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ん? 酔っ払いか?
あんた 大丈夫かい? 風邪 引いちまうよ。 おい!
あっ…!
死んでる!
例の一件には首を突っ込むなよ。
なんの事でしょうか?
コソコソ 嗅ぎ回ってるのはわかってるんだ。
あの件じゃないですか?
音羽台で発生した会社員刺殺事件。
遺留品もなく 捜査が難航している 例の事件ですか?
ああ そうだ。
ようやく 有力な目撃者が 現れたんですよね?
しかも その人物は 警察関係者の家族。
ところが 目撃者は 事情聴取に応じない。
そればかりか 捜査本部には→
目撃者との接触を禁ずるという お達しも出たとか。
一体 どうしてでしょう?
証言なら すでに文書で入手済みだ。
「事件当夜 午後7時過ぎ 被害者男性が→
30歳前後の黒いパーカを着た 中肉中背の男と→
怒鳴り合ってるのを見た」
「怖くなったので 目撃者は すぐ その場を離れた」
30歳前後で黒いパーカを着た 中肉中背の男。
都内だけでも かなりの数 いると思いますよ。
やはり 本人から 詳しく事情を 聴くべきではないでしょうか。
その必要はない。 情報は全て父親ルートから入る。
目撃者は まだ中学生だ。
我が子を 事件に巻き込みたくない親心→
お前たちにも わかるだろう。
ちょっと 過保護なんじゃないですか?
相手が警察関係者なら もっと強く 協力要請しては どうです?
もしかして 目撃者の父親って 上のほうの人ですか?
馬鹿者!
それこそ 下衆の勘繰りというものだ!
部長は 上の顔色をうかがって→
捜査方針を決定するような事は なさらない!
そのとおりだ。 問題は何もない。
お前たちが しゃしゃり出て 捜査を混乱させない限りはな。
事情聴取なしで問題ないなんて事 ありますか?
ありません。 ですよね。
じゃあ 行ってみますか? ええ もちろん。
特命には 釘を刺しておきました。
うまく計らいますので ご心配なく。
はっ。 失礼します。
大丈夫でしょうか?
杉下たちが このまま おとなしく引っ込むとは→
思えないのですが…。
奴らが動くのは構わん。 今回に限って→
ホシを挙げてくれれば こっちも好都合だ。
だが 目撃者には 絶対に近づけるな。
巻き添えで こっちが冷や飯を食わされては→
たまらんからな。 善処します。
ところで 部長…。
これ どうぞ。
つまらないものなんですが 妻の実家から送って参りまして。
なんだ?
極上の黄金最中です。 限定…。
あっ!
本当に つまらんもんだな! 俺の虫歯を悪化させるつもりか?
失礼致しました!
いいか 目撃者が誰かを知ってるのは→
今のところ 俺とお前だけだ。
万が一 情報が外に漏れたら 責任は お前が取れ。
あれ? いない。
また お前か。
サイバーセキュリティー対策本部 っていうのは→
よっぽどヒマなんだな。
僕 上司に 当てにされてないんですかね?
付き合ってやろうか?
俺も将棋なら ちょっとした腕だぞ。
結構です。 課長とでは勝負になりません。
それより 杉下さんたちは?
ああ 例の現場に行ったよ。
通りませんねぇ…。 ええ。
15分の間に 自転車が3台 通行人は1人だけです。
被害者の矢口紀之さんが 刺殺されたのが→
帰宅途中の午後7時過ぎ。
今よりも 人通りは少なかったでしょうし→
目撃証言が集まらないのも 無理はありませんねぇ。
たった1人の有力な目撃者も 証言が伝言ゲーム状態じゃ→
まあ どうにもこうにも…。
しかし 妙ですねぇ。
まあ よくある事じゃないですか。
上からの横やりで 理不尽な指示が出るのは。
いえ その事ではなく→
被疑者を目撃したという中学生は こんな寂しい通りを→
どこに向かって なんのために 歩いていたのでしょう?
通学路ではなさそうだし→
中学生が 行きそうなところといえば→
塾とか コンビニとか ファストフード。
ありませんね 何も。 ええ。
家が この辺りか→
友達のところにでも 行く途中だったのかな?
こんな事 本人から話を聞けば すぐわかるんですけど。
何か?
このお宅 表札が出ていませんねぇ。
空き家ですかね?
