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Original subtitles

(坂口(さかぐち)組員) 世の中んためじゃけん

(石野一郎(いしのいちろう))うっ (石野組員たち)ああ

この外道…

(銃声)

(石野組員)コラッ!

(遠山 清(とおやまきよし))兄貴

(石野)あのガキ

(遠山)兄貴 行きまひょ

(ナレーター)昭和32年3月

別府市で開催されることになった 博覧会の施設の利権を巡って―

新興石野組と 旧勢力 坂口組が激しく対立した

夜桜銀次(よざくらぎんじ)こと平尾国人(ひらのくにお)と 石野一郎は―

愚連隊時代からの兄弟分であった

(ドアの開閉音)

兄貴 ちょっと

どげん用な?

坂口の事務所には どんどん 応援部隊が来ちょりますばい

アメさんの機関銃もあるちゅう うわさで

こん周りも うちのほうも サツが張っちょりますけん

(笠 滝夫) 坂口は市会議員じゃけん

チッ サツは かばいよるばい

やっちゃる…

今度こそ どげんしてん やっちょる

(銃声)

(ガラス戸が壊れる音)

(石野組員) 殺しちゃるが!

(機関銃の連射音)

(銃声)

(石野組員)兄貴

(遠山)頼むで

(女性たち)うわっ

(男性)おおっ どうしたんな?

銀ちゃん

銀ちゃん マズか 危険ぞな

(ナレーター)殺人ならびに 銃砲刀剣類不法所持容疑で

指名手配された銀次は―

中津(なかつ)市日ノ出(ひので)町 安藤(あんどう)ふさ子方に身を寄せた

中津は銀次の生まれた町である

よう 兄弟

(夜桜銀次)兄貴 無理したらいけんばい

おどは もう大丈夫たい

兄弟

大阪 行かんな?

あがは今度はパクられたら 10年はボタくらいよるぞ

大阪の天満(てんま)っちゅうとこに 大東(だいとう)ちゅうのがいちょる

おどとは古いなじみばい

明け方の4時 “第3瀬戸丸(せとまる)”っちゅう船じゃ

坂口ん外道は今日 別府署に―

保護ばしてくれっち 泣きつきおったばい

殺しは一人ばい

一人で やらにゃあいけんもんじゃのう

兄貴

でくっだけ 早(はよ)う呼んでくれや のう?

おどは忘れとらんぞ

約束したろうが

九州で男張るなら 博多ばい

あがとは―

血ば分けた兄弟ばい

(ナレーター) 石野組と坂口組の抗争は この後も続いて

一時は応援部隊を合わせて 400名を超える暴力団が集結

市民を恐怖の底にたたき込んだ

4月12日

福岡県中間市の博徒 大浦武吉(おおうらぶきち)らの奔走で―

和解が成立したが―

好戦的暴力団 別府石野組の名は 全国に鳴り響いた

この別府抗争事件を機に―

暴力団の大量集結を 取り締まるため―

刑法208条に 凶器準備集合罪が追加されて―

後に起こった兵頭(ひょうどう)組の 九州進攻作戦に―

重大な影響を与えたのである

♪~

~♪

(大東武司(たけし)) 嬢ちゃん 時間だよ 早くお家(うち)にお帰り

(店主)何ぞ用だっか?

木下(きのした)商事の代理や

(店主)フッ 取り立て屋か

あの件やったら 須藤(すどう)君に任せた

あんな無茶苦茶な利息 払えんさかいな

なっ 何さらすねん

(徳田連太郎(とくだれんたろう)) 文句あるだったら 須藤 電話出せ

もしもし ヒギワイだす すぐ来ておくんなはれ

木下の取り立て屋だ 5人だ

(徳田)マテンの大東組や カバン屋 来てる

あん!

兵隊 ぎょうさん集めてこい

(ナレーター) マテンの黒ヒョウこと 大東武司は

銀二と同じ 大分県中津市の出身であった

終戦直後から 長く獄中にいたために―

暗黒街へのデビューは 遅かったが―

このころ 天満 梅田(うめだ) 十三(じゅうそう)など 北大阪の盛り場を根城に―

従来の暴力団に対して―

見境なしのケンカをしかけて 暴れ回っていた

ちゃん銀 あんた 見とったらええで

今どきの極道で 本気でケンカできるやつはおらへん

(須藤) ナメたマネさらしやがって

(怒号と わめき声)

いてもうたる

われ 撃ってみい!

一発で10年くらうんやど こんボケ おう?

(おびえる声)

(徳田)この!

(男1) お前 どっち見てんねん ほら 見んかい ほら

(昌子(まさこ))いらっしゃい

(男1) みかんで顔隠してあげてやな なあ この写真

うちも呼ばれるわ コークハイ

(バーデンダー)はい

(男1)せやからやな ないねやな アホやな

ほら 見て これかて ちょっとあるかな

これ これ見てみ これ あれへんやろ

なあ ヘヘッ

(男2)ウソや

何 言うてんねん お前 ホンマやで

あっちの女は みんなパイパンや のう?

のう? 昌子

われかて ズンベラボンちゃうけ?

(男たちの笑い声)

(男2)よう 昌子 こっち来て見してみいや おい

(昌子)イヤッ

(男2)見せろや (昌子)何すんの!

あー たっちゃん しっかりせんか おんどりゃ

(昌子)イヤや (男1)昌子

(男1)ええやないかい (昌子)放して

(男1) 減るもんやあれへんやないか

(男2)おら 見せろ (昌子)いやらしいな

(男1)おら 脚開け 脚

(昌子)何すんの

(男1)ほら パンツ下げや (昌子)イヤ

(男2)おっ (男1)どや あるけ?

(男2)あるある 真っ黒や (男1)真っ黒か

(昌子)放して

(男1)奥はどや? 奥は (昌子)イヤ

(男1) あっ いてて あ痛(いた)あ

あんた まだええやないの?

なあ 去(い)なんといて

お客さん 多すぎます

(昌子)ねえ ねえ また来てな

お名刺 持ってへんの? お名前 教えて

夜桜の銀次ばい

夜桜の銀次?

(男たちの笑い声) (昌子)それ ホンマの名前?

よう カッコつけさらして

夜桜の銀次やと? まるでチャンバラやな…

うおっ

おう おんどれ!

