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(堤) 今 谷岡さんに抜けられると キツいんだけどな。
まぁ 市長直々のご指名なら 仕方ないけどさ。
(初音) すいません 4か月で戻りますので。
(霧島) あれ? メガネやめたんですね。
(初音) まぁ… はい。
でも 何でオーケストラの 広報なんですか?
よりによって谷岡さんが。 (初音) さぁ 何ででしょう?
フフフ…。 >> えっ 何ですか? これ。
(初音) あっ!
何でしょう? ハハハ…。
(小野田) これ 全部ドイツから? すごい量ですね。
(朝陽) こんな狭い部屋じゃ 収まりきらない。
スコア専用の部屋 すぐに用意して。
(小野田) えっ いきなり そう言われましても…。
(朝陽) いきなりなのは お互いさまだ 本当なら僕だって今頃→
バルセロナの カタルーニャ音楽堂で→
公演してるはず。 (ノック)
(初音) 失礼します。 >> 谷岡さん お待ちしておりました。
(初音) よろしくお願いします。 (朝陽) 練習は あしたから。
ソリストとオケのコンマスでは 弾き方も役割も大きく異なります。
一日も早く慣れてください。 (初音) はい。
こちらが事務局です 空いてるデスク→
好きなところを使ってください。 (初音) はい。
プロオケは全国で38団体。
うちのような地方オケの財源は 自治体の補助金が大半ですが→
今は収入が減って ご覧の通り スタッフも最小限です。
同じプロオケでも 高階フィルやS響のような→
大企業が母体のオケとは かなりの格差がありますね。
あちらは給料もいいですし 運営費も潤沢→
固定客の数も桁違いです。
オケの練習は不定期で 今日は お休みです。
朝陽さんが楽譜の整理をしたいと おっしゃって。 (初音) あぁ さっきの。
普段は公演前にしか 集まらないのですが→
朝陽さんが来てからは ほぼ毎日です。
何しろ 市長のミッションを 遂行しないといけないので。
(初音) シンフォニーホールを 満席にするって話ですか?
はい ちなみにホールは2000席。
玉響の普段の平均客数は 300人前後です。
(初音) 300人を2000人に?
正直 相当頑張らないと 厳しい状況ですね。
(初音) ハァ…。
♪~
(益島) お~ 蒼! ほら こっちこっち… 早く!
(蒼) ここって高いんじゃないの? (益島) 大丈夫!
親父のカード借りてきたから。
(岩田) 久しぶりだな。
そっか~ 蒼 S響 受けたのか。
俺も受けるか迷ったんだよね。 >> そっか 来年 院卒業だもんな。
(益島) そうそう ってか そっちはどうよ?
吹奏楽の顧問やってんだって?
ああ 今 大会に向けて頑張ってる。 >> お~。
蒼は? オケはどんな感じ?
まぁ ぼちぼち。 (岩田) プロオケいけるなんて→
大したもんだよな! >> 玉響だけどね。
確かに お前の実力なら もっと上 目指せたとも思うけど。
おい!
就職浪人できる身分じゃ なかったし。
ってか それウーロン茶? 飲まないの?
あっ この後 バイトあるから。 >> バイト?
あっ 受験生のレッスン?
まぁ…。 (益島) お~ さすが。
お前 もっと飲めよ。
(小野田) 谷岡さん 楽しみですね。
救世主に逃げられないよう 毒舌はほどほどにお願いしますよ。
(朝陽) 僕は必要なことを 最も分かりやすい言葉で→
伝えてるだけだ。
(常葉) あ~さひ! (小野田) おっ 市長!
(常葉) そんな顔するなよ!
お前の大好きなピヨピヨ堂の プリン 買ってきたんだから。
(朝陽) いつの話だよ。 (常葉) カスタードとチョコ どっちがいい?
(朝陽) カスタード。 (常葉) やっぱ食べるんじゃないか。
あっ そうそう 小野田 あの話 もうした?
あっ いえ まだ…。
(奏奈) ん? 何してんの?
(初音) ソロと違って オケの時は座って弾くから→
慣れとこうと思って。
いよいよ再スタートだね 楽しみだな~!
(初音) けど ホントにコンマスなんて できんのかなぁ…。
>> 心配? (初音) うん…。
でも 同じぐらい ワクワクしてるって感じ?
(初音) そうだね。
お姉ちゃんなら大丈夫! 頑張って!
(初音) おう! >> おう!
