All language subtitles for 02.Yamu ni yamarenu kokoro やむにやまれぬ心 Uncontrollable feelings

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(覚馬)あ? 49 00:06:59,620 --> 00:07:04,190 また 黒船の事ですか? うん…。 50 00:07:04,190 --> 00:07:09,710 何も できねえうちに 黒船は 伊豆の下田に行っつまった。 51 00:07:09,710 --> 00:07:14,050 談判が済んで メリケンに帰れば もう 手も足も出ねえ。 52 00:07:14,050 --> 00:07:16,370 ええ。 53 00:07:16,370 --> 00:07:18,790 なじょしたもんか…。 54 00:07:18,790 --> 00:07:22,230 あ~ こうしていでも 知恵は浮かばねえ。 55 00:07:22,230 --> 00:07:25,830 作業場の掃除でも すっか! はい。 56 00:07:29,980 --> 00:07:33,850 (塾生)おい 豚が逃げるぞ! そっちだ! 57 00:07:33,850 --> 00:07:37,940 (豚の鳴き声) 58 00:07:37,940 --> 00:07:42,560 回れ 回れ! 59 00:07:42,560 --> 00:07:45,730 (豚の鳴き声) 60 00:07:57,490 --> 00:08:00,530 (覚馬)何の騒ぎだ? 61 00:08:00,530 --> 00:08:03,570 (新島)お手をお貸し下さい。 62 00:08:03,570 --> 00:08:05,790 (覚馬)こら 待て! 63 00:08:05,790 --> 00:08:08,670 (豚の鳴き声) 64 00:08:21,820 --> 00:08:23,920 いけない! 65 00:08:36,220 --> 00:08:45,240 (豚の鳴き声) 66 00:08:45,240 --> 00:08:48,540 ないご ごあんそ。 67 00:08:48,540 --> 00:08:52,880 (西郷)こいが 体当たりしてきもした。 68 00:08:52,880 --> 00:09:00,920 真ん丸肥えっせえ ハハッ うんまかろそな豚じゃ。 69 00:09:00,920 --> 00:09:03,920 (塾生)来い! 70 00:09:08,530 --> 00:09:12,520 申し訳ありませぬ。 申し訳ありませぬ。 71 00:09:12,520 --> 00:09:16,420 (殴る音) 申し訳ありませぬ。 72 00:09:20,190 --> 00:09:25,500 申し訳ありませぬ。 とんだ粗相を致しました。 73 00:09:25,500 --> 00:09:29,690 それがしは 上州安中藩士 新島民治の子で 74 00:09:29,690 --> 00:09:31,890 新島七五三太と申します。 75 00:09:31,890 --> 00:09:34,160 なして 豚さ 逃がしたんだ? 76 00:09:34,160 --> 00:09:39,660 逃がしたのでは ありません。 かんぬきを掛け忘れたのです。 77 00:09:42,550 --> 00:09:46,040 これを描いていました。 78 00:09:46,040 --> 00:09:51,340 へえ~ うまいもんだな。 79 00:09:51,340 --> 00:09:53,460 おう! 80 00:09:53,460 --> 00:09:56,150 (新島)不思議な鳴き声が 気にかかり 81 00:09:56,150 --> 00:10:03,720 つい 入り込んでしまいました。 熱中すると どうも いけません。 82 00:10:03,720 --> 00:10:07,960 よか よか! そいくらいの熱が なきゃあ 83 00:10:07,960 --> 00:10:14,050 ないも ものには なりもはん。 のう そうごわんそ? 84 00:10:14,050 --> 00:10:16,280 はい! 85 00:10:16,280 --> 00:10:19,920 (塾生)薩摩の西郷殿 いずれに おいでですか? 86 00:10:19,920 --> 00:10:24,140 おっ ようやく おいの番が来もした。 87 00:10:24,140 --> 00:10:26,540 それでは。 88 00:11:12,920 --> 00:11:17,190 この男は 西郷吉之助。 89 00:11:17,190 --> 00:11:24,350 薩摩藩主 島津斉彬に抜擢され お庭方を務めていた。 90 00:11:24,350 --> 00:11:27,690 (新島)ここは 何を学ぶところですか? 91 00:11:27,690 --> 00:11:31,390 (川崎)西洋の学問ですよ。 (新島)どんな事を やるのです? 