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(ロイド)ハア…
(アレン)お前には このパーティーを抜けてもらう
(アレン)ロイドってさ—
いつも後ろで ゴソゴソやってるだけじゃん?
白魔導師のくせに 回復はシーナに任せっきりだし—
役に立たないし 目障りなんだよな
(ロイド) 俺は実力不足ってことか?
確かに… そうかもな
ハッ 自覚あったのか
まっ そういうわけだからさ
早く出てけよ ロイド
(シーナ)やっと 邪魔者を排除できましたね
(ミイヤ)あっ 抜け駆けはダメ
(ルル)やっぱりアレン最高!
(アレン)ハハッ だよな? ハハハハッ
(ロイド)ハア…
こんなところにも師匠の像が…
やっぱり師匠は すごいんだな
(マーリン) お前は まだまだ半人前だ
(ロイド)俺は ここでも半人前のようだ
師匠
♪~
~♪
(ダッガス) あれが今回の討伐対象—
土(つち)くれの盗賊団か
(クロス)まっ 作戦どおりにやれば いけそうだな
(シリカ)難易度Aの依頼です 気を引き締めていきましょう
(ユイ)大丈夫 私たちならやれるよ
ファイヤーボール!
(盗賊たち)ううっ!
ぐああっ!
(盗賊1)くっ… 詠唱前後を狙え
隙だらけだぞ
(シリカ)ハア ハア…
(盗賊1)今だ! (盗賊2・3)うおおっ!
(盗賊1)がっ… (盗賊2・3)ううっ!
(クロス)狙った的は外さねえ
フッ
(ユイ)くっ! (盗賊4)ぐうっ…
(ユイ)ふっ! はあっ!
(盗賊4)うぐっ…
(盗賊5)うおおー!
(ユイ)あっ!
(盗賊5)でやあ!
甘いな
(クルム)身体強化!
ハッ 弱い弱い!
(ダッガス)んっ…
ぬううーっ!
(盗賊5)ぐあっ! がはっ…
うう…
(ボス)な… 何なんだ この強さは
に… 逃げなきゃ
(ユイ)あんたがボスね (ボス)ヒイッ!
(ユイ)おとなしく降参しなさい
てめえらは いったい… あっ!
そのプレートは…
(ユイ)そっ 私たちはSランク冒険者よ
(ボス)くっ…
フ… フン
たとえSランク冒険者でも こいつを倒せるかな
ぬん!
(ユイ)あっ!
(ダッガス)みんな 離れろ!
(クルム)ゴーレム
(ダッガス)やっぱりデカいな
(シリカ)それに あの岩の体 魔法の効きは悪いですよね
(クロス)弓矢もな
ワハハハハ!
やれ ゴーレム!
私に任せて
はああーっ!
ぐっ!
うっ…
くっ…
(シリカ)ユイ!
クルム 私に強化魔法を!
(クルム)んっ…
(ユイ)クルム! (クルム)あっ…
(クルム)身体強化!
(ユイ)はあっ!
フウ…
すまなかった
戦闘中に気を抜くなんて 冒険者失格だ
気にしないで
クルムが今 大変なのは みんな知ってるから
妹さん… シルビィーの調子はどう?
そのことなんだが…
(冒険者)うちのパーティーに 入れてほしいって?
悪いけど 白魔導師は間に合ってるんだ
(ロイド)あ… そうか
(ロイド) これで3日連続 空振りか
(ユイ)でもー! そこを なんとかしてよ!
お願い! どうしても フリーの白魔導師が必要なの
それも あしたまでに!
(受付嬢) そうおっしゃられましても…
ご指定の条件では ちょっと…
(ユイ)難しいの? (受付嬢)かなり
そんなー!
誰かいないの? フリーの白魔導師!
ねえったら!
(受付嬢)んん…
あっ! ええと…
あの方なら 一応…
(ユイ)えっ?
えっ?
(ロイド)うわっ… (ユイ)あなた 白魔導師なの?
(ロイド)あ… ああ
所属は?
(ロイド)い… 今はフリー
(ロイド)あ… というか 無職 (ユイ)アハッ
(ユイ)ちょっと ついてきて!
(ロイド)ええっ!
うわー! ととっ…
ただいまー!
早かったですね ユイ
フリーの白魔導師なんて いなかっただろ?
見つかったわ
(ダッガス) だよな 見つかるわけ…
えっ?
紹介するわね
えっと…
ロイドだ
うん
で… こっちは—
盾使いのダッガス
弓使いのクロス
魔術師のシリカ
そして 私は剣士でリーダーのユイ
私たちのパーティーにようこそ ロイド
いや 俺はパーティーに入るとは ひと言も言ってないんだが…
えっ?
そんなことだろうと思ったわ
どうせ ろくな説明もせずに 無理やり連れてきたんだろ?
(ユイ)ギクッ
やっぱ依頼は断ろうぜ
クルムなしで受けるのは無理だろ
そうだな
その男が 代わりになるとも思えない
ユイ 気持ちは分かるけど 今回の依頼は やめておきましょう
(ユイ)でも 私たちが断れば 依頼主はどうなるの?
