00:11:37,630 --> 00:11:42,635
子供が 本当に大ファンなもので
どうしてもと。
143
00:12:21,174 --> 00:12:26,613
先ほど うちの近くで
先生をお見かけしました。
144
00:12:26,613 --> 00:12:30,483
「うち」というと。
坂上の。
145
00:12:30,483 --> 00:12:33,486
ああ。
146
00:12:33,486 --> 00:12:42,161
何か ご用でしたでしょうか?
別に。 たまたま通りかかって。
147
00:12:42,161 --> 00:12:45,164
ああ…。
148
00:12:48,434 --> 00:12:53,640
この村で 一番古い家柄だとか。
149
00:12:53,640 --> 00:12:59,345
ええ。 まあ… 古いだけの家です。
150
00:13:10,757 --> 00:13:17,096
ご存じですか?
村では ちょっとした騒ぎだったんですよ。
151
00:13:17,096 --> 00:13:22,602
有名な漫画家さんが
村周辺の山を購入されたって。
152
00:13:24,270 --> 00:13:29,776
あれ うちのすぐ裏なんです。
へぇ。
153
00:13:31,411 --> 00:13:36,616
どうして こんな辺鄙な土地を?
気に入ったんで。
154
00:13:36,616 --> 00:13:39,619
こんな 何もないところが?
155
00:13:41,287 --> 00:13:45,591
漫画家にとっては… いろいろと。
156
00:13:47,160 --> 00:13:53,166
いろいろと?
いろいろと ある… かな。
157
00:14:13,586 --> 00:14:16,289
ありがとうございます。
158
00:14:21,094 --> 00:14:23,029
ヘブンズ・ドアー。
159
00:14:23,029 --> 00:14:25,531
(ページがめくれる音)
160
00:14:32,805 --> 00:14:36,509
悪いが 読ませてもらう。
161
00:14:39,278 --> 00:14:41,214
「大郷楠宝子。➡
162
00:14:41,214 --> 00:14:43,783
六壁坂村で 300年続く➡
163
00:14:43,783 --> 00:14:46,686
味噌づくりで成功した一族の➡
164
00:14:46,686 --> 00:14:51,190
ひとり娘であり 跡取り娘」。
165
00:14:53,493 --> 00:14:57,296
「それまで 本社のある東京にいた一家は➡
166
00:14:57,296 --> 00:15:03,102
娘を 空気のいい地元で育てたいと
六壁坂村に戻る」。
167
00:15:05,104 --> 00:15:08,908
坂上にある屋敷からの通園通学は➡
168
00:15:08,908 --> 00:15:13,913
常に 運転手つきの車で送り迎え。
169
00:15:18,251 --> 00:15:22,922
大学は 片道2時間。
170
00:15:22,922 --> 00:15:25,258
おかえりなさいませ。
ただいま~。
171
00:15:25,258 --> 00:15:29,762
それでも 娘を溺愛する両親は
ひとり暮らしを認めず➡
172
00:15:29,762 --> 00:15:33,266
せめてもの自由は…➡
173
00:15:33,266 --> 00:15:37,270
本宅向かいにある 離れに住むことのみ。
174
00:15:37,270 --> 00:15:40,406
⚟(扉の開閉音)
175
00:15:40,406 --> 00:16:27,119
♬~
176
00:16:35,261 --> 00:16:37,597
(釜房郡平)でェ~ッ!
あ…。
177
00:16:37,597 --> 00:16:40,500
楠宝ちゃん。
バイト終わったの?
178
00:16:40,500 --> 00:16:45,471
うん。 あした休みだから
一緒にゴロゴロしよォ~。
179
00:16:45,471 --> 00:16:50,176
ねえ… もっと気をつけて 入ってきて。
180
00:16:50,176 --> 00:16:54,614
見られたら 大変でしょう?
うん…。
181
00:16:54,614 --> 00:17:00,119
ちょっと… ねえ郡平 聞いてんの?
聞いてるよ~ッ!
182
00:17:00,119 --> 00:17:02,822
もう…!
ニャハハ。
183
00:17:04,357 --> 00:17:07,894
そして その翌日。
184
00:17:07,894 --> 00:17:13,065
⚟(ゲーム音)
185
00:17:13,065 --> 00:17:17,236
⚟(郡平)楠宝ちゃ~ん 喉 渇いた。
186
00:17:17,236 --> 00:17:32,718
⚟(ゲーム音)
187
00:17:32,718 --> 00:17:35,087
はい。
188
00:17:35,087 --> 00:17:37,123
ねえ…。
うん?
189
00:17:37,123 --> 00:17:42,395
オレさぁ ここに
引っ越してこようかな。え…?
190
00:17:42,395 --> 00:17:47,934
いちいち 家帰るの
めんどくさいしさぁ。
191
00:17:47,934 --> 00:17:51,404
楠宝ちゃんと
ずっと一緒にいたいじゃん。
192
00:17:51,404 --> 00:17:55,775
何 言ってんのよ…。
そんなことしたら バレちゃうでしょう。
193
00:17:55,775 --> 00:17:59,946
この間 お母様が急に入ってきた時
もう 心臓止まるかと思った…。
194
00:17:59,946 --> 00:18:03,916
だ~か~らぁ 鍵 替えたんだろ?
