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春にアップした動画ね。 宝の持ち腐れ。
え?
せっかく 公式チャンネルまで開設して→
せっせと動画をアップしてるのに→
どれも再生数 イマイチですね。 そうね。
お堅い内容ばかりなので 仕方ない面はあるとはいえ→
もっと再生数を稼ぐ方法を 考えないと。
何か名案ある?
もちろん。
「年々増加し 複雑化するサイバー犯罪に→
各課が個別対応では 限界があります」
「そこで 今回の サイバーセキュリティ対策本部発足→
というわけですね」 「目的は…」
インタビュアーをしたのに どうして 画面には出ないんですか?
こんな むさ苦しいおっさんの ワンショットよりも→
課長も しっかりと画面に出たほうが→
再生数は飛躍的に上がります。 そうかしら?
課長は 自分の美貌が どれだけ人を惹きつけるか→
わかってらっしゃらない。 とりわけ 男を。
すなわち 宝の持ち腐れ。
真面目に聞いて損した。
それより 今夜 暇?
今夜ですか…?
用事があるならいいの。
あっ ちょっと ちょっと…! 暇です。
親の死に目よりも 女性の誘いを優先しろというのが→
我が家の家訓です。
どうも。 ご機嫌いかがですか?
ああ~ 悪い。 今夜 キャンセルで。 うん。
ちょっと急用が入っちゃって。
そうなんですか…。
いや 僕 友達いないじゃないですか。
だから 冠城さんとの飲み→
結構 楽しみにしてたんですけどね。
悪い。 また今度。
宝の持ち腐れ ですか…。
自分を捜査活動に使わないのは→
警視庁にとって 重大な損失→
宝の持ち腐れである という趣旨だね。
あなたに 直訴に及んだわけですね?
彼の主張もわかるよ。
腐っても元キャリア官僚だし 優秀さは抜きん出てる。
警視庁も つまらん嫌がらせを するもんだねぇ。
助けてあげたら どうですか? 僕がかい?
そもそも 冠城くんが 警視庁に採用されたのは→
あなたと 日下部事務次官との 密約によるものです。
それなりの責任があると 思いますよ。
採用後の人事にまで 口を挟めないよ。
僕には そんな力はない。
そうでしょうかねぇ…。
で… なんです?
何が?
いや 何か話でも?
別にない。
正真正銘 晩メシだけ?
約束してたんだけど キャンセルされちゃって。
誰かいないかしらと思ってたら あなたが目についた。
なるほど。 でも 平気ですか?
一部で 不愉快な噂が立ってますけど。
2人はデキてるって噂?
まあ 俺的には 不愉快じゃありませんけどね。
そんなの 気にするだけ時間の無駄よ。
引き取り手のいなかった俺を→
課長が強引に 広報課でって言ったんでしょ?
そこから立った噂だと 思いますけど。
ワイン おかわりお願い。 かしこまりました。
あなたを広報課で引き取ったのは 総務部長の命令。
裏。
ならば 表で。
非捜査部門の総務部か警務部→
どちらかで あなたを 引き取らなければならなくなって→
コイントスで決めたの。
そんな… むちゃくちゃですね。
人間には決められない難題を 丁半で決めるのは→
古来からの由緒正しい決断方法よ。
昔 出家した者が 帰依する仏様を決める時→
曼荼羅に石を投げて決めたの。
まさに 運を天に任せるって事。
お待たせしました。
俺の人事は そんな… 難問だったんですか?
ありがとう。
かわいがるつもりなら 早くしないと。
おう。 そのつもりで こっちは→
手ぐすね引いて待ってたんだ。
ところが ふたを開けてみりゃ 広報課だろ?
かわいがりようがねえよ。
せめて特命係に配属されてりゃ…。
ん? 早くしないとって どういう事だよ?
先輩だって キャリアの ポテンシャル知ってるでしょ?
そりゃ今は警視庁のペーペー 階級も巡査ですけど→
2年もすれば 昇進試験 受けられますからねぇ。
途端に巡査部長ですよ。 そうしたら 階級は我々と一緒。
それとも先輩→
あと2年のうちに 警部補になる自信 あります?
そりゃあ その気になれば…。
日々の激務をこなしつつ 試験勉強も怠らない→
そんなまねが出来ますか?
出来てりゃ 今頃 とっくに昇進してますよ!
ハッハッハッハッ!
だけどね キャリアの連中っていうのは→
そういう事が お茶の子さいさいの 人種ですからね。
我々とはね ここの出来が違います。
スイスイッと追い抜かれて→
気がついた時には 仰ぎ見る存在になっている。
馬鹿! ビビりすぎだよ。
元はキャリアかもしれねえが→
今の冠城亘は警視庁のお荷物 厄介者扱いだからな。
ですから どういうご用件で?
どうかした? あっ いえ…→
こちらが 殺人を扱う部署を お尋ねで…。
我々 捜査一課です。 殺人 扱ってますよ。
どうかしました?
人を… 殺しました。
は? あなたが?
はい。
どうも。
あら!
やっぱり… いましたね?
いらっしゃいませ。 お久しぶりですね。
どうぞ。
こんばんは。
いらっしゃいませ。
お二人とも 面識あるんじゃありません?
会いたいって言うから 連れてきました。
その節は どうも。 どうも。 お元気そうで。
おかげさまで。
うちの課長の社です。 あっ 女将の幸子さん。
お食事お済みでしたら 何か 軽いものがよろしいですよね。
すいません。
このところ すこぶる 暇だそうですね。
おかげさまで のんびりしていますよ。
冠城くんは どうですか? しっかりやっていますか?
本気で広報の仕事に 取り組んでいる→
とは思いませんが のみ込みの早さと要領の良さで→
過不足なく業務をこなしています。
そうですか。
ただ…。
ええ。 ただ?
信用しすぎると 危ない感じがしますねぇ。
そのあたりは 杉下さんと一緒かも。
なるほど。
私を罰してください!
出て頂いて結構ですよ。
もしもし。
ああ 今 帰ってきたんだけど→
おめえ まだみたいだから。 どこさ行った?
警察。
警察?
知ってる? 宮田さんが死んだの。
私のせいだ…。
梶原さん?
はい!
この度は ご迷惑を…。
もう 馬鹿な事するんじゃないよ。
だって…。 あのね 来栖さん。
仮に あなたが 人を呪い殺したとしても→
現行法上 我々は捕まえる事が出来ないし→
罰するなんて もっての外。
どうか ご理解ください。
さあ 行こう。
お仕事ですか? 大変ですねぇ。
僕は今日 飲みの約束をしてたんですけど→
キャンセルくらっちゃって 仕方ないから 今まで残業を…。
呪い殺すって なんですか?
さあな。
少なくとも サイバーには関係ねえ。
フフフフ…。
ハツが気に病む必要は 全くねえよ。
宮田は事故死だべさ。
形は事故死だけど…。
どうしても宮田の死を→
得体の知れない力のせいに したいんだば 天罰だ。
宮田は天罰を受けたんだ。
少なくとも ハツのせいでねえ。
わかった?
しても… 私には→
ばあちゃんの血が流れてるから…。
どうです?
ならば こういきましょうか。
あ…。
フフ…。
精が出るね。
今までの誰よりも 歯応えのある相手なので→
楽しいですよ。 いやいや→
僕なんか 足元にも及びませんよ。
…が いずれ杉下さんを 完膚なきまでに叩きのめします。
ここへ あまり入り浸ると 君のためにならんぞ。
ここは ある種 警視庁の魔境だ。 最近 そう思うようになった。
いつぞやの失礼の おわびも兼ねて お邪魔しています。
全て水に流して頂けるまで。
流すも何も→
君が しっかり反省しているならば 特に僕は言う事はありませんよ。
しかし よりにもよって→
大嫌いだった警察へ 飛び込んでくるとはねぇ。
衣笠副総監に 強力なコネがあるっていうのは→
本当か? ちょっと 小耳に挟んだ。
親父が 衣笠さんとは 幼なじみなんですよ。
竹馬の友ってやつですかね。
親父は いまだ うだつの上がらない警察官ですが→
子供の頃の関係は→
今現在の地位や階級を 超越するようです。
課長 もう そのあたりで。 ああ…。
あっ この話 あちこちで 言いふらさないでくださいね。
おっ おっ…!
