All language subtitles for 青天を衝け#04

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Original subtitles

(高島秋帆)お前も…。

お前も励め 必ず励め。

後に 近代日本経済の父と呼ばれる 渋沢栄一。

あと30貫ばっかあるだが。

(渋沢栄一) じゃあ 30貫 みんなくれとくれ。

1両あれば 来年は〆粕を10斗買っても どうにかなるんだいな。

へえ。

そしたら もっといい藍が 今年の倍はとれるわけだいなぁ。

へえ! 来年も また必ず➡

うちに売ってくれるかい。 もちろんだらず!

藍葉の不作という危機から 血洗島を救った栄一は…。

(渋沢市郎右衛門)よくやった。

へえ!

ハハハ! お~! やったぞ~!

やった~! ハハハ!

今日もよく働いております。

(尾高惇忠)おう 栄一。 おお あにぃ!

もう一人で 藍の買い付けに行っているのか?

そうよ。 今はこうして商いの修業中だに。

あ ここんところ読書に伺えず申し訳ねえ。

大丈夫 大丈夫。 結構なことだがな。

お前の母さまも「とっさまの機嫌がよい」と 喜んでおられた。

ハハ。 そうだ➡

浜田弥兵衛の本を手に入れたぞ。 おお!

暇が出来たら読みに来い。

はっはぁ~ ごろつきの異人を とっちめるとはのう。

当時のオランダ人の間でも➡

「江戸のヤヒョウエ」と 恐れられていたそうだで。

(渋沢喜作)つまり 200年の昔から➡

日本男児の気概は 決して異国に劣らねえってことだに。

ましてや 生まれて100年にも満たねえ ペルリのメリケンなど なんぼのもんだ。

そうだいな。 こっちがひっぺがえしてやらぁ。

そうだに! おお! (尾高きせ)まぁまぁ 勇ましいこと。

ああ。 その意気だ。

あ~…。 うっ…。

まだいたんか。 そろそろ戻らねえと叱られるに。

しかし承服できん。

浜田弥兵衛はタイオワン 山田長政はシャム➡

かつては多くのもんが海の向こうにおって そこで商いまでしていた。

なのに… どうして今 この日の本は 国を閉ざしているんだいなぁ。

よい質問だ 栄一。

今から300年ほど前 戦で荒れ果てた日の本に➡

大勢の異人が入ってきた。

やつらは伴天連だ。

やつらは異国の神を広め 日の本を魂から乗っ取ろうとした。

魂を乗っ取る? そうだ。

水戸の本にもあるように 日の本が古来持つ誇りや尊厳は➡

決して奪われてはならねぇのだ。

まことよのう。

弥兵衛や長政みてえに➡

日本男児として誇り高くおらねばのう。

そのとおりだ。

弥兵衛のタイオワンが どこにあるか知っておるか?

今 地図を見せてやろう。 おお まことか!

惇忠の影響で 栄一の好奇心は どこまでも広がり…➡

時を忘れ 夜通し語り合うことも しばしばでした。

(尾高千代)兄さま 朝飯が…。

栄一さん?

おやまぁ 寒ぃだんべに。

こんなところで 寝てしまって…。

フフ フフ…。

へ? ヒッ! キャッ! うわっ…!

す… すいません! お千代か。

何でお千代が? え? ここはどこだ?

あ あにぃの…。

(千代)へぇ あの 寝ていらしたから…。

そうか! しまった~。

あ… つい話が楽しくて お天道様が昇るまで寝過ごしてしまった。

笑っておられました。 へ?

今 寝ながら… こう ニコリと。

何か よい夢でも見ていらしたんかねぇ。

夢…。

そうだ 見とったぞ!

とっさまと 船で異国に行く夢だ。

俺は異人相手に堂々と商いをして➡

とっさまに 「ようやった」と褒めてもらった。

へぇ。

とっさまは笑っておられた。

俺もうれしかった。

それはそれは よい夢でございましたねぇ。

うむ!

♬~

お お千代。

お前…。

(尾高長七郎) 朝から楽しそうだのう。

(尾高平九郎)楽しそうだのう。

長七郎! 平九郎も!

