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盗賊改の動きを知るには 便利な男じゃが…。
<火付盗賊改方 与力の 岡田甚之助を買収し→
その情報を得ていた 雲霧仁左衛門。→
だが それに気付いた 安部式部は 岡田に揺さぶりをかけ→
追い詰められた 岡田は 雲霧一党を裏切り→
仁左衛門自らの手によって 葬り去られた>
・~
何やってんだ お前!
ちょっと 親分 待っておくんなせえ…。
早く来いよ おい!
いいから 貸せ もう!
親分 待っておくんなさい…。
馬鹿野郎!
法事のただ酒だと思って がぶがぶ 飲みやがって…。
しっかりしろ!
親分 どうしました?
物音がしたような…。
安!
(激しい物音と女の荒い息遣い)
あっ…! ああ!
(男)行くぞ。
うう…。 待て!
お前は…!
うっ! あっ 親分! 親分…。
追え! いいから早く 追え! へい!
鳩栗の大五郎? (政蔵)へい。
顔を見たのは その手下の 確か… 甚助。
盗られた金は 3百両余り。 殺されたのは 4人。
…で 見失ったのは どの辺りだ?
麻布坂下の 浄念寺の境内で。
よし。 その辺りを とことん洗うのだ。
政蔵が その甚助の顔を 知っていたのは 何よりだ。
・~
5千や1万は軽いなんぞと ぬかしやがって→
3百両じゃ どうにもならねえや!
へい…。
甚助。 へい…。
次は 確かな大仕事を持ってこい!
それまでは 俺の方から つなぎは つけねえ。
いいな。
あっ…。
当てなら ありやす! この次は 必ず…。
それまで 待とう。
お頭 お冠でしたね。
うるせえ!
そのうち あっと言わせてやらあ。
なに… もう ちゃんと→
手は打ってあるんだ。 どこです?
日本橋の油問屋 井筒屋清右衛門。
・~
あれが 井筒屋清右衛門の蔵か。
はい。 油問屋は表向きで→
裏じゃあ あこぎな金貸し…。
どのぐらい進んでる? はい。 だいぶ前から→
富の市に 引き込みに入るように 言ってありますが…。
今日は 何を持ってきたんだい? はい。
唐茄子に青唐辛子 里芋を少し。 いいねえ!
このまま 裏口へ回っておくれよ。 はい。→
富の市さん。
ちょうど 裏口に行くから 手を引いてあげるよ。
そういう声は おかねさん?
分かる? ヘヘヘヘヘヘ…。
おかねさんの声を 忘れるもんですかい。
いいんですかい? はい。
じゃあ お言葉に甘えまして…。
ヘヘヘヘヘ… おかねさんの手は 何やら しっとりしていて いいねえ。
おこうさんとは大違いだ~。 ヘヘヘ!
何だい 何だい? え? 言いたい事を ぬけぬけと。
(富の市)ワハハハハハ!
店先で 何を騒いでるんだ!
旦那…。 富の市さん 早く上がんなさい!
おこう! はい!
今日は 青物は要らないから 帰っておもらい!
はい!
(子ども)早く来いよ!
・(子どもの騒ぐ声)
俺にも 女房がいたらなあ…。
ヘヘヘヘヘ…。
さあ。
富の市さん。
おかねさん…。
あいよ。
お… おかねさん! どうしたんだよ?
詫びに来たのさ。
私のおかげで 井筒屋さんに叱られちゃって。
堪忍しておくれ。
とんでもねえよ!
お前さんこそ おいらの手を引いたおかげで→
商いに ならなくなっちまったろう…。
謝りてえのは おいらの方さ!
私は いいんだよ!
唐茄子 余ったから持ってきたよ。
すまねえ…。
煮てあげようか? いいよ いいよ。 おいらがやるよ。
いいから いいから。
(子どもたちの笑い声)
ハハハハハハ。
(足音)
伊勢の様子に動きがあったか…。
回想 (男)上意じゃ!
(女の悲鳴)
問答無用!
藤堂家 国家老 八木重右衛門が 近いうちに出府すると。
ただ 日取りまでは はっきりとは…。
蔵之助様も 程なく江戸へ。
おかねさんは 独り者なのかい?
亭主に捨てられてね。
おかねさんみてえに いい女を 捨てるとは なんて野郎だ!
…富の市さん。
お前さん ほんとは 目が見えるんじゃないのかい?
さっき 起こした時さ…→
目を開けてて 私が見えてたような気がしたから。
と… とんでもねえよ。 おいら…。
ごめんよ。 余計な事を言って。
でも もし そうだとしても 私は いいと思うよ。
人間さ… 生きていくためにゃ いろんな事があるんだから。
心配しないでおくれ。
私は 死んだって そんな事は言わないから。
おかねさん…。
・~
富の市が 女をな…。
はい。 州走りの話では→
井筒屋出入りの 青物を売る女だそうで。
その人から 何か聞き出そうとしてるうちに→
親しくなっただけじゃ ないですかね?
