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・~
(ナレーター)
この世に人間が現れる はるか前>
ドロドロと溶岩のように
漂い流れておりました>
4つの大陸ができました>
とうしょうしんしゅう
東勝神洲の一部に山がありました>
かかざん
何万年たったことでしょう>
不思議な石が生まれました>
まるで霊魂でも
宿っているかのようでした>
・『モンキー・マジック』
・~
・~
てんじく
げんじょうさんぞう
経文を求めて 玄奘三蔵の一行
苦難の旅を続けてまいりましたが
折しも さしかかる山道>
ただでは済まぬらしい様子>
吹き降ろしてまいります>
ごじょう
(悟浄)どうした?
はっかい
(八戒)どうした?
ごくう
(悟空)風が生ぐさくねえか?
えっ?
(においを嗅ぐ音)
(八戒)ああ 確かに生ぐせえけど
これは うまそうな匂いじゃねえな
(三蔵法師)あれは・
ハッ・
あららら… これ あれ
丸焼きにして食っちゃったんだな
お前
ばか
食いたそうな顔して言うな 馬鹿
そうだな
あっ…
おおかた 旅の僧であろう
痛ましいことよ…
誰や?
誰だ・
待て!
・~
(男性)クッ…
この悟空さまから
逃げようったって・
そうは いかねえぞ!
助けてください!
わしには 妻も子も
年老いた母親もおるんです
わしが食われたら
みんな 飢え死にしてしまいます
フン… 勘違いするな
誰が お前を食ったりするもんか
とう
俺たちはな 唐の国から天竺まで・
ありがたいお経を
いただきに行く者たちだ
あなたさまが?
そうともよ
さようでございますか
私は てっきり
れんげどう
蓮華洞の魔物の手下かと…
蓮華洞の魔物?
はい
へいちょうざん
この先の山を平頂山と申しまして
その山に
ほら
蓮華洞という洞があります
きんかく
ぎんかく
そこに 金角 銀角という・
世にも恐ろしい魔物が
住んでいるんでございます
なるほど… これは面白そうだ
いえいえ いや
とんでもない とんでもない!
その魔物は
人を食うんでございますよ
殊に 坊さまには目がございません
「功徳を積んだ坊主ほど 食べると
命を長らえる」と申しまして
そんな魔物がいるのですか
どうってことは ないですよ
さ
あっ 沙悟浄
お前は ここで お師匠さまを
お守りしてくれ
合点
それから 八戒
お前は谷へ下りてな 水くんで…
そうだ 馬 洗濯してやってくれ
俺は ちょっと魔物を見てくるから
ちょっと待って
ちょっと待ってくれ 兄貴
なんで 俺が馬なんだよ
納得いかねえな
俺は 馬 嫌だな
どうして?
分かった 分かった
魔物の様子 見に行くなんつって
途中で いい女がいたりなんかして
分かってんだよ
兄貴の魂胆 分かってんだよ
お前 勘がいいねえ
顔は ひどいけど
馬 ちゃんと洗濯しとけ
いってきま~す!
ハハハッ…
行きやがった! ウ~ン!
悟空 大丈夫でしょうか 八戒は
ははぁ… 謀ったな
なんということをするのです!
お前には 人を…
人をいたわる気持ちがないのか!
だま
あんなに気のいい八戒を騙して
お前は ここで のんびり1人で
骨休めをするというのか!
ほらほら ほらほら
そう来るとは思ってたけどね
お師匠さまはね 何かっていうと
八戒の肩を持つんだから
そりゃまあ 馬鹿な弟子ほど・
かわいいっていうから
無理は ないけどね
でも 俺は 八戒のためを思って
やったことなんですよ
へりくつ
悟空 また屁理屈か お前は
悟空 いいかげんなことを
言うものでない!
お師匠さま これは本当の話だよ
八戒が化け物を捕らえりゃ
これは八戒の手柄だ
もしも あいつが捕まったって
おいらが
助けに行きゃ済むことじゃねえか
あの…
俺は あの無駄飯食らいにさ
なんとか 手柄のひとつも
立てさせてあげてえと・
思ったんだよ!
・~
あっ! 女 諦めてたら・
やっぱり いるんでないの
いるんでないの ハハハッ…
兄貴 ごめんね うたぐったりして
たまんねえな あの あんよ
・~
これ
もん
これこれこれ 怪しい者でない
怪しい者でないから
怪しい者でない どうした?