195
00:18:03,916 --> 00:18:07,620
バレないって。 本宅 離れてるし。
196
00:18:14,060 --> 00:18:20,566
ねえ… それ飲んだら
今日は もう帰ってくんない?
197
00:18:23,569 --> 00:18:26,605
えっ?
198
00:18:26,605 --> 00:18:30,943
今日 休みだし
一緒に ゴロゴロするんじゃないのかよ。
199
00:18:30,943 --> 00:18:35,247
ダメ。
ゲームも かたづけてね…。
200
00:18:38,584 --> 00:18:40,586
(電源を切る音)
201
00:18:43,255 --> 00:18:52,765
なんか…
最近 ずっと思ってたんだけどさぁー…➡
202
00:18:52,765 --> 00:18:57,103
楠宝ちゃん 近頃 なんつーか…➡
203
00:18:57,103 --> 00:19:00,606
冷たくなったよねぇ。
204
00:19:02,708 --> 00:19:07,880
オレさぁ 時々 見るんだよね。
205
00:19:07,880 --> 00:19:11,751
庭で仕事してる時。
206
00:19:11,751 --> 00:19:17,056
ダッセェ男が ダッセェ車で来るの。➡
207
00:19:17,056 --> 00:19:20,860
今どき バブルかよ みたいなさぁ。
208
00:19:22,561 --> 00:19:31,070
で… そいつ来ると 楠宝ちゃんも
おしゃれして 本宅行くよなぁ~。
209
00:19:31,070 --> 00:19:37,576
なーんか まっさかのまさかだよねーッ。
210
00:19:41,580 --> 00:19:43,883
(ため息)
211
00:19:58,597 --> 00:20:01,500
(ため息)
212
00:20:01,500 --> 00:20:04,503
勘づいてるなら 話が早いわ…。
213
00:20:06,272 --> 00:20:11,577
お互い
楽しい思い出だったということで…。
214
00:20:13,145 --> 00:20:16,615
うちのお父様が許すわけないのよ。
215
00:20:16,615 --> 00:20:21,954
私は この家を継いで
守らなきゃいけない ひとり娘。
216
00:20:21,954 --> 00:20:25,291
あなたは ただのバイトの庭師。
217
00:20:25,291 --> 00:20:30,429
春に卒業したら 結婚して
婿養子をとることも決まってる。
218
00:20:30,429 --> 00:20:33,966
あなたの見た ダッサイ男が それ。
219
00:20:33,966 --> 00:20:39,772
でも 家柄は申し分ないし…
何年も前から決まってたの。
220
00:20:41,640 --> 00:20:43,676
だから…。
221
00:20:43,676 --> 00:20:58,691
♬~
222
00:21:00,392 --> 00:21:03,095
やあぁーだよッとっ!
え?
223
00:21:03,095 --> 00:21:05,030
ちょっと! ねえ…。
224
00:21:05,030 --> 00:21:07,399
ウッソォでしょ⁉ 楠宝ちゃん。
225
00:21:07,399 --> 00:21:09,335
分かってるって。
226
00:21:09,335 --> 00:21:12,104
いいじゃん このままで…
別に別れなくても…。
227
00:21:12,104 --> 00:21:16,275
何 言ってんの? ねえ はなして!
もうすぐ来ちゃう。
228
00:21:16,275 --> 00:21:20,146
ハァ ハァ…。
あのダッセェ バブル男が?
229
00:21:20,146 --> 00:21:23,616
いいねェ 見せつけちゃおうぜッ!
オレたちの仲いいとこ。
230
00:21:23,616 --> 00:21:26,285
ダメ… はなしてってばッ!
(たたく音)
231
00:21:26,285 --> 00:21:29,789
あっ! ああ…。
232
00:21:29,789 --> 00:21:33,425
何!!
ああッ!
233
00:21:33,425 --> 00:21:35,361
あ…。
234
00:21:35,361 --> 00:21:38,797
…ごめん。
235
00:21:38,797 --> 00:21:41,600
君が 先に殴ったんだからね。
236
00:21:46,972 --> 00:21:50,810
本当に好きなんだよ…。
237
00:21:50,810 --> 00:21:53,145
このままでいいんだ。
238
00:21:53,145 --> 00:21:58,818
このまま 誰にも内緒のままで。
うっ… やめてッ!
239
00:21:58,818 --> 00:22:02,254
帰ってッ!楠宝ちゃん…。
もう 帰ってよッ!
240
00:22:02,254 --> 00:22:04,190
楠宝ちゃん…!
241
00:22:04,190 --> 00:22:06,592
お金持ってッ! 帰ってってばッ!
