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(杉下右京)蓮沼署で起きた 傷害致死事件ですか。
(大河内春樹)事件は 11日の夜 蓮沼署管内の繁華街で起きました。
(大河内の声)立ち飲み屋を訪れた 国原貴弘は→
やはり 一人客だった島内慎吾と たまたま相席となり…。
(島内慎吾)なんなんだよ!
(店員)ちょっ… 大丈夫ですか?
なんだよ! (店員)痛っ…。 いやいや あの…。
他のお客さんに迷惑になるんで…。 (島内)話になんねえよ!
(大河内の声)店員が止めに入り 口論は収まったかに見えたが…。
(国原貴弘)すいません!
(国原)お願いします。 話は終わったんだよ!
(大河内の声)店を出たあと 今度は もみ合いのケンカとなり→
被害者の島内慎吾は 国原貴弘に突き飛ばされ…。
(国原)ああっ! あっ…!
(神戸 尊)頸椎骨折により即死…。
「被疑者 国原貴弘は 現場から逃げ去ったものの→
翌12日の 午後11時10分頃 蓮沼署に自ら出頭」
「傷害致死容疑で逮捕。 現在 取り調べ中」
この事件を お二人に調べて頂きたい。
いや 調べるも何も 単純なケンカの末の→
傷害致死にしか見えませんけど。
逮捕された国原は 元警察官。
それも 4年前まで 同じ蓮沼署の地域課に勤めていた。
あっ なるほど。 退職した元警察官を→
かつての同僚が調べるとなれば→
捜査や取り調べに 手心が加えられる可能性がある。
でも もし本当に不正が起きたら→
それこそ 監察の事案じゃないですか。
何も起きないうちに 監察室が動くわけにはいかない。
つまり これから 何かが起きそうな気がするから→
今のうちに 暇な僕たちを 動かしておこうというわけですか。
同居する母親の証言では 国原元巡査は→
事件の夜 いったん 帰宅したあと 深夜に出かけたまま帰らず→
次の日の夜 蓮沼署の 安達和真生活安全課長に→
付き添われて出頭。
出頭まで ほぼ丸一日。
どこで 何をしていたのでしょうね?
ここですね。
島内さんは ここで もみ合いになって転落。
そして 頸椎骨折で死亡。
ああ あの席ですよ。
ちょうど 2人 向き合って飲んでてさ…。
口論していたようですけど 一体 どんな?
ああ あの夜は 結構 混んでたから 話の中身まではね。
金の話だよ あれは きっと。
おや 事件の夜は こちらのお店に いらっしゃいましたか。
ああ。 あとから来た方の あんちゃんが→
頼む! って 頭下げてたからさ。
俺は てっきり 借金の申し込みかと思ってよ。
あとから来たのは 容疑者の国原の方です。
その事 警察には話されましたか? 言ったよ。
けどさ あの夜 俺は したたか酔っ払ってたから→
あんまり本気で 聞いてもらえなくて。
そうですか。 ありがとうございました。
ありがとうございました。
気になりますね。 ええ。
報告書には 2人に面識はなく→
たまたま この店で 出会ったように書かれています。
ええ。 しかし 今の人の証言は それと矛盾しますね。
まさか 蓮沼署は→
国原と被害者が 知り合いだった事を隠そうとして→
あえて証言を無視した。
どうやら その辺りに 鍵があるようです。
(管理人)ここが 島内さんの部屋になりますが。
終わったら あとで 声かけてください。
ありがとうございます。 どうも。
亡くなった島内さんは 元風俗ライターでしたね?
ええ。 その手の仕事で手に入れた 無修正のAVをネットで流して→
猥褻物頒布等の罪で服役。
短期刑で 3か月前に 出所したばかりだったようですよ。
パソコンのマウスはありますが 本体がありませんね。
ノートパソコンなら 持ち歩いてたんじゃないですか?
あっ だとしたら 蓮沼署に まだ 保管してあるのかも。
「理由あって塀の中 なう」 はい?
島内さんが書いた 原稿でしょうか?
