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(樹理(じゅり))私が見たことを裁判で話す
ホントは松子(まつこ)じゃなくて 私が見たの
告発状なんて出したから 松子が死にました
私が こんな事件を見ちゃったから 松子が死にました
ホントのことでしょ 人殺し!
(丹野(たんの))柏木(かしわぎ)君は絵が好きで よく画集を見に来てました
(丹野) 柏木君は よく言ってたんです
もし 自分が死んだという 知らせを受けたら
自殺したと思ってほしいって
(井口(いぐち))お前 ガチでやる気あんの?
(涼子(りょうこ))事件について 知っていることを話してください
(井口)大出(おおいで)が言ってた
柏木を殺したって
(傍聴席のざわめき)
(神原(かんばら))被告人が被害者を殺した
それを知っていながら 今まで黙っていたのは
仲間だからですか?
(井口)そうだよ
(神原)でも 日頃から 被告人に暴力を受けていましたよね
(傍聴席のざわめき)
(蹴る音)
(俊次(しゅんじ))お前さ
俺に命令すんなって 何度 言えば分かんだよ
(神原)いつも子分扱いされて 逆らえば殴られて
ホントは むかついていたんじゃないですか?
その仕返しに 証人はウソの証言をした
ああ! むかついてたよ
だから 今 こうやって ホントのことバラしてんだよ!
こいつが逃げらんねえようによ
お前 頭 イカれてるよ
もう うんざりなんだよ!
(去っていく足音)
(ドアの開閉音)
(涼子)1つだけ確認させて
三宅(みやけ)さん 井口と橋田(はしだ)も その場にいたって言ったよね
でも さっきの井口の証言だと 大出が1人で殺したってことになる
(樹理)そんなの 仲間割れに決まってるでしょ
井口も橋田も その場にいたの
でも それは バレたくないし
かといって 大出が無罪になるのはむかつく
だから あんなこと 言いだしたんでしょ
大出一人に 罪をなすりつけようとして
(茂木(もぎ))まあ 一理はあるか
(樹理)何だっていいでしょ 井口と橋田なんか
大出がやったことさえ 証明できれば
(去っていく足音)
(ドアの閉まる音)
(剛) あっ おお 君か どうした?
(神原)大出のアリバイの件 どうですか?
何とかなりそうですか?
(剛)いや 悪いけど それが まだなんだよ
(神原)ハァ…
(剛)神原君
また何か分かったら すぐ連絡するから
うん うん それじゃあね
(剛)大出さん
ご子息が 学校内裁判で 有罪になりそうだそうですよ
(勝(まさる))そうですか
(剛)フッ やっぱりそうだ
(勝)え?
いやね 失礼ですが
あなたは さほど ご子息が どうなるかってことに
興味がないように見える
なのに どうして
学校内裁判が行われないように 妨害したんですか?
推測できることは1つ
あなたが 議員秘書たちと行った謀議が
12月24日の夜にあった
それに 何らかの形で ご子息が絡んでる
だから あの夜
ご子息が事件を起こしたとされる 24日の夜のことを
あれこれ詮索されるわけには いかなかった
そうじゃありませんか?
ハァ…
大出さん!
さっさと吐いて
息子さんのアリバイ 証明してやったらどうなんすか
(風見)大出氏が経営する会社の 顧問弁護をしております
(津崎(つざき))ああ で… ご用件は?
(風見) 先日 大出氏が逮捕された際
彼から預けられたものが ありますよね
(勝)これを預かってください
(風見)それをお返しいただくよう 言づかって参りました
先日 警察の方が お見えになって
大出さんについて聞かれました
大出さんは 保険金詐欺だけでなく
他の犯罪にも関わってますね
私が預かったのは その犯罪に関する
証拠になるようなもん なんじゃないですか?
(風見)フッ 津崎さん
(津崎)お話しできないなら お返しできませんよ
(風見)返さずに どうするおつもりですか?
(津崎)警察に渡します
(風見)おかしいですね
私は大出氏から あなたも共犯だと聞いております
共犯?
(風見)学校内裁判の開催を 意図的に妨害しましたよね
それは 全く別の問題でしょう!
いいえ 別ではありません
去年の12月24日
知られては困る客が 大出家を訪れました
あのカードには その時の記録が収められています
つまり…
(風見)そもそも 大出氏が 裁判を阻止しようとしていたのは
その客のことを 知られないようにするためでした
それに あなたも 手を貸したことになりますよ
私は知りませんでしたよ!
