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♬~
♬~
おはよう! 今朝は 格別 爽やかな朝だね!
こう ふつふつと やる気が みなぎってくる!
朝から 何? 室長 どうしたんだ?
きっと 変なもの 食べたんじゃ?
どうした? 一日の始まりだぞ。
ドカンと 元気に…。 おはようございます!
いいね~ これよ これ!
みんなも 猿川くんの元気を 見習いなさい。
ていうか 遅刻しそうだから 走ってきただけでしょ。
室長 おはようございます! ああ おはよう。
こうして 気持ちのいい朝を 迎えたことだし➡
仕事を始める前に 一つ 話がある。
はい…。
あっ いやいや 堅苦しいことじゃないんだ。
明日は 休日だ。
どうだろう? みんなを 招待するから➡
うちで ホームパーティーを やらないか? ホームパーティーって➡
ごはん タダで食べられるんですよね?
もちろんだ。 イエーイ!
私 明日 NGです。
篠宮くんと 一緒に 営業先のホームパーティーに 呼ばれてて。
あっ そうでした 無理っすね。
仕事じゃ しかたないな。
ただ… 明日は 今日とは違う。
あさっても 今日とは違う一日だ。
その日 その日を➡
大切にしたいと 思っただけなんだ。
そろそろ 定例会議の時間か…。
参加できる者だけでいい。
明日 いい思い出を作ろう。
室長 どうかしたんですか? こっちが 聞きたい。
会社に来たときから 変なのよ。
室長が ホームパーティー やろうなんて これまで 一度も なかったし。
きっと 辛くて変なものを 食べたんじゃないですか?
離婚とかじゃないっすか?
そうね…。
離婚の話が 出てるから➡
私たちを呼んで 場を 和ませたいのかも。
離婚ギリギリってとこ? 最後の晩さんになるかもしれない。
あっ いやいや でも まだ 決まったわけじゃないですから。
いや 可能性として あるかも。
その日 その日を 大切に とか➡
いい思い出を作ろう とか 言ってたじゃない?
いや… えっ…?
ちょっと ちょ ちょ… ちょ ちょ… ちょっと待って!
説明さして! この前 いた 女の子は…。
無理! うおっ!
あっ すみません 大丈夫ですか? 大丈夫です…。
せちがらい世の中だな~。
あっ ここだ。 あっ。
なんだか 興奮するな 家庭崩壊した家に行くって。
だから 決めつけるのは 早いです。 (玄関チャイム)
≪(谷岡)は~い 入って入って。
よく 来てくれたな~! あっ そうか➡
大河内くんと亮介くんは 来られないんだったね。
さあ 遠慮しないで 入って入って。
あの笑顔が 逆に 悲しみを誘うな…。
うん…。
おじゃまします。 おじゃましま~す。
おじゃまします。
楽に してくれたまえ。
今 お茶を…。 あっ お構いなく。
室長だけで 奥さんは いないっぽいよ。
もう 家族は 出てったあとかもしれないな~。
いいかげんにしてください 聞こえますって。
(谷岡)だから すまないと 謝ってるじゃないですか…。
んっ? 誰か いる?
(秋山) もしかして 離婚のショックで妄想を?
精神的に まいると 幻覚を見るっていうだろ?
わかりました 急いで 買ってまいります。
あの 室長… 室長?
ご挨拶が遅れて 申し訳ありません。
ホットエンペラーを 買ってこいと言われたんだが➡
忘れちゃってね それで 怒られてたんだ。
ホットエンペラー?
なによ 怒ってたなんて 人聞きの悪い…。
すみません…。
あっ 申し遅れました 一美と申します。
主人が いつも お世話になっております。
こちらこそ いつも お世話になってます。
妻は 同じ博多出身で➡
お父さんも 大の 辛いもの好きなんだ。
それで 一味唐辛子の 一味から 名前を取って➡
一美 と名付けたんだよ。
でも 彼女の家族の間では いちみ と呼んでる。
いちみ?
余談だけど 彼女の妹は 七つの海と書いて ななみ。
もとをただせば 七味唐辛子の 七味だ。
家族は みんな しちみ って 呼んでるんだよ アハハハ…。
ハハハハ…。
(千里)お茶 どうぞ。
あなた 手伝って。
はい ただ今。
ありがとうございます。 ありがとうございます。
娘の 千里と申します。
千里さん かわいい名前ですね。
娘は 千の里 と書いて ちさとなんだが➡
スペイン語の 唐辛子 って言葉から 取ったんだよ。
スペイン語の 唐辛子?
あっ チリ? (一美)いいから 早く!
はい!
あっ あの お口に合うか わかりませんが…。
見てママ シロタイのケーキよ!
あぁ ありがとうございます。
うちは 辛いもの好きの家族ですけど➡
甘いものにも 目が なくって…。 すまないね…。
そろそろ 食事の支度を…。
言われなくても やるわよ! ですよね…。
それじゃあ おくつろぎください。 はい…。
この緊張感が 我が家の味 ってやつかな。
激辛だろ? あっ いや でも なんか➡
バランス とれてる気がします。 バランス?
