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Original subtitles

♬~(野口聖子・野口時江) 「ハッピー バースデイ トゥ ユー」

♬~「ハッピー バースデイ トゥ ユー」

(野口姿津花)〈私は 今 「平凡な幸せ」をかみしめている〉

(聖子)姿津花さん 早く! 姿津花さん待ちよ。

あっ…! (ケーキの落ちる音)

あっ 姿津花さん 何やってるの!?

聖子さん これ 手作りの…。

ああ… 大丈夫 大丈夫。

ケーキなら ちゃんと買ってきたから。

〈結婚して10年 夫との会話は 少し減ったものの→

大きな波風が立つような いさかいは ない〉

♬~(2人)「ハッピー バースデイ ディア…」

♬~「兄さん」 ♬~(時江)「高史」

♬~(2人)「ハッピー バースデイ トゥ ユー」

(時江)フ~! (息を吹く音)

(拍手)

兄さん 誕生日おめでとう。 (野口高史)ありがとう。

高史 おめでとう。

ジャーン! ありがとう。

(時江)ウフフフ…。

おめでとう。 うん。

姿津花さん。

お水 お願いしていいかしら? えっ?

母さんの薬は 食前でしょ。 忘れちゃまずくない?

あっ… ごめんなさい。 すぐに用意します。

〈私は 嫉妬と無縁の人生を 送ってきた〉

〈自分と他人を比較して 嫉妬する事もなければ→

人に嫉妬されるほど 目立つ事もしない〉

〈「平凡な幸せ」をかみしめて 静かに生きていく〉

〈それが私の人生設計〉

〈でも そんな「平凡な幸せ」ですら 嫉妬の対象になるという事に→

まだ その時は 気づいていなかった〉

(時江)じゃあ 頂きましょうか。 はい。

♬~(永井文奈) 「ハッピー バースデイ トゥ ユー」

〈私は誰よりも嫉妬の塊〉

〈私より輝いてる人は→

力ずくでも その座から引きずり下ろして→

私が這い上がる〉

〈人から嫉妬されなくなったら 私の人生は終わり〉

〈誰よりも輝くためなら 私は どんな事でもしてみせる〉

(操作音)

(チャイム)

バーカ。

♬~

(時江)姿津花さん 高史の事 頼みますよ。

はい。 お義母さんも お体 気をつけてくださいね。

姿津花さん 私の体を気遣ってくださるなら→

これからは もうちょっと 薄味でお願いしますよ。

すみません 気をつけます。

じゃあね 高史。

(聖子)じゃあね。 うん ありがとう。

悪かったね。 常識ないんだよ 母さんも聖子も。

にぎやかで楽しかったじゃない。 (ため息)

あっ 明日早いから 先寝るわ。

大阪でしょ? 出張。 新幹線 何時?

いつもと同じだよ。

そう。 ホテルは?

だから いつもと同じだって。

あっ…。

〈荒波を立てずに 平穏な日々を送り→

ささやかな幸せに感謝する〉

〈それが 私の 嫉妬とは無縁の人生〉

〈今までも そして これからも→

ずっと こうやって 生きていくはずだった〉

来週も忙しいの?

来週? なんで?

最近 出張が多いから。 今日も日曜日なのに。

別に出張したくて しているわけじゃないよ。

あっ… そうよね。 ごめん。

(ドアの開く音)

いってらっしゃい!

言いたい事あるなら言えよ。

えっ?

顔に書いてあるよ。 全然笑ってない。

別に怒ってなんか ないわよ。

私は ただ 普通に会話がしたかっただけ。

そういうのが 一番ウザいんだよ。

自分ばっかり かわいそうアピールして→

なんの意味がある?

何度言ったら わかるんだ。

…そうね。

お仕事大変なのに ごめんなさい。

よく言うよ。

俺の事なんか なんも わかってないくせに…。

(アナウンス)「下へ参ります」

「ドアが閉まります」

〈夫は何か言いたそうだったが→

それを確かめる事は できなかった〉

〈聞いた瞬間に→

全てが壊れてしまう 気がしたからだ〉

〈でも 私が守ろうとしていた 「ささやかな幸せ」など→

最初から 存在しなかったのかもしれないと→

このあとで思い知る事になる〉

はい いきまーす。 はい。

あっ どうも。 どうもありがとうございます。

すいません 私たちもお願いできますか?

(男性)はい わかりました。

ほら 早く。

(男性)撮りますよ。 (カメラのシャッター音)

♬~

こんにちは。

(藤波香織)あら~ 姿津花さん お買い物?

(飯山雪乃) こういうエコバッグ使うと→

2円引きになるのよ。 知らなかった~?

いつもは使ってるんですけど 今日 忘れちゃって。

(峰村千春)野口さんのとこは そんなやりくりする必要ないのね。

余計なお世話ね ごめんなさい。 いいえ うちだって大変なんです。

あら タイムセール始まっちゃう。 行きましょう。

フフフ… どうも。

ねえ あのカーディガン どう思った?

全然似合ってない。

あれ 駅ビルで買った 特売品ですよ。

(雪乃)あんなの着て 普通のおばさんアピールしてんのよ。

やな感じ。 (香織)私も あれ買ったんだけど。

(携帯電話の着信音) (千春)香織さんは似合いますよ~。

(雪乃)香織さん なんでも着こなしちゃうから。

(携帯電話の着信音)

はい 野口です。

(男性)「野口高史さんの奥様で いらっしゃいますか?」

はい そうですが… どちら様ですか?

「私 箱根警察署の 城所と申します」

警察?

「実は あなたの旦那さん 野口高史さんが→

お亡くなりになりました」

…はい?

「ご確認頂きたいので 至急 お越しください」

(聖子)兄さーん!!

(聖子の号泣)

(聖子)兄さん…! うう…!

(聖子の泣き声)

(聖子)兄さん…!

(城所良一)今朝7時頃→

朝食の準備のために 部屋に入った従業員が→

ご遺体を発見しました。

(岩瀬初美) お客様! 大丈夫ですか!?

(城所の声)体内から 多量の睡眠薬が検出されました。

目立った外傷もない事から 自殺と見られます。

(聖子)どうして兄さんが 自殺なんてするんですか!?

家庭も仕事も あんなに順調だったのに…。

お言葉ですが 本当に順調だったんでしょうか?

それは… どういう意味ですか?

(ノック)

(警察官) 亡くなった野口高史さんの→

勤務先の方が お見えになりました。

おう。 (佐伯信勝)失礼します。

野口くんの奥様ですよね? はあ…。

電宝堂の営業部長の 佐伯と申します。

どうして 夫は こんな事に…。

今日は 大阪に出張だったんですよね?

大阪…?

野口くんに 出張の予定はありません。

夫は 嘘をついていたって いうんですか?

まさか… 女と一緒だなんて事…。

はい そうです。 女性と2人で泊まっていました。

えっ… 誰なんですか? その女。

銀座の高級クラブのママ 永井文奈という女性と見られます。

(聖子)姿津花さん 知ってるの!?

いいえ…。

佐伯部長は 心当たりあるんですか?

接待で たまに使うクラブの ママです。

野口くんも行った事が あるはずです。

あの兄さんが 銀座のママと不倫!?

そんな馬鹿な…!

刑事さん その人は 今 どこにいるんですか?

病院で手当てを受けています。

同じ睡眠薬を飲んで 倒れているところを→

発見されました。

お客様! 大丈夫ですか!? 女将 大変です! 救急車を!

つまり 心中って事ですか?

その死に損ないの女に会わせて! 今すぐ この手で殺してやる!