どうした? うん? うん?
あっ 病気か? どっか痛めたか?
足でも痛めたか?
(女性)あなたさまは?
(八戒)わしか? わしはね
あの… 天竺まで お経を
取りに行く お坊さまのお供でね
てんぽうげんすい
天蓬元帥という位も
持ってるくらいで
てんてい
そりゃもう 天帝さまもびっくりと
いうぐらいなもんだからね
そりゃもう 怪しい者でないから
心配しなさんな
うん? うん? どうした?
どうした? そんな顔して
この手の顔に
悪い者はいないから 安心しなさい
特に この八戒さまはだな
女の人には こよなく こう…
親切ということで
ひとつ 勘弁してもらって
それで あの…
どうしたの? うん? 今 1人か?
うん? うん?
(女性)はい
ご親切に ありがとうございます
(八戒)ううん
山へ薬草を採りにまいりましたら
足をくじいて…
足? あっ そう
そんじゃ… フフフッ…
足? どこ どこだ どこ?
うん? ここか?
(女性)はい
(八戒)もっと上かな?
(女性)はい
(八戒)更に上か?
(女性)はい
(八戒)なっ? なっ? なっ?
そう… き… きれいだな
あの…
(八戒)うん?
胸が…
(八戒)胸?
胸が苦しい…
(八戒)苦しい?
待ってたの 待ってたの
どこ? これ この辺かな? うん?
ああ いい匂いだ…
いやぁ
もう たまんねえなぁ フフフッ…
うわぁ うわぁ うわぁ うわぁ
ああ いいなぁ いいなぁ
かわいい かわいいな
・~
あらー! あら!
(銀角)ハハハッ…
ああ おっかねえ顔して
あらぁ… 助けて…
うるさい…
悟空!
うるさ~い!
(呪文)
痛~い! 痛い痛い 痛い痛い!
起きた 起きた!
起きたから やめて やめて!
ウウッ… もう…
八戒の帰りが
遅いとは思いませんか?
なんだ そんなことか
寝かしといてくれりゃ
いいじゃないか
いけません!
胸騒ぎがする
八戒に何かあったに違いない
・(八戒の悲鳴)
・(殴る音)
・ 痛い! 痛い痛い!
待て! 待てー!
この八戒さまを なぶり者にすると
あとのたたりが怖いぞ!
恐れ多くも
天竺まで経文をいただきに行く・
三蔵法師さまの お供の者だ!
やめろー!
(銀角)おやめ
連れてって つるしておくがいい
2~3日したら
さかな
塩漬けにして 酒の肴にするからね
(手下たち)へい
(八戒)待て待て 待て! 待て!
悟空という ものすごい
おっかねえのが来るからな!
きっと仕返ししてやるからな!
(金角)ハハハハッ…
お前さん
よりによって 唐から来た坊主だよ
どうする?
(金角)フフフッ…
めえ
お前
唐から来た坊主 食ったとなりゃ
うんと長生きできるぜ フフフッ…
だが ちょっと待てよ
やつ
ひょっとすると あの悟空って奴は
昔 天界を
そん
荒らし回った孫悟空のことかな
すると こいつは手ごわいぞ
何を言ってるのさ
お前さんらしくもない
たかが 石から生まれた猿と
いうだけの話じゃないか
任せておおきよ
・~
(女性)アア… お助けを…
どうしたのです?
悟空 悟空!
いい天気だね 今日
悟浄
はい
(女性)これはこれは 旅のお方さま
これ このとおり足をくじいて・
難儀をいたしております
どうぞ お助けを…
うち
お家は どこですか?
近いのですか?
あの山を1つ越えれば・
家がございます
そろそろ おいでなさるぞ
何が?
お師匠さまだよ 見てろよ
「悟空 この気の毒な方をおぶって
家まで送ってあげなさい」
こう来るからな
・ 悟空
ほら 来た
・ 悟空 ほら
何です?
お前 この気の毒なお方をおぶって
お家まで送っておあげ
へ~い
はい どうぞ
すみませんですねえ
・~
悟浄 お前 ついてたね
八戒の荷物なんか
しょっちゃってさ
交代してやろうか?
(悟浄)ううん
ちっとも
いい天気じゃねえな 今日は
遅いなぁ 八戒は
悟空は行ってしもうたし
悟浄 心細くなったのですか?