室長と奥さん。
う~ん うまく言えないんですけど 柔と剛っていうか➡
大阪と東京 みたいな。
大阪と 東京か…。
んっ?
♬~
自家製唐辛子。 ハバネロも あるぞ。
妻のためにね ここまで育てるのには苦労したよ。
すごいですね。
あっ…。 うん いい出来だ。
君たちも どうだ? えっ はい いただきま~す!
えっ…。
くぅ~!
採れたては 効くなぁ! (笑い声)
ごめんなさ~い。
パパ ホットエンペラー 買ってこないでいいの?
あっ そうだった! (玄関チャイム)
さあ 入って。
あれ? あっ。 取引先の ホームパーティーは?
あぁ 予定より早く お開きになったんです。
あっ はじめまして 大河内と申します。
今日は お招きいただき ありがとうございます。
篠宮です。 主人が いつも お世話になっております。
あの 九州の辛いものを➡
私なりに チョイスさせていただきました。
お口に合えば 幸いです。
これって 全部 九州の? はい。
見てママ ホットエンペラーもある。
あっ ありがとうございます。
ちょうど今 欲しかったところなんです。
《ホットエンペラー?》
ありがとう さすが 私の部下だ。
常に 先を読んでる。
言い過ぎでした…。
よかったですね 室長。 ああ。
おかげで 妻の機嫌が よくなったよ。
ゴマサバでございます。
福岡の郷土料理なんですが 我が家の味に アレンジしました。
お口に合えば いいんですけれども。
ゴマサバか~。
おいしそうです。
サバにつけて お召し上がりください。
んっ?
山崎さんには 必要でしょ?
ごっつぁんです! (笑い声)
大河内さんは ビールNGって聞いたので 芋焼酎。
ありがとうございます。
リサーチ能力 半端ない。
大河内くんと 篠宮くんも加わって 営業促進室のフルメンバーだ。
乾杯しよう!
(谷岡)乾杯! (一同)かんぱ~い!
じゃあ。 (一同)いただきます。
辛っ!
う~ん。 う~ん。
あの これって?
すりゴマと唐辛子を ブレンドしたものです。
妻が 試作を重ねて完成させた 逸品中の逸品だよ。
うん 納得です。
日本酒との相性も 抜群じゃないですか。
どうだい? 猿川くん。 はい おいしいです。
う~ん。
♬~
こちらは 最近 博多で はやっています➡
肉巻きを 我が家風に アレンジしてみました。
さあ 遠慮なく食べてくれ。 はい。
いただきます。
《見た目は 辛くなさそうやな…。
でも…》
やっぱり きた…。
これは なかなかですね~。
(秋山)ああ いい感じだ。
《んっ? これは…?》
♬~
《青唐辛子の肉巻き》
うん…。
ヘヘヘッ。
⦅唐辛子!?
え~⦆
♬~
《んっ?
でも これは どう見ても普通やんなぁ》
えっ? あっ…。
《辛子明太子… なるほど。
この家の料理が 普通で 終わるわけがない》
えっ!? ホットエンペラー。
これが…。
ふくやで もっとも辛い明太子 ホットエンペラーです。
《エンペラー》
あとは お好みで… 谷岡家特製もつ鍋です。
どうぞ お召し上がりください。
じゃあ いただこうか。 はい。
(一同)いただきます。
《すさまじく 辛い!
でも 唐辛子と明太子への こだわりを➡
半端なく 感じる。
これこそ 明太子のうまみを消さへん➡
極上の辛さや。
それに もつと野菜の やさしい味が 混ざり合って➡
うますぎる!》
うん… うん。
う~ん。
う~ん!
♬~
亮介 頑張ったな。
はい。 辛かったっすけど➡
パイセンたち 見てたら 食べずにいられなかったんすよ。
亮介くん それだ!
負けると わかっていても 頑張るのが 激辛道だ。
けど 激辛道って よく わかんないっす。
あっ 私も➡
室長の 他の上司にはない 力の抜け具合には➡
好感が持てますけど 激辛道は ちょっと…。
私もです。
辛いものは 大好きですけど➡
激辛道は ついていけないというか…。
実は私も 激辛道とか関係なく➡
辛い物と炭水化物が あればいいと思ってるので…。
みんなは 唐辛子という名前が➡
どうして付いたのか 知ってるか?