(初音) おはようございます。 (穂刈) あぁ 谷岡さん。
今日からですか。 (初音) はい。
よろしくお願いします。
あっ 私 オーボエの穂刈と申します。
(初音) こちらこそ よろしくお願いします。
あぁ… ゆうべ 調整する暇がなかったもので。
妻と映画を見ていて 夜更かししてしまいましてね。
(初音) 穂刈さんは 玉響は長いんですか?
移籍して17年です。
小野田さんに スカウトしていただいて。
(初音) それまで どちらに? >> S響です。
(初音) えっ! すごいですね。
20年以上 世話になりましたが→
親の介護もあったりして 地元でゆっくり→
音楽に向き合うのも 悪くないかと思いまして。
(初音) あれ? 17年前まで S響にいらしたってことは…。
谷岡さんとは何度か共演を まだ こんな小さい頃でしたけど。
(初音) そうですよね! (ヨーゼフ)\初音! 初音!/
(ヨーゼフ) 僕ね オーストリアにいる時から 初音 知ってたよ!
天才プレーヤーと 一緒に吹けるなんて→
夢みたいだよ~。
(穂刈) トランペットのヨーゼフです。
(初音) よろしくお願いし…。 >> あっ…! ねぇ 初音 写真撮ろう!
📱(カメラのシャッター音)
(ヨーゼフ) オーストリアの友達に 自慢しちゃおうっと!
(初音) えっ 半目になってる…。 >> 大丈夫! スーパーかわいいだから。
\おはようございます/ \おはようございます/
(みどり) あっ! あの 私→
ヴィオラの桃井みどりといいます。
(弓香) ファーストヴァイオリンの 松本です。
谷岡さんと同じオケで 演奏できるなんて光栄です!
この間も感動しちゃって。
練習が楽しみになるなんて 久しぶり!
(2人) よろしくお願いします。 (初音) よろしくお願いします。
うちは のんびりした オケなんですが→
谷岡さんのおかげで 急に活気が出てきましてね。
(初音) 大丈夫かな… ご期待に添えるかどうか。
大丈夫ですよ 楽しくやりましょう。
(初音) はい。
(ぶつかる音)
(ヨーゼフ) 玲緒 どうしたの?
S響のトロンボーンに フラれたって。
お~! 悪い男に 引っかかっちゃったんだね!
(玲緒) はぁ?
あっ よろしくお願いしま~す。 (初音) あっ よろしくお願いしま…。
(みどり) 彼氏ができるたびに あの調子で。
あっ 彼女はチェロの首席 佐々木玲緒ちゃん。
(土井) あの~ どうも。
セカンドヴァイオリン首席の 土井と申します。
(初音) あっ よろしくお願いし…。 >> 谷岡さんが99年の→
ジュニアコンクールで 初優勝された時→
僕は小学6年生の部で 2位でして→
1位なしの2位なので 実質 僕も優勝なのですが→
いや あの頃の演奏は よく覚えています。
(弓香) コンマス! こちらにどうぞ。 >> 子供とは思えない大人びた表現力。
かと思えば子供らしく 音楽を全身で楽しむ姿。
僕も小学生だったので最初は…。
(チューニングの音)
(初音) 改めまして 谷岡です オケで弾くのは初めてで→
ご迷惑をおかけするかも しれませんが→
よろしくお願いします。
(朝陽) コンマスがご迷惑をおかけして どうするんですか。
あなたは このオケを けん引する立場であることを→
自覚してください。 (初音) はい…。
(蒼) さ~せん。
庄司 蒼 フルートの首席です 遅刻常習犯。
(朝陽) 何度言わせれば気が済むんです。
時間を守れないプレーヤーなど あり得ない。
日本より 時間にルーズな海外でも→
オケのリハーサルに 遅刻する団員は皆無です。
本来なら即刻解雇されても 致し方ない行為であることを→
理解してますか?
あなた方も なぜ怒らないんです。
貴重な練習時間を彼によって 奪われているんですよ。
>> ホント それ。 >> ハァ… また怒らせちゃったよ。
そりゃ みんな思ってますけどね。
(蒼) あの~。 (朝陽) 何ですか?
今日の招集って何なんですか? 公演もないのに。
(朝陽) ありますよ 2週間後に。
(ざわめき)
通常 公演スケジュールは 2か月前にフィックスするものですが。
市長の決定です。
♪~
(本宮) 聞きましたよ。
ご子息が玉響の指揮を 引き受けてくださるとか。
(常葉) ええ おかげさまで。
ヨーロッパの公演を 全てキャンセルして→
力を尽くしてくれるそうです 玉響は それだけの価値がある!