(佐伯)落ち着いてください。

(城所の声)あいにくですが 面会謝絶です。

いつ意識が戻るかも わからんそうです。

そんな…。

奥さん 会社として できる限りの事はします。

どうか 気を落とさないでください。

お心遣い… ありがとうございます。

(佐伯)周りの方には とりあえず→

病気による突然死という形で お伝えして頂ければ→

よろしいかと思います。

(聖子)会社の体面のために 嘘をつけっていうんですか?

野口くんのためでもあります。

無神経な人が 良からぬ噂を立てられては→

あまりにも気の毒だ。

お願いします。

…はい。

(佐伯)それでは失礼します。

(ドアの開閉音)

姿津花さん 兄さんは他の女と…→

銀座のクラブのママと 心中したのよ!?

悔しくないの!?

悔しいも何も… 突然すぎて 何がなんだか…。

姿津花さんが いつも そんな煮え切らない態度だから→

兄さんは よその女に走って 死んだのよ!!

(机をたたく音)

♬~

(警察官)意識が戻りました。

ここは…?

病院です。

どうして ここに来る事になったのか→

おわかりですか?

ごめんなさい。 思い出せません。

覚えてない? それは困りましたね。

あの人は…? 「あの人」というと?

野口高史…。

その人の事は覚えてるんですね。

亡くなりました。

♬~

(読経)

(香織)出張先での心不全なんて 嘘よ 大嘘。

心中よ 心中。

ほら 相手は 銀座のクラブのママですって。

(千春)奥さん かわいそうに…。

夫をクラブのママに 奪われるなんて→

私だったら 恥ずかしくて生きていけないわ。

おまけに この女だけ 生き残ったんでしょ?

(雪乃)奥さん ダブルでショックよね~。

(読経)

♬~

(聖子の嗚咽)

ああ…! あっ!

(聖子)大丈夫!? 母さん 大丈夫!?

(時江)ううっ…! (聖子)母さん!

お義母さん!? (聖子)どうしたの!? 痛いの?

聖子さん! 救急車 呼んで! (聖子)えっ…。

け… 携帯持ってないわよ こんな時に!

早く! (聖子)母さん!

(聖子)母さん… 母さん しっかりして!

母さん! 母さん…。 聖子さん お願いします。

お願いします。

姿津花さん 全部あなたのせいよ!

あなたが 兄さんを ちゃんと つかまえていれば→

こんな事には ならなかった!

奥様 岡村常務が おいでになりました。

あっ… お忙しい中 恐縮です。 野口の妻です。

(岡村忠行) この度は ご愁傷さまです。

しかし 驚きましたよ。

まあ 奥さんほどじゃ ないでしょうがね。

随分 派手に式を出してくれたな。 大丈夫か? 佐伯くん。

早急に対処致します。

奥様 ちょっとよろしいでしょうか?

…はい。

実は 野口くんが 会社の金を横領していました。

えっ…?

彼の残務整理をしていて 発覚しました。

架空の発注を繰り返して→

8000万円を 私的に流用していたみたいです。

信じられません!

そんなお金 夫が何に使ったって いうんですか!

家中捜したって 見つかりませんよ!?

お気持ちは わかりますが→

野口くんは 女性と一緒にいたんだ。

金の使い道なら想像がつく。

夫が亡くなった事も まだ 心の整理がついていないのに…。

とにかく 早急に 事を収めなければなりません。

会社としては 金さえ戻れば 穏便に済ませるつもりのようです。

8000万なんて大金 私には とても用意ができません!

奥様がお望みなら 私が会社と掛け合って→

減額や返済猶予の道を 探っても構いません。

…本当ですか?

私には 一人苦しむ奥さんの姿を 見てはいられない。

(千春)姿津花さん 大変!

あら お取り込み中だった?

いいえ。 何かあったんですか?

御大層に ベールをかぶった女が来て→

これ置いてったの。

♬~

旦那さんと心中した 銀座のママに違いないわ!

(城所の声) 女性と2人で泊まっていました。

永井文奈という女性と見られます。

(千春) 死にきれなかっただけの女が→

悲劇のヒロインぶっちゃって… ふざけんじゃないわよ!

奥さん いざとなったら 私たちも加勢するからね!

高級クラブのママは 全国の主婦の敵なんだから!

100万はあるぞ!

100万!?

その金の出どころも 怪しいもんね。

旦那さんが会社から盗んだお金の 一部なんじゃないの?

(佐伯)あんたたち 盗み聞きしてたのか!?

♬~

あなたが会社のお金を横領して よその女に貢いでた…。

そんな事 急に言われても…→

私は何を信じたらいいの…?

(チャイム)

(ため息)

ああ どうも。 刑事さん…。

現状の報告を兼ねて→

少しお話ができればと 思ったんですが…→

お取り込み中ですか?

いいえ。 散らかってますが どうぞ。

失礼します。

♬~

どうぞ。 あっ はい。

♬~

永井文奈と名乗る人が 夫の通夜に来ていたそうです。

ああ… 医者の言う事も聞かずに 退院したんで→

まさかとは思いましたけど… なかなか大胆ですなあ。

刑事さん どうして逮捕されないんですか?

夫を殺した犯人ですよ!?

睡眠薬を持ち込んだのは どうやら 旦那さんのようです。

彼女は何も知らずに→

睡眠薬入りの水割りを 飲んでしまったそうです。

助けて…。

旦那さんが 一方的に 無理心中を図ったという事です。

そんな…!

その時に 部屋にいたのは2人だけ。

何分 密室ですから→

彼女の供述以外に 手掛かりになるものは→

ほとんどありません。

警察では 関係に行き詰まった旦那さんが→

無理心中を図ったものと 見ています。

夫が不倫なんて 私には どうしても信じられません。

旦那さんが自分の意思で 彼女とホテルに泊まったのは→

紛れもない事実です。

(城所の声)彼女と話した心証では→

旦那さんに対する気持ちに 嘘はない。

(城所)恐らく 本気で愛していたんでしょう。

ただ 困った事に→

当時の状況を 詳しく聞こうとすると→

「思い出せない」としか 答えてくれないんですよ。

刑事さんは 夫の死に→

何か裏があると お考えなんですか?

どうでしょうねえ…。

まだ なんの確証もありませんが。

お願いです。 真相を調べてください!

夫は きっと 心中に見せかけて 殺されたんです!

奥さん 覚悟はできてますか?

覚悟?

今まで知らなかった 旦那さんの裏の顔が→

次々と出てくるかもしれませんよ。

実は 野口くんが 会社の金を横領していました。

架空の発注を繰り返して→

8000万円を 私的に流用していたみたいです。

(城所)殺されたとすれば→

旦那さんには 命を狙われる理由が あったという事になる。

例えば 金絡みのトラブルとか…。

夫は そんな恐ろしい事に 手を出す人ではありません!

そういえば さっき 何か 慌てて隠されましたねえ。

散らかっていたから 片付けただけです。

見せて頂けませんか?

もしかしたら 何かの手掛かりに なるかもしれません。

刑事さん 勘弁して頂けませんか。

まだ 心の整理がついていないんです。

わかりました。

今日のところは これで失礼します。

また 近いうちにお伺いします。

(ドアの開閉音)

♬~

〈私は夫を信じたかった〉

〈でも そのためには→

夫が本当に愛していたのは 誰なのか→

はっきりさせる必要がある〉

♬~

(佐伯)奥様。

あの100万円 返す気じゃないでしょうね?

佐伯部長…!

まさか… 私を監視してたんですか?

ここは 私に任せてください。

私が奥様の力になります。

わかって頂けますよね? 私の思い…。

あっ ちょっと…! あっ!

やめてください! うわっ!

