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寺尾聰さん演じる お父さんと➡
娘演じる私が その親子ものの話として➡
もう とてつもなく切なくて いとおしくて➡
なんか こう ホントに新年に見るのに➡
ふさわしい あったかいお話です。
えっ てことは…。
違います。
あっ 親子 ヒューマンドラマですか。
それでは 2021年も 空港でお会いいたしましょう。
せ~の…。 (3人)『Youは何しに日本へ?』。
ゆり子…。
どうも。
どうした?
何か ないと 帰ってきちゃいけませんか 娘が。
いつ帰るか 知りたいの?
そうじゃない。 特に決めてません。
何? なんで帰ってきたかは 言わないんだ? ゆり子ちゃん。
主婦が家出するのに 理由なんて いくらだって ありますよ。
あんな すてきな人が 奥さんだったら➡
浮気なんて するわけないでしょ。
(泣き声)
たらこのドリンク ひと箱 2, 980円 特売って書いてあるじゃねえか。
えぇ? これが なんだって聞いてんだよ。
お客様 わかりました。 これ 特売なもんで➡
箱を どんどん どんどん できるだけ多くと思って➡
積み上げておりましたら 上から箱が➡
ずり落ちてきてまして 貼り紙の前が隠れてます。
貼り紙のいちばん前に 「疲れ」という字があるんです。
あぁ…。
疲れたらこのドリンク か…。
アハハハハハ! おかしいなと思った。
カキのエキスのドリンクとか 朝鮮人参のドリンクなら お前➡
少しは体によさそうだけど たらこのドリンクなんて お兄ちゃん➡
飲めば飲むほど 体悪くなるんじゃねえか…。
あの… 先生。 これ 1箱 差し上げますから。
いえ いえ いいんだ いいんだ。
誰も来ないじゃないの。
フフフ…。
私と目が合っても こっちへ来ようとしないのよ。
ああでもない こうでもない…。
やっとアンタが来てくれたから アンタがここへ来てくれるのかと➡
思ったら アンタまで向こうに…。
よっぽど大事な話 してるのかと思ったら➡
アンタがバカだ 俺がバカだって…。
おじゃまいたします!
よいしょ…。
申し訳ございません お客様。
この店には バカにつける薬だけは 置いてはございません。
(笑い声)
なぁ。 えっ?
「なぁ」って なんですか?
うるさい。 つまんないヤツだね お前は。
今の 「なぁ」はな➡
いろんな意味を含めた 「なぁ」なんだよ。
わかるか?
落語を見た すぐあとに➡
おもしろかった なんて そんな無粋なことは言いたくない。
おもしろいって言葉は どうも安っぽくなってしまう。
単に笑えただけじゃない➡
そこに もっと深く いろんなことを感じてるのに➡
おもしろいって言ったとたんに➡
笑っただけ みたいなことに なっちまうわけだよ。
だから もっと いろんな意味で おもしろかったなっていう➡
「なぁ」なわけだよ。
そこには言わずもがなの 余韻と含みがあるんだ。
わかったか?
それが 大人の会話ってもんだろうが。
はぁ…。
「なぁ」って言われたら なんて返せばいいんですか?
「えぇ…」とか 「ですね…」なんて感じかな。
短くする 省略することで 奥行きが生まれるわけだ。
それでも 編集者か? お前。
だから いつまで経っても あれなんだよ。
あれって なんですか? あぁ…。
そろそろ 夕食の支度しないとな。
ヘヘヘヘ! 食べていきなさい。 なっ?
何 言ってるんですか…。
今日は 白和えと 鮭の照り焼きにしようと思って➡
朝から酒を振ってあるんだよ。 うまいぞ。
昨日な 料理教室で教わったんだよ。
えっ? ちょっと待ってください 先生。
昨日は熱があるから動けないって 言ってたのは先生ですよね?
ちょっと… 先生! そう言ってましたよね?
さぁ… そろそろ 作るかな。
「そろそろ 作るかな」じゃ ないですよ 先生!
ちょっと 先生! うるさい!
先生 お手伝いしましょうか? 何か。
手伝うっていうのはね➡
役に立つ人間だけが 言っていいセリフなんだよ。
黙って 見てろ。
はい…。 よし と。
おじゃましま~す 先生!
あっ… 野村さんも どうも。 どうも。
光代さん 今日は何?
何って… そんな嫌そうな顔して。
用がなきゃ 来ちゃいけないんですか?
