All language subtitles for Aimai na mirai, Kurosawa Kiyoshi (2002).jp

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Original subtitles

(黒沢)はい 「止まれ」ってあるだろ (女の子)はい

あそこまで走って 戻ってきてみようか

ただ 20秒以内ね

(女の子)走って… うん

20秒以内に戻んないとダメ フフッ

はい よーい スタート はい

(スタッフ)いいよ いいよ (スタッフ)いいよ

いや よくはないんだよ

あっ ダメだよ 戻ってこないと

(荒い息遣い)

もっかい走ってみようか

(腕時計の操作音)

(スタッフたちの会話)

結構 速いな

はい はい

あー 今度は30秒だったな 残念だった…

ちょっと 1回 テスト やってみようか (スタッフ)はい

じゃあね もうあったまっただろ もう これ なくても大丈夫だな

(スタッフ)1回 ちょっと ちゃんと履いてやってもらおうか

ほい… (スタッフ)はい

(スタッフ)これ 脱いで 1回 やってみようか

(スタッフ)こっち側 全部 1枚 入れてくれる?

(スタッフ)つながった?

価値観がぶつかり合って➡

しかし 若い世代が 上の世代を乗り越えていく

そして その先に 明るい未来がある

っていう まあ 身も蓋もない テーマを ずばり題名にした

うん だから 自分としては やや気恥ずかしいんですけど

これって あまりに まんまなんですけどって

ただ それを 勘違いしちゃいけないのは➡

僕も含めた…

こう 大人たちにとって 明るいという意味ではないですと

若い人たちが 明るい未来をつくっていく

若い人たちにとって明るい

それが年寄りにとっても明るい

同じように明るいというところに 大変な間違いがあるってことです

それはもう どことも 価値観は対立したままです

(野下)この企画を始める➡

最初のときから 黒沢さんに➡

「藤 竜也さんで お話を ちょっと考えてみませんか」➡

っていうことを言っていて

で 僕も たまたま 全然 別なことで藤 竜也さんを➡

石井竜也監督の『河童』というのと 『ACLI』というのを見て➡

まあ ホントにもう 大先輩で➡

あるイメージが もう できてしまった人かな➡

と思っていたら 結構 自由に➡

いろんな役を やられる方なんだな➡

っていうんで 興味はあったとこだったんですよ

それで どんな内容であるにせよ➡

藤 竜也さんを やはり…

どっかに大きく…

そんとき 藤さんの了解 なんも取ってないですよ

(浅井)藤 竜也さんという➡

なんか イメージの名前は 上がっていて➡

まあ 当て書きという わけではなくて➡

中年の人と若い人を 主人公にしたような映画

イヤでも 浮かび上がってきたのは➡

ロバート・アルドリッチの 『北国の帝王』

若い人と藤 竜也さん

絶対 対立するよねっていうね

仲よく手なんか組むわけない

どっちも譲らないよなっていう

あー アルドリッチだ

『北国の帝王』というのは んー

非常に若い男と年取った男の➡

まあ 一種の 世代間の対決の話なんですよね

これは年取ったほうが 勝つんですけど

そういう 絶対的に 相いれない価値観がぶつかる

それが その どっちが勝つでもなく➡

えー お互い 認め合いつつ➡

しかし どっちかは滅び どっちかは勝つ

運命のように そうなる

あー もう そのへんで テーマは決まってきたなと

(スタッフ)はい 到着でーす (スタッフたち)到着です

(藤井)おはようございます おはようございます

自然な感じで結構ですね はい

「これ 1匹の値段ですか?」と はい

で 向こうに去っていく ダメだ これ

まあ 段取りは そういうことです (オダギリ)はい 分かりました

(スタッフ)はい テスト よーい はい (カチンコの音)

(藤井)まあ これ 初日の あの➡

ワンカット目の 初めのテストなんですけども➡

まあ ホントに 一番初めの 演技ってことなんですが➡

監督さんにとって この瞬間っていうのは➡

どういうもんなんですかね?