恥ずかしくないんですか!? こんな事をして!

人の好意を踏みにじるとは 何様のつもりだ!

だから 野口は会社の金つぎ込んで よその女に走ったんだよ。

なんですって!?

8000万… 耳を揃えて返してもらうからな。

返さなきゃ 死んだ野口が告訴されるまでだ。

(雷鳴) 嫌ーっ!

ハハハハ…。

クズ旦那のケツは クズ女房が拭けよ!

ああっ!

(急ブレーキの音) ああっ…!

何やってんだよ!

(女性)大丈夫?

すみません…。

あら あなた…。

失礼します。 待ちなさい。

そんな格好じゃ 帰れないでしょ?

あら サイズぴったりね。

それに とっても似合ってる。

(城所の声)永井文奈という女性と 見られます。

(栗林智彦)文奈ママ→

しばらくお休みするんじゃ なかったんですか?

無理をすると 脳に障害が出るって→

お医者さんも 言ってたじゃないですか。

ところで あなた 誰?

〈どういう事?〉

〈私が誰か 気づいてない?〉

どうせ 悪い男にでも 振り回されたんでしょ?

えっ?

私 人が何で悩んでるのか すぐに見抜いちゃうのよね。

浮気でもされた?

そんな男の事なんて さっさと忘れなさい。

ここなら もっとマシな男が たくさん見つかるわよ。

私には そんなまねできません。

あら 残念。

夜の女に大化けできそうな素質は ありそうなのに…。

それ 本気ですか?

私は いつだって本気よ。

その気になったら いつでも うちに来て。

力になってあげる。

あなたが 私を助けるっていうんですか?

そうよ。

あんなに みすぼらしい格好で いるのを見たら→

なんだか かわいそうになっちゃって。

大丈夫?

すみません…。

私が… かわいそう?

ええ… とっても。

失礼します!

せめて 礼の一つぐらい 言ってほしかったわね。

♬~

〈不幸は→

奈落の底にたたき落とされた 私の心に→

嫉妬の炎を灯す〉

〈夫の最後の時を 共に過ごした女に→

私は激しく嫉妬した〉

高史! 高史!

ねえ… これ 似合う?

あなたが一緒に 死のうとした人から借りたのよ。

ねえ…。

本当は こんなのが好きだったの!?

高史!

答えてよ!!

(割れる音)

(泣き声)

♬~

高史…。

私の事なんて 本当は愛してなかったの?

あーっ! ああーっ!

(泣き声)

高史!

高史…!

帰ってきてよ!

(泣き声)

(携帯電話の着信音)

俺の事なんか なんも わかってないくせに…。

♬~

〈あの時の高史が→

何か言いたそうな顔を していたのは この事…?〉

♬~

すみません 予約していた野口です。

(三沢 守) お待ちしておりました 野口様。

お連れ様は お待ちになりますか?

夫は 来られなくなりました…。

かしこまりました。 お席にご案内致します。

♬~

(三沢)こちらのガーベラは 旦那様にご指定頂いたものです。

私が一番 好きな花なんです。

ガーベラの花言葉って知ってる?

ううん 知らない。 何?

「常に前進」。

ガーベラの花って ほら こんなふうに上を向いて→

大きく開くだろ? うん。

だから 前向きな花言葉が付いたんだ。

♬~

俺も前へ進む。

大出世して 大金持ちになる自信は 全然ないけど→

姿津花となら 俺たちなりの幸せが つかめると思うんだ。

10年後も20年後も 一緒に笑っていられるように…。

姿津花…→

結婚しよう。

♬~

高史… ありがとう!

♬~

ごめんなさい。

あなたの事を 一番わかってるはずの私が→

あなたの事を疑うなんて…。

(三沢)本日のお料理ですが→

旦那様からは 10年前と同じ 一番お手頃なコースを→

お出しするよう 仰せつかっております。

10年後の事を考えると→

あえて 一番安いコースを選ぶのも 手だな。

一番 カロリー低いから 太らずに済むし。

〈あんなに堅実だった高史が→

8000万円の大金を 会社から だまし取るなんて→

絶対にあり得ない〉

〈しかも よその女に貢ぐなんて…〉

大阪でしょ? 出張。 新幹線 何時?

いつもと同じだよ。

そう。 ホテルは?

だから いつもと同じだって。

〈あなたが嘘をついたのは→

何か 言えない事情が あったから…〉

〈もう 私は逃げない〉

〈真実をつかむためなら 私は どんな事でもしてみせる〉

〈あなたと過ごした日々が 幸せだったと→

胸を張って言える日が来ると 信じて…〉

〈あの日 あなたの身に 何があったのか…〉

〈たとえ 彼女が記憶を失ったとしても→

私は絶対に諦めない〉

〈必ず 真相を聞き出して→

私たちの前に ひざまずかせてみせる〉

〈ここからは女の戦い〉

〈永井文奈→

夫の幸せを奪った あなただけには→

負けられない〉

♬~

今日は やけに着飾ってお出かけね 志津花さん。

旦那さん あんな事に なったばっかりなのに…。

早くも別の男に乗り換えた?

8000万も借金抱えちゃったから 大変なのよ きっと。

昨日は ありがとうございました。 助かりました。

お願いです。

私を ここで雇って頂けませんか?

いいわ。

実は私 最初から こうなる気がしてたのよ。

あなたと会った瞬間に 運命的なものを感じたの。

運命…?

そんな格好じゃ 帰れないでしょ?

そうかもしれませんね。

それにしても たった一日で→

すごい変わりようですね。 見違えましたよ!

昨日 私の事を 「かわいそう」って言いましたよね。

あれで火がついたんです。

私が… かわいそう?

ええ… とっても。

私を見下したあなたに勝ちたい。

そのためには 今までの自分を捨てて→

生まれ変わるしかないと 思ったんです。

あら?

入店早々 私に喧嘩を売る気?

君! ママを怒らせたらどうなるか わかってんの? ほら 謝って!

志村実里と申します。 よろしくお願いします。

面白いわね。

最高よ!

人生は戦い。

女は 戦って勝ち抜かなきゃ…。

実里さん よろしくね。

はい。

私 負けませんから。

♬~

♬~

♬~

(栗林)本日ご入店された 実里さんでございます。

実里です。 よろしくお願いします。

(拍手)

かわいがってあげてくださいね。

米中貿易摩擦の動向や TAG交渉の結果次第では→

景気が想定以上に悪化する リスクは十分あり得ますもんね。

見てましたよ サヨナラホームラン!

(男性)アハハ! どうも。

こう 腕を畳んで おっつけて→

ライト方向に あの飛距離ですもんね。

さすがです~! ねえ?

オペ大成功って事ですよね。

さすが スーパードクター。

大好きよ。

僕もママの事 好きだよ。

(佐々本)ハハハハハ!

(津島季穂)実里さん。

佐々本さんが ごちそうしてくださったお酒→

飲まないなんて失礼よ。 あっ… ごめんなさい。

いただきます。

(佐々本)おお…。 (渡邊)おおっ!

おおっ!

(むせ込み) すごっ…。

実里さん ずっと ママの事 見てますけど→

憧れとか尊敬の目じゃない気が するんですよね。

そう? じゃあ どんな目なの?

嫉妬です。

ママに対するお客さんの 盛り上がりが半端ないから→

自分のつたない接客と比べて ショックなのかな…?

それにしても 殺気感じません?

初日は 誰でも緊張するものよ。

季穂ちゃん あとで実里さんの 話し相手になってあげて。

♬~

お疲れさまです。 実里さん。

何 たくらんでるのか 知らないけど→

ママには 気をつけたほうがいいよ。

ただ 見とれていただけです。

お客さんの好みに合わせて→

接し方を あれだけ変えられるなんて…。

本当のママは 一体 どんな方なんですかね?