ううっ!

(男1)おどれらが やりすぎなんじゃ ボケ

すんまへん どうも すんまへん

どっから見たかて兄貴分やないか おんどりゃあ

(男3) そんなこと知っとったら するかい

あんた

外で待ってて

うち すぐに 支度してくるさかい なっ?

(安藤ふさ子)ハアー うまかった

あきれた 朝から3つ目やないの

うん ばってん 食べたかったったい

けったいなもんやなあ おなごの体って

隣の奥さん三月(みつき)やけど 蚊取り線香 食べとなるんやって

あー 好かん フフッ

夏みかんで よかったばい

ちょっと…

(店員)いらっしゃい

あたしんこつは 忘れたんか思うちょった

あんばい どげんな?

悪か 悪か

死にかけとったちよ

今夜 寄るけ

ほんなこつよ アハッ きっとな

あっ いいんよ

先に待っちょってね

あんたの旦那はん ホンマにハンサムやなあ

気いつけんと はたのおなごに取られるで

男の浮気は妻の妊娠中に 一番多いんやって

ほんなこつなん どげんしよ

アッハハハハ

(玉が 次々出続ける音)

(店員) にいちゃん こっち来てんか?

(古田憲一(ふるたけんいち))何や (店員)ええから来いや

お前 おいに いちゃもんば つけっとか?

これ 何のマネや おう?

警察行って話つけようかい 来い

(店員)ああ…

(憲一と店員たちが もみ合う声)

(憲一)アイタッ (やくざ1)すんまへん

(やくざ2)どうも (憲一)放せ

バカッタレ やくざ2人

(やくざ1)バカモン

(やくざ1)おう あんまり無茶したらあかんで

アホんだら

おっ

何じゃい

何や このガキャ

クッソー

(やくざ1)おう

(やくざたちの怒号)

(やくざ2)あー 痛い痛い痛い…

(やくざ3)バカ コラ 放さんか コラ

(やくざ4)このガキ コラ (やくざ1)バカタレ

(やくざ1) 淀川の水でも飲ましたれ

(やくざ3)おい 来い

(やくざ3)クソガキ コラァ (憲一)コラッ

(やくざ2)えい

(やくざ1)バカタレ

(やくざたち)おらっ よー (憲一)ああ

覚えてくされ

あっ

あが 九州のもんじゃな?

そぎゃんこと どうでもええが

はよ助けっちゃれよ

(憲一が苦しむ声)

はあっ

(ふさ子) ♪ 俺(おい)らはドラマー

♪ やくざなドラマー

♪ 俺(おい)らが叩けば

ただいま

あんた 待ったなあ

じき ごはんの支度ばするけんね

(ふさ子)あっ! あー

あんた 誰かいる

おう 古田憲一っちゅうもんじゃ

今夜は泊めちゃってくれ

パチンコ屋で暴れよったやつたい

はあ… 肝ん潰れよるところじゃった

うん あんた

お肉ば買い足してこんといけんね

若い人じゃけん よう食べなさっとじゃろ?

(ふさ子の笑い声)

(銀次)どげんした? (ふさ子)あー あかん…

堪忍 ばってん さっきんこつば思い出した

フゥ… あー あー

あがも はよ食え

滋養ばつけんといけん

(ふさ子)おおきに

憲ちゃん 大阪は長かね?

三月(みつき)です

神戸に長いこといたですけん

(ふさ子)へー そん前は? (憲一)特少…

(ふさ子) あんた 特少って何ね?

熊本の特別少年院のこったい

九州の極道じゃ 特少出はくさ 金筋たい

そげんか あがは特少か

アハッ そんじゃあ あんたも特少ね

(銀次)うん

あざっす

エヘヘヘヘッ

ゴホッ ゴホッ すんません ゴホッ ゴホッ

(ふさ子のあえぎ声)

(駅のアナウンス)玉造(たまつくり) 玉造

乗り降りは 続いて願います

(部屋から聞こえる声) ♪ 幸せお授け

♪ 子どもをお授け 幸せお授け

♪ お授け お授け 幸せお授け

♪ お金をお授け

♪ お授け お授け お授け お授け

♪ 幸せお授け

♪ 子どもをお授け

(男)わー おい 切れ

(女)泥棒!

(女の叫び声)

(女)誰か来てー!

誰か来て!

(女たちの悲鳴)

(祈とう師)下郎 去れ

(男たちのもみ合う声)

(男が叫ぶ声)

(徐 甲竜(じょこうりゅう)の韓国語)

(男1)何や われ この…

(男2)いてまえ

(憲一)ああっ

(徐)お前なあ 見どころあるでえ

(憲一)うあっ…

(憲一)ぐあっ!

(憲一の苦しむ声)

(八百屋)7円になるな

へいへい はい おおきに

(ふさ子)これに (八百屋)へいへい

(ふさ子)おじさん (魚屋)おいでやす

(ふさ子)これ 2切れね

(魚屋)サケ2切れ おおきに

姐(あね)さん

憲ちゃん

(魚屋) はい お待ちどおさま おおきに

(ふさ子)なんばしとったつな?

黙って家(うち)を出ていくけん うちん人も心配しとったつよ

姐さん

こないだの… ごっさんですばい

(ふさ子)憲ちゃん (憲一)兄貴に言うとっちゃれよ

玉造の双竜(そうりゅう)会の下になっちゅるて

(ふさ子)あっ 憲ちゃん 待ちんしゃい 憲ちゃん

(女の韓国語)

(徐の韓国語)

(憲一)兄貴

初めてお目にかかりますばい

別府の石野の舎弟 夜桜銀次です

憲一が えらくお世話になったそうで

お礼ば申します

憲一 行くぞ

なんばしよっと?

(憲一)兄貴

俺んことは大丈夫ですたい

徐さんの手伝いば させちもらいますけん

ヤクをすするやつは 人間のクズじゃ

何さらすんじゃ われ

憲一はなあ わしらが預かっとるんじゃ

命惜しかったら おとなしゅう去(い)ねや

あん

ごついの持っとるやんけ

(徐の韓国語)

手 挙げんか

(徐)あああっ

(徐の悲鳴)

(女)あっ 徐さん 徐さん!

(徐の苦しむ声)

憲一

(憲一のすすり泣き)

そん手 利くとか?