すいません。 はい。
ちょっと お伺いします。
こちらのお宅は どなたか住んでいますか?
不動産屋さん…?
あっ いや こういう者です。 あら 警察?
この間の事件の事なら もう話しましたよ。
私は何も知りませんって。
ああ…! いつも ご協力ありがとうございます!
近頃 物騒だと思ったら 人が殺されるなんてねえ…。
物騒というと 他に何か事件でも?
この辺り ポツポツ 空き家になってて→
おかしな人とか 子供とかが 勝手に入り込んでるみたいなの。
不法侵入ですか?
たばこなんか吸って 火事でも出されやしないか心配で。
ほら また来ましたよ。
あの家 子供たちの たまり場のようですね。
もしかすると 目撃者の中学生も→
ここへ向かう途中だったのかも しれませんねぇ。
じゃあ 入ってみますか?
しかし 目撃者には近寄るなと→
あれほど きつく言われてますからねぇ…。
うん… じゃあ やめておきます?
…かといって 言いなりになるのも シャクですねぇ。
では ちょっとだけ。
今週 すごいよね。 ねえねえ… これ 見て見て…。
えっ 何? これ。 やばいじゃん これ。
ねえ 先生に言おうよ これ。
すげえ これ!
うわっ! うわっ!
いけませんよ たばこは。
お預かりしましょうか?
やばい! 今の 補導員かな?
もしかして 警察かも…。
行こうぜ! 警察だったら マジで やばいって!
里奈! お前 ここの事 親に話してないよな?
まさか。 言うわけないじゃん。
里奈の親父って 警察官? 殺人事件とか追ってんの?
違うよ! 普通に役人。
いいんですか? あんなんで。
ええ。 これで 反応を見てみましょう。
いつもじゃん…。
お待たせ致しました。 ≪すいません。
はい お伺い致します。
どこ行くんだ? バンドの練習。
毎日 帰りが遅いって お母さん 心配してたぞ。
夕飯までには戻れよ。
うざっ…。
なんだ あの態度…。
あれ? おい… お前も出かけるのか?
ええ。 タロットカードのセミナーに。
じゃあ 俺の昼飯 どうするんだ?
悪いけど 適当に済ませて。
お客さん 相席 いいですか?
ああ… どうぞ。 どうぞ。
すいません。 よいしょ。
げっ…。
あれ? 中園じゃねえか?
やっぱり 中園だ!
俺だよ! 稲葉だ!
稲葉?
あっ お前… 井の頭署にいた稲葉か?
おう! はあ~!
いや~ しばらく会わねえうちに お互い 減ったなあ!
今 捜査中なのか? ああ。
麺類は長もの。 事件が長引くに繋がるから→
捜査中は食わないってやつだな?
若い奴らは 験担ぎなんて古臭い って言うんだが→
一日も早く ホシを挙げてやらんとな。
変わらないなあ 稲葉は。
俺が研修で世話になってた頃から ずっと 現場一筋か?
性に合ってるんだよ。
お前みたいに 出世レースに乗る気もないしな。
ハハハハ…。
ああ… このヤマ→
隣の署が追ってるんだが…→
むごいよな 娘の誕生日に殺されるなんてさ。
娘の誕生日?
ホトケの横に→
誕生祝いのケーキが 落ちてたそうだ。
気の毒に… 娘さん 誕生日が来る度に→
父親が殺された事を 思い出すんだぜ。
おっ…。
もしもし 俺だ。
ああ… 根津山町だな?
わかった すぐ行く。 おう。
すまん 通報が入った。 おう…。
またな。 ああ また。
すいません ごちそうさま。 ありがとうございます。
そうか… 娘がいたのか…。
何度も呼び出しやがって!
近所には変な目で見られるし バイトはクビになるし!
散々じゃねえかよ!
申し訳ありません。
捜査にご協力頂き ありがとうございました。
俺は人殺しじゃねえぞ。 ああ?
ふざけんな 警察!
ああっ!
また見込み違いでしたね。
聞き込みも空振りばっかりだし…。
目撃者から話が聞けねえんじゃ どうしようもねえだろ。
どういう事ですか? 目撃者の話が聞けないって。
接触禁止のお触れが出てんの!
まったく もう… 警察官の家族なら→
もっと協力しろっての!