大出さんが 私を利用しただけじゃないですか!
世間は そう思ってくれますかね?
あなたは預かったものを その場で 警察に渡さなかったんですよ
このまま黙って お返しください
それで あなたも安全です
ちょっと待ってください
事件当日に 客が来たということは
もし その客が大出君を見ていれば
彼のアリバイを 証明できるということですよね
大出さんは それを知ってて 握り潰そうとしているんですか?
私にも 無実になるかもしれない教え子を
見殺しにしろと言うんですか?
(風見) たかが子供のお遊びの裁判です
当事者たちにとっては 遊びじゃありませんよ!
では ご自分の立場と 引き換えにしますか?
教職者である校長が 保身のために 無実の生徒を犠牲にしようとした
このスキャンダルの代償は 大きいですよ
お帰りください
(風見)津崎さん (津崎)帰ってください
賢明な判断を お待ちしております
(ドアの開閉音)
(涼子)ハァ…
(邦子) 浮かない顔して どうしたの?
裁判 勝ってるんでしょ?
(涼子)うん…
でも 怖くなってきた
(男性)そうだよ (男性)ホントだよ
(俊次)うっ (男性)あっ
ごめん ごめん 大丈夫? 大丈夫だよな?
(男性)何だよ 最近の若(わけ)えのは びっくりしちゃったよ
(男性たちの笑い声)
(男性)もう1軒 行きましょう
(足音)
事件当日 被害者の家には 5件の電話がありました
どれも 公衆電話からです
弁護側としては この電話は
被害者である柏木卓也(たくや)君本人が かけたものだと考えます
(傍聴席のざわめき)
(神原)被害者が 何のために家に電話をしたのか
それは 家族に 別れを告げるためです
この日 被害者の家族は 出かけていて
家には誰もいませんでした
でも 被害者は それを知らなかった
だから 死に場所を探しながら 何度も電話をかけたんです
被害者は スマホを持っていなかったから
公衆電話から かけるしかなかった
でも 結局 誰とも話せないまま
夜中に学校の屋上から 飛び降りたんです
この5本の電話は 被害者が自殺をしたという証拠です
(井上(いのうえ))電話をしたのが 被害者だという根拠は何ですか?
目撃者がいます
(小林)ああ… 黒い色のコートを着て
雪ん中 立ってたよ
電話をしていた人物は
黒いコートを着ていた という証言があります
そして 被害者が亡くなった時に 着ていたのも 黒のコートでした
(傍聴席のざわめき)
(神原)以上です
(涼子)被害者との関係を 教えてください
(宏之(ひろゆき))兄です
(涼子)あなたは スマホを持っていますか?
(宏之)持っています
(涼子)ご両親は どうですか?
(宏之)持っています
(涼子)では 柏木君が 家族に別れを告げたかったら
誰も出ない自宅に 5回もかけなくても
誰かのスマホに電話をすれば 済む話ですね?
(宏之)そう思います
(涼子)この5件の 公衆電話がある場所に
被害者に何か ゆかりのある場所はありますか?
(宏之)ありません
(涼子)私は実際に この5か所をたどってみました
聖マリア病院から銀座(ぎんざ)までは
20分とかからないのに
電話は1時間半以上 空いています
人も店も多い 縁も ゆかりもない場所で
被害者が1時間半も 死ぬ場所を 探していたというのは不自然です
同様に 他の場所も
自殺にふさわしい場所とは 思えません
また 目撃者は 黒のコートだったと言っただけで
被害者の顔を 覚えていたわけではなく
被害者が電話をした証拠には なりません
この5件の電話は 誰からだと思いますか?
(宏之)被告人です
弟を呼び出して 危害を加えようとしていた⸺
証拠だと思います
(涼子)以上です
(神原) あなたは裁判の前から ずっと
弟さんは被告人に殺されたと 言っていますが
それは どうしてですか?
(宏之)前にも言ったけど
弟は自殺するようなやつじゃ なかったから
(神原)そう言い切れるほど
弟さんのことを ご存じだったんですか?
え?
(神原)あなたは 高校の時から家を出て
埼玉の親戚の家に 住んでいますよね
それから 今まで 年に数回しか家に帰っていなかった
家を出たのは 弟さんから 離れたかったからですよね
いや…
行きたかった高校が 遠かっただけだよ
てか 何を言ってるの?