目の不自由な富の市を哀れんで 親切にしてくれている。
それだけなら…。
州走りは この先 おかしな事にならないかと→
案じております。
まあ 年も年ですから→
そんな事にならないとは 思いますが…。
でも 色恋に 年はないと思いますよ。
え? フフフフ…。
目が見えるのか…。
その男から→
井筒屋押し込みの手がかりが 何か 分かるかもしれねえな。
お頭 きっと やります。
頼む…。 (せきこみ)
夜兎の文蔵といわれた俺も もう 体が動かぬ…。
任せておくんなせえ。
これを最後に 湯治場へでも行って→
ゆっくりなさっておくんなせえ。
ああ…。
おかね 頼むぜ。
分かっていますよ。
父親同然に 今日まで育ててくれた お頭へのご恩返しだもの。
はい。 おかね いつも ありがとよ。
あんまも 何度も取り替えたが お前さんほどの人は いなかった。
ずっと 通っておくれ。
それじゃあ 明日から刻限を決めて…。
ああ。 おこうを迎えにやろう。 ありがとうございます。
どうだい? 私の体は。
よいしょ…。
お金持ちは みんな おんなじでございます。
お金に気が残って…。
フフフフ… 私は 金に気なんぞは 残していないよ。
…といって もし 盗人に入られでもしたら?
入っても 盗れないよ。
うちの蔵の戸には→
上方一の錠前師に こしらえさせた 錠が掛かってる。
へえ~! 上方一の錠前師にね…。
心の声 蔵は向こうだな。→
1尺 2尺 3尺 4尺…。
心の声 15 16…。
・~
あ… ああ どうも。
富の市さん。 おかねさん?
よかったねえ。 これから 毎日 井筒屋さんへ?
ああ。
おかねさんにも 親切にしてもらって→
おいら ついてるよ。
おっとっと! ああっ! ちょっと 富の市さん!
大丈夫かい?
ありがとうよ。
・~
(物音)
・州走りだ。
井筒屋の絵図なら もう少しだ。
青物担ぎのおかねさん…。
近頃 よく ここへ来てるようだな。
それが どうかしたのかい!
フフフ! 何 むきになってんだい。
むきになってる訳じゃ…。
お頭が 何か その事で…?
女と一緒でも 仕事さえ 抜からなけりゃ 構わねえ。
お頭は 日頃から そう言っておいでだ。
それじゃあ お前が とやかく言う事じゃねえだろ!
ハハハハハ… 瀬戸物の商いでさあ。
おかねさん。
いい柄の手拭いがあったから 一緒に買っておいてあげたんだよ。
すまねえなあ。
それじゃあ。 うん。
やっぱり 怪しいぜ。
俺たちの事 探ってるのかも。
州走りの そりゃ 考え過ぎだぜ。
俺は 気を付けろって 言ってるだけだ!
おかねは そんな女じゃねえよ!
もし そうだったら この首をくれてやるぜ。
ヘヘヘヘ… 大丈夫 大丈夫。→
う~ん ああ いい匂い。
あ~ うるせえなあ!
(犬の鳴き声)
・~
うう…。 待て!
・~
そばに~ そばに!
旦那… あの野郎です。
・~
こちらでございます。 世話になる。
あの古道具屋です。
おかね。
お頭が急いでなさる。
富の市から うまく聞いて 早いとこ 絵図を。
富の市さん?
私だよ。
富の市さん?
(いびき)
う~ん…。
・~
井筒屋…。
・~
おかねさん…。
・~
おかねさん!
いつも すまないね。 いいんですよ。
1人分をこしらえるのも 手間は一緒だし。
お前さん あんまになる前は 何をしていたのさ?
ずっと あんまさ。
京都の山崎検校の下でな。
そしたら…→
大人になってから なぜだか 目が見えるようになった。
そう…。 うん。
もう一膳 どうだい?
おかねさん…。
いけませんよ。
調子に乗っちゃいけないね。 ウフフフフフフ!
疲れたよ… おかねさん もう歩けないよ…。
・~
もう… はい。
ありがとう。 フフフフフ。
お頭に言っとくれ。
およその見当はつくけど→
このままじゃ 急ぎ働きになっちまうってね。
・ふさふさ ふさふさ ふさ楊枝 かきすき楊枝 ふさ楊枝。→
ふさふさ ふさふさ ふさ楊枝。
よう。 お待ちです。
小頭。
よう。
よいしょ…。
手に入ったかい? ああ。
おかねの奴 案外 早うござんした。
まあ いいや。
出口と入り口 それに 金蔵の在りかさえ分かりゃあ。
どうで 血を見なきゃ おさまらねえ お人だ。 へい。
州走りの。
この間は 俺が悪かった。 なに 俺も言い過ぎた。
言い忘れていた事があった。
井筒屋の金蔵は…。
そこで 鼻緒が切れちまって…。
そうですかい。
おい! やっぱり あの女 密偵だったんだ。→
俺のにらんだとおりだ。→
お頭のつなぎを 待つまでもねえ。
すぐに 殺してしまえ!
・~
州走りの案じたとおりに なりましたね…。
富の市は 女を始末できねえ。
ぐずぐずしているうちに 抜き差しならなくなるような…。
回想 (熊五郎)お頭のつなぎを 待つまでもねえ。→
すぐに 殺してしまえ!