そんなことありませんよ
お師匠さま
私がついてるかぎりね 大船に
乗ったつもりでいてくださいよ
魔物の1匹や2匹ね たちまち
たたき伏せてみせますよ
ええ たたき伏せてみせますので
やはり ここで待ちましょう
離れ離れになっては
いけないと思います
そんなことないですよ
私に任せてくださいよ
もう 何を言ってるんですか
行きましょうよ
うん? ハハハッ…
来やがったな 三蔵法師
ハァハァ… ハァハァ…
おい ばばあ やけに重いな おい
お前 また
誰かを おんぶしたんじゃねえのか
どういうことなんだ? これは
(笑い声)
笑い事じゃねえよ 本当に
おんぶしてるほうの身にも
なってくれよ
しまった! 妖怪だな
・~
貴様!
(笑い声)
お前が背負っているのは山だ
悟空 いかな悟空でも
山1つは支えきれまい
ちくしょう… やりやがったな
(笑い声)
(うめき声)
悟浄! 悟浄!
(白馬のいななき)
・~
ええい 貴様ら 手ぬるいぞ
のけのけ!
・~
悟浄!
危ねえ! 銀角 銀角 まだか
銀角 銀角ちゃん 早く来いよ
アッ!
よし 銀角 でかした!
でかした でかした
(銀角)得物を お捨て
く… くそ!
(殴る音)
ウッ!
悟浄!
(金角)でかした でかした
悟空 どうした?
山の下敷きにしてきた
だぶつ
今ごろは お陀仏さ
あの野郎
ヘヘッ… ざまあみやがれ
おい 引き揚げるぞ
助けてくれ
助けてくれ 助けてくれ!
(手下)うるさい 黙れ!
あの 小便したいんですけど 小便
(手下)そのまま ここでしろ
うわぁ そんな また… 人でなし!
あっ 沙悟浄! お師匠さまも
やい 八戒 なんちゅう
情けないやっちゃ お前は!
なんだ この… ねえ? お師匠さん
どこへ行ったと思ったら
こんなとこで 「助けてくれ」って
悲鳴 上げてやがる
大体 お前はやな 魔物の様子を・
探りに行ったんやぞ それが
どこで どうやって捕まったか・
知らんけども 情けない!
この あほんだら!
何言ってんだ てめえだって
つるされてるじゃねえか
がたがた言う前に
助けたら どうなんだ この野郎
なに? すかたん!
かっぱ
(八戒)この河童!
なすび!
(八戒)なすび?
ちょっと待てよ
ちょっと待てよ お前
まいったな
そんなこと言われたって
まいったな
ちょっと待って 今 考えるからよ
は
早よう言え 早よう言え
言うてみい!
焦らせんじゃねえっつってんだ
この おたんこが
およしなさい 見苦しいですよ
そやけどね お師匠さま
こいつがね ちゃんと
魔物のことを知らせてたら・
こんなことに
ならなかったんですよ
二度と立ち直れないようなやつを
言ってやるからな 待ってろよ
早よう言え
(八戒)う~んと… かぼちゃ!
フン…
(八戒)ああ 大したことねえなぁ
おやめなさいと言ってるのが
分からないのか!
(割れる音)
(悟浄の声)すっぽん きゅうり
でべそ 豚
すっぽん きゅうり でべそ 豚
すっぽん きゅうり でべそ 豚
すっぽん きゅうり
(割れる音)
(八戒の声)エロ河童 短足
あっ これ 俺か
もぐら 大飯食らい おかめ
河童 河童 エロ河童
どら
(銅鑼の音)
(笑い声)
せいさいき
れいりむし
精細鬼と怜俐虫を お呼び
(召し使い)はい
ハァ~ッ…
(笑い声)
(精細鬼)お呼びでございますか?
お前たち このひょうたんに
悟空を入れておいで
(精細鬼・怜俐虫)ひょうたんに?
これは ただのひょうたんではない
このように
口先を相手に向け 名前を呼び
返事をしたが最後
吸い込まれてしまうという代物
あとは この口にこのお札を貼れば
決して出ることは かなわぬのじゃ
(怜俐虫)大したもんだよ おい
ひょうたんが吸い込むってよ
お前 信じられるか?
