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(ライターで火をつける音)
(機械的な低い音が響き渡る)
(タバコの煙を吐く音)
(機械的な低い音が続く)
(時計のブザー音)
(セミの鳴き声)
(テレビ:蛇沼(へびぬま)) 皆様 ご機嫌いかがですか?
蛇沼製薬 代表取締役 蛇沼みゆきでございます
どうぞ よろしく!
(テレビ:女性) よろしくお願いします
(蛇沼)蛇沼製薬は このジェネリックテラの開発により
皆様の記憶を完全に保存することに 成功いたしました
(女性)皆さん ご存じ 通称ジェネテラ!
(テレビ:ナレーション) ジェネテラ
人類の未来を切り拓く 可能性の源に迫る
(蛇沼)高度 約750メートル上空を 浮遊する このジェネテラは
人間の膨大な記憶のバックアップを 実現した外部サーバーです
(女性)夢のようなジェネテラ
どのような仕組みか 簡単にご説明いただけますか?
(蛇沼)バックアップの 脳への出力に成功すれば
日々 失われる 記憶の復元を可能にします
(女性)すばらしい技術ですね
(蛇沼) 蛇沼製薬が持つテクノロジー
すなわち人類最高の叡智(えいち)で 作り上げたジェネテラは…
(ジェット機の飛行音)
(鯨井(くじらい))えっ?
あっ…
あっ…
はぁ…
(鯨井)なんで買ったんだろ
(鍵をかける音)
(工藤(くどう))ロン!
(男性1)あぁー! リューイーソー!
(男性2)持ってるなぁ 工藤
(工藤)今日は俺の日みたいだな
(周(しゅう))おい 工藤 遅刻
(工藤)いっつも ギリギリ 間に合うんだよ
(周)じゃ あとで よろしくな!
(工藤)おう!
(男性)工藤 勝ち逃げダメ!
(工藤)はははっ!
-(男性)おはよう -(鯨井)おはよう
(工藤)ほっ ほっ ほっ ほっ
(鯨井)おはようございます
(店長)おはよう 鯨井くん
(鯨井)フィンランドですか
(店長)あぁ 冬になったら うちの奥さんと行こうと思って
(鯨井)いいですね
私 雪って見たことないんですよねぇ
(店長)鯨井くん
タイムカード 押さないと遅刻になっちゃうよ
(鯨井)あっ はい (走ってくる足音)
(ガラス戸にぶつかる音) (工藤)鯨井 どけぇー!
(鯨井)あっ!
(工藤)ぬあぁー
んっ! んっ! セーフ!
(店長の拍手)
(工藤)はぁー! (タイムカードの作動音)
(鯨井)先輩のくせに割り込むなんて 大人げないと思います
(工藤)あちぃ
(鯨井)私 タイムカード押せませんでした
遅刻になりました
(工藤)こりゃ 汗 止まんねぇな
(鯨井) 私 タイムカード押せませんでした
-(鯨井)遅刻に… -(工藤)あぁー! 分かったよ
昼メシ おごってやっから
(小黒(シャオヘイ))本日オープン! おいしい香港(ホンコン)レモンチキンだよ!
(小黒)2人で食べなよ レモンチキン
(工藤)よう 小黒
(小黒)おぉー 工藤
(工藤) また新しいバイト始めたのか
(小黒)うん うまいぞ 食っていけ
(鯨井)へぇー
(小黒) レモンチキン 知らないだろ
食べたことある? 新しいぞ
(工藤)いいよ いつもんとこ行くから
(小黒)え…
鯨井
(鯨井)あっ 小黒 ごめん また今度ね
(小黒)鯨井! ほんとにうまいんだからな
後悔するぞ お前ら
(テレビ:女性)蛇沼製薬!
(テレビ:蛇沼) 亡くしてしまった大切な人と
再会したいと願ったことは ありませんか?
(女性)運用が 一般化されたクローン人間も
記憶がなければ 別人格だと問題になって…
(工藤)うさんくせぇやつ
(テレビ:蛇沼)ジェネテラに バックアップした記憶を
クローンの脳に同期することができれば いかがでしょう?
死者の復元 運命の再会
全人類のロマンを実現すべく 私どもは日々 研究を進めています
(工藤)謝々(シエシエ)
工藤さんと私って いっつも お昼 ここで食べてますよね
(工藤)それが何?
なんで別のお店 行かないのかなぁって
(工藤)お前は このプリプリの水餃子に
正義を感じないわけ?
(鯨井)感じません まぁ 味は好きですけど
あっそ
うん うん
(周)今朝の地震で ドアが閉まんなくなってさ
こりゃ 引っ越すしかないかってね
(鯨井)ほかにも いくつか 電話で相談がありました
(周)あぁ 九龍(クーロン)も限界かな
“第一”みたいに 取り壊されるって噂だし
(鯨井)あの… 第一って?
