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おかえりなさいませ。
お前さんも シャレがきついな。
まさか こんなものを 差し入れてくるとは→
思わなかったよ。
久々の娑婆の空気に浮かれて→
戒めの気持ちを 忘れてしまわぬようにと。
ありがとよ。
晴れて ご出所 おめでとうございます。
『週刊フォトス』の風間と申します。
俺を取材するつもりかい?
もう させてもらってます。
まずは 出所のご感想を。
出所ったって 仮だからな。
まあ 浮かれる事なく 日々 受戒の念を持って過ごそうかと。
そのお召し物は そういった決意の表れですか?
これは この人に頼んだら→
こんなものを 差し入れてきやがったんだよ。
よくお似合いですよ。
せっかくですから ツーショットも1枚。
失礼ですが→
瀬戸内先生の…。
ご覧のとおり コスプレ仲間ですよ。
は? ハハハ…。
おはようございます。
あっ おはようございます。
元法務大臣 瀬戸内米蔵が 出所しましたね。
きれいな尼さんが 出迎えたらしいです。
身元引受人だそうですよ。
蓮妙さんですねぇ。
瀬戸内さんとは 兄弟弟子の関係です。
ひょっとして 瀬戸内米蔵を取っ捕まえたの→
右京さんですか?
強請り取った金で人助けですか。
きれい事を言ってる間にも 失われていくんだぜ 命が。
救える命がだ。
元法務大臣でいらした あなたは 法を犯した。
決して許されるべき事では ありません!
結果的に そういう事になりましたが→
瀬戸内さんと出会ったのは それよりも ずっと前の事です。
その後 蓮妙さんとも→
ひょんな事から お目にかかる事になりました。
これですけどね。
なるほど これですか。
でも 幽霊が抜け出したりは しませんよ。
出ない? 不思議な掛け軸があると聞いて→
矢も盾もたまらず やって来たんですがねぇ。
瀬戸内さんに からかわれたんですよ。
本当 あの人は いたずらがお好きですから。
そうですか。 出ませんか…。
そうですか…。
瀬戸内米蔵って 意外と評判いいんですよね。
横領罪で懲役10年食らうぐらいの 立派な罪人ですけど→
その大義名分には賛同者も多い。
政府の腐敗で 日本からの支援物資が→
飢えた民衆に 届いていない事を憂いて→
やむなく行った犯罪 ですからねぇ。
ネットでも 同情論が 多く見受けられますね。
俺は 世間ほど 瀬戸内米蔵を 評価しませんけどね。
そうですか。
死刑制度に反対するのは勝手。 だけど それを理由に→
執行命令書に サインしないんだったら→
法務大臣なんか引き受けるな。 そう思いません?
それは また 随分 昔の話ですね。
ええ 昔です。
法務省の役人として 大いに憤った事 思い出しました。
なるほど。
うめえ。
相変わらず絶品だな。
出張して たてて差し上げたんですから→
高くつきますわよ。 ああ。
お前さんには→
礼を言わなきゃならねえ事が 山ほどある。
はい? そんな大げさな…。
いや 長らく 主のいなかった この寺を→
ずっと気にかけてくれてた。
何より それに感謝してる。
いいえ。 結局 行き届かずに荒れ放題。
むしろ お詫びしたいぐらい。
そんな事はねえ。
この寺は まだ死んじゃいない。
お前さんのおかげだ。
これからはな 俺が この寺の再興を目指して→
余生を送るさ。
≪
≪ごめんください。
おお!
ご無沙汰をしております。
本気かい? はい。
聞いたかい?
出家したいんだとさ。
さあ どうぞ。
いただきます。
どうして そんな気になった?
縁起だと思います。
縁起とは こざかしい事をおっしゃいますな。
議員を辞職なさったり→
嫌な事も いろいろ おありだったんでしょうけど→
一時の気の迷いという事も ありますから→
よくお考えになったほうが…。
決心は変わりません。
どうか お願い致します。
なあ 雛ちゃん。
いい加減 その呼び方 やめてもらえませんか?
