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(琴音) ⟨誰も私を見ていない⟩
(琴音) ⟨母に抱き締められたことも 笑いかけられたこともない⟩
⟨会ったこともない父親は 私の存在すら知らない⟩
⟨夜の街で成功した母は 私を置いてこの街を出ていった⟩
⟨毎月 お金だけが 振り込まれてきた⟩
(琴音) ⟨そして去年 母はこの場所で→
自ら命を絶った⟩
(琴音) ⟨見てみたいと思った⟩
⟨母が死ぬ前に 最期に見た景色を⟩
(琴音) ⟨結局 私は 誰にも見えない⟩
(伊織) 高梨?
B組の高梨だよな?
(伊織) 高梨 見てみて。
(伊織) ここ。
(琴音) これが金星?
三日月みたい。
(伊織) 金星も月と同じように 満ち欠けするんだ。
(琴音) そうなんだ。
(伊織) 金星は明け方か夕方にしか 見えないから→
なかなか タイミング合わなくてさ…。
久しぶりに見られた。
(琴音) 橘君 どうして私の名前知ってるの?
(伊織) えっ? (琴音) クラス一緒になったことないよね?
(伊織) 高梨 図書だよりの 読書コラム書いてるだろ?
文章うまいよな。
先月 紹介してた本 すぐ借りて読んだよ。
(琴音) 誰も見てないと思ってた。
(伊織) 少なくとも 俺は見てるよ。
(琴音) ⟨初めてだった⟩
⟨私を見てくれる人⟩
(伊織) おはよう。
(奏多) 何やってんの? (伊織) 朝 勉強してる。
(琴音) ⟨彼だけが 私をちゃんと見てくれる⟩
⟨私には彼が必要だと思った⟩
(琴音) ⟨3年になって 同じクラスになった⟩
⟨彼には ずっと好きな子がいるらしいと→
うわさで知った⟩
⟨けど 関係なかった⟩
私 前から橘君のこと 好きだったんだ。
⟨私には彼が必要で 彼も私を受け入れてくれた⟩
⟨私と彼は結ばれた⟩
⟨はずだった…⟩
(伊織) ごめん 別れよう。
(琴音) 何で?
⟨どうして?⟩
⟨私を見つけてくれたのは 伊織だけだったのに⟩
⟨その理由を知ったのは あの日だった⟩
(伊織) 蒼?
(中野) 何だ お前ら知り合いか。
(琴音) ⟨すぐに分かった この子だ⟩
⟨この子が私から伊織を奪う⟩
⟨そんなことはさせない⟩
⟨伊織は渡さない⟩
(中野) じゃあレポート 次の授業で提出な。
(生徒たち) は~い。
(奏多) 昨日 お母さん大丈夫だった?
(蒼) うん ごめんね 途中で帰っちゃって。
>> ううん それは全然。 (琴音) 何かあったの?
(蒼) 昨日 お母さんが倒れて…。 (琴音) えっ 大丈夫?
(蒼) うん もう問題ないみたい。
>> そっか よかった。
(琴音) 知ってた?
(伊織) まぁ うちの病院に 運ばれたから…。
大変だったね。
(蒼) うん。
(琴音) 伊織は昨日何してたの?
(伊織) えっ?
(琴音) うちに来る約束だったのに 電話も出てくれなかったでしょ。
(伊織) 悪い 課題に追われてて 気付かなかった。
(琴音) 夜遅くまで? 一晩中?
(伊織) それがどうしたんだよ。
(琴音) 今朝早くから学校にいたって うわさ聞いたから。
上村さんと。
(琴音) 2人で何してたの?
♪~
(蒼) 〔私 やっぱり伊織が好き〕
〔伊織に好きだって言われて ホントはうれしかった〕
〔でも 伊織は結婚してるから→
そんなのダメだと思って…〕
(伊織) 〔俺 高梨と話すよ〕
(蒼) 〔話すって 何を?〕
(伊織) 〔結婚やめたいって〕
(蒼) 〔でも それじゃ 子どものことはどうするの?〕
(伊織) 〔そのこともちゃんと話し合う〕
〔だから… それまで待っててほしい〕
(最上) 〔あれ? お前ら早くね?〕
(茂木) 〔2人で何してんだよ?〕
(伊織) 〔別に… お前らこそ〕
(最上) 〔後輩たちの練習に 付き合ったんだよ〕
〔てか怪しいな〕
(伊織) 〔そんなわけないだろ〕
♪~
(蒼) 何もないよ。
たまたま2人とも 朝早く来てただけ。
(琴音) そう? ごめんね 変なこと聞いて。
(蒼) ううん 全然…。
(伊織) 高梨…。 (琴音) 何?
(伊織) 今日の放課後 話がある。
(琴音) 分かった じゃあ 一緒に帰ろ。
(伊織) うん。
>> 蒼ちゃんは? (蒼) えっ?
>> 今日 俺たちも一緒に帰らない?
(蒼) あぁ ごめん 私 お母さんの お見舞い行かなきゃだから。
>> そっか。
(蒼) これ 置いてきちゃうね。 >> うん。
(豊) 脈拍は問題ない。
検査結果も夕方には出るだろう。
(遥) いつ退院できる?
結果次第だけど…。
調子いいからって 無理は禁物だぞ。
高校生の頃に試験直前に無理して 熱出しただろ?
フフっ あれは豊が 私に風邪うつしたんだよ。
えっ? そうだったっけ?
