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(蘭(らん)の声) 時間が すべて解決してくれる
そんなのはウソだ
(雅道(まさみち))俺は 人殺しだ…
(穂花(ほのか)) それって間違ったことかな?
お母さんを守ろうとしたんだよね
(雅道)でも 人が死んだんだよ
許されることじゃない
(蘭の声)時間は 何も癒やしてはくれない
(蘭)死にました
お母さん 昨日 首をつったんです
(蘭の声)ただ残酷に
傷を深くするだけ
お花 贈らせて
水無瀬(みなせ)先生には 生前 お世話になってたから
またユリの花ですか?
雅道さんに電話したけど つながらなくて
配達中なの
(蘭)じゃあ また今度にします
蘭ちゃん
セイタカアワダチソウって 知ってる?
(蘭)キリンソウの仲間ですよね
(穂花)そう
あれ 勝手に他の植物の 生息地に入ってきて
毒で他の植物 みんな 枯らしちゃうの
それで自分だけ きれいな花を咲かせて
でも 最後は 枯れちゃうんだけどね
自分の毒で
やっぱり
人の幸せの邪魔をしちゃ いけないんじゃないかな
(蘭の声)すべて もう手遅れ
(真白(ましろ))手に入らないなら
その命を奪って 永遠に 自分のものにしてしまえばいい
(雅道) 知ってますよ 旦那さんのこと
事故じゃないんでしょ
翠(みどり)さんが やったんですよね?
(穂花) 誰かが幸せになるためには
誰かが犠牲になることだってある
自然なことだよ
(雅道)自分のために 他人を傷つけることが?
それで幸せになれるなら
母さん…
(悦子)涼介(りょうすけ) おいで
涼介
お母さん
(悦子)涼介…
人殺し
出てってよ あんたの顔なんか二度と見たくない
消えて いなくなって!
あんたなんか産まなきゃよかった
うわあ!
(蘭の声)彼女の毒で
私たちは枯れ始めていた
♪~
~♪
(雅道)うっ…
うわあ!
ああっ!
(蒼太(そうた))雅道!
雅道!
雅道 雅道…
雅道!
涼介!
涼介!
涼介!
涼介…
涼介 涼…
涼介…
(雅道)母さん
母さん…
(翠)私のこと守るって言ったのに
なんにも してくれないんだね
警察に疑われないようにするって 言ったくせに
ちゃんと考えてるよ
(翠)全然 そんなふうに見えない
雅道君とケンカして 余裕なかったから
でも 翠さんのことも ちゃんと考えてる
“ことも”って
もっと真剣になってよ
もし捕まったら あることないこと言うよ
だって
一心同体なんでしょ?
フフッ…
そういえば そんなことも言ったね
(雅道)涼介
涼介って
呼ぶ声が聞こえて
あんなに優しい声で呼ばれたの いつ以来かな
たまに 機嫌いい時なんか 頭 なでてくれたことあったけど
どうしてんだろうな
俺が家を飛び出してから
一度も会ってない
元気にしてんのかな
会いに行ってみるか?
つきあうよ
どうせ後悔するだけだし
向こうも俺には興味ないよ
自分の恋人 殺されたあとも
俺を捜して
恨みをぶつけるとか
金をせびるとか
いろいろ できたのに
あの人にとって
俺は存在しないのも同じなんだよ
存在してるよ
ちゃんと存在してる
俺にとって お前は
かけがえのない存在だよ
蒼太…
ずっと誰かを 愛したかったんじゃない?
誰かを愛して
愛されて
そういう女性を 無意識のうちに 求めてたんじゃないの?
それは穂花さんじゃないよ
(ドアが開く音)
雅道君
おかえり
ただいま
(穂花)おなか すいたでしょ なんか作るね
俺…
出ていこうと思う
えっ?
(雅道)俺たち これ以上 一緒にいないほうがいいと思う
どうしたの 急に
(雅道)何があっても 絶対に守るって約束したのに
ごめん
雅道君?
俺じゃ 穂花ちゃんを 幸せにできない
昨日だって パニック起こしたし
今もまだ 昔のこと引きずってて…
不安で押し潰されそうになるんだ
(清子)幸せになれると思う?