(長七郎)楽しそうだのう。 (千代)楽しいなどとは何も!

ハハハハ…。 失礼しました。 ほら おいで平九郎。

お千代…。

夢の話をしておっただけだに。

ふうん?

しかし… お千代の顔を➡

あれほど間近で見たのは初めてだ。

は~。

朝稽古をしておったらのう➡

畑では もう お前のおやじさん 働いておったぞ。

しまった! また叱られる。 お邪魔した!

おぉ いい青だ…。

(伝蔵)本当だで。

(渋沢宗助)お~ こりゃ よく売れたなあ。

あぁ もうちっと多く作れれば もっと もうかったに➡

それでも いい値になった。

一番藍はあれほど不作だったのに ありがてぇことだ。

そうだなぁ。 よし 暮れには得意先の百姓衆を集めるか。

(市郎右衛門)あぁ 今年は大いに ごちそうしなくっちゃなんねえ。

おいちゃん とっさま その寄り合いだけんど…➡

俺に仕切らせてくんねえか?

思いついたことがあるんだ。

は?

うん。

♬~

♬~

こんばんは。 徳川家康です。

少々おさらいしてみましょうか。

先週の放送では こんなことがありました。

老中の阿部正弘は➡

ペリーが戻ってきた時に どう対処するべきかを悩みに悩んだ末➡

幕府の中だけでなく 広く意見を聞いてみることにしました。

集まった意見書は 実に700以上。

外様が意見するなど 私の頃には考えられん話だ。

まあ 時代というものですな…。

水戸の斉昭など 大方は「通商反対」。

もしくは「一度開国し 力をつけたら 鎖国に戻す」というものでした。

そんな中 福岡の黒田長溥と 先週の放送で釈放された高島秋帆だけが➡

「異国と交易をすれば 日本にも利益がある」➡

「寛大な心で 異国を受け入れてはどうか」と意見した。

さて これらを受け取った徳川が どうするか…。

(阿部正弘) 台場は こことここを厚くせよ。➡

できる限りペルリの艦隊を 左右から挟み込むのだ。 ははっ。

江戸城では 既に亡くなった 前将軍の息子 徳川家定が➡

第十三代征夷大将軍に 就任していましたが…。

実務を仕切っていたのは 老中首座の阿部正弘と…➡

新しく海防参与となった徳川斉昭でした。

(徳川斉昭)川路。

(川路聖謨)おぉ これはご老公に東湖先生。

長崎まで ヲロシア使節の応接に参るそうだな。

さよう。 某の話術にてヲロシアをぶらかし➡

開国の要求をかわしてこいとの仰せ。

ヲロシアなど たたっ斬れ。

陸戦に持ち込めば 我が国の槍剣の長技で➡

異人など皆殺しにしてくれるわ。

ハハハハ…。 ははっ。

政に復帰なされ意気揚々にござりますな。

(藤田東湖)我が殿は 我こそが国を守る という気概に満ちておられる。 それに…。

(小声で)一橋家のことも…。

そのことですが 本当にあの男で頼りになるのやら。

(やす) 小姓だなんて 立派なお役目じゃぁないか。

でも おめぇ 一橋様といやあ一回りも年下だぜ。

そんな身の回りのお世話ったってぇ。

だったら あんたも逃げんのかい?