(怜俐虫)ううん
俺も
(銀角)うたぐっているようだね
ならば その力の程を見せてやろう
(栓を抜く音)
ちんどうし
陳童子
(陳童子)はい
ウワ~ッ!
ウワ~ッ! 助けてくれ 助けて!
ウワ~ッ!
助けて 助けて! ウワ~ッ!
お前たち 見たろう
(陳童子)ウワ~ッ! 助けてよ!
陳童子は溶けてなくなるんだよ
フフフッ…
さあ お行き
ちきしょう…
こんな岩に負けてたまるか!
ヤーッ!
やったぞ!
ハイッ!
危ねえ 危ねえ
さすがの俺さまも
一巻の終わりになるとこだったぜ
いて
体の節々が痛えや もう…
あの妖怪 どうするか覚えてろ!
・~
おいおい そこの2人
(2人)何だい?
お前たちは 道を知らぬと見えるな
道で道士に会ったならば・
3歳の童でも
道を譲って 礼を執るものだ
どこへ行くの?
聞いて驚くな
大王さまの言いつけでな
孫悟空を捕らえに行くのよ
なっ?
(怜俐虫)そうだとも 孫悟空をな!
《とんでもねえ奴だな
この2人は》
あの… 何だ? その
ぴっかぴか光っとる ひょうたんは
聞いて驚くな
ああ びっくりした!
これはな ええ?
どんな人間でも どんな獣でも
吸い込んでしまうというな
不思議な ひょうたんなんだ
なっ? おい
ああ これさえあれば
悟空ごとき 恐れるに足らんのよ
足らんか ハハハッ…
だがのぅ
このひょうたんには かなうまいな
これは 天まで
吸い込んでしまう ひょうたんだ
うそ
(2人)嘘だ!
さすれば 天を吸い込むぞ
目をつぶれ!
(殴る音)
ちゃんと つぶりなさい
これから見る世界は
暗黒の世界じゃ
覚悟は よいな? 吸い込むぞ
(毛を抜く音)
(息を吹く音)
3・2・1…
目を開けなさい
(精細鬼)あっ 真っ暗だ!
(怜俐虫)見えない!
(精細鬼)
目が見えない 目が見えねえ!
日も月も星も
全て このひょうたんの中じゃ
では 元どおりにしてしんぜようか
ほいほい!
アアッ!
(怜俐虫)見えた
(笑い声)
取っ替えない?
(2人)はいはい
吸い込めよ おい ほら
どうなってんだよ おい
吸い込んだら どうだよ この野郎
よし 吸い込め! よっ! ほっ!
(豚の鳴き声)
オッ…
吸い込め 吸い込め
吸い込め 吸い込め ほら 吸い込め
吸い込めよ 吸い込めよ
吸い込めよ 吸い込め!
吸い込めってんでえ!
吸い込め こっから入れろ!
(殴る音)
ウワッ!
(殴る音)
(蹴る音)
(金角)ええい やれやれやれ!
もっとやって 打ち殺せ!
(精細鬼・怜俐虫)助けてくれ!
(金角)ならん!
事もあろうに あの大事な
ひょうたんを騙し取られるなんて
許し難い罪だ! やれ!
(銀角)お前さん
お前さん
もう いいかげんにしておやりよ
お前たち 連れておいき
(手下たち)へい
(手下)おい こっち来るんだ
(精細鬼)ウワーッ! 助けてくれ!
悟空の奴を捕まえる方法が
ないわけじゃないよ
うるせえや!
どうやって捕まえるんでえ?
あつりゅうどう
圧竜洞の
こうごんじょう
私のおふくろの所にある幌金縄
あれがあれば大丈夫さ
使いの者をやって 三蔵法師を
食べるように誘いをかけるから
そのとき
幌金縄を持ってきてもらうよ
そうか なるほど…
よし 分かった
はざんこ
いかいりゅう
おい 巴山虎 倚海竜!
・(巴山虎・倚海竜)おう!
(巴山虎)お呼びで?
(金角)圧竜洞へ・
銀角のおふくろ 迎えに行け
(2人)へい
ついでに 悟空を捕まえるための
幌金縄をお貸し願いたいと伝えろ
(巴山虎・倚海竜)はい!
・(羽音)
(倚海竜)うん?
・(羽音)
(巴山虎)ええい さっきから
あぶ
うるせえ虻だな この野郎
おい 行くぜ
化け物の おふくろか
よ~し いっちょう 顔見てやるか
兄貴! 兄貴よ 待ってくれ 兄貴!
