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雲霧のお頭と一緒に 一度 仕事してえんだ。
<火付盗賊改 安部式部は→
自ら 盗賊 不知火の勇五郎に扮して→
ついに 雲霧仁左衛門との接触に 成功する。→
だが あと一歩のところで→
仁左衛門の巧みな動きに 翻弄されて→
召し捕る好機を逃した>
・~
お帰りなさいやし。
早速ですが 亀屋さんが伺いますので→
よろしくお願いします。
こちらこそ よろしくな。
土産じゃ。
岡田様。
ああ 村田か。 ご苦労さまでございました。
駿府は いかがでしたか?
フッ… いかがも何も 誰にでもできる務めじゃ!
どちらに致しましょう?
両方 もらおうか。
どうも ありがとうございました! お気を付けて!
先に 帰っていろ。
え? 旦那様?
お待たせ致しました。
釣りは要らぬぞ。 ありがとうございます!
<岡田甚之助 火付盗賊改方 与力であるが→
雲霧一党に目をつけられて 間者の役目をしている男である>
あっ 痛…。
これは 旦那。 何か?
あれに 「算者指南」とあるが…。
うん おいしそう!
あっ そうそう 旦那様!
どちらが似合います?
わしの来た時は 障子 雨戸を 閉めろと言っているだろう。
はい はい。
ねえ 旦那様。
今度 お芝居にでも 連れてって下さいよ。
うちで じっとしてるのは 退屈で…。
この暮らしの どこが不満なのだ?
旦那様…。
(風鈴の音)
お久しぶりでございます。
おう 亀屋。 熊五郎から聞いておる。
亀屋さんも お変わりなく。
どうぞ。 杯も持ってまいります。
お構いなく。
どうぞ ごゆっくり。
ここに囲ってやった時は 泣いて喜んだものだが→
暮らしに慣れると 贅沢になって困る。
このところ 名古屋の町奉行所と→
何やら やり取りがあると お聞きしましたが…。
お前たちが襲った 松屋が あれこれ 申し立てているようだ。
あなた様は 気付かれた様子は?
ない ない。
それで 安心致しました。
そちらから急用がある場合は この書き付けどおりに。
つなぎには これを。
ちょいと 使いを頼むよ。
あっ はい。 うん。
尾張の松屋から頂いた 1万両…→
あれだけでは 配下の者の引退金に 足りませぬか?
不足じゃ。
少なくとも あと1万両は要る。
その1万両が出来て 配下の者と別れたあとは→
何をなさる おつもりなのですか?
今は まだ言えぬが わし一人の大仕事が残っている。
私は どこまでも お頭に ついていきます。
それは ならん。
お前は まだ若い。
足を洗い 人並みの幸せをつかめ。
嫌でございます!
私とお頭は いつでも一つ。
お頭… 1人でする仕事なんて嫌なんです。
お頭に 万一の事があったら→
千代は 生きてはいられませぬ…。
お頭 千代は お頭のためなら…。
お千代。
私のような どこで生まれたか 分からないような者は→
人を お慕いしては いけないのでしょうか…?
・~
回想 (男1)覚悟 致せ! (男2)藩に盾つく気か!
(斬りつける音)
問答無用!
(女の悲鳴)
手向かい致すな!
逆らうか! (女の悲鳴)
女とて 容赦致すな!
神妙に 覚悟致せ!
手向かい無用!
(足音)
お頭。
どうであった? 岡田甚之助は。
はい。 心変わりの様子は 見えませんでしたが→
随分と 金遣いが荒くなったようで それが 気にかかります。
盗賊改の動きを知るには 便利な男じゃが→
安部式部に感づかれては 一大事。
目を離してはならんぞ。
お任せ下さりませ。
馬鹿野郎が! どこ見て 歩いてやがる!
汚れたじゃねえか! ああ!?
お役人様! お役人様!
これ。 ふいごの火の始末は 気を付けるがよいぞ。
…へい。 そりゃあ もう 気を付けますでございます。
しっかりとな。
・~
一刻後 市ヶ谷八幡町の萬屋へ…。
萬屋…。
・~
・(熊五郎)尾張より 文が?