いきがかり上 少しばかり 手を貸しただけでね。
彼が特別 僕の息のかかった 人間だというわけではないんだ。
どうも そのあたり→
誤解しているんじゃないかと 思ってね。
いやいや 私は誤解なんかしてませんよ。
お前さんが いちいち僕のする事を 気に入らないのは わかってる。
でもね そのとばっちりで 彼が不利益を被るのは→
どうも理不尽な気がしてねぇ。
まるで 私の差し金で→
冠城亘なる人物が 捜査部門へ 行けなくなってるみたいな→
そんな口ぶりですね。 違うのかね?
私は 末端の人事にまで 口を挟みません。
あなたとは違う。
どうだろうねぇ?
この際 特命係へ放り込んでおくのが→
現実的な妥協点に思えるんだが。
特命係…。 うん。
ああ… ご子息は 確か→
特命係に いらっしゃったんでしたよね。
まさか あんな事になるとは…。
思いもよらなかったでしょう。
そうだ 杉下さん。
人を呪い殺すって 可能ですかね?
はい?
この女性なんですけどね…。
いかがですか?
うん きれい。 ありがとう。
お待たせしました。
よろしくどうぞ。
それじゃあ 右手から。
ネイルは初めてですか?
ええ。 男が来てもいいものかと 逡巡しましたが→
思い切って。 全然 構いませんよ。
どういうふうにしましょうか?
なるべく時間をかけて お願い出来ますか?
え?
しばらく あなたと おしゃべりがしたいもので。
来栖初恵さん。
あなたが呪い殺したと 主張なさっている宮田さんですが→
3日前の未明 用水路で→
溺れ死んでいるところを 発見されました。
恐らく ジョギング途中→
宮田さんは 一時的に 心臓に変調をきたし…。
気絶状態のまま 用水路に転落したのではないか。
そういう判断のもと 宮田さんは 事故死と断定されたようです。
ええ。
しかし 実は あなたの呪いによって→
この事故は引き起こされたと。
そのとおりです。 でも 相手にされませんでした。
でしょうねぇ。
なのに なんで あなたは いらっしゃったんですか?
個人的な興味としか 申し上げられませんが→
少なくとも あなたが罪の意識を感じ→
罰を望んでいらっしゃるのを 全く無視してしまう事に→
疑問を感じました。
それなりの検証が 必要ではないだろうかと。
検証…。 早速→
あなたが宮田さんを殺したいと 思うに至ったいきさつについて→
お聞きしたいところですが→
それよりも まず 確認したい事が 1つあります。
なんでしょう?
あなたが 人を呪い殺したのは→
宮田さんが初めてですか?
初めてだった場合→
それが あなたの呪いによるものだと→
どうして そこまで 自信を持って主張出来るのか。
例えば 過去に あなたが複数回→
人を呪い殺した経験が あるのならば→
今回のあなたの 自信に満ちた主張にも→
納得がいくのですよ。
つまり あなたにとっては 呪った相手が→
何人か死んでいるという 事実がある。 だからこそ→
自分の呪いは 紛れもなく 本物であると確信している。
どうでしょうねぇ?
ふ~ん。 そりゃ 食いついただろ?
あの人 オカルトに目がないからね。
ええ。
呪いによる殺人か…。
冠城さんは誰かを殺したいほど 呪った事あります?
ないね。 呪われた事ならあるけど。
ええ? 昔 付き合ってた女に→
「あんたを呪いにかけたから 近いうち死ぬ」って言われた。
ご丁寧に その彼女 丑の刻参りしてた。
ハハハハ! 残念ながら 効果なかったみたいですね。
彼女が気の毒だな。
まあ そりゃそうだが…。
お前こそ 誰かを殺したいほど 呪った事あるのか?
あったとしても 僕は呪いなんて 非科学的なものには頼りませんよ。
もっと現実的 かつ 確実な方法で→
相手を 完膚なきまでに 叩きのめします。
再起不能にしてやります。
怖っ…! お前と付き合うの やめとくわ。
そんな事 言わないでくださいよ。
警察学校の同期じゃありませんか。
過去のいきさつは水に流して→
明るく有意義な未来を 築きましょう!
楽しみに待ってろよ。
これはこれは 君でしたか。
お邪魔してます。 いいんですか?
こんなところで油を売っていて。
昼休み どこで過ごそうと 俺の勝手じゃないですか。
どれも死亡事故の記事ですね。
取り急ぎ かき集めてみました。
これが直近 4日前。
そして お隣が4年前。
これまた 随分 古いですねぇ…。
13年前です。
しかも これだけ地方紙。
青森の新聞です。
で…? はい?
何ゆえ こんなスクラップを?
とぼけた顔をしていますが→
見当は ついているのでは ありませんかねぇ。
青木くんから 情報が入っているのでは?
このところ 僕が 暇を持て余していたという情報も→
彼から君に入ったものでしょうし→
であれば 今 僕がこうしている理由も→
ある程度 おわかりかと思いますがねぇ。
そもそも お昼のお弁当に→
ここを使うというのが わざとらしい。
呪いの捜査ですか? ええ。
呪い殺したのは1人ではなく 3人のようですよ。
ああ 失礼。
もしもし 特命係です。
杉下さんですか? 梶原です。
杉下です。
突然お呼び立てして すみません。
魂胆?
だって そうじゃありませんか。
曲がりなりにも 警察が 彼女の話を真に受けるなんて。
何か魂胆があるとしか思えません。
魂胆ですか…。
魂胆という事ならば→
むしろ それを疑ったのは 僕のほうだと思いますよ。
人を呪い殺したと言って 自首したところで→
相手にされない事は わかりきった事です。
そのわかりきった事を 来栖初恵さんは なさった。
そこには何か 意図が… 言い換えれば→
魂胆があるのではないかと 疑っても→
不思議はないと思いますがねぇ…。
あっ いずれにしても 僕は それをはっきりさせるために→
来栖さんに会いました。 そして 強く感じました。
にわかには信じがたい事ですが→
彼女は 本当に人を呪い殺したと 思い込んでいる。
その罪に苛まれ 罰を受けたがっていると。
むろん 単に気を病んでいるだけ という考え方も出来ますが→
僕は そんなふうに 一刀両断→
切り捨てる気には なれないんですよ。
あっ ところで あなたと来栖さんは→
どういうご関係ですか? 昨日の今日で→
こうして 抗議にみえたところを見ると→
相当 親しい間柄のように お見受けしますが…。
彼女とは幼なじみです。
なるほど。 あなたも青森のご出身ですか?
ええ。
ならば 13年前→
女子高生が 首刈峠を自転車で走行中→
崖から転落して 死亡した事故を 覚えていらっしゃいますか?
亡くなったのは吉村雅美さん。
来栖さんの同級生だそうです。
私が中学生の時でした。
当時 来栖さんは あなたに→
呪い殺した というような話は なさいましたか?
シュウ… 怖えよ…。
平気だよ。 ハツが悪いんでねえ。
悪いのは 吉村なんだ。
来栖さんによると→
吉村雅美さんは 当時→
来栖さんを 目の敵のようにしていたそうです。
吉村さんが好きだった男の子が 私の事が好きで…。
私は別に その子の事は どうも思ってなかったんですけど。
一方的に恨みを買った?
事あるごとに 嫌がらせをされました。
彼女に非はありません。
悪いのは 100パーセント 吉村でした。
ええ。 そして 抗う術を持たない来栖さんは→
吉村さんを呪うしかなかった。
そうです。
それにしても 来栖さんはもとより あなたまで→
当時 呪いによる殺人の成就を→
これっぽっちも 疑わなかったわけですね?