本人と会うと 問題があるんですかね?
知るかよ! よっぽどの箱入りなんだろ。
また指示に反して 勝手に動いたな!?
杉下!
目撃者の聴取は 必要だと思ったものですから。
入手した証言は 警察関係者の父親が→
本人から 直接 聞いた話だ。 事情聴取したも同然だろう。
お言葉ですが 父親が キャリア組の偉いさんなら→
刑事経験は ほぼゼロです。
事情聴取なんか やった事ないんじゃないですか?
誰が偉いさんだと言った!
今回の指示は 純粋に 目撃者保護の観点から…。
部長のおっしゃるとおりだ! お前たちは→
我が子の身を案ずる親心が 理解出来ないのか?
副総監が どれだけ 心を痛めておられるか…。
あっ…。
父親は 衣笠副総監でしたか。
警視庁ナンバー2。
馬鹿!
馬鹿者! 特命に引っかき回されたら→
俺の立場は どうなるんだ!
申し訳ありません!
しかし 副総監のご家族に関する情報は→
セキュリティー上 厳重に守られております。
特命といえども 容易に探し出せないかと…。
それを嗅ぎつけるのが杉下だ。
そこを なんとか食い止めるのが お前の仕事ではないのか?
しかし いくら手綱を引いても 暴走する奴らでして…。
中園。
はあ…。
お前 まさか…。 はあ…?
副総監の名を→
わざと 漏らしたんじゃないだろうな?
滅相もありません!
中園照生 一生の不覚でした!
こんな事で失点してたまるか。
ぼやぼやしてないで さっさと手を打て!
はっ!
警察官の初心に帰れ。
あんたの出世より 犯人逮捕のほうが優先だ。
失点 大いに結構。
いっそ失脚してくれれば…。
部長の椅子には 俺が座る。
副総監の家族の情報 一切 出てきませんね。
では コツコツ当たりましょう。
衣笠という名字は わかったのですから。
でも 助かりましたね。
参事官が うっかり口を滑らせてくれて…。
本当に うっかりでしょうかねぇ?
もしかすると わざとかもしれませんよ。
捜査に協力するために?
そんな男気 参事官にあると思えませんけど。
あくまでも可能性の話ですがね。
あれ? また お出かけですか?
あいにくですが 当分 チェスの勝負は…。
ああ ああ… 青木くん。
君のお父さんは 確か副総監と…。
親父が 衣笠さんとは 幼なじみなんですよ。
竹馬の友ってやつですかね?
僕なんかが 警視庁に潜り込めたのは→
本当 親父のコネのおかげですから。
君 副総監の家族の事 知ってるの?
ええ。 まあ 少しは…。
衣笠さんには 娘さんが1人います。
名前は 市原里奈。
中高一貫の進学校 西應学園中学の3年生です。
市原?
奥さんの旧姓ですよ。
副総監は 離婚されているのですか?
いえ… ちょっと訳ありで。 なんだよ? 訳って…。
これ 警察関係者の間でも→
ほとんど知られていない事 なんですけどね。
3年前 衣笠さんの自宅に 何度も殺害予告が届いたんです。
本人のみならず 家族も殺すと。
悪質な脅迫ですねぇ。
奥さんは 心労がたたって体を壊し→
今も長期療養中です。 捕まったのですか? 犯人は。
いいえ。 まだ 正体もわかってません。
副総監に上がるまで→
衣笠さんも いろいろありましたし…。
恨みを持つ者も多いってわけか。
そんな事があったので 副総監の娘と特定されて→
お嬢さんに 危害が及ぶのを避けるために→
今は 奥さんの旧姓を 名乗ってるんです。
そうでしたか。
西應学園中学がここ。
子供たちが たむろしてた空き家は ここ。
そして 事件現場はここです。
市原里奈は 学校から あの空き家に向かう途中に→
被疑者を目撃したという事で 間違いなさそうですね。
君は 彼女に会った事はあるのですか?
一度だけ。
里奈ちゃんが中学に入る前です。
衣笠さんのお宅で お目にかかりました。
なかなかの美少女でしょ?
お前 まずくないの?
俺たちに どんどん情報流しちゃって…。
僕だって 早く 犯人捕まえてほしいですから。
なんか 魂胆があるんじゃねえのか?