兄貴 すいません

おどは 兄貴が―

こげん心配してくるっとは 思っとらなんだですばい

兄貴 もう二度と ペイ屋なんかやりましぇん

撃つときは両の手で握れ

兄貴

ペイ屋は 銭 持っちょろうが のう?

うん

(売人たち)お前 誰だ

(銃声)

(憲一)どけ おらっ

ペイ どげんすな?

捨てっしまえ 世ん中のためじゃ

(憲一)こん のけやい

おんどれ 覚えとけ これ

タダじゃ済まさんど

あがらペイ屋どもが 俺ん首に 懸賞金ばかけちょるそうやのう

兄貴

(銃声)

(売人)うわあ

(憲一)兄貴 (銀次)全部 集めや

(パトカーのサイレン) (憲一)兄貴

(売人の うめき声)

(売人)助けてくれ

(憲一)兄貴 来たばい

(銀次)けっ (憲一)兄貴

(銀次)憲一

(憲一)あっ

(銀次)済んだら こっちゃん来い

交代ばい

兄貴

おどは もうでけん

バカば言え

女郎屋も 今月(こんつき)かぎりで のうなっとぞ

今んうちに 出せるだけ出しちょけ

う-ん

あー

あいっ… あたたた

あ痛(いて)え…

(銀次)あー (憲一)兄貴もすな

あがもか?

見せてみ うん

やられたのう

兄貴

あが 初めてか?

心配なか

りん病じゃ ペニシリンば打ちゃ治る

買(こ)うてこい あがと俺の分 注射器もじゃ

(ふさ子) あんた もう起きたつな

もう1人前追加じゃ はよ行ってけ

(銀次)フウ…

憲ちゃん どこ行ったつな?

(銀次)うん…

よいしょっ

おっ

開けや

(憲一)一人前… (銀次)分かっちょる

俺は3べん目たい

(ふさ子)いやあ

どげんしたつな?

ふさ子 何ともなかか?

痛かとか かゆかとか 何ともなかか?

あんた まさか

うん

姐さん すいません

あんたっちゅう人は 何ちことしてくれたん?

赤ちゃんの目の潰れたら どげんする気?

(銀次)ふさ子 ふさ子 (ふさ子)あんたっちゅって…

おなごは男より抵抗力のあるけん

うーん 大抵 うつりゃせん

ばってん念のために ペニシリンば打っとけ のう?

あんたイヤ… 注射 イヤや

そげんわがままばっか言うちょって そんなこつ―

赤ん坊の目ん玉の潰れたら どげんすっとな

(ふさ子)イヤ イヤや (銀次)早(はよ)う横にならんか

(ふさ子)イヤー

(ふさ子の泣き声)

あー 痛か

暴れるんじゃなか チッ

憲一 見ちょらんと押さえ

(ふさ子)ああ… 痛い イヤア

あー イヤ

(大家)安藤はん 電話だっせ

石野はんからや言うてはりまっせ

兄貴じゃ

ふさ子 兄貴から電話ばい

あー 痛か あんた 痛か

憲一 代われ

兄貴 おど ようしまっせん

バカ ペイば打ったこと あっとじゃろ

はよせい

(ふさ子)あああ…

よかか そろっと入れっとぞ 分かっちょるな?

(ふさ子)あんた 置いていったらイヤばい

あんた

姐さん 動いたらいけん 針が折るったい

(ふさ子の泣き声)

おい

いよいよ 三代目さんの盃ば―

受けることに なってのう

おども兵藤組の若衆ばい

いやあ 会いたかろう

今夜 大阪のミナミののう…

ひろちゃん あら 何ちゅう店なん?

あー 「青い蝶(ちょう)」っちゅう サパークラブたい

みんなが おどの歓迎会ば してくれるけん ハッハッハッ

あがも来んな?

ああ じゃあ あとでな

ハア…

(関本貫一(せきもとかんいち))石野はん

うちの若い者頭です

別府の石野一郎ですたい

よろしゅう頼みますばい

(山地幸雄(やまじゆきお))わしのほうこそ

遠路ご苦労でおました 親分がお待ちでおま

(ナレーター) 昭和33年3月 石野一郎は

兵藤組の盃を受けて 若衆となった

(猪川義一郎(いがわぎいちろう))へえ

兄貴

よう 兄弟

兄貴 元気そうじゃのう

ずいぶんと貫禄のついたばい

あがも 派手にやっちょるって聞いたど

よそ行ったら ちっとは加減せんかい

(遠山)銀ちゃん

清さん

あっちの席 取っちゃるけん さあ 飲もな

おい お前たち お客さんみたいな 顔せんと勧めんかい

皆さん 夜桜銀次ですたい

うちん組長の 舎弟分ですばい

(椹木(さわらぎ))南風会の椹木だす

(玉木)猪川組の玉木でおます

(友綱(ともづな))吉村(よしむら)組の友綱だす

(群司正一(ぐんじしょういち)) 桑田(くわだ)組の群司正一 申しま

よろしゅう頼んますわ

清さん あいつら何な?

(遠山)フッ 何ば言うちょっとが ここにおなる皆さんの親分じゃばい

兵藤組の… おま コレでえ

おどは兄貴に もっと話のあっとじゃ

いや 話なら よか よか あとで

待っとられん

ハハッ 銀ちゃん いいかげんにしなや

(親分たちの笑い声)

(雀 甲春)さあ もういっぺん 九州の兄弟のために乾杯や

(石野)よろしゅう

(雀)よっ まあ ゆっくりやってくれ

兄貴にのう―

梅田の「ラメール」ちゅうバーで 待っとるち言うてくれや

(遠山)銀ちゃん

すごけ

遠山 何じゃい? あのガキャ

遠山はん あのガキ だいぶ変わっとるな

(遠山)…ったく

すんません えらいブサイクなこって

(昌子)いらっしゃいませ

兄弟 捜したばい

(バーテンダー) いらっしゃいませ

梅田には2千軒から バーがあるっちゅうて―

運ちゃん こぼしよった

(銀次)連れは? (石野)いや 1人たい

グラスじゃ

(石野) ああ もう酒はたくさんじゃ 水がよか 水が

忙しかとこ すまんかったのう

ううん おども あがに ゆっくり話ばしたかったばい

(銀次)そうな?