刑務所内での貴重な体験を→
エッセーにして 書き綴っていたようですね。
なるほど。 転んでも ただじゃ起きないってわけだ。
あれ? これ…。
新聞の縮刷版のコピーですね。
5年前の社会面。
(携帯電話の振動音) 失礼。
はい。
杉下です。
(大河内)巡査時代の 国原貴弘を調べていて→
わかった事が…。
ひょっとして 5年前の 女性警察官殺害事件に→
関する事でしょうか? えっ…。
どうして それを?
亡くなった島内さんの部屋で→
事件を報じた新聞のコピーを 見つけたところです。
なら 話は早い。
国原巡査は その事件のあと→
地域課から 内勤の閑職へ 異動になってます。
という事は 捜査で 何か失態を 演じたという事でしょうか?
詳しい事は 担当した捜査一課の 人間に聞けばわかるかと。
一課は どの班が?
おや…。
(伊丹憲一)はあ? ですから 5年前の 蓮沼署の→
女性警察官が 殺害された事件の事を→
教えてもらえませんか?
(芹沢慶二)なんだって 今さら。 また なんか調べてるんですか?
その辺りも含めて お話し出来ればと思っています。
(三浦信輔)まあ 正直 あれは やりきれないヤマでしたよ。
(三浦の声)蓮沼署の生活安全課の 屋島真美子っていう女性警察官が→
自分の部屋で 首を絞められて 見つかったんです。
(芹沢の声) 犯人は 雨樋をつたって→
2階のベランダから 忍び込んだみたいで。
(伊丹の声)窃盗の プロの仕業なのは明らかでした。
(芹沢)で こうか…。 これ 楽勝ですね。
(三浦)死亡推定時刻は 午前2時から3時の間だそうだ。
って事は 夜中に盗みに入った犯人が→
物音で起きた被害者に見つかり こいつで とっさに首を絞めた。
その話の限りだと 割と単純な事件に思いますけど。
事件はそうでも 殺されたのが同じ署の同僚で→
しかも 女性警察官だったんですよ。
(三浦)蓮沼署の捜査本部は→
そりゃもう 殺気だって ピリピリしちまって。
(芹沢)強行犯係の連中なんか 犯人を見つけ次第→
リンチしそうな鼻息で 異様な空気だったんですから。
先ほど やりきれないヤマだったと おっしゃったのは→
どういう意味でしょう?
解決の仕方が また 最悪だったって意味ですよ。
窃盗の前歴者を中心に 容疑者を洗い出した結果→
解体工の 野橋幸也っていう男が 捜査線上に上がりました。
(三浦)決め手となる物証が 見つからず→
泳がせてる最中の…→
確か 事件発生から 6日目の夜でした。
(国原)ここね 駐禁。 車検証 見せてもらっていい?
(野橋幸也)うっす…。
(三浦の声)路上駐車した車を 見つけた 警邏中の巡査が→
相手が野橋だと知らずに 職質しちまった あげく…。
うん?
なんですか? これは。
あなたのカードじゃ ないですよね?
(沖野)蓮沼署だ。 (国原)ええ?
なんだ? これ。
(野橋)俺じゃねえよ!
(野橋)知らねえよ! おい 待て!
(三浦の声)慌てて緊急配備を 敷いたものの…。
(刑事)止まれ!
(刑事)野橋 止まれ!
(遮断機の警報)
(刑事)野橋! 待て!
(警笛)
うわあーっ!
(三浦の声)即死でした。
死亡した 野橋幸也という男を 職務質問したのが→
地域課の国原貴弘という 巡査だったわけですね。
確か そんな名前でしたが…。
特命係は 何を嗅ぎ回ってるんです?
どうもありがとうございました。 神戸くん 行きましょうか。
聞くだけ聞いて それだけかよ。 なんだよ あれ。
どうやら つながりましたね。
容疑者は 5年前の事件を機に 警察を辞めた 元警察官。
被害者は その事件を調べようとしていた→
元ライター。
仮に 島内が 事件の事を聞こうと 近づいてきても→
国原元巡査は 二度と ほじくり返されたくはなかった。
当然 蓮沼署の刑事課も 同じ思いだったでしょうね。
大河内監察官の方から 益田課長に…。
ええ お願いします。
よし これで 正々堂々と 国原元巡査に会えますね。
その前に ちょっと 寄りたいところがあります。
(安達和真)課長の安達です。
国原元巡査の事について お伺いしたいと思いまして。
まあ どうぞ。
早速なんですが→
国原は あなたに付き添われて 出頭したそうですね?
