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Original subtitles

(祖父)ああっ…! み… 水だ!

(楓)〈おじいちゃんは 今→

幻視 記憶障害

パーキンソン症状を引き起こす→

レビー小体型認知症を患っている〉

クリスティのお出ましだ。

〈突然現れる 幻視〉

〈そして→

おじいちゃんの経験と知識で紡がれる仮説〉

「絵」が見えたよ。

〈すっと ふに落ちる おじいちゃんの物語〉

(虫の鳴き声と鳥のさえずり)

(あくび)

(岩田)楓先生?

あくびなんかしてる場合じゃないですよ。

学校のマラソン大会まで

あと3カ月しかありませんから。

3カ月もあるじゃないですか。

はあ…。

いつもの そのスニーカーで大丈夫って→

甘い考えは捨ててください。

これ ランニングシューズですから!

ちゃんと買いましたから。

(岩田)なら なおさら頑張らなきゃですね。

子供たちのためにも!

ほら 行きますよ!

鬼だ…。 ああっ…。

ああ〜っ…!

(岩田)フウ〜! 気持ちいいですね。

まあ… そこそこ…。

(岩田)これから ペース上げていきますよ。

嘘… えっ…!

(女性)先生! おはようございます。

(岩田)おはようございます!

はあ〜 今日も お利口さんだね。

頑張ってね。

ありがとうございます。

ありがとうございます。

(男性)お疲れさまです!

(岩田)ああ 今日も いいペースですね。

(男性)頑張ってね!

はい!

ねっ 気持ちいいでしょ?

悪くないです。 フフフ…。

(狛江)岩田先生!

(岩田)あっ おはようございます。

(狛江)毎週 熱心ねえ。

(岩田)いえいえ 好きで走ってるだけですよ。

楽しいじゃないですか。 ねっ?

あっ…。

フフッ…。

(狛江)あら! すてきな人じゃないの!

ねっ ひょっとして 彼女?

アハハハッ…

そんなんじゃないですよ… まだ。

《まだ?》

止めちゃって ごめんなさい。

仲良くね! フフフッ…。

行きましょう 楓先生。

(ため息)

♬〜

(岩田)四季の奴 やっぱり来なかったですね。

…あれ?

♬〜

いつの間に 日陰へ…。

(四季)先輩〜!

先輩! 早く!

はあ!?

なんだよ? あいつ…。

♬〜

ああ 染みますね!

フフッ…。

それより!

おまえ なんで 時間どおり来なかったんだよ。

(四季)先輩だって 最初から 僕が来るなんて

思ってなかったでしょ。

土曜の朝っぱらから しかも 電車に乗って

こんな遠くまで来て 走るなんて→

正気の沙汰じゃない。

(岩田)朝っぱらっていうか… 昼間だぞ。

(四季)こんな すてきな差し入れ

用意したんだから 勘弁してくださいよ!

それに 先輩だって 実は 二人きりで走れて

うれしかったんじゃないんですか?

えっ?

うるさいな! …っていうか→

なんで 俺だけ こんな ちっちゃいんだよ。

楓先生は 最近 どんな つまんないミステリを

読んでるんですか?

つまんないミステリの話 聞いたって

つまんないんじゃないですか?

だからこそ その欠陥をあげつらう楽しみ

というものが生まれてくるんじゃないですか。

欠陥をあげつらうために

つまんないミステリを→

どれだけ精読したのか 聞くのも

楽しそうですけどね。

そうですね。

(岩田)そこまで!

そうやって いつも 2人で仲良く

ミステリー談義ばっかしやがって。

俺にも 話 させろ!

えっ?

それって ミステリの話ですか?

おう。 題して 「プロレス・ミステリー説」!

(四季・楓)プロレス?

ほら 楓先生 僕 プロレス好きじゃないですか。

初耳ですけど。

…でしたっけ?

うん。

でね プロレスとミステリーって

すっごく似てるんですよ。

ん? 例えば?

プロレスとミステリーには

決まって出てくる ある言葉があるんですよ。

では 問題! この2つに共通する

漢字2文字の ある言葉とは なんでしょう?