えー イヤなもんなんですけど (藤井)はい

まあ なるべく もう何日も 撮ってきたかのように➡

あのー…

ああ あの いつもの…

まあ これ 雄二という 役名ですけど➡

「いつもの仁村雄二なんだよな」 って

「まあ オダギリさんの芝居 こうだよな」

「いつもどおりだ」って 思おう思おうと必死に➡

自分を言い聞かせてる っていう感じですね

初めて見るわけですから➡

正直 言って さっぱり分からないんですね

これでいいのかどうか っていうのがね

しかし あの 「これでいいんだ」

と思おうと 必死で 自分自身を 説得してるってな心境ですかね

だから 演技というよりも (藤井)はい

「芝居だと こういう声なのね」 とか➡

「あっ ちょっと早口で しゃべる癖があるんだ」とかですね

それ たぶん 雄二というより➡

オダギリさんという人なんだと 思いますけど

そこをつかんでる状態ですかね (藤井)ああ

今まで 何度かやってる方だったら まだしも

しかも 大抵 初日の最初っていうのは➡

映画全体の中でも まあ 特に どうということもない

軽いシーンから 始まるのが多いので

だから 実に➡

いいかげんに 「もうちょっと早くしてみて」とか

ちょっとしたこと言ってみて 「ああ こうなるのかな」って➡

数回やって まあ オッケー っていう感じですかね

はい オッケー (スタッフ)はい オッケーです

はい どうも はい (スタッフ)以上で決まりですね

まあ ある意味で 最も重要な部分ですね

ただ まあ 映画を作るという 行為の全部ではないので➡

撮影っていうものの位置づけは 難しいと思いますね

すべてではない

僕なりの言い方をしますと➡

いくつかの現実が 記録されていくわけですね

記録された現実を まあ あとで➡

どう組み合わせていくのか っていうのが➡

まあ 編集の作業になりますね

必ずしも 脚本どおりではない

どっちか… 片一方が出しても もう片一方が出さないかぎり➡

永遠と続くので (浅野)はい

そのへんをひとつ (笑い声)