お前たちに襲われ 1万両を奪われた 松屋善兵衛が→
金を送るゆえ→
雲霧一味召し捕りのために 役立ててもらいたいと…。
ほかには 何か?
山田藤兵衛が 長官と ひそかに密談をしているようだ。
その話の内容を 知りとうございます。
分かっておる。
10両か…。
安部式部が 山田藤兵衛と密談をな…。
その内容を調べてみると 申しておりましたが→
どうも 話を聞いておりますと 駿府に使いを命じられたり→
岡田は 遠ざけられているような様子で…。
そうか…。
安部式部という男は まこと 底知れぬ知恵の持ち主だ。
既に 岡田に 疑いをかけておらぬとも限らん。
これから 岡田とのつなぎは 慎重に かかるのだ。
よいな。 (熊五郎)はっ!
川崎万右衛門の向かいの 筆屋のおやじの話では→
その離れに住んでいるのは→
八重という名前の まだ若い女だそうな。
岡田甚之助は 岡村と呼ばれているとか…。
あの人は 以前から 面妖だと思っておりました。
時々 昼酒を飲んでいたり。
どう考えても そんな ゆとりが あるはずもないというのに…。
まして 女を囲う金などあるはずは…。
うん…。
何者かが 岡田に 金を渡しているように思われる。
我々の知らぬところで 岡田は一体 何をしておるのだ…。
やあ 遅うなって。
あ~… わしにも 茶をくれ。
おう すまんな。
近頃は めったに会わぬな。
藤兵衛殿は 長官の信頼が厚いため 忙しすぎるゆえになあ。
そのような ひがんだ物言いは やめてくれ。
ひがんでなどない。
お主の仕事ぶりには 頭が下がる思いだ。
お主に そう言われると 少しは 気が楽になった。
藤兵衛殿に聞きたい事が あったのだ。 うん?
名古屋では 雲霧に さんざんな目に遭わされたとか。
うむ… あと一歩というところまで 追い詰めたのだが→
あまりに 手勢が少なかったのだ。
そうか。 では また一から 探索のやり直しだな。
いや 雲霧一味と戦った事で→
敵を知る事ができた。 なるほど。
高瀬などは 雲霧の一味と剣を交えた。
本当か?
高瀬に 詳しい話を聞いてみよう。
高瀬は 今 市中見回りだ。
・~
山田様。
私に つけさせて下さい。 うむ。
頼んだぞ。
・~
(岡田)ふいごの火の始末は 気を付けるがよいぞ。
(村田)その鋳掛け屋に 火の始末を注意した後→
萬屋という料理屋へ入りました。
(藤兵衛)長く いたのか?
(村田) いえ 一刻ほどで出てきました。→
それから後は 算者指南の 川崎万右衛門の離れへ…。
(藤兵衛)岡田甚之助の事で ございますが…→
いささか 振る舞いが 腑に落ちませぬ。
以前 牢から出火した折→
因果小僧六之助だけが 逃亡するなど→
不審な点が数々ありましたが→
岡田が 雲霧に 意を通じているとすれば→
辻褄が合います。
うん 確かに 岡田には おかしな振る舞いが見受けられる。
(戸をたたく音) おたの申します!
よっ。 よっ。
尾張名古屋の 松屋の者でございます。
お届け物を。 さあ。
尾張より 金を送ってまいった。
金を?
いかにも。
雲霧に襲われ 1万両を奪われた 松屋善兵衛が→
雲霧召し捕りのための資金に 充ててもらいたいとな。
そのようにござりまするな。
うむ? もう聞き及んでいたか。
あっ いえ…。
見てのとおり 千両ある。
それは また 豪儀な事でござりまするな。
フッ…。
松屋は→
江戸から お千代という女を連れて 名古屋へ戻り→
婚礼を挙げる寸前に 雲霧に襲われた。
金に代え難い お千代を…。
雲霧は お千代を さらっていったという。
はあ…。
松屋は よほど 雲霧を恨んでいるのであろう。
さようでございましょうな。
だが その実 お千代は→
盗人どものいう引き込みでは なかったかと思うのだが→
その方 どう見る?