(四季・楓)流血。

なんで 分かるんだよ。

浅すぎます。

なんだよ せっかく考えてきたのに。

(四季)朝から

そんなこと考えて走ってたんですか?

(岩田)朝も起きられない奴に

とやかく言われたくありません。

(四季)いいですか?

プロレス・ミステリ説を唱えるなら→

もっと本質的なところに目を向けてください。

(岩田)はあ…。

(四季)先輩は浅いんですよ。 ねっ 楓先生?

(岩田)どうかしましたか?

えっ?

橋の上に誰かいるでしょ?

うん。

最近 無言電話がかかってくることが多くて。

なんか そう思ったら

付けられてるような気もするし→

見られてるような気もしてきちゃって…。

♬〜

えっ 岩田先生!

いや 確かめてもらいましょう。

念のため聞きますが 電話の発信者は?

非通知になってる。

そうですよね…。

でも ただのいたずら電話かも。

なんか ごめんなさい。

いや これは

ほっとかないほうがいいですよ。

ᗒ(岩田)逃げられました!

あれ 結構 走り込んでるっすよ!

(四季)楓先生

絶対 ほっとかないほうがいいです。

ただいま!

ᗒ香苗か? 楓か?

楓だよ。

おお おかえり。

よく来たね。

(国枝)こんにちは。

あっ ソフトクリーム屋さん。

いつも ありがとうございます。

前 向いてください。 背筋 お願いします。

はい 下がりますよ。

3 2 1…。

上がります。 1 2…。

(柱時計の時報)

あっ ありがとうございます。

ああ いえ…。

できていたことができなくなる。

分かってはいるんですけどね。

碑文谷さんなら大丈夫です。

きっと また調子戻ってきますよ。

何してるんですか?

今日の新聞 多分 まだ読んでないんです。

ああ…。

ありがとうございます。

(国枝)深瀬川河川敷で大麻草栽培。

物騒な世の中ですね…。

バニラ・エッセンス?

ああ…。

あっ…。 バニラ・ビーンズです。

うちの実家のソフトクリーム屋

ビーンズにこだわりがあるんです。

ふ〜ん 食べてみたいな。

(国枝)ぜひ!

今度 碑文谷さんと一緒にいらしてください。

フフッ… ありがとうございます。

それでは 失礼します。

♬〜

うっ… あっ…!

《時々 昔と変わらないおじいちゃんだと

思い込んでしまう》

《でも…》

おじいちゃん 新聞 読む?

ああ ありがとう。

うん。

はあ…。

《少しずつ変わっている》

どうした? そんな顔して。

ううん。 お茶 入れ直してくるね。

(携帯電話の振動音)

(携帯電話の振動音)

(携帯電話の振動音)

(携帯電話の振動音)

悪くないって言ってたのになあ 楓先生。

まあ こんな天気だから しょうがないか。

ᗒ(男)おい 待て コラッ!

(男)オラオラッ。 待て コラッ。

なめてんじゃねえぞ コラッ!

(殴る音)

(男)おい!

いい加減にしろよ。

(刺す音)

(岩田)何やってるんですか!?

クソッ!

(岩田)大丈夫ですか!?

♬〜

あっ… あの! すいません!

救急車! 救急車をお願いします!

(岩田)あっ ちょっと…!

うっ… ううっ…。

今 救急車 呼びますからね!

ううっ…。

(足音)

(我妻)そのまま! 動かないで!

(岩田)救急車… 救急車をお願いします!

(我妻)ジョー 本部に連絡。

(城之内)はい! 至急 至急

特捜5から 神奈川本部および指揮本部。

今 救急車 来ますからね。

(我妻)ゆっくりと それから手を離しなさい。

(城之内)相模東署管内 旭橋 橋脚付近にて

持凶器傷害事件発生!

現在 相勤者がマルヒを説得中。

繰り返す。 現在 マルヒ 説得中。

違う…。

違う! 俺じゃない! 俺じゃない!

(携帯電話の振動音)

(携帯電話の振動音)

何? これ。

(携帯電話の振動音)

はい。

📞(城之内)お休みのところ すみません。

📞髙橋楓さんのご連絡先で

間違いないでしょうか?

はい そうですけど。

📞私 神奈川県警捜査一課の城之内と申します。

神奈川県警?