92 00:11:31,390 --> 00:11:35,260 (覚馬)異国の言葉 兵学に舎密術 医術。 93 00:11:35,260 --> 00:11:40,280 書物で学び 実際に やっでみる。 私も入れて頂けるでしょうか? 94 00:11:40,280 --> 00:11:43,520 もうちっと大ぎくならねえとな。 95 00:11:43,520 --> 00:11:46,760 (川崎)何年かして 藩からお許しを 頂いたら また いらっしゃい。 96 00:11:46,760 --> 00:11:48,860 はい。 97 00:11:50,960 --> 00:11:56,080 先生は 下田開港に不服と 承っておいもす。 98 00:11:56,080 --> 00:12:00,420 下田は伊豆半島の突端だ。 99 00:12:00,420 --> 00:12:08,130 かの地を メリケンの艦隊に押さえられては 100 00:12:08,130 --> 00:12:12,080 それこそ 東西の海路を断たれたも同然だ。 101 00:12:12,080 --> 00:12:16,180 そいなら どこを 開港すべき ごわんそかい。 102 00:12:18,590 --> 00:12:20,990 横浜だ。 103 00:12:23,540 --> 00:12:27,100 江戸に近すぎっとでは ごわはんか。 104 00:12:27,100 --> 00:12:31,680 だから よいのだ。 警護も 一層 厳重になり 105 00:12:31,680 --> 00:12:36,120 間近で黒船を見る事もできる。 106 00:12:36,120 --> 00:12:39,460 なるほど。 107 00:12:39,460 --> 00:12:43,860 おのずと 異国ん術を 知る事にも なりもすな。 108 00:12:43,860 --> 00:12:49,850 そなた 地理にも 昨今の情勢にも 明るいと見えるな。 109 00:12:49,850 --> 00:12:54,950 全て 我が主君の教えに ございもす。 110 00:12:58,900 --> 00:13:02,780 やっぱり 乗るしかねえ。 はっ? 111 00:13:02,780 --> 00:13:05,850 行ぐか! 下田に。 112 00:13:05,850 --> 00:13:09,590 黒船ですか? ああ。 113 00:13:09,590 --> 00:13:13,730 どうやって乗る気です? 捕まれば 死罪になりますよ。 114 00:13:13,730 --> 00:13:18,010 そんじも 俺は見でえ。 船の中が なじょなってるか。 115 00:13:18,010 --> 00:13:20,850 異人の大筒が どれほど すげえもんか 116 00:13:20,850 --> 00:13:25,400 乗って この目で 確かめてえ。 むちゃですよ。 117 00:13:25,400 --> 00:13:28,220 むちゃしねえと 何も始まんねえべ。 118 00:13:28,220 --> 00:13:34,460 断固として 事を行う時 人は皆 狂気だ。 狂気? 119 00:13:34,460 --> 00:13:38,150 寅次郎さんが 前に そう言ってた。 120 00:13:38,150 --> 00:13:42,220 狂気っつうのは やむにやまれず 命 懸けるって事だべ。 121 00:13:42,220 --> 00:13:47,190 それぐらいの熱がねえど 黒船には太刀打ちできねえ。 122 00:13:47,190 --> 00:13:50,150 しかし なぜ そこまで? 123 00:13:50,150 --> 00:13:53,400 会津には海がねえ。 えっ? 124 00:13:53,400 --> 00:13:58,650 そったのに 蝦夷だ 上総だと 海の警護さ 任されできた。 125 00:13:58,650 --> 00:14:02,760 今は 品川砲台だ。 いざっつう時は 126 00:14:02,760 --> 00:14:07,760 先人切って 黒船とも 戦わねばなんねえ。 ええ…。 127 00:14:07,760 --> 00:14:11,080 会津は強え。 んだげんじょ 128 00:14:11,080 --> 00:14:15,150 敵の力が なじょなもんか 分がんねえままでは 129 00:14:15,150 --> 00:14:17,490 戦いようもねえ。 130 00:14:17,490 --> 00:14:19,940 会津のためか…。 131 00:14:19,940 --> 00:14:24,800 そんだけじゃねえ。 俺が取りつかれてる。 132 00:14:24,800 --> 00:14:29,420 横浜で見で以来 頭の中は 黒船で いっぺえだ。 133 00:14:29,420 --> 00:14:32,960 さっきの子どもと同じだな。 134 00:14:32,960 --> 00:14:38,590 夢中になって ほかのものが目に入んねえ。 