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(小林 苺) あなたは最後に何を食べますか?>
(苺) いただきます
また 新たな被害者が出てしまった
そして その陰には やはり――
マリアの姿が…
(岩本 康のうめき声)
(うめき声)
美食探偵 明智五郎は 果たして 彼女の凶行を止められるのか?
それとも… (指を鳴らす音)
(苺) あれ? (明智) 必ず止めてみせるさ
彼女を止められるのは この世で 僕ただひとりだからな
(苺) 明智さん!
この物語は 僕 美食探偵 明智五郎が挑む――
事件の裏側を 少しだけ のぞき見ることができる そう
(指を鳴らす音) これは いわば――
お得意さまのためだけの マル秘裏メニューなのである
今日のお話は シェフこと 伊藤のマル秘裏メニューです!
♪~
~♪
(ドアの開く音) (苺) 明智さん!
ちょ これこれ これこれ…
ハァハァ…
メゾン・ヴェリテ 閉店ですって
そうらしいな
知ってましたか? あっ これ 今日のお弁当です
(明智) あのロッシーニが――
もう食べられないと思うと 惜しいな
爆裂おいしかったからなぁ
あの味 誰かが 継いでくれてたらいいんですけど
料理人の技術は 一朝一夕の 努力で得られるものではない
そう簡単に あの味を継ぐことはできないさ
(野中) あっ シェフ
すいません 遅くなっちゃって
今日で最後だから きれいにしたいなって思って
(伊藤) そうか
少し つきあえ
ロッシーニのレシピを教えてやる
(野中) えっ? (伊藤) 1人で練習してただろう
知ってたんですか?
いいから 早く支度しろ
あっ はい!
(伊藤)
♪~
フォンは ソースの要だからな 焦がすんじゃないぞ
(野中) はい
うれしいです
僕 ずっと料理人に憧れてたから
(伊藤) そうか
(野中) だから…
この店で シェフから もっと学びたかったんです
なのに…
鍋から目を離すな
あっ すいません
でも 僕 本心では あいつが…
“ぐるめ大名”が死んで せいせいしてるんです
ホントは 僕 知ってるんです
あなたが何をしたのか
♪~
(明智) プラスチックのグラスと 同じゴミの中に入れては ダメです
(伊藤) あのときから気がついていた>
俺の犯行を知っていたことを>
それは驚いたな
僕の話 聞いてくれますか?
最後の夜だ 聞かせてくれ
(野中) 最初は――
シェフが誰かと パソコンで 通話してるのが気になって
(伊藤) マリアさん
女の人?
味の分からない――
素人が書き散らした クソサイトのおかげで――
ウチは とうとう 最低ランクの ダメフレンチに成り下がった
(野中) いつも 愚痴なんて 言うことのないシェフが――
その人には 弱音を吐いてるのが聞こえたから
向こうが 何を言ってるかは 分からなかったけど――
シェフが――
ぐるめ大名を 深く憎んでいることは分かりました
盗み聞きは よくないな
(野中) あっ すいません
でも シェフと僕の気持ちは同じでした
だから あのとき…
(岩本) アアッ…
(野中) お客さまが パンを喉に…
(伊藤) お客さま 水を飲んでください
水を!
(うめき声)
(店員) やりましょうか?
(伊藤) 触らないで! (店員) ウワッ!
大丈夫! 俺がやるから!
♪~
(岩本のうめき声) (伊藤) お客さま
(野中) 僕は シェフが あいつに――
水を飲ませようとしていないことに 気がついても 黙っていたんです
だって… だって 僕も…
(グラスの割れる音)
あんなヤツは 死ぬべきだと思っていたから
(伊藤) グラスが見当たらないから おかしいなとは思ってたよ
あの探偵に グラスの破片を 見せられたときは驚いた
あの人に 知られてしまったんですか?
あいつは 全てを見抜いてたよ
そんな…
僕のせいだ ごめんなさい
僕が 余計なことしたせいで…
お前が 何もしなくたって――
あいつなら どんな方法を使っても 証拠を見つけだしてきただろう
それに あいつは 俺を罪に問うようなことはしない
あいつの興味は 俺になんか向いてないからな
えっ?
裏返して
崩すなよ この工程で美しさが決まる
♪~
(伊藤) よし 仕上げに入ろう ソースは?
(野中) そっちに
うん? どうした?
僕…
今回の事件のこと――
絶対… 誰にも言いませんから
足りないな
盛りつけは 俺がする テーブルの準備を頼む
分かりました
(野中) わあ!
やっぱりシェフは すごいですね
(伊藤) 俺は お前が作った料理を 皿に置いただけだ
さあ 食べよう
(野中) はい!
♪~
シェフ
最後に 僕にも教えてもらえませんか?
あの パソコンで話ししてた あの女性のこと
恋人?
あっ それとも…
俺を支えてくれた大切な存在だよ
(野中) シェフは これから どうするんですか?
その女性の所に行くんですか?
人を殺したことを隠して
お願いします 僕も連れてってください
フッ…
せっかくのスペシャリテが 冷めてしまう
このロッシーニは 初めての合作だろう?
共犯者同士のな
シェフ
(伊藤) これは 俺たちの最後の晩餐だ
いただきます
♪~
全然 違う
やっぱりロッシーニは シェフの…
ンッ… アッ!
(野中のうめき声)
(野中) アアッ…
(伊藤) 知ってるか?
ユダは 師であるキリストを 銀貨30枚で売った
お前は 俺にとって――
熱心な弟子だったが いつ裏切るとも分からない
俺が信じられるのは…
(野中) 僕じゃ…
ダメなんですね?
(うめき声)
(うめき声)
(野中) アアッ…
(ライターの着火音)
(野中) アッ… アアッ…
(伊藤)
また食べたいなぁ あのロッシーニ
私 もう“めっちゃフレンチ”じゃ 満足できないですよ~
(明智) これから 彼は――
たったひとりのためだけに 料理を作り続けていくんだろう
それって…
これを機に 私も フレンチの勉強しちゃおっかなぁ
お弁当に フランス料理が入ってたら――
明智さんも テンション上がっちゃいますよね?
ロッシーニも知らなかった人間が よく言うな
(苺) OK クルックー (クルックー) クルックー
フランスの料理用語を教えて
(クルックー) こちらが見つかりました
(苺のせきばらい)
本日のカルトは――
オードブルに ポムドゥテールのサラダ
ガルニチュールは トマトのブレゼ
メーンに プーレの唐揚げ――
ウフ焼きと チクワのフリットを添えて
さあ お代をシルブプレ
フッ…
えっ!? ちょちょ なんで笑うんですか?
バッチリ フランス語でしょう?
いや 確かに そう聞くと――
君の庶民的な弁当も 豪華に見えるものだな
(苺)“庶民”…
“みんなに愛される味”って 言ってください!
(明智) みんなに愛される味
(苺) くっそ~! 腹立つ
(明智)
ありがとう>
探偵より>
♪~
~♪
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