そうだよ 熱出した豊の看病して それで。
悪い。
何か… 昨日のことみたいに感じるね。
そうだな。
豊に会ってから あの頃のことよく思い出す。
俺もだよ。
息子見てると思い出すよ。
ちょうど この季節だったもんな。
遥に告白したの。
夏だったね 高3の。
最高の4年間だったよ。
留学するってフラれるまでは。
私も豊といられて楽しかった。
でも 自分の可能性を試したかった。
若かったのね。
プロポーズも断られて ボロボロだったよ。
(遥の声) 向こうにいる間も あなたを 忘れたことなんてなかった。
どこかで…。
豊はずっと待っててくれてると 思ってた。
勝手だよね。
帰国することになって 豊に会いに行こうと思ったの。
えっ?
♪~
(遥の声) 運命って残酷だなって 思ったよ。
まぁ そのおかげで娘に会えたから 結果よかったんだけどね。
(ノック)
(京子) あら あなたもいたの?
検査が終わったところで。
大丈夫? >> うん もうだいぶ。
(京子) みたいね 表情も何だか明るいし。
そう?
(豊) じゃあ 結果出たら また。 >> うん お願いします。
(戸の開閉音)
ホントに何ともないの?
(蒼) 倒れた原因はストレスだって お医者さん言ってた。
お父さんのことで大変なのに ひどいこと言っちゃった。
ホントにごめんなさい。
私はお母さんの味方だから。
>> ありがとう。
でも 蒼のせいじゃないよ。
お父さんのせいでもない。
(蒼) 何でよ だって あいつは…。
>> 不倫したって?
前に話したよね。
好きだった人をあきらめて お父さんと結婚したこと。
お父さん そのこと分かってたと思う。
私たち→
お互いどこかでウソをつきながら 夫婦をやっていた。
もう限界だったの。
だから 離婚したことは 後悔してないよ。
蒼にはホントに申し訳ないけど。
(蒼) 一番好きな人を あきらめたことは?
後悔… してる?
>> してない。
…って言ったらウソになるかな。
蒼は自分の気持ちに ウソはつかないでね。
そうじゃないと 後悔して生きることになるから。
♪~
(琴音) 何? 話したいことって。
(伊織) ごめん。
俺やっぱり結婚できない。
勝手なのは分かってる けど…。 (琴音) 私は離婚するつもりないよ。
(伊織) 高梨だって分かってるんだろ?
このまま続けたって うまくいくわけないって。
(琴音) どうして?
(伊織) 昨日の夜 本当は俺→
蒼といたんだ。
俺 蒼のことが好きなんだ。
子どものことは ちゃんとする。
産むとしても そうじゃないとしても責任は取る。
だから…。
離婚してほしい。
♪~
(琴音) 私が全部バラすって言ったら?
(琴音) 学校も 伊織の家族も巻き込んで 大問題にするって言ったら?
伊織の将来 どうなっちゃうと思う?
(伊織) 仕方ないよ。
(琴音) 上村さんと一緒にいるためなら? (伊織) そうじゃ ない。
俺が高梨を それだけ傷つけたってことだから。
(琴音) そう…。
少し考えさせて。
(伊織) ごめん。
(玄関のチャイム)
(蒼) は~い。
(琴音) 突然ごめんね 少し話せる?
(琴音) お邪魔します。
(蒼) えっと… そこ座ってて。
(琴音) うん。
(琴音) 「離婚調停」?
(琴音) お母さん離婚でもめてるの?
(蒼) いや… いいから座ってて。
(琴音) ウソつき。
(蒼) えっ?
(琴音) 昨日の夜 伊織と ずっと一緒にいたんだよね?
朝まで2人で何してたの?
キス? それともセックス?
(蒼) 何しに来たの? (琴音) それはこっちのセリフ。
あなたさえ来なければ→
私たちは幸せになれたのに。
(琴音) 知ってる?
あなたの今してること何て言うか。
不倫だよ。
上村さんは もう18歳だから。
私が訴えたら法廷で裁かれるの。
慰謝料も請求されるし 社会的制裁も受けるかも。
(琴音) お母さんはどう思うだろうね。
ただでさえ離婚調停で大変なのに 娘が不倫だなんて。
ま~た倒れちゃったりして! (蒼) いいかげんにして!
そうやって脅したの? 伊織のことも。
(琴音) はぁ?
(蒼) 弱みにつけ込んで 無理やり結婚して。
それでも伊織のこと好きなの?
私にはそう思えない。 (机をたたく音)
(琴音) 私たちはお互いに必要な存在なの だから結婚した!
部外者は黙ってて。
(琴音) 私は伊織を一生離さないから。
(蒼) 自信がないんでしょ。
だから結婚で 縛りつけようとしてる。
私には 形だけの契約なんて必要ない。
ホントに好きなら そんなもの…。 (琴音) フッ…。
契約だから…。
(琴音) 強いんだよ?
(戸の開閉音)
(琴音) おはよう。
(中野) 佐々木。 (真鈴) はい。
(中野) 須藤。 (奏多) はい。
(中野) 高梨。
高梨。
いるな。
え~ 橘。 (伊織:琴音) はい。
(中野) おい高梨 1個遅いぞ。
(琴音) 私 高梨じゃありません 橘です。
>> 何言ってんだ? (琴音) 私たち結婚したんです!
(ざわめき)
結婚? 何バカなこと言ってんだよ。
南雲… 成瀬…。
(琴音) おなかに赤ちゃんもいるんです。
>> えっ?
(琴音) それで橘君が結婚しようって 言ってくれて。
>> おい橘 冗談だよな? (琴音) 本当です!
上村さんと須藤君が 証人になってくれました。
(琴音) 婚姻届も受理されました。
(ざわめき)
(琴音) 私たち もう成人ですから。
>> お前ら 静かにしろ!
静かに!
♪~
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