📞(城之内)あなたの同僚の岩田さんが 先ほど

傷害容疑の現行犯で逮捕されまして→

留置の手続きを…。

傷害容疑?

(楓の声)逮捕?

(城之内の声)留置する手続きを

進めてるところなんですがね→

緊急連絡先を尋ねたところ→

自分には親も兄弟もいないと。

親戚もいないとおっしゃっていましてね。

親も兄弟もいない?

それ 岩田先生が言ったんですか?

📞(城之内)はい。 それで あえて言うならばと

あなたのお名前を。

…えっ?

(我妻)なぜ あの場所にいたんです?

ランニングですよ!

この格好 見れば 分かるでしょ?

我妻さん!

彼の自宅の住所が分かりました。

現場までは1時間かかるみたいです。

1時間もかけて

わざわざ ランニングですか?

あそこが好きなんですよ!

土曜の朝は 毎週 走ってます!

あの道は初めてではないと?

そうですけど。

では 岩田さん→

改めて 橋のたもとで何をしていたのか

お聞かせください。

だから 俺は何もやってない!

犯人は50ぐらいの男なんです!

(携帯電話の着信音)

(四季)うーん…。

(携帯電話の着信音)

はい。

📞もしもし? 四季くん 起きてる?

いえ…。

📞悪いけど しゃんとして。 お願いだから。

はい…。

📞岩田先生が逮捕された。

はい!?

(四季)おんな きえた さがして…。

逮捕される直前に

隙を見て 打ったんでしょうね。

うん…。 岩田先生本人から

意味 聞ければいいんだけど…。

逮捕されてからの3日間

いわゆる「最初の72時間」は→

徹底的に 取り調べに重点が置かれるんで

面会は まず許されないと思います。

📞(四季)申請はしてみますけど。

私からも頼んでみるね。

とにかく 面会までに作戦を練りましょう。

うん。

〈事件が起きたのは 先週の土曜日〉

〈深瀬川河川敷で

鋭利な刃物による傷害事件が発生〉

〈19歳の男性被害者は

いまだ 意識不明の重体〉

〈傷害容疑で逮捕された27歳の男は

一貫して犯行を否認し続けている〉

(四季)楓先生?

それでは こちらへ。

はい。

ご面会中は 当該事件についての話は

一切ご遠慮いただきます。

はい。

はい。

ふうー…。

(ドアの開く音)

52番 入れ!

楓先生! 四季!

なあ 信じてくれ! 俺 やってないんだよ!

50ぐらいのスーツの男が

刺して 逃げたんだよ!

(留置管理係)そこまで!

(四季)早っ…。

もう中止ですか? まだ開始10秒ですよ。

52番 どういうつもりだ?

すいません。 つい うっかり…。

次は 本当に 即座に面会を中止します。

《真犯人は50ぐらいの男》

《じゃあ 逃げた女っていうのは?》

岩田先輩 差し入れです。

ストレートです。 受け止めてください。

どうせ 暇でしょ?

せいぜい思い出にふけっちゃってくださいよ。

ハッ… おまえさ…。

♬〜

じゃあ 楓先生。

《手掛かりは 岩田先生が送ってきた→

「おんな きえた さがして」》

ところで 岩田先生って

ミステリが好きでしたよね?

ミステリーどころか

小説すら読まないですよ。

好きなのは『クッキングパパ』ぐらい。

好きだったじゃないですか!

(四季)好きでしたよね!?

あっ… はいはい 大好きです ミステリー。

岩田先生が愛してやまない作家

ヒラリー・ウォーのミステリ→

『失踪当時の服装は』。

ああっ…! あのヒラリーね〜。

岩田先生に薦められて読んでみたんですけど→

この物語って 消えた女を捜す話でしょ?

それで 失踪当時の服装は→

ジーンズに白いシャツだって

思われてたんですけど 違ったんですよね?

消えた女の服装。

そうなんです!

薄グレーのパーカで

手には 派手な柄のタオルを持ってたんです。

それが 消えた女の服装なんですね?

そう…。 そうそうそう!

そう!

(留置管理係)大声 出さない!