…ということでしょうな。 >> それは どうでしょう?
(常葉) はい? >> さすがの常葉朝陽でも→
あのオケには 手を焼いてるんじゃないですかね。
定期演奏会を一度も 満席にできないレベルですから。
(常葉) それが 既に ぐんぐん レベルを上げてるんです。
さすがは わが息子。
それは早く お聴きしたいもんですな。
(常葉) お聴かせしますよ いつでも すぐにでも。
生まれ変わった玉響の実力を お見せしましょう。
まぁまぁ ご無理なさらず。
(常葉) ハッハッハッ…。
小野田。 >> はい。
(常葉) 直近の市内の音楽イベントは?
2週間後に市内の中学校の 吹奏楽発表会が。
(常葉) それだ その発表会のラストに 玉響の演奏をねじ込め!
(初音) 吹奏楽発表会…。
(朝陽) 演奏するのは1曲。
客のほとんどは中学生の参加者と その家族だそうです。
(小野田) 4月のこけら落とし公演を 満席にするためには→
まず 玉響のファンを 市内に増やすことが必須条件です。
力を合わせて 市民の心をつかむ 演奏をしましょう!
ねっ…。 (朝陽) 曲は“威風堂々”をやります。
小学校の教科書にも載っていて 知名度も高い。
“威風堂々”なら そう難しくもないですし→
毎日 集まる必要は…。 (朝陽) はい?
それは皆さんに 実力があればの話です。
僕だって 毎日 練習なんてしたくありません。
毎日 来いってことね。
📱(振動音)
(玲緒) っざけんなよ。
ハァ…。
(朝陽) こちらに集中していただけますか。
はい。
(朝陽) 始めます。
ぴったりだ。
《この技術 この表現力…》
《うわっ! 楽しい!》
《すごっ ついてかなきゃ》
(朝陽) ヴィオラトップサイド Aの1つ目 ピッチが低い。
後ろのプルトも気を付けて。 >> はい。
(朝陽) フルート首席 その髪は寝癖ですか?
寝ぼけながら吹くのは やめてください。
1人でCの頭から。
♪~ タ~タラ タ~タラタ
16分音符 正確に 流さないで きっちり刻んで。
いきます ワン トゥー。
♪~
(朝陽) 話にならない。
目を覚ましてから 練習に参加してください。
(小野田) え~ 皆さん あしたも 10時集合でお願いしま~す。
(土井) 蒼君 コテンパンでしたね。
でも あの方は やはり耳がいい。
一人一人の音を 正確に聞き分けてる。
(朝陽) コンマス 弓つけておいてください。
(初音) えっ? (玲緒) オケでは→
まずコンマスにボウイングを 書き込んでもらって→
各パート それに合わせて 弓の動きを決めるの。
(初音) あっ なるほど みんな そろわないとですもんね。
ありがとうございます。
(穂刈) コンサートマスターは 仕事が多くて大変ですね。
さぁ 飲みにいこう! 行ける人!
\はいはい/ \行きます!/
あぁ うち 娘が受験真っ最中だから ごめん。
あの すいません 私も妻が待ってるので。
予定があるといえばありますが 調整は可能です。
私は行くよ! 今日は飲む。
(ヨーゼフ:玲緒) フゥ~! >> おっ 珍しい やけ酒ですか?
チッチッチッ… 新しい恋に乾杯すんの。
えっ? >> あの人 さっき 俺を見ろって。
常葉さん? いや 言ってないと思うけど。
世界を股に掛ける一流指揮者と うまくいけば→
S響の浮気男も見返せる うん! 生きる気力が湧いてきた!
あ~! (ヨーゼフ) 初音は行けそう?
(初音) あっ 私 これ終わったら 連絡します。
(ヨーゼフ) OK! えっ 蒼は?
俺はパスで。 >> ホント自由だよね。
ねぇ! 飲み会は まぁいいよ けど 遅刻はダメでしょ。
迷惑かけてんの分かんない?
マエストロ殿のご機嫌も 悪くなりますしね。
気を付けます じゃ。
(小野田) いや~ 驚きました 入りが難しい曲なのに→
朝陽さんの指揮と 谷岡さんのアインザッツ→
ぴったり合ってましたよね。
あんなに相性のいいコンマスも なかなかいないんじゃないですか。
(朝陽) それより問題は彼だ。
📱(振動音)
(初音) はい。
(朝陽) 庄司 蒼の遅刻の理由を探って 報告してください。
(初音) へっ? 📱(朝陽) 聞こえませんでしたか?