135 00:14:38,590 --> 00:14:41,450 分かりました。 では 私も参ります。 136 00:14:41,450 --> 00:14:44,900 えっ? お供します。 一緒に 黒船に乗りましょう。 137 00:14:44,900 --> 00:14:47,600 簡単に言うな。 捕まっと死罪だぞ。 138 00:14:47,600 --> 00:14:49,990 それは さっき 私が言った事です。 139 00:14:49,990 --> 00:14:52,560 第一 どうやって 乗船を 掛け合うつもりですか? 140 00:14:52,560 --> 00:14:54,690 覚馬さんの その下手くそな蘭語じゃ 141 00:14:54,690 --> 00:14:57,160 異国人には通じませんよ。 それは…。 142 00:14:57,160 --> 00:15:00,150 私だって 蘭学者の端くれです。 143 00:15:00,150 --> 00:15:03,050 西洋の技術の固まり この目で見てみたい。 144 00:15:03,050 --> 00:15:09,730 それに 覚馬さんと一緒なら うまくいくような気が致します。 145 00:15:09,730 --> 00:15:12,310 では決まりです! 出立は いつに致しましょう? 146 00:15:12,310 --> 00:15:14,850 ちっと待て。 もう止めても無駄です。 147 00:15:14,850 --> 00:15:16,980 ここに火が付きました。 148 00:15:16,980 --> 00:15:19,350 今すぐという訳には いがねえんだ。 149 00:15:19,350 --> 00:15:22,460 なぜです? ぐずぐずしていたら 気持ちが鈍ります。 150 00:15:22,460 --> 00:15:27,130 行ぐ前に やる事がある。 国禁を犯すのだからな。 151 00:15:27,130 --> 00:15:30,910 失敗して捕まった時に 会津に おとがめが あっちゃなんねえ。 152 00:15:30,910 --> 00:15:35,920 家の者に 累が及んでも いけねえ。 そうか…。 153 00:15:35,920 --> 00:15:40,910 藩を抜げる お許しが要んだ。 家も勘当してもらわねえど。 154 00:15:40,910 --> 00:15:43,990 黒船の事は秘したままで。 155 00:15:43,990 --> 00:15:49,450 さて なじょしたもんか…。 156 00:15:49,450 --> 00:15:52,520 うん? 何だ? 157 00:15:52,520 --> 00:15:59,060 覚馬さん 会津のために 会津を お捨てになるんですね。 158 00:15:59,060 --> 00:16:03,200 ばか言うんでねえ。 脱藩したって変わんねえ。 159 00:16:03,200 --> 00:16:06,600 俺は会津武士だ。 160 00:16:09,220 --> 00:16:15,920 (キジの鳴き声) 161 00:16:18,590 --> 00:16:26,190 その日 八重は 初めて 鳥撃ちの供を許された。 162 00:16:37,610 --> 00:16:40,200 (銃声) 163 00:16:40,200 --> 00:16:42,650 あっ 当だった! 164 00:16:42,650 --> 00:16:45,190 八重 落ちた鳥さ 拾ってこい。 はい! 165 00:16:45,190 --> 00:16:47,760 (徳造)んだら おらが。 いい。 八重が行げ。 166 00:16:47,760 --> 00:16:50,060 はい! 167 00:16:53,050 --> 00:16:59,050 お父っつぁま とうとう 鉄砲 教えてくれんべがな。 168 00:17:05,420 --> 00:17:08,820 (羽ばたく音) 169 00:17:20,920 --> 00:17:23,490 (鳴き声) 170 00:17:23,490 --> 00:17:25,590 (権八)そご どいてろ。 171 00:17:29,620 --> 00:17:33,120 (銃声) 172 00:17:48,580 --> 00:17:51,620 死んだか? 173 00:17:51,620 --> 00:17:54,710 はい…。 174 00:17:54,710 --> 00:17:59,730 息の根を止めたのは 鉄砲の弾だ。 175 00:17:59,730 --> 00:18:02,980 弾に急所さ 射ぬがれたら 必ず死ぬ。 176 00:18:02,980 --> 00:18:08,390 鳥も 獣も 人間もだ。 177 00:18:08,390 --> 00:18:12,660 鉄砲は武器だ。 殺生する道具だ。 178 00:18:12,660 --> 00:18:16,530 戦になれば 人さ 撃ぢ殺す。 179 00:18:16,530 --> 00:18:19,480 角場の的撃ちは 面白ぐ見えるかもしんねえ。 