嫌だな~。
言ったでしょ? 心を入れ替えたって…。
貴重な情報をどうもありがとう。 行きましょう。
はい。
特命係の 終わりの始まりだ。
最寄りの駅は そっちじゃないよね?
市原里奈さんですね? ちょっと よろしいでしょうか?
急いでますから。
ああ ちょっと待って。 僕たち 怪しい者じゃないけど。
警察の人でしょ。 おや なぜ わかったのでしょう?
におい。 5日前 音羽台で起きた→
刺殺事件について 伺いたいのですが→
容疑者らしき男を目撃したのは 君ですねぇ?
私 関係ありません。
所轄の刑事さんですか? それとも 捜査一課の人?
警視庁特命係の杉下です。 冠城です。
だったら 私の父が警視庁にいる事 知ってますよね?
もちろん 副総監を知らなかったら モグリだよ。
見た事は 全て父に話しました。
同じ話の繰り返しでも構いません。 君から 直接聞きたいんです。
刑事さんとは話さないように 言われてますから。
ああ… では ひとつだけ教えてください。
事件の夜 君は あの道を通って どこへ行く途中だったんですか?
あの辺りには コンビニも学習塾も→
君が立ち寄りそうな場所は ありません。
ただ 1カ所だけ→
隠れ家のような空き家を 除いては…。
この間 家の周りをウロウロしてた 2人組って…。
ええ 僕たちです。
君が嘘をついているとは 思っていません。
ただ 事件とは関係のない秘密のために→
君が お父さんに話せなかった事が あるのではないかと。
珍しいですね。 こんな かわいらしいお連れさん。
僕のガールフレンドです。
冠城さんが そんな事を言うと 冗談に聞こえませんよ。
はい。
葛餅を作ったんです。 お召し上がりになりません?
お願いします。
いいんですか? こんなお店で事件の話をして…。
そもそも 君と話してはいけない という指示に→
逆らっているわけですから 問題になるとしたら→
むしろ そちらのほうでしょうね。
警察って 上からの指示は絶対でしょ。
出世に響きますよ?
お気遣い 痛み入ります。
この人 そういう事には まるで無頓着だから。
君も 人の事 言えませんよ。
キャリア官僚の道を 放り出したのですからねぇ。
つまり 僕たち 君のお父さんのような出世とは→
全く縁がないわけ。
お父様も刑事さんなんですか?
いいえ。
ただの役人です。
いつも自分が正しくて→
人が自分の指示どおりに 動かないと 気に入らない人。
随分 辛辣だね。
空き家で見た事 父に言いますか?
黙っていてくれるなら あの晩の事 お話ししますけど。
取引しようってわけですか?
父には言わなかった話 少しだけあるんで。
あのような事は もう二度としないと→
約束出来ますか?
では お話を聞かせてください。
私 被害者と黒いパーカの男が 争ってるのを見たって言ったけど→
本当は その少し前に 自販機の前で見かけたんです。
たばこ あそこで買う事にしていて。
通る人 少なくて 見られる心配ないから。
なんか いらついてる感じだったんで→
少し離れたところで待ってました。
父に言わなかったのは その事だけです。
大した情報じゃなくて悪いけど→
秘密にするって約束は 守ってくださいね。
その時 男の顔は見ましたか?
ちょっと振り向いたけど→
顔は わかりません。
男のほうは 君の顔 見たのかな?
暗かったし 見えなかったと思います。
それから どうしました?
あとは 父に話したとおりです。
≪どこ見て歩いてんだよ!
はあ? 何言ってるんですか?
ふざけんな!
こっちは急いでるんです。
因縁つけてる みたいでしたけど…。
いい加減にしてくださいよ。
距離もあったし 暗かったし→
それ以上は わかりません。
あの時 通報すればよかったのかも。
でも 殺人事件になるなんて 思わなかったから。
事件の事は ニュースで知ったの?
私が見た男が犯人かもって 父に話しました。
でも 自販機前で見たとは 言わなかったんだよね?
だって それ 事件とは関係ないでしょ。
どうして あの場所にいたのか→
お父さんには 聞かれませんでしたか?
友達の家で勉強してるって 言ってあるから。
どうぞ。
警察で いろいろ聞かれて 空き家の事とかバレたら→
友達に迷惑かかるし。
だから 父に頼んだんです。
逆恨みされたら怖いから 警察には行きたくないって。
そういうふうに言えば 父は聞いてくれるんで。
うち 前に いろいろあったから。
もういいですよね?
