All language subtitles for 西遊記[09]

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Original subtitles

・~

(ナレーター)

この世に人間が現れる はるか前>

ドロドロと溶岩のように

漂い流れておりました>

4つの大陸ができました>

とうしょうしんしゅう

東勝神洲の一部に山がありました>

かかざん

何万年たったことでしょう>

不思議な石が生まれました>

まるで霊魂でも

宿っているかのようでした>

(叫び声)

・『モンキー・マジック』

・~

・~

ヒンバーナ

古来より 妖怪や野盗のたぐいが・

数多く出没する土地として

知られております>

固められた中央集権制度のもとで

役人にあらずば人にあらずと

いった風潮が はびこる所>

り

えいてい

(李)英貞は どうした?

えいしゅん

(英俊)

先刻まで ここにいたのですが…

英貞 英貞!

(英貞)お父さま

ばかもん

(李)馬鹿者!

父親の出立を見送りもせず

何をしておった?

びょう

お庭の廟で道中のご無事を

祈願しておりました

祈願だと? フン…

お前に祈られては

かえって不運を招くわ

何だ? その顔は うん?

わしに

呪いをかけようとでもいうのか?

馬鹿者!

(殴る音)

父上!

これより領内見回りに出立する

(張)前へ!

英貞 大丈夫か?

・~

(陽犬郎)

やつ

ケッ… 威張りくさって 代官の奴

今に ほえ面かくな

やるぞ

・(矢を射る音)

(家臣たち)ウウッ!

ヤーッ!

さんぞうほうし

このリージャーチンの町外れに

たどりつきましたが…>

(飛行音)

ごくう

(悟空)ほっ!

お師匠さま ただいま戻りました

(三蔵法師)ご苦労さま

それで

一夜の宿は見つかりましたか?

それは もうね

この先10里の所にね

小さな町がありましてね

お師匠さま 久しぶりに

野宿しないで済みそうですよ

(三蔵)そうか それは ありがたい

お師匠さま はい ちまきね

悟空

えっ?

ありがとう

嫌だな そんな てれちゃうな

毎日してることじゃない

そんなこと

どうってことは ないですよ

あれ? それよりも お師匠さま

これと これ どこ行ったの?

ああ あの2人なら・

お前の帰りが待ちきれずに

食べ物を探しに出かけましたよ

本当に あいつら せっかちだね

せっかく

あいつらの分も持ってきたのにさ

はっかい

(八戒)

ごじょう

うわぁ! 悟浄 見つけたぞ!

(笑い声)

だて

(悟浄)いやぁ さすが 八戒 伊達に

大きな鼻つけとらんな お前も

変な褒め方すんじゃねえんだよ

それより 食うべ 食うべ

そやけどな 他人さまの物を・

勝手に ちょうだいするというのは

どうも気が引けるな わしは

あとで謝ればいいじゃねえか

ごめんって

それよりか

もん

坊主によ 施し物したとすればよ

あとで御利益があんだから

ありがたいと思わなきゃ

どや? うまいか? うまい?

うまいの うまくねえのって

うめえよ!

そうか わしも いくわ もう

(八戒)うん

いけ いけ もっといけ!

(悟浄)ヘヘヘッ…

・(陽犬郎)2人とも動くな!

(月犬郎)俺たちの飯を

食いやがって ただじゃおかねえ!

ぬす

と

(木犬郎)盗っ人は

おきて

死刑にするのが この国の掟だ

お前ら

この場で ぶっ殺してやる!

(八戒)ちょ… ちょっと待って

待ちなさい あんたたち

あの…

実は これには訳があるんですわ

(木犬郎)どんな訳だ?

ええ 実は 私たち

修行中の旅の坊主なんですけども

この2~3日 どういうわけか

運に見放されましてね

何にも口にしとらんのですわ

なっ?