年が明けりゃ また黒船が来るってんで➡

みんな江戸から逃げ出してるよ。

はぁ? 逃げる? 何を言ってやんでい。

メリケンごときで 逃げ出していられっか こんちきしょう。

おりゃおめぇ御旗本のせがれだぜ。

なら四の五の言わず行っておいで。 あんたが働かなきゃね➡

雨漏りの屋根直すお金だって ありゃしないんだから。 ほら…。

いてて… いてっ。 行っておいで。

全く… 何見てんだ。

全く しょうがねえなぁ。

おなりにございます。

平岡円四郎にございます。

(徳川慶喜)平岡円四郎。 ははっ。

私は お前に 私の諍臣になってほしいと思うておる。

諍臣ていやぁ…

…の諍臣でございましょうか。

さよう。 その言葉のとおり➡

私に少しでもおごりや過ちがあれば 必ず いさめてほしい。➡

よしなに頼む。

ははっ…。

(中根長十郎)早う支度をせい。 し 支度…。

中根。 よい。 そなたは下がれ。

ははっ。

支度ったってぇ…。

♬~

(円四郎)へぇ お待ち。

まことのことを申せ。

まことに給仕のしかたを知らぬのか。

それとも私の小姓をするのが不服で かように不作法なことをしておるのか。

まことを申せば 不服と思うところもございまする。

某は下谷練塀小路の生まれで➡

旗本のせがれとはいえ四男坊と➡

跡取りには程遠い厄介者。

その自分が このように屋敷に籠もる 風流なお役目なんてのは… あっ。

そうか。 ははっ。 ええと…。

おのが住まいでは飯は食わぬのか?

あ いや 手前の飯は女房が いつも このようにして よそってくれまする。

そうか。 女房か。

よいか。 まず椀をこう持つ。

そして 杓子をこう持ち➡

かようにして飯をよそう。

(慶喜)どうじゃ。 ははっ 何てぇか そのぉ…➡

実にふわりと 美しく盛られてございまする。

さようか… よかった。

♬~

ああ これは農人形といい➡

米の一粒一粒は民の辛苦であるゆえ➡

食するごとにそれを忘れぬようにという 父の教え。

よいか。 給仕はかようにするものぞ。

は ははっ!

まことに恐れ入りましてございまする!

平岡円四郎は 慶喜の小姓として一橋家に入り➡

働き始めました。

輪を作って通す。

そう 口でも引っ張るのじゃぞ。

へい 口でも引っ張る…。

途中で口を利く者がおるか。

すいやせん…。

(慶永)水戸はほかの徳川とは違い 頼りになるのう。

(橋本左内)ハハ… ご老公はもちろん それを支える東湖先生も➡

知識といい人柄といい 申し分ないお方です。

そうよのう。

そして ご老公の御子の一橋様ものう。

一橋様?

いっそ あのお方のような方が 将軍になれば…➡

わしは喜んで この身をささげるんだがのう。

母上!

(吉子)七郎! いえ 一橋殿。

まぁ このように立派になられて。

母上様も お元気そうで何より。

さあ こちらへ。 お疲れでしょう。

今 茶と菓子を持たせますゆえ。

ありがとう。

ふ~ん。 こうやって見ると 年相応だな。

まあ…。

そなたが平岡か。 お!? は… ははっ。

我が息子をよろしく頼むぞ。

ははっ!

(東湖)一橋公は貴人の相がおありだ。

額にこの相を持つ者は もとより非凡であり➡

ご老公よりも更に一等上の この先またと いでがたきお人だ。

一橋公が将軍におなりあそばせば…➡

外夷に乱れ始めたこの国を きっと立て直すことができる。

え? 心して勤めよ。

ははっ。

へ? あのお方を 将軍に?

(円四郎)おかしれぇことになってきたぜ。

将軍か。 将軍というのは 参ったが… へへ。

いや 分からねぇことはねぇ。

さすが俺のほれ込んだお方だぜ。

は? 誰にほれたって?

やす おめぇもよう ちょっとぐれえ 飯のよそい方でも学べってんだ。

ちょいと待ちなよ。 ほれたって…。

まさかお前さん それで近頃ずっと うわの空で…。

許さない! あたしゃ許さないよ! うわっ…。

えい! おい… 違う!

どこのどいつだよ! 違うってんだ… やめねぇか!

や~! 危ない 危ない 危ない…。

何考えてんだ おめぇはよ!

こちら血洗島は 藍農家をねぎらう宴会の日。

(渋沢ゑい)はるちゃん そっちも頼まいね。 へえ。

その仕切りを任された栄一でしたが…。

(権兵衛)角兵衛どん こないだの 2番刈りの時は本当に助かったに。

(角兵衛)おう また困ったら言えや。 へえ。

よしぞうさんは そこだ そこ。

お! 角兵衛さん 角兵衛さん。

角兵衛さんは え~っと… 角兵衛さん ここ!