地域課だった彼が どうして 当時の上司ではなく→
生活安全課の あなたと一緒に?
(安達)国原が うちを辞めた理由は ご存じでしょうか?
5年前の事件の際→
犯人を取り逃がして 事故死させてしまい→
その件で 閑職に追われたと 聞いています。
警察を辞めたいというので やり直すなら早い方がいいと→
うちのOBがやってる警備会社に 口を利いてやりました。
ひとつ よろしいでしょうか?
直属の部下でもない彼に どうして そこまで?
国原は 被害者の屋島真美子巡査と 警察学校の同期で→
しかも 同じ教場で学んだ 間柄だったんです。
事件のあった11日の夜 国原元巡査が自宅を出たあと→
出頭するまでは 1日近くあったんですけど。
その間 国原元巡査を かくまっていたのも→
あなたですね。 本人も深く反省していて→
逃亡の恐れは ありませんでしたので→
自首するように 時間をかけて説得しました。
(益田芳往) 監察室からいらしたとは→
伺ってませんでしたが。
どうやら 大河内監察官から 連絡があったようですね。
特別に 国原貴弘への聴取を許可します。
ただし 10分です。
(沖野)取調室は こちらです。
単刀直入に お伺いします。
亡くなった島内慎吾さんと あの立ち飲み屋で→
たまたま会ったというのは 嘘ですね。
いいえ。
風俗ライターだった島内さんは→
出所後 ある事件を調べていました。
屋島真美子巡査が殺害され→
容疑者の 野橋幸也が 事故死しました。
事件の関係者だったあなたから 話を聞こうと近づいたとしても→
おかしくないよね。
でも あなたにとって この事件は→
思い出したくもない 苦い記憶だった。
だからこそ あなたは 島内さんの申し入れを拒絶し→
押し問答の末…。 違います!
私は 亡くなったあの人と→
あの晩 あの店で 初めて会った。
ただ それだけです。
時間です。 肝心なところなんです もう少し。
被害者が 何を調べていたか知りませんが→
この事件とは関係ないでしょう。
そんな事は ありません。
国原元巡査と島内さんが→
見ず知らずではなかったと わかれば→
事件の様相は一変します。
私は 亡くなったあの方と あの飲み屋で初めて会いました。
これ以上は 聴取の妨げになります。
お引き取りを。
行きましょう。
私は 日本国憲法及び法律を 忠実に擁護し→
命令及び条例を遵守し…。
警察職務に優先して→
その規律に従うべきことを 要求する…。
まあ 予想はついた事でしたけど。 ええ。
取り調べを受ける 国原元巡査と 調べる側の益田課長たちが→
口裏を合わせていた事は 間違いないようですね。
安達課長の話だと 国原の母親は病気がちでした。
傷害致死で しかも 自首となれば 刑期も さほど長くはない。
一日も早く 母親の元に戻りたい国原と→
5年前の事件を 蒸し返されたくない→
刑事課の利害は 一致してるわけですね。
ええ そういう事になりますね。
そもそも どうして 島内さんは→
5年前の 女性警察官殺害事件を 調べようと思ったんでしょう?
さらに 島内さんは 国原元巡査から→
何を聞き出そうと していたのでしょう?
それですね。
ええ 確かに この原稿は 島内ちゃんが→
うちに 持ち込んできたものですけど。
この原稿は 雑誌に掲載する予定とか→
なかったのでしょうか?
うちの雑誌は もっと過激なネタが 売りですからね。
でも そうしたら 島内ちゃん→
だったら とびきり やばいネタがあるから→
特集記事 組んでくれないかって。
やばいネタって?
