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⟨涼子の元カレ カズト捜しの道中→
通天閣のたもとで起こった事件を 解決するルナと涼子だったが…⟩
(ルナ) 全然違います あなた 私を信じ過ぎてる。
⟨ルナの見たことのない表情に 戸惑う涼子⟩
⟨さらに カズトに似た男が出現し→
ルナと涼子の物語は 予期せぬ方向へ向かうことに⟩
(くしゃみ)
(涼子) ハァ…。
あっ ママ!
(ルナ) 涼子さん…。
(涼子) 寒かったでしょ?
今 温かい肉まん買ったとこ。
あっ こっちでは豚まんか。
戻って食べよう。
(ルナ) 涼子さん。
ごめんなさい。
さっきは何だか キツい言い方をしてしまいました。
(涼子) ううん。
(ルナ) お腹がすいて 少し イライラしたのかもしれません。
(涼子) じゃあ もう豚まん食べちゃう? 温かいうちに。
(ルナ) おいしそう いただきます。
(涼子) んっ 熱っ。
(ルナ) うん おいしい。
(涼子) フフっ。
ねぇ ママ。
私にダメなとこあったら…。
あっ まぁ ダメなとこだらけなんだけど。
気になることあったら 遠慮なく言ってね。
(ルナ) ないですよ。
あったとしても 涼子さんはそのままで…。
そのままがいいです。
あっ でも一つだけ。
(涼子) 何?
(ルナ) 寝言が ちょっと。
(涼子) えっ!? 私 寝言 言ってる?
⟨この先もずっと ママと こんなふうにいられたら⟩
⟨ふんわり幸せな気持ちで 夜道を歩いた⟩
⟨でも 始まりがあれば 終わりもある⟩
⟨私たちの旅は間もなく→
予想外の形で 幕引きを迎えようとしていた⟩
♪~
(涼子) あと3軒。
どうしよう この後も空振りだったら。
(ルナ) このリストは大阪府までなので 県境まで調べてみましょうか。
(涼子) あっ ここにも串カツ屋さん。
カズト 串カツ 好きだったんだ。
あの頃は まだメジャーじゃなかったけど→
いつか絶対流行るって言ってた。
(ルナ) では 串カツ屋さんにも カズトさんのことを→
聞いてみましょう。 (涼子) えっ?
(ルナ) 「鬼平犯科帳」はご存じですか?
食通だった池波正太郎先生の 人気作品です。
(涼子) えっ 時代劇で有名なやつだよね? (ルナ) はい。
その「鬼平」の外伝ともいわれる 「にっぽん怪盗伝」の中に→
「正月四日の客」という 短編があります。
とある店で 年に一度だけ出されるそばを→
毎年食べに来る犯人を 張り込んで捕まえるお話です。
捕物のエピソードですが 人捜しにも応用できるかと。
(涼子) えっ カズトが食べに来るかも しれないってこと?
(ルナ) そうです。
ちなみに先ほど 涼子さんも言っていた通り→
串カツ屋が 大阪で広く普及したのは→
2000年代に入ってからです。
串カツ屋が流行る前から 串カツが 好きだったということは→
20年以上やってる 地元民が通うようなお店で→
食べていた可能性があります。
お気に入りの店であれば 今でも常連かもしれません。
(涼子) あっ 創業50年。
(田端) で 聞きたいことって?
(涼子) 実は昔の知人を捜しておりまして。
こちらのお客さまで→
佐藤和人さんって方は いらっしゃいますか?
(田端) サトウカズト?
(ルナ) 現在45歳 東京の栄成大学出身で→
卒業後は 実家のご商売を継いだと 聞いているんですが。
その人 高校の時 野球やってた?
(涼子) はい!
あ~ それサトちゃんやな。 (涼子) ご存じなんですか?
長年の常連よ 塾の先生。
実家の印刷会社 継いでたんやけど 10年前に畳んでしもうてな。
(涼子) あっ 佐藤印刷!
(ルナ) この方と 連絡を取りたいんですけれど。
オッケー ほんなら電話してみよか。
あ~ サトちゃん。
今 サトちゃんに会いたい いう人が来てはるんやけど。
うん うん ホンマ?