用がなきゃ 来ないでしょう 普通。
私はね 亡くなられた奥様から➡
「主人を よろしくお願いいたします。
見守っててください」って 頼まれたんですよ。
だから こうやって せっせと来てるんじゃないですか。
遠くから見守るだけでいいのに。 遠かったら見守れません。
見えないんだから。 フフフ… そりゃ そうだね。
でも それは 奥様が➡
先生は一人になってしまったら 家のことなんて➡
何ひとつ できないから よろしく頼んだわけで。
そのときは こんなに 料理やら家事やらが➡
好きになるとは 思わなかったわけで。
ですから 今は さほど必要ないのではないか と。
(光代)はぁ!? とにかく 頼まれたの私は。 だから来るの。
暇なだけなんじゃ…。 なんか言った?
このうちの婿になり損ねたくせに。 あっ!
そこ えぐります? いきますか?
自分こそね あわよくば 先生の後妻に➡
なろうとしてるんじゃないですか。 お お お… 思ってないわよ!
思ってないわよ そんなこと! もう…。
ちょ ちょっと… っていうか 亭主いるわよ 私。 こんな。
どうとでもなるでしょ そんなもの。
なんなの? それ。
(野村)私は 仕事で来てるんですから。
その頼まれた件は 大丈夫なんじゃないですか?
私はね 先生に仕事に 集中してもらいたいんですよ。
毎日 毎日 用もないのに!
私だって忙しいのよ。 忙しいけど 頼まれてるから来てるんでしょ!
だから! あのね!
先生 若く見えるけれど 年なんだから いいかげん。
いつ 何があるか わからないでしょ?
だから こうやって 毎日のように 様子 見にこないと➡
倒れてても 気づかれずに 死んじゃってとかになったら➡
どうすんのよ!? どうすんのよって言われても…。
どうすんのよ!? 倒れてたら! どうすんのって言われても…。
大丈夫です! 毎日のように仕事で来てますから。
あなた 役に立たないから。 うるさい!
私はね 集中したいんだよ。
黙って 座ってろ。
こんにちは。 こんにちは。
よし。
ゆりちゃん どうしたの?
お疲れさまでした。
あぁ うん。
帰ろう。 うん。
そうさせてください。
お願いします。
いや でも…。 そうしたいの。
わがままだし メチャクチャなのわかってる。
お願い。
わかった。
えっ?
わかったよ。
ありがとう。
♬~
あら こんにちは。
こんにちは。
(玄関チャイム)
(玄関チャイム)
うるさいな もう。
なんで こういうときにかぎって 誰もいないんだ。
いなくていいときばっかり いやがって 本当にもう。
(玄関チャイム)
はいはい はいはい。
そんなに何度も鳴らさなくたって 出ますよ。
はい。
あっ…。
遅い。 ゆり子。
どうも。
どうした? えっ 別に。
別にって…。
鍵持ってんだろう。 チャイム鳴らさなくても。
家を出て嫁いだ人間が➡
勝手に鍵を開けて入るのは どうかと思って。
そういうもんか? はい。
で なんだ? どうした? 突然。
だから別に。 だから別にって…。
入っていいですか? えっ? あ あぁ…。
おじゃまします。
あっ 大丈夫です。
そう?
何か あったのか?
何かって?
田渕…。
いや 繁行くんとなんか…。
だから なんかってなんですか?
浮気したとか 酒とかギャンブルとか。
は? そういう人じゃないです。 知ってるでしょ?
お父さんだって 自分の教え子でしょ?
まぁ そうだな。
そんな 大それたことのできるような➡
男じゃないからな アイツは。
じゃあ なんだ?
何もありません。
そんなわけないだろ。
なんかあったほうが いいんですか?
そうは言ってないだろ? しかしだな…。
なにかないと帰ってきちゃ いけませんか? 娘が。
突然来られたら困るんですか?
困るわけないだろ。 でも迷惑そう。 困ってる。
そうは言ってないだろ。 どこの世界に➡
娘が帰ってきて うれしくない父親がいるんだ。
いるんじゃないですか。 えっ?
いろんな親子はいると思う。
別に嫌いとか憎んでるとは 言わないけど➡
苦手っていうのは あるんじゃないですか 親子でも。
お父さん 私のこと苦手だから。
そんなこと…。 ある。
お前はどうなんだよ?
なんか あれですね。 ん?
ずいぶん きれいなんですね 家の中。
ん? まあな。
なんか感じ悪い。
なんで きれいだと感じが悪いんだ?
なにこれ…。
やだ いやらしい。
いやらしい?
誰かいるんですね。
誰かって?
娘に言わせるんですか?
は? どういう意味だ?