どう考えても ドキュメンタリーと フィクションの境目はないですね

ある意味じゃ ドキュメンタリーっつったって➡

ある程度 やらせはあるでしょうし➡

フィクションっつったって➡

まったく 偶然起こることが たくさんありますから

程度の差はあっても同じですね

ましてや あとで それを編集するという作業は➡

もう まったくドキュメンタリーも フィクションも同じだと思います

そこで あるものを 構築してくわけですね ええ

このぐらいかなーと さっきは…

(スタッフ)はい (スタッフ)お願いしまーす

あっ 消えてる 消えてるから あれですけどね➡

これ 本物なんで 失礼します

いやー すごい あっ ありがとうございます

うわ ハハハッ へえー

すごい

えー バツバツまでを まず一気に 1回いきたいんですが

はい えー まず ここに座ってます

はい で クラゲ見てます

で えー 守は あっちにいるんですが はい

で あっちで 「誰とケンカしたんだよ」

「知らない サラリーマンかな」

「しょうがないな」

というのがあってですね はい

すると 守… なんとなく 目で見えると思いますけど➡

あの なんていうんですか…

守が 最初 あの あそこにいるんですけど➡

あの なんだ あの… キッチンっていうか

で あの 机を片づけに こう 行きます はい

で それが なんとなく見えたら…

まあ 見えなかったら きっかけ出しますけどね

雄二も立ち上がって

で 守は この これ… カスみたいなの➡

全部 向こうへ 下げちゃってください

それで雄二は 残ってる鍋と コップ2つぐらいを持って➡

えー ここへ置いてください はい

ここ 映ってませんが はい

まあ なんか ゴミ捨ててるとか ガシャガシャやってるつもり

はい えー ここで…

まあ 4秒ぐらい 5秒ぐらいありました つもり

で 守は そのままで で そしたら➡

オダギリさん これ これですね

もともと ここに 正規の位置は ここなんです

はい ですから ここで片づけて➡

5秒ぐらいあったら で これ持って 持ってきてね

ここに置く はい

で いきましょうか

で 適当なとこでいいです 行きながらでも 行ってからでも

ここで初めて 「餌やってもいい?」 と こうなります はい

で 「あっ 気をつけろよ」 って言われるんで➡

餌は あそこにあります ああ あれですね

ええ それ 知ってていいです はい

で こう取りに… これ 気をつけてください

これ 気をつけてください これ はい

で やり方は あとでお教えしますから

で これを…

えー どっちからでもいいや

えー これは立ってる…

たぶん スポイトで チューって 1回すくって

たぶん クラゲが この辺に ずっといるから➡

この なんか クラゲから なるべく離れた辺りに出します

ピューっと入れる はい

やり方は で スポイトは置く

で えー…

「あれ 食べないな」と ちょっと 指突っ込んで➡

かき回すとか してみてください はい

そしたら 守が ここで気づいて➡

「おい」っつって やってきます

で 「甘く見てるだろ クラゲの毒を」

で 守は ちょっと どけていいです はい

で ここに 餌とスポイトがありますんで➡

これを守 さっさと取って えー どっちでもいいや

で ここに置きます はい

えー 「でも 守さんも触ったことないでしょ」

「死にたくないからな」

っていうのが まあ この一連の動きの中にありますね

で 守 戻したら➡

守 また なんか洗っていたんでしょう

向こうに行っちゃってください

そしたら 雄二は 適当なとこでいいです

行っちゃった…

ここに まあ特に 漫画 読みたいわけじゃないんですけど

この一番上のでも取って➡

この辺 適当に 座るなり寝るなりして➡

読み始めてください はい 分かりました

はい 以上です

はい じゃあ いきます テスト (スタッフたち)テスト

はい テスト よーい… あっ ごめん

これはね 今 あっちゃいけないのね

(スタッフ)失礼しました (スタッフ)すいません 失礼しました

これは… 最初は ここに置いとく

はい じゃあ いきます テスト (スタッフたち)テスト

はい テスト よーい はい

誰とケンカしたって?

知らない サラリーマンかな

しょうがねえな

ねえ 餌やっていい?

ああ やってもいいけど 気をつけろよ

食べねえじゃん

おいおいおい… ダメダメ 危ないから ダメだって

お前 クラゲの毒を侮ってるだろ

危ないよ

でも 守さんだって 触ったことないんでしょ?

だって 俺は死にたくないからね

危ない危ない…

はい (スタッフたち)はい

(カチンコの音) (スタッフたち)はい

まあまあ 動きとしては おおよそ

もうちょい きっと 明るくていいんだろうね

ここはね うん うーん…

「知らない サラリーマンかな」 って言うときも➡

チラッとは 守のほう 見てもいいかもしれません

「餌やってもいい?」 っていうのも➡

見てもいいかもしれない

多少 ちょっと 明るくてもいいかもしれない

はい 分かりました はい

(スタッフ)すいません 2のときの寄りですけど➡

まあ 絆創膏 ちょっと 血 滲ましといたほうがいいですか?

まあね ケンカのすぐみたいな まあ そらそうですよね はい

あの 「おい ダメだダメだ」 ってやつ➡

もう気持ち 本気… 分かりました

今のだとね 「えっ じょ… 冗談だよな」➡

っていう感じも しなくもないんで➡

もうちょい… そのあとはいいんですけど➡

ホントに ヤバいっていうね ホント ダメなんだっていう➡

もう気持ち…

はい 本番 (スタッフたち)本番

はい よーい はい

(カチンコの音)