うんうん ほなほな ほなほな…。
ちょうど こっち向かっとるって もうすぐランチやから。
♪~
(扉が開く音)
♪~
(田端) お~ サトちゃん 早いな!
こんにちは 佐藤です!
(ルナ) 佐藤和也さん…。
(佐藤) 何か すいません。 (涼子) いえいえ こちらこそ すみません。
せやけど お客さんに 知り合いおるかもしれへんから→
佐藤和人 聞いてみるわ。
僕も塾の保護者の皆さんに 聞いてみますね。
(涼子) そんな簡単にはいかないか…。
(ルナ) でも あの大将は 顔が広いようですし→
地元の方たちから ご協力頂けるとなれば→
カズトさんに近づくきっかけが つかめるかもしれません。
(涼子) (ルナ) あら 大丈夫ですか?
(田村) ノッピー。 (ルナ) あら 田村氏。
(小湊) こんちは! 今日も人捜しですか?
寒い中 大変っすね。
(くしゃみ)
(ルナ) 本当に大丈夫ですか? (涼子) 何か今 ゾクっとした。
(ルナ) 頭痛や喉の痛みは?
(涼子) あ… 頭 ちょっと痛いかも。
(ルナ) 失礼します。
37度4分ですね。
分かるんすか? すごっ 風邪ですかね?
(田村) 僕が行ってるクリニック 紹介しましょうか?
(涼子) あぁ 大丈夫です 大したことないんで。
(ルナ) もう今日は帰って ゆっくりしましょう。
あ~ その方がいいっすよ 寒波 来てるっていうし。
(田村) もしもし タクシー1台お願いします。
ごめんなさいね。
車で お送りしたいのは やまやまなんですけど→
一般の方 乗せると 怒られちゃうんで。
(田村) 取りあえずタクシー呼んだんで すぐ来るみたいです。
(ルナ) 助かります ありがとうございます。
(田村) よかったら これ 僕ら 今日一日 車移動なんで。
(涼子) いえ そんな…。 (ルナ) お借りします。
(涼子) あぁ すみません…。
(田村) おっ 似合ってる。
ハッ 何だ お前 イケメンかよ。
(ポケットから何かを出す音) これ よかったら。
(涼子) あっ 大丈夫です。
ですよねぇ。
(田村) それじゃあ お大事に。
(涼子) ありがとうございました。
何が お前 今日は一日 車移動だよ。
この後 ずっと外だろうが。
カイロ いる?
ですよね。
(ルナ) 通天閣の方までお願いします。
♪~
(扉が閉まる音)
人捜し?
(田端) せやねん 東京から わざわざ来たんやって。
これなんやけど。
目ん玉 飛び出るぐらいの べっぴんさんたちやで。
何とか力になれたら思うて。
大将 美女に弱いから で 誰 捜してるって?
あ~ 名前は佐藤和人 45歳。
東京の栄成大学出身 高校時代は野球やってて→
実家は大阪で商売してはるらしい。
(客) 佐藤さんなぁ いっぱいおるからな。
あの…。
(貴和子) じゃあ こちらでお願いします。
ありがとうございます。 ありがとうございます。
こんにちは。 こんにちは。
奏! どうしたの? 学校は?
何かあったの?
ここにも来たわ。 えっ それで?
お帰りいただいた。
何も。
何で?
あなたは 余計なこと考えなくていいの。
ねぇ それよりさ→
帰りにね クリーニング 取ってきてくれない?
引換券はね…。
(体温計のアラーム)
(涼子) 37度4分。
ママすごい 当たりだ。
(ルナ) ホントに病院行かなくて 大丈夫ですか?
(涼子) この感じなら 寝れば治ると思う。
(ルナ) はい。
(涼子) 田村さん ホントいい人だよね。
(ルナ) 女性にコートを貸す男性って 実在するんですね。
少女漫画の中だけかと 思ってました。
(涼子) いや そうでもないよ。
夫も上着 貸してくれたことある。
付き合ってた頃。
(ルナ) 優しいじゃないですか 旦那様。
(涼子) …と思って結婚したんだけどね。
(ルナ) 直感は信じた方がいいかもですよ。
(涼子) え?