なんでも 極秘に取材して 衝撃の真実をつかんだとか→
あおりまくってたけど→
肝心の内容は 教えてくれなくて。
島内ちゃんの遺品に ありませんでした? 原稿とか。
いえ 特に そのようなものは。
そうだ。 島内ちゃん 大事なネタは→
いつもUSBメモリーに バックアップとってたんですよ。
ちょっと…。
えーっとですね…。
ああ これこれ。 いつも持ち歩いてたやつ。
亡くなった時に 持っていたのだとしたら→
証拠品扱いになるはずですね。
って事は まだ 蓮沼署に 保管してあるんだ。
(米沢 守)5年前の 女性警察官殺害事件の現場写真と→
それから 死体検案調書です。 拝見します。
供述調書の方は 3年以上経過してますので→
私の方では さすがに…。 これで 十分 助かります。
(米沢)それから 逃走中に死亡した 野橋幸也の検案調書です。
どうもありがとう。 これって 電車にひかれた…。
はい。
神戸くん 野橋幸也は 死亡する前に→
右足首を捻挫していたと ありますね。
確か 被害者は 解体工をしていたはずです。
仕事中にケガでもしたんじゃ…。
何か?
米沢さん ここ。
「死亡5日前に受傷 加療済み」の ここ→
拡大して 調べて頂けますか? 承知しました。
(米沢)一度書いた文字を インク消しで消して→
その上から書き直した痕跡が 認められます。
最初に書いてあった文字は 5ではなくて 7ですね。
ちょっと待ってくださいよ。
屋島真美子巡査が殺害されたのは→
野橋幸也が事故死する 6日前ですよ。
7日前という期日が 本物だとすると→
事件のあった日 彼は捻挫したばかりだった→
という事になりますね。 捻挫した足で→
この雨樋をつたって 2階まで上がるのは 不可能です。
(米沢)そもそも 盗みに入ろうとは 思わないでしょうな。
という事は…。
野橋幸也は 屋島真美子巡査殺害の 犯人ではなかった→
という可能性が出て来ますね。
振り込め詐欺。
屋島真美子巡査は 事件当時→
振り込め詐欺の捜査を してたんですか?
(角田六郎)ああ。 あの頃 うちは いくつかの所轄を→
重点警戒区域に選んで→
取り締まりのハッパを かけてたからね。
その中に 蓮沼署も 含まれていたわけですね。
最も 検挙数は あんまり 稼げなかったみたいだな。
龍翠会の連中は しぶといから。
龍翠会? あの頃の振り込め詐欺は→
表向きは チンピラや チーマー上がりがやってたけど→
裏で取り仕切ってたのは 龍翠会だっていうのは→
有名な話だよ。 ちょっと待ってください。
これ 確か これに…。
あっ あった ここ。
「R会のヤーさんと 一緒の房になった時→
マジでヤバい話を聞いちゃって」
R会… ああ 龍翠会ね。 それが どうした?
大河内監察官? 杉下です。
被害者の島内さんが 服役中に 同房だった人を調べる事は→
可能でしょうか?
高梨宣夫 龍翠会構成員だった 平成20年5月→
傷害事件を起こして 懲役4年。
(高梨宣夫)刑事さんが 今さら なんの用ですか?
11月に出所した 島内慎吾さんとは 同じ雑居房で→
3か月間 一緒に過ごされてますね。
あの お喋りな野郎…。 それが何か?
島内さん 殺されたよ。
え? 彼に 何か話したりしなかった?
特に 5年前の事とか。
そんな前の事 覚えてねえよ。
屋島真美子。 その名前を聞けば 思い出すのでは?
誰だよ それ。
島内さんは この刑務所内で 見聞きした事を→
書き残していました。
もちろん あなたの事についても 事細かに。
僕は 屋島真美子巡査を 殺害したのは→
あなたではないかと思っています。
(島内)だけど 相手は警察でしょ?
さすがに やばいんじゃないですか?
(高梨)バレないように消すんだよ。
おい! 面会終了だ。 看守!
静かに!
ちょっと揺さぶってみたら…。 はい 間違いないですね。
ええ。 龍翠会の構成員だった高梨が→
屋島真美子巡査を 殺害したとすれば→
やはり 動機は 振り込め詐欺の捜査に→
関係する事でしょうか? それは どうでしょう。
彼女は 経済犯担当だったとはいえ 内勤です。
直接 捜査に関わっていたとは 思えません。
もっと別の動機が あったって事ですか?
