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《秩父の街の夜明かりが 透けた瞬間➡
とても幻想的な光景を 生み出すという》
《もし それが撮影できたら…》
< それは…>
<失ってしまうには あまりにも惜しい➡
歴史が積み重ねた その味と味わい。
これは 平日にくたびれたサラリーマンが➡
そんな絶メシに出会う 週末 1泊2日の物語。
それでは 案内を開始します>
ただ今 戻りました。
あっ お疲れさまです。 あっ おざす~。
《勤務時間中のおしゃべりは かまわないけど➡
ものすごい雑な 「お疲れさまです」 だったな》
(堀内)まあまあ でも 俺みたいに フォロワー増やす方法って➡
そんな難しいことじゃないから。 簡単に言うと➡
ハッシュタグを工夫するとか あと タグ付けをするとか➡
写真の…。 《ああ SNSの話か。
数か月前に アカウントを教えられたけど➡
フォロワー 212人って そんな自慢できる数なのか?》
すごい。 そう それと 気に入った写真を➡
アップするのもいいけど やっぱ コンセプトだよね。
俺の場合は レトロ喫茶とか 古民家カフェとかを中心に➡
展開するようにしてるから。 かわいい このお店。
かわいいでしょ これ。
《なんとなく 浅い感じがするのは 私だけか?
雑誌の特集見て 片っ端から巡ってるような…》
まあ 週末のカフェ巡りは 俺にとって➡
もはや ルーティーンっていうか 体の一部?
へぇ~。
《待てよ。 私だって 週末は いろんな街を巡っているし➡
それなりに写真も撮ってる。
本気を出せば 堀内くんより➡
もっとすてきな写真を お届けできるような…》
すごい 堀内さん なんか最近 かっこよくなりましたよ。
えっ 何? えっ なんか 髪形なんか➡
このへんとか…。 《始めてみるか S N S!》
(夏目)おしゃれですね。 (堀内)表参道とか行かないの?
(夏目)私 全然なんか 池袋とか。 (堀内)池袋!?
《結局 まだ迷っている。
この週末の小さな大冒険の写真を SNSにアップすれば➡
それなりに反応もある気がするし 自己顕示欲も満たされるだろう。
でも 何かが引っかかる。
理由のひとつは…》
⦅えっ 須田さん 今さら SNS始めたんですか?⦆
(笑い声)
《今さら始めることの 気恥ずかしさ…。
絶対 堀内くんは絶対 上に立とうとしてくるだろう。
あとは…》
何だろう…。
目的地まで 124キロ 2時間3分くらいかかります。
《さて 今日は新たな仲間を 連れてきたんだ》
《電気毛布と ポータブルバッテリー。
これがあれば 冷え込む山の中でも まったく問題ない》
(笑い声)
よいしょっと。
《うん あったかい。
かなり奮発した甲斐があった》
あっ そうだ。 一応…》
(シャッター音)
《実はここ 都内から いちばん近い雲海スポットと➡
呼ばれているらしい》
《もし それが撮影できたら… SNS 始めてみるか》
♬~
《こんな景色が 見れるはずだったんだが…》
《残念!
ノー 雲海》
《まっ でも これはこれで きれいか》
(シャッター音)
♬~
「待人 来てもおそい」。
♬~
さて いただきに行きますか。
《あの辺り 雰囲気いいな》
♬~
《パリー食堂。
パリじゃなくて パリーなんだ。
今まで訪れたどの店よりも レトロな感じ》
《よし 今日はここで…》
《いや 待てよ。
この1周回ったおしゃれ感。 堀内くんの言っていた➡
古民家カフェ的なお店の 可能性もあるのか?
絶メシの店と 古民家カフェは 似て非なるもの。
古民家カフェは 古い建物のよさを 再利用しているのに対し➡
絶メシ店は 単純に建物が 古くなっただけのパターンが多い。
ここは どっちだ?》
《こののれん 右からの横書きは➡
あえて狙ったレトロ感にも 見えなくはない》
《あっ これは…。
なかなか年季が入った食品サンプル。
この日焼け具合は 狙ってできるものではないか》
(シャッター音)
《よし 行ってみよう》
《リノベーションの跡もなく 純粋に古い店内。
おっ 地元の催し物のポスター。
私物が店にも侵食している感じ。
経験上 絶メシ店の可能性が高い》
《おっ 小窓。
の向こうに気配が》
いらっしゃい。 どうぞ。
どこでも。 あっ はい。
《古くから この店を支えていそうな店主。
このスピード感… これは 確定ということでいいでしょう》
《ラーメンから始まり 焼きそば➡
カツ丼 親子丼➡
カレー オムライス。
コンセプトのないバラバラなメニューも➡
絶メシ店らしさを かもし出している。
さて 何を…》
(扉の開閉音)
あっ おかえり。 あっ いらっしゃいませ。
どうも。 ごめんごめん 表はやっとくから。
《若い店員さんがいるんだ》
あっ すみません。
どうぞ。 ありがとうございます。
注文はもう お聞きしてます? あっ まだです。
決まりましたら 声かけてください。
あっ あのう…。
オススメは? オムライス頼む方とか多いですけど。
じゃあ オムライスで。 はい。
オムライス1つ。 はいよ。
《今まで訪れた店は 店主一人だけか➡
家族が手伝ってるパターンが 多かったけど…》
あ あの すみません。
アルバイトの方ですか? あっ いえ 僕は 手伝いに来てて。
手伝い? おじいちゃん…。
あっ いや 店主の孫なんです。
《えっ 後継者?》
じゃあ いずれはここを継がれて?