話 これで全部ですから。
里奈ちゃん。
里奈さん。
まだ何か?
現場を見に来たんです。
刑事は 現場百遍って言うでしょ。
君が最初に男を見たのは この辺りですか?
あの明るさなら 夜でも 男の姿は はっきり見えますねぇ。
さっき 全部 話しました。
細かい事が気になるタチでして。
少しだけ確認させてください。
男が買った たばこの銘柄を 覚えていますか?
何を買ったかなんて 見てませんけど。
そういえば ばんそうこう…。
指に ばんそうこう 貼ってました。
どの指にですか?
多分 左手の人さし指。
ボタンを押す時に見えたから。
左手…。
男は左利きですね。
右手は どうしていたのでしょう?
えっと…。
スーパーの袋を持ってました。
レジでもらうやつ。
レジ袋 何か書いてありましたか?
緑色のマーク…。
あっ そうだ!
DYランドのレジ袋です!
ホームセンターのチェーン店 この近くにありましたね。
ええ。 歩いて20分くらい。
左利きで 指に ばんそうこうを巻き→
ホームセンターの レジ袋を持つ男…。
だいぶ 絞られてきましたね。 ええ。
私 隠してたわけじゃありません。
あの… 聞かれるまで 思い出しもしなかったし…。
わかっていますよ。
人の記憶というのは そういうものです。
無意識のうちに脳内に記録されて→
ちょっとした事が引き金となって→
次々と よみがえったりするんです。
警察官が何度も聞き込みしたり 本人に事情聴取したりするのは→
そういうわけです。
あと ひとつ。 男は その場で たばこを吸いましたか?
いいえ。
たばこはパーカのポケットに。
ポケットから何か見えてました。
赤い棒みたいな…。 黒いパーカだから赤が目立って…。
赤いもの…。
凶器は薄い刃物と 特定されていましたねぇ。
もしかして こんな感じ?
じゃあ…→
これは?
カッター…?
これかもしれない。
ビンゴ。
ばんそうこう レジ袋 ポケットにはカッター。
どれもホームセンターに 繋がりますね。
梱包を開く時 カッターは必需品。
開ける時に 段ボールで 指を傷つけてしまうのは→
よくある事です。 痛いんですよね あれ。
犯人って ホームセンターの人ですか?
それは まだわかりません。
しかし 君が思い出してくれた事が→
重要な手がかりに なりそうですよ。
君は 素晴らしい記憶力の 持ち主ですねぇ。
ご協力 感謝します。
葛餅です。
さっきの店から 預かってきました。
君は 食べずに帰ってしまったから。
美味しいよ。 どうぞ。
では 我々はこれで。
あの…。
DYランドに行くんですよね。
私 一緒に行かなくて いいんですか?
君は 犯人に顔を見られている 可能性があります。
目撃者を危険な目に 遭わせるわけにはいきません。
DYランド? なんだ? それ。
おい ちょっと待て。
その情報 どこから手に入れたんだ?
悪いけど それは言えないですね。
「お前な…」
出どころ不明の情報で 捜査一課が動くと思ってるのか?
まさか 目撃者…。
おい 15分で行く。 先走って動くなよ! 行くぞ。
先輩! どこ行くんですか? いいから来いや!
どこ見て歩いてんだよ! はあ?
なめてんじゃねえ ぶち殺すぞ!
行かなきゃ…。
出入り口は 正面と東側の通用口→
そして 裏の荷下ろし場も 外から出入り出来ますね。
都合 3カ所。
やはり 伊丹さんたちの応援が 必要でしたかねぇ。
遅いですね 伊丹さんたち。
ちょっとだけ 中 のぞいてみますか。
先走らない程度に。
左利き…。
あっ! うわっ あっ すいません!
大丈夫ですか? 大丈夫です。
左利きの人の割合は 人口のほぼ1割だそうですよ。
この店の規模なら 1人か2人ってとこですかね。
お客さん 何か お探しですか?
いませんね 左利きの従業員。
冠城くん あの袋。
すいません。 この袋は どうしたんですか?
お客様の落とし物のようです。
落とした女の子は どこへ行きましたか?
さあ…?
入れ違いに中に入ったとか?