(ルナ) じゃあ お薬買ってきますね。
(芳香) ハァ…。 (篤史) ただいま。
(篤史) 何?
(芳香) お母さんの若い頃の記事。
(篤史) 若っ!
何かさ~ 当たり前なんだけど→
お母さんにも 青春があったんだなぁって。
えっ 何それ。
(せき払い)
お母さん いつ帰ってくんのかな。
ハァ… 猫の看病は無理あるよね。
まさか 男と逃げたとか?
言い切れる?
うちらが知らないことだって 多分 たくさんあるんだよ。
お母さんもお父さんもさ。
♪~
(涼子) あぁ…。
(ルナの声) 「ちょっと出かけてきます。
おかゆ作ったので 温めて食べてください。
お薬は 胃を痛めないよう→
多めのお水と一緒に 飲んでくださいね」。
(涼子) ありがとう ママ。
📱(着信音)
(春子) もしもし。
(涼子) もしもし お母さん? 📱 元気にしてるの?
(涼子) 風邪ひいちゃった。 📱 あら やだ。
インフル? 大丈夫?
(涼子) 熱はそこまで出てないから大丈夫。
そっちはどう?
うん 昨日から学校始まった。
お弁当作り 久しぶりに燃えるわ。
(涼子) あの子たち 生意気な口 利いてない?
📱 そうねぇ 芳香は口が達者で 篤史は無愛想ね。
📱 でも2人とも 根は とってもいい子。
📱 あんたのことも心配してるよ。
なるべく早く帰ってきてあげて。
(涼子) 菊雄さんは どうしてる?
相変わらず忙しそう。
あと 何だか ずっと元気ないわね。
📱 菊雄さんも 寂しいんじゃないの?
(涼子) どうだか。
じゃあ また連絡するね。
♪~
(ドアが開く音) (奏) 母さん。
(貴和子) また来たの?
(足音)
あなたは…。
(涼子の声) 「ママ おかゆ おいしかったです。
あったまりました ありがとう」。
(ルナの声) 「姫との時間も 間もなく終わりです」。
ハァ…。
(電気がつく音) (菊雄) あっ。
おかえりなさい 遅くまでお疲れさま。
(菊雄) 起こしちゃいました? すいません。
冷蔵庫に肉じゃがあるから 温めて食べて。
じゃ。
あっ お義母さん。
ちょっとお時間いいですか?
(涼子) あぁ このスープもおいしい。
ママのおかげで元気になったよ。
(ルナ) 無理はしないでくださいね。 (涼子) うん。
念のため お薬飲んどく。
(ルナ) あっ 薬を飲む時は…。
(涼子) 必ず多めのお水で だよね?
(ルナ) はい。
改めて お聞きしておきたい ことがあるのですが。
(涼子) 何?
(ルナ) 涼子さん カズトさんに会いたいですか?
(涼子) え? 今更 その質問?
(ルナ) 一応 確認をと思いまして。
(涼子) 会いたいよ。
実はね 昨日 私も→
ベッドの中で 同じこと考えてたんだ。
私は ちゃんと終わらせたいんだって。
(ルナ) 終わらせたい?
(涼子) ホント言うと昨日 一瞬だけ 東京 帰りたいって思った。
でも このまま戻っても→
また同じことの 繰り返しだよなって。
家族と何かあるたびに→
何なの この人たちって 腹が立って→
カズトのこと いつも思い出してた。
最後の電話 無視しちゃった話はしたよね?
あの時のこと ずっと悔やんでる。
カズトは 何を伝えたかったんだろうって。
あの日の自分と 決別するためにも→
本当のこと知りたいって思う。
(ルナ) 抱え続けた わだかまりを 清算して→
前に進みたいということですね?
(涼子) うん。 (ルナ) 分かりました。
行きましょう。 (涼子) えっ?
♪~
(涼子) ママ?
(涼子) えっ…。
♪~
(涼子) カズト…。
(ルナ) 奏さん。
(ルナ) すみません 遅くなりました。 (奏) いえ。
涼子さん ですよね?