ここで 毎日料理を作っている 女の人です。
ハハッ ハハッ ハハハハハッ…。
なにがおかしいの? いやらしい。
私だよ 私。 私が料理してるんだよ ここで。
は? ウソつかないでください。
見ればわかります。
これは 相当毎日 料理作ってる。
しかも 料理が好きな人の台所ですよ。
だから 私だよ 私。 私が好きなんだよ。
今 鼻で笑ったな?
だって…。
本当に?
だから 言っただろ。
アハハハハハッ!
何がおかしいんだ?
だって…。 だってじゃない。
ハハハハハハッ!
おかしくない! おかしい おかしい。
あぁ おかしい。 お腹痛い。
ハァ ハァ…。
お腹すいた。
知るか。
何か食べたい。 作ってください。
お腹すいた。
あぁ お腹すいた。
お父さんが作った ご飯が食べたいです。
何が食べたいんだ?
おいしいもの?
わかった。 待ってろ。
アハハ!
ごめんなさい。
アハハ!
アハハ…。
じゃあ どうぞ。
やだ 何これ! いただきます。
はい。
フフフ!
アハハ!
笑うって どういうことだよ? だって。
おいしいんだもん アハハ。
おいしいと なんで笑うんだよ。
あ~ 涙出てきた アハハ!
あ~ おいしい ウフフ。 なんだそりゃ。
おじゃまします。 あら ゆりちゃん!
どうしたの 誰の笑い声かと思ったら。
あ~ ご無沙汰してます。
フフフ! なんかあったの?
何もないですよ。 (時計の時報)
何もなくても 突然帰ってくることもあるだろ。
感じ悪い。 ないでしょ そんなこと。
誰の笑い声だと思ったの 光代さん。
えっ あっ 料理教室でね➡
若い女の子に人気者だから。
このあいだもね みんなでここでね 先生。
余計なこと 言わなくていいんだよ。
料理教室…。
(笑い声)
びっくりでしょ? (笑い声)
うるさ~い!
すみません。
ああ だって何も できなかったじゃないですか。
家のことなんて。 そうよね。
できなかったわけじゃない やらなかっただけだ。
そっちのほうが 悪いじゃないですか。
どうしてだ?
お母さんの仕事を 尊重してただけだ私は。
私が なんでもやってしまったら 困るだろう お母さんが。
なんか え~。
どうなんだろう それって ねぇ?
ねえ。 でもまあ。
昔の人だからね。
悪かったな。
うん? でもなんか あれかな? なんだ?
う~ん ちょっとエビが硬いかな。
残念。 なに… そんなことないだろう?
うう!
どれどれ?
ああ…。
まだまだだね 頑張って 料理教室通ったほうがいい。
口悪いな お前。 父親似です。
なるほど ハハハ!
お茶いれようっと。
(笑い声)
ああ。 なんですか?
何だと思う?
あっ ゆりちゃん? うん。
家出じゃないですか? なんで?
なんでって 私にわかるわけ ないじゃないですか。
浮気でも酒でも ギャンブルでもないらしいぞ。
そんなね 主婦が家出するのに➡
理由なんて いくらだってありますよ。
どんな? 奥さんは なかったんですか?
家出したこと。 ない そんなもの。
我慢強い人だったから。
は? どういう意味だ?
本人に聞いてみたら いいじゃないですか。
聞いたけど 怒るんだよ。
じゃあ 繁行さんに 聞いてみたらいかがですか?
娘が帰ってきたけど 何かあったのかって聞くのか?
そんなみっともないこと できない。
面倒くさいなあ もう。
ねえ ねえ ねえ。
えっ? ちょっとうまいこと➡
聞き出してくれないかな? ねえ 光代さん➡
頼まれてるんだろ 女房に。 頼まれてません そんなことは。
なんだ それ? そういうわけなんで➡
よろしくお願いします 光代さん。 えっ?
お父さん 明日の朝食何ですか?
えっ。 料理教室仕込みの朝食。
楽しみ お風呂いただきます。
大丈夫 急がなくても あの様子なら しばらくいるから。
ゆりちゃん おやすみ!
おやすみなさい! ねえ。
じゃ先生 また明日。 頼むよ…。
よいしょ。 ねえ ちょ ちょ…。
ちょっと。
♬~
♬~ ともに認め合い、 ともに分かち合い
♬~ 人とともに、 人とともに
♬~ 街は人とともに
これでよしと。
さあ。
おはようございます。 おはよう。
さあ どうぞ。
おいしそう! 何ですか これ?
エッグベネディクト アメリカの朝食だ。
へえ すごい…。
いただきます。
うん おいしい。
そうか フフ。 う~ん!