(八戒)そうなんです

そりゃ ひどいもんでした

それでね 悪いこととは知りつつも

つい この ごちそうに

手が伸びちゃったっていうか…

勘弁してくださいね

(陽犬郎)勘弁してやってもいいが

ひとつ 条件があるぜ

条件?

(木犬郎)

俺たちが飯を食ってる間に・

使いを頼まれてほしいのよ

(悟浄)どんな使いなんです?

(土犬郎)ここから南へ

5里ばかり行った所に・

この地方の

代官の住む屋敷があるんだ

(月犬郎)お前たちは そこへ行って

ある品物を取ってくるんだ

何ですか? その品物っちゅうのは

(陽犬郎)そこまで知る必要はない

(八戒)はい

(陽犬郎)「例の革袋」と言えば

代官には通じることになっている

(悟浄)例の革袋… おい 八戒

そんなこと 今から できるか?

(八戒)いや お師匠さまに

知らせなきゃなんないし

それに 兄貴も…

(火犬郎)相談してる場合か!

だぶつ

断れば この場で お陀仏だぜ

(陽犬郎)おらぁ!

(八戒)行けるんじゃないか?

代官所は

(悟浄)なんとかな

(八戒)

なんとか行けるだろう 大丈夫だ

それじゃ いってまいります

(陽犬郎)早くしろ!

走ってけ!

(八戒)はい!

引き受けた八戒と悟浄>

代官屋敷に やって来ました>

(悟浄)えらい静かなとこやな

(八戒)なあ いるんだろうか?

たたいてみい

(八戒)たたいてみっか

(たたく音)

御免

(たたく音)

こんちは!

あの… 代官さまですか?

いかにも わしが

てんえい

代官の李天英じゃが 何の用だ?

実は あの… 例の革袋を

いただきに上がったんですけど

革… 革袋を…

(英俊)父上 私が持ってきます

しばらくお待ちを

(李)待て 英俊

その必要はない

皆の者 出合え!

父上 いつの間に!

まね

(八戒)何の真似だ? これは 一体

(悟浄)わしらが

一体 何したっちゅうんですか!

(張)問答無用! ひっ捕らえろ!

・~

悟浄 ここは俺に任せてよ

悟空兄貴 呼んでこい!

お前は大丈夫か? 八戒

(八戒)大丈夫だとも!

よし 頼んだぞ!

悟空! お師匠さま!

えらいこっちゃ えらいこっちゃ!

ああ この!

(殴る音)

(悟浄)痛いな!

やぶから棒に何すんねん お前

お皿が割れたら どないすんねん!

やること考えい お前も

皿でも鉢でもいいから

粉々に砕けちまえよ!

今の今まで どこで何してた?

さんざっぱら心配かけやがって!

ああ そうやったな あのな

これが 話せば長い話なんやけど

話してええか?

くどくど聞いてる暇ねえや

短く話せ 短くよ

よっしゃ よっしゃ 手短に話すわ

ええか えらいこっちゃぞ 八戒が

代官に捕まってしまいよった

なんだと?

悟浄 それは どういうことですか

(殴る音)

(張)お答えしろ!

よ~し 水をかけろ

ろうばん

(牢番)はっ!

(八戒)ウウッ…

(李)さあ 白状してもらおうか

娘は どこにいる?

(八戒)娘? 誰のこった? それ

とぼけるな! 昨日 お前たちが

かどわかした わしの娘じゃ

どこにいる?

知らねえな! 大体 俺は

かどわかしたりなんか しねえもの

(李)では なぜ ここへまいった?

黄金200両の身代金を入れた革袋を

受け取るためであろうが

黄金200両? 身代金?

何のことか さっぱり分かんねえよ

俺は ともかくよ 5人組の猟師に

頼まれただけなんだもんな

5人組の猟師だと?

(八戒)そうだよ

奴らの昼飯をよ

無断で食った その埋め合わせによ

それに 行かなきゃ殺すって

脅かすんだもん

こやつ!

