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⟨文学オタクのルナと 専業主婦の涼子⟩
⟨2人は 行く先々で 事件に巻き込まれるが→
大阪で出会った仲間と共に 文学の知識で解決⟩
(ルナ) つながりました。
⟨新たに挑む 父のパソコンのパスワード探し⟩
(涼子) 何か意味があって ママに託したんじゃないのかな。
⟨涼子には家族のトラブルが…⟩
(菊雄) 大学やめたいって。 (涼子) えっ!?
⟨そして 不可解な行動を取る少年が→
今宵 波乱を巻き起こす⟩
(ノック)
(涼子) 芳香 どうした? 何かあった?
ねぇ ちゃんと話そう?
(芳香) \私の人生なんだから 私に決めさせて!/
(菊雄) そんなの一時の感情で 簡単に決めていいことじゃない!
大学で得られることは たくさんある。
だから 家族で ちゃんと話し合って…。
(芳香) \話したって どうせ分かってもらえない!/
(菊雄) \芳香!/
(涼子) \ちょっと 時間を置いた方がいいかも/
(バブリーの声) 親のお金で 進学させてもらっといて→
ぜいたくよねぇ。
(田村) その年頃って→
気持ちをこう うまく説明できないんですよね。
俺も大阪の大学に行きたいって 親に話した時→
まぁまぁ もめましたよ。
(ルナ) 親子関係の問題は 家庭の数だけあるから。
(田村) あっ そういえば お父さんのPCどうなった?
(ルナ) まだ ひらけてない 面倒押し付けられて うんざり。
(涼子) ってか田村さんって いつ来てもいるよね。
(田村) え? (バブリー) 暇なの?
(田村) いや…。
(ルナ) 警視庁の捜査一課といえば エリート中のエリート。
プライドも高い精鋭の中に 1人 放り込まれ→
心を開ける相手も見つけられず 孤独を感じている→
…といったところでしょうか。
(田村) やな感じだなぁ。 (バブリー) 図星だ。
ママ さすがの推理力。
(田村) てか 友達だから分かるんだよね?
(ルナ) 友達ねぇ…。
(田村) ホント感じ悪いから 気を付けて。
(ルナ) 寂しくなったら いつでもどうぞ。
(小湊) \甘やかさない方がいいですよ 調子に乗るんで/
(涼子) えっ!? 小湊さん?
何…? どうして?
(ルナ) おとといから働いてもらってるの。
(小湊) いやぁ 起業するはずだった会社→
共同経営者に 金 持ち逃げされちゃいましてね。
途方に暮れてたら ルナさんが拾ってくれて。
(涼子) 大変でしたね。
まっ 雨にも負けず 風にも負けず 頑張りますよ。
それ知ってる 宮沢賢治!
(小湊) ほい 特製たこ焼き どうぞ。 (桜井) ありがとうございます。
だから お前も頑張れよ。
涼子さんもファイト! (涼子) アハっ。
どう頑張ったらいいのやら。
(ルナ) 子供は 親に否定されるのを恐れてる。
どんな自分でも 受け入れてくれるって→
お嬢さんに信じてもらえれば 心を開いてくれるかも。
(涼子) そうだね ありがとう。
(バブリー) いっただきま~す!
あっ… ふわっふわ!
(桜井) あれ? これ タコ入ってないですけど。
マジで?
あっ! ヤベ! やり直しま~す すいません。
失礼します すいません。 (涼子) えっ あっ…。
自主回収だ。 (ルナ) 失礼いたしました。
📱(振動音)
(ルナ) あっ アポ取れた。
(菊雄) 芳香 遅いな…。
(篤史) えっ! 七海さつき 離婚危機だって。
えっ?
さつきさん 大丈夫かなぁ。
(篤史) お父さんも 七海さつきのこと知ってんの?
お母さんとペアを組んでる頃 密着取材したんだよ。
お父さん その頃は スポーツ雑誌の記者やってたから。
へぇ~。
それで お母さんと知り合ったんだ?