え?
まだ無邪気さの残る年頃とはいえ 中学生と高校生→
すでに分別のある年頃です。
呪い殺すなどという 通常では あり得ない状況を→
なぜ いとも簡単に 受け入れられたのか。
どうも そのあたりが 釈然としませんねぇ…。
それは… ばあちゃんがいたから。
ばあちゃん?
来栖トヨ…。
「掛けまくも畏き 伊邪那岐の大神」
「筑紫の日向の 橘の小戸の阿波岐原に」
「禊ぎ祓へ給ひし時に 生り坐せる 祓へ戸の大神たち」
「諸々の禍事 罪 穢れあらむをば」
「祓ひ給へ清め給へと 白すことを 聞こし召せと」
「恐み 恐み…」
来栖初恵の祖母です。
何か?
何? これ。
見てのとおりですけど。
三崎中央署から取り寄せた 捜査資料ね。
…ですね。
「津原繁喜」… 誰? これ。
海に転落して溺死した 釣り人です。
知り合い? いいえ。
ならば どうして→
4年前の死亡事故の資料を 取り寄せたりしたの?
あなたの仕事に どういう関係が?
実はですね これ→
事故死に見えて 本当のところ 殺された可能性があるんです。
それも 通常の殺しじゃない。 呪詛による殺人です。
平たく言うと 呪い殺された。
しかも この他に2件あるんです。
資料 未入手で まだ1件だけなんですけど。
…うん わかってます。
馬鹿馬鹿しくて 聞いてられませんね。
結果が出たら教えて。
ん?
どうせ 杉下さんの案件でしょう? 興味あるわ。
なんかの罠ですか?
確実に呪い殺したという 証拠が挙がったら→
リポートにまとめて 私に提出する事。
特に 呪い殺す方法を 具体的に 詳しく。 いいわね?
あの… それは業務命令…。 最優先事項。
呪い殺す方法なんか知って どうするんです?
もちろん ここぞという時に使うのよ。
うーん…。
なんだかんだで 俺の事 持て余してるんですよ。
無理やり 押し付けられたようなもんだし→
広報課にいたって 大して役に立つわけじゃないし…。
案外 本当に 興味を お持ちなのかもしれませんよ。
呪いにですか?
前に 男を殺すために 毒薬について勉強したと→
おっしゃっていました。
女に似合う殺人は 毒殺だと。
実際 毒薬の知識は 非常に豊富でした。
冗談でしょ?
もちろん ご本人は そう おっしゃっていましたがね。
いずれにしても ルックスは申し分ないけど→
付き合ったら 厄介なタイプですね。
ヤロポロク…。
陰湿な嫌がらせへの報復ですか…。
で こちらが第2の犠牲者。
こちらは 君も 捜査資料を 取り寄せたんでしたねぇ?
津原繁喜。 ブリーダーですよね?
金儲けのために 無理な繁殖を続けていた→
質の悪い ブリーダーだったようですねぇ。
この人 来栖初恵に 何をしたんです?
彼女に何かしたというよりも このケースは→
一種の敵討ちだったようです。
敵討ち?
津原から子犬を買ったんです。
悪い評判は あとから知りました。
結局 うちの子も 腎臓に 先天的な疾患を持っていて…。
獣医さんから 長くは生きられないだろうと→
言われたとおり 半年後に死にました。
ささやかなお葬式を済ませて→
私は 津原のところへ 行ったんです。
文句を言いに?
とにかく ひと言 言ってやりたくて…。
そしたら 津原 なんて言ったと思います?
さあ?
特別に代わりの子犬をやるから つべこべ言うなって…。
ひどい言い方をしますねぇ。
評判どおりでした。
子犬たちの事を 単なる物としか 考えてないんです。
私 悔しくて 悲しくって…。
津原繁喜を呪った。
そして 3件目が こちら。 宮田太。
5日前 ジョギング中 用水路で溺れ死んだ人。
来栖さんが通っていた スポーツジムの→
インストラクターです。
どうして 呪い殺されるはめに?
その点について なかなか お話し頂けなかったんですがね…。
来栖さん。
襲われたそうです。 襲われた?
ええ。 性的暴行を受けたって事ですか?
ええ。 警察へは?
届けていません。 どうして?
宮田太が すぐさま雇った弁護士から→
相当のプレッシャーを 受けていたようです。
こちらは否認して 徹底的に戦う。
裁判になれば 女は 致命的なダメージを受けるぞと。
でも 通常ならば 泣き寝入りになるところを→
来栖初恵は 呪い殺すという報復に出た。
いえ 彼女は もう二度と人を呪うまいと→
心に誓っていたそうです。 ん?
すでに 2人も 呪い殺してしまっている自分に→
恐れを抱き→
良心の呵責に耐え切れなく なっていたからですよ。
「人を呪わば穴二つ」…。
その言葉を しっかり 肝に銘じていたつもりでした。
でも 駄目でした。
呪うまいと思っても→
思えば思うほど 私は宮田を呪っていました。
結局 宮田太は死んだ。
またぞろ呪いが成就した。
だから 彼女は 警察へ自首したんです。
相手にされない事は 百も承知で。
しかし 彼女には そうするしかなかったんです。
ごめんください。
ごめんください!
留守… ですかねぇ?
右京さん!
どなただべ?
都内東地区を中心に 配布されたものだそうです。
ただし こういうふうに 個別の宛名はなく→
ランダムに ポスト投函されたものです。
あとから貼られたって事ね?
はい。 配られたものに 改めて宛名を付けて→
送ってきたという事ですね。
それと ご指摘のとおり いったん開封されていました。
丁寧な仕事なので パッと見は わかりませんけど→
確かに封をし直した痕跡が。 方法をご説明しますとですね…。
それはいいわ。 ありがとう。
お役に立ちましたか?
冠城から 調べ物なら あなたに任せれば→
早いし 確実だって 言われてたけど→
本当ね。 助かった。
お近づきになれて光栄です。
冠城さんから 非常に美しく 聡明な方だと→
お聞きしていましたが 想像以上でした。
どうも。
まあ ハツは 私の孫だからなぁ…。
呪い殺す力があると?
不思議はねえべ。 血脈というやつだでな。
あの… ちなみに→
おばあさんは 人を呪い殺した事あるんですか?
数え切れねえ。
初恵さんは あなたから受け継いだ 血を持て余し→
特殊な能力… あえて ここでは そう呼びますが→
特殊な能力に 恐れを抱いているようですよ。
恐れるのは当然だ。
何も 私たちが 手を下してるわけでねえ。
私たちは ただ 神にお願いするだけだ。
全ては 神様のなせる業だ。
神を おそれぬ事ほど 傲慢はねえ。
なるほど。
とはいえ 持て余すハツの気持ちも わかる。
あの子は 子供の頃から 気持ちの優しい子だから。
ところで 初恵さんと 一緒に暮らしていらっしゃる→
梶原脩斗さんですが→
随分 初恵さんの親身に なってらっしゃるようですねぇ。
シュウか… あれは いい奴だ。
2人は 姉弟同然だからな。
姉弟同然?
早くに両親を亡くして 行くところのなかったシュウを→
うちが引き取って 面倒を見た。
2人は 子供の頃から一緒に育ったんだ。
シュウは ハツば 姉のように慕い→
ハツは シュウを弟のように かわいがった。
今も その関係は続いてる。
そういう事でしたか。
立場は弟でも シュウは男だ。
いつの頃からか 優しく 気の弱いハツを→
自分が守らねばならねえと 思い始めたんだな。
ハツにとって シュウは→
守り神のようなもんかも しれねえな。
守り神…。
ここが転落の現場です。
ここから 自転車ごと転落したわけですね?