(八戒)いたた…

偽りを申すと

もっと痛い目に遭うぞ!

もう 勝手にしなさいよ

どんなに痛めつけられたって

本当のことしか言えねえもん

しょうがねえじゃねえか

痛い痛い!

この八戒は 自慢じゃねえけどよ

正直だけが

取り柄の男なんだから 本当に

あいてて…

ほかに いろいろ取り柄もあるけど

(英俊)父上!

(李)何じゃ?

ただいま

父上に会いたいと申す者が・

門番の制止を振り切って

屋敷内に乱入しました

ふらち

なに? 不埒な… 何者じゃ?

それが この八戒の兄貴とか

申しておりますが

兄貴?

ああ…

悟空兄貴 すぐに来てくれたんだ

さすがだな

いや 助かった 助かった 助かった

助かったんだよ 助かったんだよ

本当に 腹立つな この人は

おい 代官 出てこいよ!

(張)かまわん

たたき殺して 放り出せ!

分からねえ野郎だな なら

こっちも やってやろうじゃねえか

・~

(李)待て待て待て!

お前たちのかなう相手ではない

わしが代官の李天英じゃ

ここでは話もならん

中へ入ってもらおう

さすが代官 血の巡りが早いぜ

お師匠さま どうぞ どうぞ

どけ そこ!

ケッ!

では 八戒と悟浄には

あなたさまの娘さんを・

かどわかした嫌疑が

かかっていると?

さよう

しかも 身代金が目当てでな

身代金?

妹の身柄を返してほしくば・

黄金200両を入れた革袋を

用意するようにと

今朝 手紙が届いたんです

大変だよ お師匠さん

この手紙 字が書いてある ほれ

なるほど それで

革袋を取りに来た八戒と悟浄に・

疑いがかかったわけだ

わしも八戒も無実なんですよ

めえ

当たり前じゃねえか

お前たちに そんな知恵はねえよ

なに?

こいつらはね

弱みに つけ込まれて

悪党どもに

利用されただけなんだよ

しかし 悪事に加担したのは事実

八戒とやらを

牢から出すわけにはいかん

無体な…

父上 それは ひどい

もっとも そのほう自ら

悪党どもを捕らえてくると

約束するならば 話は別だがな

冗談じゃねえよ!

さっきも言ったとおりな

俺たちは このお師匠さまの

てんじく

お供をして 天竺まで行くんだ

こんな片田舎で

ぐずぐずしてられるか! 本当に

悟空! 何をするつもりです?

知れたことでしょう

力ずくで 八戒 連れてくるんだ

(李)牢破りか… 馬鹿者

そんな真似をすれば

先の苦労が増えるだけじゃわ

どういう意味だ?

お前たちは

お尋ね者になるということだ

無論 ここに おられる三蔵どのも

ご一緒にな

・~

悟空

はい

お前1人を残していくのは

つらいが 私には大切な役目がある

ひと足先に行くことを

許しておくれ

はい 分かってますよ お師匠さま

おいらもね

こっちの仕事が片づいたら

すぐに追いつきますからね

(八戒)兄貴 すまねえな

俺のしくじりから

とんだ苦労させちゃってよ

ヘヘヘッ… お前

しゃれた口 利くじゃねえかよ

それよりもな

ちゃんと お師匠さま お守りして

いいな? 悟浄もな

分かった

ほな ぼちぼち行きまひょか

(八戒)どうも

気をつけて

お先にな

お師匠さま 安全運転で どうぞ

・~

出世主義旺盛な代官・李天英の

手先を務めることとなった・

そん

我らが孫悟空>

捕らえることが

できますでしょうか>

旅人宿へ

たどりついた三蔵と八戒たち>

お師匠さま どうかしたんですか?

どうも嫌な予感が…

うち

この家の周りには

妖気が漂っています

妖気?

私 何も感じませんけど なっ?