コーヒーをさ…。 あっ いただきます。
ああ そう。 う~ん。
おはようございます。
あっ ゆり子さん! どうしたんですか?
なんかあったんですか? 夫婦ゲンカとか離婚とか?
いいえ。 あっ すみません。
コーヒー。 はっ?
いいから コーヒー。 飲むんだったら3人分。
あ はい。
う~ん。
あっ 先生。
原稿のほう いかがですか?
それどころじゃない。 はい?
いいから早くしなさい。 はぁ…。
なあ。 はい。
その あれだ その。
なんですか?
ゆっくりしていけるのか?
はい。
うん それはよかった。
で どのくらい?
いつ帰るか知りたいの?
そうじゃない。 特に決めてません。
大丈夫なのか? 田渕は?
はい。
うん なら いい。
はい。
お父さん。 うん?
なんだ?
お昼は何時からだと 思っていればいいですか?
また 昼も作るのか? 楽しみ。
おい コーヒーは どうなんだ? あっ はい ただ今。
♬~
はい…。
はい わかりました。
あ… 大丈夫です。
はい…。
ありがとう。
はい。
じゃあ… おやすみなさい。
いらっしゃい。
よう!
なんだよ お前… スーパーの袋持って バーに来んなよ。
しようがないだろ。
お気に入りのスーパーが 8時で閉まっちゃうんだから。
はぁ? 野菜とか全然違うんだよ。
ねっ!
あっ いつもの。 はい。
しかし 変わったね お前… カミさん 死んでから。
そんなふうになるとは 思わなかったね。
フフ… そうか?
うちのカミさんはさ 家の中のこととか➡
完璧だったんだよ。
いつも きれいにしてたし メシもうまかった。
でもな それが 当たり前みたいに なってたわけだよ。
生きてたときはな。 あぁ…。
死なれてみたらさ… 一人で家にいてさ 思ったんだよ。
う~ん… どんな気持ちで 家にいたんだろうか。
どんな気持ちで 家のこと やってたんだろうか…。
台所にいるとき 何を考えて 料理をしてたんだろうか…。
そんなことをな。 へぇ…。
そしたら 知ってみたくなったんだ。
俺も味わってみたくなった。
はぁ… さすが 翻訳家は 言うことが違うねぇ。
ハッ… うるさいよ。
で… でな 料理 始めてみたら これがおもしろくってさ。
で そうなると ほら 男って 凝るだろ?
道具とかでも。 それはまぁ わかるな。
男は道具が好きだからな。 だろ?
(笑い声)
変わってない。
♬~
(田辺)で 何? なんで 帰ってきたかは➡
言わないんだ ゆり子ちゃん。 うん そうなんだよ。
光代さん 知ってるよな? うん。
あの おばちゃんに しつこく聞き出されても➡
まったく 口 割らない。 ふ~ん…。
あんまり しつっこく聞くのもな…。
俺には言いにくいってことも あるだろうし…。
カミさんにだったら なんでも言えたんだろうけどな。
まぁな… そうかもな。
おたくは… 良子ちゃん 帰ってくることあるのか?
あるなんてもんじゃないよ。
うちは 近いのもあるけど しょっちゅうだよ。
たかりだよ たかり。 たかり?
しょっちゅう 用もないのに来て メシだけ食って 帰ってくよ。
それに お中元とか お歳暮とか来るだろ?
あれ 全部 持ってっちまう。 全部だぞ! 根こそぎ!
他にも 来るたんびに これ もらってくね~ だぞ。
もらっていい? じゃなくて もらってくね だよ。
お父さん お母さん もう 年だから➡
あんまり 食べられないでしょ?
だめにしたら もったいない! とか 言ってな。
余計なお世話だ まったく…。
大事なものは 俺 隠してるからな。
カニ缶とか タラバの。 フフフ…。
でもまぁ… うちの娘とは 違うからな ゆり子ちゃんは。
心配だな。 あぁ…。
どうしたらいいか… カミさんにでも相談するかね。
えっ?
あっ…。 おかえりなさい。
ハハハ… ただいま。 田辺さん 元気?
あぁ うん まぁまぁ…。 あっ これ。
これ持って 飲みにいってたの? うん まぁね。
(泣き声)
(泣き声)
わかったな 2人とも。 よろしくな。
絶対に気づかれるな。
私は 昔の仕事の仲間が 急に入院したから 出かけた。
泊まりだ。 わかったな?
はい わかりました。
いや そんなこと言ってもですね。 なんだ?