でも ガードレールは ありますよね?
当時は なかった? いやいや ありました。
ありましたが… その1週間ほど前に 事故で→
ガードレールが破損しましてね。
で 応急処置として ロープが 張ってあった状態でした。
つまり 自転車が乗り越えられる?
スピード次第では 十分に。
この峠の頂上から ずーっと これ 下り坂ですからね。
すいません これ 下まで何メートルぐらいですか?
10メートルぐらいはあるびょん。
ここから下りられますかね?
下りる勇気があればの。
溺死だったんですか? そうです。
転落死だとばかり…。
転落時に ほれ 打ちどころが悪くて→
気を失ったまま→
うつぶせに この… 川に 顔が浸かってしまったんですな。
ですから 死因は溺死です。 なるほど。
結局 3件とも溺死って事ですね?
溺れ死にのお好きな 神様ですねぇ。
はい 社でございます。
なんだ… あんた。
変な事を聞くようだけど 最近 何か変わった事あった?
「変わった事? 別に」
そう。 ならいいの。
マリアは? そばにいる?
お部屋で寝てる。
「こんな時間に?」
なんか知らないけど 幼稚園で お友達と→
ずーっと 駆けっこしてたんですって。
疲れたんでしょう。
適当に起こさないと 夜 眠れなくなっちゃうわよ。
「わかってる。 もうすぐ お夕飯だから 起こす」
うん。
ごめん。 またかける。
すみません 課長。 何?
わあ~ ありがとうございます。
日帰りで?
ええ。 旬のものです。
ご一緒に? ええ。 どうぞ。
せっかくですから これを使って 何か作りますね。
1つ 確認しておきたいんですけど…。
一般論として 人を呪い殺すなんていうのは→
馬鹿げた話ですよね?
一般論としては そうですねぇ。
ごく一部の人間以外 誰も信じません。
ええ。
信じてる一部の人間だって→
それが どういうメカニズムで 人を殺すかは証明出来ない。
科学的に証明する事は 恐らく不可能でしょうから→
それが 間違いなく 呪いによる殺人だと→
断定する事は出来ませんねぇ。
となると 我々は 今回の一件で 何を調べ→
どこへ向かおうと してるんですかね?
わかりません。
ん?
それが わかれば この案件の8割は解決ですよ。
入れ!
久しぶりだな。
久しぶりです。
仕事は どうだ?
はい 仕事は… してます。
刻苦精励 打ち込んでいるか?
はい?
冠城亘巡査。
ならば 昨日は どこにいた?
昨日は どこにいたと 聞いてるんだ 冠城亘巡査。
広報課のお前が よもや 特命係の杉下右京と→
つるんで動いているような事は あるまいな?
正直に言え。
杉下と 一体 何をやってるんだ? 冠城亘巡査!
黙っていては わからん。 なぜ 杉下と一緒にいる?
課長命令です。
ん? はあ!?
「ごくごく私的な事なので→
内容については 申し上げられません」
「ですが 私が命じた事は確かです」
つまり 君は 私的な用事に 部下を使っているという事かね?
公私混同の極みだな。
お言葉ですが 刑事部長→
冠城亘は そもそも 警視庁には不要な人材です。
もちろん 広報課にとっても。
どうせ使い道のない 人間なんですから…。
課長。 私用で使うくらい→
構わないじゃありませんか。
もしも その事で 私を糾弾なさりたいのならば→
刑事部で 冠城を引き取ってください。
ん? 「そして→
そちらで ご満足のいくよう お使いになればいかがでしょう?」
不用品を押し付けられて その上 使い道まで指図されるのは→
はっきり言って 心外です。
私の説明に ご納得頂けないようなら→
総務部長にご相談ください。
「では ごきげんよう」
不用品ですか…。
クソ生意気な女だ!
あっ! すいません もういいですか?
すっかり変わっちゃってますね。
4年も経っていますからねぇ。
右京さん ここで調べるのは なんか 無理な感じがしますねぇ。
特命係の杉下警部~。 …殿。
ヘヘヘヘ…。
ハハハハ… ああ~。
お前は 誰だ?
ああ なんだ。 この春 めでたく採用になった→
冠城… 巡査じゃないか!
これはこれは→
いた~み刑事 ご無沙汰してます。
フン! 俺の記憶が確かなら→
冠城巡査は 広報課に 配属になったんじゃなかったか?
芹沢巡査部長。
確か そうでしたけど…。 妙な取り合わせですねぇ。
お二人で何を?
うーんと… ほう… 「津原繁喜」。
何者だ?
お二人とも大変ですね。 部長の差し金でしょう?
よろしければ ご一緒しませんか? ご説明しますよ。
人を… 殺しました。
あの女が 3人も呪い殺してる?
ええ。 高校生の時 1人→
4年前に もう1人→
さっきの現場で溺れ死んだ 津原繁喜です。
それから 6日前に もう1人。
用水路で死んだ 宮田太か。
それぞれ 来栖初恵にとって 因縁のある人物です。
来栖さんの話を じっくり聞いてみたところ→
その事実が判明しました。
得意げに おっしゃいますねぇ。 はい?
じっくり話を聞かなかった 我々への当てこすりですか?
とんでもない。 あなた方に→
なんらかの怠慢や 落ち度があったなんて…→
言ってませんよ。 当たり前ですよ。
呪い殺したなんて言われて まともに取り合うわけないでしょ。
ええ。 ただし 1人ならば。
もしも 3人 呪い殺したと言われて→
事実 その3人が3人とも 亡くなっていたとしたら→
どうでしょう? あなた方も それなりに→
興味を持つのでは ありませんかねぇ?
3件とも 事故死なんだよな?
そのように処理されてますけど。
ええ~? まさか 事故じゃない!?
まあ 呪い殺したっていうのを 信じるならば→
話は別だけどな。
で その3件の事故に関して 改めて検証中ってわけですか?
そのつもりですがね なにぶん 1件目は13年前の出来事。
捜査資料も すでに廃棄されています。
2件目は4年前ですが お二人も ご覧になったとおり→
現場が すっかり 様変わりしてしまっています。
なかなか容易ではありません。
でも 3件目は まだ6日前。 現場はホットでしょう。
ええ。 再検証は 十分 間に合うと思いますよ。
車も人も ほとんど通りませんね。
うん… 地元の人しか 入ってこないような道だからな。
これ 第一発見者は 地元の人っすか?
ええ。 散歩のご老人のようですねぇ。
十分 足が立ちますからね→
意識があったなら まず溺れる事はなかったでしょう。
事故だとすれば 相当 不運だけど…。
なんとなく 1件目と似てませんか?
2段階になってる。
確かに。 2段階って?
まず 意識を失い→
その状態のまま 水に浸かって 溺れ死んでしまう。
そういう意味の 2段階です。
1件目も そうだったんですか?
崖から転落する事で意識を失い→
転落現場の渓流に顔が浸かって 溺れ死にました。
ふーん…。
おい 課長命令なんだって? 狙いは なんだ?
さあ? 体のいい厄介払いですよ。
なるほどね。
課長とは 本当のところ どうなの?
えっ? 課長と… ほら!
ノーコメントです。 靴ひもが緩んでますねぇ。
緩んでますよ ほら。 ん?
あっ いえいえ…。
これです。
これが何か?
さあ? 見たままを申し上げただけです。
ガイシャの住まいは この近所でしたね?
ええ。 歩いて 10分もかからないと思います。
今週末には 引っ越し業者が見えて→
部屋を明け渡してもらえる事に なってます。
どうぞ。 すいません。
それじゃあ 終わりましたら→
声かけてください。
右京さん 奥 来ないんですか?
どうしました?
結び方が違います。
事故当日のスニーカーと ここにあるスニーカーですよ。
捜査資料の宮田太のスニーカーは→
無造作に 蝶々結びされていました。
しかし ここにあるのは どれも イアン結びです。
いいですか?