180 00:18:19,480 --> 00:18:22,590 んだげんじょ 的さ 撃ぢ抜ぐという事は 181 00:18:22,590 --> 00:18:28,190 すなわち 人間の心の臓さ 撃ぢ抜ぐっつう事だ。 182 00:18:28,190 --> 00:18:32,830 恐れる事を知らず 形だけ まねで いでは 183 00:18:32,830 --> 00:18:38,250 いづか 己の身が 鉄砲に滅ぼされる。 184 00:18:38,250 --> 00:18:44,510 んだがら 砲術やる者は 学問と技を磨がねばなんねえ。 185 00:18:44,510 --> 00:18:49,230 何より 立派な武士でなければ なんねえ。 分がんべ? 186 00:18:49,230 --> 00:18:52,210 はい…。 187 00:18:52,210 --> 00:18:55,570 わしは 山本家に婿に入り 188 00:18:55,570 --> 00:19:01,040 砲術の家の誉れど 重いお役目とを受げ継いだ。 189 00:19:01,040 --> 00:19:03,930 次は 覚馬と三郎が背負う。 190 00:19:03,930 --> 00:19:08,530 おなごの おめえには 到底 背負いきんねえ。 191 00:19:10,620 --> 00:19:17,010 二度と 鉄砲のまね事は すんな。 いいな? 192 00:19:22,630 --> 00:19:24,630 徳造。 へい。 193 00:19:26,570 --> 00:19:28,900 お嬢様…。 194 00:19:31,670 --> 00:19:34,220 (徳造)お嬢様。 195 00:19:38,490 --> 00:19:45,720 (機を織る音) 196 00:19:45,720 --> 00:19:48,770 (お吉)徳造さん ちぃと 手 貸してくなんしょ。 197 00:19:48,770 --> 00:19:51,370 ≪(徳造)おう! 198 00:19:51,370 --> 00:19:56,030 (機を織る音) 199 00:19:56,030 --> 00:19:58,630 どした? 200 00:20:01,100 --> 00:20:06,510 (佐久)これ 糸が…。 あ~。 あっ。 201 00:20:06,510 --> 00:20:10,790 ほれ…。 202 00:20:10,790 --> 00:20:14,990 こうして こう…。 203 00:20:19,820 --> 00:20:22,790 なあ 八重。 204 00:20:22,790 --> 00:20:28,590 糸繰りは 何のために やる? えっ? 205 00:20:28,590 --> 00:20:32,730 機を織るためだべ。 はい…。 206 00:20:32,730 --> 00:20:38,740 一家の着物を そろえるのは おなごの大切な役目だからなし。 207 00:20:38,740 --> 00:20:40,790 はい。 208 00:20:40,790 --> 00:20:47,330 んだら 鉄砲は 何のために やる? 209 00:20:47,330 --> 00:20:51,030 何のため? 210 00:20:51,030 --> 00:20:57,290 鉄砲撃づのは おなごの役目じゃねえ。 211 00:20:57,290 --> 00:21:03,600 それでも やんねばなんねえ訳が 八重には あんのがしい? 212 00:21:20,410 --> 00:21:26,670 (機を織る音) 213 00:21:35,460 --> 00:21:39,930 鉄砲をやる訳は…。 214 00:21:45,390 --> 00:21:47,390 ダン! (銃声) 215 00:22:23,230 --> 00:22:28,130 (川崎)奉行所からの呼び出しとは どういう事でしょうか? 216 00:22:28,130 --> 00:22:31,530 さてな。 217 00:23:10,120 --> 00:23:13,720 すぐに戻る。 218 00:23:26,760 --> 00:23:30,230 奉行所から 呼び出しが来たのです。 219 00:23:30,230 --> 00:23:32,630 奉行所…。 220 00:23:35,650 --> 00:23:41,320 半月前 寅次郎は 下田で黒船に乗り込み 221 00:23:41,320 --> 00:23:48,060 アメリカへの密航を企てた。 しかし 計画は失敗。 222 00:23:48,060 --> 00:23:52,360 (佐久間の声) 223 00:23:58,120 --> 00:24:04,430 (井戸)その送別の詩は その方が 吉田寅次郎に送ったもの。 224 00:24:04,430 --> 00:24:08,180 密航をそそのかした事 明白である。 225 00:24:08,180 --> 00:24:13,520 国禁を犯せし段 恐れ入るか。 