(初音) いや あの なぜ私が… っていうか まだ仕事が…。
(朝陽) これも仕事です では お願いします。
📱(通話が切れる音) (初音) あっ。
あ~! 何だよ~! もう!
♪~
(笛の音)
(笛の音)
(貫井)\そこ 危ねぇよ!/
(貫井) あんた 誰? (初音) あっ えっと… はい あの私→
庄司 蒼君の職場の同僚です。 >> ふ~ん。
職場って どの職場? (初音) えっ?
あの兄ちゃん いくつも バイト掛け持ちしてる→
…って言ってたから。
♪~
📱(着信音)
はい。
(恵子) 蒼 元気?
風邪 流行ってるみたいだけど 大丈夫?
大丈夫 元気だよ。 📱(恵子) よかった。
ねぇ ちゃんと食べてる? 何か欲しいものあったら…。
(功) おい 何してんだ。
(恵子) ごめんね また連絡する じゃあね。
📱(受信音)
(蒼) ん!
♪~
(初音) これ お願いします。 (女性) ありがとうございます。
(朝陽) 工事現場で アルバイトをしているそうですね。
プロの自覚に 著しく欠ける行為です。
指をケガしたら どうするつもりですか?
なら 給料 上げてくださいよ。
指揮者のあなたは たくさん もらってるんでしょうけど→
僕らの給料 知ってます?
(朝陽) 僕が話しているのは→
プロとしての…。 (蒼) プロ プロって言うけど→
食っていけないんですよ こんなオケじゃ。
(初音) あっ あの…。
なるほどねぇ 遅刻の原因は それだったか。
(初音)\蒼君/
(初音) ごめんなさい 私が常葉さんに報告しました。
別に いいっすよ。
俺のこと調べろって 頼まれたんですよね。
(初音) きっと蒼君のことが 心配なんだと思う。
いや ないでしょう。
(初音) あの… お詫びの印といっては 何ですが→
よろしければ こちら どうぞ。
あっ… っていっても 妹が作ったやつなんだけどね。
ジャジャ~ン。
(貫井) おっ 弁当か? うまそうだな!
(初音) 唐揚げ よかったら 1つ どうぞ。 >> いいの?
(初音) はい! >> じゃ 遠慮なく。
うんめぇ! 何だこれ! うんめぇな~!
兄ちゃん 幸せ者だな! ハハハ!
ごちそうさん!
(初音) 妹の唐揚げ 絶品だから。
>> いただきます。 (初音) はい。
あっ ちょっと待って!
はい! やっぱり 唐揚げにはマヨだよね。
>> はぁ… はい。 (初音) フフフ。
はい どうぞ。
>> うんま! (初音) でしょ~!
ハハハ…。
ん? >> いや…。
天才ヴァイオリニストなのに 庶民的だなと思って。
(初音) ハハハ だって庶民だもん。
確かに ヴァイオリンやってる人は お金持ちの人 多いけど→
うちは ごく普通の家。
父はピアノの調律師で 母はピアノの先生でね。
音楽って お金かかるから 随分 無理させちゃったと思う。
うちも ド庶民です。
造園業やってて 音楽なんて無縁の家でした。
(初音) へぇ~ じゃあ フルートは何がきっかけで?
中1の時に…。
(主人)〔キレイになったね~ いつもありがとね〕
〔こちらこそ ありがとうございます〕
(蒼の声) 親父の手伝いで→
大きな屋敷の 庭の手入れに行った時に→
そこの家の女の子が フルート吹いてて。
ひと目ぼれ…→
あっ いや ひと耳ぼれか… しちゃって。
俺 その時 初めて→
やりたいことを見つけたんです。
(初音) へぇ~ ステキな出合いだね。
でも 音大行きたいって言ったら 親父には大反対されましたけどね。
庭師 継がせるつもりだったから。 (初音) そっか…。
でも 結局 進学できたんだもんね?