これが 普通の蝶々結び。
そして これが→
イアン結び。
イアン結びのほうが ほどけづらいんですが→
いずれにしても 普段 イアン結びをしている人が→
なぜ 事故当日だけ 普通の蝶々結びだったのか…→
いささか気になりますねぇ。
当日 本人ではなく→
誰か別の人物が ひもを結んだとか?
そうかもしれませんねぇ。 しかし なぜ?
うーん…。
あっ ちょっと すいません。
おお…。 もしもし ご無沙汰してます。
元気でやってるか? 「バリバリやってますよ」
あからさまな不用品扱いを 物ともせず→
日々 楽しんでおります。
そうか。 それは何よりだ。
どうしたんです? 急に。
久しぶりに お前の声を聞きたくなった。
気持ち悪い事 言わないでくださいよ。
「近々 会えないか? 時間を作ってくれ」
スケジュール確認して 連絡します。
そうか。 わかった。
では 改めて。
君は 広報課で あからさまに 不用品扱いされているんですか?
ああ…。
これでも 相当へこんでるのを 強がってるんですから…→
もう二度と 言わないでくださいね。
いずれにしても 直接 会って 話をしてみる。
信用出来ますか?
今は 警視庁の人間でしょう。
大丈夫だ。
数え切れないほど殺した?
そう言って 笑ってました。
数え切れねえ。
来栖初恵は とんだおばあちゃんの 孫娘って事か。
…だな。
靴ひもですか? 気になりませんか?
気になりますけどね。
考えましたが 僕も 君の意見に1票です。
誰か別の人物が 靴ひもを結んだ。
なぜです? そこが問題でしょう。
その時 ガイシャの宮田太は 靴ひもを結べる状態になかった→
というのは いかがでしょう?
靴ひもを結べる状態に なかった…。
つまり その時→
宮田太は すでに死んでいた。
死人に 靴ひもは結べませんからねぇ。
それって どういう事ですか?
実は 3件の死亡事故が 全て溺死である事が→
ずっと気になっていたのですがね。 考えてみると→
溺死ほど死因が明快であり なおかつ 死亡した場所の特定が→
確実になされるものは ありません。
飲み込んだ水の成分を調べれば 一発です。
ええ。 一方で 水は持ち運びが可能。
つまり 死亡した場所を 容易にごまかせるという側面を→
持っています。
宮田太は あの用水路で 死んだんじゃないって事ですね。
ジョギングの途中に 用水路で死んだのであれば→
誰か別人が 靴ひもを結ぶ必要はありません。
ジョギング以前に 死んでいたからこそ→
別人が ひもを結ぶ 必要があったのですよ。
ジョギング以前って… 部屋で死んだって事ですか!?
極端な話 洗面器1杯の用水路の水があれば→
部屋でも溺死させられます。
それに 死亡してから あまり時間が経つのは→
具合が悪いでしょうから 恐らく 日課のジョギングの直前に→
あの部屋で溺死させられ 何者かに靴を履かせられて→
用水路まで運ばれたのでは ありませんかねぇ。
あの部屋 調べられませんかね…。 何?
なんの疑いもなく 事故と断定された案件だから→
部屋なんか手付かずでしょ。
調べてみる価値あるんじゃ ありません?
なんか不審な点が出れば…。 鑑識 動員しろってか?
ええ。 無理だよ。
ほとんど想像じゃ 鑑識に頼めないよ。
でも 今週末には あの部屋 引き払われちゃうんですよ。
そしたら 何もかもパー!
捜索して 何も出なかったら どうする?
誰が どう責任取るんだ?
無理やり動かすっていうのは そういう事だ。
責任は 自分が取ります。
お前に 責任を負うほどの価値はない。
とりあえず 今の自分の立場 わきまえようか。 ね。
突然お邪魔して すみませんね。 いえ 構いません。
どうぞ。 ああ…。
で… ちょっとしたご報告って?
実は 宮田太の事故死なんですが 少々疑問点が浮上しまして→
細かいご説明は ここでは控えますが→
早い話 事故に見せかけた 殺人だったのではないかと。
むろん 殺人といっても 我々の手の出しようがない→
呪い殺したという 類いのものではなく→
むしろ 我々の専門分野である 殺人です。
おばあさん譲りの特殊な能力を 信じて疑わない あなたが→
僕の このご報告を どうお感じになるのか→
正直 見当もつかないのですが 少なくとも3件目については→
あなたの呪いが 作用したのではない可能性が→
出てきたわけですよ。
1件目 2件目については わかりません。
ですが 3件目が そうであるならば…→
前の2件も疑ってみるというのが 我々の性のようなものでして→
つまり 場合によっては→
あなたの特殊な能力を 全否定する事にもなりかねない。
全否定してもらえるならば 幸いです。
私は 忌まわしい呪いの力なんて 欲しくありませんから。
でも そうなると…。
ええ。 あなたの呪いが 成就したかのごとく事故を装い→
殺人を犯した人間が存在する という事になりますねぇ。
それはそれで あなたにとっては 受け入れがたい事実でしょう。
ただいま。
おかえり。
どうも お邪魔しています。 あんたでしたか。
ああ…。
先日 トヨさんに お目にかかってきましたよ。
わざわざ青森まで…。 それは お疲れさまでした。
愉快なおばあさまですねぇ。
どうして ばあちゃんに? ああ…。
主目的は 1件目の事故現場を見る事でした。
しかし せっかくですから ごあいさつぐらいと思いまして→
おばあさまにも…。 そうですか。
で ご用件は?
宮田さん 誰かに 殺されたのかもしれないって。
えっ!?
事故死に疑問が出てきました。 どういう事ですか?
調べている途中なので 詳細は申し上げられませんが→
初恵さんの主張するように→
呪いによって 死に至ったのではなく→
また あなたが おっしゃっていたように→
天罰を受けたわけでもなく→
宮田太は 何者かに 殺害されたのではないかと。
まさか…。 「まさか」ですか?
はっ?
僕にしてみたら 人の死というものが→
呪いや天罰によって 起こっている事のほうが→
よっぽど まさかですがねぇ…。
偽装された殺人というほうが ずっと腑に落ちますよ。 ええ。
シュウ。
おめえが ハツを守ってやれ。 この先 ずっとだぞ?
うん わかってる。
薄々 気づいてるかしれんが→
それが おめえの生まれ持った役目だ。
手っ取り早く 頼む。
まあ 一応やってはみるが…。
恩に着るよ。
お前ら 邪魔だから出ていけ。
フッ… ベランダでいいか?
俺の視界から 消えてくれりゃあいい。
何か出ますかねぇ…。
こうなったら 立件しねえと気が済まねえ。
そもそも 呪い殺すなんて あるわけねえし。
指紋が採取出来ない。 はあ!?
1つもだ。 どういう事ですか?
どういう事か こっちが聞きたいぐらいだ。
とりあえず 玄関回り バスルーム 洗面所で採取を試みたが→
指紋は1つも出ない。
今 別のところで 採取してるが…。
さて どうなる事やら。
守り神ね…。
ハツにとって シュウは→
守り神のようなもんかも しれねえな。
こう言っちゃなんだけど 守り神の役目→
果たしてませんよね。 だって 来栖初恵は→
宮田太に ひどい目に 遭わされたわけでしょ?
そういうのを未然に防いでこそ 守り神じゃないですか。
厳密に考えれば そうかもしれませんが→
あくまでも守り神は比喩表現。
彼が神のごとく万能という事では ありませんからねぇ。
例えば 敵を討つなんてのも 守り神の役目でしょうかね?
はい?
