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(ロイド)俺の名はロイド 支援魔法を得意とする白魔導師だ
冒険者パーティーでは 戦闘のサポートに専念している
そんな俺を迎え入れてくれた パーティーと共に
モンスター討伐のため 農場へ向かったが
俺は まだ実力不足なのだ
こんな俺でも役に立つなら 彼らの力になりたい
もっともっと鍛錬しなくては
(ロイド) あの時のパウラークの動きは
明らかにおかしかった
群れ全体が まるで どこかを目指しているような…
(ロイド)警戒レベルを 上げたほうがいいかもしれないな
(ユイ)ロイド… ロイド!
あっ
(ユイ)ねえ ロイド 今夜も1人で見張りをするの?
(ロイド)ああ そのつもりだが
(シリカ)こうも連日だと 体を壊してしまいますよ
これまでどおり交代で…
いや 問題ない
いざという時のため みんなは体力を温存してくれ
でも それじゃロイドが
徹夜には慣れている
それに 俺は半人前だからな
これくらいしか役に立てそうもない
そんなことないよ
ロイドは私たちの大切な… あっ
ユイ
シリカ…
ロイドさん つらくなったら いつでも声をかけてくださいね
(ロイド)ああ 了解した
(クロス・ダッガス)んん…
♪~
~♪
(ユイ)んん…
ハァ…
フゥ…
異常なし
(ユイ)ロイド 何してるの?
周囲にモンスターがいないか 探知魔法をかけていたんだ
探知って…
そんな魔法まで使えるの?
大したことじゃない
そこまで広い範囲を探ることは できないからな
だが やらないよりはいい
これからは 定期的に探知魔法を使って
周囲の安全を確かめようと思う
そうすれば モンスターの奇襲を防げるはずだ
すごく助かるよ
でも それだと ロイドの負担が大きすぎない?
(ロイド)いや 問題ない
(ユイ)ほんとに?
ああ
じゃ… じゃあさ 私たちが手伝えることないかな?
特にないが
(ユイ)うっ…
そっかあ
うう…
ん?
(ユイ)私たち ロイドに信用されてないのかな
何でもできるロイドは すごいし頼もしいけど
頼られないのは ちょっとさみしい
私たち 仲間なのにさ
しかたないよ 人には それぞれペースがあるから
ペース?
(シリカ)私たちだって 最初から 仲がよかったわけじゃないでしょ?
たくさんの時間を積み重ねて 今がある
ロイドさんの実力と自己評価が ちぐはぐなのも
必要以上に頑張りすぎてしまうのも
何か理由があるんじゃないかな
そう考えると ロイドって不思議よね
世間知らずなようで物知りだし
今まで どんな生活を 送ってきたのかな
本人の口から話してくれる日が きっと来ると思う
それまでは 焦らず ゆっくりでいいんじゃないかな
そっか… そうだよね
ありがとう シリカ
(シリカ)ううん
それにね もしかしたら 想像以上に斜め上かもしれないよ
ロイドさん 変わってるから
(ダッガス)精が出るな
(ロイド)ダッガス
(ダッガス) 手伝ってほしいことがある
ついてきてくれないか?
かまわないが 見張りを放り出すわけには…
(クロス)行ってこいよ
見張り やっとくからさ
(クロス)さて どうなることやら
(ダッガス)よし 完成だ
(ロイド)ダッガス これは?
(ダッガス)特別製の鳴子(なるこ)だよ
モンスターが近づいたら こいつが音で知らせてくれる
なるほど 便利だな
(ダッガス)ああ だからロイド 今日は休め
あっ…
厚意はありがたいが 必要ない
お前がパーティーに入る前から 休む時は こうしていたんだ
遠慮はいらないぞ
しかしだな
眠ってしまうと 探知魔法が使えない
やはり 俺が見張りを…
ロイド
信用できないか?
いや 鳴子の性能を 疑っているわけじゃないんだ
ただ 念には念を入れたほうが 確実と思っただけで
(ダッガス)そっちじゃない
俺たちのことを 信用できないかと聞いているんだ
まさか! そんなはずはない
(ダッガス)だが お前は—
夜警や索敵を1人でこなし 俺たちと関わらせようとしない
信用するに値しないという 意思表示と受け取られても
おかしくないぞ
そんな 俺は ただ…
(マーリン) お前は まだまだ半人前だ
(アレン) 役に立たないし 目障りなんだよな
俺は 頑張らないと みんなに迷惑をかけてしまうから
(ダッガス) かければいいじゃないか
えっ?
俺たちは何のために パーティーを組んでるんだ?
1人じゃできないことを みんなでやるためだろう
迷惑をかけ合うことだって 織り込み済みのはずだ
もっと仲間を頼れ ロイド
頼る…
(ダッガス)そうだ
(ロイド) か… 考えたこともなかった
(ダッガス)ハァ… 今まで どんな環境にいたんだ
だが 本当にいいのだろうか?