よちよち歩きだった 雛ちゃんですけど→
もう28になりました。
こりゃ 失敬。
ねえ 片山先生。
俺はね 小松原が なぜ 急に死んじまったか→
その訳は知らねえ。
けど 多分 片山先生→
俺は 今 あんた以上に参ってる。
何しろ 付き合いが長かったからね。
あんたの親父さんが 初当選した時以来だから→
かれこれ30年になる。
その小松原が この間 俺に耳打ちしたんだ。
えっ?
悩んでたよ あんたの事を。
ひどく案じてた。
親父さんの選挙区を引き継がせて この世界に引きずり込んだのは→
失敗だったと 後悔もしてた。
なんだか わからないでもねえなあ。
失敗かどうか結果が出るのは→
もっと ずっと先ですよ。
驚いたな。
長らく見ねえうちに すっかり薄汚れちまった。
政治の世界は そういうところでしょう?
あなただって そうでしたよ。
今は しばらく離れてたせいか 多少マシになりましたけど。
だから引き受けたんですか? 得度を。
うん。
このまま放っとけない気がしてな。
あら!
わざわざ こんな面を 拝みに来てくれるとは→
ありがてえな。
その節は ご無礼致しました。
いいえ こちらこそ。
ああ… 雀蓮さんは お元気ですか?
おかげさまで 息災にしておりますよ。
そうですか。
私… 人殺しですかね?
さあ… その答えは あなたが→
ご自身で もう出されているんじゃ ありませんか?
だから 出家をなさった。
なんで… 私を…→
ちゃんと産んでくれなかったの?
わかってる。
誰のせいでもない。
けど…。
私のせいでも… ないよね?
冠城くんって言ったっけかな? はい。
なんか俺に文句があるんだって?
さっき 杉下くんから聞いたけど。
≫和尚さん。
おお~! 臣吾か。
どうも。
週刊誌見て 無性に懐かしくなっちゃって。
高校 途中で辞めて しばらく海外を放浪してました。
ユーラシア大陸 横断しちゃったりして。
で 今は?
立派なフリーターですよ。 ふ~ん。
まあ 他人様に 迷惑をかけてねえだけ→
上出来とするか。
前科者に そんな事 言われたくないな。
ハハハ…! この野郎。
悪いな すっかり手伝わしちまって。
いえ。 なんか 随分 歯抜けになってますね。
仏さんたちには 引っ越しを願ったんだ。
まだ残ってるのは→
血縁の途絶えちまった 無縁仏だけだ。
ああ~…。
ああ…。
どうしたい?
いや ここだけ 随分 発育いいなと思って。
スコップありましたっけ?
納戸にあるが…。
取ってきます。
掘るのかい?
よし かかれ。 はい!
久しぶりだね。 元気そうだね。
おかげさまで。
瀬戸内さんも お元気そうで。
規則正しい生活を送ってたせいか すこぶる元気だね。
110番して頂ければ よかったんですがね。
うん?
白骨遺体発見の通報ですよ。
警部殿に直接通報頂くよりも→
様々な対応において→
110番して頂いたほうが よかったかと。
ん? 次から そうしよう。
あっ 紹介しよう。 常盤臣吾だ。
檀家総代のせがれでね→
ああ… ガキの頃からの知り合いだ。
警視庁の杉下くん 冠城くん→
伊丹くんに芹沢くんだ。
常盤です。 よろしくお願いします。
まあ 厳密に言やあ 彼が白骨遺体の第一発見者だ。
厳密というと?
ここ掘れワンワンじゃねえが→
いきなり スコップを 持ち出したかと思うと→
見事 白骨遺体を掘り当てた。
説明するなら 正確にしてくださいよ。
別に 僕は 犬みたいに 鼻が利くわけじゃありません。
植物です。 植物?
あそこだけ 明らかに雑草が密集してて→
発育も良かったんですよ。
つまり 養分になるようなものが 埋まっている可能性があると。
ええ。
失礼だけど 学者さんか何か?
いえ 僕は ただのフリーターです。
海外で教わったんです。
遺体をビニールとかで包まず そのまま埋めると→
植物がよく育つって。
どんな旅したら そんな事 教わるの?
内戦地域に足を踏み入れて 反政府軍の傭兵として戦った時→
仲間の兵士が教えてくれたんです。
言われて掘ったら 本当に遺体が埋まってて→
ほとんど百発百中。
ああ… おい おい なんかわかったか?