あぁ ちょうどオリンピックの 強化選手に選ばれた頃でね。
いいペアだった。
2人ともホントに生き生きしてた。
(ドアが開く音) (篤史) へぇ~。
(涼子) いってらっしゃい。
いってきます。
(ルナ) お嬢さん 大丈夫?
(涼子) うん 話してくれるのを 待つことにした。
(ルナ) そっか。
(涼子) 今日 行くのは 漱石の研究者のお宅だっけ?
(ルナ) うん 大学教授の方。
(涼子) この辺りにも文学スポットがある って言ってたよね?
(ルナ) そう! 夏目漱石旧居跡 夏目先生のお宅があった場所。
(涼子) そうなんだ。
(ルナ) 通称 猫の家。
明治36年から 3年ほど住んでいた場所で→
「吾輩は猫である」も そこで執筆されたんだって。
もう家はないんだけど 石碑と猫のオブジェがあるにゃ!
(涼子) にゃ?
(涼子) えっ? 今 「にゃ」って言った?
⟨数時間後→
この道をあんな気持ちで 帰ることになるとは→
思ってもみなかった⟩
♪~
(涼子) 何があったんだろう?
(チャイム)
(インターホン:吉澤) はい。 (ルナ) 野宮です。
(インターホン:吉澤) あ~ はいはい お待ちしてました。
(ルナ) 吉澤教授は ドイツにいらしたと聞きました。
(吉澤) ええ 8年ほど 向こうの大学で教えてましてね。
4年前に帰国しました。
やっぱり日本はいいですね 食事もおいしいし 安全です。
まぁ 治安は ここのところ微妙ですが。
(涼子) あっ 公園の周りに ロープが張ってありましたよね。
そうなんですよ 数日前に 爆破予告があったみたいで。
(涼子) えっ!
警察が調べたら 爆弾はなかったようですが→
砂場から大量のガラス片が 出てきたそうです。
(ルナ) ガラス片? (涼子) 危ない。
いえ まだ。
警察が近隣パトロールを 強化してくれてますが→
物騒な世の中ですよ。
(涼子) 怖いですね。
(足音)
失礼します。
♪~
妻のさつきです。
(さつき) 涼子 驚いた。
久しぶり。
(涼子) うん…。
(吉澤) ん?
昔 ダブルスでペアを組んでたの。
高校も大学も 実業団もずっと一緒で。
(吉澤) へぇ~ 偶然ですね!
なぜペアを 解消してしまったんです?
(涼子) 私がケガをして 引退することになりまして。
(吉澤) そうですかぁ それは無念でしたでしょう。
2人は いつ以来の再会なのかな?
(ルナ) おいしそう! マドレーヌ大好きなんです。
どうぞ召し上がってください。
(涼子) いただきます。
(ルナ) ふわふわですね!
(吉澤) これ 妻のお気に入りでしてね。
ほら 君も座って。
いいから。
そもそも バドミントンというのは…。
(ルナ) あの 申し訳ないんですけど お願いしていた本は?
すみません 早く拝見したくって。
そうでした 失礼しました。
(吉澤) 「吾輩は猫である」の縮刷版。
こちらでお間違いないですか?
(ルナ) はい そうです。 (涼子) 小っちゃいんですね。
当時としては画期的な コンパクトなサイズと→
芸術性の高い装丁で 大人気だったそうです。
どうぞ。
(ルナ) 実物を見るのは初めてです 何て美しい。
(吉澤) 大正から昭和初期にかけて 増刷を重ねてましてね。
これは第62版 大正9年に発行されたものです。
(涼子) 100年前?
そんなに貴重なものなんですね。
(ルナ) ありがとうございます お言葉に甘えて お借りします。
せっかくですから 今日は ゆっくりしてってください。
積もる話もあるでしょうし。
(さつき) 龍之介 おかえり。
おかえり。
こちら 野宮ルナさんと 沢辻涼子さんだ。
(ルナ) こんにちは。 (涼子) お邪魔してます。
(ルナ) 龍之介さんは 芥川龍之介先生と同じ字ですか?
はい。
(涼子) 文学がお好きなんですか?
日本語を勉強するために ドイツで たくさん読んでたよな。
(涼子) すごい!