以前に弟さん本人から 聞いた話です
弟さんは 幼い頃から病弱で
両親に溺愛されていた
あなたは そんな弟を 憎んでいたんじゃないですか?
(宏之)違うよ! (神原)昔⸺
弟さんを殴ってしまったことも あるそうですね
(傍聴席のざわめき)
(涼子)異議あり! 事件とは関係のない質問です
(神原)証言に 信憑性(しんぴょうせい)があるかどうかを
確認しているんです
(井上)異議は却下します
証人は答えてください
(宏之)ハァ ハァ ハァ…
(卓也のせきこみ) (功子)苦しい? 大丈夫?
(宏之)また来られないの? やっと レギュラーになれたのに
(功子)ごめんね 卓也が熱 出しちゃって
お兄ちゃんだから 我慢できるよね
(卓也のせきこみ) (功子)次の試合は絶対行くから
ねっ?
(宏之) いつも そうやって来ないじゃん!
(則之)宏之 弟が 苦しんでるんだから 我慢しなさい
(則之)宏之 弟が 苦しんでるんだから 我慢しなさい
(卓也のせきこみ)
(則之)宏之 弟が 苦しんでるんだから 我慢しなさい
(卓也のせきこみ)
(宏之)いってきます
(功子) いってらっしゃい 頑張ってね
(功子) いってらっしゃい 頑張ってね
(ドアの開く音)
(功子) いってらっしゃい 頑張ってね
(ドアの閉まる音)
(宏之)ただいま!
(功子・則之・卓也) ♪ ハッピー バースデー トゥ ユー
♪ ハッピー バースデー トゥ ユー
♪ ハッピー バースデー
♪ ディア 卓也
♪ ハッピー バースデー トゥ ユー
(功子・則之)おめでとう~
お父さん 吹いちゃおうかな ほら 卓也 吹いて吹いて
(息を吹く音)
(卓也のせきこみ)
お前 仮病だろ
お前が 病気病気うるさいから こっちは迷惑してんだよ!
何だよ
ちょっ 待てよ!
おい!
(倒れた音)
うわーっ
(殴る音)
(神原)あなたは ここ数年
弟さんと数えるほどしか 話をしていません
(卓也)あんたには 分かんなくていいんだよ
(神原)成長した弟が何を考えて
どう生きていたのかも 分からないのに
自殺なんかしないと言い張っている
それは どうしてですか?
根拠のない証言なら これまでの発言を撤回してください
自殺なんかで終わったら
また親が勘違いする
卓也は繊細で 人と違うから
人が見えないものが見えてるから
だから自殺したってことに なるだろ!
あいつは 特別な人間なんかじゃないのに!
(神原)つまり
弟さんは自殺じゃないという証言は あなたの願望だったわけですね
(宏之)違う! あいつが 自殺なんかするわけないんだよ
何があったって 自分だけは 生き残るようなやつなんだから!
終わります
(宏之) 君が連れてきた美術教師
あの人だって まんまと だまされてる
自分が死んだら 自殺したと思ってくれなんて
気を引くための ウソに決まってるのに!
終わります
みんな…
みんな 卓也の本性を 知らないんだよ!
(足音)
(足音)
(涼子) 何度も来ていただいて すみません
(丹野)いえ
(涼子)お願いします
(涼子)先生の証言で
柏木君は自殺をしたと思った人が 多かったと思います
(丹野) 悲しいことですけど
柏木君という人を 知ってもらえて
よかったと思います
(涼子)先生は今 他の学校で 教師をやられているんですか?
いえ 今は休職中です
(涼子)そうですか
先生は どういう高校生でしたか?
柏木君と同じ年の頃
何を考えていたのか 教えてもらえますか
ああ… 目立たない生徒でしたよ
おとなしくて友達がいない まあ 空気みたいな存在で
でも 心では いろいろ考えてるというか…
(涼子)柏木君に似てますね
そうですね うん
私も美術室に 入り浸ってましたし
もしかしたら 先生は
昔の自分に 柏木君を 重ね合わせていませんか?
え?
先生は この間 柏木君の気持ちを 解説してくれましたけど
それは 先生ご自身が
感じていたものだったんじゃ ないですか?
いや そんなことは…
先生は どうして 学校を辞めたんですか?
もともと 教師を辞めて
絵に専念したいと おっしゃっていたそうですね
だから 何度も 絵のコンクールに挑戦していたって
コンクールの結果は どうでしたか?