ハハハハ… わかるわけねえだろ。
おとなしく待ってろよ。
だから こうして待ってんだろうがよ!
まあまあ…。 あいつ→
あんた方に この現場の主導権 握られたみたいで→
ご機嫌斜めなんだよ。 はい?
いつもは あんた方が あとから追っかけてくるのに→
今回 逆だったろ。 それが気に入らねえのさ。
我々 主導権なんか握ったつもり ありませんから ご安心を。
いつもどおり→
周り うろちょろ させてもらいますからね。
クッ…。
110番してくださってりゃ よかったのに~。
ああ 次から そうしようと 言ってんじゃないか!
埋めて1年から2年 といったところでしょうかねぇ。
ご覧のとおり 頭部は すっかり 髑髏状態で→
人相は全くわかりません。
性別は男子。 推定年齢は20から30代。
身ぐるみ剥がされて 埋められたようで→
所持品も含め 身元特定に繋がりそうな遺留品は→
一切発見されておりません。
となると 死因も…。 不明です。
ああ…。
まずは 死体遺棄事件として 捜査を進めるしかないな。
先に外を撮っといてください。
じゃあ 出来たら教えて。
どうなってんだ おい。
もうちょっとしたら 出てくるんで。 はい。
どう思います?
行き当たりばったりだとは 思えませんね。
同感です。
来た 来た…。 早く 早く 早く…。
ひと言 お伺いしても よろしいですか?
瀬戸内さんの 身元引受人の方ですよね?
白骨遺体の件で いらっしゃったんでしょうか?
ごめんなさい。
私 遺体の件に関して 何も存じ上げないんですよ。
何か少しだけでも…。
あら あなたも大変ね。
私は別件で。 別件って?
そう。 じゃあ 私についてらっしゃいな。
蓮妙さん。
すいません 蓮妙さん ひと言 お願いします。
すいません。 今回の事件で→
何か 心当たりは ございませんでしょうか?
戻ってきたら 何やら騒ぎになっていたので→
のぞいてみたら あなたが…。
どうして 君だけ特別扱いなの?
特別だからですよ。
みんな 知り合いかい?
ええ。 ええ。 ちょっとしたご縁で。
白骨の取材は受けねえよ。
外の連中も そう言って閉め出してるんだ。
お前さんだけ受けたら 不公平になるからな。
違うんですって。 何が?
私は 得度の事でお邪魔しました。
片山元官房副長官の得度を お引き受けになったというのは→
本当ですか?
片山って 片山雛子? ええ。
お前さん 地獄耳だな。
あの… 彼女 出家するんですか?
数日前に頼みに来たんだ。
雛ちゃんとは知った仲って 口ぶりだな。
ええ。 彼女とも ちょっと ご縁がありまして。
ああ…。 まあ 杉下くんとも 旧知の仲だしな。
ええ。
お引き受けになったんですね?
だとしたら なんだってんだい?
得度の様子を 取材させて頂けないかと。
どうせ 面白半分に 取り上げるんだろうが→
まあ 嘘は書かねえと 約束するんなら 好きに取材しな。
ありがとうございます。
片山雛子 尼さんになるんですって。
驚きましたね。
「今日 昼前→
東京都 阿伎高の寺 徹正院の墓地で→
土の中に埋められた 男性の遺体が見つかりました」
「遺体は 半ば白骨化しており→
現在までのところ 20代から30代の 男性である事以外は→
何もわかっておりません」
「捜査関係者によりますと→
遺体の身元や死因を特定する 手がかりなどが一切ない事から→
捜査は難航しているとの事です」
「阿伎高署は 男性が なんらかの事件に巻き込まれ…」
それはそうと お前さんたち 帰ったんじゃなかったのかい?
会議があるからって。
それは 伊丹芹沢 捜一コンビ。
我々は 捜査会議 免除されてるんで。
で なんで舞い戻ってきたんだい?
