All language subtitles for 未解決の女~警視庁文書捜査官~2nd#01

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Original subtitles

(リポーター)ただ今 テレビ局の前に来ております。

今朝 不倫の報道をされた有田さん 直撃したいと思います。

来たぞ!

有田さん 今朝の不倫の報道は 本当ですか?

(有田賢太郎)通してください! 急いでるんですよ!

(リポーター)相手の女優さんについて 伺いたいのですが。

(リポーター)すでに別居なさっている というのは 本当でしょうか?

奥様は離婚を検討されていると 噂もございますが。

(有田)ああ… そうですよ!

こっちは 結婚20年だっていうのに→

あんたらマスコミが 騒ぎ立ててくれたおかげで→

離婚寸前だ!

「離婚寸前!」

「どうだ? これで満足か?」

(リポーター)奥様に 何か ひと言ありませんか?

ひと言… ひと言 ありませんか?

有田さん ひと言だけ お願いします!

ああ うるせえな! 不倫ぐらいで 本当に…。

どっかホテル用意して。 どこでもいいから。

〈この2日後…〉

♬~

〈ワイドショーのコメンテーター としても人気だった→

売れっ子弁護士 有田賢太郎が→

宿泊先のホテル近くの道で 遺体となって発見される〉

〈遺体の周辺には 破られた紙片が散乱していた〉

〈鑑識によって張り合わされた その紙片は→

奇妙な一文を残していた〉

有田さんの奥さん お話 聞かせてくださーい!

〈警察は 有田の家族や 勤務先の法律事務所→

愛人だった女優などから 事情を聞き…〉

(遠山夏希)許されない恋って わかってたんですけど…→

好きって気持ちが 止められなくて…。

なんで死んじゃったの?

〈また 有田に恨みを持つ 人物などを探ったものの→

有力な被疑者を 特定する事はできず→

事件は未解決のまま→

捜査の歯車は 止まってしまった〉

〈その歯車が 再び動き出すのは→

5年後の事である〉

(よしお)ああ…。

(すする音)

≫(怒鳴り声) ≫(犬の吠える声)

≫(犬の吠える声)

(よしお)うん…? ≪(うめき声)

♬~

(よしお)ひ… 人が燃えてるよ!

(よしお)ひ… 人が燃えてるよ!

燃えてる!

誰か… 誰か… 誰かっ!

〈2020年 ここ警視庁では…〉

(審判)技あり!

始め!

♬~

一本! そこまで!

ウシッ!

勝ち。

ありがとうございました。 ありがとうございました。

(拍手)

やだ… やるじゃない。

♬~

今 誰か いたような…。

〈矢代朋は 相変わらずであるが→

矢代朋と関わりのある ある人物が昇進を決めていた〉

〈それは…〉

〈残念ながら この人物ではない〉

〈また この人物…→

でもない〉

(くしゃみ) どうぞ。

ああ どうもありがとう。

いやあ いい噂だといいんだけどね。

ああ 財津さん あの 噂といえば…。

焼死体?

(岡部 守)ああ 丸焦げだよ 指紋も採れないほど。

(岡部)だけど 燃えかけの免許証で 身元がわかったんだ。

現場から逃げ去る男が 目撃されていて→

そいつが 被害者に 火をつけた可能性が高い。

なるほど。 で 被害者は?

名前は 幸坂達治 52歳。

建築現場の日雇い労働者で→

東多摩川河川敷近くのアパートに 一人暮らし。

お疲れさまです。 お疲れさまです。

(岡部の声)部屋は いかにも独身男って感じで→

冬用の電気ストーブなんかも 出しっぱなし。

ただ そこに…→

一枚の紙が落ちていた。

紙? 文書が見つかったの?

そういう事。 ほら これ。

「もーいちど ころす しょーしたい」

つまり 焼死体となって殺された 被害者の家に この→

「しょーしたい」のメッセージが 残されていたって事?

ああ。 でも…→

それだけじゃないわね 草加さん。 ああ。

5年前の… 2015年か。

5年前?

先輩も草加さんも 何を探してるんですか?

(財津)ほら 矢代くんも覚えてるかな?

その頃 しょっちゅう テレビに出てた→

あの なんとかという ほら あの弁護士が殺された…。

そう! それです。 あの若い女優と 不倫していた あの…!

不倫? 不倫か…。 自分 そういうネタには疎くて。

いや 知らないのかよ!? ご意見番の弁護士って感じで→

調子良くコメンテーターとか やってたのが→

調子に乗って 若い美人に手ぇ出して→

長年連れ添った奥さん 裏切って かと思ったら 殺されたっていう。

詳しいな 岡部くん…。

2015年 弁護士 不倫。

あっ! この人…→

確か 自分が まだ板橋西署の所轄にいた頃に→

港区で殺された…。 そう! その弁護士だよ!

いかにもって顔してるだろ。 (財津)まあ 顔は ともかく→

その弁護士の殺害現場でも 発見されたんだよ→

その紙と全く同じ文章がね。

これと同じ文章?

草加さん あれ。 お願いできる?

よいしょ。

♬~

これだわ。

「もーいちど ころす しょーしたい」 本当だ!

5年前の この有田殺しでは→

現場にメモが残されていた事は 公表されたが→

その内容までは公表していない。 そうね。

それに 犯人どころか この残されたメモが→

殺された弁護士 有田の ダイイングメッセージなのか→

それとも 有田を殺した犯人が 残したものなのかも→

解明できなかった。 なるほど。

しかし 今回の殺害事件で→

この 警察以外非公表だった文字と 同じメッセージが→

残されているという事は→

この2つの事件 明らかに関連性が あるのではないでしょうか?

ああ。 いや でも…→

5年前に殺されたのは 弁護士で→

昨日 殺されたのは 日雇い労働者だ。

住んでいる地域も違うし 全然 接点が見つからなくて…。

で 鍵となるこの文章を 解読しろと?

はい。 解読しろ!

あっ いや… 解読して頂きたいと 桑部さんが…→

あっ いや… 係長が。

係長か。 (財津)フッフッフッ… まさかね→

川奈部くんが管理官に昇進して→

あの桑部くんが→

強行犯5係の 係長になるなんてね…。

(岡部の声) そうなんですよ!

もう なんか 内心 張り切っちゃってるみたいで→

新しいサングラス買って→

「ええか? これからは 俺の事 係長と呼べ」なんて。

へえ~。 嫌ね…。

管理職になると細かいタイプ? (草加の声)ああ。

それにしても 5年前の未解決事件 しかも こんな文書が絡むなんて。

これって ものすごく→

我々6係のためにあるような 事件ですよね?

…いいえ 違います!

我々のために 事件があるのではなく→

事件があるから 我々がいるのです。

何? また一人で燃えちゃって。

先輩 早速 捜査を始めましょう!

いや ちょっ… ちょっと待てって。

事件の捜査は 俺たち強行犯の仕事。

倉庫番… あっ いや 特対の6係に やってもらいたいのは→

この文書の謎を解く事だけ!

…ですから。 (財津)そうだよね。

いつものとおり この地下を管理する我々には→

そう簡単には 捜査はさせてもらえないだろうな。

ええ。 そろそろ聞こえてきそうね→

今年も一課長になれなかった あの腹黒さんの声が…。

(古賀清成)魔女め!

何が何になれなかったって?

あっ その声は…!

室長 いつから そこに? なんだ?

俺が ここにいて 何が悪い? 目力!

俺のものは 俺のもの。

俺の特命捜査対策室の この倉庫も そこら中にある文書も無論→

全て…。

どけ。 あっ はい。

俺のものだ。

おお… 今日も 立派なジャイアニズムですね。

ジャイアニズム? やだな 知らないの?

ジャイ…。 ジャイアニズムとは→

とある国民的人気アニメに 出てくる→

「お前のものは 俺のもの 俺のものも 俺のもの」という→

大柄な小学生による→

極端なまでに 自分本位主義である思想を→

揶揄した表現よ。

何よ… そんなに 私たちの事が気になるわけ?

(財津)いやいや いやいや… 室長 我々は まだ何も捜査など…。

捜査を許可しよう。

はっ!? (財津)はっ… はい?

倉庫番… いや 6係に捜査を許可します。

このメモの謎を解き→

我々の5年前の事件の再捜査に 協力しろ!

い… いいんですか? しかし どうして…。

なんだ? なんか理由が必要か? 目力。

文書の調査も→

お前らの仕事の一環だろうが。 えっ?