いずれにしろ 一つ 確かな事がわかりました。
はい。 島内さんは 5年前の女性警察官殺害の犯人が→
野橋幸也ではないという事を 知っていた。
編集者が言っていた 近々 記事にするつもりだった→
やばいネタというのは それでしょう。
確かに 正真正銘 衝撃の真実ですからね。
(大河内)まさか そんな事実が 隠されていたとは…。
監察官は そもそも どうして 僕たちに→
今回の事件を調べるよう 依頼されたのでしょう?
5年前 監察室に 匿名で送られてきました。
「蓮沼署内で 女性警察官絞殺事件に関する→
重篤な公務員法違反があった」
「警察官として あるまじき行為が行われた」
告発文ですね。
ただ それ以上 具体的な記述は 一切なく→
当時 私の上司が 関係者を聴取しましたが→
通り一遍の調査に終わり→
何も見つける事は 出来ませんでした。
なるほど。
神戸は このあと どうすると思いますか?
恐らく 5年前に起きた冤罪事件を→
なんとしても 明らかにしようとするでしょうね。
「俺は断じて殺してない」
「俺は 警視庁の神戸尊を 絶対に許さない」
(城戸 充)ああーっ!
誤った判断で 無実の人間を 犯人だと信じ込み→
その相手を死にいたらしめた。
今のあいつは 同じ境遇の国原元巡査に→
自分を重ね合わせ 苦しんでるはずです。
監察官。
ひとつ調べてもらいたい事が あるのですが。
蓮沼署の鑑識課に知り合いがいて 助かりました。
ありがとうございます。
ああ… 被害者は やはり 犯行時に ノートパソコンを持ってたんですね。
それが 階段から転落した際の 衝撃で壊れてしまい→
ハードディスクも やられてしまったそうです。
だとすると やはり 頼みの綱は USBメモリー…。
あっ…。
警視庁特命係の神戸といいます。
詳しい理由は言えませんが→
監察官命令で 保管庫をあらためさせて頂きます。
はい。 では こちらに 署名をお願いします。
はい。
あった。 そこで 何やってんだ?
なんだ まだ残業か?
ちょっと調べたい事が。
神戸のやつは? 一緒じゃないのか?
(電話)
特命係。
そうですか わかりました。 すぐに向かいます。
どうした?
神戸くんが 公務員法違反容疑で→
大河内監察官の取り調べを 受けているそうです。
(ドアをノックする音)
神戸の上司の 杉下と申します。
(大河内) こちらの益田刑事課長から→
神戸警部補が 無許可で 保管庫から→
証拠品を持ち出そうとしたという 訴えがありました。
君 随分と 早まった事をしてくれましたね。
お言葉ですが 国原元巡査の送検を止めて→
隠された真実を 明らかにする為には→
この方法しかありませんでした。
(益田)何を勘違いしているのか わからないが→
国原貴弘への取り調べは 既に終了しています。
隠された真実などはない。
島内さんは 知り合いの編集者に→
とびきりの やばいネタを つかんだと言っていました。
この中には その取材のメモや 原稿が入っているはずです。
(大河内)その やばいネタとは何か 具体的にわかっているのか?
はい。 5年前の 屋島真美子巡査殺害の犯人が→
野橋幸也ではなかったという 事実です。
ふざけるな。 何を根拠に そんな でたらめを。
根拠なら この中にあります。
島内さんと同房だった 龍翠会の構成員→
高梨という男の証言が 必ず入ってるはずです。
「はず」 という事は→
君は 中身を 確かめたわけではないのですか?
その前に 捕まってしまいましたから。
なるほど。
大河内監察官 よろしければ この場で→
中身を確かめてみませんか。 いや しかし…。
その必要はありません。 さっさと その男を→
公務員法違反で 監察下に置いてください。
神戸警部補が 何を目的に→
このような バカげた真似をしたのか→
知っておく事は 必要だと思いますが。
あの事件の犯人は 死んだ野橋で間違いなかった。
それを疑う事は 我々刑事課や蓮沼署を→
侮辱するに等しい!
(副署長)どうします?