(笑い声)
(雅道)勝手なこと 言ってるのは分かってる
ウソ…
えっ?
(穂花)怖くなったんでしょ
私が お母さんと話してるの見て
うるさい!
(泣き声)
殺してやる
全部 あんたが悪い
あんたが ちゃんと 私を愛していれば
今さら 母親ぶらないで!
そうだよ
お母さんは ホントはもういない とっくに死んでる
でも まだ生きてるの 私の中で
狂ってるよね
だから 私から 逃げたくなったんじゃない?
違う そうじゃない
(穂花)じゃあ 何?
お母さんの幻を よく見るのは 俺が原因なんじゃない?
穂花ちゃんだって
俺といて つらいことのほうが 多いでしょ?
嫌なんだよ
穂花ちゃんを苦しめてる自分が
許せないんだ
これ以上 一緒にいても お互い 不幸になるだけだ
あの子が来たよ
蘭ちゃん
えっ?
雅道君と連絡が取れなくて 心配だって
あの子にとって 雅道君は特別
雅道君だってそうでしょ? あの子は特別
しょうがないよね お互い 重なる部分があるんだし
あの子の中に 昔の自分 見てるんでしょ?
だから感情移入しちゃうんだよね
(穂花)やっぱり そうなんだ (雅道)穂花ちゃん 俺はね
誰にも望まれずに 生まれてきたんだよ
(雅道)えっ…
あの子も 雅道君も
何言ってるの?
(穂花)雅道君 お父さんの顔 知らないでしょ
じゃあ お母さん 行きずりかな?
それとも誰かに 無理やり やられたとか?
なんで そんなひどいこと…
ひどい?
ひどいのは どっちよ!
私がいるのに あんな子と心通わせて
大事にするって
絶対 守るって!
それなのに 私との生活 放り出して 出てくの?
(すすり泣き)
ごめんなさい
最低なこと言ったね 私
ごめん
ごめん…
まさか こんな日が来るなんて
信じれなくて
毎日 あんな幸せで
ずっと続くんだって思ってた
穂花ちゃん
雅道君の言うとおり
別れたほうがいいよ 私たち
(店員)いらっしゃいませ
(翠)警察が うちに来た
絶対にバレないって 言ったよね?
なんのこと?
(翠)雅道君 私が 旦那に何したか知ってた
裏切ったの? 私を
でも 翠さんのことも ちゃんと考えてる
(翠)“ことも”って
もっと真剣になってよ
(翠) だって 一心同体なんでしょ?
フフッ…
そういえば そんなことも言ったね
お客様
(翠)はい
お支払いが まだですよね?
(翠)は?
バッグの中 拝見してもいいですか
何もありませんけど
恐れ入ります
(真白)大丈夫ですか?
ごめんね わざわざ来てもらっちゃって
それは別に
いや お店の人がさ
身元引受人がいないと 帰さないって 聞かなくて
なんで僕だったんですか?
えっ?
(真白)いや
穂花さんに頼むのが 普通かなって思って
ケンカでもしたんですか?
(翠)いや
ほら 穂花は お店が忙しいし
いや でもね ホントに取ってないの
知らないうちに 商品が バッグの中に入ってて
たぶん 誰かに 入れられたんだと思う
(真白)フッ いや…
いやいや そんなわけないじゃないですか
また出ちゃったんですよ 万引き癖が
いいじゃないですか 別に隠すことじゃないですよ
穂花?
違います
翠さん
自分が思ってる以上に ウソつくの下手ですよ
だって
他にも秘密 ありますよね?
(耳鳴りの音)
(雅道)この街を出るって…
親戚のうちに 引っ越すことになって
いつ?
(蘭)今週中には
そう
さみしくなるね
僕に渡したいものって?
ダイアモンドリリー
これ
ダイアモンドリリー
(蘭)花言葉は“また会う日まで”
また 会いに来てもいい?
実は 僕も この街から引っ越すつもりなんだ
えっ…
(雅道)まだはっきりとしたことは 分からないけど
(蘭)お店は? 閉めちゃうの?