すいません。

♬〜

岩田先生は

消えた女性を捜してほしかった。

(四季)失踪当時の服装は

薄いグレーのパーカに 派手な柄のタオル。

派手な柄のタオル…。

派手な柄…。

(狛江)毎週 熱心ねえ。

(岩田)いえいえ 好きで走ってるだけですよ。

楽しいじゃないですか。

その女性は 事件の一部始終を目撃していた。

(刺す音)

(岩田)何やってるんですか!?

(楓の声)まず 50くらいのスーツの男が

被害者を刺して 逃げていく。

(四季の声)そこに 岩田先輩が駆け寄った。

あっ… あの! すいません!

救急車! 救急車 呼んでください!

(楓の声)でも 目撃者の女性は

なぜか 通報せずに走り去った。

なんで 救急車も呼ばず

いなくなったんだろう?

本人に聞くのが一番なんですけどね…。

うん…。

いや とにかく 捜しましょう。

その女性は きっと

毎週 ウォーキングをしていた。

いわば 常連。 知ってる人も多いはず。

あっち。

(ほえる声)

あの すいません。

ここで 先々週 走ってた者なんですけど。

あっ 岩田先生の…。

えっ?

(四季のせき払い)

(四季)えっと→

ここをウォーキングしていた女性のことを

お聞きしたくて。

女性?

服装は 薄いグレーのパーカ姿で→

恐竜の赤ちゃんが描かれたハンドタオルで

こう ドリンクを覆っていて→

きびきびと

しっかり歩く感じの方なんですけど。

そんな女性 覚えがないわ…。

ねえ?

うん… ないな。

うん…。

いやあ 見たことないっすね。

ごめんね。

すいません。

分かんないです…。 ごめんなさい。

知らないっすね。 いいすか?

あっ すいません。 ありがとうございます。

(四季)すいません。

はあ… 誰も女性のこと覚えてないなんて…。

こういうミステリありましたよね。

「そんな人 見ていないし 会ってもいませんよ」

って みんなが証言するやつ。

目撃者が 幻の女。

う〜ん…。

(風鈴の音)

以上 岩田先生の無実を証明できる目撃者が

幻の女になっているという話。

おじいちゃん お願い。 私に力を貸して。

『失踪当時の服装は』。 いやあ 懐かしいねえ。

ああ いいアイデアだね。 うん。

(風鈴の音)

うん。

岩田先生の事件には→

ウォーキングの女性に関する3つの謎が

登場する。

1 事件の一部始終を

目撃したのにもかかわらず→

なぜ 救急車も呼ばず

その場から立ち去ったのか。

2 なぜ 事件の後

一向に名乗り出ようとしないのか。

3 なぜ 私以外

彼女のことを 誰一人 覚えていないのか。

うん…。

では 楓は どんな物語を紡ぐのかな?

彼女が持っていたハンドタオルには→

幼児向けの教育番組の主人公

トリケーラーが描かれていた。

特徴のない服を着ていた彼女が→

派手なトリケーラーのグッズを

愛用しているのには違和感がある。

つまり 彼女には子供がいる。

うん 素晴らしい。

大人も知っている世界的なキャラクターなら

いざ知らず→

幼児向け教育番組のキャラクターグッズを

愛用しているということは→

その番組を見ている子供がいると思って

間違いないだろうなあ。

う〜ん…。

彼女のことは 「ウォーキングママ」と呼ぼうか。

うん。

では 彼女は なぜ逃げたのか。

事件に関わったら

子供とのなんらかの約束に遅れると思った。

目の前で人が刺されているんだ。

子供との約束があるからといって

通報せずに逃げるだろうか?

うん… 確かに。

彼女には 逃げなくてはいけない理由があった。

つまり…?

つまり これ以外の物語Xが存在するんだ。

(風鈴の音)

では 楓 香りを焚かせてくれないか?

うん。

♬〜

「絵」が見えた。

この事件の最大の鍵は

彼女が持っていたものにある。

ハンドタオルでしょ?

半分 正解で 半分 間違いだ。

重要なのは そのハンドタオルに隠されていた

中身のほうなんだよ。

中身?

彼女のハンドタオルが包んでいたのは→

ミネラルウオーターでも

スポーツドリンクでもない。

缶ビールか缶チューハイだ。

えっ…?