助けを求めてる人がいるのに…
ほかのパーティーに 依頼を譲ることはできないのか?
それが… できないんです
この依頼の難易度はA
つまり 最低でもAランクの 冒険者パーティーでないと—
受けられません
この街の Aランクを超えるパーティーは—
全員 出払っている
依頼を受けられるのが Sランクの俺たちしかいないんだ
(ロイド)S… 最高クラスの冒険者だったのか
冒険者は登録されている パーティーでしか活動できないから—
ほかから 人を借りることもできねえしな
(ロイド)力になりたいのは やまやまだが…
役に立たないし 目障りなんだよな
くっ…
(ユイ)でも それって つまり—
ロイドが すごい白魔導師なら 問題ないってことよね
へっ?
フフッ
なぜ こんなことに…
さあ ロイド
あなたの支援魔法の腕を 見せてちょうだい
(ロイド)期待されてる
申し訳ない
失望させるだけなのにな
急に腕を見せろと言われても 困るだろう
どんな魔法をかけるか 指示してやったらどうだ?
それもそうね
とりあえず 私たち全員に 強化魔法をかけなさい
へっ?
おい そんなの 普通の白魔導師には無理だろ
やっぱり やめたほうがいいでしょうか
あ… その 確認なんだが—
強化魔法を 君たち全員にかけるのが—
Sランクパーティーに 入るための試験… なのか?
そうよ あっ 一度に全員ってことね
一人一人にかけていくのは禁止よ
(ロイド)これは どういう…
俺は何を求められて…
(ユイ)もしかして できないの?
いや そういうわけでは…
(ダッガス) 強がるのは やめてくれ
これ以上 ユイに期待させるな
(クロス)ああ できないなら 素直に言うべきだぜ
(シリカ)私もそう思います
いや やらせてくれ
杖(つえ)? いったい どこから…
(ユイたち)あっ…
フウ…
ね… ねえ ロイド さっき どこから杖を出したの?
(ロイド) 収納魔法を使っただけだが…
(シリカ)収納魔法?
それで どうだろうか? 強化魔法は
えっ もうかけたの?
(ダッガス)いつの間に…
詠唱もしてなかったはずだが
でも 確かに体が軽いような…
(ユイ)ちょっと待っててね
はあっ!
(ダッガスたち)あっ…
(衝撃音)
ウソ…
(ロイド)身体強化 防御力上昇
魔法威力上昇 魔力消費量軽減
状態異常耐性の5つを かけてみたんだが…
5つの強化魔法を… 全員に?
(ロイド)あ… ああ
1つの強化魔法を 全員にかけろというのは—
あまりに簡単すぎるからな
それ以上の何かを 求められてると考えたんだが…
(ロイド)違ったみたい… だな
低レベルなものを見せて すまなかった
俺に このパーティーの白魔導師は 務まりそうにない
じゃあ 俺はこれで…
(ユイたち) ああっ…
(ユイ) ちょっと待ったー!
へっ?
(ユイたち) ゆ… 勇者パーティー?
あの 世界に4人しかいない勇者が 率いるパーティーのこと?
ああ
まあ 実力不足で クビにされたんだが…
あれで実力不足って…
私 あれほどの強化魔法は 見たことないです
いや 俺より優秀な白魔導師なんて ざらにいると思うが…
お前の認識 どうなってんの?
(ロイド)それより このパーティーには—
もともと 白魔導師が いたんじゃないのか?
俺を入れるよりも その人に 戻ってきてもらったほうがいい
実は…
パーティーにいた白魔導師 クルムには病気の妹がいてね
冒険者をしつつ 毎日 妹の看病をしているの
その疲労から 体調を崩すようになって…
最近は特につらそうで…
前回の依頼の最中も 意識がもうろうとしていたようで—
本人からパーティーを抜けたいと 申し出があったんです
“これ以上 迷惑かけられないから”ってさ
それで 代わりの白魔導師を 探していたのか
並の依頼なら問題ないんだが—
難易度Aともなると 白魔導師がいないと厳しくてな
(ユイ)大丈夫かな クルム
(クロス)心配だよな
(シリカ)ええ
大事に思っているんだな その人のこと
(ユイ)もちろんだよ!
たとえパーティーを離れたって クルムは仲間だもん
(ロイド)羨ましいな
(ユイ)えっ?
あっ いや… 何でもない
それよりも クルムさんの妹の 病状について 聞いてもいいか?
えっと… 詳しくは分からないんだけど—
なんでも 体が魔石になる病気らしくて
ハッ… 体の魔石化!
(ロイド)魔石?
(マーリン)魔力の結晶体だ
その力は 周りのものを 魔石に変えることがある
元に戻せるのかな
(ロイド)ユイ (ユイ)ん?
クルムさんの家まで 案内してくれないか?
(ユイ)この家よ
(ノックする音)
あっ… ユイじゃないか
(ユイ)エヘヘヘッ
(ロイド) ぶしつけな質問ですまないが—
妹さんの病について 聞かせてもらえないだろうか
(クルム)うん
もともと うちは妹のシルビィーと 2人で冒険者をしていたんだが—
とある依頼の最中に 妹がケガを負ってしまってな
(ユイ)モンスターにやられたの?