いや
あの店は たぶん あのままだと思う
行き先が決まったら教えるよ
蘭ちゃんも
困ったことがあれば いつでも連絡して
(耳鳴りの音)
(真白) 旦那さんの救急車が来た時
穂花さんと目配せしてましたよね?
最近 穂花さんと コソコソ 話 してるのも
旦那さんの死と 何か関係があるんですか?
誰にも言いませんよ
翠さんの気持ち 分かりますから
死ぬことで 人は美しくなる
翠さん
旦那さん思いですね
(翠)大好きだったもん 旦那のこと
(翠)大好きだったもん 旦那のこと
(アラーム音)
(アラーム音)
その感情が よく分からないです
(翠)そのうち分かるよ
本気で一緒になりたいって 思う相手に出会えたら
よかった
もう大丈夫
これで大丈夫…
(真白)傷つけるんです
物でも人でも 徹底的に
そしたら傷痕が残るでしょ?
深ければ 深いほど 簡単には消えない
それはね
もう手に入れたのと同じです
(蒼太)穂花さん なんて?
(雅道)うん
(蒼太)ハァ…
まあ いいけどさ
どうする これから
お前の言うとおり
違う街で 一からやり直すのが いいんじゃないかと思う
分かった
じゃあ 準備するよ
悪いな
なんだよ どうした?
大丈夫かな 穂花ちゃん
結局 俺たち 似た者同士なんだよ
親から愛されず 傷つけられて
それがトラウマになって いまだに苦しんでる
だから 一緒にいて 安心できたのかもしれない
穂花ちゃんの 幸せになりたいって気持ちまで
台なしにしたんだよ
俺は
大丈夫だよ
心配すんな
お前は お前の幸せだけ考えろ
なっ?
よし!
久しぶりに勝負しよう
フゥー
雅道
負けたら晩飯おごりな
ああ
どこ行っても大丈夫だよ
俺たち 2人一緒なら 楽しくやれる
蒼太
ありがとう
これからもよろしく
ああ
ほい
(チャイム)
(穂花)翠さん
どうしたの?
(翠)私…
自首する
(リンゴを切る音)
ハァ…
もういいかな?
ちょっと待って
(翠)いいよ リンゴなんて
こうしてる間にも 雅道君 警察に通報するかもしれないし
どうせ逮捕されるなら 自首したいの
そのほうが刑も軽くなるし
うん でも1回 落ち着こうよ
落ち着いてるよ
えっ そんなふうに見えない?
ああ…
あんまり寝てないからかな
どうしよう 留置所で いびきかいたら
ハッ…
何? そんな心配?
そりゃ 心配だよ 翠さんは私にとって…
(翠)そうじゃなくて
私が
穂花のことを話すんじゃないかって 心配なんでしょ?
大丈夫 話さないから
話すも何も 私は…
分かってる
穂花は弟を殺したわけじゃないよね
(アラーム音)
弟が どうやって死んだか
私に話しただけだもんね
でも
警察はどう思うかな?
ちょっと楽しみ
自首したら終わりだよ
(翠)フッ… 今さら
もう とっくに終わってるって
あなたたち夫婦のせいで
大体 私のことなんて ホントは どうでもいいんでしょ?
そんなことない
ウソウソ 全部 分かってるって
自首したら もう会えなくなると思うから
今のうちに言っとくね
私…
やっぱり穂花のこと 大嫌いなんだ
じゃあ 車 借りとくから 駅前の駐車場で待ってて
うん じゃあ また
おう
穂花が苦しんでるの見るとね 胸がスーッとするの
しょうがないよね
最初から そうだったから
穂花を初めて見た時 ピンときたの
ああ この人は ちょうどいいなって
ストレス発散っていうか
はけ口っていうか?
あー この人が近くにいてくれたら
うまく 私の人生を 引き立ててくれるんだろうなって
そう思ったの
だから 開店準備とか いろいろ手伝ってあげて
でも 花屋が うまくいって
雅道君と結婚したあたりかな
だんだん 幸せアピールするように なってきたよね
こっちは ろくでもない夫に 浮気されてんのに
若い旦那とイチャイチャしてさ
ムカついたから
まあ ちょっと 懲らしめてやろうと思ったの
それでSNSとかね
ほら 顔出しされて 困ったことあったでしょ
あれ やったの 朱音(あかね)ちゃんだと思ってない?