ウォーキングママは 酒を片時も手放せない

アルコール依存症患者だったんだ。

でも 全然 そんなふうには…。

楓が最初に出会った時

わざわざ 手で口元を押さえていたのは…。

すてきな人じゃないの!

(祖父の声)声を潜めるためじゃない。

お酒のにおいがバレないようにするため。

えっ でも じゃあ

きびきびとウォーキングしていたのは?

止めちゃって ごめんなさい。

仲良くね!

(祖父の声)岩田先生の前でだけ

殊更 無理をしていたんだろう。

彼に多少の好意を抱いていたのかもしれない。

あくまで仮説だけどね。

(祖父の声)

お酒を片手に ふらりふらりと歩く女性を→

ウォーキングママだとは

誰も思わないだろうね。

(楓の声)通報せずに立ち去ったのは

飲酒が理由だった…?

彼女は きっと 離婚調停中だったんだろうね。

僕には見える。

子供部屋を眺めて涙を拭う彼女の姿がね。

♬〜

親権争いの最中に事件は起きた…。

そう考えられるだろうね。

お酒をやめないと 親権が取られてしまう。

それでも まだ手放せずにいる…。

依存症は病気だ。

病気と一緒に生きていくのは… 簡単じゃない。

彼女は 今も 必死に もがいているだろう。

♬〜

ああ… 河川敷の近くで→

断酒外来か減酒外来を行っている病院を

探してみるといい。

(風鈴の音)

いや 覚えてないですね。 すいません。

そうですか…。 ありがとうございます。

すいません。

(トロンボーン)

(携帯電話の着信音)

はい。 楓先生。

📞(トロンボーン)

あれ? 四季くん どこにいるの?

📞(四季)河川敷です。

もっと他の人にも聞いてみようと思って。

📞それで どうでした?

(四季)つまり 幻の女は→

アルコール依存症に悩む

一人のお母さんだった可能性が高いと。

あの日もお酒を飲んでいたとしたら

名乗り出なかったことも うなずける。

でも このままじゃ 先輩が…。

うん。 だから 見つけよう 私たちの手で。

はい!

♬〜

(城之内)我妻さん どこに向かってるんです?

(我妻)確かめたいことがある。

(城之内)ちょちょちょ… 待ってください…!

今回の事件に関係あるんですか?

うわっ!

(我妻)先に帰っててもいいんだぞ。

(城之内)もう… そうはいきませんって。

(男)はいよ。

(我妻)君たち

ちょっと話聞かせてくれるかな?

(男)クソッ!

(男)ああっ…!

ジョー 追え!

は… はい!

離せ オラッ!

結構な汗かいてんなあ。

ああ? 知らねえよ!

ああ… 離せ!

おとなしくしろ…!

よく分かったね。

(四季)パーカにランニングの格好をしてるって

方向で聞き込みしたら→

ここに入っていくのを見たって人がいて。

毎週土曜日の朝 ウォーキングママは

これに参加するために通ってたんだ。

ウォーキングママ…?

あの…!

ちょっと お話いいですか?

(狛江)なんですか?

ᗒ(かけ声)

毎週 ここを歩いていたのは

病院の帰りだったんですね。

岩田先輩の家って

ここから結構遠いんですよ。

1時間 電車に乗って

わざわざ ここまで来てるんです。

なんでだと思います?

なんの話?

この近くに

先輩が育った施設があるからです。

休みのたびに

施設に手作りのお菓子届けたり…。

おお〜! ナイスバッティング! おお〜!

(四季の声)ここで野球したり…。

(岩田)回れ回れ 回れ回れ!

回れ回れ! いいぞ!

オーケー! イエーイ! イエーイ!

ナイスバッティング! ハハハハ…!

(四季の声)運動会の時なんか

横断幕まで作って…。

よし!

(岩田)重なっちゃってるよ。

こうして こうして… で ここに入れるよ。

えっ? ちょっと 誰? ここにカメ描いたの!

颯真だろ?

(男の子)俺じゃない!

(岩田)舞台セットじゃないんだから

いいじゃんね〜?

(子供たち)岩ちゃんの言うとおり!