しかし 気になります。

そんな 急に認められると…。 (岡部)何 照れてるんだよ。

でも 確かに怪しいわ。 どうせ 政治絡みの何か…。

うるさい!

友達だったんだよ。

今回の被害者は 俺の高校時代の同級生だ。

同級生?

〈凶悪事件の時効廃止に伴い 作られた→

警視庁 特命捜査対策室 その6係〉

〈文字から真実を暴く刑事たちが 未解決事件に挑む〉

この人が幸坂さんか…。

幸坂は人気者でな→

演劇部とテニス部を兼任してたよ。

(財津)演劇部とテニス部って 随分珍しい組み合わせですね。

コンクールで 優勝した事もありましたよ。

いいなあ…。 うちの学校の演劇部なんか→

男子部員がいなくて 困ってましたよ。

一度なんか 男子役で出てくれとか言われて。

男子役?

へえ~ いいじゃない。 宝塚みたい。

どんな役だ? アラビアの王子様の役です。

砂漠で盗賊に襲われてた 金髪の女性を助けて…。

アラビアの王子様…。

ちょっと興味は あったんですけれど→

柔道部の大会も ちょうど重なってたんで→

お断りしました。 あら 残念。

(草加)ああ。 (岡部)矢代が王子様…。

おい!

お前の高校時代の思い出話なんて どうだっていいんだよ!

はい…。 すいません!

どけ! はい。

いいか? 5年前の弁護士殺人事件→

そして 昨日起きた 東多摩川河川敷焼死事件→

この2つの現場に残された 奇妙な同じ文言のメッセージ→

これが偶然のはずがない! はい そのとおりです。

5年前 未解決だった 弁護士 有田の殺しを洗い直せば→

必ず 今回の幸坂の事件に たどり着くはずだ。

俺は なんとしてでも 犯人を見つけ出す…。

そこで 6係には→

このメッセージの謎を 解いてほしいんです。

承知しました! ねえ? みんな。

はい! お任せください。 よーし スラッとマジメ→

上で 事件の詳細 もう一度 詳しく聞かせろ。

(岡部)はい! あっ…。

何かわかったら 古賀室長だけじゃなくて→

俺たちにも ちゃんと教えろよ。 いいな?

≪おい マジメ! はい!

しかし 驚きましたね。

古賀室長が じかに捜査の許可を出すなんて。

懐かしい友達が こんな形で亡くなって→

よほど ショックだったんでしょうか。

(財津)えっ もう行っちゃうの? はい。

書類の整理は? 戻ってから 必ずやります。

せっかく 室長が期待してくれているんで→

頑張らないと。 いってきます!

(財津)ああ 行っちゃったよ。

でもね あの 一見 考えなしに見える行動でも→

真実のかけらを拾ってくる事も ありますからね。

ええ。 どうかしら?

マイペースにも ほどがあるわ。

よーし!

今回 発見された メッセージは→

MS明朝体。

パソコンで 出力したようです。

筆跡がわからないようにした 可能性もあるな。

5年前の こちらの文字は 手書き。

(財津)なんか よろよろした字だね。

ええ。 でも だからといって→

字を書き慣れない子供が書いた 文字というわけでもなさそうです。

だとしたら…。 こっちも→

筆跡がわからないように わざと ふらついた字を書いたのか→

それとも 他に何か理由があるのか?

(宗像利夫)ここは もう 強行犯が 十分に捜査しているはずです。

我々は 5年前の事件を 追ったほうがよいのでは…。

わかってるよ!

(ため息)

幸坂…。

古賀室長!

ああ… なるほど。 現場は ここですね。

はい?

目力 なんで お前が ここにいるんだよ?

(宗像)目力?

室長補佐も2係の皆さんも お疲れさまです!

自分 普段は地下におりますので あまり→

ご存じないかもしれませんが 6係の矢代と申します。

うん 名前はいいが なぜ 目力?

いいんだよ! お前らの 初顔合わせなんかどうだって。

すいません。 目力!

俺はな なんで お前が現場に 来てるんだって聞いてるんだよ。

いや それは 状況を知ろうと…。

(桑部) よく思い出してくださいって。

亡くなった男性が 何を叫んでいたのか。

ちょいちょい… わかった。 それそれ…!

これ。 おっ どら焼きか!

そう そう…。 甘いもん食べるとね 頭 働くから。

あれは桑部さん? いや… 桑部係長!

はあ? なんで 矢代が…。 しかも 古賀さんまで。

はっは~。

どけ!

捜査一課第三強行犯5係 係長が 自ら捜査とは→

ご苦労な事じゃないですか。

いやあ これは これは 古賀さんこそ→

特対の室長自らお出ましとは 一体 なんのご用ですかな?

《わざわざ 俺らのシマに 何しに来たんだ? この野郎》

いえね 5年前の未解決事件との 関連性を探りに。

《フンッ… ちょっと昇進したからって→

でかい態度じゃないか この野郎》

いやあ それはそれは 下の者まで たくさん連れて大層な事だ。

こっちは もう 若い者が粘りがなくて→

おちおち 椅子にも座ってられませんよ。

《フンッ! また こっちのシマまで荒らして→

点数稼ごうって魂胆だな この野郎!》

椅子… 椅子ねえ。 フッフッフッフッ…。

《椅子って こいつ→

さりげなく 昇進したのを 自慢しているつもりか?》

《俺は室長だ。 お前ら係長レベルよりも→

ずっと立派な椅子に 座ってるんだよ。 この野郎…!》

なんだか 2人の心の声が 聞こえる気がする。

(よしお)あっ! 思い出した!

どうしました? 何か思い出したんですか?

(よしお)ここで飯を食ってる時に 聞こえてきたのは→

サイレントなんとかって…。

確か… サイレントなんとかっていう→

そんな怒鳴り声だった。

サイレントなんとか?

はい サイレントなんとかっていう→

大きな叫び声が 何度も聞こえて…。

「それで 現場に見に行ったら→

被害者の幸坂さんが 燃えていたそうなんです」

サイレント… サイレント…。

(草加)そういえば SILENT SIRENっていう→

原宿発祥のガールズバンドがある。

詳しいね 草加くん。 (草加)いや…。

でも 言葉の謎解きなら 今は手いっぱいよ。

こっちのメッセージの謎だって まだ ちっとも進んでない。

(財津)そうだよね。 こっちの第一の可能性は→

この 「もう一度 殺す 焼死体」だよね。

ええ 実際に この幸坂は 焼死体となって殺されています。

それを考えると この言葉は→

連続殺人の予告だった 可能性がある。

なるほど… 「もう一度 殺すぞ 次は焼死体で」→

という予告という事ですか。

しかし 予告して 5年後に殺すというのは→

だいぶ時間が経ちすぎている 気がしませんか?

わかってるわよ! そんな事。

それに こう 「しょうしたい」の 「う」を書かずに→

ここが伸ばし棒なのも気になる。

(財津)その点から考えると この「しょー」は→

劇や発表会の「ショー」だとして→

「もう一度 殺す ショーがしたい」 と読む可能性もあるな。

しかし 生身の人間を焼き殺す っていうのは→

かなり猟奇的だよね。

(財津)「つまり 犯人は これらの殺しを→

一種の殺人ショーと考えている 可能性もあるな」

なるほど…。

しかし そうだとしても 殺すのが5年後というのは→

やはり 時間が経ちすぎているような…。

わかってるわよ! そんな事。 わかってるけど→

他に考えようがないから 困ってるんじゃないの。

で そっちは どう? 室長は動いてるんだよね?

ええ 古賀室長たちは→

5年前に殺された 有田さんの働いていた→

法律事務所や芸能事務所で→

有田さんと幸坂さんの接点を 探していますが→

訴訟の記録にも 芸能関係の交遊録を洗っても→

幸坂さんに関する名前は 出てこなかったそうです。

つまり そちらも まだ関連性が見つからないと。

矢代 お前 今 どこだ?

おっ? このいい声は…。

俺も すぐに行く。 ちょっと 引っかかる事がある。

はい?

こっちだな。 はい。

それにしても 夏だというのに→

どうして 暖房が2つもあるんでしょう?

(岡部)季節ごとに出したり しまったりするのは→

面倒くさいもんなんだよ 男ってのは。

なあ? 多部。 (多部和樹)ああ… はい。

(岡部)ほら 多部 コンロの裏も調べておけよ。

いいなあ 後輩…。 何よ 先輩ぶっちゃって!