ひどい目に遭わされた 彼女に代わって 敵を討つ…。
となると 宮田太を殺したのは 梶原脩斗って線も出てきます。
宮田太だけじゃなくて その前の2件も→
梶原脩斗の仕業って 可能性もある。
来栖初恵に→
ばあちゃん譲りの呪い殺す力が あるっていうのを利用して→
実は 彼女に代わって 相手を始末していた。
あり得るでしょう。 確かに 一連の事故が→
何者かによる殺人であると 仮定すれば→
梶原脩斗の存在は 無視出来ませんねぇ。
どうも お揃いで。 お疲れさまです。
あれ? もう昼か。 ああ…。
ゆうべの余り物 詰めてきました。
わびしいですよね いい年した独身男子は。
くらくらする…。
続き しますか?
残念ながら 今日は お相手している暇はありません。
そうですか。 そりゃ残念。
あっ 冠城さん。 ん?
例の宮田太の住居って 三鷹市のアークパレス三鷹ですよね?
そうだけど? 今朝から→
現場に鑑識が入ってますよ。 えっ!?
鑑識課の益子巡査部長が 責任者で出動してます。
ごく少人数編成みたいですけど。
それじゃあ あとの分析も 大至急 頼む。
出来る限り 早くやるよ。
これは これは…。 おかえりなさい。
ただいま。 お出迎えとは恐れ入りますねぇ。
抜け駆けは ひどいんじゃありませんか?
これから言おうと 思ってたんだよ。
ならば お聞きしましょうか。
今のは 益子っていって 俺の同期。
そのよしみで ちょいと 調べを手伝ってもらったんだ。
大々的に鑑識を動員出来る 状況じゃねえからな。
結果は いつ出ます? 出たら連絡するから待ってろ。
行くぞ。
そういうわけで 今のところ→
殺しがあったという証拠は 何もありませんが…。
痕跡が消されているのが むしろ証拠だな…。
そう思います。 あまりに不自然です。
えっ! 指紋が1つも出なかった!? たった1つも?
あとは分析待ちで 今のところは それだけだけど→
誰かが部屋中の痕跡を消した 可能性がある。
はい それじゃあ。
犯行の直後に 痕跡を消したのだとしたら→
指紋が1つも出ないという事は あり得ない。
ええ。 昨日 我々が部屋に行った時→
玄関のドアノブを 管理人が触ってます。
ええ。
つまり 昨日 我々が部屋を訪れたあとに→
痕跡が消し去られた。 そういう結論になりますねぇ。
一体 誰が…。
終わらないですよ これ。
ああ 今日 多いわ。 さばききれない。
あなた方を監視していた?
そうでもないと あのタイミングで…→
つまり 我々が 宮田太の部屋を訪れたあとで→
部屋を すっかり きれいにしてしまうなんて芸当は→
出来ませんよ。 僕は勤め人ですよ?
あなた方を監視するなんて 出来るはずないでしょう。
なんなら 出勤簿を 確認してくださって構いません。
何も あなたが 監視していただなんて→
言ってませんよ。 えっ?
そんなの不可能な事ぐらい わかります。
監視していたのは トヨさんではありませんかねぇ。
あの方ならば自由が利きます。
実は 青森のお宅に 電話しているのですが→
お出にならないんですよ。 トヨさんは→
携帯などは お持ちに ならないんでしょうかねぇ?
いずれにしても あなたならば 連絡が取れるのではないかと思い→
こうして訪ねてきた次第です。
連絡取ってもらえませんか? ぜひ お話ししたいので。
ばあちゃんは関係ありませんよ。
そうでしょうかねぇ…。 考えてみてください。
我々のように 警察手帳という 切り札を持たないで→
赤の他人の部屋に入るのは かなり困難ですよ。
こっそり どこかから 忍び込むにしても あそこは9階。
よほどのプロでもない限り 無理でしょうし→
今朝入った鑑識も そのような痕跡は→
発見していないようです。 となると 管理人を通して→
ドアを開けてもらうしか ありません。
しかし たとえ あなたが管理人に頼んでも→
やすやすとは 開けてもらえないでしょうねぇ。
家族 あるいは親族である証拠を 求められますよ。 当然ですねぇ。
しかし… トヨさんならば→
そのハードルを辛うじて 飛び越えられる可能性がある。
はるばる青森から 不慮の事故で 亡くなった孫の部屋を→
訪ねてきたという事で 情に訴えるわけですよ。
腰の曲がった老婆の訴えを むげに拒絶するのは→
言うほど簡単ではありませんよ。
もしもし。
確認取れた。 おおよそ そっちの想像どおり。
了解です。 どうもでした。
今 確認取れました。
我々が部屋を訪ねたあと→
宮田太の祖母を名乗る老婆が 現れたと。
我々の動向が気になった あなたは トヨさんに我々の監視を頼んだ。
トヨさんは上京して 我々の監視を続けた。
やがて 我々が宮田太の部屋に 入ったという連絡を受けた。
まさか 我々が→
宮田太の部屋まで入ると 思っていなかった あなたは→
慌てて 部屋をきれいにするように トヨさんに頼んだ。
さて… なぜ そんなまねをしたのか。
それは紛れもなく あの部屋に→
用水路で事故死したとされる 宮田太殺害の痕跡と→
その犯人を示す証拠が 残されていたからですよ。
ばあちゃん!
うわっ!
なんだ お前は!?
あっ… ああーっ!
そうやって 偽装工作を施して→
遺体を用水路に遺棄したわけか? はい。
部屋から現場まで 遺体は どうやって運んだの?
キャリーバッグに詰めて 運びました。
宮田さんを殺したのは シュウだっていうの?
そんだ…。
私が呪い殺したんじゃ ないって事?
おめえの理性が 勝っておったんだべ。
もう人を呪うまいと→
おめえは 必死で 気持ちを抑え込んでたはずだ。
しても 呪った!
人の命を奪うほどの パワーは ねがった。
ところが おめえ以上に 宮田を呪った人間がいた。
それが シュウだ。
気持ちは わかる。
宮田は おめえに ひどい事をしたばかりか→
その罪を償おうともせず のうのうと生きてたんだからな。
しょせんは人のした事だ。 証拠が残る。
神の仕業をまねようなんて 愚かな奴だ。
ん? これ 写真撮って。
はい。
指紋 その他 出来るだけの痕跡を調べてくれ。
早急にな。 はい。
供述どおり 梶原脩斗による宮田太殺害が→
濃厚ですね。 ああ。
ちょっと…。
俺だ。
指紋以外の結果を伝えるぞ。
配水管に残ってた水だが… 水道水のみだ。
用水路の水は 全く検出されなかった。
それから 収集した部屋のちりだが→
ハウスクリーニングでもした 直後のように きれいなもんだよ。
わかった。 ありがとう。
宮田の部屋の 残りの鑑識結果ですよ。
ハウスクリーニングの直後のように きれいだったそうです。
梶原脩斗に頼まれて ばあさん→
念には念を入れて 部屋中 掃除したみたいですね。
そうですか。
大丈夫だ。
落ち着けば面会も出来る。
シュウは 刑務所さ行くのね。
人を殺したからな。 私だって殺したのに…。
私だって殺した。 でも 行かねえ。
そういう事だ。
実は 1つ2つ 確認したい事がありまして。
確認? 先ほど 供述どおり→
あなたの部屋から 犯行時に使用されたと思しき→
スタンガンとキャリーバッグが 発見されました。
ここで 1つ確認。
どうして わざわざ 証拠となるような→
スタンガンとキャリーバッグを 保管していたのでしょう?
そこが どうも釈然としないんですよ。
だって 犯行現場である 宮田太の部屋は→
あらゆる痕跡を消し去るべく→
それこそ 部屋中 きれいにしたじゃないですか。
そこまでしたなら スタンガンとキャリーバッグ→
処分しても おかしくないですよね。
それとも何か意図があって 保管したんですかね?