母親と吹奏楽部の顧問が 応援してくれたんで。
けど 親父は金出さないって 奨学金で。
(初音) そっか…。
卒業したら 大きなオケに入りたかったけど→
何とか入れた玉響の給料 手取り15万。
一流オケの半分です。
けど 奨学金の返済とか 防音マンションの家賃→
楽器のローン とにかく金かかるから→
稼がないと どうにもならなくて。
(初音) それでアルバイト…。
練習したくても時間がない。
もっと うまくなりたいんですけどね。
♪~
すいません 愚痴りました。
(初音) ううん っていうか あれだよね 休憩終わっちゃうよね。
食べて 食べて。 >> あっ…。
(初音) いる? >> あぁ じゃあ。
(戸が開く音) (初音) ただいま。
おかえり お弁当 役に立った?
(初音) すごい喜んでくれた ありがとう。 >> あ~ よかった~。
入団早々 お姉ちゃんも大変だね。 (初音) ハハハ…。
何? >> ん? あぁ 起業セミナー。
この人 沖縄在住なんだって。 (初音) へぇ~。
(モニタ)(男性) 起業するに当たって やることは…。
(モニタ)(男性) 営業…。
(初音) そっか! >> えっ?
>> オンラインレッスン? (初音) そう 生徒が近くにいなくても→
オンラインなら フルート講師のバイトできるよね。
プロオケの奏者から レッスン受けたい人って→
いっぱい いると思うんだ~。
(みどり)\それ いいと思う!/
私も生徒さん探し 協力する 音大時代の友達に当たってみるよ。
私も昔のオケ仲間に 聞いてみますよ。
私も。 >> あの…。
蒼君 大変だったんだね。
ごめんね 全然 気が付かなくて。
できることは協力するから 何でも言って。
別に 同情してもらわなくて 大丈夫なんで。
同情ではないですよ。
蒼君は うちのフルートの首席です。
我々としてもベストな状態で 演奏してもらいたい。
(玲緒) 大変だからって 遅刻が 許されるわけじゃないけどね。
(みどり) まぁまぁ ねっ 玲緒ちゃんも誰かいない?
生徒 紹介してくれそうな人 玲緒ちゃん 顔広いじゃない?
生徒の募集なら 玉響の SNSアカウントを使ってみては?
アカウント? そんなのあんの?
(初音) それ いいかも!
(玲緒) しょぼ! これ 仮死状態じゃん。
(ヨーゼフ) えっ 仮死状態って何? (みどり) フォロワー200って→
うちの娘にも負けてるし。
これ どなたがやってるんですか?
小野田さんかと思われます。 (穂刈:玲緒) あぁ…。
これじゃ使えないか。
(初音) ちょっと相談してみます。 >> 誰に?
こんにちは! 玉響応援団長の奏奈で~す。
シリーズ「オーケストラって どんなとこ?」→
記念すべき第1回目は 玉響 期待のホープ→
フルート首席の庄司 蒼君を 紹介しちゃいま~す!
どうぞ! (拍手)
(奏奈) では早速 蒼君 フルートの魅力って何ですか?
(小さな声で) あぁ… えっ… 音色? ですかね。
(奏奈) あっ… ごめん ちょっと止めて。
え~っと 声が小さい。
もっとハキハキ! >> ハキハキ…。
蒼 硬いよ! 取りあえずスマイル! ねっ!
ねぇ 立ち位置 逆にしたら? 左の顔の方が先生っぽい。
(初音) じゃあ もう一回撮る? >> フフっ。
えっ 何? >> 何だかんだ言っても→
玲緒ちゃん 面倒見いいよね。 >> 今日は たまたま暇だったの。
ハハっ そうですか ハハハ…。 >> ハハハ…。
こっち側から出てきて…。 (初音) あっ ちょっと待って 待って!
土井さん 何してるんですか?
(土井) 撮影風景のオフショットを 押さえています。
こういうのも 意外と需要があるんですよ。
(玲緒) 邪魔! (初音) でも 映っちゃってますね。
(土井) いいんです それで。 (玲緒) いいんですじゃなくて→
邪魔! 邪魔だから。 (土井) こういう今のリアルな感じを→
撮りたいんです。 (初音) 土井さんが主役みたいに…。
(初音) やっぱりいいなぁ 蒼君のフルート。
ありがとうございました。
(初音) 楽しかったね。
実は…→
俺 この間 S響受けて 落ちたんです。
(初音) そうなんだ…。
その時は悔しかったけど…。
今は 落ちてよかったのかもなって。
📱 蒼君は ただ今 オンラインレッスンの生徒さん募集中。
📱 今なら特別価格で 習えちゃいますよ!
📱 DM お待ちしてま~す!