(龍之介) ただの暇つぶしです。
(ルナ) いつか役に立つ日が 来るかもしれませんよ。
文学には ありとあらゆる 英知が詰まってます。
人生に寄り添ってくれる存在です。
(涼子) 彼女は 文学の知識で事件の謎を 解いたりもするんですよ。
事件の謎…。
じゃあ この謎は解ける?
1人の中学生が ひったくりをして 警察の世話になりました。
ひったくったのはロールパンが たくさん入った袋でした。
なぜ中学生は そんなことをしたのでしょう?
(吉澤) 龍之介。
すいません お恥ずかしい。
(ルナ) お写真 拝見してもよろしいですか?
あっ はい。
♪~
(ルナ) 龍之介さん ダンスをされるんですか?
ええ お隣の光二君に誘ってもらって。
(ルナ) この子ですね? (さつき) はい 親友だったんです。
帰国したての頃 日本の学校に なじめなかった龍之介の面倒を→
ずっと見てくれて。
(ルナ) 親友だった…。
(吉澤) 光二君の中学受験をきっかけに→
2人ともダンスは やめてしまったんですけどね。
う~ん 多分ここだな。
吉澤さん…。
(チャイム)
(モニタ) 警察の者です 少しお話お伺いさせてください。
あなた 警察が。
(モニタ) 先日の爆破予告の件です。
(モニタ) 事件の夜 龍之介君によく似た少年が→
爆破予告に使われた公衆電話を 使っていたという→
目撃証言がありまして。
♪~
あ… 分かりました。
事情聴取は任意ですよね?
まずは本人と家族とで 話をさせていただけませんか?
後ほど 必ずご連絡しますので。
(モニタ) では ご連絡お待ちしてます。
龍之介と話してきます。
(ルナ) 爆破予告があった日→
龍之介さんは どんな様子でしたか?
その日は 私たち2人とも 仕事で留守にしてまして。
最近 息子は少し 情緒不安定なんです。
お恥ずかしい話ですが マスコミに離婚危機と騒がれて。
息子も週刊誌の突撃取材を 受けたりしたもんですから。
しかし パンやら肉やらは 全く意味が分からなくて。
(ルナ) 肉?
(吉澤の声) パンの他にもブロックの豚肉や→
同じ形のぬいぐるみなんかを 大量に買い込んでは→
すぐに捨てるというのを 繰り返してるんです。
(ルナ) 同じ形…。
私は心理学には 疎いもんですから→
こういう行動に どんな動機が考えられるのか→
推察しかねてましてね。
どうだった?
(ルナ) 野宮さんたちとなら 話してもいいって。
(涼子) えっ?
お願いしてもいいですか?
こういうことは第三者の方が 話しやすいのかもしれない。
(ルナ) 私たちで お役に立てるなら。
いや でも…。
(チャイム)
光二君?
(光二) 急にすいません。
久しぶりね どうしたの?
前を通りかかったら→
警察の人が龍之介に会いたいって 言ってるのが聞こえて。
心配して来てくれたの?
あ… はい。
(さつき) ありがとね。
あぁ 光二君 髪 短くしたのね。
先月 思い切って 坊主にしちゃいました。
勉強の邪魔になるんで。
毎日 塾通いだって お母さまから聞いてる。
まぁ…。
あの 龍之介は?
ごめんね また改めて…。
(ルナ) 待ってください。
吉澤教授→
先ほど おっしゃっていた ぬいぐるみやブロック肉は→
どれぐらいの大きさでしたか?
数は どれぐらいでした?
全て小ぶりのものです。
ぬいぐるみは10体ぐらい。
肉もスーパーの袋に いっぱいでした。
ロールパンは確か 7~8個だったと思います。
(涼子) 同じものばっかり そんなにたくさん。
♪~
(ルナ) 《ふわふわ…》
(小湊) 〔特製たこ焼き どうぞ〕 (バブリー) 〔ふわっふわ!〕
(ルナ) 《自主回収…》
〔タコ入ってないですけど〕 〔やり直しま~す〕
(涼子) 〔自主回収だ〕
(ルナ) 《爆破予告…》
(モニタ)〔先日の爆破予告の件です 目撃証言がありまして〕
(ルナ) 《砂場のガラス…》
(涼子) 〔危ない〕 (吉澤) 〔警察が近隣パトロールを→
強化してくれてますが〕 (さつき) 〔親友だったんです〕
(ルナ) つながりました。
(ルナ) 光二さん→
一緒に龍之介さんの所に 行きましょう。
(涼子) 光二君?