先輩なんだから 当たり前だろ!

まあ お前は 6係にいる限り→

先輩になる事は 永遠にないだろうけどな。

えっ ないの!?

…ないかも。

暖房器具は まだいいんだよ。 気になったのは これだ。

水槽? 随分大きいですね。

これ 中身は? (岡部)発見された時から 空だ。

中で魚や生き物を飼育していた 形跡はないそうです。

そっか。 だったら なぜ こんな大きな…。

あっ 本棚! 失礼しま~す。

(多部)えっ 本棚?

ガイシャの本棚チェックは 文書捜査の基本ですから。

へえ~! (岡部)感心するな。

お前 こっち! (多部)すいません…。

他に 何かわかった事は?

隣人の話によると 感じは良かったそうです。

(携帯電話の振動音) すいません…。

(携帯電話の振動音)

はい 岡部。

あっ… 桑部さん。 あっ いや あっ いや 係長!

あっ はい! はい!

幸坂さん 高校の演劇部でしたっけ?

今でも 演劇に 興味があったみたいですね。

ん…?

「劇団琥珀座 第44回公演」

舞台を見に行っていたのか。

あっ これ この琥珀座って…!

ああ 5年前に亡くなった弁護士 有田賢太郎の不倫相手は→

確か この劇団の若手女優だった。

劇団琥珀座…。

この劇団に 2つの事件の繋がりが あるのかもしれません。

(草加)劇団琥珀座は→

文明座や万葉座に並ぶ 老舗の有名劇団だ。

5年前 タレント弁護士 有田との 不倫騒動で→

突然 脚光を浴びた遠山夏希は そのスキャンダルを逆手に→

劇団の公演『ハムレット』で オフィーリア役に抜擢。

(夏希の声) 見るも無残な あのお姿。

そして 私は 誰よりも惨めで哀れな女。

今の思いに胸潰るるとは…。

(草加の声)世間から バッシングを受けたが→

交際相手の有田が 殺された事によって→

スキャンダル女優から 悲劇のヒロインになった。

そして その演技が絶賛され→

今や 劇団の看板女優に なっているらしい。

なるほど。 きれいな方ですね。

(ドアの開く音) ≪(夏希)あの…。

警察の方ですか? はい。

はじめまして。 遠山夏希と申します。

えっ 幸坂さんが?

幸坂さんを ご存じなんですか?

ええ。 幸坂さんは ここの事務をしていて…。

劇団の事務を?

それじゃあ 5年前に亡くなった→

あなたの交際相手の 有田賢太郎さんと→

ここで働いていた幸坂さんは 何か関係があったんですか?

賢ちゃんと幸坂さんですか? (草加)はい。

(夏希)関係なんてないですよ。 …ないと思います そんなの。

賢ちゃんは…。

有田賢太郎さんには 今でも感謝しています。

テレビ局の人と うちの舞台を見に来て→

まだ駆け出しだった私に 目をかけてくれたんです。

「君には才能がある。 絶対 いい女優になれる」って…。

すごく嬉しかった…。

本気で愛していました。

だから 奧さんがいても 愛人でも 全然それでよかった。

へえ~。 そういうものですか。 シッ!

あの… それじゃあ あなたは 幸坂さんとは?

面識はありますけど→

親しかったわけではないので よく知りません。

でも まさか焼死なんて…。

そんなの 克子先輩と同じじゃない。

克子先輩?

「克子先輩と同じ」というのは どういう意味ですか?

実は…。

♬~

(岸川 登)達治…。

なんで こんな死に方を…。

(岡部)あの人は?

ガイシャの従兄だそうです。 他に身寄りがなくて→

従兄のあの人が 静岡から 遺体の引き取りに来たそうで。

へえ~。 わざわざ…。

(泣き声)

(岸川の声)5年前の冬です。

達治の奧さんの克子さんが 急に倒れて…。

(桑部)5年前? 2015年ですね。

なぜ倒れたんです?

(岸川)克子さんは 琥珀座という劇団の女優でした。

女優?

稽古が終わったあと 一人で練習していて…。

うっ…!

どうしました? どうしたんですか?

あっ 克子さん!

(医師)残念ですが 頸椎不全損傷です。

そんな…。

(夏希の声)克子先輩は… 原因はよくわからないのですが→

右半身に 麻痺が残ってしまいました。

麻痺? はい。

うちの劇団の 看板女優だったのに…。

つらかったと思います。

克子先輩 絶対に復帰するって 一生懸命 リハビリをして→

幸坂さんも 会社を休みながら そんな奧さんを支えていました。

それなのに 幸坂さんの家が火事になって…。

(岡部の声)その日 幸坂達治さんは 夜勤で自宅にいなかった。

それで 不自由な体で 一人 逃げ遅れた克子さんは→

そのまま 帰らぬ人となったんですね。

はい。

5年前の火災取り扱い簿を調べろ。 (多部)はい。

(桑部)で 出火の原因は?

タバコの火の不始末だと。

タバコ? (岸川)はい。

確かに克子さんは喫煙者でした。 でも…。

(幸坂達治)お願いします。 なんとか もう一度…。

(岸川の声)達治は 彼女がタバコを吸うはずないと→

文句を言ってました。

克子さんは倒れて以来 医者の指示で禁煙していた。

「もう一度 舞台に立つためなら 禁煙ぐらい なんて事はない」と…。

でも 検証結果が 変わる事はなかった。

そうでしたか…。

それなのに 幸坂達治さんまで こんな亡くなり方をするなんて…。

(桑部)捜査には全力を尽くします。

この幸坂達治さん殺害事件は→

別の事件と関連している 可能性もあります。

別の事件? (岡部)ええ そうです。

そちらの事件は 別の部署が 捜査に当たっています。

陣頭指揮を執っている者は→

幸坂さんの事を よく知っているそうです。

えっ… 知ってる?

(桑部)それで 古賀さん いつにも増して→

気合が入ってるのか。 なんなら 今 ここに…。

あっ いえ…。 今日は戻らないと。

えっと…。

♬~

(草加)亡くなった幸坂達治は 妻の克子さんが倒れて以降→

リハビリに付き合うなど 仕事を休みがちになり→

火事のあとには退職してる。

(財津)そんな幸坂さんを見かねた 劇団の人が→

事務の仕事を紹介した という事だそうで。

そうか…。

しかし その事務の仕事も 半年前に辞めて→

それから 日雇いの労働を していたそうです。

自宅には 書きかけの履歴書も 何枚か残されていました。

そうか…。 克子さんの亡くなった火災は→

放火などの事件性が なかったために→

大きな話題には なりませんでした。

克子さんも 看板女優とはいえ 一般的には知名度も低く→

大きなニュースになる事は…。 そうか…。

そうか… 吉田は幸坂と結婚してたんだ。

よ… 吉田? あっ 幸坂克子の旧姓だ。

はあ… 近頃は なんだか 病気だとか→

親の介護をしていたら 今度は自分がなんて話ばっかり→

聞くようになったけど→

まさか 吉田まで死んでたなんて…。

克子さんも 室長の同級生なんすか?

後輩だよ。

旧姓 吉田克子は 演劇部の看板女優だった。

演劇部にも 看板女優はいるんですね。

いるよ! いるに決まってるだろ!

吉田はな 美人なだけじゃない。 演技も抜群にうまくて→

高校卒業して 劇団に入って 本物の女優になったんだよ。

俺らの星だったんだよ!

俺らの星?

もしかして 古賀室長も演劇部…?

とにかくだ→

この火事の原因は 本当に吉田… 幸坂克子の過失だったのか?

彼女はな 美人だけど頑固で→

物事を決めたら 必ず最後まで やり遂げるタイプの人間なんだよ。

禁煙していたんなら その誓いを破るとは思えん!

あの… 古賀室長の知ってる 克子さんって→

高校時代の克子さんですよね? ああ。

それって…。 「それって」 なんだ?