(岩田)イエーイ!

(一同)岩ちゃん! 岩ちゃん!

岩ちゃん! 岩ちゃん! 岩ちゃん!

岩ちゃん! 岩ちゃん! 岩ちゃん!

岩ちゃん! 岩ちゃん! 岩ちゃん…!

(四季の声)付き合わされるこっちの身にも

なってほしいですよ。

(一同)岩ちゃん! 岩ちゃん!

岩ちゃん! 岩ちゃん!

(四季)違うから!

でもね 岩田先輩 言ってたんです。

施設出身だからって

なんの引け目も感じてほしくないって。

先輩がいないと

寂しい思いをする人がたくさんいるんです。

だから…。

岩田先輩を助けてください。

お願いします!

そんな…

そんなこと言われても 私にだって…。

お子さん お幾つなんですか?

…えっ?

トリケーラー

毎年 1年生の中でも好きな子が結構いて。

この前 それ持ってウォーキングしてたから。

6歳。 来年 小学生になるの。

楽しみですね!

入学式に行きたいの。

あの子がランドセルを背負って

校門をくぐる姿を見たい。

どうしても 一緒にいたかった。

(岩田)何やってるんですか!?

♬〜

あっ…!

ᗕ(岩田)大丈夫ですか!?

(岩田)すいません!

救急車! 救急車をお願いします!

(狛江の声)

でも お酒を飲んだ状態で通報すれば→

親権を得られなくなるんじゃないかと…。

そう思ったら怖くて…。

(狛江)ごめんなさい。

あれから何度も後悔したの。

でも そのたびに不安になって…。

お母さん!

そのお酒 私に売ってください。

♬〜

その代わり お子さんに

ジュース1本 持っていってあげてください。

私は… お母さんじゃないの。

もう なれないのよ…。

あなたは ウォーキングママなんです。

ウォーキングママ…?

病気と一緒に生きることは簡単じゃない。

でも あなたにはお子さんがいる。

お子さんと生活するために

こうして病院に通ってる。

しっかり前に歩き出してるじゃないですか。

それのどこが

お母さんじゃないっていうんです?

(嗚咽)

私には

お子さんを愛するお母さんに見えますよ。

♬〜

岩田先生 施設育ちなんだね。

知らなかった。

施設の先生に憧れて教職を取ったそうです。

誰にも寂しい思いをさせないクラスを作るんだ

って 先輩 言ってました。

そのくせ 自分のことになると全然だから→

先輩に何かあったら

僕がどうにかするんですけど→

まさか 警察に捕まっちゃうなんて。

もう 本当 困りますよね。

大切な存在なんだね。

まあ 腐れ縁ですからね。

…楓先生は?

先輩のこと どう思ってるんですか?

う〜ん…。

(携帯電話の振動音)

楓先生! 四季!

みんな ありがとう!

(四季)おお〜 痛い痛い 痛い痛い…!

うわうわ うわうわ… 大丈夫。

(岩田)ありがとうございます…。

良かった 良かった。 本当に おめでとう。

なんだよ おまえ! ありがとうございます。

うれしい うれしい!

ありがとうございます。

本当に おめでとう おめでとう…。

(四季)本当 心配してたんですから。

(岩田)すいません…。

岩田さん…

長い時間 大変申し訳ありませんでした。

これからは しっかりと頼みますよ。

ちょっと 先輩! めっちゃ失礼…。

あの… 事件のことで一ついいですか?

はい。

今回の事件 薬物絡みなんじゃないですか?

最近 深瀬川の河川敷で

大麻草が栽培されていたニュースが→

報じられていましたよね?

(楓の声)若者への拡大も問題になっている。

今回 誰も通報していないのに

警察が現れたのは偶然ではない。

あの辺りでの麻薬取引のうわさを

嗅ぎつけたからこそ→

パトロールしていたんではないですか?

鋭いですね。

ですが すいません。 われわれの口からは…。

(城之内)あっ 岩田さん!

ああ ああ… ああ 間に合った!

はい 忘れ物です。

いい本 読んでますね!

我妻さんも フォード署長みたいに

地道な捜査してくれたんですよね?

ありがとうございます!