さて それは…。
…ハハハハハ。
お主は 名古屋に同道しておらぬゆえ→
分かりにくい話であったの。 はっ…。
そんな事より お主に相談したかったのは→
この金の使いみちじゃ。
それは 長官の思いのままに…。
ならば この金は→
雲霧召し捕りにあたって 手柄をあげた者への→
褒賞に充てようと思う。
褒賞? うむ。
一番手柄の者には 3百両を出してやろうとな。
はあ…。
どうじゃ? これで やりがいも出ようというものぞ。
・~
茶代 ここ 置くぞ。 はい。
・~
この鍋 お願い。 あ… へい。
また 後で来ますから。
今 岡田の旦那が→
あの鋳掛け屋と目を合わせてから 通り過ぎやした。
村田さんが 後をつけたのだな。
つい先日も つなぎがあったばかりだ。
小頭に そう言ってくれ。
岡田の様子が おかしいとな…。
・~
声をかけるまで 何も出さずともよいぞ。
はい。
・~
州走りがな…。 はい。
州走りは 勘働きの人一倍優れた男。
お頭 岡田甚之助の身の上に 何か あったのでは?
2日の間に 3度ものつなぎ→
こいつは もしかすると…。
式部が 岡田に罠を仕掛けて 泳がしているやもしれん。
州走りは それに気が付いたのだ。
岡田は 恐らく 盗賊改に見張られている…。
(足音)
俺も こう 度々 お前たちと会っている以上→
いつ 露見するやもしれぬ。
そう思うとな いくら酒を飲んでも 眠れぬ。
いっそ…→
雲霧の一味に 入ってしまおうかとも考えておる。
俺を 雲霧に会わせてくれぬか?
ハハハ そいつは…。
俺を信用せぬというのか?
おい!
俺は お前の事も 吉五郎の事も 鋳掛け屋の利助の事も→
みんな 知ってるんだ。
俺が ひと言 式部に しゃべってしまえば→
どうなるか 分かっていよう。
それを ひと言もしゃべらずに 黙っているのだ。
俺を信用せぬのか? えっ?
雲霧に会わせてくれ…!
そいつは 俺の一存じゃ 返事はできやせん。
少し 待っておくんなさい。
(岡田)また つなぎをとる。
(熊五郎)身の回りには 気を付けておくんなさいよ。
分かっておる。
今日は お八重さんのとこに 寄っちゃいけませんぜ。
余計な お世話だ。
ようござんすね。
(小石が落ちる音)
・~
もう いいかい?
もう いいよ!
あっ! 梅ちゃん 見つけた!
・~
(女の子)あっ。
し~っ!
(女の子)あっ 待て!
・~
盗賊改方だ。
手向かい致さば 斬るぞ!
・~
あっ…!
・~
あ…。
あ… あ…。
(倒れ込む音)
(風の音)
申し訳ありません…。
とっさの事で つい→
盗賊改方の同心を 手にかけてしまいました…!
よい。 やらねば お前が殺されていた。
はっ…!
それより 岡田が わしに会わせろとな…。
はい。 会わせぬなら…→
組織の一部を しゃべるぞと…。
言ってみたら 脅しを…。
もしかしたら 盗賊改が承知で 泳がせているのではないかと→
不安になって→
つける気になったところを…。
危ういところだったな。
州走り 傷の手当てを。
はっ…!
(ため息)
(高瀬)なんという事だ…。→
村田さんは 岡田様をつけていて→
このような目に…!
この脇差しで一突き…。
村田様のものでございました。
岡田の様子を見ていると→
自分をつけたために 村田が殺されたと→
気付いてはいないようだ。
殺害したは 雲霧一味じゃ!
やはり 岡田様と雲霧一味が 通じていると…?
そうだ!
我らが 岡田甚之助に 目をつけている事を→
きゃつらも また 知ったに違いない。
…となると→
雲霧一味は 岡田様を 始末しようとするでしょうね。
うむ…。
(戸が開く音)
村田を殺した下手人は 捕らえたのか?