(涼子) あっ はい。
はじめまして 佐藤 奏といいます。
お会いしたいと思ってました。
(涼子) え…。
家 すぐそこなので ご案内します。
(ルナ) 涼子さん。
(涼子) うん…。
⟨心の準備もできてないまま ついに この日が来てしまった⟩
⟨カズトの顔を見たら どうなってしまうんだろう⟩
⟨怖い⟩
⟨でも 会いたい⟩
(息を吐く音)
母さん。
(貴和子) 涼子さん。
お久しぶりです 佐藤貴和子と申します。
(足音)
(湯飲み茶わんを置く音)
涼子さん→
ずっと あなたに 謝りたいと思ってました。
カズトは…→
弟は 23年前→
涼子さんとお別れした 4か月後に→
亡くなりました。
(貴和子) 大学4年の冬→
やけどで入院した病院で 末期がんが見つかって→
余命半年と宣告されたんです。
まだ22歳。
これからっていう時に…。
本人も なかなか受け入れることは できなかったみたいです。
病気のことは 誰にも伝えないというのが→
弟の出した結論でした。
お付き合いしてた涼子さんにも。
(貴和子) 〔偽の恋人をやれってこと?〕
(カズト) 〔彼女 バドミントンで オリンピック目指しててさ〕
〔強化選手にも選ばれて 今 一番大事な時なんだ〕
〔邪魔したくない〕
〔ダメだよ そんなの〕
〔頼むよ 姉ちゃん〕
〔俺 彼女には いつも笑っててほしいんだよ〕
(カズト) 〔もう 君への愛情は なくなったんだ〕
〔俺は 彼女と生きていく〕
(貴和子の声) 弟の気持ちを尊重しようと 一度は決めたものの→
あの顔を見たら→
やっぱり こんなの 間違ってるんじゃないかって。
涼子さんにも ひどいことをしてしまって…。
ずっと気になってたんです。
本当に ごめんなさい。
(涼子) えっ…。
(涼子) 別れた後 電話をもらったんです。
最後に もう一度 会えないかって。
でも 本当の意味の最期だなんて→
思わないじゃないですか。
ハァ~ 最低だ 私。
ハッ…。
ハァ~ ハァ…。
(ルナ) 涼子さん! (貴和子) 涼子さん!
(ルナ) 涼子さん!
(貴和子の声) 涼子さん 大丈夫でしょうか?
(ルナ) もし ご迷惑でなければ→
もう少し こちらで休ませて いただいてもいいでしょうか?
それは もちろん。
(貴和子) やっぱり あんな芝居に 乗るんじゃなかった。
(ルナ) あれは 太宰 治先生の作品に 出てくる別れ方ですね。
え?
(ルナ) 太宰先生の遺作となった 未完の作品で→
主人公の男が 愛人と別れるために→
知り合いの女性に 妻のふりをしてもらうお話です。
タイトルは 「グッド・バイ」。
「グッド・バイ」…。
〔ハァ ハァ ハァ…〕
(奏) 僕 その作品 知ってます。
叔父の部屋に 小説がいっぱいあって→
それを時々読むんです。
(ルナ) カズトさんの部屋…。
♪~
これ。
しおりの代わりですかね。
その涼子さんって→
きっと昔の彼女なんだろうな って思ってました。
この部屋 落ち着くんですよね。
悩み事がある時とか いつも ここに こもるんです。
それで 目についた本を読み始めると→
欲しかった答えが 書いてあったりして。
僕が生まれる少し前に 亡くなってるんで→
直接の思い出はないんですけど。
不思議と近くに感じるんですよね 叔父のこと。
♪~
(ルナ) マルジナリア…。
涼子さん。
お加減いかがですか?
おうどん 食べられるかな?