そうよ。 こういう時は腹黒も盲目なのね。

えっ? 先輩。

当時の火災鑑識からの調査報告書。

「出火箇所の候補は2か所」

「一つは電気ストーブ。 もう一つはタバコの火の不始末」

窓辺にあった灰皿に→

炭化したタバコのフィルターが 残されていた。

つまり タバコの火の不始末が 火種となって→

カーテンに引火した可能性が高い。

いや ちょっと… それだけじゃ 証拠とは言えないだろう。

そうだよ 幸坂の野郎が吸ってた 可能性だってある。

幸坂達治さんは 喫煙の習慣はなかったそうよ。

だったら あれだよ…。

(宗像)お待たせしました~! 室長 どうぞ。

遅い! すいません。

克子さんでないなら→

何者かが その部屋に侵入し 克子さんを殺し→

タバコの火の不始末を 偽装したって事?

大胆な勘ね。

いつもは 人の勘を馬鹿にするくせに。

フッ… 引きこもり魔女に 吉田の何がわかる。

わかるわよ。 あなたが 高校時代→

その吉田克子さんを 好きだったんだろうなって事はね。

何 言っちゃってんの…。 (宗像)えっ!

おお…。 へえ~。

何 言ってるんだ お前!

お前? お前って何よ?

いや ちょっと…。 「お前」という呼称は→

ある程度 近い間柄の 相手に対する呼び方よ。

私とあなたは そんな関係じゃないわ。

当たり前だ。

これ… 水槽?

どうした? 草加さん また水槽があります。

(草加)これも大きな水槽だな。

同じメーカーなのかもしれないな。 はい。

5年前の この家にも→

今のアパートにも 水槽があったなんて→

幸坂さんは やっぱり 魚が好きだったんでしょうか?

あっ! あと ここには本が…。

本?

(宗像)あっ 室長! どうぞ こちらを。 はい。

(宗像)こちらが ルーペでございます…。

ちょうどよかった。 すいません。 おい それは私の七つ道具の…。

シッ! あっ すいません…。

ん? 「レット」?

『ハムレット』… 台本かしら?

そうか。 克子さんは→

やっぱり もう一度 舞台に立ちたくて→

リハビリをしながら 頑張っていたんですね。

彼女は そういう女性だったよ。

『ハムレット』…。

あっ! ああーっ!!

(宗像)えっ? えっ? (草加)シッ!

どうしたんですか? 先輩。

もしかして 下りてきたんですか? 例のものが。

いいえ まだよ。

でも 今日は 腹黒の初恋の勘が 当たってるかもしれない。

腹黒の初恋? お前が腹黒って言うな!

係長 ホルスを借りて よろしいでしょうか?

あっ どうぞ。

えっ… おい!

先輩 どこ行くんですか?

どこ行くんだよ お前ら! まだ話の途中だぞ!

(宗像)なんなんですか この秩序のない地下の倉庫は…。

はあ… はあ…。 えっ?

行きますよ。

もう 毎日毎日 腰にくるのよ この階段。

5年前の火事の日 あなたは→

幸坂克子さんの自宅を 訪ねましたね?

ここに写っているのは 『ハムレット』の台本です。

琥珀座の方に 調べてもらいましたが→

5年前 病気療養中の克子さんに→

この台本を送った記録は ありません。

また お芝居の台本には 著作権保護の目的で→

関係者が 台本を部外者に 売ったりするのを防ぐため→

1冊ずつ 通し番号が打たれている。

「ここです」 ここです。

表紙の隅に印字されている…。 この番号は あなたのものですね。

有田弁護士との不倫騒動が 起きた当時→

あなたは オフィーリア役に抜擢された。

それまでの あなたの芸歴から考えれば→

異例の抜擢だった。

劇団は あなたを→

克子さんに代わる 看板女優にしたいと考えていた。

しかし 克子さんは→

リハビリして 必ず復帰すると 劇団に申し出ていた。

もし 元々 看板女優だった 克子さんが復帰すれば→

この役は 彼女に取られてしまうに違いない。

そう考えた あなたは→

お見舞いを装って 克子さんの部屋に入り→

ひそかにタバコを放置した。

克子さんの部屋に→

台本を忘れた事に気がついた あなたは→

劇団に紛失したと嘘をつき 新たな台本を手に入れた。

舞台女優の克子さんの部屋に 台本が残されていたとしても→

誰も不審には思わない。

あなたは 犯行を隠しおおせると 思っていた。

しかし 不倫相手の有田弁護士が あなたを疑った。

克子さんの無実を信じる 夫の幸坂達治さんもよ。

あなたは そんな2人を殺害し さらに捜査の攪乱を狙って→

怨恨をにおわせる 不穏な書き置きを残した。

それが この…。

(2人)「もーいちど ころす しょーしたい」

違う!

ハッ… 言わせておけば なんなの? あんた。

それに 「もーいちど ころす」?

なんなの? これ。 こんなの全然知らないし!

えっ?

私が人殺し?

しかも 先輩だけならまだしも 有田も? 幸坂さんも?

私 3人も殺したわけ?

ハハハハッ! それ すごい連続殺人犯じゃん。

芝居の中ならともかく。 ハハハハッ…。

しかし…。

私は誰も殺していませーん。

有田にも 人殺しを 疑われたりしていませーん。

大体 私が有田殺して 何になるのよ!

あいつは 私の大事な 金づるだったってのに。

「確かに 5年前の 有田賢太郎殺害に関しては→

アリバイも成立している」

なら なぜ あなたの台本が…。

あんたの言うとおり→

私は あの日 克子先輩の家には行った。

知りたかったのよ。

克子先輩が 本当に 回復しているのかどうかをね。

(ドアの開く音)

(夏希の声) そしたら 回復なんて全然で…。

いらっしゃい。

♬~

(克子)おめでとう。 オフィーリア 決まったんだって?

はい。

あっ すみません。

(夏希)でも 先輩…。

(克子)あっ 私? 私は無理だよ こんなんじゃ。

でも いつか必ず 舞台に戻ってみせる。

だから 気を抜かないでよ? 看板女優は私なんだから。

はい。 (克子)フフッ…。

(夏希の声) そんな彼女を見ていたら→

役を取られたくなくて 様子を見に来た自分が→

みっともなくて 恥ずかしくて→

すぐ帰りたくなった。

でも だんだん 演出家の悪口とかで→

話が盛り上がっちゃって→

私 頼んだの。

一本だけ タバコを吸わせてほしいって。

えっ…。 一本だけよ。

それに 吸い終わったあとは→

普通に 吸い殻は 灰皿で押し潰したし…。

本当よ!

火は ちゃんと消えてた! 本当に火を消したの!

(夏希)それなのに…→

それなのに 火事が起きたっていうから→

私…。

(泣き声)

♬~

(朋の声)遠山夏希さんは→

窓辺にあった熱帯魚の水槽の脇に 灰皿を置いて→

タバコを吸っていたと 話しています。

…ったく 禁煙している人間の 目の前でタバコを吸うなんて→

なんて無神経な女だ。 (草加)ああ。

しかも そのあとに 火事が起こってしまったからには→

タバコの火の不始末が 火事の原因と→

疑われる可能性がある。

それが怖くて 夏希さんは今日まで→

その事実を隠していたそうです。 ったく…。

(草加) 一方 幸坂氏は その事を知らず→

出火原因は タバコではなく→

部屋にあった 電化製品ではないかと考え→

真相を突き止めようとしていた。

部屋に 前の自宅にあったのと同じ 水槽や暖房器具があったのは→

そのためだ。

そして その調査に没頭するため 会社も退職した。

幸坂さんに 時間の融通が利く 劇団の仕事を紹介したのは→

夏希さんだそうです。

それと 弁護士も…。

なんだ? 殺された有田か?

はい。 幸坂さんが 弁護士を探していると聞いて→

気の毒に思って 自分の恋人を紹介したそうです。

でも 有田は 企業法務の弁護士だろ?

つまり あれか。

幸坂は もし 出火原因がわかったら→

その電化製品を製造した企業を 訴えようとしてたって事か。

恐らく。

♬~(レコード)

♬~

(草加)異常ないようだな。

こっちも問題ありません。

使い続けて いつか不具合が出るまで→

実験するつもり だったんでしょうか?

果てしない作業だよ 本当に。

(ドアの開く音)

おい! なぜ 6係がここにいるんだ?

(中間賢治)6係は 地下の倉庫が職場だろう!

そうですよね。

(多部)というより なんで特対が こんな所に来てるんですか?

狭い部屋に男ばっか。

男ばっか?

(多部)幸坂達治殺人事件は 僕ら強行犯のヤマです。

(草加)まあ いろいろあるんだよ。 (宗像)そう いろいろあるんだ。

(中間・福津)いろいろあるんだよ。

はあ… すいません。

(宗像)どけ~。 (中間)はいはい どいてどいて。

(福津)よし!