さあ… 本当の顔なんて 誰にも見せた事ないんじゃない?

ママが今まで お客さんと 男女の関係になった事って→

あるんですか?

ママは 思わせぶりにするのが 得意だから→

期待させるだけさせといて 寝技には絶対持ち込ませないの。

でも この間死んだお客さんとは→

深い仲まで いってたみたいだけど。

この間死んだお客さん?

表沙汰にはなってないけど→

ネットでは 結構盛り上がってんのよ。

ママは この人の事が好きで 結婚したかったんだけど→

奥さんと別れられないから 心中しようとして→

結局 自分だけ 助かっちゃったんだって。

季穂さんは その人 接客した事あるんですか?

ママは その男の人と どんな話をしてたんですか?

さあ…。

私は 客の話なんか聞かずに 相づち打ってるだけだし。

でも 仲が良かったのは事実ね。

(季穂の声) 毎晩のように お店に来ては→

ママと顔 寄せ合って ずっと話 してた。

このお店 結構いいお値段がするのに→

よくお金が続きましたね。

会社の経費で落としてたみたいよ。

閉店時間まで ママと 散々 イチャイチャしてたくせに→

帰り際には きっちり 領収書くれって→

マネジャーに言ってたもん。

しかも 現金は いつも 茶封筒から出してたから→

律義に会社で 仮払いでもしてたんじゃない?

仮払い?

経費で落とすといっても→

誰かを接待してたわけじゃ ないんですよね?

その辺は うまくやってたみたいね。

接待じゃないけど たまに 会社の上司も連れてきてた。

上司?

名前 覚えてます?

私にとって お客さんは みんな 福澤諭吉。

名前なんて覚える気ないわよ→

あんな悪趣味な蝶ネクタイ男。

野口くんの奥様ですよね?

電宝堂の営業部長の 佐伯と申します。

悪い事 言わないから→

ママの事は 詮索しないほうがいいよ。

ママににらまれたら 最後。

前 この店にいた渚ママを 追い出す時だって→

すごかったんだから。

(内河 渚)文奈!

私が どれだけ あなたの面倒を見てきたか→

忘れたの!?

そういう勘違いが ずっと迷惑だったの!

今日からは 私が この店を仕切る。

あんたの時代は終わりよ。

もう こんなの嫌!

渚さん! うう…。

(泣き声)

負け犬は消えな。

(季穂の声)渚ママが 自殺しそうになっても→

文奈ママは なんとも思ってない感じだった。

まあ… 他人の幸せ ぶち壊すのが 趣味みたいな人だから。

季穂ちゃんは 私の事 そんなふうに思ってたんだ。

誤解しないで!

文奈ママの事をねたんでた→

渚ママが そう言ってたんだからね。

≫ご新規2名様です。

はーい! 今 行きまーす。

実里さんは 私の何が知りたいのかしら?

私みたいな女になりたいのなら 教えてあげてもいいわよ。

それは無理です。

私みたいな平凡な女は→

接客中も お客さんの普段の生活や ご家族の事が→

気になってしまうんです。

他人の人生を壊してまで→

自分が幸せになりたいとは 思いません。

人の不幸を顧みず 自分だけが幸せになろうなんて→

虫が良すぎませんか?

きれい事ね。

人は誰でも成功したいし→

そのためには 他の人に 失敗してもらったほうがいいって→

みんな思ってる。

現に 私も いろんな人に嫉妬しながら→

ここまでやってきた。

ママみたいな人が 嫉妬なんてするんですか?

するわよ。

今は あなたに嫉妬してる。

私に嫉妬?

あなたは純粋すぎる。 思った事が すぐ顔に出るしね。

だから 嫉妬するのよ。

私にないものを持ってるから。

私から奪うものなんて なんにもないですよ。

もう 全部 失いましたから。

(聖子)兄さーん!!

兄さん…!

駄目よ。

ここは銀座なんだから 辛気臭い事 言ってないで→

お話は もっと盛って 面白くしなきゃ。

だったら→

彼の浮気で もめにもめてる話なんか→

興味ありますか?

いいわね。

私 人が どん底に落ちていく話が 好きなの。

彼が 私に内緒で→

よその女と会ってるなんて 全然 気づきませんでした。

でしょうね。 あなた おっとりしてるから。

で 相手の女は どんな人?

一見 何を考えてるか わからないんですけど→

実は とてもしたたかで→

人が嫌がる事ばかりを 仕掛けてくる→

嫌な女です。

実里さんは その女を どうしたいの?

殺したいです。

面白い!

そのぐらい 話は盛ったほうが 盛り上がるわよ。

いえ… そこは盛ってません。

いいのよ それで。

ここは銀座。

嘘と本当が入り乱れる中で→

いかに本物の男を見極めるかが 勝負なんだから。

ママは お客さんを→

本気で好きになった事は あるんですか?

さあ どうかしら?

今まで 本気で 人を好きになった事は…。

忘れちゃった。

忘れた?

思わせぶりな事なら いつも してるけどね。

命が いくつあっても 足りないんじゃないんですか?

さっきから聞いてると→

まるで私が あなたの彼を 奪ったみたいな口ぶりね。

もし そうだとしたら→

どうします?

最高の気分よ。

女は女に嫉妬されて 輝きを増す生き物なんだから。

♬~

(読経)

(読経)

(読経)

兄さんの事 何か わかったの?

♬~

高史さんが→

銀座のクラブに通い詰めて 彼女と何度も会っていたのは→

事実だった。

この事に気づけなかったのは 私のせい。

ごめんなさい。

本当だったんだ…。

兄さんが そんな派手な事する人とは→

思わなかった。

でも 高史さんが 彼女と 深い関係があったとは思えない。

会社で仮払いをして 精算してたみたいなの。

高史さんは 仕事に関する何かの目的があって→

彼女に近づいたんだと思う。

8000万円の不正話が 絡んでるのかな…。

それにしても 姿津花さん→

どこから そんな情報 手に入れたの?

えっ!? あっ… たまたま 知り合いに→

銀座で働いてる子がいてね。

へえ~… だったら 私も やってみようかな?

えっ? クラブ勤め!? やめたほうがいいわよ。

聖子さんには向いて…。 違うわよ!

私は ウェブデザイナーとして 兄さんの会社に潜り込んで→

兄さんが なぜ 死ななければならなかったのかを→

調べてみる。

ねえ。

あれ 兄さんの会社の ポンコツ上司よね?

そうね。 かなりのポンコツ。

しかも かなりの女好き。

ふ~ん… じゃあ あいつに 思わせぶりな態度を取って→

仕事 紹介してもらおうかな。 えっ? あっ… ちょ…。

〈佐伯部長は なんらかの形で 夫の死に関わっている…〉

〈そんな危険な男とは知らず 近づこうとする聖子さんに→

私は 本当の事を告げられなかった〉

え~ それ 面白そうですね! ベストセラー間違いない。

このお客さん どんな方だったんですか?

(佐々本)この人 しばらく見ないと思ってたら→

死んじゃってたんだ。 俺は絡まれた事あるなあ。

文奈ママのパトロンは お前かって。

(渡邊)私もです。 ママに 指輪あげたのは お前かって。

すいません。

あの 文奈ママが着けてる蝶の指輪 相当 高そうなんですけど→

誰がプレゼントしたか 知ってます?

それは… 何を隠そう 私です。

えっ!? 本当に? 嘘ですけど~!