実力不足の俺が 誰かを頼るなんて
俺たちのパーティーに
ロイドが実力不足だと 思ってるヤツはいない
ダッガス…
帰って寝るぞ あしたも早い
(ダッガスの寝息)
仲間… か
(ユイ)ん~!
-(ロイド)ユイ -(ユイ)ん?
あっ おはよう ロイド
ああ おはよう
その… だな
(ユイ)ん?
み… 水くみを 手伝ってくれないだろうか
(ユイ)あ…
ええ もちろん!
(3人)フフフッ
(魔導兵)報告いたします
指定された座標への魔石の設置が 完了しました
(ミシュル)そうですか
これで 道は拓(ひら)かれました
イシュタルを拠点にしている 上位ランクの冒険者たちは?
(魔導兵)集めたモンスターの 被害による依頼が殺到したため
ほとんどが出払ったようです
(ミシュル)誘い出しは成功と
(魔導兵)残っているのは
低ランクの冒険者と 勇者パーティーだけかと
(ミシュル)欲を言えば 彼らも 遠ざけておきたかったのですが
勇者が動くのは国からの要請のみ
しかたありません
むしろ 勇者パーティーだけで どこまでやれるか
見ものですね
クライアントに伝えなさい
“頃合いです”と
(魔導兵)仰せのままに
我らがあるじ ミシュル様
(ミシュル)フッ
この森 なんかおかしいよ
(ダッガス)同意見だ
(シリカ)そうね あまりにも不自然です
(クロス)ここら辺の森に 足を踏み入れてから
モンスターの姿が全く見えない
街道なら いざ知らず
こんな深い森で 気配すらしないなんてこと
普通 ありえねえよ
ねえ ロイドが魔法で 何かしてたりする?
いや 時々 探知魔法を使ってはいるが
モンスターを 寄せつけないなんて効果はない
そっか
では この状況は一体 何なんだ?
少し探知範囲を広げてみよう
はあっ!
-(ロイド)あっ! -(ユイ)ロイド 何か分かった?
ここから2里半先のところに モンスターの群れを確認した
(ユイたち)えっ?
その方角って
ちょうど俺たちが目指してる 農園の辺りじゃないか?
ああ 具体的には…
(ユイ)ちょ… ちょっと待った!
2里半って ロイドは その距離を すべて探知できるっていうの?
そうだが?
この前 広い範囲を探ることは できないって!
ああ だから 大した距離じゃないだろう
2里半くらい
なっ… あっ あっ…
(シリカ)常人の10倍の距離ですね
(ロイド)あっ し… しかしだな
探知範囲を広げると 魔力消費量が格段に多くなるから
使い勝手は よくないんだぞ
そういう問題じゃなーい!
ユイ 気持ちは分かるが 今は それどころじゃないだろ
ロイドに驚いてちゃ 心臓が いくつあっても足りねえよ
そうですね
ひとまず その場所に向かいましょうか
(ロイド) 何かマズいことを言っただろうか…
(ロイド)モンスターの群れの 反応があったのは
依頼先の農園で間違いないようだな
(ユイ) 数が多いとは聞いていたけど
この数は異常よ
(ハイウルフのほえ声)
(ロイド)おかしい
そうね
こんな大規模なハイウルフの群れ 見たことがないわ
いや そこじゃない
えっ?
探知魔法でモンスターの 反応があったのは
ここだけだった
では 他のモンスターは どこへ行った?
確かに
森には ハイウルフより 強いモンスターもいるはずですし
単なる生存競争の結果とは 考えにくいですね
森には争った形跡すらなかったぜ
理由もなしに モンスターが 縄張りを捨てるとは思えんしな
この農園の持ち主は 今 どこに?
えっと 確か ハイウルフのせいでケガをしたから
街にある息子さんの家に 避難してるって
そうか
詳しい事情が聞けたら 手がかりがつかめると思ったのだが
あっ! おい あれを見ろ
(ユイ)あれって… 何が?
あれだよ あれ
あの黒い不気味な石みたいなやつ
全然見えないよ~
私たちは クロスほど 目がよくありませんから
俺にも見えない
ならば
んっ…
-(ロイド)見えた! -(ユイ)えっ?
確かに あれは変だな
ロイドにも見えるの?
視力を上げる強化魔法を使ったんだ
みんなにも かけていいか?
お願い!
(ユイ)うーん…
クロスの言うとおり 不気味な石ね
魔石の類いか?
周囲に漂っている 黒いもやも気になりますね
おそらく あれも魔力の一部だろう
それに あの感じ…
獣人の魔力だ
(ユイ)獣人が?
(ロイド) 師匠から聞いたことがある
獣人の中には
モンスターを使役する 珍しい魔法を扱える者がいると
じゃあ あの魔石にも モンスターを使役する力が?
あっ まさか!
ハッ!
探知魔法に反応があった
別のモンスターの群れが こちらに向かってきている
何ですって?
群れの情報は?
(ロイド)いろいろなモンスターが 混在している
数は1000匹を優に超えている
(4人)えっ!