悟浄 ほかに宿を探したほうが

よいのではありませんか?

とんでもないですよ

もう ここに決めましょうよ!

こっち もう腹ぺこなんだ

これだって

もう ぺこぺこなんだもの なっ?

(扉をたたく音)

おい!

あれ? 誰もいねえのか?

おい いねえのかい? おい!

いらっしゃいませ

あなた方は?

ご覧のとおり 旅の僧です

ひと晩 泊めていただけますか?

それは できません

いや 部屋が空いてないんでしたら

相部屋でも結構なんですけど

お部屋はございます

でも お泊めすることは…

ここは

あなた方の来る所では ないのです

お願いです

さあ 早くお帰りください

ちようふじん

・(地湧夫人)

誰と話してるんだい? 英貞

(地湧)まあまあ お客さんでしたか

これは どうも失礼いたしました

さあ

どうぞ 中へ お入りくださいませ

いやぁ それは ありがてえな

どうも どうもね

いやぁ すまねえ すまねえ

あっ こっちか?

こっちか? そうか そうか

(地湧)

さあ こちらでございます どうぞ

(八戒)うわぁ いい部屋だな

とう

(地湧)まあ 唐の国から天竺まで…

それは大変でございますねえ

(八戒)ええ それは もうね

死ぬの生きるのって

大変な騒ぎですわ ええ

(地湧)

こよい

では せめて今宵ひと夜だけでも・

ゆっくりと骨休めをなさいませ

すぐに お食事をお持ちいたします

(八戒)腹減っちゃった

(悟浄)どうも

ありがとうございます どうも

お師匠さま えらい親切な

おばさんですな ええ?

お師匠さま

まだ気にしてるんですか?

さっきの妖気とやらを

ええ

それに あの娘さんの態度が

不審なことも…

お母さん

あのお坊さんを どうするつもり?

(地湧)別に どうもしないさ

うそ

(英貞)嘘!

兄さんたちが帰ってきたら

食べてしまうんでしょう?

それも悪くないね

昔から 位の高い坊主の肉を食うと

不老不死の力が

授かるというからね

駄目! それは駄目よ!

おや 英貞 お前

ぼ

あの坊さまに ひと目惚れかい?

そんなこと…

まあ 惚れた男を食うのも

おつなもんだよ

あの方は 食べちゃいけない!

英貞 いいかげんにおしよ

お前 自分を

何さまだと思ってるんだい?

どういうこと?

忘れたのかい? 昨日

ここへ来たときに言った言葉を

「もう二度と村へは戻らない」

「一生 ここで暮らす」と

約束したじゃないか

ええ したわ

でも あれは

お母さんが私のためを思って・

ここへ連れてきたものと

思ったからよ

身代金を取ったり

お坊さんを殺したりするようでは

愛想が尽きるわ

(地湧)今更 何を言うんだい

お前は もう 私たちの仲間さ

妖怪なんだよ

(英貞)いいえ 私は人間よ!

とんでもない

たとえ 妖術は使えなくても・

お前には私の血が流れてるんだよ

年を経た山犬の血がね

まあいいさ

今に お前にも分かる時が来る

私は気長に待つつもりだよ

何といっても

おなかを痛めた我が子だもの

何か深い事情がありそうだな

父は妹を嫌ってるんです

嫌ってる? どうして?

実を言うと

きょうだい

妹と私は 腹違いの兄妹なんです

私の母は 私を産むと

すぐ死んでしまいました

その後 父は再婚して

妹ができたんですが

その相手の女というのが…

・(李)やめろ 英俊

身内の恥を他人に話してはならん

おぬしも あまり詮索せぬことだな

(殴る音)

(李)何をする・

危ねえところだったぞ 今

ヒュッ!

もうちょっとで

あんた 命失うとこだったよ

あら?