(巴山虎)誰だ?
情けねえな
同じお頭の手下じゃねえか 俺
(倚海竜)見かけねえ顔だな
そうですか?
まあ おいらは外回りだからね
兄貴たちみたいにさ
いつも大王さまの
おそばにいる人たちじゃ・
まあ 見覚えはないのは
無理もないかもしれませんね
(巴山虎)何の用だ?
あのね
大王さまは
とっても お急ぎでしてね
兄貴たちの足じゃ 向こうへ
着いたら 日が暮れちゃうだろうと
だから 「お前 代わりに
行ってこい」っていうふうに・
言われて来たんですよ
(巴山虎)お前が?
もう おいら 足が速くてね
この間なんかね 手下の運動会で
1等賞になったんですよ
もう 1日200里 行くんだから
200里
そうかい そうかい そうかい
そいつは ご苦労だな
ところで あの…
奥方の おふくろさんが
住んでるっていう・
圧竜洞っていうんですか
それ どこにあるんです?
(倚海竜)その向こうの森の奥だ
ああ あの奥のほうに…
うんうん
(殴る音)
アアッ!
兄貴 大変だよ
(殴る音)
よし
よ~し 行くか
・~
よいしょ
よっしゃ やったろうかい
(妖婆)何者じゃ?
ははっ!
蓮華洞の大王さまより遣わされた
巴山虎という者でございます
ご母堂さまには 唐より
まいりました三蔵なる僧の肉を・
召し上がりにおいで
くださいますようにとのこと
また その折
孫悟空を召し捕りますために・
幌金縄をご持参いただきたいとの
ことでございます
そうか そうか
僧侶の肉をば 食わせてくれるのか
ご母堂さま 何とぞ幌金縄を
お忘れになりませぬように
幌金縄
ここに持っておるではないか
そなた 見て分からぬのか?
あんな物か
チッ… こいつは まずいぞ
巴山虎とか言ったな?
必ず伺うと伝えておくれ
これは楽しみじゃ
(笑い声)
(銀角)お母さま あっ…
(妖婆)いかがじゃのぅ? 夫婦仲は
(金角)
ハハハッ… 母者人 よう来られた
婿どの
この度は また わしに唐の僧侶の
肉を振る舞ってくれるとのこと
(金角)母者人 めったに
手に入らぬ高貴の僧侶じゃよ
(笑い声)
見たいのぅ
その僧侶を早く見たい
(銀角)お開け
(手下たち)へい
おお… あれか
あれが はるばる唐から来た僧侶か
なるほど うまそうな
(妖婆)よう捕まえてくれた
とうとう… とうとう 俺たち
食われることに決まったらしいな
あのばばあ どっちだろうな
たち
うまいのを先に食う性質だろうか
それとも
うまいのを残しとく性質だろうか
どっちだべか…
(悟浄)おい 八戒
うん?
(悟浄)あの妖婆 見てみい
俺は
ばばあなんか見たくねえんだよ
影や 影 影
(八戒)影?
影だけ悟空だ
娘や 僧侶もいいが
わしは あの豚のほうがいいよ
八戒とやらの耳は
大層 うまいと聞いているからね
あれを 是非 切り取って
酒の肴にしておくれ
(銀角)はい
あらぁ…
おい 八戒 そういえば
お前の耳 うまそうやな
なんちゅうこと言うんだよ お前
向こうが
その気になったら どうすんだよ
耳の責任 取れんのか
(悟浄)…んなもん 知るか
私は どうしても
この耳が食べたいのじゃよ
(八戒)こ… この… この…
(妖婆)婿どの
いかにも うまそうな連中じゃ
楽しみにしてますぞ
(金角)黙れ!
金角 無礼であろう!
黙れ黙れ黙れ!
この2人を見ろ お前はニセ者だ!
ニセ者?
お前は悟空だ! 銀角
母者人は こいつに殺されたわ!
殺された?
悟空!
何を言う!
ヤーッ!
ちきしょう!
(金角)この野郎!
銀角 銀角!
ぎ… 銀角 やれやれ やれやれ
ヤッ!
・~
ヤーッ!
・~
もう かなわねえよ 坊主 返して
俺たちは手ぇ引こうよ
何を言ってんだか お前さん
しっかりおしよ!