(周)あぁ 最近の若いのは言わないか
最初のが第一 今のが第二
(工藤)正式には第二九龍寨城(きゅうりゅうさいじょう)
不動産屋なら知っとけ
(鯨井)でも なんでまた わざわざ造ったんですかね
(周)いつの世にも あぶれちまう人間ってのがいるんだよ
そんなんが自然と寄り集まってさ
(工藤)周さんは その最初の世代だよ なっ?
(鯨井)へぇ
(周)不便とかボロいとか 言うやつもいるけど
俺は ここが好きだね
九龍では なんでもアリってのが いいんだよ
(鯨井)いかがですか? 日当たりもいいし オススメです
(周)うん…
やっぱ やめた
(鯨井)え?
(周)ごめんな 鯨井ちゃん せっかく案内してくれたのに
(鯨井)いえ 大丈夫です
けど…
(工藤)壊れたドア あとで直しに行くよ
(周)おう よろしく
(セミの鳴き声)
(工藤)よし
(客の話す中国語)
-(店長)謝々 -(客)謝々
(店長)しかしさぁ
九龍って住みやすい場所じゃないのに 住人の数 減らないよねぇ
(鯨井)そうですねぇ
(店長) ほかに行く所がないのかねぇ
(時計のアラーム音)
(タイムカードの作動音)
(店長)お疲れ~
そこのゴミ 捨てといてね
(工藤)はーい
(鯨井)今日も時間ピッタリ
(鯨井)あっつ!
はぁ… いつまでありますかね レモンチキン
(工藤)あぁ?
(鯨井)いや この辺って 新しいお店できても
すぐ潰れちゃうじゃないですか
なんでか分かんないけど
(工藤)そりゃ この街は 懐かしい場所であるべきだからな
(鯨井)ん? 懐かしい場所?
(工藤)切れかけの電灯 カビくさい路地裏
すれ違う人の汗のにおい
なぜか無性に懐かしく感じないか
俺は この懐かしいって感情は
恋と同じだと思ってる
新しいものなんて必要ないんだよ
(鯨井)私は この街に 懐かしさなんて感じません
(工藤)だろうな
でも 工藤さんには時々 感じます
懐かしさ
工藤くん“懐かしい”って
この胸に閉じ込めたいって ことなんじゃない?
(鯨井)あっ…
え?
工藤さん…
あっ
鯨井
はい
鼻毛 出てるぞ
ははははっ!
(鯨井)えぇーっ! ちょっと!
もう!
工藤さんって ほんと デリカシーとか1ミリもないですよね!
(工藤)デリカシー? 何それ 食えんの?
(鯨井)お疲れさまです
(鯨井)ムカつく…
(店主)お姉さん!
(鯨井)へぇ… 靴屋さんですか?
(店主)うん ここ 最近 始めたばっかなんだ
(鯨井)そうなんですね
(店主)でも全然 お客さん入んなくてさ
私みたいな よそ者がお店やるとか 無理だったのかなぁって
(鯨井)そんなことないです
(店主)え?
(鯨井)ステキです どの靴も
(店主)うれしい
ありがとう
私 楊明(ヨウメイ)
あなたは?
私は
鯨井… 令子(れいこ)です
クジライ レイコ
レコぽんだ
え?
(楊明)ねぇ レコぽんは どの靴が好き?
新しい靴は 新しい場所に 連れてってくれるよ
(時計のブザー音)
(セミの鳴き声)
(上空から響くジェネテラの音)
(ジェネテラの音が続く)
(工藤)ザオアン!
(自転車のベル)
鯨井 どけぇー!
(タイムカードの作動音)
今日は私の日みたいですね
-(工藤)ふんっ -(鯨井)ふんっ
お前 メガネは?
やめました
なんか外したほうが よく見えるんで
(店長)うん
あぁ
見た目もね
うん スッキリしていいよ
ねっ? 工藤くん
(工藤)俺は前のほうが好きっすね
メガネないとシワ目立つし
はぁ!? ちょ… 工藤さん
(工藤)タバコいってきまーす
(ドアを開ける音)
(店長)え? タバコ? (ドアを閉める音)
え? 自由すぎない? ははは…
いや 見た目もスッキリしていいよ
えぇ?
いやぁ…
(工藤)鯨井
今日 仕事のあとで時間ある?
(鯨井)え?
連れていきたいとこ あんだけど
(鯨井)はい
(鯨井)私 この道 初めてです
(通りの喧騒)
(男性)えっ 工藤?
(工藤)ヘイ! ドン!
(男性)ニーハオ マ?
(鯨井)こんなとこ あったんだ
(工藤)教えてやるよ
この街の懐かしさってやつ
(鯨井)すごっ その場で切ってくれてますよ
(工藤)ここの肉 めちゃくちゃ うめぇぞ
(工藤)ここのおばあちゃん ボッタクリだから行くぞ
(鯨井)えっ そうなんだ お母さん 謝々
(工藤)謝々~
(店員と工藤の会話)
(鯨井)わっ! 今 めっちゃ生きてました
生きてました ほんとに
(小黒)メガネ 安いよ
(工藤)お前 ここでも バイトしてんのか!