いや まあ それは…。
《あれ? なんか触れちゃいけない 話題だったかな》
継ぎたい気持ちは あるんですけどね。
あっ そうなんですね。
ずっと見てきたので…。
♬~
(晃希)小さい頃 両親が共働きだったので➡
おじいちゃん おばあちゃんが 僕の面倒をみてくれてて。
⦅上手に描けてるな。
今日も手伝うか?
うん!
はい カツ丼です。
こうちゃん 今日もお手伝い? 偉いね。
うん。
あっ いいよ おじいちゃん 俺 運ぶから。
ああ。
はい オムライスです。 ありがとう。
ほら。 えっ? 食べな。
いいの? お手伝いしてくれたからな。
お客さんのついでに 作ったから いいんだよ。
食べな⦆
♬~
(晃希)ここで食べるご褒美の オムライスが大好きで。
お店継ぎたくて 高校出てから 料理の専門学校に通ったんです。
当時はここ 中華が人気だったから➡
中華料理店でも修業して。
あっ だったら すぐにでも…。 ええ。
祖父には早く 楽してもらいたいんですけど➡
一度も 継いでほしいって 言われたことなくて…。
えっ…。 ようやく ラーメンくらいは➡
作らせてくれるように なりましたけど➡
全然 料理もさせてもらえなくて。
えっ あっ じゃあ オムライスも?
あっ もう まったく。
たまに作って 味見してもらうんですけど➡
味薄いとしか 言ってもらえなくて。
あっ いいよ 出すから。 ん? そうか。
どうぞ オムライスです。
《あっ 懐かしい。
水にスプーンのパターン。
最近 めったに見なくなったけど➡
ちょっと高まる… そして オムライス》
《見た目は 昔ながらの 定番オムライス。
ただ 気になるのは➡
トマト キュウリ ポテサラと同列で 置かれているフルーツたちの存在。
レトロな喫茶店でも こういう 盛り付けパターンはなさそうな…》
あのう フルーツ すごいですね。
メロンまであって。 昔 テレビの取材が来たときに➡
見た目を派手にしたいからって➡
スタッフの人が そういう盛り付けに したらしいんですよ。
で それからね。 うん そうそう。
がっかりされたら困るからね。 なるほど。
いただきます。
《ふわとろ感を一切排除した この卵。
白身と黄身が 混ざりきってない状態なのも➡
古きよき オムライスの魅力かな。
うん うんうんうん。
地に足がついている。
味に派手さや個性はないけど➡
きっと たくさんの人の舌を 裏切らない味》
《うん うまい》
☎
あっ 行くから。 ☎
あの… いいお孫さんですね。
そうかい?
あのう…。 ん?
継いでもらわないんですか?
《思い切って聞いてみたけど やっぱり デリケートな話題なのか…》
俺からは 何にも言えないね。
アイツには アイツの人生があるからね。
冷めないうちに どうぞ。
はい。
《この店をやってきた苦労…。
そして これからのことを 考えると➡
味が薄いと言ったのは➡
おじいちゃんの 優しさだったのかもしれない》
《でも 間違いなく言えるのは➡
このオムライスは…。
いろんな意味で 濃い》
ごちそうさまでした。
いつか お孫さんの作った オムライスも食べてみたいです。
そうできるように 精進します。
あっ。
《2人の話に夢中で 撮り忘れた。
食べ物の写真も お店の写真も》
何か? あっ いや なんでもないです。
じゃあ また。
お気をつけて。
ごちそうさまでした。
ありがとうございました。
《オムライスで語る 店主と孫の片思い。
パリー食堂 ここもまた➡
絶滅してしまうかもしれない 絶品メシ。
絶メシ フォーエバー》
《今まで訪れた絶メシ店には➡
写真だけでは切り取れない 物語があった。
ちゃんと 心に刻みつけておけばいい》
♬~
<今週も お疲れさまでした>
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