あっ も… もう2年くらい あいつとは会ってないから→
何か緊張しちゃって。
(ルナ) では ひとまず 私たちだけ先に行きますね。
気持ちの準備ができたら 入ってきてください。
(ノック)
(ルナ) 野宮です。
(戸が開く音)
(ルナ) 光二さんも来てくれてるんですよ。
え?
(ルナ) 日本に来たばかりの頃 助けてくれた親友だそうですね。
あんなだっせぇイガグリ 今は別に仲良くないし。
(ルナ) 2人はジョバンニとカムパネルラ みたいな仲なのかしら。
全然違う。
俺 カムパネルラみたいな ヤツって無理。
(涼子) ん?
(ルナ) 「銀河鉄道の夜」に出てくる 登場人物。
龍之介さん やっぱり文学お好きなんですね。
(涼子) タイトルは知ってるけど どんなお話なの?
(ルナ) 宮沢賢治先生が残した→
「ほんとうのさいわい」を 問いかける物語。
孤独を抱える少年 ジョバンニ。
星祭りの夜 町外れの丘で一人 空を眺めていた彼は→
いつの間にか宇宙を駆ける 銀河鉄道に乗船していました。
そこには疎遠になっていた 友人のカムパネルラもいて→
2人は星々を渡りながら→
さまざまな人との 出会いと別れを繰り返します。
カムパネルラとの友情を 取り戻したジョバンニですが→
突如 旅が終わり 現実に戻った時→
そこで悲しい事実と向き合わねば ならなくなるのでした。
俺はジョバンニにも カムパネルラにも共感できない。
テーマも好きじゃない。
(ルナ) 文学の解釈は 十人十色でよいと思います。
では 本題に入りますね。
失礼します。
龍之介さん→
公園の爆破予告があった日の夜 外出しましたか?
俺のこと 犯人だと思ってる?
(ルナ) 少なくとも あなたが関わっていることは→
間違いないと思います。
どんな動機があんのか分かんの?
どうやって?
(ルナ) もちろん文学の力を借りて。
もし 私が小説を書くとしたら こんな展開にします。
(ルナの声) 龍之介さんは 同じぬいぐるみやブロック肉→
ロールパンをかき集めた。
この3つには ある共通点があります。
涼子 分かる? (涼子) えっ 共通点… 何だろう?
大きさではないよね? 形でもない…。
あっ 全部やわらかい?
(ルナ) ご明察。
では次に 爆破予告事件のこと。
それが起きたことで どうなった?
(涼子) 砂場に埋められてた ガラスの破片が見つかった。
(ルナ) そう。
(ルナの声) 爆破予告があったことで→
近隣の公園が徹底的に調べられた。
(警官) 〔不審物 発見!〕
(ルナの声) 恐らく 公園の砂は入れ替えられたし→
それ以降も パトロールが強化された。
〔ちょっとすいません〕 〔はい〕
(ルナ) では 買い占めの話に戻りましょう。
龍之介さん それらを全て捨てたそうですね。
しかも 手に入れてすぐに。
(涼子) えっ それって わざわざ 捨てるために買ったってこと?
(ルナ) そういうこと。
パンは先に他のお客さんが 買ってしまったので→
ひったくるしかなかった。
坂口安吾先生の 「明治開化 安吾捕物帖」→
…という作品に 家族の秘密を守るために→
罪を罪で隠す手法が出てきます。
龍之介さんも 別の罪を隠すために ひったくりをした。
爆破予告も同じ。
(涼子) どういうこと?
(ルナの声) 公園のやわらかい砂には→
ガラスの破片が埋め込まれていた。
買い占めて廃棄したものも 全てやわらかい。
ということは…。
(涼子) あっ!