(小黒)おぉ 工藤
鯨井 メガネ買ってけ メガネ!
(工藤)ははははっ!
(鯨井)工藤さん 笑いすぎですよ
(工藤) 似合ってねぇじゃん これ!
(小黒)こっちにしろ
(工藤)おっ おいおい むずい
(鯨井)バカだねぇ はははっ!
(工藤)ほんとに見えねぇって お前の顔も
(小黒)なんか2人 お似合いだな
これ どうだ?
-(工藤)ほい -(鯨井)あっ ありがとうございます
(鯨井)ん~!
熱いですね ふふふっ
(水槽の泡の音)
かわいい
(近づく足音)
(グエン)工藤さん 久しぶりじゃないですか
お元気でしたか?
(工藤)まぁ ボチボチな ははは…
グエンは?
(グエン)まぁ ボチボチ
これ よかったらどうぞ
今年のスイカは 甘くておいしいですよ
(鯨井)ありがとうございます いただきます
うん
うまそうに食うなぁ お前
だって 本当においしいから ふふっ
(工藤)ふふっ
いいよ
全部 食え
あっ 知ってます?
スイカ食べながら
タバコを吸うと
はぁ…
おいしいんですよ
(鯨井)変ですか?
いや
同じ癖がある人 知ってるから
(水槽の泡の音)
(工藤)ごちそうさん
(グエン)大丈夫ですか?
(鯨井)痛っ… あぁ 大丈夫です
(グエン)工藤さんが また彼女さんを 連れてきてくれてうれしいです
(鯨井)あ… いや
あ… あの 私
(グエン)どうか
末長く お幸せに
(鯨井)さっきのお店の人
私のこと 彼女だと思ったみたいですよ
(工藤)ははっ
-(工藤)1匹ちょうだい 元気なやつ -(店主)OK
-(子ども)工藤! -(工藤)よう!
(鯨井)いいんですか?
本物の彼女に怒られますよ
(店主と工藤の会話)
これ 今日のお土産
(鯨井)ふふっ かわいい
(工藤)じゃ
(鯨井)あっ おやすみなさい
彼女… いるんだ
どんな人なんだろうねぇ
はぁ… 痛い
(行き交う車のクラクション)
(喧騒が消える)
(シャッター音)
(シャッター音)
(シャッター音)
(男性)さよなら
(鯨井)さよなら バイバイ
(シャッター音)
なんで令子さんが?
(遠くの犬が吠える声)
(犬の声が消える)
(ぼんやりと聞こえる 住人たちの声)
(グエン)これ マジか…
(男性)あなたは人間ですか?
それともジェネリックですか?
あぁ? 誰だ あんた
はじめまして 蛇沼みゆきと申します
(ユウロン) こいつ友人ですか? こいつ友人?
俺はタオ・グエン
3年前まで こん中の喫茶店で働いてた
(都会の喧騒)
(グエン)取り壊された街が なんで存在してる?
(蛇沼)あなたにも見えるんですね
お互いに情報交換が必要ですね
(セミの鳴き声)
(工藤)こういうボロい部屋も
ちゃんとメンテナンスしてやりゃ 住めるんだよ
おい 鯨井 熱中症で倒れんなよ
(鯨井)はぁ…
はぁ…
はぁ…
はぁ…
(工藤)代われよ
(鯨井)はぁ… 水 買ってきましたよ
ちょっと 工藤さん こんなとこで寝ないでくださいよ
工藤さん
工藤くん
タイムカード 押さないと遅刻しちゃうよ
(鯨井)んっ!
はぁ… はぁ… はぁ…
(工藤)悪い 間違えた
俺 今日 もう上がるわ
あっ!
(上空から響くジェネテラの音)
(室内に流れる音楽)
(周たち) ♪ ハッピー バースデー トゥ ユー
♪ ハッピー バースデー ディア 陳(ちん)さん
♪ ハッピー バースデー トゥ ユー
(グエン) その日は楽しかったですね
え… ご存じなんですか?
ご存じも何も 僕が撮ったんじゃないですか
工藤さんが あなたにプロポーズした記念写真
プロポーズ
私に?
はい
(水の泡の音)
(鯨井)この人⸺
(泡の音が 大きくなっていく)
(泡の音が 大きくなっていく) 私… なんですか?
はぁ… はぁ… はぁ…
はぁっ…
(ローズ)発(はじめ)ちゃん
いつまで寝たフリしてんの?
ここは いつでも 逃げてきていい場所だけど
逃げっぱなしは毒よ
(小黒)まだぁ?
おぉ うまそう 謝々
レモン! うまそうにしろよ
(楊明)レコぽん それ 記憶喪失ってやつじゃない?
(鯨井)え?
だって これ 覚えてないんでしょ?
そこに写ってるの 私じゃないと思う
(楊明)ん? なんで?