(みどり) わ~ お願いします! 📱 (土井) お願いします。
いいですね 今はこんなことができるんですね。
(ヨーゼフ) うわっ! いいねが50 超えたよ!
フォロワーも もうすぐ500いきそう!
(初音) 生徒さん 来るといいね。
(ヨーゼフ) もう一回 見よう! (奏奈) あっ はい。
あの…。
ありがとうございます。
今まで迷惑かけてばっかで すいませんでした。
ホントだよ! >> いや だから そういう言い方。
ねぇ! 次 誰 取り上げんの?
(奏奈) あ~…。 >> チェロはどう?
(ヨーゼフ) えっ! トランペットに 決まってるでしょう!
(土井) 僕 いいアイデアを 持ってるので次はセコヴァイに。
(貫井) 兄ちゃん! 仕事 そっちに変えたのか?
(蒼) はい 指 ケガしたくないんで。 >> 指?
あっ 僕 オーケストラで フルート吹いてんですよ。
へぇ~ すげぇな。
オーケストラなんか 聴いたことねえな。
児玉交響楽団ってとこです。
今度 演奏会あるんで よかったら。
えっ 俺みたいのが行っても 大丈夫なのか?
もちろんです! ぜひ。 >> そうか。
じゃ 楽しみにしてるよ 頑張れよ!
押忍!
📱(振動音)
♪~
(拍手)
(男性) 素晴らしい演奏でした。 (三島) ありがとうございます。
(あかり)\よかったわよ~!/
(あかり) 最高! さすが私の彰ちゃん。
ありがとう。 \上条あかりだ/
\見にきてたんだ/ >> あの人 来てないの?
あなたの父親。 >> フッ… 来るわけないよ。
ふ~ん 相変わらずね~。
あっ こちら ピアニストの時任君。
今度 一緒にリサイタルやるの。
(時任) 感動しました。
お母様のヴァイオリンとは また違った→
美しさと繊細さがあって。 ありがとうございます。
いつも母が お世話になっております。
ご迷惑 おかけしてませんか? 自由な人なんで。
ハハっ そこが あかりさんの ステキなところですから。
もう 何言ってるの。
じゃあね 今度3人で食事しましょう。
また連絡する。 >> うん じゃあ。
(高階)\お疲れさま/
(三島) あっ…。
(高階) とても素晴らしかったわ。 >> ありがとうございます。
今度は お父様との共演もね。
(秘書) 立ち見席も売り切れ→
記念パンフレットも完売しました。
ここ10年で最も成功した 公演ではないでしょうか。
これからは若い女性客も 取り込んでいかないとね。
この前の議員さんに連絡して。
分かりました では早速。
また ご連絡いたします。
(白井) しかし うちの市長も 何考えてんだかなぁ。
(黒木) 玉響の実力 見せるだなんだって→
オーケストラのうまい下手なんて 誰が分かります?
レベルが上がったとこで しょせん 玉響です。
こけら落としで失敗するのは 目に見えてますからね。
(黒木) 満席にできなかったら 市長は引退ですよね。
黙ってても本宮さんに→
次期市長の椅子が 回ってくるってわけだ。
(白井) でも そうなれば プロジェクトの失敗を→
本宮さんが引き継ぐはめになる それはダメだろ!
そうならないように 手はずは整えてます。
いらないものを速やかに処分し 有益なものを取り入れる。
まっ 政治の基本ですよ。
\ハハっ!/ \あ~ さすが!/
(チューニングの音)
蒼君 まだ来ませんね。
常葉さんも来ないんだけど。
珍しいですね。
じゃあ 私がお迎えに。
30秒オーバー。
(朝陽) おはようございます。 (団員たち) おはようございます。
(朝陽) 始めます。
(玲緒) ダメだ 蒼 つながんない。
遅刻はしても 無断欠席なんてなかったよね。
(朝陽) もし あしたも 時間通りに来ないようなら→
彼を解雇します。 (初音) えっ?
(ヨーゼフ) でも 今日はマエストロだって→
30秒 遅刻したよ。 (朝陽) 遅刻ではありません。
遅刻というのは 10時の約束に→
10時1分以降に 来ることをいいます。
僕は10時0分30秒に 到着しています。
すごい屁理屈。
謝ると死ぬ病気に かかっているのでは。
(朝陽) はい?
ヨーロッパでは そうなのかも。 そんなの聞いたことないよ!