226 00:24:13,520 --> 00:24:18,620 海外渡航を禁ずる法など もはや意味をなさぬ。 何? 227 00:24:18,620 --> 00:24:24,520 港を開いた今 諸外国の事情を 探索する事こそ急務。 228 00:24:26,880 --> 00:24:33,220 寅次郎 国を思い やむにやまれぬ心で 229 00:24:33,220 --> 00:24:37,130 渡航を企てたのでござる。 230 00:24:37,130 --> 00:24:43,080 それを 捕まえて罰する。 231 00:24:43,080 --> 00:24:47,180 なんたる大ばかか! 232 00:24:49,290 --> 00:24:52,290 (雷鳴) 233 00:24:56,090 --> 00:25:01,820 半年後 国元蟄居の判決が下り 234 00:25:01,820 --> 00:25:06,960 象山は松代に 寅次郎は萩に 235 00:25:06,960 --> 00:25:10,630 それぞれ 護送されていった。 236 00:25:28,960 --> 00:25:33,950 寅次郎さんに 先 越されちまったな。 237 00:25:33,950 --> 00:25:38,690 (川崎)はい。 238 00:25:38,690 --> 00:25:44,090 断固として 事を行う時 人は皆 狂気。 239 00:25:44,090 --> 00:25:50,390 あの人の命懸けに比べっと 俺は まだまだ半端だ。 240 00:25:52,320 --> 00:25:57,520 (川崎)みんな… 消えてしまいましたね。 241 00:25:59,790 --> 00:26:05,890 (覚馬)消えだ。 先生も 黒船も。 242 00:26:08,620 --> 00:26:11,650 (勝)よう! (覚馬)勝先生! 243 00:26:11,650 --> 00:26:15,120 何をしておいでです? こいつを取りに来たのさ。 244 00:26:15,120 --> 00:26:18,160 おいらの塾に掲げようと思ってね。 245 00:26:18,160 --> 00:26:21,630 象山先生は もう お戻りにならないのでしょうか? 246 00:26:21,630 --> 00:26:25,820 当分 無理だろうな。 首が 助かっただけでも もうけもんよ。 247 00:26:25,820 --> 00:26:30,120 これがらって時に…。 幕府は 大べらぼうよ! 248 00:26:30,120 --> 00:26:33,840 この国が変わるために 一番役に立つ人間を 249 00:26:33,840 --> 00:26:36,130 罪人にしちまった。 250 00:26:36,130 --> 00:26:40,770 けどよ… 日本という小舟は もう 251 00:26:40,770 --> 00:26:43,750 世界って海に こぎ出したんだ。 252 00:26:43,750 --> 00:26:49,060 今に誰もが 大手を振って 海を越えていくようになる。 253 00:26:49,060 --> 00:26:52,260 本当に来るんでしょうか? そんな日が。 254 00:26:52,260 --> 00:26:58,150 来る! いや… 俺たちが そういう時代を作るのさ。 255 00:26:58,150 --> 00:27:03,460 西洋の技術と 東洋の道徳でな。 256 00:27:03,460 --> 00:27:06,260 勝先生…。 257 00:27:08,360 --> 00:27:14,020 これから どうすんだい? よかったら おいらの塾に来なよ。 258 00:27:14,020 --> 00:27:16,120 今 野戦砲の鋳造を 請け負ってんだが 259 00:27:16,120 --> 00:27:18,190 手が足りなくて弱ってんだ。 260 00:27:18,190 --> 00:27:20,860 野戦砲ですか! 是非やらせてくなんしょ。 261 00:27:20,860 --> 00:27:23,660 よし 決まった。 262 00:27:25,730 --> 00:27:31,280 「海舟」か…。 どうだい? いい字だね。 263 00:27:31,280 --> 00:27:33,580 (2人)はい! 264 00:27:35,550 --> 00:27:44,600 翌年の安政2年 勝 海舟は 長崎の海軍伝習所に入所。 265 00:27:44,600 --> 00:27:50,300 やがて 日本の舵取り役として 頭角を現していく。 266 00:28:16,900 --> 00:28:21,650 (照姫)婚家を離縁されて 戻って参りました。 267 00:28:21,650 --> 00:28:29,650 申し訳ございませぬ。 また ご厄介になります。 268 00:28:32,230 --> 00:28:36,720 (容保)姉上の育った屋敷です。 269 00:28:36,720 --> 00:28:41,320 ゆるりと過ごされ お疲れをお取り下さい。 