242
00:22:06,592 --> 00:22:08,594
(刺さる音)
243
00:22:11,463 --> 00:22:13,465
(高窓修一)失礼します。
244
00:22:15,267 --> 00:22:19,939
(大郷宝生)おお 修一くん
待ってたよ。
(修一)どうも。
245
00:22:19,939 --> 00:22:24,810
(宝生)すぐ楠宝子を呼ぶから
座敷で…。あ…。
246
00:22:24,810 --> 00:22:30,282
僕が行くのは… ダメでしょうか。
247
00:22:30,282 --> 00:22:33,285
(宝生)あ…?
その…。
248
00:22:35,955 --> 00:22:40,292
楠宝子さんの離れに…➡
249
00:22:40,292 --> 00:22:43,996
行ったことがなくて…。
250
00:22:43,996 --> 00:22:49,301
郡平 お願い 早く出てって。
251
00:22:49,301 --> 00:22:51,971
ほんとは私だって あなたと…。
252
00:22:51,971 --> 00:22:54,673
でも 家を守るためには…。
253
00:22:57,843 --> 00:23:00,145
郡平?
254
00:23:04,917 --> 00:23:08,220
ハァ… もう 郡平!
(抜ける音)
255
00:23:09,788 --> 00:23:11,790
(ゴルフクラブが倒れる音)
256
00:23:13,592 --> 00:23:16,495
え…?
257
00:23:16,495 --> 00:23:18,464
郡平…?
258
00:23:18,464 --> 00:23:27,106
♬~
259
00:23:27,106 --> 00:23:29,408
郡平!
260
00:23:29,408 --> 00:23:32,311
(血が流れる音)
261
00:23:32,311 --> 00:23:34,613
ウソ。
262
00:23:34,613 --> 00:23:38,117
え…
また… からかってるんでしょ…?
263
00:23:38,117 --> 00:23:41,787
郡平… フザけないでよ ねえ…。
264
00:23:41,787 --> 00:24:00,572
♬~
265
00:24:00,572 --> 00:24:03,575
動いてない…。
266
00:24:08,247 --> 00:24:12,951
息も…。 ウソッ!
267
00:24:14,586 --> 00:24:17,890
待って… え これって…。
268
00:24:20,259 --> 00:24:23,595
私が殴ったみたいじゃあないのッ!!
269
00:24:23,595 --> 00:24:27,266
え やだ…
郡平… え どうしよう…。
270
00:24:27,266 --> 00:24:29,935
えっ… え… どうしよう!
271
00:24:29,935 --> 00:24:33,272
あ… 救急車… 救急車 呼ばなきゃ!
272
00:24:33,272 --> 00:24:35,607
携帯 どこッ⁉ 携帯ッ!
ハアッ。
273
00:24:35,607 --> 00:24:38,277
あ 待って。 待って待って待って待って…。
274
00:24:38,277 --> 00:24:40,612
混乱してる…。
275
00:24:40,612 --> 00:24:46,318
もし…
もし死んでたら…。
276
00:24:47,953 --> 00:24:55,661
呼ぶのは救急車じゃなくて
まさか 警察のほう?
277
00:24:57,963 --> 00:25:04,236
(玄関チャイム)
⚟(宝生)楠宝子… 修一くんが見えたぞ。➡
278
00:25:04,236 --> 00:25:08,240
こっちに上がってもらっていいだろう?➡
279
00:25:08,240 --> 00:25:11,377
楠宝子!
280
00:25:11,377 --> 00:25:16,215
心の声 ダメ… 私は いない…。
ここには いないわ…。
281
00:25:16,215 --> 00:25:19,918
(扉を開けようとする音)
⚟(宝生)あれ? 鍵がかかってる…。➡
282
00:25:19,918 --> 00:25:21,854
楠宝子のやつ ここじゃあないのかな…。
283
00:25:21,854 --> 00:25:25,257
心の声 私は どこにも存在しない。
284
00:25:25,257 --> 00:25:32,598
⚟(修一)いや さっき カーテン越しに
影が見えましたから いらっしゃるかと…。
285
00:25:32,598 --> 00:25:34,533
⚟(宝生)そうか…。
(玄関チャイム)
286
00:25:34,533 --> 00:25:38,470
(ノック)
⚟(修一)変ですね。
どうかしたんでしょうか。
287
00:25:38,470 --> 00:25:42,941
⚟(宝生)楠宝子! 大丈夫か⁉
楠宝子!
288
00:25:42,941 --> 00:25:47,613
⚟(修一)合鍵は ありますか?
⚟(宝生)ああ 持ってこよう。
289
00:25:47,613 --> 00:25:51,316
あ… お父様ッ!
290
00:25:53,786 --> 00:25:56,622
⚟(宝生)な~んだ
楠宝子 いたのか。ごめんなさい!
291
00:25:56,622 --> 00:26:00,125
ちょっと かたづけものしてたからッ!
292
00:26:00,125 --> 00:26:03,996
⚟(宝生)修一くんが見えてるんだ。
こっちに入ってもいいだろう?
293
00:26:03,996 --> 00:26:07,232
修一さんが? わぁ 嬉しいッ!