(野下)いろいろ 監督も➡

思うところがあったと 思うんですけれども➡

まず 一番最初に 藤 竜也さんに お願いするって言ったときに➡

あまり 年の上の方と➡

ご一緒されたことがない っていうことで➡

まあ 自分にできるだろうか っていう気持ちが➡

黒沢さんの中に あったと思うんですね

ですけれども そのファーストシーンが終わったあとに➡

監督が つかつかつかっと こちらに歩いてきて➡

「藤さんが すっごくいいです」 って ひと言 言って

で やっぱり あんまり ふだん 気持ちを口にされないから➡

「ああ これは藤さんにして ホントによかったな」って

そういう顔していた黒沢さんが すごく印象深かったですね

すごく要望していたのは 分かりやすいもの カッコイイもの

これだけは 絶対 こう…

譲れない条件だったですね

(原田) ハッキリ おっしゃられないんで➡

何がよくて 何がダメなのかとか➡

まあ 非常に よく分からない➡

っていうのが特徴ではありますね

黒沢監督の思う雄二と 僕が思う雄二の やっぱり➡

多少のズレは まあ あって

分かっていて分からず➡

分かっていなくて 分かってるみたいな

目の前のことじゃないんですよ

好きなものに対しても… 対象外物

全然 別なことなんですよ

それに合わせたような反応とは ちょっと違うっつう感じですかね

それね あんまり 気にしなくていいですよ

だから どうだっていう…

クリント・イーストウッドですね 『ダーティハリー』

(藤井)「クリント・イーストウッドです」 って言ってるんですよ

で 「『ダーティハリー』です」って 言ってるんですが

んー たぶん たぶんですよ (藤井)ええ

僕が そう言ったとしたら (藤井)はい

ムッと怒ってる (藤井)ああ

「雄二は 大体 怒ってるんだ」 (藤井)ええ

で 目の前では 大したことは 起こってなくても怒ってる

その代わり 目の前で➡

かなり怒りが 爆発するようなことがあっても➡

普通の感情から出てくる怒りとは ちょっと違った怒り方なんだと

本能的に怒ってるんだ この人は ってなことを➡

僕なりのイメージで➡

「いや それって 『ダーティハリー』なんですよ」

「あの クリント・イーストウッド なんですよ」

あの 犯人に対して 怒ってるわけじゃない

怒ってはいるんですけどね

で 自分の上司に対して 怒ってるわけでもない

怒ってるんですけど

ただ 誰に対してもある 均等な怒りを発してるんですよね

あの 『ダーティハリー』って

それは まあ ひとえに 社会全体に対しての怒りで

そういうことをね たぶん 言いたかったんだと思いますね

だから まあ それで 「『ダーティハリー』見てないです➡

なんのことでしょう」って 言いますよね そんなのはね

(藤井)オダギリさんは 分かってらっしゃいました?