何言うてるんですか。 私ですよ。

嘘ですけど。 エヘヘヘヘ…。

ご存じないんですね。

最近 妙に金回りがいいんですよね この店。

お金の出どころについて 調べていたんですね?

実里ちゃん もう1杯。

おい。 誰の金で飲んでると思ってる!

ボトルを見ろ!

これで あと1年 持たせるんだぞ。

あと1杯分ですよ? どんだけ 水で割るんですか。

薄すぎて酔えませんよ。

酔ったふりをしてれば→

そのうち だんだん 酔った気になる。

それが 高級クラブの楽しみ方だ。

うっ…! うう…。

おーい。 死んだふりしてんじゃないよ!

(渡邊)死んだふりでしょ? (佐々本)酔ったふりだよ。

(渡邊)酔ったふりか。 (佐々本)酔ったふり。

彼女は何も知らずに→

睡眠薬入りの水割りを 飲んでしまったそうです。

ただ 困った事に→

当時の状況を 詳しく聞こうとすると→

「思い出せない」としか 答えてくれないんですよ。

〈死ぬふりをしただけ…〉

〈高史が 一方的に 無理心中を図ったなんて嘘…〉

〈あの女は 自分から心中を持ちかけ→

死ぬふりをしただけだった!?〉

みんな 今日は 私のおごりよ!

(歓声と拍手)

(一同)ありがとうございました。

ママ 大丈夫?

こんな酔うとこ 初めて見た。

最近 いろんな事がありましたからね。

それに ママ まだ 体調は 完全に戻ってないんですよ。

余計な事 しゃべんないで!

今日ぐらい 飲んだっていいでしょ?

好きだった人の 四十九日なんだから…。

(季穂)好きだった人って→

この間 亡くなった お客さんの事ですか?

愛し合ってたのよ 私たち。

なーんてね。 冗談よ。 今のは忘れて。

(季穂)なーんだ 心配して損しちゃった。

じゃ 私 お先です。

お疲れさまです。 (栗林)お疲れさまでした。

実里さんなら わかってくれるわよね?

好きな人に捨てられた 惨めな女の気持ち。

♬~

実里さん 家まで送って。

私には あなたが何を考えてるのか わからない。

(栗林)実里さん… 送ってくれませんか。

ママも ああ見えて→

まだ あのお客さんの事 引きずってるんです。

はあ… わかりました。

(栗林)ママの荷物を ロッカーから 取ってきてもらえますか?

♬~

はっ…!

♬~

(ドアの閉まる音)

♬~

(城所の声)体内から 多量の睡眠薬が検出されました。

私は 彼の事が好きだった。

でも 彼だけ逝かせてしまったの。

情けない…。

死ぬふりをしただけじゃ ないんですか?

本気なら 致死量 飲めばいいだけの事です。

そう思われても仕方ないわね。

でも 私は本気だった。

私たち2人に 死ぬ以外の道は残されてなかった。

嘘よ!

死んだら何もならないわ。

道を誤ったのなら 一度戻って やり直せばいいのに。

きれい事 言わないで!

どん底の生活を送ってきた 私には→

人を蹴落として這い上がるしか 道は なかった。

のうのうと生きてきた あなたに 何がわかるの?

確かに 私は→

人から後ろ指をさされる事を 恐れ→

人の陰に隠れるように 生きてきました。

それは かつて 私が→

嫉妬され 蹴落とされた側の人間だからです。

母は 資産家と結婚し 私が生まれました。

でも あっという間に 父は 新しい女に奪われ→

私たち親子は→

住む家を追われ 路頭に迷う事になったんです。

これだけは覚えておいて。

金持ちと結婚しても 幸せになるとは限らないのよ。

これ持って。

ここを動いちゃ駄目だよ。

ごめんね 姿津花。

(姿津花の声) そのあと 母は自殺しました。

母は 嫉妬に殺されたんです。

だから 私は→

母のようにはなりたくない その一心で→

今まで 息を潜め 静かに生きてきたんです。

でも しょせん 女は嫉妬の塊。

(文奈の声)女が顔を合わせれば→

嫉妬の火花を散らして 戦う宿命にあるのよ!

現に あなたも こうして 戦いの場に戻ってきたじゃない。

いいえ。

私は 醜い戦いの中に埋もれた 真実を見つけにきただけです。

気分が悪いわ。

実里さん お水 持ってきて。

〈これは女の戦い…〉

〈もう後戻りはできない〉

〈高史が調べていた指輪が ない…〉

文奈ママが着けてる蝶の指輪 相当 高そうなんですけど→

あれ 誰がプレゼントしたか 知ってます?

(カーテンを開ける音)

〈店にあったものが なぜ ここに…?〉

〈「岡村」?〉

奥様 岡村常務が おいでになりました。

しかし 驚きましたよ。

まあ 奥さんほどじゃ ないでしょうがね。

〈岡村と付き合っているのなら→

高史に対する彼女の思いは 全部 嘘!?〉

高史…。

〈この女は 何を考えてるの?〉

♬~

〈いっそ ひと思いに 全てを終わりにしたい…〉

〈でも 今 殺したら 真実は闇の中…〉

〈高史の汚名を晴らすには この女を生かしておくしかない〉

(ドアの開閉音)

♬~

(季穂)ああ 知ってる。 ドラコン常務でしょ。

ドラコン常務?

ゴルフコンペで いつも ドラコンとるから→

部下から そう呼ばれてるんだって。

部下…?

ねえ この間 ママと心中した人も 確か同じ会社じゃなかったっけ?

ドラコン常務と一緒にいたとこ 見た事ある?

さあ そこまでは覚えてないなあ。

私 貢いでくれる人以外に 興味ないから。

という事は 季穂さんも→

ドラコン常務に 貢いでもらってたの?

ああ~… 惜しいとこまでは いったんだけどね。

ママが 箱根で 心中を図った日の夜…。

お願いしまーす! シャンパン10本 持ってきて。

(歓声)

せっかく ママに会いに来たのに 休みとは ツイてないな。

よし! 今日は やけ酒だ。 (一同)いただきます!

会いに来たのに ママは休み…?

実里さん ゆうべは ありがとう。

あっ… ママ…。

具合は大丈夫?

もう大丈夫。

実は 家に送ってもらったあとも→

意識は はっきりしてたんだけどね。

実里さん 私の部屋で 何探してたの?

ああ… いえ 別に 何も。

冗談よ。

熟睡してたから 何も覚えてないわ。

実里さん ご指名 入りました。 はい 今 行きます。

嘘つき。

あら? 別に あなたの事 言ったわけじゃないわよ。

♬~

(栗林)こちらです。 あっ…。

(栗林) ご指名ありがとうございます。

実里さんです。

〈葬儀に来ていた人?〉

(鈴田雄一郎)どうかしましたか?

あっ… いえ すみません。

はじめまして。

実里です。

実里さん…。 あっ…。

鈴田です。

鈴田雄一郎。

まあ しがない雑誌記者が こんな高級クラブに来たら→

そりゃ 場違いで驚かれるのも 無理ないですよね。

私のほうこそ 働き始めたばかりなのに→

ご指名頂いて恐縮です。

だから あなたを指名したんですよ。

えっ? (鈴田)私が舞い上がって→

お話しできなくなるのは 困るから→

場慣れしていない新人さん お願いしたんです。

ああ…。

でも まさか 実里さんみたいな おきれいな方が来るとは→

思いませんでした。

そんな…。

姿津花…→

結婚しよう。

ガーベラが お好きなんですか?

あっ… はい。

心が折れそうな時に ガーベラを見ると→

あと少しだけ頑張ろうって 思えるんです。

ガーベラの花言葉は 「常に前進」ですからね。

由来は ご存じですか?