294
00:26:07,232 --> 00:26:10,569
でも今 ちょっと手が離せなくて。
295
00:26:10,569 --> 00:26:14,440
終わったら すぐ向かいますから
本宅で待ってていただいて…!!
296
00:26:14,440 --> 00:26:18,911
⚟(宝生)そうか。 じゃあ なるべく早くな。
ええッ!
297
00:26:18,911 --> 00:26:26,251
ハァ ハァ ハァ…
ハァーッ ハァーッ。
298
00:26:26,251 --> 00:26:29,955
ハァ ハァ ハァ…。
299
00:26:34,393 --> 00:26:38,597
心の声
隠そう… 隠すしかない…ッ!
300
00:26:40,599 --> 00:26:44,470
ああ… うっ! あっ…
ハァ…。
301
00:26:44,470 --> 00:26:47,940
ううっ… うう! ハァ ハァ…。
ううっ!
302
00:26:47,940 --> 00:26:52,611
ああッ!
ハァ ハァ ハァ ハァー ハァーッ…。
303
00:26:52,611 --> 00:26:56,482
んっ… うっ… ハァ ハァ ハァ ハァ…。
304
00:26:56,482 --> 00:26:58,951
心の声 何 これ?➡
305
00:26:58,951 --> 00:27:04,223
心臓が動いてないのに…
どうして こんなに?
306
00:27:04,223 --> 00:27:09,561
えっ? うっ!
うっ うっ…。(出血する音)
307
00:27:09,561 --> 00:27:16,335
郡平…
もしかして… まだ生きてる?
308
00:27:16,335 --> 00:27:21,173
(出血する音)
ああ… ああ… ああッ!
309
00:27:21,173 --> 00:27:27,112
心の声 どうして?
人間て 死んだ後も出血するの⁉
310
00:27:27,112 --> 00:27:31,817
あっ! ハァハァハァハァ…。
311
00:27:35,254 --> 00:27:38,157
ああーッ!
あっ ううんっ…! うっ…。
312
00:27:38,157 --> 00:27:41,593
ハァハァ ハァハァ…。
313
00:27:41,593 --> 00:27:45,364
うっ! うっ… ううっ。
314
00:27:45,364 --> 00:27:48,100
ううッ!
ハァハァハァ…。
315
00:27:48,100 --> 00:27:52,604
(かれていく音)
ああッ! あっ…。
316
00:27:52,604 --> 00:27:55,941
ああっ… あああッ! なんなの…。
317
00:27:55,941 --> 00:27:59,611
なんなの これッ⁉
ハァハァ… なんなのよーッ⁉
318
00:27:59,611 --> 00:28:02,948
ハァ ハァ ハァ。
⚟(ノック)
319
00:28:02,948 --> 00:28:07,219
え…。
⚟(修一)楠宝子さん。➡
320
00:28:07,219 --> 00:28:12,558
待っててくれって言われたのに
ごめん。➡
321
00:28:12,558 --> 00:28:20,899
でも いい機会だから
2人だけで話がしたくてね。
322
00:28:20,899 --> 00:28:22,834
ハァハァハァ…。
323
00:28:22,834 --> 00:28:29,541
お父様から 合鍵を貸してもらった。
324
00:28:32,511 --> 00:28:35,447
ああ… ハァハァハァハァ…。
325
00:28:35,447 --> 00:28:38,250
⚟(修一)入ってもいいかな?
ダメよッ!!
326
00:28:38,250 --> 00:28:42,120
絶対に入っちゃダメッ!
ああ…! あ… うっ。
327
00:28:42,120 --> 00:28:46,592
ハァハァハァハァ…
今 着替え中なの!
328
00:28:46,592 --> 00:28:49,494
だから待っててッ!
329
00:28:49,494 --> 00:28:53,465
何か 何か… 何か血を止められるもの…。
330
00:28:53,465 --> 00:29:01,473
⚟(修一)楠宝子さん
君 今! 本当にひとり?
331
00:29:03,075 --> 00:29:05,077
え…?
332
00:29:05,077 --> 00:29:12,217
最近 ずっと思ってたんだ。 君は…。
333
00:29:12,217 --> 00:29:14,519
え… ああ…。
334
00:29:14,519 --> 00:29:18,523
他に 好きな男がいるんじゃないかって。
335
00:29:20,425 --> 00:29:24,730
⚟(修一)今 一緒にいるんじゃないか?
336
00:29:24,730 --> 00:29:27,232
ああッ!
337
00:29:27,232 --> 00:29:32,104
⚟(修一)
合鍵までもらって みっともないけど➡
338
00:29:32,104 --> 00:29:37,242
どうしても確かめたいし…。
うっ う…。
339
00:29:37,242 --> 00:29:40,912
うう~ん…。
⚟(修一)君と話したいッ!
340
00:29:40,912 --> 00:29:44,249
だから…。
ううっ! うう~ッ…。
341
00:29:44,249 --> 00:29:46,918
⚟(修一)開けるよッ!