ええ 分かっていただけたと…

まあ 思ってますけどね ええ

最後まで 「こいつは どういうヤツなんだろう」➡

っていうのは ホントに もう分かんなくて

えー 終了して 雄二に解放されて ホントに安心してますね

(藤井)そうですか ええ もうホッとしてますね

すいません ホント いえいえ 僕だって分かんないんで

まあね…

(藤)そう… 僕の演ずる男を つくってく過程で➡

さまざまに こう ああでもない こうでもない

あの 選択肢が たくさんありましたね

そういう曖昧さっていうのが たぶん 分かりづらいものでは➡

ないのかもしれないですね 監督の中では だから

あのー…

まあ 僕なりの普通

リアルって言葉が 当たってるかどうか…

ただ まあ…

分かりやすく言えば これがリアルだろっていう…

だけですね その…

いや 普通に生きている人って 多義的ですからね

ハリウッド映画に 出てくるような人間は➡

まあ どこにもいないわけですよ

東京の中で 今という時代の中で➡

撮らざるをえないですから➡

そこに出てくる人間が いくら 俳優であれ➡

曖昧で 多義的たらざる をえないわけですよね

自分が納得できないぐらいが 一番いいのかなとも➡

どっかで やっぱり… さっき クリント・イーストウッド➡

『ダーティハリー』を 出しましたけど➡

あれは あの当時 クリント・イーストウッドが演じて

アメリカ映画の あの中に 奇跡的に いただけで

今 あれと おんなじ人を 東京の街に出すと➡

これは 頭おかしいですよ

こんな人 いるわけないですね

あの だから んー…

残念ながら出せたら さぞや楽しかろうと思いますけど

今んとこ 出せないですね そんな ハッキリした…

すべてに理由があるような人とか

うん これは素直なところですね

(藤)なるべく…

あんまり よく分かんないものも 残しといたほうが➡

いいんですよね

なんでもかんでもね その 線引いちゃったら 役者は…

なんか面白くないですもんね

なんか 自分から出てくるものを➡

出そう 出そうと するんじゃなくて➡

出てきたものを受け入れる っていうことのほうが➡

大切なんだなっていうことが 分かって

まあ でも雄二は ホントに面白い…

面白い役でしたね ホントに ええ

これが 中に出てくる まあ 守とか➡

まったく こう 理解できない 登場人物なんだけども

僕は 特に何もなく

もう 監督が いろいろ指示してくださるんで➡

それをやってるだけなんですけど

特に難しいことなかったですけど はい

(藤井)「任せた」っていうのが… 「任せた」 フフフッ

これ 覚えてらっしゃいます? いや…

藤原の家の前のシーンなんですが

夜… 夜のシーンの 打ち合わせなんですね

はいはい はいはい

あっ 小林に任せたやつか

(スタッフ)車 来ます ちょっと 車…

それで すいませんが お願いしますっていうんで…

いや マジで 俺 なんも考えてないんだけど➡

大丈夫よね? (スタッフ)いや 大丈夫ですよ

白石さんにも伝わってるよね? (スタッフ)はい

任せたから はい (スタッフ)はい

(藤井)フフフッ

いや あの… はい

これは そのままなんですけど ええ

あの なんにも考えてなかったので (藤井)はい

んー 小林に…

セカンド助監督である小林に 任せたっていう➡

まあ そのままなんですけど (藤井)ええ

あの どうにも頭に浮かばない

いろんなパターンがあるけど どの成立のしかたがいいのか➡

僕も よく分からないという場合➡

たまにあるんですけど (藤井)ええ

そういう場合 思い切って 自分で くよくよ考えずに➡

全然 違う人に考えてもらう (藤井)ああ

あの 場合によっては それを全部 俳優さんに➡

お任せする場合もありますし (スタッフ)小林 笹野さんの➡

そっちの棚に行く動きから やっとこうか

助監督っていうのは そういう役目も➡

していいって思ってますから (藤井)ええ

監督が 「どうしても 思いつかないんだよ」って言ったら

それは まさに助けてくれる

そこで物語が大きく違ってしまう とこでしたら➡

それは意地でも 僕は 考えなければいけないのは➡

分かってんですけど 時には演出でさえ➡

まあ 人に任せるとこは任せる…

って感じですね (藤井)ああ

こっちが全然 ホントに ヤな気分にならずに➡

こう 監督の言うことを 受け入れたいという気持ちに➡

させてくれるっていうのが あると思うんですけど

そこは やっぱりすごい ありがたいなっていう

あの ホントに 監督の言い方だと➡

「あっ 僕の言ってること 別にやらなくてもいいんで」➡

っていうような言い方するから 「いやいや やりましょうよ」って➡

いう感じになるじゃないですか そうすると (藤井)ええ

着てるのも なかなか 面白いかもしれないね

もし 差し支えなければ投げるの… ええ 大丈夫ですよ

ああいう感じで言われると 非常に なんか こっちは➡

「はあ」っていうふうに はい 素直になれるかと…

(藤井)こういう感じで おっしゃってるんですが➡

あるいは あの 「どっちでもいいです」とか➡

「任せます」とか 結構 おっしゃるんですが➡

あれは ふだんも大体 ああいった形の演出が➡

多いわけですか? ええ そうです

で ここが僕の その すごいとこなんですけど

(藤井)はあ フフッ

「どっちでもいいです」 って言ったときは➡

本当に どっちでもいいんです

その裏に 演出家としての何か すごい作戦がね ないんですよ

もう 素直に言ってるだけ 「どっちでもいい」と ええ

「右ですか 左ですか どっちがいいんですか?」

「僕も どっちでもいいですよ」 と俳優さんが言った場合➡

「じゃあ 右で」 (藤井)ああ はい

ホント サイコロで 決めるようにっつって➡

右でやってて まあ カメラマンとかが➡

「ああ これ 右 行かれると これ 影 出ちゃうな」

「あっ じゃあ ごめん 左」っつって すぐ変えますよね

そうですね ちょっとぐらい 間があってもいいかもしれない

ええ はい

そんときに ちょっと 僕も分かんないんですけども

はい テスト (スタッフ)テスト

はい よーい はい (カチンコの音)

お前 死んでんの?