(クルム)それが分からないんだ
うちが駆けつけたときには もう 気を失っていて…
(ロイド)症状は?
(クルム) 実際に見てもらったほうが早い
(ロイド)うっ!
このイヤな魔力は…
(クルム) これがシルビィーの症状だ
体の魔石化
魔力が暴走して 体が少しずつ 魔石化していくんだ
全身が魔石化するのも 時間の問題だろう
クルム…
(ロイド)俺に任せてくれないか?
は?
俺の推測が正しければ—
シルビィーの病を 治せるかもしれない
(クルム)な… 治すって…
高位の回復魔法の使い手に見せても ダメだったんだぞ
いまさら ただの白魔導師に できることなんて…
おそらく 高純度の魔石で 皮膚を切られたことが原因だろう
シルビィーが傷を負ったのは—
魔力濃度が高い 洞窟か何かじゃないのか?
そ… そのとおりだよ
洞窟で魔石を採取する依頼があって そのときに…
傷口は?
やはり…
ここから入り込んだ魔力が—
体じゅうに散らばって 魔石化を引き起こしたんだ
(クルム)な… なんで そんなこと知ってるんだ?
師匠に教わった
(クルム)師匠?
クルム ロイドを信じてみない?
始めるぞ
うっ くっ…
うっ!
(ユイ)ロイド!
い… 今のは いったい…
魔力譲渡を反転させたものをかけて シルビィーの魔力を吸収したんだ
反転って… 魔法を組み替えたってことか?
ああ
体の魔石化は 魔力の暴走によって進行する
だから 魔力を限りなく ゼロに近くする必要があるんだ
それからでないと 治療は意味をなさない
ここからは回復も並行して行う
ヒール
(クルム)ロイド このヒールは?
普通のヒールじゃないみたいだが…
ああ
とびっきり魔力消費の効率が悪い 出来損ないのヒールだ
これで吸収した魔力を 大量に消費しながら—
シルビィーを回復できる
ねえ これって すごいの?
すごいどころの話じゃないよ
独自の魔法に 2種類の魔法の同時使用
そして何より—
膨大な魔力の行き来に耐えうる 体力と精神力
(クルムが唾を飲み込む音)
普通の人間に できる芸当じゃない
見て!
魔石化していた手足が!
あと少し
シルビィー
(ユイ・クルム)あっ!
プハッ! ハア ハア…
あっ… すごい ロイド! 本当に治しちゃうなんて
(シルビィー)ん…
お姉… ちゃん?
(クルム)あっ… シルビィー!
ああ…
(泣き声)
(2人)フッ
(クルム)本当にありがとうな
シルビィーの体力が回復したら また2人で冒険者をするよ
(ユイ)うん そうだよね それがいいよ
(クルム)今度 メシでもごちそうさせてくれ
(ユイ)元気でね
(クルム)あっ ロイド
お前になら 安心してパーティーを任せられる
あいつらを頼むよ
俺は正式な パーティーメンバーじゃないんだ
実力不足だからな
(クルム)ん? よく分かんないけどさ—
お前は どうしたいんだ?
(クロス)じゃあ シルビィーの病気は治ったんだな
(シリカ)本当によかった
(ダッガス)お手柄だな ロイド
(ロイド) 大したことはしていない
(ユイ)またまた~ 謙遜しちゃって
(ロイド)いや 本当に…
(ユイ)またまたまた~! (ロイド)うっ…
シルビィーが回復したのは 喜ばしいかぎりだが—
クルムがパーティーに 復帰しないのは残念だったな
確かに今後のことは 考えなければいけませんが…
それより うれしさが勝つよな
仲間の新しい門出だ
祝わない道理はないだろう
シルビィーを助けてくれて 本当にありがとうね ロイド
ハッ…
(ダッガス)生まれ変わったら 何になりたい?
(シリカ)お嫁さんになりたいです
(ユイ)えっ 私も! (クロス)乙女かよ
(ユイ)あっ やっぱり このパーティーで—
勇者を目指したいかな
あの…
(ユイたち)ん?
お… 俺をパーティーに 入れてもらえないだろうか
(ユイたち)んん?
あ… まあ 俺なんかでよければだが…
(ユイ)本当に? (ロイド)ヒッ!
てっきり イヤなのかと思っていたが…
そういうことなら歓迎するぜ
ロイドさんがいてくれたら 心強いです
(ロイド)あ…
これから よろしくね ロイド
ああ こちらこそ
よろしく頼む
(ユイ)フフッ (ロイド)え?
それじゃ 歓迎会をしないとね
いや 必要ないが…
(ユイ)ダメダメ!
歓迎会は絶対必要なんだから
(ロイド) そ… そういうものなのか?
そういうものなの
とにかく 歓迎会はするからね
いい? 分かった?
えっ… はい
(ダッガス) ユイは騒ぎたいだけだろ
(クロス)違いない (シリカ)そうね
違います!
ほ… ほんとだよ ほんとに違うの!
♪~
~♪
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