完璧なんて あり得ない。 うっかりしていたんです。
いずれ処分しようと思って しまい込んでいた事を→
すっかり忘れてました。
今日 取り調べを受けてて 思い出したんです。
なるほど。
納得してくれましたか。
いいえ 全く。
僕の解釈では→
スタンガンとキャリーバッグは 一種の切り札なんですよ。
あなたが 宮田太殺害の 犯人になるための…。
宮田を殺したのは僕です! いいえ。
あなたが そう言い張ろうと→
それなりの証拠がなければ 犯人にはなれませんからねぇ。
スタンガンとキャリーバッグは そのために準備されたのですよ。
身代わりで犯人になる事も→
ある意味 守り神の役目を果たした と言えますかね。
何を言ってるのか さっぱり…。
いずれにせよ あなたは到底 犯人にはなれませんよ。
もしも あなたが犯人ならば 宮田太の部屋を→
隅から隅まで きれいにする必要は なかったはずだからです。
痕跡を消すというならば 犯行時 自分が立ち入った場所だけを→
きれいにすれば済む。
しかし 犯行時 あなたは 犯行現場にいたわけではないので→
どこに犯人の痕跡が 残っているのか わからなかった。
そこで 部屋という部屋を 全てきれいにしてしまうという→
過剰なまねをせざるを得なかった。
あなたは犯人ではありません。
同じ理由で トヨさんも犯人たり得ない。
となると…。
やっぱり 実感があるの この手さ…。
おめえは 感受性の強い子だからな。
錯覚だの?
呪い殺したという 罪の意識が作り上げた 幻覚だ。
彼女が実際に殺してたとすると→
呪い殺したっていうのは 嘘をついてたって事ですよね。
嘘で片付けてしまうのは どうでしょうねぇ。
少なくとも 呪い殺したというのは→
彼女にとっては 真実なのだと思いますよ。
どういう事です? 残念ながら現時点では→
僕も明快には説明出来ませんが…。
≪ああ… 参った 参った。
どうも。 ご無沙汰。
いやあ… 宮田太が死んだでしょう。
びっくりしました。
天罰ですかな?
それで あなたを思い出しましてね。
私に なんの用ですか?
いやあ 今ね 弁護士も過当競争の時代でしてね→
うちも 資金繰りに 四苦八苦してる状態なんですよ。
単刀直入に申し上げますと 少々ご融資願えないかと。
はっ?
1000万ほど お願い出来ると ありがたいのですが。
何をおっしゃってるんですか? なんで 私が…。
私の助言により 告訴を踏みとどまったおかげで→
あなたの不名誉は 公にならずに済んだ。
多少は感謝されてもいいように 思うのですがねぇ。
私を脅したんじゃないですか。
フフ… そんなふうに取られるのは 心外ですが。
まあ いずれにしても→
あなたの不名誉は 表沙汰になっていません。
恥ずかしい秘密が 公にならずに守られているのは→
何よりじゃありませんか。
帰ってください。
あ~っ!
お金 融通願えませんか?
そんな大金ありません。
青森に ご実家があるでしょ? 土地も。
もちろん くれと言ってるんじゃ ありませんよ。
お借りしたいんです。 いやね 金回りが悪くなった途端→
長年連れ添った女房も 子供と一緒に家を出ちまいまして→
今は わびしい一人住まい。
どうか 悲しい中年男を 助けると思って…。
帰ってください!
そうですか…。
まあ もし気が変わったら ご一報ください。
どうかしたか?
えっ? 思い詰めた顔してら。
ううん。 シュウは どうしてるべと思って。
心配いらね。
メシも食えれば クソも出来る。
もはや なるようにしか ならねえんだ。
うん…。
いずれにしても→
あなたの不名誉は 表沙汰になっていません。
恥ずかしい秘密が 公にならずに守られているのは→
何よりじゃありませんか。
ばあちゃん。
うん?
今日ね… あの弁護士が来たの。
ん?
そんなもん 取り合うな。 ほっとけばいい。
そうすれば 秘密を暴露される きっと。
単なる脅しだ。
ひどい人だ…。 許せねえ。
呪ったりするな。
わかってる。
シュウはいねえが 私がなんとかする。
ゆめゆめ呪ったりするなよ。 いいな?
私がか?
ええ。 ご同行願えないかと。
警察のご厄介になるような事は なんもしてねえが…。
住居侵入。 はあ?
管理人 だまして 宮田太の部屋に入ったでしょう?
立派な犯罪ですよ。
だば ハツも一緒に行く。
それは無理ですねぇ。
初恵さんには 特に 容疑はかかってませんから。
ぜば 私も行がねえ。
わがまま 言わないでくださいよ~。
ばあちゃん 私は平気だから。
ハツ…。
〈それぞれ10名様にプレゼント〉
〈詳しくは 番組ホームページへ〉
お待ちしていました。
あの沼の水ですね?
あなたが すくってるところ ちゃんと押さえてあります。
酔って足を踏み外し 沼で溺死。
今回は そういうストーリー でしょうかねぇ。
もう おわかりでしょうが→
ここは 里崎弁護士の部屋では ありません。
あなたをおびき出すために 急きょ 用意した部屋です。
真犯人は あなたではないかと 確信したものの→
それを立証する証拠がなく 実はお手上げ状態でした。
過去の犯行を検証しようにも→
宮田太の部屋は 全ての痕跡を消され→
その前の津原繁喜のケースも 犯行現場が様変わりし→
当然 津原の自宅も 引き払われています。
さらに さかのぼろうとすれば→
あなたの高校時代 13年前ですからねぇ。
そこで いささか乱暴ですが→
あなたに もう1人 呪い殺してもらおうと。
むろん あなたに呪い殺されても おかしくない人物を→
思い出したからこそ 実現出来た計画ですがね。
里崎弁護士には 快く協力してもらいました。
フン! 馬鹿馬鹿しい。 なんで そんなもんに→
俺が 協力しなきゃなんないんだ!
あなたしか いないからですよ。 なんだと?
ちなみに お酒は召し上がりますか?
ああ まあ 一通り なんでも…。
それがなんだよ? よかった。
実は 当日 これ見よがしに お酒を飲んで頂きたい。
3件目が日課のジョギング→
2件目が趣味の釣りを利用して 事故死を装っていますから→
今回も 何か その手がかりと なるようなものを→
相手に印象付けたいんですよ。 おい 待てよ。
俺は引き受けちゃいねえぞ? お宅に ご迷惑を→
おかけするわけには 参りませんので→
これを用意しました。
ご自宅の住所だけはフェイクです。
近所に ちょうどいい水場のある マンションを→
我々が用意しました。 おい 人の話 聞いてるか?
ああ それから ご家族とは別居中であると→
さりげなく 相手に伝えてください。
一人暮らしでないと 狙いづらいですからね。
よろしく頼みます。
ふざけるな!
引き受けたほうがいいですよ。
あんた 懲戒事案なんか 山ほどあるんだろ。
それを掘り起こして 弁護士会に訴えてもいい。
あんたが潰れるまで やるからな。
取り急ぎ お膳立てを進めて→
あとは あなたが動き出すのを 待つばかりという状況でしたが→
1つ 懸念は 上京していたトヨさんでした。
梶原脩斗さんの代わりに そばにいられては→
あなたの行動を阻害する恐れが あったからです。
そこで あなたから一時的に トヨさんを引きはがすために…。
しょっぴく材料があったんで 助かりましたよ。
それにしても 話を聞いた時は まさかと思いましたけど…。
里崎弁護士は死にましたか?
私のせいです…。 私が殺しました。
ばあちゃんに 呪っちゃいけない って言われたけど→
どうしても許せなくて…。
里崎弁護士は無事ですよ。
本当ですか…?
あ… よかった…。
殺害に至るプロセスが すっかり抜け落ちてる。
それが 彼女にとっての真実なのですよ。
ああ… ああ…。
ああ いやいやいや どうもどうも。
大変ですな。 ご苦労さんです。 わざわざ青森まで 何回も。
して その 確認したい事というのは?