うっ… ハァハァ…。
342
00:29:46,918 --> 00:29:48,854
いいよね?
343
00:29:48,854 --> 00:29:53,158
ハァハァハァハァ ハァハァハァハァ…。
344
00:29:55,260 --> 00:30:00,766
郡平 ごめんなさいッ!
345
00:30:00,766 --> 00:30:02,768
(縫う音)
346
00:30:08,940 --> 00:30:14,613
ごめんなさいッ!
でも 悪いのは あなたよ。
347
00:30:14,613 --> 00:30:18,950
私は悪くない。
348
00:30:18,950 --> 00:30:22,788
(血が噴き出る音)
ああッ! ああ ああ ああ あああッ!
349
00:30:22,788 --> 00:30:26,291
楠宝子さん? どうした⁉
350
00:30:26,291 --> 00:30:31,997
ハァハァハァ…。
(鍵をさし込む音)
351
00:30:34,166 --> 00:30:36,168
鍵が違うッ!
352
00:30:37,903 --> 00:30:43,842
そうだ…
鍵をつけ替えて… ハァ ハァ…。
353
00:30:43,842 --> 00:30:48,547
⚟(ガラスが割れる音)
ああッ! あっ あっ ああ…。
354
00:30:48,547 --> 00:30:54,252
ハァ… うっ ああ!
ハァハァ。
355
00:30:55,987 --> 00:30:57,923
ああっ!
⚟(たたく音)
356
00:30:57,923 --> 00:31:02,260
⚟(たたく音)
うっ… ハァハァハァ…。
357
00:31:02,260 --> 00:31:04,196
⚟(ガラスが割れる音)
358
00:31:04,196 --> 00:31:06,131
んんっ… あっ!
⚟(扉を開ける音)
359
00:31:06,131 --> 00:31:09,134
(修一)楠宝子さん!➡
360
00:31:09,134 --> 00:31:11,269
楠宝子さん…。
361
00:31:11,269 --> 00:31:13,772
ああっ! ハァハァハァハァ…。
362
00:31:15,941 --> 00:31:18,610
あっ! ハァハァ。
363
00:31:18,610 --> 00:31:20,946
ううっ!
⚟(修一)楠宝子さ~ん!
364
00:31:20,946 --> 00:31:25,617
うんっ… ああっ! ああ… ハァハァ。
365
00:31:25,617 --> 00:31:28,320
あうっ… ううーッ!
366
00:31:30,288 --> 00:31:32,591
(修一)楠宝子さん…。
367
00:31:34,626 --> 00:31:38,296
いっ… ああっ!
ハァハァハァ。
368
00:31:38,296 --> 00:31:41,967
ふんっ…。 うう~ッ!
369
00:31:41,967 --> 00:31:44,870
楠宝子さ~ん!
370
00:31:44,870 --> 00:31:48,573
楠宝子さん! ああ… 楠宝子さんッ!
楠宝子さん 大丈夫…?
371
00:31:50,308 --> 00:31:55,647
あ… 今の悲鳴は?
372
00:31:55,647 --> 00:32:03,455
ごめんなさい。
虫がいたから…。あ…。
373
00:32:03,455 --> 00:32:07,092
修一さん。
はい。
374
00:32:07,092 --> 00:32:13,298
私に 他に好きな人がいるだなんて
本当に そう思ってるんですか?
375
00:32:15,801 --> 00:32:21,606
い… いや…。
あ すまない…。
376
00:32:21,606 --> 00:32:25,277
本宅で待ってるよ…。
377
00:32:25,277 --> 00:32:27,279
うん…。
378
00:32:36,888 --> 00:32:39,191
(滴が落ちる音)
379
00:32:44,963 --> 00:32:49,634
心の声 お願い… 「止まって」…。➡
380
00:32:49,634 --> 00:32:56,408
郡平… 私を許して…。
381
00:32:56,408 --> 00:32:58,410
(血が落ちる音)
382
00:33:00,912 --> 00:33:03,582
何だ これはッ…。
383
00:33:03,582 --> 00:33:08,587
この「郡平」という男は
一体…。
384
00:33:11,923 --> 00:33:17,596
「その日の深夜
郡平の死体を 山に埋めることにする」。
385
00:33:17,596 --> 00:33:20,932
(引きずる音)
386
00:33:20,932 --> 00:33:23,835
かれた郡平の体は軽い。
387
00:33:23,835 --> 00:33:30,275
血は止まらなかったが 無理をしなければ
それほど流れないことも分かった。
388
00:33:30,275 --> 00:33:33,144
そして…。
389
00:33:33,144 --> 00:33:35,947
(花台に当たる音)
あっ。
390
00:33:40,285 --> 00:33:42,587
(水がかかる音)
391
00:34:00,238 --> 00:34:02,240
郡平…?