うっ…

はい (スタッフたち)はい カット

はいはい はい 大丈夫でした? 大丈夫でした?

ええ 大丈夫でした はい はい

まだですか? そっち… (スタッフ)もう つかんで➡

つかんで もう 気持ちあっても いいかもしれないですね

つかんでる間がですね はい 分かりました

まあ 原理的に すべてに➡

こだわるわけに いかないわけですから

「呼吸を4回にしてくれ」とかね

アニメーションなら そうせざるをえないでしょうけど

「まばたき 何回しますか?」 みたいな

まあ それはもう 人それぞれですよね

スチャッて戻したい スチャッ

「スチャッ」て なんだか分かんないよね

どうでもいいんですけど はい

(スタッフ)はい じゃあ 本番態勢になってください

(スタッフ)はい それじゃ 次 本番いきますので➡

本番態勢で お願いします

(無線:スタッフ)雨 お願いします 雨 お願いします

(スタッフたち)雨 お願いします

(スタッフ)はい 本番いきまーす (スタッフ)はい 本番

(スタッフ)本番 よーい はい

(真一郎)仁村君 シート はい

避難しようか はい

メシにしよう はい

そこ 借りちゃおう

(無線:スタッフ)はい カット (スタッフたち)はい カット

(無線:スタッフ)オッケー オッケー… (スタッフたち)オッケーです!