270 00:28:41,320 --> 00:28:44,320 ありがとう存じます。 271 00:28:54,180 --> 00:29:02,940 (容保)「今日よりは 君がもとぞと 庭の松」。 272 00:29:02,940 --> 00:29:05,030 (照姫)それは…。 273 00:29:05,030 --> 00:29:08,430 姉上が贈って下さった歌です。 274 00:29:12,680 --> 00:29:21,840 また 歌会を開きましょう。 父上がいらした 昔のように。 275 00:29:21,840 --> 00:29:24,810 はい…。 276 00:29:24,810 --> 00:29:28,200 (敏姫)姉上様。 277 00:29:28,200 --> 00:29:30,550 お敏様。 278 00:29:30,550 --> 00:29:34,060 また 仲良うして下さりませ。 はい。 279 00:29:34,060 --> 00:29:38,530 兄上は 近頃 少しも相手をして下さらぬので 280 00:29:38,530 --> 00:29:41,810 敏は 寂しゅうございました。 281 00:29:41,810 --> 00:29:45,920 姉上が お戻りになられて うれしゅうございます。 282 00:29:45,920 --> 00:29:50,920 あっ… 喜んでは いけませんね。 283 00:29:55,630 --> 00:30:06,830 (照姫の声) 284 00:30:51,450 --> 00:30:54,150 [ 回想 ] (照姫)あの子は誰? 285 00:30:54,150 --> 00:30:59,560 (滝瀬)銈之允君にござります。 姫様の弟君として 286 00:30:59,560 --> 00:31:04,710 会津松平家に 養子に入られたのですよ。 287 00:31:04,710 --> 00:31:08,080 私の弟…。 288 00:31:08,080 --> 00:31:12,390 照にございます。 私も 4年前 289 00:31:12,390 --> 00:31:16,060 保科家より こちらに参ったのです。 290 00:31:16,060 --> 00:31:21,680 仲良う致しましょうね。 (銈之允)はい。 291 00:31:57,400 --> 00:32:11,260 (馬子唄) 292 00:32:28,150 --> 00:32:31,930 変わんねえな 磐梯山は。 293 00:32:31,930 --> 00:32:37,690 山は 動がねえがらっし。 お侍様 会津は久しぶりがし? 294 00:32:37,690 --> 00:32:42,390 ああ 長え事 江戸に いだがらな。 295 00:32:44,560 --> 00:32:48,580 帰ってきたぞ 会津に。 296 00:33:17,300 --> 00:33:19,400 (佐久)八重! 297 00:33:27,240 --> 00:33:30,590 (にぎわう声) 298 00:33:30,590 --> 00:33:34,900 (覚馬)やげに にぎやがだな。 (馬子)米蔵に 俵 運んでんだべ。 299 00:33:34,900 --> 00:33:42,190 あ~ 子どもだちの力比べか。 ちぃと すまねえなし。 300 00:34:05,630 --> 00:34:10,100 また 担いだ。 てえした力持ちだ。 301 00:34:16,150 --> 00:34:19,710 あっ さすけねえが? 302 00:34:24,210 --> 00:34:26,280 (見物人たち)お~! 303 00:34:26,280 --> 00:34:30,520 またまた 持ち上げた。 たまげだ娘だ。 304 00:34:30,520 --> 00:34:33,890 八重! 305 00:34:33,890 --> 00:34:36,190 兄つぁま? 306 00:34:39,560 --> 00:34:42,460 お帰りなんしょ! おう! 307 00:34:45,580 --> 00:34:49,120 (覚馬)しかし たまげだ。 八重は てえした力持ちだ。 308 00:34:49,120 --> 00:34:52,420 両国の見せ物より まだ すげえ。 力では ねえ。 309 00:34:52,420 --> 00:34:56,660 俵は 呼吸で持ち上げんだし。 腰を こう入れで…。 310 00:34:56,660 --> 00:34:59,110 (佐久)あ~ 男の子みたいな まねして。 311 00:34:59,110 --> 00:35:04,050 そったら事では 土産のくしが似合わねえがら。 312 00:35:04,050 --> 00:35:09,350 (覚馬)おう よぐ似合ってる。 ありがとなし。 313 00:35:11,290 --> 00:35:13,290 (佐久)お吉! (お吉)へい。 