いや あの… こんなこと言うの ホント あれなんですけど➡
先生 お仕事のほう…。
娘のことがはっきりしなきゃ 仕事にならん。
はぁ… わかりました。 はっきりしてきてください。
あぁ わかった。 じゃあ 頼んだぞ。
はい。
うん。
なんでもないといいけど…。 えぇ。
浮気とかかな やっぱり…。
ありえないですよ それは。 そうよね。
そんなことする人じゃないしね 繁行さんは。
そうじゃないですよ。 はっ 何?
あんな すてきな人が 奥さんだったら➡
浮気なんてするわけないでしょ って話ですよ。
フッ ヘヘ…。
なんですか? なんでもない。
フフ…。 何がおかしいんですか。
ヒヒヒ… なんでもない。 (ドアの開閉音)
なんですか あっ。 ただいま~。
しっかりしなさいよ。 はい。
(2人)おかえりなさ~い。 あれ? お父さんは?
あっ えっと…。 昔 あの…。
お仕事でお世話になった方が 急に入院したとかで➡
お見舞いに。 あぁ…。
ねっ。 はい そうです。
そう 誰だろう? そこまでは…。
ねっ。 はい そうです。
そうですか。
泊まりになるだろう とのことでした。
そうみたい。
わかりました。 はい。
あの…。 何?
何か 疑問な点でも? あっ いやあの…。
どうして お二人は ここにいるんですか?
えっ? えっ あぁ…。
あれです 急だったので ゆり子さんに伝えてくれって。
あぁ。 ねっ。
そうそう それで待ってたの。
ありがとうございました。
(上戸) 薄いハブラシはライオン
ハブラシのヘッドを薄くすれば→
奥歯の狭いところまで磨ける→
それは分かっていました
しかし ヘッドが薄いと ブラシの植毛がむずかしく→
長年 実現できませんでした
≪ライオン ハブラシ 100年≫
≪技術の結晶が ここに≫
≪薄型のヘッド 分厚いハブラシより 奥まで届く≫
ハブラシは 薄さで選ぼう
≪日本歯科医師会推薦商品です≫
いいとこだ。
こんな景色 毎日見てたか。
おう。
先生。
先生は そっちだろう。
私は とっくに 大学辞めちまってるし。
それに今は お父さんだろう。
あぁ はい お父さん。
お疲れさま。
ありがとうございます。
どうなさったんですか?
うん…。
ちょっと話せるかな?
(小鳥のさえずり)
♬~
いい店だね。 よく来るの?
はい ゆり子さん好きで この店。
そう。 はい。
なんで私が 突然訪ねてきたのか わかってるって顔だな。
ゆり子が 突然帰ってきた 大きな荷物持って。
しばらく いるつもりらしい。
いや それはもちろん いいんだが…。
何があったのかは言わない 何もないと言う。
だが どうやら 何か事情がありそうだ。
そう思えてしかたがない。
だから 君に聞いてみようと思った。
ちなみに 君と会うことは ゆり子には言っていない。
なんかあったのか?
どういうことなんだ? 教えてくれないか。
いえ… 何もありません。
これでも 私は親だ。
親密な父と娘という関係では なかったかもしれない。
子どものことは 妻に任せっきりだったし➡
自分のことばかりだったのかも しれないな。
お父さんは私のことが苦手だから って言われたよ。
いや でも決して そんなことはない。
娘のことを 好きじゃない父親なんて➡
いないだろう。
いや 心配なんだよ。
本当に 何もないんだったらいい。
でも そうでないことは 君の顔を見ればわかる。
だったら 教えてくれないか。
頼む このとおりだ。 やめてください。
教えてくれるか?
申し訳ありません。
いい夫婦なんだな それは安心した。
悪かったな 突然押しかけて。
ここでいい。
元気でな。
先生…。
無理しなくていいぞ。
うちに来ていただけませんか?
人のいないところで 話したいので…。
今から 私がする話を聞いても➡
ゆり子さんに 気づかれないようにすると➡
約束してくれますか?
変わらずに接してくれると 約束していただけますか?
わかった。
約束する。
ゆり子さん…。
がんなんです。
残りの命は 限られています。
そんな…。
申し訳ありません。
私と暮らしてから 彼女を病気にしてしまいました。
私の責任です。 そんなわけないだろう。
残された時間の半分をくださいと 彼女は僕に言いました。
半分?