すみません
もし 人生を懸けて挑戦した コンクールに
全て落ちてしまったら
絶望しますよね
人生を 終わりにしようと したんじゃないですか?
絵の価値を分かろうとしない世間に 見切りをつけて
本件とは関係のない話です
もしかしたら 先生は 自分が そうだったから
柏木君も そうだと 考えたんじゃないですか?
学校や この世界に見切りをつけて
自殺したんだって
(神原) 異議あり! 勝手な推測です
そうかもしれません
私に才能がないんじゃない
理解しない世間がおかしいんだと 思おうとしてました
そんな世界なら 生きていても無駄だって
私は死のうとしたんです
亡くなった柏木君の口を借りて
愚かな世間を
批判したかったのかもしれません
柏木君は
自殺だったと思いますか?
分かりません
(涼子)終わります
(井上)証人は退廷してください
(涼子)ハァ ハァ ハァ…
(ドアの開閉音)
(保護者)こんな裁判⸺
このまま 続けさせていいんですか!
(保護者) 大出って生徒が殺した可能性が
高くなってきてるんじゃ ないですか? ええ?
(岡野)あっ いやいや… これは あくまでも
生徒たちの模擬裁判ですから
(高木(たかぎ))だから反対したんですよ
これで 大出が ホントに有罪になったら
大変な騒ぎになりますよ
(森内(もりうち))すいません
(北尾(きたお))だからって 今更やめさせられんでしょう
チッ あっ ハァ~
(森内)すいません
(牧野)殺しちゃまずいでしょ
怖っ
(須藤)やばい お前 マジ殺されんぞ
(ドアの開く音)
(ノック)
(引き出しの開閉音)
どうぞ
(涼子)失礼します
校長先生が 裁判に反対していたのは
学校の体面のためだけですか?
それとも
大出君が無実だと 思っていたからですか?
どうして そんなこと聞くんですか?
何か ご存じならと思って…
私は 有罪だと思って 裁判をすると決めてました
検事だから
でも 怖いんです
今更ですけど 私たちが 裁判なんてやってよかったのか
証言が本当かどうか 見極める力もないのに
あんなふうに
人の心の奥にあるものを 引きずり出して
有罪っていう判決を引き出して
もし 大出君が無罪だったら…
(木づちで打つ音)
(井上)裁判を再開します
証人は入廷してください
(ドアの開く音)
被告人との関係を教えてください
(増井)大出に暴行されました
(傍聴席のざわめき)
(男子生徒) マジで何やってんだ あいつ
(俊次)はい あ~そぼう
(増井)あっ
そのケガは その時のものですか?
そうです
後遺症が残るかもしれないと 言われてます
警察に被害届は出しましたか?
いいえ
どうしてですか?
うちの両親が
大出の父親に脅されたからです
(傍聴席のざわめき)
僕は あの時
殺されると思いました
(増井)うっ ううっ
(せきこみ)
(骨の砕ける音) (増井)ぐあっ!
ぐ…
(傍聴席のざわめき)
こいつは
人を殺すことを 何とも思っていない
そういう人間だってことを 証言しに来ました
(傍聴席のざわめき)
検事からは以上です
(神原)あなたは 被告人を 前から知っていましたか?
(増井)いいえ
(神原)その場で被告人を 挑発するようなことをしましたか?
(増井)してません
(神原)ということは
あなたが襲われた事件と 今回の被害者の事件とは
犯罪の性質が 違うということになります
だから何ですか?
あなたが 被告人に 殺されそうになったからといって
被害者もそうだったという証明には ならないということです
だから何なんだよ!
こいつが簡単に人を殴れることは 変わりねえだろ!
僕の右足は神経が切れて もう動くかどうか分からなくなった
陸上で 大学の推薦も決まってたのに!
あ…
謝れよ
おい お前のせいだぞ
なあ
謝れよ!
おい 謝れ
謝れっつってんだろ!
(床をたたく音)
(増井)うっ 何で…
何で俺なんだ…
うっ うう…
何で…
(健一)手伝います
(増井)何で…
何でなんだよ
何で
何で俺なんだよ…
(足をたたく音)
(岡野)もう この辺で 中止にしたらどうだ
(岡野)もう この辺で 中止にしたらどうだ
(増井)うあーっ!
(涼子)中止?