実は 辺りを ぐるぐる 走り回っていたんですがね…。
土地勘のない者が ここに遺体を埋められるかと。
この辺りの事を 全く知らない人間が→
たまたま ここを通りかかっただけで→
遺体を埋めるのに ちょうどいい あの場所を発見出来るかって。
お寺があるのは すぐにわかります。
しかし それだけで→
院内墓地に遺体を埋めようとは 普通 思いません。
都合よく埋める場所など 見つからないでしょうし→
仮に埋める場所が見つかって 埋めたとしても→
すぐに発見されてしまう でしょうからねぇ。
なるほど。 つまり 条件としては→
住職が長期不在の寺で→
かつ また 墓地に 遺体を埋めるスペースのある事。
ここが その条件を 満たしている事を知らないと→
埋められないのではないかと。
とどのつまりは→
この寺にゆかりのある人物の仕業 って事かい?
その可能性は 大いにあると思います。
この会話 オフレコで。
あれ? こんなたくさん…。 庵主さんは聞いてたけど。
臣吾だ。 でかくなったろう?
本当に。
お久しぶりです。 庵主さんは 相変わらず おきれいで。
あら やだ。 言うに事欠いて。
誰?
第一発見者。
これじゃあ ちょっと 量が心許ないんで→
余分に作るから待ってて。
ああ 我々は大丈夫ですよ。 もうお暇しますから。
時分時ですから 引き揚げましょう。
それじゃあ また 改めてご連絡します。
あっ… っていうか ここは電話通じてないし→
先生 携帯 お持ちじゃないですか?
出所したばかりで んな上等なもんはねえよ。
さっきの彼ですけど…。 うん? 臣吾くん?
疑ったりしてるんですか?
警察は とりあえず 第一発見者を疑うでしょう?
それに 彼→
お寺に ゆかりのある人物に 当てはまってるし。
どうですか? さあ…。
それはさておき おなかがすきましたねぇ。
夕飯 ご一緒にいかがですか? ええっ?
お待たせ致しました。
わあ 美味しそう。
お口に合うといいんですが。
うん 美味しい。
風間さん 僕は あなたが うらやましいですよ。
はあ? なんですか? 藪から棒に。
瀬戸内さんいわく地獄耳。 そんな耳が僕も欲しい。
あれば どれだけ捜査に役立つか。
こういう事 言い出す時って 何か魂胆ありますよね?
そもそも 何か魂胆がなきゃ→
君を夕飯に誘ったり しないでしょう。
そっか…。
聞きたい事があったら 単刀直入におっしゃってください。
回りくどいの やめて。
そうですか? では お言葉に甘えて。
片山さんが出家するという情報は どこでお知りになったんですか?
そんなの聞いたって 答えるわけないじゃないですか。
君も 彼女に聞きたい事が あったのではありませんか?
答えっこないから 聞くだけ無駄ですもん。
なんですか?
じゃあ 聞くけど→
瀬戸内米蔵の出所日 どうやって知ったの?
受刑者本人にすら 直前まで知らされないからね。
一番先に知るのは身元引受人。
とにかく 関係者でもない君が 事前に出所日を知って→
刑務所前で待ち構えるなんて 普通 出来っこない。
ええ 僕もそれを 大いに 不思議に思っていたのですが→
先ほど あなたが→
片山さんの出家情報を つかんでいると知って→
謎が解けました。 情報源は…→
どちらも片山雛子。
片山さんならば 彼女のルートで→
瀬戸内さんの出所日をつかむ事は 不可能ではありませんし→
出家については ご自身の事ですからねぇ。
違いますか?
相変わらず 杉下さんらしいわ。
いいわよ 別に。
犯罪を犯そうってわけじゃ ないんだから。
あっ それから 瀬戸内先生には 取材許可 頂けました。
おう。 あっ おかえりなさい。
おい これ…。
すごいぞ。
あっ 刑事さん来てるよ。
ああ…。
檀家名簿をかい?
拝借願えないかと。
捜査に必要なのかい? ええ。
駄目だよ 和尚さん 簡単に名簿なんか渡しちゃ。
今は個人情報の扱いに うるさいんだから。
君は黙っててもらえるかな。
せめて 令状と引き換え。
どうしてもというなら 令状を取りますけどね。
そんな形式的な事で→
裁判所の手を 煩わせる事はないかと。
申し訳ねえが 檀家名簿は ねえ。
不徳の致すところで 捕らわれの身となるんでな→
檀家衆には詫びて 寺を移ってもらったんだ。
その時に 名簿も処分した。
おい 誰か来たぞ!
片山雛子じゃない?
片山さん どうして こちらへ?