392
00:34:09,915 --> 00:34:13,251
寝てるみたい…。
393
00:34:13,251 --> 00:34:15,954
きれい…。
394
00:34:21,593 --> 00:34:26,298
あなたの顔 好きだった…。
395
00:34:34,940 --> 00:34:40,745
♬~
396
00:34:40,745 --> 00:34:42,981
まさか…。
397
00:34:42,981 --> 00:34:48,286
♬~
398
00:34:48,286 --> 00:34:50,956
先生! すごい情報ですッ。
399
00:34:50,956 --> 00:34:52,891
この子 櫂くんっていうんですけど➡
400
00:34:52,891 --> 00:34:55,827
なんと 山で…。
分かった。 そっちは…➡
401
00:34:55,827 --> 00:34:59,698
君に任せるよ。
もォ~!
402
00:34:59,698 --> 00:35:12,243
♬~
403
00:35:12,243 --> 00:35:14,212
(書き込む音)
404
00:35:14,212 --> 00:35:17,582
「岸辺露伴のことは 気にしない」。
405
00:35:17,582 --> 00:35:25,256
♬~
406
00:35:25,256 --> 00:35:32,130
大郷楠宝子は
その後 予定どおり 修一と結婚。
407
00:35:32,130 --> 00:35:35,433
そして 「郡平」の血は…。
408
00:35:39,104 --> 00:35:44,609
そのあとも ずっと 止まらなかった。
409
00:35:46,277 --> 00:35:49,180
(流す音)
410
00:35:49,180 --> 00:35:56,921
毎日 静かに 確実に出血し続けた。
411
00:35:56,921 --> 00:36:01,226
誰も知らない 天井裏で…。
412
00:36:04,229 --> 00:36:11,536
毎朝 その血を捨て
一杯の水を 郡平に与えるのが日課だ。
413
00:36:14,239 --> 00:36:16,908
外泊はしない。
414
00:36:16,908 --> 00:36:20,578
(霧吹きの音)
旅行したいとも思わない。
415
00:36:20,578 --> 00:36:29,587
郡平のそばで 郡平のカワイイ寝顔を
見る以上の楽しみは あるはずもないから。
416
00:36:31,222 --> 00:36:38,930
郡平 あなたは 私だけ…。
417
00:36:41,266 --> 00:36:48,139
私だけが世話を焼かなきゃダメな人。
418
00:36:48,139 --> 00:36:50,141
それは…。
419
00:36:52,277 --> 00:36:56,147
子供を2人 授かったあとも変わらない。
420
00:36:56,147 --> 00:37:01,086
♬~
421
00:37:01,086 --> 00:37:05,824
「郡平」は 今も 大郷家の天井裏で
「死に続けて」いる。
422
00:37:05,824 --> 00:37:09,561
間違いない。
ヤツもまた 六壁坂の妖怪。
423
00:37:09,561 --> 00:37:12,864
そして 六壁坂は…。
424
00:37:18,570 --> 00:37:23,575
大郷家の裏… ここだ。
425
00:37:27,245 --> 00:37:31,916
30年前 この忘れられていた
坂の上にある屋敷に➡
426
00:37:31,916 --> 00:37:34,586
大郷家は引っ越してきた。
427
00:37:34,586 --> 00:37:40,892
それがきっかけとなって
六壁坂は 再び息を吹き返した…。
428
00:37:42,460 --> 00:37:46,765
「境目」が ひらいたんだ。
429
00:37:48,600 --> 00:37:54,305
ひらいた「境目」からは
当然 「何か」が はみ出してくる。
430
00:37:57,609 --> 00:38:02,914
忘れられた 六壁坂の妖怪伝説が…。
431
00:38:06,217 --> 00:38:09,554
あの家の天井裏に 「郡平」はいる。
432
00:38:09,554 --> 00:38:14,225
ただ死んでるだけのヤツの「目的」は何だ?
433
00:38:14,225 --> 00:38:17,228
知りたいのは それだッ…!
434
00:38:22,901 --> 00:38:30,208
⚟(足音)
435
00:38:31,910 --> 00:38:36,614
お兄さん 岸辺露伴でしょ?
漫画家の…。
436
00:38:38,583 --> 00:38:44,389
知ってるよ… 最近
この辺の山 買ったんでしょ。誰だ 君は?
437
00:38:44,389 --> 00:38:47,926
怪しい大人とは
口をきくなと言われてる。
438
00:38:47,926 --> 00:38:51,262
君が話しかけてきたんだろう。
439
00:38:51,262 --> 00:38:53,198
どこから来た?
440
00:38:53,198 --> 00:38:57,202
ここは
簡単に入ってこられる場所じゃない。
441
00:38:58,937 --> 00:39:03,942
それとも あの大郷家と関係が…。
442
00:39:07,212 --> 00:39:10,215
君 もしかして…。
443
00:39:10,215 --> 00:39:12,417
おい 待てッ!!
444
00:39:14,085 --> 00:39:16,087
(石にぶつかる音)
445
00:39:19,224 --> 00:39:24,896
君… 大丈夫か?