私は 中身を 確かめるべきだと思います。
安達課長…。
仮に 彼らの言うようなものが 入ってるとしたら→
いずれ明らかになるやもしれない。 だとしたら→
この場で 確かめておくべきでしょう。
署長と副署長は いかがですか?
(署長)いや… 君が そう言うなら。 なあ。
でしたら 内容に関しては→
外部に口外しないという条件で いかがでしょう。
監察官 お許しが出たようです。
(大河内)ただのエッセーの 原稿のようです。
これで満足したかね? さあ とっとと…。
いえ この中に 5年前の事件に関する→
重要な記述がない事は 最初から わかっていました。
ちょっと失礼。
米沢さん お願いします。 (米沢)はい。
失礼致します。
神戸くん。 はい。
消されたデータの復元は 可能でしょうか?
データ復元ソフトを使えば たちまちのうちに…。
消されたとは どういう事だ? (米沢)ええと…。
(米沢)出ました。
どうやら 4個のファイルが 消去されていたようですね。
ファイルって 一体 どんな内容の…。
内容よりも 今 重要なのは 消された日時です。
米沢さん 最終アクセス履歴を 確認してください。
はい。
(米沢)4個のファイルとも→
12日の午後2時前後に アクセスされたとあります。
恐らく この時刻に 消去されたものと思われます。
島内さんが殺害されたのは 11日の夜10時。
消去したのは 当然 持ち主の 島内さんではありません。
なおかつ 島内さんの所持品だった このメモリーは→
犯行現場から蓮沼署が押収し→
その後は ずっと 保管庫にあったはずです。
つまり このメモリーのファイルを 消せるのは 蓮沼署の人間だけ→
という事になりますよね? バカな。
証拠を消すような人間は うちの署には…。
先ほど 神戸くんが 中身を確かめたいと訴えた時→
あなたは猛反対されました。
当然 中身が消されていた事など 知らなかったのでしょう。
それに対し…。
あなたは 中身を確認するべきだと 主張しました。
中身を確認しても 不都合なものは出てこないと→
わかっていたからじゃ ありませんか?
事件のあと 誰よりも先に→
国原元巡査に会った あなたならば→
島内さんが彼に会った理由も→
それから 取材内容が この中に保存されている事も→
聞き出す事が 可能だったのではありませんか?
ファイルを消したのは あなたですよね?
どうなんだね 安達課長!
申し訳ありません。 確かに 私が消しました。
(益田)安達課長 どうして そんな真似を!?
国原が 亡くなった島内さんと→
事件より前に会っていたと わかれば→
行きずりのケンカの末の 傷害致死という結論には→
無理が出ます。
私は なんとしても 彼を早く 母親の元に帰してやりたい→
そう願うあまり つい…。
いい加減になさい!
あなたは そうやって全てを→
国原元巡査のせいにする おつもりですか?
あなたがファイルを消したのは 書かれている事が→
自分にとって不都合な 内容だったからでしょう!
(大河内)やはり 屋島真美子巡査殺害の犯人が→
野橋幸也でなかったというのは 事実のようですね。
お願いしておいたものは 調べて頂けましたか?
(大河内)ええ。
安達課長 あなたは10年前から 妻が経営する会社が傾き→
かなりの額の借金を背負っていた。
いきなり なんの話でしょう…。
なのに ここ5年ほどで→
その借金を きれいに清算している。
入金記録には 出所不明の振り込みが→
十数回 確認されました。
5年前 蓮沼署は 振り込め詐欺の 重点警戒区域でした。
当然 詐欺に使われる 架空口座の情報も→
集まっていたはずでしょう。 あなたの生活安全課に!
振り込め詐欺犯にとって 架空口座は→
何よりも重要な いわば飯の種です。 同時に→
警察が どこまで架空口座の情報を つかんでいるのか→
のどから手が出るほど 知りたかったでしょう。
あなたは その情報を 多額の報酬と引き替えに→
振り込め詐欺を取り仕切っていた 龍翠会に流していた。
冗談じゃない。 根も葉もない でっち上げだ!
ですが ここには 島内慎吾と刑務所で同房だった→
龍翠会の高梨という男が→
女性警察官殺害を ほのめかしたと 書いてあります!