うん? ここ! 角兵衛さん。

おお 朔兵衛さん。 朔兵衛さんね そっちだ。

(朔兵衛) 何だい。 今日は席が決まってんのかい?

はい。 あ 権兵衛さん。 え?

権兵衛さんは向こうだい。 え?

権兵衛さ~ん こっちこっち。

え? おい… おらがこんな席かい?

今日は権兵衛さんが大関だかんな。 大関?

大関よ。 どうぞ どうぞ。 いや… ちょっと…。

おい 何でわしの席がこっちなんだい?

何だ いっつも角兵衛さんは 上座と決まってただんべえ。

いや すまねぇが 今日は そっちに座ってもらえねぇだんべか。

何だ? 何始める気だ。

いいから ちっとやらしてくれ…。

よぉし みんな そろったにぃ。

(宗助) あぁ みんな 今年もご苦労さんだった。

いや 雨が降らなかった時には どうなることかと思ったが➡

みんな丹念に育ててくれたってなぁ はい ご苦労さん。

そうだ。 紺屋も これはよい藍玉だとたまげていた。

そらよかったのう。 市郎右衛門さんのおかげだい。

(朔兵衛)そうよそうよ。 なあ。

いや とっさまの腕だけじゃねぇ。

この権兵衛さんの藍が なっからいい出来だったのよ。

え?

あんなにハリがあって 上から下まで美しい藍葉は➡

よほど常日頃 様子見て世話してねぇと できるもんじゃねぇだんべ。

あれはどうやったんだ?

市郎右衛門さんによく 「けちるな」って言われてたから➡

今年は ちっと〆粕 奮発したんだ。

そこで俺は 今日は権兵衛さんに➡

大関の席に 座ってもらいてえと思ったのよ。

はぁ? 大関だぁ? そうだ。

こっちから 今年の藍作りの大関➡

関脇 小結 前頭と こう並んで座ってもらってるんだ。

前頭?

見てくれ。 栄一に頼まれて俺が番付も書いてきた!

おお…。 (朔兵衛)番付だと?➡

おぉ 俺は東の関脇だとよ。

あぁ 今年はだいぶ 下葉が枯がっちまってたかんなぁ。

わしが前頭とは何だいな!

そうだ お前も喜作も勝手なことをして…。

いや あにぃ。

権兵衛どんの藍葉がよかったのは 本当の話だ。

頼む とっさま あと一つだけしゃべらせてくれ。

このとっさまは 前々から この土地の武州藍を➡

日本一にしようとたくらんでる。

だから ここのみんなで また来年も高め合っていい藍を作り➡

武州藍を大いに盛り上げてぇと 思ってんだ。

どうか来年もよろしく頼んます。

いい藍はいいが こんなくだらん番付…。

あ 俺の! (角兵衛)宗助の旦那!

はあ… はあ…。

ああ…。

おい 権兵衛。 へ へえ…。

どこで〆粕買ったか教えやがれ。 え?

来年こそは わしが一層よい藍を作って➡

番付の大関になってみせるんべえ!

ハハ! よっしゃ~!

栄一 面白えじゃねえか。

昔から変なこと考えるやつだに。 でも目は確かだに。

(渋沢なか)よかったぁ。 また栄一が しでかしたかと思ったいね。

本当 本当… はい 皆さん お食事が出来ましたよ~!

(なか) お酒も たあんと用意しましたからね。➡

ほら 栄一 喜作も手伝って!

はいよ。 はいよ。

♬「天とう様と武州の人は」

♬「天下無双の藍を産む」

いや しかし己でやってみると 商いはまっさか面白ぇなあ。

そうなん? うむ。

どうやったら ここの百姓たちが 今よりもうけて この家ももうけて➡

そんでもって阿波に負けねぇ藍玉が 作れねぇもんかと➡

そればっかり考えてみてるんだが…。

ふ~ん。

俺は商いより 剣術がいいなあ。

お お千代!

ああ。

油売りの帰りか。 へえ。

女子衆も精の出ることだなあ。 へえ。

あぁ ほれ。 あ あぁ ありがとう 喜作さん。

これぐらいお安い御用だ。

ちょうど長七郎んとこに 行ぐべえと思っておった。

あ 今日は栄一さんは?