(岡野)ああ 反響が大きすぎるんだよ
生徒たちがネットに書き込むから マスコミからの問い合わせも来るし
(神原)反響なんて そんなの 最初から予想できてましたよね
(岡野)ハァ…
(高木)あなたたちは やりすぎなんですよ
あんな 別の事件の被害者まで 連れてきて
(岡野)後は 学校に任せてくれないか?
(涼子)あの…
私は中止でもいいです
本気で言ってる?
だって もし大出がやってなくても
このままだと 有罪になる可能性が高いよ
ここで やめたって同じだ!
ここで やめたって同じだ!
(机をたたく音)
判決が出なくても 殺人犯のレッテルを貼られる
判決が出なくても 殺人犯のレッテルを貼られる
(机をたたく音)
みんなに そういう目で見られる
あいつは それを一生 背負って
生きていかなきゃならなく なるんだよ!
もう少しで 大出のアリバイも 見つかりそうなんです
絶対に裁判を 中止にしないでください
お願いします!
(ドアの開く音)
(佐知子)俊(しゅん)ちゃん ごはん できたわよ
お母さん おなか すいてるの
付き合ってくれない?
(俊次)俺…
やってない
(佐知子)うん
でも…
やってても おかしくなかった
(ノック)
(涼子)はい
証人は入廷してください
(高木)校長?
(傍聴席のざわめき)
お名前と 被告人との関係をお願いします
津崎正男(まさお)です
この学校の校長を務めており
被告人である大出君も 亡くなった柏木君も
私の教え子です
(涼子) 知っていることを教えてください
事件当日の大出君について
私は ある事情から
彼のアリバイを 証明できるかもしれないものを
入手していました
(傍聴席のざわめき)
(涼子) それは 今 どこにありますか?
警察に提出しました
(傍聴席のざわめき)
(紺野)このファイルに 保存されていた会話を
聞かせてもらいました
今⸺
進藤(しんどう)の秘書にも 話を聞きに行っていますよ
(剛)去年の12月24日
大出 勝さんの家へ 行きましたよね
その時 保険金詐欺 及び
駅前開発に関する 不正取引の相談をした
(秘書)何のことですか
(剛)先ほど 同席した 帝東興産(ていとうこうさん)の社員も認めましたよ
どうぞ
柏木君が亡くなった その時間
大出君の家には来客があり
その人物が 大出君を見ていました
(傍聴席のざわめき)
(徳田)いいんじゃないの?
(帝東興産社員) おお~ 採用決定
(笑い声)
(勝)どうでした?
中へ
(津崎)この情報は 警察から提供されたもので
特別に文書も頂いております
(傍聴席のざわめき)
(涼子)被告人には アリバイがあったということですね
(津崎)はい
大出君が柏木君を殺害するのは 物理的に不可能です
(傍聴席のざわめき)
裁判長 それでは…
(茂木) あの ちょっといいですか?
さっき おっしゃっていた ある事情っていうのは何ですか?
(井上) 傍聴人は発言を控えてください
(津崎)いいえ かまいません
ですが その事情について この場でお話しすることは
警察に禁じられており
いずれ しかるべき時に 明らかにいたします
警察が関わるような 法に触れることなんですか?
それは分かりません
それより 私の犯した罪は
自分の保身のために 生徒たちを苦しめたことです
柏木君が亡くなって 告発状が届いた時
私は それを握り潰しました
(傍聴席のざわめき)
自分が校長を務めている学校で
殺人事件など 起きては困るからです
(保護者)学校は 我々をだましていたんですか!
(保護者)そうだ! (保護者)どうしてだ!
(保護者) 説明してください 校長!
(津崎)学校ではなく
あくまでも 私個人の判断で やったことです
私が きちんと 対応しなかったせいで
大出君が疑われ そして
何の罪もない浅井(あさい)松子さんまで 亡くしてしまった
柏木君に何があったのか
彼は なぜ 死なねばならなかったのか
本来それは 私どもが解明し
生徒たちに伝えることでした
それを怠ったために 生徒たちは追い詰められて
このような つらい 苦しい裁判を
開かざるをえなかった
私の罪は 許されるものではありません
この裁判を見届けたあと
辞職させていただくつもりです
すまなかったね
ウソ…
そんなのウソ! 私 見たんだから!
柏木君が 大出に殺されるところ!
(未来)樹理ちゃん
大出が柏木を殺したの! 見たんだから!