しかし こんな実験を続けていたら 電気代だって かさみます。

なのに 劇団の仕事も辞めて→

どうするつもり だったんでしょう?

私はね 従兄のせいじゃないかって 思ってるんです。

従兄?

そうですよ。 あの人 いい加減でしょ?

いい加減? 従兄の岸川登さんがですか?

そうよ。

克子さんが亡くなったあと→

やけに 幸坂さんに まとわりついててね→

ここにまで来て 「まだ こんな所で働いてるのか→

お前には 他にもっと やる事があるだろう!」って→

やけに きつく言ってるのを 何回も見ました。

自分の事は棚に上げて偉そうに。

「棚に上げて」とは どういった?

元々 自分も ちっちゃな劇団 やってたんですって。

演技も演出もイマイチで 諦めたらしいけど。

定職にも就かずに ぶらぶらして→

お金に困ると 幸坂さんに無心したりして。

はあ… 本当 克子さん 困ってたんですよ。

♬~

(岡部)岸川さんが そんな人だったなんて→

意外だったよ。 そうなの?

うん。 話しぶりも誠実に見えたんだ。

それに 身寄りのない従兄の遺体を 引き取りに来るなんてさ。

ねえ 岡部くんって 人を見る目あるほうだったっけ?

矢代さ 真面目な顔で そういう質問するのやめろよ。

えっ…。 (草加)そうだ。

お前 刑事が人を見る目なんて そんな曖昧なもので→

犯罪を判断して どうするんだ お前。

すいません。 (財津)ハハハッ… そうだよね。

まあ それに どちらにせよ→

その従兄のせいで 幸坂さんが劇団を辞めたとは→

考えにくいよね。 そうでしょうか?

奥さんの死の真相を 本格的に調べるために→

仕事を辞めた。

そして その費用を得るために→

時間が自由になる劇団で 働き始めた。

その本人が 劇団の仕事も辞める 理由があるとしたら…。

時間を割く必要がなくなった。

つまり 奥さんの死の真相をつかんだ?

という事は もしかして…。

殺害現場で ホームレスが聞いたという→

「サイレントなんとか」という言葉。

それが もし… もし…。

これだったとしたら…。

「サイレントチェンジ」?

サイレントチェンジとは→

製品を作る際に 部品を供給するメーカーが→

大本の製造メーカーに知らせず→

部品の仕様を勝手にチェンジ… 変更してしまう事よ。

なぜ そんな事をするんですか?

目的は簡単。

ひそかに部品の質を落とす事で 不正に利益を上げるため。

つまり コスト削減のための 不正という事か?

ここからは あくまで 私の空想なんだけど…。

5年前 幸坂氏が→

遠山夏希に紹介された 有田弁護士に→

ある企業が供給する 器具の不具合の調査を→

依頼したとする。

(有田の声)苦しい…! ああ…!

(理沙の声) その有田が 何者かに殺され→

そのあと 5年かかって 幸坂氏が執念で→

不具合のあった器具を 自分で特定し…。

(幸坂の声)ああ…!

(理沙の声)そのために 幸坂氏も 殺されてしまったのだとしたら…。

そうか…。

この2つの殺人は→

悪徳企業による サイレントチェンジ隠蔽のための→

連続殺人の可能性がある!

連続殺人! ありがとうございます。

あの 桑部… いや 係長に ちょっと報告してきます!

岡部くん…。 あくまで空想だって言ってるのに。

それに まだ わからないもの こっちが。

部屋にあった 水槽と暖房器具からは→

不具合は見つからなかった。

もし本当に このサイレントチェンジだったとしたら→

幸坂は 一体 何に気づいたっていうんだ?

それを調べるには…。

♬~

あっ この車…! 先を越された! (草加)急げ!

なんですか? 警察です。 何度も恐縮です。

もう一度だけ 有田さんについて 伺いたい事がございまして…。

すいません…。

亡くなった有田さんは 企業相手のトラブルの訴訟を→

よく担当されていましたよね? はあ まあ そうですが…。

また6係! 所長は?

あちらです。

所長。 企業相手に訴えを起こす場合→

まず 原告側から→

不具合や不良の有無に関する 証拠を提出しなければならない。

そのためには その調査を 専門とする業者がいるはずです。

(所長)ええ 確かに…。

知りたいのは 5年前→

有田弁護士が 製品調査を依頼していた→

民間の検査機関の名前なんです。

いやあ… とはいいましても 数が多くて…。

数が多くても構いません。

今日は 特命捜査対策室の仲間が こんなにいますから。

お前の仲間じゃないけどな。

全部 出してもらいたいんです。 全部!

(宗像)やばいな おい 時間ねえぞ 急げよ!

すいません。

お前 何 座ってんだよ さっきからよ!

(田口政治)有田さんから 調査の依頼を頂いてました。

亡くなられた時は驚きました。

あっ これ! これです。

2015年6月…。

で 調査の結果は?

はい。 その熱帯魚の空気を送り込む→

エアポンプに接続されている コードの絶縁破壊により→

ショートして発火する事実を つかみました。

発火? 発火したんですか?

(田口)ええ。 その原因は→

部品が安価なものに 変更されているためだと→

有田さんに報告書を提出しました。

有田は サイレントチェンジを 知っていた…。

(田口)ただ その直後に→

有田さんが殺されたと ニュースで知って…。

それが 1年ぐらい前かな?

国の製品開発機構の ホームページ上に→

これと同じエアポンプが 長時間使用により→

発火の危険性があるとの警告を 掲載しました。

そしたら ここに 匿名の電話があったんです。

(電話)

ホームページに 記載されているとおりです。

(男性)「もし このエアポンプが 発火し 事故が起きたとしたら→

悪いのは誰なんでしょうか?」

そうですね…。

サイレントチェンジの 事実があっても→

それがエアポンプの発火の 原因であると→

特定する事は困難です。

(田口)「しかし もし そこに原因があるとすれば…」

責任は 部品を供給する 資材部の責任者にあるでしょう。

資材部の責任者… ですか?

(田口)しかし 特定は…。

(電話が切れる音)

もしもし? もしもし?

なんだよ…。

その匿名の電話は…→

きっと幸坂さんです。 (草加)ああ。

室長に… いや まずは強行犯に連絡だ。

はい!

5年前 弁護士の有田さんは→

エアポンプに 発火の可能性があると→

知った直後に殺されました。

そして 5年後の今になって また…。

エアポンプの発火の原因が→

サイレントチェンジにある 可能性に気づいた→

幸坂達治が殺された。

えっ!? じゃ… じゃあ なんだ?

犯人は このサイレントチェンジに 気づいた人物を→

次々に殺したって事か?

はい。 となると 疑わしいのは→

エアポンプの部品供給メーカーの 関係者です。

(電話)

はい 強行犯。 係長 電話です。

はい 桑部。

何!?

河川敷付近の防犯カメラの データを解析していたチームが→

不審人物の特定に成功した。

男の名前は高柳直也 45歳。

部品供給メーカー 共栄パーツの 資材課長だ!

部品供給メーカー? (草加)やっぱりな…。

ビンゴね。

はい そうです。 間違いありません。

事件の翌日 高柳直也は→

汚れたスーツを クリーニングに出してます。

了解。

すぐに 高柳直也の身柄を確保しろ!

(捜査員たち)はい! はい!

♬~(口笛)

高柳直也さんですね?

(高柳直也)はあ? 警視庁です。

ご同行願います。

何…? なんなんだよ…。

あっ ああ…!

弱っ…。 おい 待て!

♬~

先輩 かっこいい!

うわっ…!

痛い…!

先輩 大丈夫っすか? うるせえ!

うわっ ちょっと…!

(岡部)痛い 痛い 痛い…! (多部)先輩…!

痛っ…。 矢代!

♬~

ああ…!

すげえ…。

何してんの! 確保 確保!

(多部)あっ…。 はい!

♬~

いい加減 正直に話したらどうだ?

いや… だから 僕は何も…。

はあ~…。 だったら なんで逃げた?

いや… だって びっくりしたから…。

び… びっくりしたんだね。 ハハハ…。

(机を叩く音) おい!

お前 いつまで そうやって逃げる気だ? ああ?

一体 何人犠牲にしたと 思ってんだ お前は!