だからって 私には関係ない! 第一 証拠が…。
米沢さん 持ってきて頂けましたか?
もちろんです。
ここを ご覧ください。
野橋幸也さんは 事故死する7日前に→
足首を捻挫していたという 所見です。
なのに それが 5日前→
つまり 屋島真美子巡査殺害の あとに→
書き換えられてるんですよ。
そんなバカな…。 一体 誰…。
指紋の照合も 既に終わっております。
なぜ 生活安全課の あなたの指紋が→
殺人事件の 死体検案調書にあるのでしょう。
説明出来ますか?
未凍結の預金口座番号だ。
金は いつものとこに振り込むよ。
で 次はいつだ。 もう無理だ。
部下に気づかれてしまった。 部下?
口座情報を管理してる 屋島って女性警察官だ。
その件は こっちに任せろ。
どうするつもりだ?
それは あんた 知らない方がいいよ。
なあ…。
お前が何をしても 俺も この人も 関係ねえよな?
あなたのした事は 真面目につとめている→
全国の警察官に対する 冒涜ですよ!
(ノック)
安達和真警視ですね?
5年前の屋島真美子殺害に関して 警視庁で聴取を願います。
高梨宣夫の方は どうなりましたか?
そっちは今 別の班が向かってます。
5年前のヤマ きっちり 洗い直させて頂きますよ。
行きましょう。 行きましょう。
(ため息)
あっ 僕の方の監察官聴取は どうしましょう。
なんの話だ?
ひとつ お願いがあるのですが。
国原元巡査への聴取を もう一度 させてください。
わかりました。
屋島真美子巡査殺害について→
安達課長が 取り調べを受けています。
もう 何も隠す必要はありません。
本当の事を話してください。
5年前… 私は本当に信じていました。
野橋という男が 屋島の部屋に盗みに入り→
彼女に見とがめられ その首を絞めて殺害したんだと。
ところが捜査本部は 彼を 泳がせたままにしていました。
納得出来ませんでした。
だったら 自分が この手で捕まえてやる。
屋島の遺影に そう誓いました。
彼女を殺した男を なんとしても…。
それで あなたは→
証拠を捏造するような真似を したのですか?
(沖野の声)納得出来ません。 野橋はクロです。
このまま手をこまねいて 逃げられでもしたら→
どうするんです? 現状では令状が下りない事ぐらい→
わかるだろう!
どんな些細な物証でもいいんだ。 粘り強く見つけるしかない。
身柄さえ押さえられりゃ 取り調べで→
絶対に落としてみせますってば! (益田)駄目だ!
(国原の声) どんな些細な証拠でもいい。
野橋を捕まえる事さえ出来れば…。 そう思ったら 居ても立っても…。
(国原の声)野橋が車で 外出するのを尾行して…。
(国原)ちょっと! これ あなたの車?
ああ。 ここね 駐禁。
車検証 見せてもらっていい?
うっす…。
うん? なんですか? これは。
あなたのカードじゃ ないですよね?
蓮沼署だ。 (国原)ええ?
なんだ? これ。
(野橋)俺じゃねえよ! 知らねえよ!
(国原の声)逃げたのは かえって幸いでした。
野橋 止まれ!
(国原の声)これで確実に 逮捕出来る。 そう思ったのに…。
(警笛) (野橋)うわあーっ!
あんな事になってしまうなんて…。
あなたは いつ→
野橋幸也が犯人ではなかったと 知ったのでしょう。
閑職に回された頃から 野橋が死ぬ前に→
「違う 俺じゃねえ!」と 言った言葉が→
頭から離れなくなり→
捜査資料を もう一度 調べ直していた時でした。
安達課長 大変です! これ見てください!
これは私の方でなんとかする。 君は何も見なかった事にするんだ。
いや でも…。 わかってる。
君が 無実の人間を 犯人に仕立て上げたりするような→
人間じゃないという事は 私が一番…。
(国原の声)私は警察官として あるまじき行為を→
してしまいました。
警察を辞めたあとも→
その思いだけは 一時たりとも 忘れる事が出来なくて…。
そんな あなたの前に 島内さんが姿を現しました。
出所してから 事件の事を 詳しく調べたようで…。
要するに 死んだ野橋幸也さんって→
女警官殺した犯人じゃ なかったわけですよ。
だって犯人は 龍翠会の ヤクザだったんですから。
これ かなりやばい 警察の不祥事でしょ。
国原さんは 警察辞めてるんだから→
喋ってもらえますよね?