ずっと十三にいちょるんか?

ああ

こげんでのう うっとうしか

ヘヘッ そりゃ めでたかねえ

おども なんぼ頑張ってん 命中せんばい ハハハハッ

兄貴

納めちゃんない

何な?

祝いたい

ああ そうな

ハア…

のう 兄弟 あが 仕事やらんな?

吉村のひろちゃんが―

あがば預かっても よかち言うちくれちょる

港の人夫の監督じゃ

監督ち おどがか?

ああ

ひろちゃん 兵藤組でも よか顔じゃけえ―

あがのためにもなろうが

おども帰ったら建設会社と 芸能会社ばやろう思うちょる

本家の世話で融資ば受けちのう

兵藤組っちゅうたら 銀行さんも一も二もなかとじゃ

兄貴

おどが邪魔なら 遠慮のう言うちくれ のう?

兄弟 なんば言うとか

じゃったら なして 帰っちけ言うちくれんの?

サツも もう忘れちょろうが

一段と うるそうなっちょる

あの時分とは 何もかんも 事情が変わっとるんじゃ

いっちい変わったんは兄貴じゃ

のう 兄弟

おどかて 兵藤組の 若衆ちゅうても84番目ぞ

あの大東組でさえ 山地さんの舎弟分なっち―

兵藤組に力ば借りようしとるんじゃ

九州にはのう―

兵藤組に負けん組が 2つも3つもあっとったい

おどらの組は どげん力(りき)んでん 所詮 博多の風には当たれんとたい

もうハジキでは どげんにもならんとじゃ

聞き分けちゃんない

兄貴

おどは待っちょるけんの

おどは こんまま くすぶっちょらん

死ぬんは九州ばい

兄貴

こんだけは忘れんでくれ のう?

よか

ねえちゃん コーヒー飲もか?

(女たち)何すんの?

(憲一)コラ ブス

(憲一)にいちゃん どいたれや

(新庄(しんじょう)組員1)回り道はあるやろ

もういっぺん言うちみ

(新庄組員1)なんじゃあ コラ

しばかれっど ボケ 誰や 来んかい?

ほうか

(新庄組員1)ナメな コラ

(憲一)あっ (新庄組員1)こんガキは

(憲一)コラ おい

(新庄組員2)ぶち 飛びや

(憲一)逃ぐっとか?

(新庄組員2) ハア… うああっ

(憲一)待て

(新庄組員1)どきやがれ

(新庄組員1)うわっ うわああ

(憲一)おらっ

うわあっ

(銃声) (新庄組員1)うあああっ

(新庄組員1)やめ

(電話のベル)

(吉村組員)はい 吉村運送

銀次はん? ああ いはりま

銀次はん 電話だっせ

(銀次)ハア…

はい 銀次ですばい

憲一が?

はい すぐ行きますけ

すまんが代わっちくれんか?

どないしたんや?

新庄組っち どこな?

湊川公園のそばやが 何があったんや?

若いやつが面倒起こしたんじゃ

待てや 銀ちゃん

事情はよう分からんが これは 社長通したほうがええのちゃうか?

新庄はんは兵藤組の系列やが ちょっと うるさ型やで

心配要らん

おどの 若(わっ)かもんじゃけん おどが話つけるばい

(憲一の荒い息)

(新庄組員)来ましたで

(銀次)新庄はんな?

別府の石野の舎弟 夜桜銀次ですばい

若(わっ)かもんが バカなことしでかしたそうで

申し訳なかです

(新庄平吾(へいご))分かった

連れて帰れ

おう

ついさっき 吉村はんから 電話もろた

話はついたある

話ち?

どげん話ですな?

んなことは どうでもええやないか はよ行き

よくはなか

なにい?

おどの若(わっ)かもんの しでかしたことですけえ―

おどで始末ばつけますばい

吉村さんに迷惑ばかけれまっせん

おのれ なんぼのもんやと 思うとんねん

おのれが大きい顔できんのはな

みんなが石野はんに 気兼ねしとるさかいや

ええ気になってけつかったら あかんど コラッ

言うちはいよ

見舞金か?

指でも詰めたら よかとですか?

ええかげんにさらせ

ホンマなら 組同士のケンカんなるとこや

指なら石野の指 持ってこい

何をさらすんじゃ

(銃声)

これでよかな?

(憲一)あっ

ああ… あっ

ああっ

(通行人) おい どないしたんやろ?

(憲一)ハア… あっ

おい おい!

はっ…

ああ… あっ

(ふさ子)憲ちゃん 堪忍

堪忍 堪忍ね

兄貴に悪か…

兄貴に悪かっこつば…

(憲一とふさ子の泣き声)

(吉村 弘(ひろし)) なんせ ちゃん銀のこっちゃ ほっといたらヤバイ思うたんが―

裏目に出はったなあ

相手はガキやさかい 警察で えらい高(たこ)うつられてなあ

悪かったの

いやあ これは わいのミスやさかい

しかし あんたの前やが ちゃん銀ちゅうのは―

怖い男やなあ えっ?

行き方は分からんとな?

そのほうが あんたのためとちがうか?

(石野組員)おまっとはんです

これが敷地の見取り図だんねん

1階全部 ガレージにしたいんですわ

おう 悪か 悪か

さあ 商売じゃ

(新庄組員)ハア ハア…

(ヨシアキ)どないしたんや? 何かあったんかい?

(新庄組員)銀次 夜桜の銀次が来てまんのや

なんやて!

ここへ来るんか?

いえ バクチやってま

遺恨なら ここへ来よるな

ヨシアキ とにかく行ってこい

へい

(合力たち)さあ どうぞ

(合力1)さあ どうぞ

急いでおくれやっしゃ さあ どうぞ

(合力2)はい こっちできた

(合力1)はい こっちもできた

勝負

3と出ました

(合力1)入ります

あんた

あんた

表には刑事さん おらんかったな?

時々 来とるんよ

おなごの子かのう

(ふさ子)うん

国子ってつけたんよ あんたの名前ばもらっちね

あんたは 男ん子がよかったとでしょ?

ガッカリしたな?