室長 恫喝は控えめに…。

わかってるよ。 わかってるけどな…。

それも 時と場合によるだろ。

なあ?

(岡部)うちが先に 取り調べるはずだったのに…。

やだ… 昔を思い出すわ。

所轄の頃から ああよ。

しつこくて 強引で…。

一生 取り調べを受けたくない タイプの男ね。

なるほど。

しかし 先輩 よく知ってますよね。

ん?

いや 古賀室長の事です。

やっぱり 昔 何か…。

昔?

あいつの事は どうだっていいわ。

今 気になるのは 財津さんの事よ。

えっ? 係長ですか?

(高柳)「もう わかったよ! 言えばいいんだろ 言えば」

サイレントチェンジはあった。 あったよ。

やってたのは インドネシアにある うちの孫会社だ。

やっぱり…。

いつからだ?

俺が気づいたのが 7年前だから…→

まあ それ以上かな。

何も問題はなかった。

事故の報告も全然なかったんだ。 それなのに…。

有田って弁護士が→

サイレントチェンジに気づいたと 俺の前に現れた。

(高柳)「テレビで見た事ある あのチャラそうな男だ」

お前の不正を 暴きに来たってわけだ。

えっ? ハハハ…。

不正を暴く? 馬鹿言わないでくださいよ。

ただの金目当てですよ。 金!

(高柳)あの男は 不倫騒動で金が必要になって→

俺に近づいたんだ。

(有田)例のものは?

(高柳の声)払ってやりましたよ。

まあ サイレントチェンジ自体が バレなければ→

インドネシアの孫会社から 俺に→

口止め料は いくらでも振り込まれるし…。

ありがとうございます。

(高柳)「うちがやってるのは ポンプだけじゃないし→

数千万で片がつくなら 安いもんだと思った」

「5~6回 払ったな」

そしたら 勝手に あの弁護士が 誰かに殺された。

いや 俺じゃない!

どうせ いろんな所で→

恨まれてるんだろうなと 思いましたよ。

そしたら 最近になって また→

サイレントチェンジに気づいた って奴から呼び出された。

幸坂か?

(高柳)「さあ… 名前は…」

「でも…」

そいつに 川に呼び出されて…。

いや そいつだって 別に 殺そうとか思ってませんよ。

製品の苦情も出始めたし→

これも また 金で片つけて もう終わりにしようと思ってた。

それなのに…。

(高柳)「それなのに…」

あいつは 自分で→

俺が来るなり 液体をまき散らして→

火ぃつけたんだ。

ハハッ… ハハハ…! 自分で… 自分で…。

おい! でたらめ言うな! 嘘じゃない!

嘘じゃない 本当なんだよ!

ライターで火ぃつけて 目の前で火だるまに…。

嘘つくな! お前がやったんだよ!

お前が有田を殺し 幸坂も殺したんだろ!

嘘じゃない! 嘘じゃないんだよ!

(高柳)「目の前で 火だるまになったんだよ!」

「本当なんだよ!」

「誰が信じるんだ!」 (高柳)「本当なんだよ!」

(タフトン)飛び立て! 可能性の空へ!

ジブン、 オープン!

(中川)うわぁ~!

(ノブ)<青空SUV ダイハツ「タフト」 デビュー>

(タフトン)飛び立て! 可能性の空へ!

ジブン、 オープン!

(中川)うわぁ~!

(ノブ)<青空SUV ダイハツ「タフト」 デビュー> さあ タフチャレ!

(財津)共栄パーツの高柳は→

インドネシアの孫会社の サイレントチェンジを知りながら→

隠蔽していたという事実は 認めたんだね?

(草加)はい。 親会社の共栄パーツの締め付けで→

インドネシアの孫会社が 経費削減のため→

部品の質を落としていました。

共栄パーツ社長の息子である 高柳は それに気づきながら→

遊ぶ金欲しさに隠蔽し 口止め料を得ていたんです。

ものづくりのグローバル化の 弊害かしらね。

(財津)そうかもしれないね。

(桑部)しかし いくら罪を軽くしたいとはいえ→

幸坂が 自分で自分に火をつけたなんて→

ひでえ嘘だな。

(桑部)ごちそうさん。

よし! そろそろ 俺が本格的に取り調べて→

あいつの口を割ってやるよ。 もしかしたら…。

嘘じゃないのかな…。

はあ? あっ いや…。

今までの自分の 刑事の勘だったら→

あの人が犯人で 嘘をついてると思うんです。

でも だったら… だとしたらですよ。

この文書は なんなんでしょう?

(桑部)文書? ああ それか。

はい。

我々6係が捜査するきっかけを 作ったのは この文書です。

でも 高柳直也が犯人だとしたら→

現場に こんなメッセージを残す 理由がないですよね?

ええ そうね。

だったら これは 一体 なんなんでしょう?

(桑部)まだ そんな 暗号みたいなのにこだわるのか?

いやあ 矢代くんも すっかり文書捜査官ですね。

いや そんな褒められても…。

いやいや 矢代くんを褒めるというよりも→

私は自分自身を褒めたい気分だな。

あの時の私の選択は 間違っていなかったと。

ねっ? ねっ?

はい。

うーん…。

(桑部)ああ 古賀さん。 あっ 室長。

どうですか? 高柳直也は。

いや 駄目だ。 まだ口を割らん。

しかし なんとしても割らせてみせる。

幸坂は 死の間際まで 吉田の無実の罪を晴らそうとした。

そして 自らの死をもって 企業の悪を暴き→

吉田の無念を晴らした。

あとは 俺たちの仕事だ。

(桑部)協力しますよ。

室長 これ 頼まれていた資料です。 ああ。

ご苦労さまでした。

あっ いやいや… 苦労なんて そんな… ハハハ…。

きっと これが 財津さんによる 6係が担当する→

最後の事件となるでしょう。 最後?

あれ 言わなかったっけ?

私は もうすぐ この夏でリタイアなんだよ。

し… しかし…。

まあ 確かに もう少し働いてくれっていう→

要望もあったんだけどね→

まあ かみさんも 早いところ辞めて→

旅行に連れてけって うるさいもんだからさ。

まあ あんまり長い事 働いちゃって→

うっかりして殉職なんてのも 困るしね。 ハハハハ…。

まあ そろそろ 引き際かなと思ってね。

そんな…。 自分は…。

ごめんね 矢代くん。

(財津)2年前 強行犯の前線で バリバリ働きたいという君を→

怪我をしたのを口実に 無理やり この第6係に連れてきたのは→

実は 私なんだよ。

そうですよ。 あの時は もう→

あんな部署に人増やして どうすんだって→

他の部署から 非難囂々でしたからね。

そうそう そうそう…。 それに 当の鳴海も 草加さんだって→

新人なんて全然いらないって 言ってたじゃないですか。

えっ?

でも… 正しかったのは財津さんだった。

いやいや 正しかったなんて そんな…。

私は ほら… こんな暗い地下室に→

こんな明るくて生きのいい子が 入ったら→

どうなるのかな 面白そうだな なんて思っただけですから。

係長…。

いや…。 警視庁 特命捜査対策室第6係→

文書捜査官 矢代朋くん。

はい。

その大きな目に涙をためるのは まだ早いよ。

そうよ ホルス。

ああ…。 んっ!

そうだ…。 そうです。

このメッセージの謎が…。

だから その文書は もういいって。

犯人は もう捕まえたんだ。

そうそう。 さっさと口を割らせよう。

はい 無駄話はこれぐらいにして 早く戻りましょう。

お前が無駄話って言う…。

あれ?

ああ ガイシャ宅で発見された 舞台のチケットだ。

懐かしいな。 これ 吉田の初主演の舞台ですよ。

えっ そうなんですか? うん。 20年前か。

彼女の代表作だよ。

えっ? なんだ この…。 なんて書いてあるんだ? これ…。

おい! シッ!

「シッ!」って お前…。 なんだ 「シッ!」って…。

これ…。

これ…。

失礼します。 あれ…?

すいません…。

係長 すいません。 岸川さんの事ですが…。

岸川? (宗像)幸坂の従兄です。

わかってるよ。 (桑部)まだ連絡つかないのか?

はい。 高柳逮捕の一報を しようとしたら→

死体引取書の電話番号が 本人のものと違っていたようで…。

えっ? そんな… 字の読み間違いじゃない?

いや そんな汚い字じゃないし…。

確かに。 きれいな字だ。

何が きれいな字よ。

ねえ これ書いてる時 何か おかしな事なかった?