読んだの?

読んだんですか?

(城之内)誰ですか? フォード署長って。

警察小説の代表作家

ヒラリー・ウォーが生み出した刑事。

ひたすら歩いて

自分の足で事件を追うんだよ。

(城之内)へえ〜。

(我妻)小学校の時 校長先生にもらって

夢中で読みました。

校長先生に…。

あっ 刑事さん

出身の小学校 どちらですか?

あっ… 碑文谷小ですけど。

やっぱり! あの… 私の祖父が

碑文谷小で校長先生やってたんです。

えっ! まどふき先生ですか?

そうです!

(我妻)ああ…!

もしかして

さっきの鋭い考察も まどふき先生の?

はい。

ハハハ…!

お変わりないですか?

あっ…

今は 碑文谷で1人暮らしをしているので→

ぜひ 会いにいらしてください!

はい! ぜひ!

わあ うれしい。

(我妻)ハハハ…。

ただいま。

あっ ソフトクリーム屋さん。

今日 どうでした?

あっ… バランス訓練

碑文谷さん 今日 かなり良かったですよ。

楓先生にも見てほしかったくらいです。

良かった。

じゃあ…。

あっ ありがとうございました。

失礼します。

おじいちゃん ただいま。

♬〜

久しぶりだな。

ですね。

迷惑かけて悪かったな。

土曜の朝っぱらからランニング誘う人が

何 言ってるんですか。

今更です。

それと 僕も謝んないと。

うん?

楓先生に言っちゃいました。

先輩が育った場所のこと。

…そっか。

まあ 別に隠してるわけじゃないしな。

楓先生とは長いんですか?

今の学校に異動してからだから

2年ぐらいたつかな。

…そうですか。

はあ!? なんだよ? 急に!

ハハハ… すいません。

(岩田)びっくりするなあ。

(携帯電話の振動音)

(久喜)楓先生。

わあ…! すいません。

そろそろ失礼しますね。

あっ…。

今日は頑張ったんで

寝かせてあげてください。

はい。

あっ いいランニングシューズを

お履きなんですねえ。

あっ いえ そんな…。

きっと

うちの娘が履いても似合うんだろうなあ。

(楓と久喜の笑い声)

(チャイム)

あっ どうぞ!

(岩田)こんにちは。

(久喜)こんにちは。

どうも。

にぎやかで いいですね。

すいません。

では 私は これで。

ありがとうございました。

(久喜)失礼します。

おじいちゃん。

(四季)あっ お休み中でした?

おじいちゃん

岩田先生たち来てくれたよ。

無事に釈放されました。

まどふき先生と2人のおかげです。

ありがとうございました。

これ よかったら食べてください。

おじいちゃんの教え子さんにも

お会いしたよ。

我妻さんっていう刑事さん。

(いびき)

せっかく来てくれたのに ごめんなさい。

さっきまで起きてたんだけど…。

いえ。 お顔見れただけでも良かったです。

ごめんなさい…。

♬〜

それにしても 先輩→

ヒラリー・ウォー 読んだことないのに

よく分かりましたね。

あんな怖い顔 向けられたら→

いつものミステリー談義じゃない

ってことぐらい分かるわ。

さすがに分かりました?

フフフ…。

うん? 知ってる人ですか?

あっ… 知ってるにおいがした。

なんか バニラのにおいしなかった?

そうですか?

(四季)なんだか

バニラアイス食べたくなってきましたね。

(岩田)ああ いいね〜。

食べたい!

(踏切の警報音)

(電車の走行音)

ごめんなさい 送ってもらっちゃって。

(岩田)何 言ってるんですか。

近所なんですから。

四季くんも付き合ってもらっちゃって。

(四季)いやいや…

来たくて来てるんで 気にしないでください。

こいつ この後 俺んち来るんでね。

えっ!? そうなんですか?

ハハハ…。

(岩田)楓先生…。

はい。

鍵 ちゃんと閉めてくださいね。

分かりました。

じゃあ 部屋に入るまでは気は抜かずに。

はい。 ありがとうございました!

(四季)はい。 また。

(解錠音)

よし 行くぞ!

はい。

♬〜

♬〜

(携帯電話の振動音)

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