(ふさ子の泣き声)

バカ バカ バカ

どこ行っとったつな? バカ バカ

バカ

(女たちの悲鳴)

(ナレーター) 大阪双竜連合会は会長 元達文(げんたつぶん)

幹部 徐甲竜らを中核に 急速に勢力を拡大

配下 千人を数えて 大阪市内いたる所で―

暴虐のかぎりを尽くしていた

(金 源昌(きんげんしょう))もっともっとい

(金)兄貴 (徐)うん?

(金)あれは 兵藤組の大将と違うけ?

新聞で見たんと よう似とるど

ほいでからな ノジはんも一緒や

間違いない

(金)おい 来んかい (徐)やい

ノジはんやんけ

わしら あんたのファンや ちょっと歌(うと)たって

ちょっと待ちいな ノジさんはな遊びに来てんのや

今夜は堪忍してやってんか 頼むわ なっ

どかんかいや!

コラ ええかげんにせんかい

お前らなゃ あそこにいはんの どなたと思ってんねや えっ!

(徐)ちょべが

(兵藤組員) この野郎! 何さらすんじゃい

(ナレーター) この突発的な不祥事に 山地幸雄以下 兵藤組幹部は

強烈な衝撃を受けた

(元 達文) おのれら―

よりによって 兵藤組の親分に―

因縁つけるとは…

みんなそろうて首くくる気か!

兵藤組が何じゃい なんぼのもんじゃい

わしらにはな 千人からの 命知らずがいよるんじゃい

会長 勝負したろやないけ

アホんだら

こっちゃの千人は 与太公の集まりじゃ

向こうには1万からの 性根の入ったやつがいよるんやど

今まではやな わしらを相手にしても―

カネにならん思うとるさかい 目つむとったんや

せやけど親分に手 出されたら 黙っとらへん

お前ら すぐに体隠すんや 絶対に街へは出るな

死にとうなかったら 一歩も街へ出るんやないで

はよ去(い)ね

(ナレーター) 元達文はあらゆるツテを通じて 和解工作をした

兵藤組側では 激高する猪川組 南風会らが―

断固として双竜会せん滅を主張

大東組 石野組をはじめとする えり抜きの精鋭が―

ひそかに大阪に集結した

(石野)兄弟 (吉村)銀ちゃん

ご心配ばかけました

いったい なんばしとったとか?

旅ばかけちょりました

東京とか北のほうとか

兄貴

不細工のこつばかりで 申し訳なかばい

おどのこつはよか

ばって 吉村さんは兄弟のことば どげんに心配ばしとったか

(銀次)すいませんでした

銀ちゃん 頭上げや

なんにしても元気でよかった えっ ちゃうか?

ひろちゃん

兄弟ばチームに 入れちもらえんじゃろかのう?

ええやろう

兄弟

おどは今から別府へ帰るけん あとは頼むばい

みんなが狙(ねろ)うちょるんは 徐甲竜と金源昌の2人じゃ

どっちゃでもよか 討ち取ったら 大手柄ばい

(吉村)いいか

桑田組の群司と南風会の椹木や

この2人と チーム組んでやってくれ

(石野)よか

強力メンバーじゃのう

どうか よろしゅう

(銀次)兄貴 (石野)ああ

今度の相手は 殺してもよかつな?

もちろんじゃ

殺しなら1人のほうがよか

兄弟

大阪は広いけん あが1人じゃ どげんにもならん

言うとおりにせんか

(チンピラ) 何すんねん? 何や おい

(双竜会組員)何さらすねん

バカもん

(ナレーター) 双竜会狩りは50数名の精鋭を 10数組に分割して行われた

各チームは いずれも初対面 見知らぬ者同士で編成された

これは互いの競争心を あおると同時に―

組織的襲撃であることを ボカすための―

山地幸雄のアイデアであった

幹部連中 どこに隠れてんねや

へっ 知らねえ

(銃声)

(男)あー

(椹木) アホ 何のマネしとるんじゃ 言わんかい

どこ行ったんじゃい 言わんかい おらっ

どこに隠れてんねや

(男)ううっ…

(銀次)どこや (男)しっ… 知らね

正ちゃん

鶴橋から玉造の辺りを 当たってみようかのう?

あの辺りは双竜会の 元の根城じゃなかな?

(椹木)おい

会長の元が大東はん突いて 泣き入れてきたらしいで

山地はんに会いたいらしいわ

とうとう双竜会も白旗や

(郡司)銀ちゃん やめとき

わしの勘やけどなあ あいつら遠いことない

この近くに隠れとる

そういうガキらや

あーあ やれんな あいつは

済んだら済んだで また当分 臭いメシ食わんならん

(電話のベル)

はい そうだ

うん

おい 正ちゃん あんたんとこの川上(かわかみ)や

(郡司)おおきに

わしや

(川上)徐甲竜だす 間違いおまへん

シロウが 見つけてきよりましたんや

清風(せいふう)荘っちゅう あいつのスケのアパートだす

スケは風呂行きよりました

コラッ 出てこんかい

われのおんのは 分かっとるんじゃい

鉄砲や

(倒れた音)

(ナレーター) 8月23日 有馬温泉において 双竜会会長 元達文は

兵藤組舎弟頭 安本達也(やすもとたつや)―

若衆頭 山地幸雄らに対して 事実上の全面降伏を申し出た

仲介人は 石野組組長 石野一郎であった

この双竜会事件で逮捕された 兵藤組関係者は102名

懲役12年を最高に 全員の服役年数を合わせると―

のべ200年を超え―

裁判関係の費用だけで 数千万円にのぼった

兄弟 どげんしちょるな?

須磨のホテルや

挙げられたら骨になるまで 出てこられんやっちゃさかいな

2~3当たってみたが―

どいつも よか返事ばしよらんばい

いっちゃん 博多の海津(かいづ)がなあ―

預かってもええ言うとんねやが

海津がな?

ああ

ひろちゃん 正気な?

火事場にダイマナイトば 投げ込むようなもんじゃなかと?

筑豊の連中ともめたら 双竜会どこじゃなかばい

分かっちょんな?

山地さんらも知っとるとか?

いや わいの一存や

兄弟のやつ どげん喜びよるか

どげん喜びよるかのう

(海津健三(けんぞう))やあ よう来なすったなあ

キツかったろうな

海津ですばい

よろしく頼んますばい

こいは 沢木登(さわきのぼる)ち 言いますけ

おう かけなっせ

(沢木) どっか出かけなさっと?