(ロイド) おそらく あの魔石のせいだ
モンスターを集める力が あるのだろう
でも 何のためにそんなこと…
(ロイド)何者かが 俺たちを消すために?
いや それにしては 方法が回りくどい
おそらく 別の狙いがあるはずだ
ひとまず 退散したほうが いいんじゃねえか?
ダメよ! 農園がメチャクチャにされちゃう
1000匹以上のモンスターと 正面からやり合うつもりかよ!
それは…
それ以前に 逃げられるかも怪しいぞ
モンスターに追いかけられて 街の近くで戦闘にでもなれば
住民に被害が及ぶかもしれませんね
戦おう
(ユイたち)あっ…
俺に考えがある
まずは あの魔石をどうにかしよう
クロス 撃てるか?
(クロス)うーん… かなりの距離だからな
当てられるとは思うけど 壊せるかは微妙だぞ
十分だ 頼む
ん? お… おう
足りない威力は俺がサポートする
(クロス)ふっ!
おお!
俺の矢に何したんだ? すごい威力だぞ
弓と矢とクロスに それぞれ強化魔法をかけただけだ
あっ… 武器と人を同時に 強化できるのか?
(ロイド)ん? これくらい当たり前だろ
いや そんなことは…
それに 俺は 強化魔法を施しただけだ
この距離を一発で当てたのは クロスの実力にほかならない
お… おう
なんか調子狂うな
ねえ みんな 見て!
ハイウルフたちが
魔石を砕いたことで 本来の凶暴性を取り戻したんだ
同士討ちで全滅は無理でも それなりに数が減らせるだろう
すごい こうなることが分かってたの?
モンスターが魔石で 操られていることは明白だからな
これで 群れのほうも 止まることを期待していたのだが…
そうもいかなそうだ
(モンスターたちのうなり声)
(モンスターたちの足音)
(ユイ)来たよ!
(ダッガス)なんて数だ
(モンスターたちのうなり声)
ロイド!
まだだ
(うなり声)
ねえ まだなの?
もう少し
うっ…
(うなり声)
(ほえ声)
(ロイド)今だ シリカ!
(シリカ)んっ!
ファイヤーストーム!
-(シリカ)ああ… -(ユイ)すごい火が
普段とは比べ物にならないぞ
ロイド シリカに何したの?
魔法威力上昇と魔力消費量軽減の 強化魔法をかけただけだ
あっ 足りなかったか?
だ… だけって…
(ほえ声)
(ロイド)シリカ まだいけるか?
あと5回は大丈夫です
よし それが終わったら 風魔法に移行してくれ
クロス 待たせた
(クロス)そろそろだぜ
風魔法で強められた炎が
モンスターと森を どんどん燃やしてる
この煙で
空を飛ぶモンスターの視界は かなり悪いはず
では いくぞ
おう 頼む
(ロイド)聞こえてるか? クロス
(クロス)これが思考共有
すげえ ロイドの言葉が 直接 流れ込んでくるぞ
(ロイド) それじゃあ 探知魔法で得た—
モンスターの位置を知らせる
どうだ 見えたか?
バッチリ
これなら煙があっても関係ねえ!
(クロス)ふっ!
(モンスターたちの悲鳴)
(ロイド)ここまでは順調
シリカ 最終段階に移るぞ!
はい
ですが もう魔力がほとんどなくて
(ロイド)問題ない 手を
えっ?
これは… 魔力譲渡?
-(ロイド)うっ… -(シリカ)ロイドさん!
一度に魔力を渡しすぎただけだ
それよりも早く
わ… 分かりました
ジュビア!
(ロイド)これで山火事は防げたな
はい
でも もう私…
本当に魔力が尽きて…
(ダッガス)おっと
あっ
よくやったな
シリカは休んでて
残りのヤツらは ちゃっちゃと片づけてくるから
あまりムチャしないでくださいね
いや 今のシリカに言われてもね
それにしても ロイド ほんとにすごいわ
こんな作戦を思いつくなんて
大したことはしていない
俺は 支援職として 当然のことをしたまでだ
またそれ…
まあいいわ
あとは私たちに任せなさい!
ああ 頼む
(2人)んっ… フフフッ
(ロイド)ハァ…
この程度で 疲れるなんて
俺は やはり まだまだだな
♪~
~♪
(ダッガス)ぬん!
(ユイ)んっ!
やっぱり ロイドの強化魔法は すごいね!
(シリカ)フフフフッ
(ダッガス) モンスターの殲滅(せんめつ) 終わったぞ
(クロス)お疲れさん
シリカ 調子はどう?
(シリカ) 平気よ だいぶ休んだから
ユイ 早く街に戻ろう
え~? 私たちクタクタなんだけど
急がなくちゃいけない 理由でもあるの?
(ロイド)俺の推測が正しければ
これを引き起こしたヤツの狙いは イシュタルだ
(ユイたち)えっ?
俺たちは ハメられたらしい
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