ぬいぐるみや食材の中にも 何かが埋め込まれていた?
(ルナ) そう 何か とっても危険なものが。
(涼子) でも 中に何かを埋め込んで 何で自分で回収して廃棄するの?
あっ! もしかして…。
(ルナ) そう。
仕込んだのは龍之介さんじゃない。
誰かが仕込むのを目撃して→
それが他の人の手に 渡らないよう回収した。
同じものを買い占めたのは→
その中のどれに入っているか 判別できなかったから。
(ルナ) そして 龍之介さんがそこまでして 心を砕いた相手は…。
(ルナ) 光二さんは警察が来たのを見て 自分のしたことが→
龍之介さんを巻き込んでしまった のではと不安になって→
訪ねてきたんですよね?
(ルナ) 話してくださいますか?
(ルナ) 話してくださいますか?
勉強が… つらくて…。
(光二) うち 進学校で→
レベル高過ぎて 授業ついていけなくて…。
相談できる友達もいない。
もし内部進学試験 落ちたらって 毎日不安で…。
塾の模試で ひどい成績取った夜→
ショッピングセンター寄ったら→
針 売ってて…。
♪~
(光二の声) 絶対にやっちゃダメなことを やっちゃったって思ったら→
心臓がドキドキして…。
(光二の声) もう二度とやらない って思ったのに→
あの時のスリルを思い出すと またやりたくなって…。
(ルナ) それを龍之介さんが目撃していた。
夜 ぶらついてた時 光二のこと見かけて。
〔あっ クマさん!〕
(龍之介) 〔ごめんね〕
(龍之介の声) それからは毎日 待ち伏せして 後つけてた。
♪~
〔針が当たる音〕
♪~
あの夜は 変な音がして。
〔ガシャン〕
〔ガシャ ガシャ…〕
〔ガラスのコップを割る音〕
〔ガラスの破片を入れる音〕
♪~
(龍之介の声) 毎日ずっと見張るのは無理だし→
このままエスカレートしたら 何するか分かんないと思って。
☏〔事件ですか? 事故ですか?〕
〔公園に 爆弾を仕掛けた〕
(龍之介の声) そう言えば パトロールも増えると思った。
そしたら変なことも できないだろうって。
けど 何で光二が そんなことをしたのか→
理由が分かんなくて。
そしたら お姉さんが 文学で謎を解くとか言うから→
もしかしたら何か分かるかもって。
いつ気付いたの?
(ルナ) 確信したのは 龍之介さんが ずっと会っていないはずの→
光二さんの髪形を知っていた時。
〔あんなだっせぇイガグリ 今は別に仲良くないし〕
(涼子) どうして2人には 距離ができちゃったのかな?
学校が違っちゃったから?
嫌いなんだよ こいつのこと。
顔見んのも やだった。
(ルナ) 一緒に頑張っていたダンスを 光二さんがやめてしまって→
見捨てられた気がした。
そんなつもりは…。
ダンスって何?って感じ。
こいつに誘われて その気になって頑張って。
でも結局 全部無駄だった。
(ルナ) なら どうして 光二さんを助けたんですか?
大切だったからではないですか?
ダンスも 光二さんと過ごした時間も。
どんなに望んでも かなわない夢はあります。
私にもあります。
でも 何かを夢見て過ごした時間→
苦しんだ時間→
その全てが 今のあなたをつくっています。
(ルナ) だから 過去の自分を 否定しないでほしい。
その大切な時間を 一緒に過ごした友達のことも。
疎遠になった今でも 放っておけなくて→
あなたは彼を救おうとした。
そこまで思える友達に 出会えるって 奇跡です。
龍之介 ごめん。
ごめん…。
(ルナ) だからといって あなたたちがしたことは→
決して許されることじゃ ありません。
世間を恐怖に陥れただけじゃない。
人を傷つけたり 命を脅かす 可能性だってあったんです。
(ルナ) 光二さん あなたの問題行動は 全て心のSOSです。
そういった青少年の問題に詳しい 弁護士を紹介します。
私のいとこで とても優秀で信頼できる人です。
ご両親とも話し合って 心のケアに取り組んでください。
はい。
俺も警察行く。
きっと逮捕されるよね?