実は 当初 我々も誤解していたように→
吉村雅美さんの死因が 転落死ではなく→
溺死だった事に ついてなんですが→
当時 事故死を疑う要素などは 全くなかったのでしょうかね?
例えば 殺人とか?
崖から転落して気を失う。
そして たまたま 川に顔が浸かって 溺死する。
2段階ですが 一連の動作のように聞こえます。
しかし 実は 気を失ったのをいい事に→
川に顔を浸けて 溺れさせてしまうというような→
作為を示唆する痕跡などは なかったのでしょうかねぇ?
あったんですね?
はっきりとしたものでは ありません。
なんか おかしいな という程度のものです。
気づいたのは私だけでした。
でも それを どうして 事故死として処理したんですか?
どっこいしょ…。
ハツを捕まえたそうだな。
ええ。 しかし 初恵さんは 確かに→
里崎弁護士殺害を企てて 現れたにもかかわらず→
その部分の意識が 抜け落ちてしまっています。
しかし 彼女をそうさせたのは あなた方…。
つまり あなたと梶原脩斗さんでは ありませんか?
我々は 初恵さんの 一連の呪い殺しの発端となった→
13年前の死亡事故→
すなわち 吉村雅美さんのケースも→
実は 事故などではなく→
初恵さん自らが手を下した 殺人事件だと考えています。
それぞれシチュエーションは 違えども→
1件目の成功体験が ベースとなって→
2件目 3件目の殺害の手口で 踏襲されています。
意識を失わせた上で 溺死させるという… それ。
それらを確かめる意味もあって→
昼間 改めて 青森に行ってきました。
そりゃ ご苦労だったな。
想像どおり 当時 事故死に疑念があったそうです。
ところが それを あえて事故死として処理した。
担当刑事が 幕引きを図ったんです。
もちろん そのいきさつは ご存じですよね?
穏便に済ませてくれたんだ。
犯人が名乗り出ようとしたから。
それを どうして 事故死として処理したんですか?
トヨばあさんに 相談されました。
私は 被害者よりも 犯人に 同情を禁じえなかったんです。
だから…。
その犯人とは?
シュウ… 梶原脩斗です。
一緒に暮らしてるハツを 助けるために→
やむなく やってしまったんでしょう。
だとしても 不問に付すというのは やりすぎでしょう。
年齢的に 刑事罰は受けないとしても→
シュウを少年院にやるのは 忍びなかったんです。
もちろん 梶原脩斗は身代わり。
真犯人は 初恵さんだったはずですがね。
違いますか?
やむなくだ。
はい?
ハツの年からいって 刑事罰を問われる。
当時16歳。
家庭裁判所の判断によっては 検察に逆送されて→
刑事裁判を 受ける事になりますが。
ハツには そんなもんは耐えられねえ。
あいつは 弱い子だからな。
しかし 犯した過ちに対する償いから→
不当に逃れる事は許されません。
死にかけた あいつに 自首しろとは言えなかった…。
ばあちゃん ハツが…!
ハツ!
ごめんなさい…。
謝らなくてもええ。
自首どころか→
犯した罪と まともに向き合う事すら→
出来なかったべ…。
なるほど。 そこで 一種の暗示をかけたわけですね?
あなたの血を受け継いでいる というのを利用して。
お察しのとおりだ。
最初は シュウを 身代わりにしようと思ったが→
幸い 事故死のままにしてもらえる っていうんでな。
人を呪い殺す力が備わっていると 初恵さんに信じ込ませた。
ハツから 罪の意識を消し去るには→
そうするしかなかった…。
ううん。 だって この手で雅美を…。
だから 全てが錯覚だって。
呪いが成就したんだ。
信じられない。
ばあちゃんが言うんだから 本当だよ。
結局 彼女は 呪いの力を信じたわけですね。
そうやって折り合いをつけねば→
生きていかれなかったんだべ。
いずれにしても なんとか乗り切った…→
そう思ってたんだ。
誤算があった。
まさか 初恵さんによる 2件目の呪い殺しが起こるとは→
予想もしていなかったのでは ありませんか?
初恵さんに そんな能力がない事は→
あなたが よくご存じのはずですからね。
そもそも 人を呪い殺す自体 不可能でしょう。
見くびるな。
私は 山ほど人を殺してる。
ハツの行いを止める事は→
ハツに 罪の意識を 自覚させる事になる。
せっかく消し去った意識を…。
その矛盾に どうしていいか わからなかった。
とにかく 初恵さんは→
自分の罪と 向き合う必要があります。
初恵さんの暗示を 解いてやってもらえませんか。
恐らく それが出来るのは あなただけでしょうし→
そうする事が あなたの責任ですよ。
ああ…。
あ… ああ…。
ああーっ!
来栖…!?
留置者が自殺を図った! 救急車を!
病院に運び込んだ時には もう手遅れで…。
忙しいところ悪かったな。 元気そうで何よりだ。
ご無沙汰してます。
早速だが お前に ちょっとした頼みがある。
はあ… なんですか? ややこしい事は ごめんですよ。
お前のところの課長についてだ。 課長…?
そう。 社美彌子だ。
この間 そちらの美人課長さんから→
妙な調べ物 頼まれましたよ。
妙な調べ物?
ブツは ロシア語講座のDM なんですけどね。
堅苦しく考える必要はない。 せっかく そばにいるんだ。
何か気になる事があったら 報告してほしい。
で 話って?
俺を特命に 移してもらえませんか?
私に そんな権限はない。
どんな手を使ってもいいから 移してもらいたいんです。
異動願を書きなさい。 上に回すから。
無駄だと思うけど。
お互いのために。
お互いのため…?
どういう事かしら?
俺を特命に移すと 確約してくれれば言います。
中身を聞かずに 確約なんか出来ないわ。
話したあとに 移せないと 言われるのも困るので。
じゃあ 私は 何を担保に確約するわけ?
離れるのが お互いのためなんです。
その言葉を担保に?
むちゃな取引ね。
これがヒントです。
なるほど…。
さっき撮ってきたものです。 削除します。
削除しても すぐ復元出来るわ。
ならば… これ 差し上げますから→
壊すなり なんなりと。
およその事は わかったと思うんで→
俺を確実に 動かして頂けますね?
それが お互いのため…。
課長の下を去れば→
俺は 余計な詮索を しなくて済むし→
課長は 部下に 余計な詮索をされなくて済む。
冠城亘?
覚えていらっしゃいますか?
私が赴任してきた時→
「何か困った事があったら 言ってきなさい。 力になるから」→
と おっしゃった事を…。
もちろん覚えているが…。
いやあ あの時と今では 立場が違うからねぇ。
いや… わかった。
よし やってみよう。
よろしくお願いします。
まだ諦めてなかったんですか。
だから お前さんに 頼みに来たんだ。
この件だけは 目をつぶってくれないか。
お前さんの横やりが入れば 話は潰れる。
あなたのプランを潰せるほど 私は大物ではありませんよ。
そんな事はないよ。 今や 力の差は歴然だ。
頼みに来たと おっしゃいましたよね?
しかし 一向→
頼まれているような感じが しないんですが…。
ハハ… 私が鈍感なのかな?
今回の件だけは 俺の自由にさせてくれないか。
このとおりだ。
おっと… セーフ。
どうもどうも~!
笑ってるよ。 特命がそんなにうれしいかね?
どっかネジが1本 緩んでるんだな たぶん。
おはようございます。 おはようございます。
どういうわけか知らねえが→
とにかく特命に来たっていうなら もっけの幸い。
これからは 心置きなく いたぶってやる。
いつしか逆転されないように 気をつけてください。
うるせえよ!
冠城亘 ただ今 戻りました。
おかえりなさい。
人捜しを お願いしたいんだけど。
捜してみましょう 煙のように消えた男を。
手がかりは シガーの香りだけ。 徹底的に→
いびり抜くと決めた。 死ね!
右京さん! 僕とした事が…。
こういう事ですよ 特命を希望した理由は。
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