よく分かんないんだけど
どれが私で 私じゃないかは
私が決めたい
ダメかな
それ めっちゃステキ!
(小黒)はい レモンチキン お待たせ 熱いうちに食え
(楊明)ありがとう よし! 鯨井Bのことは いったんナシ
(鯨井)鯨井B?
(楊明)うん 本物の鯨井令子はレコぽんだから
この人はB
(鯨井)はぁ
(小黒)レコぽんって誰だ? 鯨井は鯨井だろ お前バカか
-(楊明)いいの! -(鯨井)ははっ そうだね
(楊明)じゃ いただきます!
(鯨井)いただきます
(鯨井)ん~ おいしい
-(鯨井)おいしい! -(楊明)ん~!
-(小黒)だろ? -(鯨井)うん
(小黒)いっぱい食え
-(楊明)くーっ! -(鯨井)はははっ
(近づく足音)
(鯨井)お疲れさまです
(工藤)どったの?
(鯨井)レモンチキン おいしかったから
本当かよ
本当ですよ!
うまいです
だから言ったじゃないですかぁ
すべて ニセモノ
ジェネリック九龍と 我々は呼んでいます
あの街は風景も人間も 第二九龍そっくりに復元されていますが
現実には存在しません
ジェネテラの試験運用中に 偶然 生まれたものです
(ユウロン・中国語)
(ユウロン:日本語) 僕が作ったジェネテラは
プシュー
無限
(蛇沼)ジェネテラを開発した ユウロン博士です
3年前 ジェネテラに 想定外のエネルギーを有する何者か
Xの記憶が流れ込みました
(ユウロン)Xじゃない!
(中国語)
(ユウロン:日本語) 僕のジェネテラに改革を起こした
ん~ まだ見ぬ僕の友人だよ!
ねっ
Xの強い記憶が
ジェネテラに作用した結果
あの街を出力したというのが 我々の見立てです
(中国語)
(グエン)じゃあ 俺は お役御免ってこと?
あなたのおかげで
あの街に本人とニセモノが 同時に存在できないことが分かりました
ご協力に感謝します
それで?
これから どうするつもり?
(上空から響く ジェネテラの音)
(上空から響く ジェネテラの音) (ユウロン)受診者のデータに 少しでもエラーを見つけたら
(上空から響く ジェネテラの音)
(上空から響く ジェネテラの音) ソッコー報告
ソッコー報告
この街を生んだX 僕の友人を見つけるんだ
(一同)はい!
(蛇沼) それは あなたの目的でしょ?
死者の復元は人類のロマン
我が社の使命です
人間は年を重ねるたびに 過去に惹かれていく生き物です
このジェネリック九龍に住む 住人ジェネリックが解明されれば
永遠に懐かしい世界で
愛する人と生きていける
(シャッター音)
(蛇沼)これは
人類の夢です!
(グエン) よっぽど大事なんだ その人
つけようか?
(蛇沼)私が殺した母です
九龍に置き去りにして
結局 何もできなかった
(グエン)あぁ
それで しっくりきた
(蛇沼)何?
九龍で拾われた養子って噂
本当なんだ?
(蛇沼)あなたと話していると 調子が狂う
(グエン) お母さんに 会いたいんだ?
(蛇沼)私は執念深いんです
(リズミカルな太鼓の音)
(ダンサー)フォー!
フォー!
フォー!
プルルルーッ!
(一同) へーびぬま! へーびぬま!
へーびぬま! へーびぬま!
へーびぬま! へーびぬま!
(リズミカルな太鼓と 人々の声が続く)
(一同) へーびぬま! へーびぬま!
へーびぬま! へーびぬま!
へーびぬま! へーびぬま!
へーびぬま! へーびぬま!
へーびぬま! へーびぬま!…
(店長)ビバ! ビバ! あははっ!
へーびぬま!
(工藤)店長!
(店長)あっ!
(工藤)これ! なんの! バカ騒ぎ!?
(店長)あっ 蛇沼製薬が!
クリニック! 開くことになったんだよ!
(店長)へーびぬま!
(工藤)はぁぁ!?
(スタッフ)へびぬまー! 健康診断
(鯨井)ねぇ 私 やっぱりいいや カウンセリングなんて
(楊明)えっ 待って待って
(鯨井)おぉっ あぁ ごめんね お母さん
(楊明)少しでも きれいになって 安藤(あんどう)さん振り向かせなきゃ
(鯨井)“工藤”さんね
(楊明)そう 工藤さん
(ダンサー)オープン記念の 無料健康診断 アーンド!
無料カウンセリング
美容カウンセリングもあるよ! ぜひ やってってね
全部フリー 全部フリー 無料! OK!
(歓声)
バーカ!
(一同) へーびぬま! へーびぬま!
へーびぬま! へーびぬま!
へーびぬま! へーびぬま!
どうなってんだよ…
(スタッフ)鯨井令子さん
(鯨井)あ… はい
(スタッフ)鯨井令子さん?