(涼子) あぁ すみません。
涼子さんに来ていただけたこと 本当に感謝しています。
昨日 ルナさんと奏が 一緒に来てくれて…。
(ルナ) 〔つまり 涼子さんのために 優しいウソをついてくださった〕
〔その気持ちは とても尊いものだと思います〕
〔ですが 23年たった今も→
涼子さんは その時のことを 引きずって苦しんでいます〕
〔叔父さんは 涼子さんって人に→
幸せになって ほしかったんだよね?〕
本当のことを あなたに話すべきだと言われて→
心が揺れました。
(涼子) 奏さん カズトさんに そっくりですね。
顔だけじゃなくて 優しいところとか→
ちょっと繊細だけど 芯が強いところとか。
時々 ドキっとします。
(貴和子の声) 私 シングルマザーなんです。
未婚の母親になることを 周囲には猛反対されたけど→
カズトだけは 応援してくれたんです。
奏と会えたのは カズトのおかげなんです。
あっ ごめんなさい 余計なおしゃべりばっかり。
涼子さん 体調も万全じゃないでしょうし→
今日は どうか 泊まっていってくださいね。
(涼子) いえ そんな ご迷惑おかけするわけには…。
(ルナ) 涼子さん。 (涼子) ママ。
(ルナ) ここは お言葉に 甘えさせていただきましょう。
貴和子さん よろしくお願いします。
はい。
♪~
失礼します。
寒くないですか?
これ よかったら使ってください。 (涼子) あっ ありがとうございます。
古い木造住宅って 冷えるんですよね。
暖かくしてくださいね。 (涼子) はい。
(カズト) 〔実家は木造だから 冬 寒いんだよね〕
(涼子) 〔でも お庭のある 一戸建てって憧れる〕
〔小さい頃 よく木登りしたな〕
〔うん〕
〔今度 見に来てよ 家族にも紹介したいし〕
〔もちろん〕
(涼子) 〔行きたい!〕
〔みんな喜ぶと思うなぁ〕 (涼子) 〔楽しみ!〕
♪~
(鳥の鳴き声)
おはようございます。
あの これ…。
(ルナ) ありがとうございます。
♪~
(ルナ) 《優しい嘘…》
〔涼子さんって人に 幸せに なってほしかったんだよね?〕
(ルナ) 《余命宣告…》
〔末期がんが見つかって…〕
(涼子) 〔本当の意味の最期だなんて 思わないじゃないですか〕
(ルナ) 《遺された小説…》
(奏) 〔きっと昔の彼女 なんだろうなって思ってました〕
(ルナ) 《太宰 治…》
〔近くに感じるんですよね 叔父のこと〕
♪~
(ルナ) つながった。
(ルナ) おはようございます。
体調はいかがですか?
(涼子) うん だいぶ良くなった。 (ルナ) よかったです。
では 一緒に来ていただけますか?
(涼子) 何?
(ルナ) カズトさんは生前→
マルジナリアという読書法で 本を読んでいたようです。
(涼子) マルジ…?
(ルナ) 本の余白に 自分の感想や疑問→
メモなどを書き込んでいく 読書術です。
夏目漱石先生も用いていました。
(涼子) あっ。
(ルナ) そして 太宰 治先生の作品には→
特に多くの書き込みがありました。
例えば こちら。
(カズトの声) 「余命わずか 残された時間」。
(カズトの声) 「自作自演の嘘」。
「自分ならどうするか?」。
♪~
(カズトの声) 「きっぱり嫌われる 忘れてもらう」。
〔もう 君への愛情は なくなったんだ〕
(ルナ) そして恐らく カズトさんが 最期に読んでいたのが→
この作品です。
(ルナ) 「パンドラの匣」。
結核を患った青年が→
迫りくる死におびえながらも 明るく生きるお話です。
(ルナ) 体力が落ちて ペンを持つのもしんどい状態で→
書き込み続けていたんだと 思います。
(カズトの声) 「死ぬのか生きるのか それはもう→
人間の幸不幸を 決する鍵ではないような→
〔せき込み〕
(カズトの声) 「献身とは わが身を→
最も華やかに 永遠に生かすことである。
人間は この純粋の献身に よってのみ不滅である」。
(カズトの声) 「不滅の愛情 人を想う気持ち」。
(カズトの声) 「世の中の人が皆→
かっぽれさんのように あっさりしていたら→
この世の中も もっと住みよくなる に違いないと思われた」。