(ルナ) そうですね。
彼を守るためとはいえ あなたは やり方を間違えた。
罪は罪です。
♪~
ありがとうございました。
お騒がせして ホントに 申し訳ありませんでした。
(ルナ) いえ。
(涼子) あ… じゃあ。
(涼子) 私ね さつきにウソをついたの。
22年前。
(涼子) 私ね さつきにウソをついたの。
22年前。
(さつき) 〔涼子 大丈夫だよ 絶対治るから〕
〔えっ?〕
(涼子) 〔何か もう… どうでもよくなっちゃった〕
〔ハァ~〕
〔ごめんね さつき〕
〔私 バドやめる〕
〔涼子…〕
(涼子) 〔ハァ…〕
(ルナ) ケガが治るまで 待たせたくなかった。
優しいウソ。
カズトさんと一緒だね。
(涼子) その後 さつきは別の選手と ペア組んでメダルを取った。
すっごくうれしかった。
でも 嫉妬もした。
やっぱり やめなきゃよかったとか 未練がましいこと思ったりもして。
キラキラしてるさつきが まぶしくて 苦しくて…。
それ以来 バドミントンは 心の奥に封印してた。
でも さつきだって いろいろあるんだよね。
大変なことも 苦しいことも。
(ルナ) さつきさんは 気付いていたんじゃないかな。
涼子がウソをついていたこと。
長年ペアを組んでて→
その程度のこと 気付けないはずがない。
涼子も さつきさんも 不器用だった。
龍之介さんも。
(ルナ) え~ 田村氏が あの連続放火犯 捕まえたの?
張り込み粘ったかいがあったな。
(ルナ) お疲れさま こっちでも うまくやっていけそうだね。
(田村) まぁ 頑張るわ。
そっちは どうなった? パスワード。
(ルナ) お借りした本に くまなく目を通したけど→
ヒントになりそうなものは なかった。
涼子にも付き合ってもらったのに 申し訳ない。
東に病気の子供あれば 行って看病してやり→
西に疲れた母あれば 行って その稲の束を負い。
(ルナ) 「雨ニモマケズ」ですね。
何か ルナさんみたいだなって。
(ルナ) 「そういうふうに」 なれたらいいですけどね。
(田村) 小湊さん いつから 文学キャラになったんすか?
(舌打ち) うるせぇよ。
お前 もう帰れよ 閉店だよ~。
(田村) 手柄上げた日ぐらい 飲ましてくださいよ。
毎日飲んでんじゃねえか お前。 (田村) ちょ… あと一杯だけ。
♪~
おはよう。
(篤史) 何 突っ立ってんの?
(芳香) 話がある。
(涼子) 座ったら?
どうした?
私… 声優の学校に行きたい…。
えっ? (涼子) えっ?
声優の学校に行きたい。
声優?
お金は自分でためる そのためにバイトも始めた。
せっかく大学 入れてもらったのに 悪いと思ってる でも…。
いやいや 何言ってんだよ 声優って…。
(涼子) どうして それを先に言わないの。
えっ?
(涼子) 大学やめたいじゃなくて 声優になりたいって→
最初から そう言ってくれれば よかったのに。
私なんかが なれっこないって バカにされると思ったし。
(涼子) 何で決め付けるの?
そんなことないよね?
あ… いや あぁ…。
(涼子) ありがとう 話してくれて。
しかし ああいう世界は→
不安定だし 厳しいし いや 甘いもんじゃないんだぞ。
分かってる でも…。
(涼子) あぁ これって…。
(芳香) この記事 お父さんが書いたんでしょ?