(鯨井)あ はい
(スタッフ)こちらへ どうぞ
(楊明)私は?
(スタッフ) このまま お待ちください
(鯨井)じゃあね
-(楊明)レコぽん あとで! -(鯨井)うん あとでね
(スタッフ)どうぞ
お待たせしました
(蛇沼)どうぞ
鯨井令子さん 目元のシワが気になってるんですね?
はい
では 少し お顔を拝見させてください
(蛇沼)すばらしい…
(鯨井)え?
(蛇沼) 肌つやも手触りも すばらしい
体温もちょうどいい すばらしい!
シワは…
あ… こ… ここです
わっ!
シワはこれか…
なるほど すばらしい
うわっ!
(蛇沼)失礼ですが ご結婚はされていますか?
家族構成は?
ご出身はどちらですか?
あ… 分かりません
(蛇沼)といいますと?
記憶が… ないんです
変ですよね
(蛇沼) 1つだけ言えることがあります
あなたのシワには歴史がない
歴史?
本来 シワというのは
泣いたり笑ったり
日々の生活の積み重ねで できるものです
シワとは その人の人生
まさに歴史そのもの
でも あなたのは違う
ただの溝だ
あなたの記憶など
初めから 存在しないのかもしれませんね
(グエン)おい あんた!
(鯨井)はっ!
-(グエン)くそ… やっぱり -(鯨井)金魚茶館(きんぎょさかん)の
(グエン)あんたは 令子さんのニセモンだ
それ どういう…
俺の知ってる令子さんは もう この世にはいない
(蛇沼) この街で暮らすジェネリックには
オリジナルとなる人間が 現実にも存在する
あなたのような
(蛇沼) オリジナルが死亡しているケースは
彼女が初めてです
彼女は ほかのジェネリックとは違う
顔のシワに悩み 記憶がないことに戸惑い
そう まるで本物の人間のように 自我を持ち生きていた
彼女が なぜ自我を持ち得たのか
そのからくりが分かれば 死者復元の手掛かりになる
ようやくです
(上空から響くジェネテラの音)
(ジェネテラの音が続く)
(ライターをこする音)
(鯨井Bの声)工藤くん
抜け道を覚えること… マージャンをすること…
水餃子を食べること… 切れかけの電灯…
すれ違う人の汗のにおい…
(鯨井B)そんな九龍を なぜか無性に懐かしく感じない?
私はこの懐かしいって感情は 恋と同じだと思ってる
私
九龍に恋してるのよ
ふふっ
(工藤)んっ!
(通過する飛行音)
(鯨井)はぁ…
私じゃない!
(風が吹き込む音)
(中国語の会話)
(周)鯨井ちゃん 珍しいね こんなとこで
(鯨井)あ… ジャオベイって 本当に当たるんですか?
(周)あ?
やってみなきゃ分からんよ
(周)はい
まず 神様に願い事を伝えて
このジャオベイを地面に落とす
表と裏が出たら“聖杯(シャンベイ)” 願いは聞き入れられる
表と表 裏と裏が出たら やり直しだ
やってごらん
(鯨井)えーっと…
工藤さんが鯨井Bと同じように
私に接してくれますように
えー 工藤さんが
鯨井Bと同じように 私のことを好きになってくれますように
工藤さんと鯨井Bのような関係に なりたい
工藤さんの恋人になりたい
鯨井Bのように
(落とす音)
(周)鯨井ちゃん
真面目にやってる?
(鯨井)やってますよ
(周)大切なのは他人じゃない
自分がどうなりたいかだよ
(鯨井)自分が どうなりたいか
(周)うん
んっ
(鯨井)うん…
(鯨井)ほかの誰でもない
私は
絶対の私になりたい
(落とす音)
ははっ
(キーボードを打つ音)
工藤さん
(工藤)あ?
前に“工藤さんに懐かしさを感じる” って言ったの
覚えてますか?
(工藤)あぁ
(鯨井)工藤さんは 私にも感じますか 懐かしさ
あぁ
感じるね
誰を見てるんですか?
私を見てください
(近づく足音) (蛇沼)おはようございまーす
鯨井令子さん
(鯨井)あ… 蛇沼製薬の
どうも
(工藤)あ~ん
お知り合いですか
(蛇沼) クリニックが大繁盛でしてねぇ
この辺りに もう1軒 開こうかと
(女性)お兄さ~ん
(女性が話しかける声)
(蛇沼)懐かしい
(鯨井)蛇沼さんも⸺
恋をしてるんですね この街に
懐かしいって感情は恋と同じだって
恋?
(工藤)何やってんだ! お前 こら ふざけんな!
(鯨井)ちょっと! 工藤さん!
(工藤)あぁっ! 痛っ…
痛っ!
鯨井令子さん
今 あなたがここに存在している
この事実が 何よりもすばらしいんですよ
くれぐれも 街の外には出ないように
どうして?
(蛇沼) あなたを失いたくないからですよ
(鯨井)わっ!