銀次さん せいぜい気いつけてはいよ

こん博多の連中は兵藤組のこつは よう思っとりまっせんけん

それに警察の目もありますけんなあ

心配なか

(杉山富太郎(すぎやまとみたろう))おお 銀次さん

せっかく来てくれよったばってん これから組合との会合のあっとたい

三池(みいけ)の争議から こっち やりにくなってのう ホホホッ

こら ほんのわしの気持ちばい

まあまあ ゆっくりしていきない ハハハハッ

なんばすっとね

社長さん

ゆっくり話ばしましょう

忙しか言うとろうが

おどは気持ちば もらいに来たんじゃなか

2年前 木下商事から7千万 世話ばしたでしょう?

口利き料の1割 まだ もらっちょりませんばい

あれは ちゃんと 大東さんに払(はろ)うとるばい

受け取りば 持っとなさるな

そげなもんのあろうはずはなか

社長さんほどのお人が―

ええかげんなこつ 言うもんじゃなかですよ

お前 ゆすりに来たとか?

ナメるな 俺も筑豊の杉山ばい

社長さん

壊れかかったヤマば―

あんカネで 持ち直したじゃなかですか

700万ぐらい安かもんでしょ?

これに包んでやんない

(杉山の秘書)ハハッ かっ

(バーのママ)いらっしゃい

来とんのう

(鹿谷弥助(しかたにやすけ)) ヘヘヘッ ヘヘッ

(拍手)

おっ おい 陽子(ようこ) こっちゃん来い

(陽子)やっ

(沢木)夜桜銀次さんばい 社長のお客さんたい

ようこそ

ばってん よか男ね

ハハハハッ

ママ 浮気ばすると ハゲさんが怒りよるばい

(ママ)好かん こん人 (沢木)ハハハハッ

(ホステスたち)いらっしゃい

(鹿谷)ウハハ (陽子)イヤ

どうぞ

(沢木)ママ 陽子を呼べんな?

鹿谷さんのお気に入りやもんね

(沢木)鹿谷組の組長ですばい

兄貴分が飯塚ん河島(かわしま)さんちゅう 筑豊きっての実力者ですけん

それば かさにきち…

(鹿谷たちのにぎやかな声)

踊らんな?

銀次さん いかんばい

あが なんか?

やっちゃれ

沢木

(沢木)へい

なんじゃ あのガキャ

夜桜銀次ですばい

どうもすいまっせんな

あげん悪かとば連れてきて―

海津は おいたちに ケンカば売る気か?

(男)おい

(男たち)こんばんは

お前ら 来いや

(男)おおっ すいません

(クラクション)

(トラックの運転手) はよ どきや はよ 下がらんか

おうちゃっかねえ 都ん人ですばい

あっとのですね 高須(たかす)組の 息のかかっとうちゅうてですね

いばっとっとですよ

待てや

お前ら 遊んでこい

(男たち)すいません

どうも おう 行こい

やめんか

(高須組員)おう (高須有三(ゆうぞう))おっ

好きなこつさせとけ

こんだけ壊されたら 五十歩百歩ばい

あー ほんなこつ 申し訳なかです

十分に弁償さしてもらいますけん 勘弁しちゃいなせえ

なんば言うな 調べてみたら こっちの運転手も悪かったげなばい

ばってん あの夜桜銀次ちゅう男は 面白かのう

若(わっ)かもんは だいぶ えすがっとりよるばってん―

おらは感心したばい フッフッフッ

ピストル振り回しちょるやつは 大概 臆病もんばってん―

銀次は こっちが鉄砲向けても 平気の平太じゃ

あん男―

命知らずよりは もう死んどるごたる

生きとる人間じゃなかばい

あんたも そう思われたとですか?

おいも あん男ば見たとき―

まっで 死に神ば背負うとるごと 見えましたばい

海津さん

もしか銀次な 神戸のヒモつきじゃなかとやろな

高須さん

ぼつぼつ そげなうわさの 広まっとるけん―

そんだけが心配ばい

そげんこつ 絶対にありまっしぇん

じゃったら よかとやが

海津さん わしら筑豊もんは―

どことも もめ事だけは 起こしとうなかとやけん

あんた そんだけは忘れんでほしか

そりゃあ

おいのほうも ご同様ですばい

姐さん

いつもすんません

憲ちゃん ちょっと肥えたごたるね

(憲一)そがんですか? (ふさ子)うん

今度は国子ば置いてきたっつよ

そん代わり 国子の描いた絵ば 差し入れん中に混ぜといたけんね

ほう もう絵ば描くとすな

ううん まだ2つになったばかりじゃけん

なぐり書きばい

さっぱり分からんせんたい

アハッ ばってんバラん花たい

ほら アパートの前庭に 咲いとったでしょうが

兄貴が植えたバラん花んすな

兄貴ん…

ちゃん銀 おなごば2人も3人も 囲うて よかご機嫌ばい

どげな無茶やっても 誰も手 出しよらんしの

神戸の鉄砲玉やと 思われとっからじゃ

そうな?

石野さん

吉村さん

俺にだけには言うてほしか

ちゃん銀 ほんなごて 鉄砲玉なんかのう?

そんなこと あらしまへん

そら考えすぎだっせ

ばってん―

ちゃん銀は そげんなつもりかもしれんばい

まさか

兄弟 何か言うたとか?

いや

ばってん ちゃん銀ば見とっと そげん気がしてくっとたい

まっで 博多を死に場所と 思いこんどるこつあるけん

何な? みんな そろうとっとか?

ちょうどよか ちょっと表 来ちくれや

兄貴にやろうち思うて 杉山から取ってきたとじゃが―

土産代わりじゃ

1台ずつ持って帰っちくれや

あんたば男と見込んで 頼むんじゃが―

わしを助けると思うち―

やってくれんな?

(米田徳松(よねだとくまつ)) 社長さんには―

何かと お世話に なっておりますけん

(杉山)いやあ すまんのう

とりあえず50万じゃ

夜桜銀次は おなごと寝よるときも ハジキ離さんそうじゃ

気いつけてやれよ

あとは 貸しば 棒引きにしちゃるけん

(米田組員たち)へい

(男1)勝負 (男2)来い

(男1)ドボン

(男1)みな (男たち)おう

(男3) ウマく逃げられたつな

(男1)勝負 (男たち)来い

銀ちゃん ようここが分かったのう

若い衆に聞いたとです

おう そうな

今夜は 多かやですけん 悪かばってん 引き取ったいよ

何な?