私も頑張りたいんだよ。
やりたいことが見つかったの。
自分の声で 誰かを 楽しませることができたらって。
大変なのは分かってる でも…→
挑戦したい。
(涼子) いい記事だよね これ。
どんな結果になっても→
やりたいことに夢中になれた 時間は宝物だと思う。
お母さんも やっと気付けた。
あの時間を 誇りに思えるようになった。
今の自分をつくってくれたのは あの頃の自分だから。
(涼子) 芳香にも 好きなこと 思いっ切りやってほしい。
後悔しないように。
やらせてください お願いします。
条件がある。
大学は ちゃんと卒業すること。
えっ…。
(涼子) じゃあ 大学と声優の学校 ダブルスクールすればいいね。
かっけぇな それ。
(菊雄) 相当きついと思うぞ。
大丈夫! 絶対頑張る!
ありがとう。
(涼子) 頑張ってね 応援する。
(ルナ) 芳香さん よかった。
親に応援してもらえるって ホントに心強いと思う。
うらやましい。
(涼子) ありがとうね ママのおかげかも。
(ルナ) 私は何も。
あっ 昨日 吉澤教授のお宅に お借りしてた本を返しに伺ったの。
さつきさんにも会って→
龍之介さんたちのことを 聞いてきた。
(涼子) えっ で どうなったって?
(ルナ) 2人とも 恐らく 保護観察処分になるだろうって。
被害者がいなかったことと→
本人たちが 深く反省していることから→
情状酌量してもらえる 見通しみたい。
(涼子) ハァ~ よかった。
(ルナ) さつきさん また あのおいしい マドレーヌ出してくれたよ。
思い出の味だって言ってた。 (涼子) うん…。
この間 一口食べて すぐ気付いた。
高校のそばにある 洋菓子屋さんのマドレーヌでね→
いつも練習終わると 2人で食べてたんだ。
懐かしかった。
(ルナ) プルーストの「失われた時を求めて」 という作品に→
マドレーヌを 紅茶に浸して食べながら→
過去を思い出す 有名なシーンがある。
さつきさん あのマドレーヌを買うたびに→
涼子のこと 思い出してたかもしれないね。
(涼子) ママは優しいな。
私 もらってばっかりだよね。
(ルナ) そんなことないでしょ。
(涼子) あるよ。
だから私も 少しでも ママの役に立てたらと思って→
いろいろ考えたの。
(ルナ) 何を? (涼子) パスワードのヒント。
この前 夏目漱石旧居跡の話を してくれたじゃない?
で ちょっと調べてみたんだけど。
(涼子) この場所で 漱石は「吾輩は猫である」を→
書いたんだよね? (ルナ) うん。
(涼子) もしかしたらパスワードは→
物語が生まれた 所在地なんじゃないかって。
ほら ここに住所が書いてあるでしょ?
(ルナ) 「千駄木町57番地」。
あ~ でも パスワードは 4桁以上なんだよね。
(涼子) けど 千駄木の「千」を合わせたら?
(ルナ) あり得るかも。
(ルナ) 1000と57。 (キーボードを打つ音)
(モニタ)(エラー音)
(涼子) あっ ダメか… ごめん。
(ルナ) ううん まだ あと3回チャンスはあるから。
(ルナ) よし ちょっと行ってくる。
(涼子) どこに? (ルナ) 修善寺温泉。
修善寺は 夏目先生が療養に訪れた地なの。
今日は お店もお休みだし ちょっとリセットしてくる。
(ルナ) そうだ これ。
さつきさんから。
彼女のケータイの番号。
(涼子) えっ…。
(涼子) ⟨ママは言った⟩
⟨大切と思える友と 出会えることは奇跡だと⟩
♪~
(さつき) 〔お待たせ~〕
(さつき:涼子) 〔いただきま~す う~ん!〕
(涼子) 〔ラス1 も~らい〕
〔あ~ 私が食べようと思ってたのに〕
(さつき) 〔しゃ!〕 (涼子) 〔さつき ナイス!〕
〔当たり前じゃん〕
〔私と涼子なら絶対勝てるって〕
〔頑張る!〕
〔笑い声〕
♪~
(涼子) ⟨ママもさつきも 私の奇跡だ⟩
♪~
📱(振動音)
(ルナ) お母さん?
📱(美里) ねぇ 今どこ?
(ルナ) えっ?
(美里) お願い 助けて すぐ来て!
(ルナ) 何? どうしたの?
お母さん?
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