あぁ!
(工藤)だぁー 何やってんだよ!
また誰かと間違えてます?
(鯨井Bの声)工藤くんの名前の “発”っていう字と
数字の“八”って発音 似てるよね
“ファ”と“バァ”
(嗚咽する声)
うあぁ…
うあぁーっ!
あぁっ!
(工藤)うあぁっ…
ふっ…
(上空から響くジェネテラの音)
(ジェネテラの音が続く)
(鯨井B)私の夏は今日で終わり
(工藤)結婚しよう
(鯨井B)え?
しませんか? 結婚
(鯨井B)誰を見てるの?
(鯨井)誰を見てるんですか?
(鯨井B)切れかけの電灯 カビくさい…
(工藤)カビくさい路地裏 すれ違う人の汗のにおい
(鯨井B)そんな九龍を
なぜか無性に懐かしく感じないか?
(鯨井B) プリプリの水餃子は正義だから
(工藤)お前は このプリプリの水餃子に
正義を感じないわけ?
(鯨井)感じません まぁ 味は好きですけど
(鯨井)工藤さんには 時々 感じます 懐かしさ
(鯨井B)私を見て…
(鯨井)私を見てください…
(グエン)写真に残らない街か
(グエン)工藤さん
(工藤)お前
あははっ!
なんだよ! 元気だったか?
はははっ!
おぉっ
(グエン)やっぱ 工藤さんは工藤さんっすね
(工藤)ははっ あぁ?
お前は…
変わったな
人は変わるもんです
変わっていいんです
俺だって歳 取ったろ
工藤さん
こんな所いたらダメだ
いつまでも過去に閉じこもってたら どうなるか
(工藤)グエン
悪いけど
俺は行かない
鯨井令子がいるからですか?
俺は
令子さんが好きじゃなかった
あの人からは 死のにおいがしたから
あいつは令子とは違う
じゃあ なんで この街に こだわってるんですか?
ほかに行く所がないんだよ
(グエン)工藤さん 分かってますよね
この街も人も
あなた次第で消えてしまう ニセモノなんだよ!
(鳥のさえずり)
(近づく足音)
(小黒)どこまで行くの?
ねぇ
こんな端まで来て ほんとに仕事あるの?
聞いてる?
聞いてる?
(ユウロン)どうぞ
(小黒)ほんとに外 出るだけで お金くれるの?
(ユウロン)もちろん
さぁ いいバイトでしょ? ははっ
(小黒) お兄さん だましてないよな?
(ユウロン)まさか
僕の目を見てよ
(小黒)触らないで
やっぱ帰る
ダーメ!
(小黒)え…
(歪んだノイズ)
はっ…
(蛇沼)やはり普通のジェネリックは 外に出られないようですね
(ユウロン) 普通じゃない鯨井令子で試してみる?
ふふふっ 冗談だよ
冗談
小黒
小黒!
(水の泡の音)
(上空から響くジェネテラの音)
(工藤)会社サボって何してんだよ
(鯨井)これ お返しします
私は
工藤さんが知ってる 鯨井令子じゃないんでしょ?
私 分からないんです
自分がいつから この街にいるのか
いつから この会社で働いてるのか
スイカ食べたあとタバコ吸う癖も あの人の借りものなのかもしれない
でも私のものだってあります
自分で選んだ新しい靴
新しい友達
レモンチキン
それから…
工藤さんに恋をしてること
(工藤)その感情も お前のものじゃない
ただの錯覚だ
(鯨井)ただの錯覚で 人を目で追いますか!?
胸が詰まったりしますか?
ただの錯覚で
人に触れられたいなんて 思いますか?
(工藤)ははっ
なんで こうなるんだよ…
ずっと うまくやってたんだ…
付かず離れず
前にも後ろにも進まない
始まりもしないし 終わりもしないし
それでよかったんだ!
なのに
なんで今さら…
(遠ざかる足音)
うぅ…
(降りだす雨の音)
(嗚咽が続く)
(泣き叫ぶ声)
(周)こんなひどい雨 初めてだ
(鯨井B)生き物は飼わない
どこにも行けなくなっちゃうから
(蛇沼) 工藤 発を知っていましたね?
(雷鳴)
(蛇沼) 愛する人を失った衝撃と悲しみが
はかり知れないエネルギーを生んだ
気づいてますよね?
彼がXだと
(グエン)俺は
工藤さんを救いたいだけ
(蛇沼) 私は鯨井令子を手に入れたい
これは2人の秘密にしましょう
ユウロン坊やに知られたら⸺
実験動物にされて終わりだ
(グエン)工藤さんが
今の鯨井令子を選んだら どうなる?
(雷鳴)
(鯨井)店長 入居者申込書の確認 お願いします
(店長)はいはい
はいはいはい
(時計のアラーム音)
(店長)お疲れ~
そこのゴミ 捨てといてね
(鯨井)あの!
なんで いつも 定時に帰るんですか?
え?