(初音) 蒼君から話も聞かずに いきなりクビにするなんて→
横暴過ぎませんか? (朝陽) いきなりではありません。
彼はこれまで 何度も遅刻を繰り返し→
そのたびに注意してきました。
(初音) でも 最近は 時間通りに来てました。
(朝陽) だったら あなたが何とかしてください。
(初音) えっ?
きっと 何か 理由があるんだと思います。
(初音) 蒼君のところに行ってみます。
(本宮) どうも。
マエストロ 少し お時間よろしいですか?
(チャイム)
(初音) 蒼君 谷岡です。
(チャイム) (ノック)
(初音)\蒼君 谷岡です/
(恵子)〔遅くにごめんね〕
〔あんた 昼間は 全然 つかまらないから〕
〔フフ~ これ お弁当〕
〔ちゃんとしたもの 食べてないんでしょう?〕
〔どうしたの? 急に〕
(恵子)〔ここの家賃の督促状 うちにも届いた〕
〔蒼 戻ってきてくれない?〕
〔いや 家賃はバイト増やして 何とかするから〕
〔お父ちゃん がんが見つかったの〕
〔まだ初期なんだけどね〕
〔来週から 入院することになった〕
〔お父ちゃん すっかり弱気になっちゃって→
口には出さないけど ずっと あんたのこと気にしてる〕
(恵子)〔私も先のこと考えると 不安で…〕
〔あんた S響 落ちたんだって?〕
〔応援してあげたいって 思ってたよ〕
〔でも 音楽だけで食べていける人 なんて ひと握りだって→
ホントは あんたが一番 身に染みてるんじゃないの?〕
〔今の所じゃ 食べていけないんでしょ?〕
〔夜中までバイトして ボロボロになって〕
〔こんな暮らし いつまで続けるの 頑張ったところで→
お給料 上がるわけじゃ ないんでしょ?〕
〔だったら もう うちの仕事継いで→
フルートは 趣味で楽しめばいいじゃない〕
〔蒼 もう帰ってきて〕
〔ねっ お願い〕
〔はなをすする音〕
📱 DM お待ちしてま~す!
(みどり) わ~ お願いします! 📱 (土井) お願いします。
📱(みどり) 蒼君 頑張れ~!
📱(振動音)
(チャイム)
(初音) あっ! いた よかった~!
心配したんだよ 連絡つかないから。
一緒に練習行こう。 >> どうぞ 散らかってますけど。
(初音) えっ… 何これ どうしたの?
今日も練習あるよ。
常葉さん 10時までに来なかったら→
クビにするとか言ってた。
オケは辞めます。
ここも引き払って 家業 継ぐことにしました。
(初音) えっ!? な… 何で急に?
金もない→
大きなオケに入る才能もない。
見切りつけんのも大事かなって。
(初音) フルートやめるってこと?
(初音) ホントにやめられる?
もう 親に心配かけらんないし。
(初音) 私も…→
家族を悲しませたくなくて 舞台を降りたんだ。
でも やっぱり ヴァイオリンが好きで好きで→
やめたくても やめられなかった。
結局 10年も回り道しちゃった。
でも 本当に お客さんの前に立てるのか→
まだ自信もないし→
正直 すごく怖い。
蒼君には 演奏できる場所があるんだから→
大事にしてほしい。
今 手放したら→
二度と戻れないかもしれないよ?
フフ… っていうか→
私が蒼君にいてほしいんだ。
私が玉響に入ろうと思った 最初のきっかけは→
蒼君のフルートだったから。
えっ?
♪~
(初音の声) あの時→
何てキレイな音色なんだろうって 思って→
一緒に演奏してみたいって思った。
(初音) 私だけじゃないよ。
オンラインレッスンの申し込み 来た。
「僕は北海道に住んでる 中1の男子です。
庄司さんのフルート すげぇカッコよくて→
僕も習いたいって思いました。
僕 生まれて初めて やりたいこと見つかりました」。
♪~
(初音) すごいね。
蒼君のフルート 人の人生 変えちゃってる。
♪~
(初音) そんな力があるのに→
やめちゃって ホントに後悔しない?
♪~
俺だって やめたくないです。
(初音) フゥ~。
よし 行こう!
(初音) ハァ ハァ ハァ…。
ハァ…。 >> 大丈夫ですか?
(初音) もう走れませぬ… 構わず先に行ってくだされ。
>> 何で時代劇みたいになってんすか。 (初音) どうか 構わず…。
コンマス置いていけるわけ ないでしょう 行きますよ!