はい? 氏名は問題ないわ。 この住所。

住所のここ。 この辺りから 急に字が雑になってる。

確かに 字が乱れている…。

しっかりしてよ 文書捜査官。 ほら 見て。 ここ ここ。

まるで 早く書き終えて その場から立ち去りたいような…。

例えば 桑部くんか誰かが→

この岸川さんって人を 怖がらせるような事を言ったとか。

はあ? 被害者の関係者を 脅したりするかよ。

あっ! あっ あの…。

僕が 古賀室長と幸坂さんが 友人なんだって話をして…。

俺の話をした?

あっ いや… いい意味でですよ いい意味で。

当たり前だ! いや あの 僕たちだけじゃなくて→

古賀室長も 捜査に参加してくれてるから→

犯人逮捕まで待ってほしいって 伝えたんです。

でも まあ… 紹介するとも伝えたんですよ。

でも そしたら 岸川さん 急に慌て出して…。

古賀室長の話をしたら 字が乱れた?

古賀?

古賀…。 古賀?

おい! 呼び捨てはやめろ。

古賀… コロス…。

えっ? はあ?

ハッ! あああああ…!

ちょっと ちょっと…! (宗像)怖い!

怖いな! ちょっと 財津さん どうなってるんですか? 6係は。

(財津)すいません。 大体 お前もな…。

シッ! どうしたんすか? 先輩。

やっと… やっと きたんすか? ええ。 きたかも。

ねえ このチケット見ても 何も思わなかった?

なんすか? 透かしでも入ってました?

違う! この… タイトルよ。

へえ~ これ タイトルなんすか。

いや 草加さんとは 話してたんですよ。

なんで こう 演劇って→

不思議な 訳のわからない題名が 多いんでしょうねっていう。

ああ。 これはギリシャ文字よ。

ギリシャ文字で 「コロス」と書いてあるの。

(桑部)コロス?

コロスっていうと 集団という意味の「コロス」?

そういえば なんか そんな感じのタイトルだったな。

『コロス ~愛の果てに~』とか なんとか…。

えっ… 室長 見に行っていたんですか?

当然だろう。 わあ…。

『コロス』…。

♬~

「殺す」ではなく…→

「コロス」。

文字の神様が下りてきたわ… やっと!

はい!

♬~

(拍手)

(ドアの開く音)

(岸川)誰ですか? あなたは。

警察です。

共栄パーツの高柳直也さんが 逮捕されました。

消防は 5年前の火事の原因が→

タバコの火の不始末ではなく→

エアポンプのショートによる 可能性がある事を認めました。

あなたが その事を 真っ先に報告しに行く相手は…→

もう一度 この舞台に立つ事を夢見ていた→

克子さんだと思ったんです。

幸坂達治さん。

一体 何を言ってるんだ?

久しぶりだな 幸坂。

もう 30年か…。 お互い 年取ったな。

俺は お前の従兄の写真を見て→

ああ… 幸坂はこういうふうに 年を取っていったんだって→

勝手に勘違いしてたよ。

(岡部) 科捜研から報告がありました。

歯型の鑑定で 河川敷のご遺体が 岸川登さんのものと一致したと。

お前なんだな? 幸坂。

お前は 共栄パーツの高柳に→

自分の代わりに 自分に似た従兄の岸川を殺させた。

5年前の吉田…→

幸坂克子の事件を 表面化させるためだ。

そして 亡くなった岸川に成り代わり→

その遺体を引き取りに行った。

(岡部)しかし 同級生だった 古賀室長と顔を合わせれば→

30年以上 会っていないとはいえ 自分だとバレる。

(岡部の声)それで慌てて 死体引取書を書いた。

そうですね?

いえ… 僕は…。

僕が岸川登です。

5年前 幸坂達治さんに 調査を依頼された→

弁護士の有田さんは→

共栄パーツの サイレントチェンジに気づいた。

しかし 有田さんは→

その調査結果を使って 金をゆすり取ろうと→

依頼主である あなたに報告する前に→

その事実を握り潰した。

それで あなたは 有田さんを殺した。

だから 何を根拠に そんな…。

根拠は…→

これです。

5年前に現場に残されていた このメモ。

震える手で書かれた この言葉は→

倒れた克子さんが リハビリのために→

麻痺の残る手で書いた 文字なのではないですか?

これは→

「もう一度 焼死体にして殺す」 という意味でも→

「もう一度 殺すショーをしたい」 のでもなく→

「もう一度 『コロス』のショーがしたい」→

という 克子さんの願いだった。

「『コロス』というのは→

克子さんの代表作だった 舞台のタイトルで→

その内容は→

ショーのコーラス隊の一人だった ヒロインが→

メインの歌手に上り詰める というものでした」

そうですね?

あの時の吉田の演技は 今でも はっきり覚えているよ。

病を克服して あの主人公を もう一度 演じたい。

代表作だったショーの舞台に もう一度 立ちたい。

そんな思いで吉田が書いた 言葉だったんじゃないのか?

警察がそこまで考えるとは…→

驚いたな。

(妻)どうした? (夫)早く帰ってきてください。

シャンプーしてたら 後ろに気配が…。

そういうときあるから。

≪(猫の鳴き声)ニャーオ!

何かいる! 早く帰ってきてください!

無理だよ メキシコだし。

いつ帰ってきますか? あした? あした? あしたとか?

No te preocupes!

え? 何ですか? <部屋があなたを守ります>

<セキュリティ賃貸住宅 「D-room」> おかえりなさい。

ニャーオ! ひぃ! ふふっ。 ただいま。

警察がそこまで考えるとは…→

驚いたな。

(幸坂)そのとおりですよ。

5年前のあの夜 僕は そのメモ書きを持って→

有田に会いに行った。

(幸坂の声) 有田さん 待ってください。

(幸坂)1カ月前は 怪しいって言ってたのに→

なぜなんです?

見てください。 妻は復帰を夢見て→

懸命に リハビリに取り組んでいたんです。

そんな妻が 医者の指示に背いて タバコなんか吸うはずない!

お願いです。 事実が知りたいんです。

力を貸してください!

(有田) いや… もうやめてくださいよ。

言ったでしょう。

私は しかるべき場所に 調査を依頼し→

その結果を受け 器具に問題なしと判断したんです。

嘘だ…。

嘘だ… そんなはずないだろう。

なんで そんな嘘をつくんですか?

金か? 一体 誰と どんな取引をしたんだ?

人聞きの悪い事 言うな!

話は もう終わりだ。

♬~

達治さん…。

♬~

(幸坂)コラァ!

(有田)うっ… ううっ!

ああっ! (幸坂)この…!

(有田)うわあ!

く… 苦しい…! ああ…!

ああ…。 苦しいよ…!

クソッ! クソッ…! こいつ…! (頭を叩きつける音)

(幸坂の声)許せなかった…。

どうしても 許せなかった…!

すぐに警察に捕まるだろうと 思いました。

でも なぜか 捜査は僕に及ばなかった。

恐らく 有田は→

自分が金銭を受け取っていた 事実が露見するのを恐れ→

共栄パーツの サイレントチェンジに関する書類を→

全て処分していたんだろう。

だから 死後も 幸坂さんの存在に届かなかった。

そうですか…。

僕は 従兄の岸川登に…。

(岸川)自首?

そんな必要ないだろう。

なんでだよ…。 僕は この手で人を殺したんだ。

悪いのはお前じゃないんだよ。

(舌打ち)

殺されて当然だろ。

弁護士が金欲しさに 企業を告発しないって。

そのせいで 消費者の誰が死のうが 怪我しようがお構いなしって→

それ 殺人と同じだろう。

その弁護士や企業のほうが よっぽど… 人殺しだよ!

ああ… そうだよな。

そうだ!

(幸坂の声)そして 僕たちは 自分たちの力で→

火事の原因となった器具を 突き止めようと決心しました。

1時間…。

(幸坂の声)しかし 不具合は発見できなかった。

(岸川)2時15分。 駄目だな…。

(幸坂の声) 日々が無駄に過ぎていった。

しかし 1年前…。

これか?

(幸坂の声)そして 調査業者への匿名電話で→

発火の原因がサイレントチェンジの 可能性がある事を知ると…。

資材部の責任者ですか?