(雨音が聞こえなくなる)
(雨音が戻る) (店長)じゃ またあした
(走っていく足音)
(雨粒が傘を打つ音)
はぁ…
まぶしい
(セミの鳴き声)
(楊明)ずーっと8月?
(鯨井)うん
おかしいよね 今まで気づかなかったなんて
(楊明)ほんとだ
私 夏の終わりに引っ越してきたのに ずっと夏
(鯨井)うん ここから出たいと思う?
(楊明)ん~ いや 居心地いいし 私はべつに
レコぽんは?
(鯨井)私は…
出られないかもしれない
(楊明)なんで? いつだって 出たい時に出ればいいんだよ
そのあとは?
(楊明)知らない
だから面白いんじゃん ふふっ
ん~ うまっ ふふふっ
(楊明)うわっ!
何? 何? どうしたの?
(外から聞こえる雨音)
(玄関のブザー音)
はーい
(鯨井)工藤さん
今日が明けたら
命日なんだ
顔が見れてよかった
(鯨井)待って
入ってください
風邪ひきますよ
(雨音)
(鯨井)お茶 どうぞ
(工藤)サンキュー
鯨井
その本
(鯨井)あぁ
店長の借りたんです
(工藤)旅行
行きたいのか?
(鯨井)いや…
私 雪 見たことないし
(工藤)金魚はどうすんだよ
置いてくつもりか?
(鯨井)大丈夫です 最期まで 一緒にいます
(工藤)そう
(鯨井)ずっと一緒だよね サクセス
(工藤)サクセス?
(鯨井)え… この子の名前です
(工藤) お前 どういうセンスしてんだよ
(鯨井)えぇ? おかしいですか?
(工藤) おかしいだろ どう考えても
(鯨井)おかしくないですよ
(工藤)金魚だぞ
(鯨井) どこが おかしいんですか?
(工藤)もっとプリティーな名前 あんだろ はははっ
(鯨井)えぇ…
(遠くに聞こえる雷鳴)
(鯨井)うわっ
工藤さん?
(雷鳴)
(工藤)どこにも行くな…
ずっと そばにいろ…
(照明が点滅する音)
(照明が点滅する音) (工藤)ずっと…
(照明が点滅する音)
(水の泡の音)
(街の電気が消える音)
(ジェネテラの異常音が響く)
(鳥のさえずり)
(時計のブザー音)
(工藤)んんっ
悪ぃ
おはようございます
(工藤)おはよ
(鯨井)ふふっ
(工藤)へへっ
(工藤)なんだよーっ! なんだ その反応は!
(じゃれ合う声)
(キスの音)
-(鯨井)暑い! -(工藤)あっつ!
(鯨井)暑い はぁ… 暑い
(風の音)
ふぅー
(走ってくる足音) (電灯が点滅する音)
(2人)はぁ はぁ はぁ…
(工藤)ヒザ痛い ヒザ痛い… ヒザ痛い
(鯨井)あれ?
店長 今日 お休みですかね
(工藤)あぁ?
そんなこと 一度もなかったけどな
(鯨井)あっ 店長 すいません
おはようございます
(工藤)なんで閉めてんですか?
(店長)消えろ
(鯨井)え?
(机を叩く音)
お前ら 誰だよ
消えろ!
(ジェネテラの異常音が響く)
見てんじゃねぇよ! おい! 消えろよ!
消えろよ! おい! お前ら消えろ!
(ジェネテラの異常音が続く)
(工藤)周さん?
(周)なんだよ 2人して辛気くさい顔して
(鯨井)周さん
九龍も限界なのかもな
まっ 最後ぐらい パッとやろうよ
(助手1)つまり これ以上の高温に 耐えられるとも言えず
(助手2・中国語)
(助手2:日本語) もうフレームの限界を超えている!
崩壊が始まるのも時間の問題です!
ジェネテラのフレームに 限界はないのでは?
(助手1)コアが ここまでの熱力を 発するとは 誰にも予測できず
(助手2)フレームが崩壊すれば ジェネテラの制御を失います
ジェネテラを失えば この街が消える
この街が消えれば
鯨井令子も…
Xだ
Xを制御すれば
ジェネテラを制御できる
(ジェネテラの異常音が響く)
(周が歌う声)
(鯨井)ステキなお店ですね
(ローズ)あら そう? ありがとう
ここね 九龍の最後の砦(とりで)
男たちの隠れ家ってやつ
(2人)ふふっ
♪(カラオケ:「田園」のイントロ)
(歌声が続く)
(マイクのハウリングの音)
(鯨井Bの声)工藤くん
♪ ヘイヘイ ハー アアアー
(周)よっ!
♪ ヘイヘイ ハー アアアー
(鯨井Bの声)切れかけの電灯
カビくさい路地裏
すれ違う人の汗のにおい
私 九龍に恋してるのよ
(ハウリングの音)
(ハウリングの音)
(鯨井)私は
ここじゃなくても 大丈夫になりたい
どこにいても 大丈夫な
絶対の自分になりたい
工藤さんは?