げつ

しゅつ

きょう

「月の出と共に」…

何だい? この手紙

ちっとも意味分からねえよ

つき

で

とも

「月の出と共に」…

そう読むのか

「黄金200両

えんくうざん

代官1人にて陥空山へ持参すべし」

「さもなくば 娘は もちろんのこと

一家皆殺しを覚悟すべし」

(ため息)

…で その陥空山ってのは

どこにあるんだい?

北へ

2里 行った所にある岩山ですが

どうするつもりですか?

代官1人で来いって

言ってんだろう?

そのとおりにしてやるまでさ

では わし1人でか?

もちろんよ

(笑い声)

・~

身代金を持って・

たったひとりで 陥空山に

はめ

出かける羽目になりました>

・(犬の遠ぼえ)

(陽犬郎)やっと

覚悟を決めたらしいな 李天英

お前たちか 娘をかどわかしたのは

(木犬郎)そのとおり!

黄金200両は持ってきたか?

(李)ここにある

(火犬郎)よし こっちへもらおう

(土犬郎)間違いない 確かに金だ

ヘヘッ… よし

(李)ところで 娘は返してもらおう

(陽犬郎)断る

(李)

なんだと? それでは約束が違う!

(月犬郎)フフフッ…

約束など 初めから ないも同然

お前の娘は誘拐されたんではなく

納得ずくで

俺たちの側に ついたんだからな

馬鹿な!

お前たちは 一体 何者だ?

(陽犬郎)聞いて驚くな

俺たち5人兄弟は

皆 地湧夫人のせがれだ

地湧夫人? 誰のことだ?

(火犬郎)

地湧夫人の名を知らんとは・

貴様 李天英ではないな?

フフフフッ…

見破られては しかたがねえ

そろそろ正体 現すとするか

(土犬郎)何者だ・

おいらの名は孫悟空

せいてんたいせい

またの名を斉天大聖

天上界に鳴り響いた暴れ者だい!

(木犬郎)その孫悟空が

なぜ代官の身代わりに?

てめえらに利用された弟分の

ぬれぎぬ晴らすためだい!

神妙にしやがれ!

(陽犬郎)しゃらくせえ

そっちがその気なら

こっちも正体を見せてやる

(弟たち)おう!

あらららら…

てめえら 妖怪だったのか

野郎!

・~

・~

(陽犬郎)ひけ! ひけひけ!

もう 飯のほうは

どうなっちゃったんだよ!

俺 腹減っちゃったよ!

(悟浄)いや わしもな

さっきから

それ 思うとったんやけどな

あのおばはん 客がいることを

忘れとんのちゃうか

(八戒)どう思いますか?

まさか

よし いっぺん こうなったら

催促してくるわ

頼むよ 腹減って

いらいらしちゃってよ 俺

・(地湧)言い訳は おやめ!

・ なんだい!

たかが猿の化け物1匹 殺せなくて

情けないったら ありゃしない!

(火犬郎)そう怒んないでくれよ

肝心な物は

このとおり 手に入ったんだからさ

李天英の奴

娘は さらわれ 金は巻き上げられ

しょげ返ってるぜ

(笑い声)

これで

おっ母の腹も収まったろう?

まあね

できることなら 李天英の首も

一緒に持ってきてほしかったけど

今日のところは

この金に免じて許してやるよ

(土犬郎)こんな馬鹿な…

さっき 確かめたときには

間違いなく黄金だったのに!

これも孫悟空という奴の仕業さ

お前たちに術をかけて

目をくらましたんだよ!

(火犬郎)ちきしょう あの野郎…

今度 会ったら ただじゃおかねえ

生きたまま八つ裂きにして

はらわたの果てまで

食い尽くしてやる!

ああ!

お師匠さま 大至急

ここ逃げ出さな あきませんで!

なに慌ててんだよ お前

(悟浄)慌てずにいられるかいな

いいですか

おかみ

ここの宿の女将っちゅうのはね

だま

わしと八戒のことを騙した

悪党どもの おふくろなんですよ!