前に聞いた事があります。

ガーベラの花って こんなふうに上を向いて→

大きく開くだろ? うん。

だから 前向きな花言葉が付いたんだ。

それって… 誰かが あなたを 口説く時に言ったんですよね?

あっ… はい。

ハハハハ…。

思いきり かぶりましたか。 ああ… お恥ずかしい。

まあ 先を越された事には 嫉妬しますが→

同じネタを使ってくれた偶然には 感謝します。

だって あなたの心を 少しでも 揺らす事ができたんですから。

あっ… フフッ…。

水割りでよろしいですか? (鈴田)はい。

鈴田という人 何を考えているのかしら?

あなたと同じ ガーベラの話をするなんて…。

(携帯電話の着信音)

はい 実里です。

(鈴田)こんなに早く お会いできるなんて…。

駄目元で お誘いしたんですよ。

自分でも驚いています。

あの店には 雑誌の潜入取材で 行ったんですが→

実里さんと会った瞬間に もう どうでもよくなっちゃいました。

フフッ…。 差し支えなければ…→

なんの取材なんですか?

あの…→

文奈ママが心中未遂をしたのは ご存じですよね?

ええ。 その真相を調べているんです。

やはり あの心中未遂には 裏があった?

亡くなられた男性の会社には 不正経理の疑いがあって→

地検が 秘密裏に 捜査を 進めていたところだったんです。

8000万の詐欺事件…。

えっ…? なんで そんな事まで知ってるんです?

あっ…。

実は 私… お店には話してないんですが→

亡くなった野口高史の妻なんです。

そうだったんですか…。

どうしても 夫の死に納得がいかなくて→

一人で調べていたんです。

あの… お通夜会場の外で→

旦那さんの会社の岡村常務と 文奈ママが会っているのを→

見ました。

あのお香典は 岡村常務が 用意したものだったんですか?

岡村を不正経理の黒幕と見て しばらく マークしていた私は→

文奈ママとの関係に着目し あの店の財務状況を調べました。

すると 電宝堂から消えた金が→

どうやら あの店に 流れ込んでいるようなんです。

亡くなった夫も お店に通って 何か調べていたようなんです。

しかも 会社名義で領収書を切って。

(鈴田の声)会社の経費で 調べていたとすれば→

内部監査で 不正経理の疑いが浮上し→

内偵をしていたんでしょう。

文奈ママと岡村が愛人関係なら 岡村が文奈ママを使って→

旦那さんを殺した可能性も あります。

しかも 不倫の末の心中に 見せかけるなんて…。

ああ… 絶対に許せない…。

(鈴田)実里さん… いや 姿津花さん。

旦那さんの代わりは 務まらないけど→

僕と一緒に 真相を明らかにしませんか?

ご迷惑ではないんですか?

いえ 全然。 あっ ちなみに 私は→

妻に不倫されて 捨てられた身なので→

誰かに嫉妬される恐れは 全くありません。

ああ…。

鈴田さん よろしくお願いします。

こちらこそ。

(鈴田)では 姿津花さん また。

ありがとうございました。 (鈴田)どうも。

誰です? あの男。

なんとなく 面影が旦那さんに似てますね。

何かご用ですか?

捜査をし直して くれてるんですか?

いや… そういうわけじゃ ないんですけどね。

とはいえ 偽名で 永井文奈の店に潜り込んで→

探偵まがいの事までされては 困りますね。

(姿津花の声)彼女は 睡眠薬を使い慣れています。

夫に睡眠薬を飲ませたのは 彼女です。

心中する気なんて 最初から なかったんです。

うーん… それだけでは→

彼女が旦那さんを殺したとは 言えませんね。

彼女の供述を覆すまでには 至りません。

夫が命を狙われる理由が あったとすれば→

話は変わってきますよね?

まあ 考えられるとすると 金絡みですね。

ご存じでしょうが 旦那さんには→

会社の金を横領していたという 疑いがかけられていました。

いいえ それは ぬれぎぬです。

夫は 会社の不正を 調べていたんです。

それを調べるために→

銀座の高級クラブに 入り浸っていたというわけですか。

いや… だが 旦那さんの給料では とても通いきれない店ですよ。

横領した金で 豪遊していたと見るのが→

自然ですね。

夫は 会社の指示で 動いていました。

恐らく 岡村常務と永井文奈の 関係について調べていたはずです。

2人の間には 多額の金品の授受がありました。

現に お店にあった 調度品のガラスの靴が→

彼女の家に運ばれていたのを 見ました。

ああ…。

もし あなたの言うとおり 岡村が 不正をしていたとすれば…。

お気の毒ですが 旦那さんは→

社内のゴタゴタに 巻き込まれたのかもしれませんね。

刑事さん! これで 捜査を再開して頂けますか?

もう少し具体的な材料があれば できなくもないですが…。

少し お待ち頂けますか?

はい。

夫の通夜に 彼女が持ってきたものです。

(城所)以前 私がお邪魔した時に 慌てて隠したものですね?

(姿津花の声)あの時は 夫の事を疑っていました。

でも 今は違います。

夫は 社内の不正を調べる中で 彼女に近づき→

その不正を暴かれる事を恐れた 人物によって→

罪を着せられ 殺されたんです。

(城所)これを調べれば→

旦那さんの口を封じた 犯人の手掛かりが→

出てくるかもしれない という事ですね?

変わりましたね 奥さん。 まるで別人だ。

私は 何も変わっていません。 そして 夫も…。

出会った頃の夫とは 何も変わっていなかった…。

大出世して 大金持ちになる自信は 全然ないけど→

姿津花となら 俺たちなりの幸せが つかめると思うんだ。

だから 嫉妬されたんです。

平凡な夫婦だからこそ 嫉妬されたという事ですか?

うちのかみさんが聞いたら 驚くだろうな。

刑事さんの奥さんも きっと 私と同じ事を→

思ってらっしゃるんじゃ ないですか。

♬~

(ため息)

かみさんに あんな事 言わせる旦那に→

俺は なれていたのかな…。

もう後戻りはできない。

私が 必ず あなたの無念を晴らしてみせる。

♬~

♬~

♬~

ママの容体は?

(栗林)命に別条はないそうです。

(季穂)一体 誰が ママを殺そうとしたの?

ママに恨みを持つ人も 少なくないでしょうし…。

(城所)例えば 誰ですか?

箱根警察署の城所です。

永井文奈さんが襲われた17時頃 皆さん どこにおられました?

私は 店にいましたが…。 (季穂)私も。

箱根の刑事さんが なぜ 東京の事件を調べてるんですか?

うちの管内の事件で 任意提出を 受けていた現金の中から→

事件関係者の指紋が出ましてね。

早速 事情を聞きに来たところ→

その寸前に襲われた というわけです。

彼女の口を封じたい人物 もしくは→

彼女に恨みを持つ人物による犯行 という線も考えられますね。

♬~

〈まだ あなたに 死んでもらうわけにはいかない〉

♬~

〈高史が調べていた指輪…〉

〈でも 彼女の部屋には なかった〉

〈消えた指輪が 真相に繋がる手掛かり…?〉

その写真が気になるの?

この写真の男の人 悲しい顔をしてるなと思って。

高史は 寂しかったのよ。

奥さんに冷たくされて。

私には 妻に申し訳ないと 思っている顔のように見えます。

この人 すぐに顔に出るから…。

えっ…?

痛い…。

痛むの?

それは まだ あなたが 生きてる証拠。

死んだら 何もならないのよ。

襲われた時→

犯人の顔が 一瞬 あなたに見えた。

実里さんは その女を どうしたいの?