446
00:39:24,896 --> 00:39:26,831
おい…。
447
00:39:26,831 --> 00:39:34,239
(風の音)
448
00:39:34,239 --> 00:39:37,141
まさか…。
449
00:39:37,141 --> 00:39:41,579
バカな。
450
00:39:41,579 --> 00:39:44,482
これじゃあ
まるで…➡
451
00:39:44,482 --> 00:39:47,919
僕が この子を…!!
452
00:39:47,919 --> 00:39:52,590
何かしたみたいじゃあないかッ!
453
00:39:52,590 --> 00:39:56,261
(かれていく音)
何ッ⁉
454
00:39:56,261 --> 00:39:59,931
♬~
455
00:39:59,931 --> 00:40:06,638
これは… こいつは あの郡平の子供かッ!!
456
00:40:10,575 --> 00:40:15,947
大郷楠宝子は
「死体になった」郡平の子供をッ!
457
00:40:15,947 --> 00:40:21,953
そして
今度は 「こいつ」が「父親」のように…。
458
00:40:23,621 --> 00:40:25,957
僕に
取り憑く気だッ!!
459
00:40:25,957 --> 00:40:28,660
ヘブンズ・ドアーッ!!
(ページがめくれる音)
460
00:40:34,299 --> 00:40:38,636
まずいッ! これは「死」だッ。
461
00:40:38,636 --> 00:40:42,340
完全に塗り潰されれば
もう書き込めないッ!
462
00:40:43,975 --> 00:40:48,846
(書き込む音)
463
00:40:48,846 --> 00:40:52,317
「岸辺露伴をしらない。
見ることもない」。
464
00:40:52,317 --> 00:40:55,320
♬~
465
00:41:12,637 --> 00:41:14,639
私…。
466
00:41:21,946 --> 00:41:24,649
⚟桐子 何してるの?
467
00:41:26,417 --> 00:41:29,320
お母さん。
468
00:41:29,320 --> 00:41:32,623
おかえりなさい。
うん。
469
00:41:32,623 --> 00:41:36,494
はい。
お腹空いたぁぁー。
470
00:41:36,494 --> 00:41:39,497
帰って おやつにしましょう。
うん。
471
00:41:39,497 --> 00:41:44,635
ねえ 櫂は戻ってきた?
(桐子)知らなーい。
472
00:41:44,635 --> 00:41:48,139
櫂…?
⚟何してたの? そこで。
473
00:41:48,139 --> 00:41:52,643
回想 先生! すごい情報ですッ。
この子 櫂くんっていうんですけど。
474
00:41:57,849 --> 00:42:03,588
大郷楠宝子は 子供を2人産んでいる…。
475
00:42:03,588 --> 00:42:07,458
へぇ~ 人にお世話してもらう妖怪?
476
00:42:07,458 --> 00:42:09,460
そんなの いるんだ。
477
00:42:09,460 --> 00:42:13,264
(櫂)いるよ。 聞いたことない?
うん ない。
478
00:42:13,264 --> 00:42:18,136
人に寄生して
何の苦労もせずに 「子孫を残す」。
479
00:42:18,136 --> 00:42:21,139
それだけの存在…。
480
00:42:21,139 --> 00:42:25,777
その 生き物としての幸福の絶頂は…。
481
00:42:25,777 --> 00:42:27,779
(櫂)あっ。
482
00:42:33,518 --> 00:42:37,221
誰かの前で 「死ぬ時」!
483
00:42:40,792 --> 00:42:42,727
🖩(呼び出し音)
484
00:42:42,727 --> 00:42:44,962
泉くん… 出ろッ。
485
00:42:44,962 --> 00:42:48,299
🖩(呼び出し音)
486
00:42:48,299 --> 00:42:51,002
泉くん…!
487
00:42:53,638 --> 00:42:58,509
あ… 露伴先生 どうしたんですか?
そんなところで。
488
00:42:58,509 --> 00:43:01,913
君…。
あっ 電話 先生でした?
489
00:43:01,913 --> 00:43:04,582
すいません… 今 手が離せなくて。
490
00:43:04,582 --> 00:43:08,920
それより… どうしたんだ その子。
491
00:43:08,920 --> 00:43:14,592
まさか… 死んでるんじゃ…。
えっ?
492
00:43:14,592 --> 00:43:18,930
やだなぁ 山歩きで疲れちゃって
危ないんで おんぶしてきたんです。
493
00:43:18,930 --> 00:43:22,800
ほら 櫂くん 露伴先生だよ。
494
00:43:22,800 --> 00:43:25,803
サイン下さい…。
495
00:43:37,281 --> 00:43:42,153
いや~ おもしろい妖怪の話だったんで
案内してもらったんですけど➡
496
00:43:42,153 --> 00:43:44,622
やっぱり
忘れちゃったって。
497
00:43:44,622 --> 00:43:48,126
子供ですねッ!
498
00:43:48,126 --> 00:43:50,628
んっ?
499
00:43:50,628 --> 00:43:53,331
なるほど。
えっ?
500
00:43:54,966 --> 00:43:56,901
先生 どこ行くんですか?
帰る。
501
00:43:56,901 --> 00:43:59,303
えっ 取材は?