ああ 栄一は えれえこと商いに夢中だ。

まぁ ペルリが来てからこのごろ 御用金も増えておるからなあ。

御用金? あぁ。

この辺で一番の物持ちが 宗助おじの東の家➡

で そん次が栄一の中の家だい。

岡部のお殿様の祝い事やら 御法会やらがあるたんびに➡

何百両と御用金を命ぜられる。

何百両? そんなに…。

俺ん家は そん次 3番目ぐれえだから。

しかし この俺が精進して立派んなり➡

我が新屋敷を 東の家や中の家に負けねぇ 大きな家にしてみせる!

それどころか 岡部の殿様が 頭を下げるような金持ちになってやる!

だから…。

だから…。

待ってろよ!

そして年が明け…。

(永井尚志)ペ ペルリが! ペルリが!➡

黒船7隻が伊豆沖通過!

この男が再びやって来ました。

(堀田正睦)伊勢守殿 もはやここまでじゃ。

国を開きましょう。

(井伊直弼)そうじゃ そのほうが…。

ありえぬわ!

長きにわたり この日の本で前例なきことを➡

半年から1年で返答するなど もっての外だ! 阿部!

≪(遠雷のような音)

(堀田)何事じゃ? 何の音じゃ?

(永井)これはおおかた メリケンの軍鑑が 砲をうった音でございましょう。

何? 戦か?

メリケンが戦を仕掛けてきおったか!

これは礼砲です 掃部頭殿。

ワシントンとやらの生誕の祝いにて 砲をうちたいと先に知らせがありました。

ケッ 何が生誕の祝いじゃ。 こざかしいわ!

いいや こうなれば 戦になるより国を開いた方がまし。

伊勢守殿 頼む。 何とぞ 何とぞ…。

ならぬ! 断じてならぬ!

伊勢守! 打ち払え! 打ち払ってしまえ!

戦はなりませぬ! なりませぬぞ!

黙れ貴様! ここからつまみ出せ! 阿部!

阿部は迷った末…。

とうとう… 日米和親条約を締結しました。

(長七郎)ペルリの勢いに負け 港を開くことになったそうだ。

今 下田には黒船が…。 なんと…。

あぁ お千代ちゃん。 お帰り。

夷狄は打ち払わねばならねぇんだ!➡

我が国とて これでは 黒船に攻められ 強引に国を開かされたと同意。

我ら百姓とて 決してこのままじゃあなんねぇ。➡

水戸の教えを学び 何ができるか思案するのじゃ。

おう!

よぉし 俺も…。

駄目よ 平九郎。

(やへ)驚いたねぇ。

あんなあの子を見るんは初めてだよ。 ええ…。

(ゑい) まぁ またご陣屋からお呼び出しですか。

(宗助)明日すぐに来いとな。

お前は明日も紺屋回りか。

あぁ。 だけんど 行がねえわけにはいがねぇだんべなあ。

うん… だったら栄一 お前が行ぎない。

え… え? 俺が岡部のご陣屋へ?

とっさまの名代なんて 栄一にできるんかいね。

また姉さまはそんなことを。

(宗助) まぁ 紺屋回りより よほどたやすい。

お代官様の話を へぇへぇと聞き へぇへぇと頭を下げるのみのこと。

うむ。 お前もこの家の跡継ぎだで。 一度行ってみろい。

(利根吉春)この度 物入りのため その方どもに御用金を申しつける。

渋沢宗助は1千両 伊勢屋甚五郎は400両➡

丹波屋八兵衛は250両 渋沢市郎右衛門は500両。

500両…。 (利根)番匠屋徳治郎は150両。

承知いたしました。 (一同)ははっ。

(小声で)ほれ 栄一。

ははっ。

私は父の名代で参りましたゆえ。

御用の高は確かに伺いました。

家に戻りまして父に申し伝えた上➡

またお受けにまかり出ます。

はぁ? お主 お上の御用を何と心得る。➡

これしきのことが即答できんで 親の名代と申せるか!