お茶を入れるよ。
何で お前 俺に近づいた?
何で 俺に優しくした!?
何で…!
何でだ… 何でだ… 何で!
何で…。 (うめき声)
・~
で… できねえ…。
俺には… 俺には できねえ…。
俺には できねえ…!
・~
出ていけ…。
いいから 出ていけ!
・~
山田様 やっと出てきました。 うむ。
後をつけろ!
おかね… どうした? こんな時間に。
お頭… 井筒屋の図面は 助三が届けたろう?
あの事の話で…。 待て。
そんなものは 受け取っちゃいねえ。
…何だって?
すぐに 助三に会ってきます! おい おかね!
おかね! (せきこみ)
その絵図なら 鳩栗の大五郎の手にありますぜ。
助三… 手前!
お前さんの組織ごと ごっそりね。
あんな野郎に 身を売ったのか!?
うっ…!
(うめき声)
うわっ!
うわっ…! うわ~!
この老いぼれが! ううっ…!
野郎…!
あんた…。
鳩栗の大五郎…。
・~
お頭…。
・~
(戸が開く音)
・~
おかね 言い残す事はないか?
お頭…!
言うがいい。
・~
富の市さん…。
私は…→
お前さんのような優しい人に 会ったのは 初めてだったよ。
それだけは 本当さ…。
さあ…→
ばっさりと やっておくんなさいまし。
お頭! 待っておくんなせえ!
お願えでございます!
お頭…! あっしの命に代えて→
この女の命を 助けてやっておくんなせえ!
お願えでございます!
どうか お願えでございます!
ああ~… お頭!
おかね。
わしの組織に入るがいい。
そ… それじゃあ!
富の市に頼まれれば しかたがない。
頼んだぞ。
・~
おかね 鳩栗の大五郎の 根城は知るまいな? はい。
手がかりになる事も 思い出せぬか?
…助三のなじみの女が あひる河岸の水茶屋に。
そうか…。
富の市。 へい。
夜兎のお頭の敵を討ってやれ。
へい!
助三… 手前 盗賊改に つけられてやがったな。
ああ… あっしは どじ 踏んじゃいねえ。
ありゃ きっと おかねの奴が つけられていたんだ。
まあ いいや。
甚助も八も たまさか こっちに来ていて→
よかったというものよ。
押し込みは 四つだ。
蔵の中の金は 全て頂く。
手向かう店の者は 皆殺しだ。
いいな! (一同)へい!
・~(三味線)
お前さんも 隅に置けないねえ。
悪いね また今度。
おお 今度か… 今度な!
後ろの男だよ。
おや 助三さん。 おお。
たまには 寄ってっておくれよ。 また今度。
(女)待ってるよ。
うっ…!
鳩栗の大五郎は どこだ!
し… 知らねえ!
おら! おかね…。
深川 こその。 旅籠だ。
おかねさん 文蔵親分の敵を!
(助三)何…!? あ… いや…。
いや… 待ってくれ… なあ!
待ってくれ! おかね! 待ってくれ! お願いだ!
しかたがないんです!
甚助の奴に 文蔵親分を裏切れって 脅されて…。→
あっしは 鳩栗の大五郎が恐ろしくて…!
おかね… このとおりだ!
なあ おかね 許してくれ!
許してくれ…!
やあ!
こら!
寄るなよ おら! 殺すぞ!
どいつも こいつも 盗人のくせに格好つけやがって…。
動くな!
夜兎の文蔵… あんな老いぼれに ついてったって→
しゃらくせえだけだ。
だから こっちから 殺してやったんだよ。
・~
ああ~!
(うめき声)
おかねさん!
あっ…! うう…!
おかね…!
うう…!
ああ…!
おかねさん…。
よし あとの敵は 盗賊改が討ってくれるさ。
古道具屋をあたったものの→
何の手がかりも つかめなんだか…。
しかし 奴らは 何かを たくらんでいるはず。
・山田様!
「盗人の風上にも置けぬ奴らは 深川の こそのにいる」…。
旅籠ですよ 八幡裏の。
(戸を蹴破る音)
鳩栗の大五郎 神妙にせい。 盗賊改である!
鳩栗の大五郎?
私は そんな者じゃございやせんよ。
嘘をつくな! 嘘など申しておりやせん。
私は流れ者の香具師で 平右衛門。
何かのお間違いでございましょう。
や~!
(斬り合いの音)
御用だ! 御用だ!
手前!
や~!
・~
(指を鳴らす音)
(六之助)これが 上方一の錠前師が こしらえたものかい。
まずは 鶴の目を突く。
すると 亀がずれる。→
そこに 更に刺すと→
鍵穴が出てくる。
板ばねを 一つ一つ閉じながら 開ける。
お前は 大したもんだなあ…。
何たって 俺がこしらえた錠前だから。
何だって!?
じゃあ 上方一の錠前師ってのは…。
わいの事や。
・~
あと7千両…。
気を付けて下さいよ。
あっ! あっ! 富の市さん!
大丈夫かい? エヘヘヘ!
(おかね)アハハハ! まあ まあ。
・~
・~
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