でも それにしてもよ お前
・~
お前さん それでも
あるじ
蓮華洞の主かい? 見といで
・~
(金角)おい… おい やれやれやれ
ヤーッ!
やれやれ 早く! やれや やれ
ハアッ!
(銀角)ヤッ!
アアッ!
ウワッ!
ハアッ!
なんの これしき
ヤッ!
ウワッ!
(うめき声)
そうじょうじゅ
これをほどくには鬆縄呪>
きんじょうじゅ
呪文が必要であります>
この呪文を知らぬばかりに・
銀角の手に
捕らわれの身と成り果てました>
悟空
お前も捕らわれてしまったのか
お師匠さま…
俺の耳たぶ
食いてえなんて言うからよ この
ハハッ… 馬鹿たれが
まあ なんとかなるだろう
悟浄 すまねえけどな
俺の鼻 吹いてくれるか
(悟浄)鼻か
うん
よし
(息を吹く音)
ハ… ハ… ハクション!
うわぁ やるもんだねえ
(息を吹く音)
あらぁ…
フフフッ… このやすりさえありゃ
大丈夫だ 任せとけ
何言ってんだか
さっぱり分かんねえよ 俺は
だからな このやすりさえありゃ
大丈夫だよ 任せとけ
なんだ そういうことか
じゃ 早く縄切ってくれよ
ぶつぶつ言わねえで
いや まったく お前って奴は
我が妻ながら見上げた奴だよ
ええ? フフフッ…
お前が あのとき
幌金縄を使ってくれなんだら・
まったく やばいとこだったぜ
(銀角)フフフッ…
何を言ってるのさ
2人して あの坊主を食べて・
万年の命を得ようというのだもの
(金角)そうそう そうそう
苦労なんて
何とも思っちゃいないさ
みんな あんたのためさ
フフフッ… 騙し取られた
このひょうたんも取り返したし
まずは めでたい めでたい
ハハハッ…
何が めでてえんだ!
(金角)悟空!
めでてえのは
てめえたちのほうじゃねえか
ちゃんと抜け出してきたぞ
俺さまの神通力は・
ざっと こんなもんだ
おのれ!
ハハハッ… 悟空とやら
威張るのも いいかげんにおし
今に このひょうたんの中に
吸い込んでやるからね
馬鹿 そのひょうたんは役立たずだ
今度こそ…
たたきつぶしてやるぞ!
孫悟空
おう!
何だ? これ
しまった そうだったか!
アアッ!
ウワッ!
よし でかした! は… 早く!
はい
(金角)よ~し
これで もう大丈夫
これで あいつも お陀仏だ
(笑い声)
おい!
(笑い声)
くそ… あっ!
もん
こんな物で
溶かそうとしやがって…
アアッ!
いい気分だなぁ
(銀角)フフフッ…
こうなったら いかな悟空でも
もう どうともなるまい
少しは溶けたかな
いや もうしばらくたってな
揺すってみて・
中で ぽちゃぽちゃぽちゃぽちゃと
音がするようになったら
半分 溶けちまったってこった
(銀角)そうだね お前さん
ちきしょう ちきしょう
助けてくれ!
アハハッ… 「助けてくれ」だってさ
(金角)ちょっと振ってみるか
ええ?
アハハッ… 溶けるぞ 溶けるぞ
(笑い声)
聞こえるかい? お前さん
おかしいぞ
中で ぽちゃぽちゃいってねえぞ
えっ? どうしたんだろう
う~ん… ちょっと開けてみるか
(銀角)でも ちょっとだけだよ
しめた 開けるぞ よ~し
(毛を抜く音)
(息を吹く音)
(栓を抜く音)
(羽音)
危なかったな
脚 溶けてねえな よし
俺の仕返しを見てろよ
(扉の開く音)
・~
(いびき)
ウ~ン…
・~
(いびき)
(鈴の音)
お前さん
悟空が… 悟空が抜け出したよ!
・(金角)
なに・ 逃げた? 追え追え!
・ 悟空 待てー!
やい 金角 銀角
くうごそん
俺は孫悟空の弟 空悟孫だ!
名前が違えば 吸い込まれめえ
かたき
兄ちゃんの敵を討ちに来た!
弟?