(傍聴席のざわめき)
(ドアの閉まる音)
(井上)休廷とします!
(木づちで打つ音)
(涼子)告発状は
三宅さんのウソだったって ことですよね
(茂木)だろうね 大出が無実だったんだから
ただね
ちょっと気になることがあって 調べてみたんだ
(茂木)君の証言が ホントだったとしたら
どうして 告発状には 君たちの名前があったのかな
(井口)知らねえよ (茂木)ちょっとだけ教えて
(井口)知らねえっつってんだろ
(茂木) ホント ごめんなさい ホント…
(井口のせきこみ)
ホントに知らない?
しつこく聞き出して
分かったんだよ
何がですか?
(茂木)三宅さんはね
前に その3人から 暴行を受けたことがあってね
(橋田) 俊ちゃん やっぱ これ きついよ
(俊次) 罰ゲームなんだから やれよ!
(橋田)おい ちゃんと押さえとけよ おい!
(茂木)大出が命令して 井口と橋田が従った
だから 告発状に 2人の名前があったんだ
もっとも 一番恨んでたのは 大出だろうけどね
(礼子)これ 頼まれてたもの
(神原)ありがとうございます
(神原)先ほどの証言で 被告人のアリバイが証明されました
改めて聞きますが 被害者を殺しましたか?
(俊次)フゥ…
殺してない
(傍聴席のざわめき)
弁護側としては
これで 柏木君に対する被告人の容疑は
晴れたものと主張します
ですが
それとは別に
5月10日の夜 新宿(しんじゅく)の路上で
通行人に因縁をつけて暴行をし ケガを負わせましたか?
8月3日 同じく新宿で 他校の生徒に暴行しましたか?
8月3日 同じく新宿で 他校の生徒に暴行しましたか?
(紙を机に たたきつける音)
10月7日 渋谷(しぶや)の繁華街で 大学生に暴行しましたか?
10月7日 渋谷(しぶや)の繁華街で 大学生に暴行しましたか?
(紙を机に たたきつける音)
11月20日 地元の商店街で
目が合っただけの会社員に 暴行しましたか?
被告人は 今回
ウソの告発状によって 罪を着せられました
ですが それは
被告人の こういう行為が 招いたことではないですか?
被害者の誰もが ウソの告発状を出す可能性があった
告発状の差出人が
被告人を傷つけようとしたのは
そうしないと生きていけないほどの 傷を負ったからです
もしかしたら 差出人は
自分自身も自殺を考えたことが あるかもしれない
告発状を出すことで 差出人は生きることができた
そうさせたのは
被告人の罪だと思いませんか?
(樹理)うっ…
ハァ ハァ ハァ…
ううっ
うあああああーっ!
(泣き声)
(神原)終わります
(未来)樹理ちゃん
樹理ちゃん?
どうしたの? 樹理ちゃん
(樹理の泣き声) (未来)どうしたの どうしたの?
(泣き声)
(女子生徒)バイバーイ
(健一)ありがとうございます ありがとうございました
(女子生徒たち)お疲れ~
(健一)終わったね
(涼子)うん
(健一)何?
大出がやってないのは 分かったけど
柏木君が自殺したのは どうしてなのか
結局よく分からなかった
(行夫)野田(のだ)!
(健一)ん? 何?
(吾郎(ごろう))いいじゃん カラオケ行こうよ!
あっ じゃ ごはん行かない? カラオケ
(涼子)あっ
(小林)ああ…
(涼子) 来てくださってたんですね
いや 裁判するって聞いて ずっと気になっててね
忙しくて なかなか 来られなかったけど
(涼子)ありがとうございます
だけど びっくりしたよ あの子 無事だったんだね
えっ? (小林)あんたの話 聞いて⸺
てっきり 自殺したのは あの子だと思ってたから
あっ あの… あの子って誰ですか?
ほら あの子 顔見て思い出したよ
電話してたのは あの子だよ
(吾郎) よし じゃあ カラオケ行こう!
(涼子) 柏木君を殺したのは 神原君
だから 自殺に誘導しようとした
人殺しの息子なんて 信じられないと思ってた?
(涼子)もう一度 柏木君の部屋を 調べさせてもらえませんか?
これで やっと あんたを捨てられる
(未来) 樹理が いなくなったのよ!
あの子に何かあったら どうしてくれんの!
(井上) 審理を続行したいと思います
(涼子)このままじゃ 裁判は終われない
♪~
~♪
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