目星は?
何者の仕業かは 知らぬ。
だが… だがな→
下手人は 卑劣な奴に違いない!
・~
回想 (式部)一番手柄の者には→
3百両を出してやろうとな。→
どうじゃ? これで やりがいも出ようというものぞ。→
3百両 3百両…。
・~
・岡田です。 火急の用にて ご相談したく参りました。
うむ 入れ。
(戸が開く音)
相談とは 何だ? はっ!
実は私 以前より内密に→
雲霧の探索を 続けておりましたが→
そのかいあって 昨今 ようやく 雲霧一味と思われる者に→
近づく事ができました。
さようか。
…で? そやつらは?
はい。
商人と偽りおりまする 吉五郎。
古着屋と偽りし 熊五郎。
鋳掛け屋の利助。
まずは この利助を捕らえ→
雲霧仁左衛門の所在を 吐かせてはどうかと。
うん…。
即刻 出役のご裁可を。
よかろう。
(走る足音)
(岡田)神田旅籠町!
利助! 盗賊改だ! 神妙にせい!
旦那 ざれ言はよして下せ…。
利助 逃げよ。
(悲鳴と走り寄る足音) あ…!
お前らは 向こうへ回れ!
(一同)はっ!
・~
あっ!
あっ 旦…。
あっ…! う…。
岡田様!
あ… あ…。
なぜ 殺したのです!?
やっと つかんだ 手がかり 失ったではありませぬか!
盗人を 両国橋に さらせ~!→
さらせ~! さらせ~!
利助が 岡田に殺された?
岡田の奴…!
もう少し 早く気付いていれば 逃がせたのですが→
私が行った時には 既に 虫けらのように 利助を…!
岡田と つなぎをとっていた お前たちは すぐに身を隠せ。
お頭… 岡田をどうしやす?
明日になれば 捕まりましょう。
捕まれば 吐くだろうな。
お頭!
ご苦労さまでございます。
(読経)
こちらへ どうぞ。
(読経)
長官… では 通夜に雲霧が動くと?
賭けじゃ。
敵も 当方の動きを 知っているとすれば→
必ず 何か動きがあろう。
まさか 通夜の最中に わしが 岡田を捕らえる訳にもいくまい。
敵も 同様に考えるはずじゃ。
さすれば 通夜が終わるまでに→
岡田に対して 何らかの動きがあるはず。
それに賭けるのじゃ。
頼んだぞ。 はっ。
だが 雲霧といわれるほどの一味一党→
どんな手で来るのか 全くもって 見当もつかぬ。
・~
(読経)
・~
葛飾の百姓で→
喜久造という人の家を 訪ねていくんです。
これから すぐに。
そうしないと 岡田様に 迷惑がかかる事になります。
さあ 急いで!
はい…。
あの… 岡田様に何か?
それは…→
いずれ お話しする時もありましょう。
今は とにかく お支度を。 さあ!
・~
(読経)
岡田様。
・~
あっ。
八重の? はい。
身寄りはないと聞いていたが…。
叔母でございます。
手紙をもらって 訪ねてめえりましたが→
どういう訳だか→
一緒に田舎へ帰りたい→
ついては 岡田様に ひと言 お別れが言いたいと→
にわかに言いだしまして→
表の方で…。
どうしても お別れが言いたいと 先ほどから泣いておりますので…。
(すすり泣き)
八重。
どうしたのじゃ?
貴様は…。
わしに 用があるそうだな。
あんたか。 あんたに話がある。
・~
雲…!
山田様!
どけ! どけ どけ!
雲霧だ! 捜せ! 捜せ 捜せ 捜せ~!
(一同)はっ!
・~
あっ! アイタ アイタ…。
お松さん もうろくしたなあ。
あんたに言われたくないわよ!
いたぞ~! お松さん!
・~
(いななき)
長官。
雲霧仁左衛門…。
・~
なんとしても 召し捕れ!
・~
・~
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