唐辛子の名前の由来は 諸説あるが➡
不思議なことに 唐の国➡
いわゆる 中国と結びつくものは ないに等しい。
私が調べたなかで 目を引いたのは➡
ポルトガル船に乗り 日本にやって来た セルビア人の男の話だ。
船は 今の大分県に当たる 豊後の国に 到着した。
セルビア人の船員は 港で 荷降ろしの仕事をし➡
そこで 偶然 通りがかった大名➡
大友義鎮の娘と 出会い 恋に落ちたんだ。
だが キリシタン大名として名をはせた 大友義鎮といえど➡
異国の男と 娘との恋を 許すわけには いかなかった。
ところが それで 2人の思いが 引き離されることはなかった。
姫とともに 船に乗り込むと➡
なんと男は 船に 火を放ったのだ。
こうして 姫とセルビア人の男は➡
燃え上がる船上で 永遠の愛を 手に入れた。
そして 数日がたち 不思議なことが起こった。
焼け跡の船から➡
見たことのない植物が 生えてきたのだ。
その植物の芽こそ 唐辛子だった。
セルビア人の男が 母国から 持ってきたものだったんだ。
それまでに 食べたことのない 赤い実を➡
初めて食べた 当時の人々は 口をそろえて こう言ったそうだ。
まるで 口から 火を吹きそうだ!
きっと炎の中で 姫君との恋を まっとうした男の思いが➡
この実に 宿ったのだろうと…。
そうして 赤い実には➡
男が生まれた セルビアのラシカ島の名前が 付けられた。
ラシカ島 トウカラシ➡
そして トウガラシとなった。
勉強に なりました。 聞けて よかったです。
Hot and spicy ceremony.
えっ?
まさに 燃え上がる船は➡
愛し合った2人の 真っ赤なセレモニー会場だった!
さぞ つらかっただろうが➡
思いを まっとうしたことで 転じて それは 幸せとなった。
この話を知って 苦難を乗り越えた 道の先に あるものが➡
激辛道が 目指すべきところだと 思ったんだ。
わかります。
右も左も わからない東京に来て 頑張って仕事をした達成感。
それは とても食べられないと思った➡
激辛料理を食べたときの あの カタルシスに通じるものが ありました。
激辛道を教えてもらい 感謝しています。
どうだ!
君たちも 激辛道を 信じてみては!
あれ?
あなたの話が長いから み~んな 帰っちゃったわよ。
人徳ないのね パパ。
しかたないわね 4人で食べましょう。
どうぞ 谷岡家特製ちゃんぽんです。 はい。
うちでは もつ鍋のシメは いつも これを。
はい。
《あれだけ食べたのに 食欲が湧き上がる。
うまそう!》
いただきます!
《コクのあるスープに ちゃんぽん麺が合う》
いただきます。 いただきます。
えっ…。
ハハッ…。
うん…。
♬~
はぁ~。
満足していただけましたか?
はい ごちそうさまです。
室長…。
ホント 間が悪いんだから…。
あっ…。
ブランケット どこだったかしら?
《家庭崩壊どころか 家庭円満》
パパ ママと出会ってから 辛いものが好きになったんですよ。
へぇ~。 ママに振り向いてほしくて 辛いもの 食べ続けて➡
いつのまにか 辛いものが好きになってたんです。
そうだったんですか。
そして セルビアで ママにプロポーズを。 セルビアで?
パパと つきあってるとき➡
ママは 世界中の激辛料理を 食べ歩く旅に出たんです。
パパ 心配で ついていって➡
セルビアに着いたときに 結婚してほしい って。
あっ じゃあ さっきの話は セルビアで…。
そういえば 猿川さん➡
パパ 初めて 激辛道を信じてくれる 部下ができたって 喜んでました。
あっ いや…。
ハハハハハ…。
は~い。
《激辛道の先にあるのは 愛なのかもな…》
♬~
仕上がりました 室長。
Hot and spicy ceremony.
結局 2人 いい感じでしたよ。 (山崎)へぇ~ 知らなかったな~。
う~ん 私も。 唐辛子の語源が セルビアに 関係してるとはねぇ。
珍しく 室長の話が 勉強に… 残っとけば よかったかも。
お願いします。 おう。
セルビアのラシカ島か… ちょっと 行ってみたくなるな。
うん そうね。
おはよう。 (健太たち)おはようございます。
(秋山) ゆうべは すみませんでした。
みんな 終電の時間が 気になったものですから…。
いや いいんだよ。 改めて ごちそうさまでした。
奥さんの おいしい料理や 唐辛子の話➡
いい思い出に なりました。
いい思い出に なってくれたら 本望だよ。
(友麻)あれ? どうした?
セルビアって 海がないの。
(秋山)確かに 海がない。
(山崎)じゃあ ラシカ島は?
海が ないのに 島が あるわけないじゃない。
もしかして 室長の作り話じゃないっすか?
激辛道を 信じさせるためか?
いや でも すてきな話でしたよ。
あっ もう こんな時間 行かなきゃ。
ホントだ ヤバッ! 仕事だ 猿川! 亮介!
はい。 はい。
いってきます。
もしもし 谷岡です。
例の件 少し時間を…。
えぇ… 私から しっかり話しますので。
ざんねんないきものとは 一生懸命なのに➡
どこか ざんねんな いきものたちのことである。
実は 我々 人間の中にも➡
ざんねんないきものが いるんだよ。
(笑い声)
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