私だから
ちょっと聞きたいこと あるんだけどさ
これ
穂花たち 絶対 顔出ししないって 言ってたじゃない?
だけど こんなんアップされてて
驚いた?
ごめんね
でもね それだけじゃないんだよね
他にも まだあるの
(電話の着信音)
はい
(不通音)
(翠)何度も かかってきたでしょ?
最後のほうなんて 穂花 大混乱だったもんね
電話越しでも伝わってきたよ
あれ 誰からだと思ったの?
お母さん?
まあ いいや それから…
穂花
絶対 蒼太君たちだよ 許せない
蒼太君のせいにしちゃったけどね
大変だったんだから あれ
必死で ビラ 剥がす穂花の顔
最高だったな
ああ でも やっぱり 一番は あれかな
あれ 本人だって なんか送った?
(電話の着信音) (穂花)あっ
(朱音)私 出ますよ (穂花)ありがとう
(朱音)もしもし リリアスです
なんか無言電話です
(雅道)どうしたの?
(朱音)何かあったんです?
(窓ガラスをたたく音) (朱音)はーい
(穂花)開けないで!
(朱音)いや でも…
穂花
自分が独り言 言ってるって 気づいてる?
あれ お母さんと 話してるんだよね?
それで クマのぬいぐるみに トラウマ 持ってるって分かって
いつだったかな
この家に あのぬいぐるみが 隠してあるの見つけて
“あっ これだ”って
フッフフ…
まさか あんなに うまくいくとは思わなかったな
フフッ…
パニック起こして うちの店にかくまってあげたもんね
フフフ…
まあ でも 穂花が過去のこと ペラペラ話すから
私まで 旦那のこと 話しちゃったけどさ
穂花
1回 病院で 診てもらったほうがいいよ
だって お母さん 幻覚でしょ?
(穂花)全部 あんたが悪い
あんたが ちゃんと 私を愛していれば
ヤバすぎ
友達に裏切られるって つらいよね
でもね
私…
一度も あなたのこと
友達だと思ったことないから
ごめんね
(穂花)フフフ…
(笑い声)
何?
あー 翠さんってホント面白い
(翠)は?
分かってたよ 全部 翠さんだって分かってた
分かってて
うれしそうにしてる翠さん 見て 楽しんでたの
絶対 蒼太君たちだよ 許せない
何言ってんの?
私だけじゃないよ 真白君とか 朱音ちゃんとか
(真白)翠さん
自分が思ってる以上に ウソつくの下手ですよ
(穂花)翠さんが 旦那さんのことでウソついてるの
みんな 分かってた
分かってて
“あー 翠さん またやってる 楽しそうだな”
って 心の中で笑ってたの
適当なこと言わないで
適当じゃないよ ホントだよ
それくらい 翠さん
パリから 次々と 新しいレシピ 送ってきてさ
お前も日本で修業しとけって
…ったく 偉そうに
(穂花)必死で
えっ いいの? ありがとう
主人も絶対 喜ぶ
(穂花)惨めで
かわいそうで
同情するなってほうが 無理なくらい
それでいて見えっ張りでしょ?
自分を よく見せることしか 頭にないっていうか
そりゃ 旦那さん 浮気するよ
でもね
びっくりしたことが 1つだけあって
まさか 本当に 旦那さん 殺すとは
(アラーム音)
あれは想定外
やめて
…で つらくなったら また万引き
同情するなあ
自首だって ホントは 怖くてしかたないんでしょ
だから 止めてほしくて わざわざ来たんだよね?
でも もういいよ 自首しても
刑務所に 差し入れ 持ってってあげる
何がいい?
やっぱり
パリの焼き菓子?
(笑い声)
(耳鳴りの音)
♪~
(穂花) 今まで ホントにありがとう
私は ずっと 自分の居場所を探してた気がする
ウソだらけの夫婦だったけど
雅道君がいたから 生きてこられた
私のことは 何も心配しないで
雅道君は幸せになってね
じゃあ
さようなら
~♪
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