(初音) うわぁ! あぁ…!
マエストロ殿の 独自ルールにのっとると→
10時1分になるまで 遅刻とは見なされません。
♪~
(初音) ハァ ハァ…。
(ヨーゼフ) セーフ! (初音) あぁ… ハァ…。
お待たせしました ハァ…。
ハァ…。
(チューニングの音)
(朝陽) フルート首席 Cの頭から。
はい。
♪~
(朝陽) もう一度。
はい。
♪~
(朝陽) もう一度。
はい!
♪~
(朝陽) もう一度。
はい!!
♪~
(朝陽) 全員で同じところから。
♪~
(朝陽) やっと目が覚めましたね。
(拍手)
(朝陽) では 全員で頭から。
(初音) 蒼君のお母さんが? (小野田) はい。
昨日の朝 事務局にいらしたんです 庄司君がお金のことで→
オケに迷惑かけていないかと 心配されて。
(小野田の声) その時に 事情を聞いた朝陽さんが→
ご両親を練習にお招きしたんです。
(朝陽)〔今 何時だ?〕 >> 〔10時になりました〕
〔10時0分23秒です〕
(朝陽)〔ハァ… まだ大丈夫だ〕
〔フゥ…〕
(初音) ハァ… それで30秒オーバー。 >> ハハハ そうなんですよ。
(蒼) 体… 大丈夫なのか?
お前に心配されるほど 落ちぶれちゃいねえよ。
俺…。
やっぱ ここでオーケストラ続けたい。
解決しなきゃいけないことは 山ほどあるけど→
必ず何とかする。
父ちゃんが→
庭師の仕事で 人に喜んでもらってるみたいに→
俺も自分の演奏で 誰かに喜んでもらいたい。
だから…。
お願いします。
♪~
お父ちゃん さっき あんたのこと見て 言ってた。
「俺もくたばってらんねえな」って。
えっ…。
(恵子) 私も 弱気になってる場合じゃないね。
母ちゃん…。
ほれ直したわ!
頑張んなさい!
父ちゃんのこと 頼むわ。
(恵子) うん ハハハ…。
♪~
(朝陽) 問題を解決すると 言っていましたが→
何をどうやって 具体的な解決策は?
(初音) オンラインレッスンの生徒が もっと集まれば→
収入が増えて 練習時間も確保できます。
生徒を集められる方法 考えます。
時間の使い方も もっと ちゃんと管理して。
(朝陽) 家はどうするんです? 引き払うと聞いてますが。
>> あっ…。 (初音) それは…。
(朝陽) 谷岡さん あなたの家の レッスン室は防音ですよね。
(初音) えっ? あっ はい。
(朝陽) ご両親が長野なら→
部屋も余ってる。 (初音) はい。
>> ん? (初音) えっ?
あ~…。
あっ ちょっと 妹に確認を。
あっ OKしそう…。
(初音) えっと~…。
蒼君は うちに下宿してもらいます。
えっ!? そ… それはさすがにダメです。
(初音) 大丈夫だから! (朝陽) 大変いい解決策だと思います。
♪~
庄司君 よかったですね。
(朝陽) 他に逃げるヤツがいる 気を付けろ。
♪~
(ノック) \いらっしゃいました/
どうぞ。
失礼します。
お待ちしてました。
(初音) ただいま~。
えっ… ホントにいいんですか?
(初音) もちろん! どうぞ。
お邪魔します。
ここがレッスン室! >> お~!
(奏奈) あの奥が お風呂場ね で これが洗面所。
で 寝室は2階ね。
これがエアコンのリモコン これがテレビのリモコン。
あっ ヤバい! シチュー焦げる! (初音) あ~ ちょっと走んないでよ~!
よろしくお願いします。
家賃は ちゃんと入れますんで。
(初音) いらないよ 余ってる部屋だから。 >> いやいや… そういうわけには。
(初音) じゃあ ゴミ捨て 担当してもらおうかな?
分かりました 他には何すれば。
(初音) じゃあ… お風呂掃除も。
はい 他には?
(初音) あとは 練習 頑張って。
めちゃくちゃ うまくなって→
常葉さんのこと ギャフンと言わせちゃおう!
ギャフン…。
お呼び立てして ごめんなさいね お会いしたかった。
常葉朝陽さん。
うちのオーケストラ…→
高階フィルの常任指揮者に なってくださらない?
♪~
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