ええ お父さんと過ごしたいと。
♬~
⦅お母さんとは 私➡
たくさんの時間を 過ごすことができた。
思い出も たくさんある。
でも お父さんとは あんまりなくて。
死んじゃう前に お父さんとの 思い出を作りたいの。
お父さんにも 私との思い出をプレゼントしたい。
お母さんに死なれて➡
私まで 先に いなくなるなんて➡
お父さん かわいそうで。
うん。
私の体のことは言わずに お父さんとの時間を過ごしたい。
知ってしまったら➡
かわいそうな娘との 時間になっちゃうから。
そういうんじゃなくて➡
2人で ケンカしたり つまんないことで笑ったり➡
2人で ご飯 食べたり そういう時間を過ごしたい。
なんだか いっつも お互い不機嫌な顔ばっかりで。
今のままだと 私とお父さんとの思い出は➡
それだけになっちゃう。
でも ゆりちゃん…。 お願いします。
半分たったら ここに戻ってきます。
最期は 一緒にいさせてください。
お願いします。
そうさせてください。
お願いします⦆
バカ野郎。
僕は ゆり子さんの気持ちを 尊重することにしました。
そう心に決めてからの彼女は とても元気で。
今 心に張りが あるんだと思います。
そして その元気も 限界かなと思ったら➡
僕のもとへ帰ってきてくれます。
それで 僕は光栄です。
そう…。
不妊治療を始めた ところだったんです。
えっ?
で いろいろ検査していくうちに➡
見つかりました。
いっつも怒った顔。
まぁ 私もか。
どうぞ。
あっ これ。
全部あるみたいですよ。
うん?
お父さん どうぞ。
ありがとう。
中学生のときに ゆり子さん➡
先生の書斎に こっそり入って➡
やりかけの仕事をこっそり 読んだことがあるそうなんです。
でも 先生が そこに帰ってきて…。
先生 どうだったんだ って 聞いたんですよね。
彼女は 本当は すごく おもしろいと思っていたのに➡
「別に」とか 「わからない」とか 答えてしまった。
あぁ… 覚えてる。
で 先生は その仕事 結局 断ってしまった。
えっ? あっ いや でもそれは…。
もちろん彼女も➡
自分が褒めなかったからだなんて 思ってないです。
でも 少しは 関係あったかもしれないって➡
ずっと後悔してたらしいです。
ベストセラーになったんですよね。 断った お話。
そんなこと思ってたのか。
ダメな父親だ。
ゆり子さんは ファザコンなんだと思いますよ。
えっ?
ファザコンなくせに 素直じゃない。 めんどくさいです。
そして めんどくさいところは 父親似ですね。
そういう変な心残りが たくさんあるみたいです。
他にも?
いっぱいありますけどね。
いっぱい? はい。
⦅でね 中1のとき 私 演劇部で➡
1年なのに すごい大きな役に 抜てきされちゃって。
へぇ。 でも 全然 自信なくて➡
もう どうしよう どうしようって 家の中で ずっと言ってて。
もう無理 無理 もう私にはできない できない➡
無理 無理 無理って 家の中でずっと言ってたのね。
でも それって もちろん➡
怖いとか自信ないとかって 気持ちだけど➡
別に嫌だって 言ってるわけじゃないじゃない?
抜てきされたことは やっぱり うれしいし➡
いい役やりたいし。 だから➡
「大丈夫 お前ならできるよ」って 言ってほしかっただけなの。
あぁ わかるよ。
でしょ? それなのに あの親父➡
「うるさい! できないんなら やめろ!
断れ!」って。
あれは 本当に頭きた。 今 思い出しても頭くる。
ハハハハ!
父親にさ 「お前ならできる 頑張れ」って言ってもらえれば➡
子どもは本当に 頑張れちゃうもんなんだけどね⦆
覚えてない。
情けない。
お父さん 大丈夫ですか?
ダメですよ そんな顔で帰ったら。
約束しましたよね? 僕と。
飲みませんか? 今夜は。
うん。
どれくらい…。 えっ?
どれくらい 私んところにいられるんだ?
ゆり子は。
あまり長い時間ではないです。
次は 都電雑司ヶ谷です。
参ったよ。
こんなの ありかよ。
参ったよなぁ。
ずるいよ お前。
俺一人でさ…。
でもさ…。
いい娘に育ててくれたんだな。
ありがとう。
俺は これから いい父親になれんのかなぁ。
なぁ どうすりゃいいんだよ?
(笑い声)
うるさい! うるさい!
いや だから違いますよ。 いいっすか?
うるさい! (笑い声)
うまい! 天才。
いや たぶん 言われてる頻度が 高いということなので➡
あまり うれしくはないですが。 もう一回 もう一回。
はい お願い お願い…。 そうですか?