車賃たい

おどは遊びにきたんじゃ

車代もらいにきたんじゃなか

わが 俺のバクチ場に 因縁ばつける気か?

何やと?

鹿谷さん せっかく来たったい

ちょっとだけ 遊ばしてやってくれんな?

海津さん

こんガキは あちこち揺すって さるき回っとんを―

あんたも知っちょろうが

銀ちゃん 俺 もう帰るとこやで

一緒に出ような なっ?

お先ですばい

(男3) さあ いきましょうか

(男1)勝負 (男たち)来い

(男たち)アッハハハハ

(海津)銀ちゃん 待たんか

(鹿谷)うわ

(一同)うわあ

よさん…

あんたも男じゃろ? 逃ぐるもんば撃つな

(海津)銀ちゃん やめんか

高須さん 頼んますけえ

鹿谷さんば 押さえちくれませんか?

あん人のことじゃけん

飯塚に 泣きば入れるかもしれませんばい

ここんとこは おったちのあいだで納めとこう

こっちも飯塚には知らせんけん

あんたも 別府には黙っちょってくれ

じゃあ 頼んますばい

(黒服)いらっしゃいませ

あっ ちょっと失礼

あんた 何かあったと?

陽子 店ば休めや

なしな?

博多は飽きたばい

あした100万入るけ 旅に出よう

よかよ

(ナレーター) 恐怖に駆られた鹿谷は 春吉(はるよし)町の旅館に隠れて

飯塚氏の兄貴分 河島組組長 河島元哉(もとや)に助けを求めた

河島は血の気の多い 典型的な筑豊男であった

(仲居)ごめんください

兄貴 遅かったやないな

子分たち 連れちきちくれやったとな?

(河島元哉) いや 誰も連れてこん わし1人じゃ

兄貴 別府の石野が 攻めてきよったらどげんすっとな?

弥助よい

高須さんから 事情は聞いたとばい

海津のほうは 石野には知らせちょらん

チッ 貴様(きさん)

銀次とかいうやつに みんなの前で こっくらされたそうじゃな

そげな恥ば かかされて―

よう すごすごと 逃げ帰ってきたもんじゃ

弥助!

貴様(きさん)それでも 男か

筑豊の男かい!

兄貴

弥助よい

銀次だけは お前がやれ

海津と石野は わしがやっちゃる

やくざ殺すときには―

兄弟分と一の子分の3人を 一緒にやれっちゅうげな

そげなこと言うてん―

俺は兄貴じゃなかが 人ば しかけたこつなかとばい

人なんちゅうものはなあ―

こうする力さえあれば 誰でも殺せるんじゃ

よかか 弥助

このうえ 恥っさらしなマネしたら―

わしが許さん

覚悟ばしちょれ

(ナレーター)海津は河島が 博多に現れたことを知って

ついに すべてを石野に報告した

(陽子)これば ちょうだい (店員)ありがとうございます

(ノックする音)

杉山のもんな?

(男)はあ

入れ 開いてるばい

カネば持っちきたな?

(男)はあ

(銃声)

(銃声)

(銃声)

うぐっ

ううっ

石野さん

(警官1) あっ ちょっと コラ

(石野)兄弟

兄弟!

(海津)へい 待っときます

吉村さんが3時の日航で 着かるっそうじゃけん―

とにかく待とうじゃなかな

清 ヨンハンば探してこい

兄弟は ヨンハンで やられたとじゃ

おども ヨンハンで 河島ば やっちゃる

(遠山)社長…

(海津)待ちなっせ

石野さん

まだ河島って 決まったわけじゃなかろうがの

河島に決まっちょる

兄弟殺(や)れるような外道は 河島しかおらん

ヨンハンじゃ

ヨンハンば持っちこい

(ナレーター) 九州側も事態を憂慮し

実力者 中間市 大浦組組長 大浦武吉が―

急きょ 博多へ駆けつけた

(河島)大浦さん

石野が神戸から 盃ば受けたときから―

こげなことになるとは 分かっておりました

石野は わしがやりますけ

九州から兵藤組ば締め出す またとない折ですたい

(大浦武吉)河島

何も好んで 戦争ばすることはなか

石野には わしが会うちみる

石野は わしの言うことなら 聞きよるはずばい

山地はんと安本のおじが あんたに 神戸へ来てくれ言うとんのや

6時の切符 取ってある

海津さん あんたも一緒に来てくれ

ひろちゃん

そら どげなことな?

兵藤組が九州勢に ケンカば売られとるんど

あんたの考えが見事 ツボにはまったやないな

グズグズしよったら 九州勢に先ば越されるばい

いっちゃん

この1~2年―

えらい世間っちゅうんは 変わってしまいやがってな

警察は兵藤組一人を悪者にしとる 時期が悪い

九州には手が出せん言うとな

神戸では おおかた和解の線や

おどらに和解はなか

こん手で―

河島の首ばとるまじゃ 引き下がれんばい

おいも―

石野さんにつきますばい

おいたちは もう 引っ込みがつかんですけんね

チッ とにかく神戸へ来てくれ

うちの若頭 あんたらを 見捨てるようなお人やない

頼むわ

頼むわ

(電話のベル)

はい

あっ ちょっとお待ちを

社長 中間の大浦親分ですたい

海津です

はあ

ちょっと待ったいよ

石野さん 大浦さんが 会いたい言うてなさるが

よし 会(お)うちゃる

河島は覚えがなか言うちょる

ウソばつく男じゃなか

石野 わしに免じて 別府へ引いちくれんか?

河島の首ば土産にもらえるんなら 引きまっしょ

それじゃあ 話にならんばい

わしの見たところ 今度の一件は―

わがのほうにも悪かとこの あったとやろうが

大浦さん

こっちは兄弟分の 殺されとるとです

石野

たかがチンピラ1人のために―

九州と関西が血で血を 洗うようなことになっち―

よかと思うちょっとか?

しかたなかです

わが いつから そげな太か口 利けるごとなったとか?