片山さん 事件との関連は あるのでしょうか?
リハーサルとかは ないんですか?
初心な感動を削ぐ事になるから そういうのはしないって。
必要な指示は その都度 出すようにするから→
あなたは ひたすら 無心に式に臨みなさい。
わかりました。
おい こいつは いいおもちゃだ。 すっかり はまっちまった。
お前さんの動画も見たよ。
「私たちは 新世界の秩序を実現すべく→
既成概念にとらわれず 強い日本を実現致します」
お前さん もうちょっと 思慮深い人間だと思ってたが→
なんだい この会見は。
幼稚で 見ちゃいられねえ。
「質問を返すようですが→
私たち2人が 並んでいる姿を見て→
“敗北"という言葉が 浮かびますか?」
現職の総理に 喧嘩を売ろうってんで→
浮き足立ってたのかい?
確かに この時は 気持ちが高揚していて→
自分を 見失っていたのかもしれません。
まあ いいさ。
みんなな すねの傷が痛くて 御仏にすがるんだ。
お前さんも そうだったもんな。
私を引き合いに 出さないでくださいな。
絶望的な挫折感を味わったのは→
生まれて初めてでした。
何かに すがりたいと 思った事も。
おや これはこれは。
お久しぶりです。 どうも。
白骨遺体の捜査…。 得度式の…。
あっ… ここは レディーファーストで。
それじゃ…。
白骨遺体の捜査でしょ? 進んでますか?
いいえ ちっとも。
相変わらず 遺体の身元も死因も わからない状態ですからねぇ。
あっ…。 どうも。
あれ? 君 ここに居座ってるの?
ボランティアのつもりで。 とにかく荒れちゃってますからね。
では。
どうかなさいましたか?
彼 どこかで見た事ある。
はい?
どこだったかは 思い出せないけど…。
それじゃ。
あっ ちょっと… 僕の質問は?
そう 得度式の打ち合わせよ。 以上。
どうかした?
いつ 解除されますかね? 手入れ出来ないから。
事件解決の道筋がつかないと ずっと このままでしょうねぇ。
身元すら まだわからないんですか?
お手上げです。
日本の警察は優秀だっていうけど 案外 だらしないですね。
おはよう。
あっ おはようございます。 おはようございます。
おい 見たか? これ。
あっ… あれ? 抜かれてますね これ。
片山雛子 多少 年は食ったが なんたって あの美貌だ。
尼さんになるなんて聞くと ゾクッとするな。
抜かれたって なんだよ? いえ…。
風間楓子は 独占のつもりで→
片山雛子に 協力してたわけでしょう?
ええ 恐らく。
そりゃないですよ…。 言っちゃうなんて。
仕方がないわ 記者に囲まれちゃったんですもの。
でも まさか お寺が 事件現場として注目されるなんて→
想定外だった。
囲まれたって とぼけてたら済むじゃないですか。
それこそ 事件が気になって来たとか…。
瀬戸内さんとは 昔からのお知り合いなんですから。
そんなに怒らないでよ。
独占には ならなくなっちゃったけど→
あなたを特別扱いするから 安心して。
さあ これで 照妙和尚の出来上がり。
さすがに 身が引き締まるな。
おっ どうしたの?
ちょいと着てみたんだ。 得度式も もうすぐだしな。
「馬子にも衣装」だね。
フフフフ…。
課長 郵便物です。
ご苦労さま。
ヤロポロク…。
うん うん… ふーん。
…っていうか→
こんなの渡されたって 読めませんよ。
なんて書いてあるんですか?
誰?
坊谷一樹。 公調の職員。
公調の?
この間 瀬戸内米蔵のお寺で 発見された白骨遺体が→
この坊谷一樹。
えっ…?
…だと書いてあるの。
で?
はい?
そろそろ本題に。
世間話するために 呼び出したわけじゃないでしょ?
思い出しましたか? えっ?
今 瀬戸内さんのところにいる 常盤臣吾くんですよ。
どこかで見かけたような事を おっしゃってたじゃありませんか。
ああ…。
まだ思い出さない。
…というか 思い出そうとも してなかったから。
思い出して頂けませんか? どうして?