(カズトの声) 「悩み苦しむのではなく 明るく前を見て生きる」。
(カズトの声) 「死と隣り合わせに 生活している人には→
生死の問題よりも 一輪の花の微笑が身に染みる」。
〔はなをすする音〕
(カズトの声) 「会えなくても 思い出せる 花のような笑顔」。
(カズトの声) 「人間は 不幸のどん底に突き落とされ→
転げ回りながらも いつかしら一縷の希望の糸を→
手探りで探し当てているものだ」。
(カズトの声) 「同感 見つけてほしい」。
(カズトの声) 「極めて当たり前の歩調で 真っすぐに歩いていこう。
この道は どこへ続いているのか。
それは 伸びていく植物の蔓に→
聞いた方がよい。
蔓は答えるだろう。
「私は何にも知りません。
しかし 伸びていく方向に 日が当たるようです」」。
(カズトの声) 「涼子なら きっと大丈夫」。
(カズトの声) 「君はギリシャ神話の パンドラの匣という物語を→
ご存じだろう。
開けてはならぬ匣を 開けたばかりに→
病苦 悲哀 嫉妬 貪欲→
猜疑 陰険 飢餓 憎悪など→
あらゆる不吉の虫が はい出し→
空を覆って ぶんぶん飛び回り→
それ以来 人間は→
永遠に不幸に もだえなければ ならなくなったが→
しかし その匣の隅に→
けし粒ほどの 小さい光る石が残っていて→
その石に かすかに「希望」という 字が書かれていたという話」。
(カズトの声) 「最後まで希望を持つ」。
(涼子) 希望…。
📱(カズト) 〔カズトです〕
📱〔大阪にたつ前に どうしても 会って伝えたいことがある〕
📱〔あした 図書館で待ってる〕
♪~
(カズトの声) 「ありがとう りょうこ」。
♪~
(涼子) ハァ…。
(泣き声)
♪~
(泣き声)
(泣き声)
♪~
(貴和子) カズト 涼子さん来てくれたよ。
♪~
(ルナ) 貴和子さん ありがとうございました。
こちらこそ。
これは 涼子さんが持っていてください。
(涼子) ありがとうございます。
(涼子) ママ。
私 大阪に連れてきてもらえて よかった。
カズトに会えて よかった。
あしたから 前を向いて ちゃんと生き直そうって思えた。
本当にありがとう。
全部 ママのおかげ。
(ルナ) こちらこそ ありがとう 涼子さん。
寄る所があるので 先にホテルに 戻っていてもらえますか?
(涼子) うん。
♪~
📱(識別音)
📱(音声ガイダンス) ただ今 電話に出ることができません。
📱 ピ~という発信音の後に ご用件をお話しください。
📱(発信音)
(涼子) 菊雄さん 今夜 東京に戻ります。
帰ったら ちゃんと話がしたい。
私 今までずっと 大事なことから逃げてた。
これからは 家族と しっかり向き合っていきたい。
また連絡します。
(涼子) あっ。
(田村) わざわざ すいません。 (涼子) ありがとうございました。
(田村) 体調 戻ってよかった。
(涼子) ハハ… はい いろいろお世話になりました。
(田村) 涼子さん ノッピーのこと よろしくお願いします。
(涼子) はい。 (田村) あいつ→
自分では しっかりしてるつもり かもしれないけど→
俺から見ると こう 何とも危うくて。
(涼子) 危うい? (田村) ええ。
高校時代から そうなんです。
もし何かあったら 力になってやってください。
(涼子) はい。
ママは幸せですね いいお友達がいて。
(田村) いや~ 向こうは 友達と思ってるかどうか。
(涼子) 私も そうなれたらいいな…。
(田村) え?
(涼子) いえ。
\まいど!/ (バブリー) は~い。
何? これ。
(バブリー) ママが大阪で爆買いしたの。
ママ いつから出勤するの? (バブリー) さぁ。
ハハハ… 自由だからな あの人は。
そう 自由で気まぐれで→
何考えてるのか さっぱり分かんないのが→
ママの魅力。
なんだけどさ~ 時々思うのよね。
ある日 突然 誰にも何にも言わないで→
消えちゃうんじゃないかって。
(ルナ) もしもし 今 着きました。
はいはい 見つけました。
あっ… どうも。
(ルナ) どうも。
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