冠城くん。
君… どこかで会ったっけ?
だったら 何しに来たんだ?
やめて…。
何をしてるんですか!
ああっ…! うっ!
おい いたぞ! 行け! オラッ! よし よし よし よし!
オラッ おとなしくしろ! オラッ!
よし! 暴行罪 現行犯逮捕!
よし! オラッ 立て! オラッ! オラッ! 立て オラッ!
オラッ!
よーし よし よし よし!
よし! はい ごめんなさい。 ごめんなさい。
はい。
フッ… やっぱりね。
間に合ったから いいようなものの こんなむちゃをして→
何かあったら どうするんですか?
ごめんなさい。
まあ おかげで 容疑者 確保出来たけどね。
今日の事 父に話しますか?
君に対する暴行罪で 逮捕されたのですから→
当然 お父さんにも 報告は上がるでしょう。
例の空き家の事 隠せないと思うよ。
捜査本部が お父さんに報告を上げる前に→
あなたから打ち明けたら どうですか?
そのほうが うまくいくんじゃないかな?
どうかな…。
うち…→
そんなに簡単じゃないから…。
でも よかった。
事情聴取してもらえて よかったです。
私の見た事が役に立って…。
本当によかった…。
あなたのカッターと スニーカーから検出された血液が→
被害者のDNA型と一致しました。
お前がやったんだな?
あの日は 職場で 客にネチネチ文句言われて→
イライラしてて…。
「あいつ ぶつかったのに 謝らないから…」
「そんな事で切りつけたのか?」
「殺すつもりはなかったんです」
「脅かそうとしただけで」
大きなケーキなんか 持ってるから…。
こいつ 幸せそうだなって 思ったら→
だんだん むかついてきて…。
何が むかついてだ…。
おい 本当にわかってるのか?
お前な…→
人一人 殺してんだぞ!
取り調べは順調か?
ええ。 物証もそろっていますし 無事 送検出来ると思います。
早期解決に至って何よりだ。
これも 参事官のご協力のたまものです。
協力? なんの話だ。
ですから その… 目撃情報…。
馬鹿言え!
俺が お前たちに 協力するわけがない。
娘から 話は聞いたよ。
内村くんでは 特命係を制御出来ないようだね。
申し訳ありません。
これまでの野放図な対応にも→
大いに問題があると 言わざるを得ないね。
いや もう結構。
あとは こちらで対処する。
青木くん どういうタイプの人間が→
組織を内側から破壊するか わかるかね?
いいえ。
人より優れた能力を持ちながら 指揮系統に従わない者だ。
有能であるほど 組織にとっては その危険度が高い。
おっしゃるとおりです。
お前たちは 勝手に目撃者に接触を図り→
その軽率な行動の結果 目撃者の身が危険にさらされた。
申し訳ありません。
あの額を読んでみろ。
「古轍」…。
どういう意味ですか?
前例にのっとり 規律を守る。
そこに 真実に繋がる道がある という教えだ。
お前たちの無軌道ぶりは もはや 目に余る!
もう 黙れ! 俺の言う事がなくなる。
あっ… 出すぎました。 申し訳ありません。
参事官 あっさり 元のイエスマンに戻りましたね。
いや 前より ひどくなった…?
しかし あのような人たちがいて→
組織というのは 成り立ってるものですからねぇ。
まあ 表向き 秩序は保たれますけど。
それに あの2人の関係は→
ああ見えて なかなか スリリングだと思いますよ。
そうですか?
この間の女の子 あれから どうしてます?
あっ 大切な事をお伝えするのを 忘れていました。
葛餅 とても美味しかったと 言ってました。
お父様とは お話し出来たんでしょうか?
反抗期ってだけじゃ なさそうでしたけど。
いろいろあって 一筋縄にはいかないようです。
もしかすると 我々は 導火線に→
火をつけてしまったのかも しれませんねぇ。
導火線?
いや 杞憂に終われば いいのですがねぇ。
杉下右京 冠城亘…。
小野田公顕が作り→
甲斐峯秋が存続させた。
特命係は 警視庁の…→
負の遺産だ。
告発文は 白骨死体のそばで 発見されました。
元受刑者を倉庫に隔離して→
食品偽造させてたって事 ですかね?
殺しなんか やってないって。
冠城さんにしか頼めません。
被害者には 前科があったという事ですか。
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