(幸坂の声)探偵業者を雇って→

エアポンプの部品供給メーカー 共栄パーツを調査した。

そして…。

(女性)社長! (高柳)社長じゃねえよ。 まだな。

ハハハハハ。 乾杯しようか。

ほい 乾杯! (一同)乾杯!

(幸坂の声)社長の息子である 資材課長の高柳に→

不正の噂がある事を突き止めた。

しかし 共栄パーツが原因と わかった時点で→

なぜ 事実を公表しようと 思わなかったんですか?

事実を公表したところで どうなるっていうんだ!

エアポンプの発火の可能性が わかっても→

メーカーは いくらでも言い逃れができる。

(岡部)確かに 訴えたところで→

裁判でサイレントチェンジと 火事との関連性を→

結び付ける事は難しい。

でも… それでも 克子の死は→

高柳の不正のせいだ。

高柳は 単に 裏金を 受け取っていただけじゃない。

殺人だ!

(幸坂) 「僕は高柳を殺そうと思った」

なのに あいつが…。

俺… 実は がんなんだ。

えっ?

病院なんて行かねえだろ。

だから もう… 余命1カ月だとさ。

フッ…。

だからさ 俺の この命 復讐の材料に使ってくれよ。

はっ? 何 馬鹿な事 言ってんだよ。

違うんだ。 実は…→

克子さんがあんな事になったのは 俺の責任なんだよ。

登さん もうお金は貸さないように 幸坂に言われてますから。

フッ…。 そんな事 言わないでさ 頼むよ。

登さん… もう こんな生活してないで→

演劇 もう一度やってみたら どうですか?

はあ? 演劇?

聞いたんです。 登さんが 昔 劇団でやってたって。

だったら もう一度やってみませんか?

まずは 本を書いてみるとか。

何 言ってんだよ。 もう 芝居なんて…。

(克子)そんな事ありません!

演劇は いくつになってからでも 始められます!

豊かな想像力さえあれば…。 うるせえな!

登さん! (岸川)今さら できるか!

あっ…。

い… 痛っ…。

悪い。 大丈夫か? うっ…。

大丈夫か?

大丈夫です…。

(岸川の声)彼女の病名を知った時 俺のせいだと思った。

でも 見舞いに行ったら 克子さん 俺のせいじゃないって言うんだ。

原因はわからないから 責めたりしない。

その代わり 約束してほしいって。

約束?

これからは お前に迷惑をかけず 力になってほしいって。

なあ 考えてみろよ。 悔しいだろ…。

人が死のうが 平気で金もうけしてる奴が→

殺人罪にならなくて→

俺たちみたいな貧乏人が→

悔しさ紛れに 殺人犯になるなんてさ。

だから 俺 高柳に殺されるよ。

共栄パーツのぼんぼんの高柳だよ。

ハハハハ…。 そうすりゃ あいつも立派な殺人犯だ。

それだけじゃない。 その現場に→

何か5年前の事件と繋がる証拠を 残せば→

警察が動き出すかもしれないぞ。

5年前の サイレントチェンジの罪だって→

暴き出せるかもしれない! 何を言ってるんだよ 登!

そうだよ お前が殺した弁護士だって→

高柳が殺した事にすれば いいんだよ!

なんだっけ? その現場に残した 克子さんのメッセージ。

あれを 警察がわかる所に…!

やめろ! もう馬鹿な事考えるのは やめてくれ!

フッ…。

(幸坂の声) まさか 本当にやるなんて…。

(岸川の声)「達治へ」

「悪いけど 勝手に入って→

俺のものを いろいろ置かせてもらった」

♬~

(岸川の声)「その荷物を持って すぐ家を出ろ」

「俺は今から “幸坂達治"となって 高柳に殺される」

「お前は どっか遠い町に行って→

“岸川登"として→

俺の このろくでもない人生を 生き直してくれ」

「もし 警察から問い合わせが来たら…」

登…!

(岸川の声)「従兄として 俺の遺体を引き取れ」

「そして 警察に→

俺の死と克子さんの事件の 関連性を話して→

サイレントチェンジをにおわせろ」

「そうだな」

「せっかく “しょーしたい" っていうメモが残ってたんだから→

焼死体がいいだろうな」

「なあ 達治。 悲しまないでくれよ」

(高柳)おい。

高柳だけど… 呼んだの あんたか?

(岸川の声)「これは…→

今まで何をやっても 中途半端だった俺の→

最初で最後の大芝居なんだ」

サイレントチェンジ…。

サイレントチェンジ! サイレントチェンジ!

サイレントチェンジ!!

お前は人殺しだ。

お前はサイレントチェンジで 人を殺したんだー!!

はっ?

♬~

うわっ…! 何やってんだ お前よ!

やめろよ! なんだよ これ…。

やめろ…。

やめろ!

♬~

(岸川)ああっ…!

(幸坂の声)そして あいつは 火だるまになった。

(幸坂の声) 妻だけじゃなく 登まで…。

僕は もう…。

やめろ 幸坂!

復讐は終わった。

僕は 最後まで見届けたんだ。

待って!

(幸坂)うっ…! ああ!

(岡部)おっと…!

係長!

ハア ハア…。

ねえ 幸坂さん…→

あんたの奥さんは きっと 素敵な方だったんでしょうね。

病気になっても女優でありたいと→

まだまだ自分はやれると 必死になって頑張っていた。

それを… 夫であるあなたが こんなところで 自ら命を絶って→

あの世の奥さんに どんな顔して会われるんですか?

♬~

駄目だよ。 つらくても生きなきゃ。

そうです。 生きてください。

♬~

幸坂…。

今度は 俺がお前を見届ける。

古賀…。

(幸坂のすすり泣き)

(嗚咽)

♬~

「(幸坂の嗚咽)」

(ため息)

♬~

(桑部)路上殺人事件を 解決に導けたのは→

我々 捜査一課第三強行犯5係の この緻密な捜査と→

諦めない心… そう 諦めない心です!

そして…!

「類いまれなリーダーシップを 発揮したからであり→

いかなる事件も 必ず解決するという→

この強い思いを持って…」

(劇団員)じゃあ 再開! 遠山さん!

はい!

♬~

(朋の声)珍しいですよね。

古賀室長が 会見を強行犯に任せるなんて。

鬼の目にもなんとやらだ。 鬼の目って…。

しかし 今回の事件を解決に導いたのも→

克子さんの書いた あの文字です。

やはり 文書の力は偉大です。

何 言ってるの。 まだまだ半人前のくせに。

半人前って…。

係長は 一人前だって 言ってくれましたよ。

そうだ… 財津さんがいなくなったら→

ここ… この6係の係長は どうなってしまうんでしょうか?

(草加)確かに…。

もしかして…→

先輩? へ? 嫌よ 管理職なんて。

じゃあ 草加さん? いやいや…。

一体 誰?

あっ もしかして この6係自体の存続が→

危ういのではないでしょうか?

それは あり得るかも…。 やっぱり…。

ハハハハハ! 大丈夫 大丈夫。

いろいろ考えてね 私の後には しかるべき人を用意してるんだ。

(2人)しかるべき人?

(財津)そう。 草加くんや→

君たちバディの事も よく知ってる人間だ。

(岡部)ん?

(財津)そのために 前の職場を辞めてもらって→

やる気十分だよ。

やる気? 誰?

自分たちの事を よく知っている?

♬~

(ドアの開く音)

(財津)ちょうど来た 来た 来た。 ああ どうも どうも。

(草加)あっ…。

(国木田哲夫)お邪魔します。

あなた 確か 京都府警の…。

く… 国木田さん…。

どうも。

朋ちゃん。

国木田さんが係長…?

(国木田)はい。

お… おい! ちょっと な… 何してんの!?

や… 優男!

これ どうぞ。 (岡部)あっ どうも…。

(せき払い)

このたび 新しく係長に着任する 国木田哲夫です。

財津さん お疲れさまでした。 よろしくね。

君が頼りだから 頼んだよ。 (国木田)はい。

皆さん よろしゅうお願いします。

ハッ…。 なんて事…。

あ~あ… なんだか面倒くさい。

えっ? 待ってください 先輩。

置いてかないで! あっ!

うう~…。

せんぱーい! (泣き声)

ていかよう? 私も好きなの 彼の字が。

大学教授殺人事件?

(倉木達也)どんなに価値あるか わかってます?

悪くないな…。 (真田 誠)ただの言いがかりじゃ→

ありません? 堂々と捜査できる!

ホルス! 2つの事件は繋がったんです。

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