お前ら…。 うるさい!
なんなんだ バカみたいに笑いやがって。
外にまで聞こえるぞ。
だめ だめ…。
(笑い声)
うるさい!
(笑い声)
おかえりなさい。
ああ。
ホントに のんきだね どいつも こいつも。
先生。 なんだよ?
なんだよじゃないですよ 先生。 そうですよ。
どうだったんですか? え? ああ…。
何もなかった。
よかった! よかった。
先生 これで仕事に専念できますね。
それどころじゃないよ。 え? なんですか それ。
話が違うじゃないですか。
そうだな。 うん わかった わかった。
でも よかった。 ホッとした。
悪かったな 心配かけて。
さて。
晩メシでも作るか。
おい いいかげんにしろ。
お姫様か お前は。 えっ?
手伝え。
はい。
何?
雑だな。 悪かったですね。
主婦の料理は 時間との戦いなんです。
そんなね モタモタしてられないの。 あぁ そうですか。
まだですか? それ。 まだかかるんですか?
うるさい。 もう終わる。
手伝いましょうか?
うん 頼む。 はい。
そうやればいいんだ。
あっ…。
(2人)いただきます。
おいしい! うまい!
ん~!
どっか 行きたいとことかないのか?
行きたい所? お父さんと?
ん? うん。 まぁ なけりゃいいんだ 別に。
ジェットコースター乗りたい。 ん?
ウソウソ。
父親のおごりで 食べたい店はね ある。
来たかったんだ ここ。 へぇ そうか。
何やってんだ ほら。 はい。
いらっしゃいませ。 どうぞ。
決めるぞ。 はい。
じゃあね 娘には ええ…。
うん これにしよう。 はい。
私は それじゃあ…。
☎
もしもし ゆりちゃん?
うん… え?
ひょっとして お父さん 来なかった?
い~や 来てないけど。
あっ そうですか。
うん わかりました。 あっ ううん どうもしない。
大丈夫です。 はい。
うん また連絡します。 はい おやすみなさい。
ウソが ヘタだな~。
♬~
<素材には 社会を変える力がある>
♬~
<資源循環型社会へ>
♬~
<CO2排出を少なく>
♬~
<素材の力で 変えていく>
<東レ>
ああ~。
失礼します。
へぇ 気が利くね。
飲みたかったので ついでです。
あっ そう ついでね。
どうぞ。 あっ どうも。
あの 僕が真剣に仕事してるのが おかしいですか?
あ… ごめんなさい。 あの… 本当にごめんなさい。
ごめんなさいって それ おかしい って認めてますよね。
あ… ごめんなさい。 なぁ。
これ どう思う?
え? いや先生 それは この前やらないって。
若い女性作家の 短編集なんだけどな。
普通は 私のところには 来ない話なんだが。
昔 訳したことのある 作家の娘でね。
デビュー作だそうだ。 へぇ~。
どう思う?
コーヒー 持ってきてもいいですか?
ああ どうぞ。
先生 すみません。
私の英語力では どれくらい➡
理解できてるかどうか わからないけど…。
ですよね。 うん。
なんか おもしろそうです。
笹井亮介の訳で 読んでみたいなって思いました。
そうか…。
やってみるか。
いやいや 先生?
いや なんか やってみたくなったんだよ。
はぁ…。 とりあえず➡
短いのを一編 雑誌に載せてみよう。
そうだな? 野村。
いや 私は それは うれしいですけど。
よ~し 決まりだ。 やってみるか。
何日か忙しくなるぞ。
あ…。
手伝え… 責任あるからな。
はい。
♬~
ありがとうございます!
じゃあ 早速 これを社のほうに。
ああ。
ゆり子さん。 はい。
ありがとうございました。
ありがとうございました。
お疲れさまでした。 寝てないんでしょう?
うん ちょっとだけ 横になろうかな。
夕方まで。 はい。
おい。 ん?
こんにちは。 こんにちは。
もしもし?
えっ… あぁ 終わったんだ。
お疲れさまでした。
本当に わがまま言って すみませんでした。
ありがとう。
ゆりちゃん?
そろそろ 帰っていいかな?
そう… わかった 待ってる。
うん。
じゃあ。
よし。
ゆりちゃん!
あっ 光代さん。 買い物? 何作るの?
あっ 光代さん。 はい?
父を よろしくお願いします。
えっ? あぁ はいはい 帰るの?