本当ですか?

おまけに 連中と来たらね

悟空のことを食い殺してやると

いうようなこと話してましたよ

正体は妖怪に間違いおまへん

やっぱり…

お前たちは

孫悟空の仲間だったのかい

立ち聞きしてたのは

分かってたんだ

逃げようったって

そうはいかないよ

くそ…

(悟浄)化け物め!

(息を吹く音)

オワッ!

(突く音)

(火犬郎)ほう これが三蔵法師か

都育ちだけに柔らかい体してるぜ

(木犬郎)塩焼きにでもしたら

さぞ うまいだろうぜ

(月犬郎)俺は刺身のほうがいいな

ああ もう我慢できねえ

はえ

早えとこ ひねっちまおうぜ

(英貞)やめて!

お願い この人を殺すのは やめて

お願い!

お前は引っ込んでろ!

(英貞)アアッ!

さあ やれ

ええい!

おやめ

この男は生かしておくんだよ

おっ母 今更 何を…

生かしておいて

どうしようってんだい?

私はね 常々 教養ある男を

身内に持ちたかったんだよ

妖怪仲間に

自慢できるような男をね

えっ? じゃ おっ母は この坊主と

英貞を結婚させるとでも?

(地湧)結婚するのは私のほうさ

正直言って

私は この男に惚れたのさ

えっ…

あんたは私の夫になるんだよ

そんな理不尽な…

嫌とは言わせないよ

私の温情に逆らえば あんたは

息子たちの餌食になるだけさ

無論 この弟子たちも一緒にね

そうか… 今度の一件は

全て地湧の差し金だったのか…

その地湧夫人ってのは

一体 何者なんだよ?

ひょっとして

お前さんの女房だった女じゃ?

さよう

あの女こそ わしの2番目の妻

さらわれた英貞の母親なのじゃ

ああ やっぱり…

あの女は うわべは

貞淑な武人の妻を装いながら

陰では 年を経た山犬の本性を

むき出しにして

数多くの都人を食い殺してきた

そして ついには

この英俊の命まで狙ったのじゃ

へえ 義理の息子を狙うとは

こりゃ 大したタマだ

あのとき 父が駆けつけるのが

一瞬 遅れていたら・

私は確実に殺されていました

わしの ひと太刀で

足に深傷を負った地湧は・

物心ついたばかりの英貞を残して

いずこともなく逃げ去った

今にして思えば・

とどめを刺せなかったのが

悔やまれてならん!

父は その失態を

国王に とがめられて・

この地に左遷されたのです

ふ~ん…

それで分かったよ

あの地湧夫人が

お前さんを苦しめる訳が

あの女は

ふくしゅう

わしに復讐をしたいのじゃ

それで ひそかに英貞を手なずけて

誘拐劇を仕組んだに違いない

(いびき)

やけ酒に酔いつぶれた5兄弟>

は

這い出ましたのは…>

(羽音)

オッ… 来たな

よう

おお ご苦労 ご苦労

早速 報告 聞こうじゃないか

ああ… えっ? うん…

・~

(李)英俊

(英俊)あっ おはようございます

(李)お前 眠らなかったのか?

(英俊)

はい 英貞のことを考えていました

(李)

その名は もう二度と口に出すな

妖怪にくみして

わしを欺くような奴は・

もう親でもなければ 子でもないわ

(英俊)しかし あの子が地湧夫人の

言いなりになっているのは・

父上 あなたにも

責任があるのではありませんか?

なんだと・

父上は英貞に厳しすぎました

ささい

些細な落ち度でも強くとがめて…

あれでは 離れていくのが当然です

あの子には妖怪の血が流れておる

手綱を緩めたが最後

悪事に走るのは

目に見えておったわ

それは言い訳です!