国原さん? (ドアの開く音)
(国原の声)それからしばらくして 島内さんから電話で…。
やっぱり記事にすると聞きました。
私は もう一度 島内さんに会って→
記事を止めてもらうよう 頼もうと思って…。
頼みます 原稿だけは 止めてください! 頼みます!
いい加減にしろよ! 話になんねえ!
痛っ…。
ちょっと待ってくださいよ。 (島内)話になんねえよ!
(国原の声)諦めきれず 店を出た 島内さんを追いかけて…。
ちょっと待ってくださいよ! (島内)なんだよ!
待ってください!
頼みます! このとおりです! しつこいんだよ!
警察官だったくせに 真実を捻じ曲げて 隠して!
それで あんた平気なのかよ!?
だから 聞けって言ってんじゃねえか!
(国原)あっ! ああっ! あっ…!
(国原の声) あの時 私の心の中には→
島内さんが いなくなってくれたらと→
そう願う気持ちが 確かにありました。
殺意があった以上 傷害致死ではなく…→
殺人です。
国原さん→
それをお認めになる事の意味は おわかりですよね?
被害者の島内さんと 会っていた事が事実でも→
傷害致死だと主張する事は 出来るはずです。
なのに どうして?
5年前から ずっと思っていたんです。
もう嘘をつくのは御免だって…。
だから 決めていました。
次に話す機会が来たら 今度こそ… 正直に話そうって…。
杉下さん→
どうして国原が 5年前に証拠を捏造したって→
わかったんですか?
監察室宛ての告発文を→
大河内さんに見せてもらいました。
国原元巡査の供述調書と 同じ筆跡でした。
「女性警察官絞殺事件に関する 重篤な公務員法違反があった」
「警察官として あるまじき行為が」…。
恐らく 自分のした事を 誰かに告げたくて→
書いたものでしょう。 ですが→
容疑者だと気づかぬ振りをして 職務質問をしただけでは→
公務員法違反 それも 重篤とは言えません。
つまり 他に もっと大きな罪を犯していた。
警察官として あるまじき罪…。
(釜田千也)「覚えてろ いつか ひどい目に遭わせてやるからな」
(釜田)被告人は 綱嶋瑛子さんに対して→
そう脅したわけですね?
はい そのように聞きました。
お察しのとおり… 証言は嘘ですから。
俺は…。
警察官だったのに…。
最初の取り調べのあと 国原が つぶやいてました。
私は 日本国憲法及び法律を 忠実に擁護し→
命令及び条例を遵守し…。
警察学校に入校する時の 宣誓ですね。
あの姿を見たおかげで…。
僕も やっと 覚悟が出来た気がします。
(名札を裏返す音)
(一同)私は 日本国憲法及び法律を 忠実に擁護し→
命令及び条例を遵守し→
警察職務に優先して その規律に 従うべきことを要求する→
団体又は組織に加入せず→
何ものにもとらわれず 何ものをも恐れず→
何ものをも憎まず 良心のみに従い→
不偏不党且つ公平中正に 警察職務の遂行に当たることを→
固く誓います。
(月本幸子)警察学校に入る時に 宣誓なんてするんですか?
ええ。
何ものにもとらわれず 何ものをも恐れず→
何ものをも憎まず→
良心のみに従い 警察職務の遂行に当たる…。
警察官なら 誰でも そう誓います。
やっぱり 大変なお仕事なんですね。
それでも 生身の人間ですからね→
何かにとらわれてしまう事が あるものです。
過ちですか?
私には耳に痛い話です。
いえ あなたは既に 償いを終えていますから。
あ… 今夜は神戸さんは お見えにならないんですか?
今夜は 別々です。
そうですか。
はい どうぞ。
お似合いですねぇ。 はい?
あなたに 花の里が。
あ… ありがとうございます。
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