おどは 昔の石野じゃなかですたい

なに?

石野

わしの言うたごと するかせんか―

腹ばくくっち返事しろ

返事しだいによっては―

九州全部ば 向こうに回すことになっとぞ

おどは兵藤組の石野一郎ですたい

よう こいた

次郎長(じろうちょう)と 黒駒(くろこま)の勝蔵(かつぞう)の例えもあるけん

別府までは命は保証しちゃる

その代わり 24時間たったら―

兵藤組の息んかかったやつは―

こん九州から 一人残らずたたき出しちゃるけん

覚悟しちょれ

よかです

(ナレーター)この会談決裂の後 わずか6時間のうちに

兵藤組若衆頭 山地幸雄の指令を受けた―

関西各地の兵藤組軍団は 大挙して九州に向かった

女たちの手によって 大量の武器が博多へ運び込まれた

兵藤組の九州進攻作戦は いち早く警察にキャッチされ―

福岡県警は総力を挙げて 全交通路を遮断

特に博多駅では 機動隊のトンネル作戦で―

シラミ潰しに身体検査をしたが 凶器は全く発見できなかった

もしナイフ1本でも 発見した場合―

凶器準備集合罪を適用して 全員を逮捕する構えであった

2月8日正午までに 博多に入った兵藤組連合軍は―

300人を超え―

市内 中津地区 4軒の旅館に分宿した

兵藤組連合軍の行動開始は 午後7時半と決定した

高須組をはじめ 市内各組には―

九州各地から 200人を超える援軍が到着し―

兵藤組連合軍の攻撃に備えた

九州勢の本拠地 飯塚市への関門 八木山峠(やきやまとうげ)には―

機関銃を積み込んだ 河島組のトラックが待ち構えていた

みんなからの見舞いばい 2千万ある

どうも すいません

…で 博多のほうは どげなあんばいですか?

うん

石野組と海津組のほかは 骨っぽいところは来ちょらん

5万円の小遣いばもろち―

遊山気分の者も かなりおるげなばい

ハハハハッ

(ナレーター) 午後5時 兵藤組連合軍に 差し入れの弁当と一緒に

武器が配布された

福岡県行橋(ゆくはし)市の三崎(みさき)組は―

興行の関係で 兵藤組とつながりがあった

ここには ひそかに 海路 別府から上陸した―

兵藤組の精鋭30名が待機していた

関本貫一と山地の腹心 佐良政道(さがらまさみち)は―

絶えず神戸の山地と 電話連絡を取って―

飯塚突入の指令を待ち構えていた

このことを飯塚の河島たちは 全く知らなかった

行橋から飯塚までは 国道201号線で―

わずかに30数キロの行程である

(兵藤組員の抗う声)

おう 準備はよかな?

よかな 7時半ぞ 7時半ぞ

車ん用意ができちょります

おう

(ナレーター) 石野と吉村は兵藤組連合軍に 市内各所を襲撃させ

福岡県警の警備の混乱に乗じて 飯塚に攻め込む計画であった

何な? 停電な

警察の仕業かもしれんぞ

はよ どげんかせんか

九電に聞いちみろ はよせんかい

おら それ わいのやないけ

知らんがな われのはデンプンやないけ

おい ロウソクないのか? ロウソク

(ナレーター) 中津一帯のこの突発的な停電は

変電所の故障による まったくの偶然であったが―

土地勘のない兵藤組連合軍は 動きを封じられた

(石野)待てんど (関本)辛抱しない

河島の面見んと パクられてもよかとな

いっちゃん

ちゃん銀 死に花咲かせよったな

わいら 死んでもゴミやで

ひろちゃん

(警官)警察である

お前たちを 凶器準備集合罪で逮捕する

抵抗すれば公務執行妨害だぞ

開けろ!

(戸をたたく音)

(警官)開けんか

吉村さん

開けたれ

おい 入れちゃれ

(兵藤組員)はい

(警官)逮捕状だ

(兵藤組員) 放せ クソッタレ外道!

どこでん 行っちゃるろ!

(兵藤組員)おい

バカモン

(佐良政道)おい 待て

待たんかい

たった今 連絡おました

博多は全員パクられたそうだす

海津のとこもやられました

思うたより福岡のサツやりおりま

こっちはどないしましょ? 予定どおり突っ込みましょか?

すぐ引きあげてくるんや

チッ

兵藤組としては やるだけのことはやったんや

のう?

(警官たちの怒号)

(警官1)おい おおっ コラ!

(警官2)危ない (警官1)離れろ

(河島組員たち)親分 (河島)皆 ガタガタすな

(警官)おい (河島)うっ 何ない?

(河島)はあっ

(パトカーのサイレン)

(ナレーター) 2月19日 石野一郎は 宮崎県延岡市で逮捕された

兄貴

(ナレーター) 兵藤組と九州連合は

西宮の島本辰市(しまもとたついち)ら 実力者の奔走により―

和解が成立し―

北九州市小倉区において 手打ち式が行われることになった

手打ちには おやっさん 出はりまんのでっか?

おやっさんは東京や お前 行ってくれ

せめて若頭が 出はらんことには…

わしは広島へ行かんならん

親分

なして手打ちに おいたとですか?

よかろうが

向こうは わざわざ 海ば越えち来よるんぞ

(刑事1)コラッ! いいがげん しゃべれ

何な!

博多のデカさんは 極道より無謀やのう

(刑事1)しゃれたこと言うな!

(刑事2)おら 親分の名前は?

(刑事3)真面目に聞いとるとか?

知らんちゅうたら知らんで

何もしとらんがな 風呂入っとっただけじゃ

(刑事4) ここんとこ書いとるじゃろ?

何もしてへんのに なんで捕まんのや?

(刑事5) なんで持っとったんじゃ

(兵藤組員)ああっ

(刑事6)名前は?

吉村 弘

お前が吉村か

福岡へ 何ばしに来たとか

(吉村)旅行だす

いいかげんなこつ言わんとけ お前ら ケンカしに来とったやろう

誰(だん)の命令か言うてみ

旅行だす

誰(だん)の命令か 正直言わんか

夜桜銀次っちゅう ええ極道がおりましてなあ

それが博多で死によりましてん

その葬斂(そうれん)に来たんだすわ

♪~

~♪

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