思い出さないと 気持ちが悪いというか…。
フフッ…。 何も 杉下さんが 気持ち悪くならなくても。
いずれにしても 思い出さないままだと→
気になって 夜も眠れません。
僕を助けると思って 真剣に 思い出してくださいませんか?
駄目。 思い出せない。
でも 杉下さんが そんな事 言うから→
気になってきた。 このままじゃ気持ち悪い。
言い出した手前→
僕も ただ じっと眺めているだけでは→
申し訳ないので ヒントを出しましょう。
ヒント?
あなたは 「どこかで見た事ある」と おっしゃいました。
彼 どこかで見た事ある。
つまり 会ってはいない。
少なくとも 至近距離で まみえたとは→
考えづらい。
その時 両者には それなりの 距離があったように思えます。
何かのパーティーで 見かけたのかしら?
可能性はありますねぇ。 しかし 距離といっても→
空間的な距離ばかりとは 限りません。
えっ?
意識的な距離感とでも 言ったらいいのでしょうか…。
すなわち 写真などで見た記憶 という場合も。
…ああ!
思い出しましたか? ええ。
ここです。
うーん… 1年半近くも留守にすると→
空気が よどみますね。
どうだ?
うん… 試料になりそうなものは→
いくらでもある。
特命係の冠城亘。
あっ おはようございます。
おはようございます。 おはようございます。
お待ちかねの鑑定結果だ。 超特急便だぞ。
いやあ さすがというか なんというか…。
後学のために どうやって突き止めたのか→
教えてくださいよ。 はい?
「はい?」って…。
DNAの照合結果ですねぇ。
白骨遺体の身元が割れましたか!
坊谷一樹。 公安調査庁の職員ですね。
何 しらばっくれてるんですか。
杉下警部の指摘があったから 我々 調べたんですよ。 ねえ?
先ほどから どうも 話が見えないのですがねぇ。
はい? お前 警部殿の名推理で→
白骨遺体が 坊谷一樹っていう 行方不明者だと わかったから→
早急にDNA鑑定しろって 言ったよな?
無断で 杉下右京ブランドを使いました。
杉下右京ブランドって?
警部殿の推理っていうのは 嘘か!? 俺の推理って言ったら→
鑑定してくれました? するか!
ねっ? だから 杉下右京ブランドで…。
杉下右京ブランドなるものが 存在するかは置いておくとして→
とどのつまり 君は 僕の名前を 利用したという事ですね?
大変お世話になりました。
でも いいじゃないですか 小さな嘘ぐらい。
こうして 身元が わかったんだから。
…っていうかさ まさか 本当に君の推理なの?
ねえ? ねえ!
あっ 冠城です。
例の件ですが DNA鑑定の結果→
間違いなく 坊谷一樹と判明しました。
約束どおり 公表していいですね?
ええ。 はい。
誰? 誰?
社課長です。 社美彌子?
社美彌子のところに届いた ヤロポロクからの手紙に→
そう書いてあったって事か?
ええ。 もっとも 俺 ロシア語 読めないんで→
社課長によると… って事ですけども。
社さんは 事の真偽が定かでないうちは→
ヤロポロクから届いた書簡を→
公にしたくなかった。
つまり そういう事ですかね?
そうです。 気持ちは わかるでしょう?
「坊谷一樹は 君の身辺を嗅ぎ回っていたから→
こうなったのだ。 自業自得だ」
「しかし 気の毒ではある」
「彼を供養して 家族の元へ帰してやって欲しい」
「宜しく頼む」
「僕は いつも君の傍にいる」
「Y.A.」
この手紙が 2通目だと言ったね。
エアメールではなく 国内郵便で?
ロシア語講座の ダイレクトメールに潜ませる形で→
届きました。
つまり ヤロポロクは 日本国内にいるという事か?
正式に調べて頂けませんか?
1通目の時も 自分なりのつてで よほど調べようかと思いましたが→
踏みとどまりました。
娘の件も含めて ヤロポロクとの事は→
まだ秘密にしていましたから。
「僕は いつも君の傍にいる」
そんなはずはありません。
あの男は 亡命して アメリカ本国にいるはずです。
1通目は まだ手元に? はい。
君を ひどい目に遭わせた男の→
ストーカーまがいの手紙を 今も手元に?