殺したいです。

私は そんな卑怯なまねは しないわ。

確かに あなたじゃなかった。

でも…→

あなたに いつか殺される気が ずっとしてた…。

早く治して。

続きは その時にしましょう。

♬~

香典の中の札から→

旦那さんの指紋が 出たのか…。

夫は お店では 必ず 現金で支払っていました。

そのお札を彼女が回収して 岡村に渡したとすれば→

偽装は可能です。

岡村が 不正の責任を 旦那さんに着せようとした→

一連の事件の黒幕なら→

用済みになった永井文奈も 口封じしようとした可能性はある。

でも まだ わからない事ばかり。

夫が亡くなる日に 彼女と 箱根で撮った写真を見たんです。

彼女が いつもしていた指輪が→

その日を境に 消えてしまったんです。

現場からの押収品の中に 蝶の指輪ですか?

彼女が当日していた指輪が→

どこを捜しても 見当たらないんです。

奥さん…。

住居侵入で捕まるのだけは 勘弁してくださいよ。

ええ…。

指輪なんて載ってないな…。

その指輪って 旦那さんが 目をつけてたやつだよね?

ええ。 確かに 妙だな。

それと 写真の中の夫は→

好きな人と一緒にいる時の顔では なかった。

(鈴田)そういえば 旦那さんは すぐ顔に出るって言ってたね。

私が最後に見た 夫の表情からは→

よその女に会いに行く というような→

後ろめたさは感じなかった。

俺の事なんか なんも わかってないくせに…。

♬~

上司の不正を暴くために 彼女に近づいたとしても→

女性と2人きりで 旅行に行くような人ではなかった。

慎重だった夫にしては うかつな行動だし→

そもそも どうして そんな危険な事に→

足を突っ込んだのか…。 うん…。

旦那さんが箱根へ行ったのには 他の目的があったのかもしれない。

ねえ 我々も箱根に行って 確かめよう。

えっ…?

複雑な思いは あるかもしれないけど→

僕でよければ 支えになります。

一緒に 旦那さんの無念を 晴らしましょう。

鈴田さん…。

♬~

(初美)私がお部屋に入った時→

男性のお客様は すでに亡くなられてました。

女性のお客様は 睡眠薬を吐き出されたので→

一命を取り留めたようです。

≫(初美)失礼致します。

♬~

(荒い息遣い)

助けて…。

(初美)ああっ… お客様! 大丈夫ですか!?

お客様?

お客様! お連れ様が…。

(初美)あっ… ああっ…!

女将 大変です!

お客様一人が お亡くなりで もう一人も危険な状態です!

救急車を!

高史…。

どうして 私を 連れていってくれなかったの?

「どうして 私を 連れていってくれなかった」…。

彼女が そう言ったんですか? (初美)はい。 言いました。

(鈴田)どうせ演技ですよ。 一緒に死にたかったと→

アピールしたつもり だったんでしょう。

でも 彼女が睡眠薬を飲んだのは 事実です。

意識が朦朧とする中 そこまで 演技ができたかどうか…。

あの… 彼女が箱根に行く時 着けてた指輪が→

そのあと なくなってるんですけど ご存じないですか?

指輪ですか?

あっ… 蝶々の指輪!

(初美)いってらっしゃいませ。

(初美の声) 亡くなる前の日の夕方に→

いったん 外へ出られた時は 確かに指輪をしてました。

蝶々の指輪。

でも お戻りになった時は→

指輪をしていなかったような 気がします。

(初美)おかえりなさいませ。 おかえりなさいませ。 はい。

外で指輪を外した…?

2人が外に出たのは 何時頃でしたか?

お戻りの際に ご夕食のご案内を させて頂いたので→

夕方5時前後に 10分ほど お出になられていたと思います。

もういいですか?

(鈴田)ああ… すいません。 ありがとうございます。

姿津花さん 2人が会ってたのは 岡村じゃないですか?

でも 岡村は その日の夜 銀座で飲んでいたそうです。

せっかく ママに会いに来たのに 休みとは ツイてないな。

よし! 今日は やけ酒だ。

アリバイ工作に決まってますよ。

だって 車だったら 2時間ちょっとで銀座に着きます。

夫を箱根に呼び出したのは 岡村…?

まさか 聖子さんが→

岡村常務の秘書に なっていたなんて…。

(聖子の声)最初に取りついた 佐伯部長は→

ただの女好きだったけど それに比べて→

岡村常務は 紳士的で とてもよくしてくれるの。

もしかして 聖子さんが→

高史さんの事を 探ろうとしていたのが→

バレたんじゃないかしら?

さあ… どうかしら? でも もう 調べはついたの。

姿津花さんが言っていたとおり 上司の指示で店に通って→

飲み代を 会社の経費で落としてた。

でも 岡村常務を疑うのは 筋違いよ。

聖子さん よく聞いて。

高史さんは 岡村常務の不正を 調べようとしていたのよ。

違うわ! 兄さんをだまして 無意味な調査をさせていたのは→

佐伯部長よ。

8000万… 耳を揃えて返してもらうからな。

返さなきゃ 死んだ野口が告訴されるまでだ。

だから 岡村常務を疑っても無駄。

兄さんの事は 残念だけど…。

これからは 兄さんの分も 前を向いて生きていかなくちゃ。

この指輪 岡村常務からもらったんでしょ。

ありがとうございます。

よろしく頼むよ。

姿津花さん どうして知ってるの?

これは岡村が 自分の愛人…→

あなたのお兄さんを 心中に見せかけて殺した→

永井文奈に プレゼントしたものなの。

♬~

まさか! 一体どういう事!?

あなたの話は 岡村常務のでっち上げたもの。

彼こそが不正経理の黒幕で→

高史さんの殺害を 永井文奈に指示した張本人なの。

フフッ… せっかく 姿津花さんに 忠告しに来てあげたのに→

あんまりな事 言うのね。 忠告?

岡村常務の周りを ここ何年も うろついているのが→

最近 姿津花さんに 取りついているから。

♬~

たとえ一瞬でも 私は あなたの事を疑い→

あなたから心が離れかけた。

本当にごめんなさい。

(携帯電話の着信音)

だから あなたは こうして私を試したのね。

♬~

あなただけは許せない。

冗談はよせ。

どんなに足掻いても お前は 俺には逆らえないんだよ。

(ナイフが落ちる音)

≫文奈ママ!

退院おめでとう。

快気祝いを渡しに行ったら→

退院早々 お出かけするみたいだったから→

心配して ついてきたの。

中身はありがたく 私の変身費用に 使わせて頂きました。

面白いわね。 最高よ!

高史からは→

妻は地味で陰気な女だって 聞いてたから→

すっかり だまされたわ。

夫は あなたの事なんて なんとも思ってなかった。

岡村の不正を暴くために→

あなたの誘いに 乗るふりをしただけよ。

奥さん さすがに その言葉は聞き捨てならんな。

俺を誰だと思っとるんだ!

(鈴田)待て 岡村!

野口さんに 不正を 暴かれそうになった あんたは→

逆に 野口さんに罪を着せ 心中に見せかけて殺した。

ずっと待ってたんだよ この時を。 ついにボロ出したな 岡村。

(岡村)貴様のようなゴロツキに 用はない。 帰れ!

つまり 鈴田さんは→

夫に危険が及ぶ事を 前々から知りながら→

それを 止めようとしなかったんですね。

えっ… 姿津花さん 急に 何 言い出すんだ?

名刺にあった勤務先はデタラメ。

(アナウンス) 「おかけになった電話番号は→

現在 使われておりません」

あなたの目的は 最初から 岡村の裏の顔を暴く事だった。

そのために 私たち夫婦を 利用したんですよね?