俺は
(工藤)令子
(鯨井B)工藤くん
(水の泡の音)
なんで?
(押し寄せる水の音) (鯨井)うっ!
(鯨井)工藤さん!
ダメ!
(水の泡の音)
(鯨井)サクセス?
(工藤)おはようございます!
(店長)おはよう 工藤くん
(鯨井B)工藤くん そこ どいて!
(工藤)うわっ!
(タイムカードの作動音)
(鯨井B) はぁ… ギリギリセーフ!
(店長の拍手) (鯨井B)あはははっ!
(工藤) 大人げないっすよ 先輩のくせに
(鯨井B)あら そう?
(鯨井B) プリプリの水餃子は正義だから
(鯨井B)工藤くんの名前の “発”っていう字と
数字の“八”って発音 似てるよね
私の夏は今日で終わり
しませんか? 結婚
(シャッター音)
工藤くん
(工藤)令子
令子
入るぞ
(瓶が転がる音)
(セミの鳴き声)
(セミの鳴き声が消えていく)
(鯨井)はぁ… はぁ…
(水が波打つ音)
(鯨井)はっ
はぁ… はぁ…
(鯨井B)やっと会えたね
(水が波打つ音が続く)
(鯨井B)私は 彼に愛されて幸せだった
じゃあ なんで あんなことしたの? なんで?
幸せだった
だから?
だから
逃げたかった?
知らない
工藤さんは あなたのこと愛してたのに
分からない
あなただって工藤さんのこと!
分からない!
人の心の中なんて
分からない
工藤さん
(工藤)俺のせいなんだよ
俺が令子を殺した
違う
そんなことない
お前に
お前に何が分かるんだよ
工藤さんは
彼女を愛してた
なんで お前…
そんなこと言えんだよ…
意味ねぇ
そんなの 何の…
(鯨井)彼女は自分の道を選んだ
悔しいけど
誰も変えることはできないけど
でも 工藤さん 生きてるじゃないですか!
生きてるから 自分の道を 自分の足で進めるじゃないですか!
教えてくれたの 工藤さんじゃないですか
この街の懐かしさも
サクセスくれたのも
誰かのこと好きになって
すっごい苦しくて
でも もっと幸せで
あったかくて
ほら
あの いい歌 歌ってくれたじゃないですか
レモンチキンだって
“あぁ おいしいなぁ”とか 言ってたじゃないですか
誰かのマネなんかじゃないです
私の好きは
私の好きです
似てねぇなぁ
やっぱし
え?
鯨井は⸺
鯨井の顔してる
(ジェネテラの異常音が響く)
(鯨井)工藤さん
好きです
(工藤)俺も
好きだ
(ジェネテラの音が続く)
(上空で響く衝撃音)
(鯨井)工藤さん?
鯨井 お前は…
(蛇沼)ニセモノは ここでしか生きられない
外に出た瞬間 跡形もなく消える
彼女のために戻ってください
あなたが彼女を生んだ その責任を取るべきです
工藤さん
私は 消えません
今 私のこの気持ちが絶対だから
それは私として間違ってないと思う
ニセモノに惑わされるな
鯨井
お前 本当に後悔しないか?
工藤さん しつこいですよ
お前が消えたら…
俺は後悔するかもしれない
でも
それでも 一緒に明日を生きてみたい
死んだ彼女を見捨てるのか!
忘れて前に進んでいいなんて そんなこと!
許されない!
てめぇを許せるのは
てめぇだけだ
やめろ!
離してください! 離せ!
-(蛇沼)離せ! -(グエン)嫌だ!
(2人)うわぁー! はははっ!
(鯨井)大丈夫ですか?
(2人)あはははっ!
(ジェネテラが破裂する音)
(工藤)聖杯!
♪~
~♪
(炒める音)
-(小黒)はい お待たせ -(工藤)ほい
(小黒)はい
はい レモンチキン
いただきまーす
あっつ…
うんまっ
(小黒)はい お待ちどおです お待たせしましたー
(スーツケースを引く音)
(スーツケースを引く音)
(女性)ここ いいですか?
どうぞ
いただき!
ん~!
あっつ! ははっ
(小黒)どうぞ
何から話しましょうか
(工藤)ん~
そうだなぁ
てか お前 またシワ増えた?
もう 相変わらず デリカシーとか1ミリもないですよね!
何それ 食えんの?
(2人)ははははっ!
(笑い声)
はははっ!
(小黒)あー 雪だ! 雪
-(工藤)あ? -(鯨井)え? 雪?
(工藤)雪?
(鯨井)わぁ ほんとだ
(工藤)どうりで寒(さみ)いわけだ
(鯨井)工藤さん 雪で 頭 冷やしたほうがいいですよ
(工藤)お前なぁ さっきから
お前こそ デリカシーが ねぇんじゃねぇのか
(鯨井)はははっ
(3人の会話が続く)
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