弟だろうと兄貴だろうと
みんな このひょうたんに
閉じ込めるまでさね
抜かるなよ
(銀角)心配おしでないよ
やっぱり ひょうたんで来やがった
兄の敵を討とうとは
殊勝な猿だこと
今 会わせてあげるよ
もっとも もう溶けてるだろうがね
面白い やってもらいましょう
(銀角)空悟孫!
はい!
はい! はいはい!
はいはい
空悟孫!
は~い!
くそ… また すり替えやがったな
本物を出せ! 本物!
本物? いや
私は知りませんよ そんな物は
クッ… もう勘弁ならねえ!
・~
ウウッ… トーッ!
お師匠さま! 助けに来たぜ!
(八戒)なに もたもたしてんだ
(悟浄)早よう助けて 早よう助けて
お師匠さまが先だ
悟空 危ない!
ヤーッ!
(殴る音)
ウッ!
そうだ ひょうたんだ!
吸い込むぞ
ヘヘッ… 何だい? そりゃ
さっき 俺が捨てた
偽ひょうたんじゃねえか ああ?
どけどけどけ 吸い込むなら
吸い込んでみやがれ ほ~ら
金角!
おう
アア~ッ!
ハハハッ… いっちょう上がり
お前さん!
お前さん…
・~
あんた…
(栓を抜く音)
お前さん!
・~
(泣き声)
お前さん…
どうして… どうして死んだ?
帰ってきて お前さん…
銀角 覚悟しろ!
・ お待ちなさい 悟空
お師匠さま
もうよい おやめなさい
(銀角の泣き声)
どうして・
その者を見るがよい
そうや 悟空 よう見てみい
かわいそうやないか
(泣き声)
あんた…
(泣き声)
帰ってきてよ… あんた…
夫を失い
その者の魔力も消えうせました
今は ただ
泣くことしか知らぬ ひとりの女
打ち殺すには及びますまい
(泣き声)
かわいそうに
これから 一体 どうするのかね
何やかんやいうても
結構 しおらしい女やったんやな
あっ お師匠さま
ご無事で何よりでした
すまん 俺がついていながら
お師匠さまに あんな危ない思いを
させてしもうて
いやいやいや
みんな 無事で良かったよ
さあ まいりましょう
悟空 お前 八戒がまだですよ
八戒?
ああ 八戒 いたいたいた 八戒ね
悟浄 お前 行ってこい
行ってこいって もう…
ちゃんと やすり渡したのに
もう 何をしとんねん
今時分まで ほんまに
しゃあないやっちゃな もう
ぐずぐず言ってねえで 行けったら
悟空!
はい
チッ… また俺か あの野郎 もう…
助けてきます
ハハハッ…
はい 分かった はい よし
遅~い! 遅すぎる!
俺は悟浄ほど器用じゃねえし
そんなやすりなんか使えねえんだ
この馬鹿!
おたんこ! 穀つぶし!
言いたいことは それだけか?
じゃ お元気でな
ちょっと待て
ちょっと待て ごめん
遅すぎるんだろう? 俺が
違う違う! 遅すぎない
ちょうどいいぐらいだと思ってた
俺は穀つぶしなんだろう?
違う! 僕が暇つぶし
あっ そう
だったら いいよ
そう
ごめんね 強いこと言って
八戒 これからはな
俺に対する態度を改めろよ
うん 悟空
うん?
八戒は これからは
もう悟空のものよ 好きにして
改め過ぎなんだ お前は!
肉 切ってる 肉 切ってる
あっ ごめん ごめん ごめん
・~
・~
三蔵たちの一行は
更に西を目指します>
いまだ 半ばにも至りません>
いかなる出来事が待ち受けるか>
いやぁ こりゃ そびえてるな おい
・『ガンダーラ』
・ そこに行けば
・ どんな夢も かなうというよ
・ 誰もみな行きたがるが
はる
・ 遥かな世界
・ その国の名は ガンダーラ
どこ
・ 何処かにある ユートピア
・ どうしたら行けるのだろう
・ 教えて欲しい
・ In Gandhara, Gandhara
・ They say it was in India
・ Gandhara, Gandhara
・ 愛の国 Gandhara
・ Gandhara, Gandhara
・ They say it was in India
・ Gandhara, Gandhara
・ 愛の国 Gandhara
出来のよくない はなたれ妖怪>
水では消えぬ三昧の火>
なんと はなたれ妖怪 いとしの人>
考えた妖怪退治の作戦とは?>
ご期待ください>
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