あの子は 幼いときから

素直で いい子でした

現に 父上も

地湧夫人の正体を知るまでは・

目の中に入れても

痛くないというほど

かわいがってたでは ありませんか

(李)英俊 もう よさんか!

・ いや 英俊さんの言うとおりだ

(李)悟空どの

今の言葉 どういう意味だ?

お前さんも

そろそろ 自分の犯した過ちに・

気づいてもいいころだってことさ

地湧夫人を憎むあまり

罪もねえ娘さんに

つらい思いさせたりなんかして

大体ね 誇り高き武人の

することじゃないよ そんなことは

ところでさ

妖怪の居所が分かったよ

えっ? 本当ですか?

もちろん

こいつが知らせてくれたんだよ

かぶとむしが?

これは ただの虫けらじゃねえぞ

こいつは おいらの分身さ

(息を吹く音)

情報によりますと 妖怪たちは

街道筋の旅人宿にいるそうだぜ

お願いです 私も ご一緒に…

相手は妖怪だぞ

覚悟は できています

どうしても妹を助けたいのです

その気持ちの ひとかけらでも

おやじ

親父さんに あったらな

よし 行こう!

・~

ハァ… それにしても驚いたぜ

ええ? 俺たちに

坊主の親父ができようとはよ

まったくだ

おっ母の気まぐれにも あきれるよ

あんな ひ弱な男の

どこがいいのかな?

まあ そのうち

愛想尽かすに決まってるさ

そうなりゃ こっちの思うつぼだ

三国一の花婿も

さかな

俺たちの酒の肴となるだけよ

ちげ

(月犬郎)違えねえ

(笑い声)

(爆竹の音)

何があるのでしょう?

随分と客が多いようですが

あいつら 人間の姿してるが

1匹残らず妖怪だよ

えっ?

ちょっと 様子 見てくらぁ

ほっ!

(羽音)

ヘヘヘヘッ… 驚いたろう?

あっ お前さん そこを

動いちゃいけねえよ いいな?

よし

・(爆竹の音)

(八戒)だいぶ

客が集まってきたようですね

どうすんですか? お師匠さま

まさか あのおっ母はんと

夫婦になる気やないでしょうね

しかたがありません

これも運命です

そんな馬鹿な! そんなことしたら

お師匠さまね 破滅ですよ

破戒坊主としてですね

地獄に落とされて

今まで やってきた苦労も みんな

水の泡になっちまうんですよ

分かっています

でも 断れば 私たちの命は…

いえ 私の覚悟は できています

でも

お前たちが巻き添えになることは

なんとしてでも

避けねばなりません

そんな水くさい

お師匠さま わしらはね

お師匠さまと一緒に死ねれば

本望なんですよ

なっ? 八戒 そうやろう?

(八戒)うん? うん うん…

八戒 悟浄 私たちには・

大事な仕事があるのを

忘れたのですか?

お経のことですか そんなこと

この際 関係ありませんよ

それでは いけません

あのお経は・

苦しみにあえぐ多くの人々を

救うために必要なのです

私が

使命を果たせなくなったからには

お前たちが衣鉢を継ぐのです

よいですね?

お師匠さま…

(羽音)

もう 大事な話ししてるときに…

向こう行け!

なに? なに来た?

あぶ

ああ 虻 危ないですよ

虻 あっち行け! あっち行け!

そう 嫌うなよ 八戒 悟浄 俺だよ

(羽音)

(八戒)兄貴!

悟空 やっぱり来てくれたのですね

おいらが お師匠さまのこと

忘れるはずがないじゃないですか

事情は

今の話を聞いて よく分かりました

もう心配いりませんからね

今 お助けしますよ ハハハッ…

お前 いちばんあとだ

(毛を抜く音)

・~

よし

兄貴 誰か来る!

悟空 もう間に合わんから

お師匠さま連れて 逃げてくれ

なっ?