うん。 また頼まれちゃったなぁ。
先生は私から逃げられないわね。
♬~
あっ こんな時間だ。
あっ。 たまにはね。
そうだよな。
あっ… これ。
お母さんの料理で いちばん好きだったんだ。
へぇ 私も好きだった。
どうやるんだ? これ。
これはね ごま油で炒めるのがポイントなの。
へぇ~ ごま油か。 そう。
で 隠し味は これ。 えっ はちみつ。
へぇ~ だからか 同じにならなかったのは。
お母さんの発明。 覚えました?
うん 覚えた。
それはよかった。
伝えられて よかった。
それじゃあ お母さんの白和え 作れるのか?
えっ? 無理だろ あれはな どうせな。
やってみるわよ。 やめとけ 無理無理。
頑張れって そういうふうに言えないの?
子どもはね 親に言われたら 頑張れるものなのよ。
無理無理。
やってみるわよ。 手伝ってください。
おう。
お父さん。 ん? なんだ?
私… 明日 帰ろうと思います。
そうか。 はい。
うん。
明日…。
明日 落語を観にいくか?
あっ そうか あれだな➡
お前 好きじゃないんだよな 落語。
えっ なんで?
いつか言ってただろ。 高校生のときかな?
私が 落語観にいくかって言ったら 怖い顔してさ➡
興味ない。
そんなこと言ってませんし そんな顔してません。
言っただろ。 興味ない。
そんな顔してません。
しただろ。 じゃあ行くのか? 行くわよ。
じゃあ行くぞ。 はい。
興味ない。
しつこい もう。
楽しみ。
それから あれだ。
あの でっかい荷物。
あれ なんだい ほれ あの… 宅配便 あれで送りなさい。
はっ?
わかったか。
あんなもの 女が 引きずって歩くもんじゃない。
みっともない。
はい。
(2人)いただきます。
♬~
え~ 子どもを思う気持ち というのは 変わりませんでね➡
かくばかり偽り多き世の中に➡
このかわいさは真なりけり なんてことを言って➡
え~ 子どもを思う気持ちというのは➡
時代が変わっても 変わらないもんでございますな。
年に二度 宿下のチャンスがありました。
これを藪入りと申しまして 1月の16日 7月の16日➡
まあ お正月のおしまい それから お盆の終わり➡
雑多な時期が終わったときに➡
まあ 親子水入らずになれるってんで➡
年に2日 その休みしかなかったんですな。
藪入りとこたえて あとは涙かな。
おっかあ おっかあよ。
なあに?
何時になったい。
何時 何時って 何べん聞いたって同じだよ。
何時になったか聞いてんだ。 だから10時ちょいと回ったところ。
さっきもそう言ってたじゃねえか。 (笑い声)
のべつに時を聞くからだよ。
お寝なさいよ。
寝られねえんだよ。
大きくなったろうな。
そりゃそうだよ 子どもが ちっちゃくなったら➡
なくなっちゃうんだからね。 (笑い声)
そういうこと 言ってんじゃねえんだよ。
大きくなってんだろうな。 けえってきたら➡
あったけぇメシだぞ。 (笑い声)
わかってますよ。
野郎 納豆好きだったろ 納豆 買ってあんのか?
大丈夫だよ。 卵は? あるよ。 (笑い声)
♬~
おい どこで拭いてんだよ。 だって。
あぁ 楽しかった。 そうだな。
うん。 うん。
あっ じゃあここで。 駅まで。
うん そうか。
はい。
お父さん。 うん?
ありがとうございました。 なに言ってんだ。
こちらこそ ありがとう。
はい。
あぁ 本できたら送る。
うん 楽しみにしてます。 うん。
じゃ。 うん じゃ。
ゆり子。
はい。
ほら あれ作れよ。 ちゃんと。
教えたやつ。
白和え 旦那に食わせてやれ。
はい。
ゆり子… 大丈夫だ。
大丈夫だ ゆり子ならできる。
頑張れ。
はい 頑張ります。
♬~
あっ。 おかえり。
ただいま。
あぁ 楽しかったです。
うん。
これから よろしくお願いします。
こちらこそ。
さてと頑張りますか 最後まで。
頑張れ。
ゆりちゃん大丈夫?
うん 大丈夫。 私は大丈夫。
先生が? そう 作ってたの。
へぇ~。 うん この味だった。
うまい。 ねっ。
どうだ うまいか? うまいだろ。
うまい。 おいしい。
お前な タッパー持ってバーに来んなよ。
うるさいよ いいから食ってみろ。
うまいよ お前。 だから言っただろ。
ハハハハ。 うん。
よし 乾杯しよう。 えっ?
お互いの娘にだ。 ハァ?
ほらいいから ほら。
(2人)乾杯。
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