一種の証拠物件ですから。
日本にいるはずのない男からの 思わせぶりな手紙…。
いずれ 真相を解明するのに 必要になるかと思って→
保管していました。
それも提出してもらえるかな?
はい。
この手紙によると 公安調査庁の坊谷一樹は→
君を監視していたようだが それについては?
全く気がつきませんでした。
今 公安調査庁に 警視庁の方が見えてるらしい。
坊谷一樹氏が 社美彌子を監視していた疑いが→
浮上していますからねぇ。 その確認でしょう。
いずれにしても 直接 会って 話をしてみる。
信用出来ますか?
今は 警視庁の人間でしょう。
大丈夫だ。
もっとも 公安調査庁を洗ったところで→
何も出てきやしないと 思いますが。
どうせ 坊谷一樹は 次官の差し金でしょう?
田臥の一件と同様。
僕は 法を犯す者を許せないんだよ。
発見したら退治しようとするのは 当然だろ。
いつでも受けて立ちますよ。
お前には 手の内を いろいろと知られているから→
やりにくいな。
実はね 冠城にも社美彌子の監視を 頼んでいたんだよ。
ところが 彼は 僕を裏切り 社美彌子側についたようだ。
面従腹背が彼の得意技だから 君も気をつけたほうがいい。
肝に銘じましょう。
それよりも なぜ あなたが 社美彌子を監視しようとしたのか→
それを伺いたいですねぇ。
社美彌子は 公安調査庁不要論を 強く支持しているからね。
我々にとったら 敵のようなもんだ。
警察関係者の多くは 公調を不要と思ってます。
彼女が特別ってわけじゃない。
そりゃそうだ。
…が もしも ロシアのスパイと 通じていたならば→
ある意味 彼女は特別だ。
少なくとも 確認したくなって 当然だろう。
彼女を潰すために?
事実だったならば 潰すまでもなく 潰れるよ 普通。
しかし 彼女は→
それらが公になった今も 潰れていない。
うーん… どうなってるんだろうね 警察は。
まあ それは さておき…。
坊谷一樹氏の 行方不明者届を出す時→
坊谷氏が あなたの密命を帯びていた事を→
警察に伝えていれば→
恐らく 坊谷氏は 一般行方不明者ではなく→
特異行方不明者として その時点で 捜査が開始されていたでしょう。
そうなれば…。
結果が違っていた? 一般行方不明者だと→
事実上 警察のデータベースに登録して→
公表されるだけですから。
解説 どうも。
だから 僕を非難していたのかな?
大義名分は いろいろ おありでしょうが→
多少なりとも 責任をお感じになるべきと→
思いますがねぇ。 承っておこう。
ああ… これは 捜査なのかな?
まさか。 雑談ですよ。
今 怖い人に 目をつけられていますからね…。
あっ 我々 捜査なんて 出来ませんから。
あっ 面従腹背は 俺の得意技じゃなくて→
官僚の得意技です。 念のため。
それは どうも。
ところで 君は 社さんとのリレーションで→
僕の知らなかった情報を つかんだわけですが…。
気を悪くしました?
実は 僕も 僕のリレーションで→
君の知らない情報を つかんでいるのですが…→
知りたいですか? 言いたいですか?
あっ ちょっと… 冗談ですよ! 教えてください。
あの女狐が…。 厄介事ばかり持ち込みおって。
だよねぇ。
澄ました顔して ヤロポロクと文通なんて…。
やってくれるじゃないの。
まったくですな。
お言葉ですが 文通というのは あたらないかと。
返信不能で 一方的に 送りつけられたもののようなので。
ヤロポロクが 国内に潜伏してる かもしれないんでしょ?
現在 入管記録を あたっておりますが→
しかるべきルートを通じて→
アメリカ当局へ 問い合わせ願えないかと。
もっとも→
ヤロポロクが 国内に 潜伏しているなどという事は→
あり得ないと思うのですが。
国内郵便を 使ってたんじゃないのか?
ええ。 ですから ひとつ考えられるのは→
日本に仲介者が存在している かもしれないという事です。
仲介者…?
アメリカから送られてきた ヤロポロクの手紙を→
社美彌子に転送している 仲介者が。
≫
あっ どうも。
おう。 なんだい?
瀬戸内さんではなく 臣吾くんに。
僕ですか?