私が ガーベラを好きだ という事まで調べ上げ→

その花言葉まで持ち出して…。

ガーベラの花言葉は 「常に前進」ですからね。

由来は ご存じですか?

あなたは 私を利用するために→

夫の面影を漂わせて 私に近づいたんですよね?

旦那さんの代わりは 務まらないけど→

僕と一緒に 真相を明らかにしませんか?

ご迷惑ではないんですか?

いえ 全然。 あっ ちなみに 私は→

妻に不倫されて 捨てられた身なので→

誰かに嫉妬される恐れは 全くありません。

鈴田さん。

あなたの離婚は そこの岡村さんに→

奥さんをとられた事が原因だと 聞いています。

そりゃ 恨むのも無理はない。

私も その点には同情しますよ。

だから どうだと言うんです?

確かに 私は 岡村を憎んできました。

でも なんの罪も犯しちゃいない!

だが あなた 岡村の不正を暴くために→

旦那さんを亡くして 心を痛めている姿津花さんを→

利用した。

その点は 非常に残念です。

♬~

永井文奈さん。

先日 あなたが 路上で襲われた件ですが→

付近の防犯カメラをもとに 捜査した結果→

店の 前のママだった内河渚が 犯行を自供したそうですよ。

♬~

(城所の声)あなたは 犯人の顔を見てますよね?

でも 何も証言しなかった。

それは 嫉妬の怖さに 今さら気づいて→

怯えたってとこですかね。

(城所)あなたは 感情をむき出しにして→

他人だけではなく 時には 自分自身も傷つけてきた。

だが 岡村にだけは 刃向かう事ができなかった。

昔の男が 裏社会で生きる悪い奴で→

そいつと切れるために→

そっちにも顔が利く 岡村の力を借りたのが→

運の尽きでした。

あれから ずっと 私は→

岡村に都合よく使われる人生を 送ってきたんです。

黙れ!

あなたに利用されるのは もう嫌!

岡村は私に デタラメの領収書を書かせて→

莫大な接待費を着服していた。

この前は世話になった。

感謝の気持ちだ。 受け取ってくれ。

(文奈の声)その見返りは→

どうでもいいような ガラクタばかり。

あの事件のあと→

店に置いておくと 私たちの関係がバレるからって→

慌てて隠したけど。

心中に見せかけて 殺すように指示したのも岡村です。

そして あの日 岡村自ら 高史を箱根に呼び出したんです。

この指輪 岡村常務からの プレゼントですね。

不正への加担の見返りですよね?

君は社員の分際で 私を愚弄する気か。

ご家族もいるんだろう? 路頭に迷わせても平気なのか。

妻は 私の事を 誰よりも理解してくれています。

馬鹿正直で 適当な嘘もつけず 出世街道とは無縁な→

私みたいな冴えない男には もったいない女です。

君とは 腹を割って話す必要がある。

近くで 一つ 案件を済ませていくから→

君たちは 先に部屋で待っていてくれ。

はい 承知しました。

♬~

(岡村) これは しばらく預かっておく。

俺は東京に戻る。

今から2時間後に決行だ。

間違って私まで死んだら どうするの?

死なない程度に飲んで あとで吐き出せ。

お前に死なれたら困る。

これが終わっても まだ私を利用し続ける気なのね。

俺がいなければ お前など とっくに死んでいるような女だ。

それを忘れるな。

そして あなたは 岡村の指示どおり→

心中に見せかけて 夫を殺した。

夫への愛情なんて 最初からなかったのよ!

(文奈の声)確かに 最初は→

岡村に命じられて 高史に近づいた。

高史が不正経理を調べるために 私を利用してるのも わかってた。

でも いつの間にか私は→

高史の事を 本気で好きになっていた。

嘘よ! 好きな人を 殺せるはずがないじゃない!

好きだから 殺すしかなかったのよ!

♬~

しばらく こうしててもいい?

私 怖いの。

ママは誤解されやすいんだよ。

本当は強がってるだけなのに→

周りのみんなは ママが本当に強い人だと思ってる。

本当の私を理解してくれるのは 高史だけ…。

ねえ 奥さんと別れて 一緒に暮らさない?

否定しないんだ…。

高史 あなたは優しすぎるのよ。

♬~

2人一緒に死ぬつもりだった。

高史 飲もう。 うん。

♬~

これで 永遠に高史は私のものよ。

えっ?

でも 結局 私は死にきれず 高史さんも まだ息があった。

(せき込み)

高史さん!? 高史さん!

どうして その時 高史を助けなかったの!?

それは… あなたのせいよ。

えっ…?

高史さん! 何?

姿津花…。

姿津花… 姿津花…。

姿津花 助けて…。

うっ… ううっ… くっ…。

高史さんは 最後の最後まで あなたの名前を呼び続けてた。

まさか… 嫉妬で見殺しにしたの!?

あなたに 高史さんを返したくはなかった!

死んだら何もならないじゃない。

返してよ! 高史を返してよ!

その言葉が聞きたかった。

ふざけないで!!

それで あなたは 何かを手に入れたの!?

何もないわ…。

私は あなたと違って 元々 空っぽなのよ。

詳しい話は 署で伺います。

♬~

♬~

旦那さんの上司だった佐伯に 話を聞きました。

岡村の不正を暴くために 旦那さんに調べさせた上に→

手柄を横取りして 自分が 出世するつもりだったそうです。

もう どうでもいいです。 私は全てを失いました。

そんな事を言っては 旦那さんに失礼です。

えっ…?

旦那さんが佐伯に従ったのは あなたのためなんですよ。

君の調査で不正が暴かれれば→

会社は 私を中心とした新体制で 再建を目指す事となる。

その際の君の処遇は 私が保証する。

わかりました。 ぜひ 私にやらせてください。

これで 妻にも 少しは いい暮らしをさせてやれます。

夫が なぜ こんな危険なまねをしたのか→

ずっと引っかかっていました。

でも まさか 出世のためだったなんて…。

そんなの 全然望んでなかったのに!

あの… 実は 私も 先日 妻を亡くしたばかりなんですが→

仕事が終わらず 最期を看取る事が できませんでした。

うだつの上がらない私を ずっと支えてくれた妻に→

「ありがとう」の一言が 言えなかったのが→

いまだに心残りです。

旦那さんが 出世話に飛びついたのは→

恐らく 自分のためじゃないんだと 思いますよ。

ただ 純粋に あなたの喜ぶ顔が見たかった→

「ありがとう」と言いたかった それだけだと思います。

♬~

(嗚咽)

〈今も あなたと暮らしていたら〉

〈そして もっと素直に お互いを思いやれていたら…〉

〈そんな幻の2人に 嫉妬し続ける人生なんて→

きっと あなたは望んでいない〉

あら また 今日は やけに地味な服ね。

ここのところ やけに派手だっただけにね。

でも 姿勢は シャキッとしてるわよね。

こんにちは! こんにちは。

これから 就職の面接なんです。

あっ 銀座のクラブは辞めました。

私らしく 気長に働ける所を 探そうと思って。

これからも よろしくお願いします。

よろしくお願いします。

私 やっと気づいたんです。

嫉妬からは なんにもいい事が生まれないって。

〈周りの目を気にせずに→

自分らしく生きていくのは 大変だけど→

ありのままの私のほうが 輝いて見えるでしょ?〉

〈あなたにだけは 嫉妬してもらえるといいな〉

〈人口およそ6000人の 小さな町から センバツ出場〉

〈しかし まさかの甲子園中止〉

〈それでも…〉

〈おらが町のヒーローは 希望の光〉

〈『君だけの甲子園』 23日 日曜よる9時〉

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