・~

(陽犬郎)さあ 婿どの

そろそろ お出まし願おうか

(月犬郎)

お前みたいな くそ坊主でも・

俺たちの親父になれるんだ

光栄に思え

ああ 来たね

それでは 早速 始めようか

めおとざけ

さあ 婿どの 夫婦酒を

その前に ひとつだけ 英貞さんに

聞きたいことがあるのです

いいとも 早くお聞き

あなたは 私たちの結婚を

娘として祝福できますか?

答えなさい どうなのです?

できません

それに 私は もう こんな人たちと

一緒にいるのには耐えられません

英貞…

よく言った

おいらが聞きたかったのは

英貞の本音なんだ

誰だよ? お前は

正体をお見せ!

言われるまでもねえ

ハハハハッ… 今 見せてやるぜ

貴様は孫悟空!

やい 雌犬 てめえみてえな奴は

この悟空さまが許さねえ!

薄汚ねえ息子どもと一緒に

息の根 止めてやらぁ

ちきしょう… せっかくの婚礼を

よくも邪魔しておくれだね

おやり

(陽犬郎)おう!

ヤーッ!

・~

(悲鳴)

オリャー!

・~

・~

(殴る音)

ウワッ!

(英俊)英貞!

兄さん!

(英俊)良かった…

・~

(突く音)

ウワ~ッ!

・~

待て!

・~

ちきしょう どこ行きやがった?

ハアッ!

ヤッ!

(突く音)

ウッ!

ウウッ…

ヤーッ! 野郎!

お願いです! 待ってください

英貞さん 危ねえ どいてな

いいえ!

どうか この人の命だけは…

なんだと? だって こいつはよ…

(英貞)ええ でも 私にとっては

たったひとりの お母さんなんです

お願いです! たったひとりの…

たったひとりの お母さんなんです

・~

英貞… お前という子は…

・~

行きな 二度と

悪さするんじゃねえぜ

・~

・~

・(犬の遠ぼえ)

父上 すみません

どうか 存分に叱ってください

父上 英貞を許してやってください

英貞は 地湧夫人に騙されて…

もうよい 何も言うな

英貞…

よく帰ってきてくれた

(泣き声)

わしを許してくれ…

父上…

(英俊)父上!

・~

(李)ありがとう… ありがとう…

いいもんだなぁ

家族が仲良くすんのは

八戒 お前にだって仲のよい家族が

あるじゃありませんか

お師匠さま

私は だって 独りですもの

お前は 本当に馬鹿だね

お師匠さまは

いいか 俺たち4人を・

家族と言ってくだすってるんだよ

お前を含めて

みほとけ

御仏に仕える者は

皆 きょうだいですよ

あっ そうか なるほど そうですか

じゃ

悟浄なんか さしずめ 俺の弟だな

勝手に兄貴になるなよ

何だ? その態度は

兄貴に対して この野郎

まあまあ 長男の前で よしなさい

そうか お兄さま

お兄さま

(八戒)あんなふうにして

よしよし

(八戒)強く

・~

げんじょう

その一行>

起こりましょうか>

お楽しみは また次回の講釈で>

・『ガンダーラ』

・ そこに行けば

・ どんな夢も かなうというよ

・ 誰もみな行きたがるが

はる

・ 遥かな世界

・ その国の名は ガンダーラ

どこ

・ 何処かにある ユートピア

・ どうしたら行けるのだろう

・ 教えて欲しい

・ In Gandhara, Gandhara

・ They say it was in India

・ Gandhara, Gandhara

・ 愛の国 Gandhara

・ Gandhara, Gandhara

・ They say it was in India

・ Gandhara, Gandhara

・ 愛の国 Gandhara

はたご

三蔵の夢枕に現れた幽霊が・

今ある国王は 道士が

化けた真っ赤なニセ者と告げる>

約束をした孫悟空は四苦八苦>

窮余の一策 三蔵法師に変化>

私が本物の玄奘です

この者こそ ニセ者の私です

ご期待ください>

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