終わった。
502
00:43:59,303 --> 00:44:04,075
え~⁉ よいしょ
よいしょ よいしょ…。
503
00:44:04,075 --> 00:44:09,580
妖怪でも 取り憑く人間は選別する… か。
504
00:44:09,580 --> 00:44:12,483
よいしょ…。
505
00:44:12,483 --> 00:44:15,186
滑るな…。 よいしょ。
506
00:44:20,925 --> 00:44:23,828
(桐子)ねえ お母さぁーん。
うん?
507
00:44:23,828 --> 00:44:28,599
(桐子)私も いつか
ステキな人のお嫁さんになれるかなぁ。
508
00:44:28,599 --> 00:44:32,270
いい子にしてればね。
ウフフフ。ウフッ。
509
00:44:32,270 --> 00:44:36,574
(櫂)ぼくは 「庭師」になる。
フフッ。
510
00:44:48,719 --> 00:44:58,963
♬~
511
00:44:58,963 --> 00:45:03,234
⚟こんにちは~。
(扉の開閉音)
512
00:45:03,234 --> 00:45:08,573
先生 やりましたよ!
前借りOK出たそうですッ!
513
00:45:08,573 --> 00:45:11,909
これで この家も買い戻せますねェー!
514
00:45:11,909 --> 00:45:16,380
いや~ ホッとしましたよォ。
よかったよかった。
515
00:45:16,380 --> 00:45:19,584
これ お祝いのケーキです!
516
00:45:21,586 --> 00:45:25,923
先生 また六壁坂の取材
行きますよねぇ。
517
00:45:25,923 --> 00:45:30,494
子供たちの話 聞いて 思いましたけど
やっぱり 何かありますよ。
518
00:45:30,494 --> 00:45:35,466
それに わざわざ
「六」っていう数字が入ってるってことは➡
519
00:45:35,466 --> 00:45:38,769
妖怪が 「6匹」いるんじゃないかって
思うんですよね。
520
00:45:42,139 --> 00:45:45,142
確かに そうかもしれないな。
521
00:45:49,280 --> 00:45:51,949
心の声 これからも 「彼ら」…➡
522
00:45:51,949 --> 00:45:59,824
人間が「妖怪」と呼ぶ 「何か」たちは
そこに住み続ける。➡
523
00:45:59,824 --> 00:46:04,629
でも それは
僕が どうにかするべきことじゃあない。
524
00:46:06,464 --> 00:46:11,235
僕は 学者じゃなく
ジャーナリストでもない。
525
00:46:11,235 --> 00:46:13,571
漫画家だからな…。
526
00:46:13,571 --> 00:46:17,241
先生?
527
00:46:17,241 --> 00:46:19,910
しばらく 取材はいい。
え?
528
00:46:19,910 --> 00:46:24,582
十分すぎるほどネタは拾えた。
新作の構想も まとまったよ。
529
00:46:24,582 --> 00:46:30,054
35ページ 5回の 短期集中連載だ。
編集長に ページをもらってくれッ。
530
00:46:30,054 --> 00:46:33,591
え~ すごい! 絶対OKですよ それ。
531
00:46:33,591 --> 00:46:36,494
じゃあ お茶いれますね。
何で そうなる。
532
00:46:36,494 --> 00:46:39,463
君 いいから帰れ。
すぐ描き始めたいんだからなッ。
533
00:46:39,463 --> 00:46:43,467
え~ でも お祝いのケーキが。
いいから 帰れッ。
534
00:46:46,937 --> 00:46:48,873
シュッ…。
走るな。
535
00:46:48,873 --> 00:46:50,808
いや…!
僕の家で走るなッ!
536
00:46:50,808 --> 00:46:54,612
いや… いやッ
うお… うおッ! ハァッ ハァッ…。
537
00:46:54,612 --> 00:46:57,314
ちょっとォ 露伴先生!
538
00:47:03,421 --> 00:47:05,556
あ… ありがとうございます!
539
00:47:05,556 --> 00:47:08,259
カラだよ。
えっ?
540
00:47:10,428 --> 00:47:15,232
もう! フゥ…。
541
00:47:15,232 --> 00:47:19,570
まあ いっか。
早く編集長に報告しないと!
542
00:47:19,570 --> 00:47:23,874
(鼻歌)
543
00:47:26,243 --> 00:47:30,948
ふううう~。
544
00:47:32,583 --> 00:47:35,920
手のひらを前へ…。
545
00:47:35,920 --> 00:47:38,255
ひじも真っ直ぐ。
546
00:47:38,255 --> 00:47:41,592
手首の角度は 直角を保ったまま…➡
547
00:47:41,592 --> 00:47:44,261
一本ずつ 折る。
548
00:47:44,261 --> 00:47:48,766
1 2 3 4 5。
549
00:47:48,766 --> 00:48:42,753
♬~
550
00:48:45,256 --> 00:48:50,761
岸辺露伴 次回作… きっと傑作!
551
00:48:50,761 --> 00:48:55,266
(鐘の音)
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