314 00:35:15,300 --> 00:35:19,080 (権八)江戸での学問の事は ご重役の耳にも入ってる。 315 00:35:19,080 --> 00:35:23,090 にしが 日新館の砲術教授方に 取り立てられるのは 316 00:35:23,090 --> 00:35:25,520 まず 間違いねえ。 そうがし。 317 00:35:25,520 --> 00:35:34,350 これで 砲術の家の面目も立づし わしも 肩の荷が下りるぞ。 ハハハ。 318 00:35:34,350 --> 00:35:38,650 (三郎)兄つぁま! おう 三郎か! 319 00:35:40,720 --> 00:35:44,690 江戸でのお勤め 御苦労さまで ごぜえやした。 320 00:35:44,690 --> 00:35:50,820 挨拶も もう一人前だな。 江戸に 出た時は こんな ちっこくて 321 00:35:50,820 --> 00:35:53,890 八重の後ろに こそこそ 隠れでたが…。 322 00:35:53,890 --> 00:35:57,490 ありがとうごぜえます。 (佐久)今では 什の仲間と 323 00:35:57,490 --> 00:36:01,230 毎日毎日 暴れ回ってる。 324 00:36:01,230 --> 00:36:04,960 父上から 砲術も 習い始めたそうだな? 325 00:36:04,960 --> 00:36:08,120 はい。 (覚馬)んだら これは分がっか? 326 00:36:08,120 --> 00:36:15,060 火薬さ 作るのに 硝石1貫目に 硫黄 何匁 入れる? 327 00:36:15,060 --> 00:36:20,480 硝石が1貫目… え~と…。 328 00:36:20,480 --> 00:36:23,850 分がんねえか。 200…。 329 00:36:23,850 --> 00:36:27,050 215匁! 330 00:36:32,320 --> 00:36:34,620 なして 八重が知ってる? 331 00:36:36,390 --> 00:36:42,150 (佐久)さで 明日にでも 親戚中に知らせて お祝いを…。 332 00:36:42,150 --> 00:36:46,300 私 砲術さ 習いでえのです。 333 00:36:46,300 --> 00:36:49,520 えっ? (権八)よさねえか。 334 00:36:49,520 --> 00:36:51,810 何の話だ? 335 00:36:51,810 --> 00:36:54,960 お父っつぁまには 叱られるし 336 00:36:54,960 --> 00:36:59,260 おなごのやる事でねえのも よ~ぐ分がってる。 337 00:37:05,840 --> 00:37:08,840 んだげんじょ やっぱり やりでえ。 338 00:37:08,840 --> 00:37:14,870 砲術の事 知りでえ。 鉄砲 撃ってみでえ。 339 00:37:14,870 --> 00:37:19,520 兄つぁまや三郎ど同じように 砲術の家に生まれで 340 00:37:19,520 --> 00:37:23,020 私だけ やれねえのは悔しい。 341 00:37:25,110 --> 00:37:29,160 お父っつぁま! 兄つぁま! 342 00:37:29,160 --> 00:37:33,950 私に 砲術さ 教えてくなんしょ。 343 00:37:40,830 --> 00:37:47,070 子どもの戯言と 昔は聞ぎ流しておりやしたが 344 00:37:47,070 --> 00:37:51,220 ずっと考えでいだどは…。 345 00:38:03,530 --> 00:38:06,730 (落ちる音) 346 00:38:25,790 --> 00:38:32,490 これ 八重が? 昔 叱って 取り上げだげんじょ 347 00:38:32,490 --> 00:38:37,880 親の目盗んで 今でも 続げでんのは分がってた。 348 00:38:37,880 --> 00:38:41,300 子どもの絵でも 勘どころは つかんでる。 349 00:38:41,300 --> 00:38:45,820 一づも教えねえのに 天性っつうもんだべ。 350 00:38:45,820 --> 00:38:50,510 やっぱり 鉄砲の家の娘だ。 351 00:38:50,510 --> 00:38:56,370 八重は 力もある。 胆力でも 男に負げねえ。 352 00:38:56,370 --> 00:38:59,790 仕込んだら ものになんべ。 353 00:38:59,790 --> 00:39:05,060 んだげんじょ それが 何になんだ。 354 00:39:05,060 --> 00:39:09,100 今でせえ 世間並みがら 外れたおなごだ。 355 00:39:09,100 --> 00:39:15,450 この上 鉄砲なんぞやったら 物笑いの種だ。 356 00:39:15,450 --> 00:39:20,220 ヘボならば まだいい。 いい腕になったら 困んだ。 