白骨遺体の身元が判明したので そのご報告に。
わかったんですか。 それは よかった。
…で どこのどなた?
諸般の事情で まだ公表していませんから→
具体的な事は差し控えますが→
取り急ぎ 身元が特定出来た事だけ。
そうですか。 それは わざわざ どうも…。
いえ あなたが怒ってらっしゃった ものですからねぇ→
身元すら わからないのかと。
で お知らせしなければと思い 駆けつけたんですよ。
なんか 申し訳ないな…。
もっとも 身元が判明しただけで→
依然 死因すら わからない状態ですから→
偉そうには出来ませんがね。
という事で お邪魔しました。
えっ もう帰るのかい?
失礼します。
あっ… ひとつだけ。
君 以前 ロシア警察に 拘束された事があるそうですねぇ。
えっ? 平成24年の夏頃→
2週間ほどだそうですが…。
片山雛子さんが あなたを写真で見たそうです。
思い出しましたか? ええ。
外務省から 官邸に回ってきた報告書の中に→
彼の顔写真がありました。
報告書?
ロシアを旅行中に 警察に捕まったとかで→
外務省経由で 官邸に報告が上げられたんです。
そうなんですよ。
なんか やばいところ 立ち入っちゃったみたいで→
連行されて。 そしたら 取り調べで→
トルジスタンの 反政府軍に加わって戦った事→
バレちゃって。 何しろ ロシアは→
トルジスタン政府を 支援してるから→
こいつは けしからん奴だ ってなって。
こっちは 単なる傭兵で トルジスタン政府はもとより→
ロシアを批判するつもりなど 一切なく→
いわば アルバイト感覚だって 抗弁したんですけど→
なかなか 聞き入れてもらえなくて。
まあ それでも なんとか解放されたんで→
こうして 無事でいますけど。
バイト感覚で 殺し合いに参加か…。
恐れ入ったね。
忘れてしまいたい 暗い過去です。
この寺とゆかりがあるばかりか→
ロシアとも因縁があって 遺体の第一発見者となると→
風間楓子に言われるまでもなく→
四の五の言わず疑ってみろ ってとこですかね。
いずれにせよ もっと 彼を 調べる必要がありそうですねぇ。
おめえ 何した?
何かしでかしたんなら さっさと白状しちまいな。
あの杉下くんに目をつけられたら おしまいだ。
経験者が言ってるんだから 間違えねえ。
何もしちゃいないよ。
坊谷一樹ですが→
社美彌子を監視していた事は 間違いないようです。
それも 非公式に。
正確な情報なのか?
特命係からの情報なので…。
とりあえず 内密に動きましたが→
この件 捜査会議で どこまで触れたものかと…。
絶対 触れるな。
ヤロポロク絡みの 社美彌子については 御法度だ。
ただし 捜査に支障が出ないように→
お前たち この件 頭に入れながら 捜査に臨め。
はい。
どうも お待たせしました。 ハハハ…。
じゃあ 始めますか。
ヤロポロクの件→
アメリカ側に問い合わせたところ→
日本への再入国など あり得ない という回答だったそうだ。
なるほど。
もちろん 入管の記録にも そんな痕跡はないそうだ。
大変貴重な情報 ありがとうございます。
でも どうして わざわざ?
君たちは邪魔者扱いで 情報収集も ままならないだろう?
だから 手伝ったまでだよ。
社課長絡みの事件だから… ですか?
不可解な事件だねぇ。
ええ。 正直 混乱しています。
しかし こうなると 僕も他人事とは言えなくなるね。
君とヤロポロクの件で→
虚偽の申し立てで 協力した身としてはね。
すみません…。
ハハッ…。 君が謝る事はないよ。
そんな詮索をするより 事件解明に注力したまえよ。
それから この件は 状況を 逐一 報告してくれ。
逐一?
命令だ。
〈白骨死体が語る真実〉
おちょくってんのか お前!
どこまで我々を困らせたら 気が済むのでしょうねぇ。
〈その先に待ち受ける 真実とは…〉
〈『相棒』 300回記念スペシャル〉
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≫こんばんは。
≫最初のニュースです。
東京・品川区でビルの外壁から
木製のひさしが落下しまして 下を歩いていた
小学生が怪我をしました。
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