名代には名代の務めがございます。

(宗助・小声で)やめんか 栄一。

即答できず まことに恐縮ではございますが➡

父に申し伝えた上 お持ちいたします。

ハッ たわけたことを…。

300両や500両など何でもないこと。➡

素直に殿様の御用を聞きおけば 立派な大人となり➡

世間からも 認められるようになるというもの。

それを父に申してからなど➡

ハッ そのような手ぬるは承知せぬ。

今すぐじゃ! 今すぐ「承知した」と申せ!

はい。 なれども自分はただ御用を伺いに…。

はぁ? (宗助)もうやめろ。

まだ言うか! 御用を伺いに来たのみゆえ➡

やはりお受けすることはできません。

下郎め! 承知と言え!

(宗助)栄一!

(利根)承知と言わぬか!

言わぬとただではおかぬぞ!

言え! 栄一!➡

言え! 栄一! 言え!

言え! 言え! 言わんか!

言え! 言え!

(宗助)申し訳ありません! 私めから厳しく言い渡します!

(市郎右衛門) なぜすぐに払うと言わなかった?

俺たちは… 藍葉を百姓衆から かご一つ大体30文で買っている。

藍の百姓はその金で食っていき➡

俺たちはその葉を使って 多くの者を雇って藍玉にし➡

それを一つ1両ちょっとで紺屋に売る。

かっさまや姉さまが育てている お蚕さんは➡

ひとつき寝ずに繭をとって ひとつかみでせいぜい1文だ。

それを安易に500両とは…。

500両という金は 決して名代の俺が➡

へぇへぇと軽々しく 返事をしていいような額じゃねぇ。

俺はそう思う。

とっさまはどう思う?

百姓は 自分たちを守ってくれる お武家様に尽くすのが道理だ。

それは分かってる。

しかし今 岡部の御領主は 百姓から年貢を取り立てておきながら➡

その上 人を見下し まるで貸したものを取り返すかのごとく➡

ひっきりなしに 御用金を出せと命じてくる。

その道理は 一体どこから生じたもんなんだい?

それにあのお役人は 言葉といい振る舞いといい➡

決してとっさまや惇忠あにぃみてえな 知恵のある人とは…。

(市郎右衛門)お上の悪口はもうやめろ!

いかに道理を尽くそうが しかたのないこと。

それがすなわち 泣く子と地頭だ。

(市郎右衛門)明日すぐに行って そのまま払ってくるがよい。

♬~

みい よ いつ む…。

なな や…。

500両 持ってまいりました。

そうか。 下がれ。

ははっ。

恐れながら!

それが我々百姓の銭にございます!

朝から晩まで働き その小さな銭が…。

♬~

掛けがえのなきものを天災で失うは 耐え難きこと。

あぁ!

俺は生きる道を見つけた。

うるせぇんだ 喜作! 小僧のくせに!

理屈だけじゃあいがねぇんだ。

強く見えるものほど 弱きものです。

父上! 母上!

栄一。 ありがとうね。

承服できんぞ! ばかばかしい!

東京都文京区。

小石川後楽園は 水戸藩の江戸屋敷内に造られた庭園です。

二代藩主 光圀の時代に完成しました。

園内には 農耕の尊さと 農民の苦労を教えるために➡

光圀が作ったと伝わる稲田があります。

斉昭も 農業に強い関心を抱いていました。

農夫の人形を食膳に置き 農民の労に感謝したと伝わっています。

小石川の江戸屋敷は 慶喜が生まれた場所でもあります。

慶喜が養子に入った一橋家は 平川門の近くに屋敷を構えていました。

今は 家名をしのばせる橋と➡

ここが江戸城内であったことを示す 石垣だけが残されています。

幕府の行く末は やがて 慶喜に委ねられることとなるのです。

(仁左衛門)すぐに 江戸を出ろ。 さもなくば 容赦はせぬぞ。

仮牢前に 火を放ち➡

その隙に乗じて 因果小僧六之助を連れ去った。➡

火付盗賊改方長官 安部式部は➡

雲霧仁左衛門の早業に 驚くと同時に➡

周囲に 雲霧一党への 内通者がいるのではないかと➡

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