357 00:39:20,220 --> 00:39:24,860 おなごが鉄砲の腕 振るう場所は どごにも ねえ。 358 00:39:24,860 --> 00:39:30,520 いずれ 切ねえ思いする。 359 00:40:10,370 --> 00:40:13,800 (覚馬)八重も同じだ…。 360 00:40:13,800 --> 00:40:16,860 やむにやまれず描いでる。 361 00:40:21,220 --> 00:40:24,360 (鳥の鳴き声) 362 00:40:32,000 --> 00:40:36,100 (覚馬)おい! ちっと来い。 はい。 363 00:40:51,370 --> 00:40:54,450 構えでみろ。 364 00:40:54,450 --> 00:40:58,040 えっ? いいがら 早ぐ! 365 00:41:23,760 --> 00:41:27,100 重いが? 366 00:41:27,100 --> 00:41:29,350 はい。 367 00:41:29,350 --> 00:41:32,650 それが鉄砲の重さだ。 368 00:41:34,580 --> 00:41:39,800 命のやり取りする 武器の重さだ。 369 00:41:54,760 --> 00:41:58,050 にしは侍の娘だ。 370 00:41:58,050 --> 00:42:03,300 始めっと決めだら 極めるまで 引ぐ事は許さねえ。 371 00:42:03,300 --> 00:42:06,620 弱音 吐ぐ事も許さねえ。 372 00:42:06,620 --> 00:42:09,830 また 極めたところで 373 00:42:09,830 --> 00:42:13,530 誰が褒めでぐれる という事も ねえ。 374 00:42:15,620 --> 00:42:19,820 嫌なら 今すぐ 銃を置げ。 375 00:42:23,490 --> 00:42:27,290 覚悟は いいな? はい! 376 00:42:31,680 --> 00:42:35,250 (川崎)覚馬さんの文に 会津で 蘭学所を開くとありましたので。 377 00:42:35,250 --> 00:42:38,760 (覚馬)語学に砲術 舎密術 医術も教える。 378 00:42:38,760 --> 00:42:41,790 おなごが 鉄砲 撃づのが そんなに おかしいべか? 379 00:42:41,790 --> 00:42:44,000 (簗瀬)お家の軍制に 380 00:42:44,000 --> 00:42:47,570 砲術指南風情が 口を挟むものではない。 381 00:42:47,570 --> 00:42:50,220 (内蔵助)下がれ。 382 00:42:50,220 --> 00:42:53,720 (覚馬) 殿は黒船を よくご存じだ。 383 00:42:53,720 --> 00:42:57,790 弓矢で戦うだの 蘭学は要らぬなど。 384 00:42:57,790 --> 00:43:00,290 まるで「井の中の蛙」だ! 385 00:43:00,290 --> 00:43:06,750 <真田10万石の城下 長野市 松代。 386 00:43:06,750 --> 00:43:13,820 幕末の思想家 佐久間象山は この町で生まれました。 387 00:43:13,820 --> 00:43:18,680 生家跡に創建された象山神社は 388 00:43:18,680 --> 00:43:23,780 学問の神様として 地元の信仰を集めています> 389 00:43:25,720 --> 00:43:28,720 <勝 海舟や吉田松陰など 390 00:43:28,720 --> 00:43:34,510 時代を担う若き志士たちに 大きな影響を与えた象山。 391 00:43:34,510 --> 00:43:37,820 西洋の科学技術を熱心に研究し 392 00:43:37,820 --> 00:43:43,150 電信実験や写真機の開発などを 行ったといわれています。 393 00:43:43,150 --> 00:43:49,330 松陰の海外密航を 促したとして 394 00:43:49,330 --> 00:43:52,630 象山は 松代での蟄居を 言い渡されました> 395 00:43:55,850 --> 00:44:00,650 <しかし その知恵を求めて 来客が絶えず 396 00:44:00,650 --> 00:44:07,090 高杉晋作とも ここで 朝まで 議論を交わしたといいます。 397 00:44:07,090 --> 00:44:11,520 「開国して 欧米の文化を吸収すべきだ」。 398 00:44:11,520 --> 00:44:14,940 象山の目は 信州の山々を越え 399 00:44:14,940 --> 00:44:17,640 世界を見据えていました> 400 00:45:24,860 --> 00:45:28,030 (大西水樹)おばあちゃん 脱走したんだって? 34254

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