(スタッフ)養生用に

(スタッフ)星野 (星野)はい

(スタッフ)ウエスとか持ってる? (星野)あっ はい あります

今 ここで見てた クラゲが出たあとですけど➡

軍手を取るんですが その前に 上に こんなもんが➡

なんで載ってんだか 分かんないんですけど

これを ポーンっと どけたいんですよ はい

で ガラガラガラって いうと思うんですけど➡

ポーンっと どけて

「雨 やんだみたいですよ」

で 軍手で… 考えてるんです

それで こうなってる なんでかは聞かないでくださいね

はい 雄二って そんなヤツっていう

はい

いや これ 懐かしいな

これは台本にも 何もなくて

撮影の前日の夜かなんかに ふいに思いついた

なんで そんなこと思いついたのか 自分でも分からない

説明ができないんですけど

1つは音なんですね

なんか ある音で 何か その…

クラゲの世界に 引き込まれるようなシーンが➡

ふいに パッと その 現実に戻りたい

で 雄二が 何か音を出す

ってことを なぜか思いついたんですね

言葉どおりなんですよ 理由が分からないんですよ

なんで そんなことを 思いついたのか (藤井)ああ

「えっ なんで そんなことするんですか?」って➡

オダギリさんは ひと言も聞かなかったけども➡

「聞かれちゃ困るな」 と思ったんで➡

「いや 理由は分からないんだ」って (藤井)ああ そうですか

あらかじめ言った っていうだけですね

やや大げさに言いますと 万事が 僕の演出というかな

「いや 理由っていうのは分からない」

「なんでか そうしてしまった」

「っていうふうに 人間を 動かしていきますね」っていう

えー 今 たまたま 脚を組みましたけど➡

なんで脚 組んだのかと言われたら 理由ないですからね

えー 人間 生きていて まあ ほとんどの行為は理由がない

ふと立つ ふと座る

まあ そういう 非常に日常的な 僕の感覚に沿って➡

人にも やってもらうので

黒沢さんが わりと本質的なことを 話すときに言う話が➡

「いや 人と人は 分かり合おうと思ったらダメだ」と

「だから 理解しようと思うから いろいろ問題が起きるんだ」と

まあ 疑問に思ってることは なるべく答えようとしますが➡

多くは 「すいません 僕も分かんないです」➡

つって言うしかないし

撮影に入る前に あまり 今までも 役者の方と➡

お会いになったことがない っていうことで➡

まあ いろいろな先入観をね 持たないようにとか➡

あるんじゃないかと 思うんですけれども

もっとハッキリ言うと 何度も会ってると➡

こっちのボロが出るんじゃないか っていうね

(藤井)そうですか ええ でも ありますよね

あんまり聞かれても 答えられなかったりしてとか

うん 向こうが すごく不信感を 持つんじゃないかしらっていう

それも大きいですよね

現場だと 「すいません 理由ないんですけど」➡

って言えますけど➡

何か月も前に 「すいません 理由ないんですけど」って➡

「じゃあ 理由は考えといて ください」とか言われると➡

困るよねっていう

完成度の高いもの 作るためにね➡

監督が何を考えてらっしゃるのか

何を撮りたいのかっていうと みんな 探ってますからね

今までと ちょっと違う っていうふうに➡

こう 実感できるようなことを➡

してもらいたい っていうのがあったので➡

随分 早い段階 第1稿が書き上がった段階で➡

皆さんに 会ってもらうことにしました

えー ディスカッションして 役を煮詰めていくとかいうのが➡

ホント 苦手なんですよ

ディスカッションすればするほど それって ウソっぽくなっていく

つまり 僕が一番 イヤだと思っている理由が➡

どんどん ハッキリしていく➡

のではないかという 恐怖があるんですね

でね 監督は 浅野さんに お会いしたときはね➡

かなり緊張してたんじゃないかな と思ったんですね うん

なんか あの… 何か変わったことを➡

聞かれたり 言われたりするのかな っていう予測が➡

もしかすると あったのかしれませんけども

で 黒沢さんのほうから 浅野さんに➡

「何か ご質問ありますか? 脚本について」って聞いたら➡

浅野さん 「いや 特にないです」 って ひと言➡

おっしゃっただけだったんですね

で 黒沢さんは 「うわー」って 「なんか すごい人だな」➡

っていう気持ちに なったんじゃないかと思いますね

まあ 僕も あんま考えてないんで

どんなヤツでもいいのかな と思って

あとは もう見る人が たぶん 決めてくれるのと➡

監督の中で きっと 監督なりの答えがあるので

込み入ったことまで話しちゃうと 面白くないしね

なんか こう んー…

縮こましくなっちゃいますからね

まず現場に 一歩 入ってみないと こういうものって分からないし

そういうこと…

全然 今でも たぶん 分かってないとは思うんですけど

なんか…

でも 前みたいに➡

考えたりすることも まったく なくなってきたし

なんのために あんなに考えたり 悩んだりしてたのかっていうのが

まったく分かんないですね

企画だけで言うと 大半が そういう…

7割ぐらいは そういう ジャンル性のあるものですね

8割かな

ジャンルが ハッキリあったほうが 僕は ずっと やりやすいし➡

自分に もし 作家性があるんだとしたら➡

ジャンルが ハッキリしたほうが 作家性は発揮しやすいです

それはジャンルが規定する ある型と➡

そうはしない ここはそうする っていう 自分の作家としての➡

ポジションを すごく取りやすいんですよ

「私の考えるホラーは これだ」 とかね 今回は…

ホラーじゃないジャンルの映画

そして 人の気持ちが グッと全面に出たような映画を➡

撮ってみてもらいたいなっていう 気持ちが すごくあって

「ノンジャンルでいきたい」

逆に 困ったんですね

なんでもありなわけですよ (藤井)まあ そうですね

ええ あの…

僕が どこにいるのか まったく フニャフニャしていて

客が どういうつもりで この映画を見に来るのか

皆目 見当もつかない

単なる ムチャクチャに…

いとも簡単に なってしまうんですね

で それはそれで たやすいんですけど

ムチャクチャにするのは

まあ ある方向で まとめようとするわけですけど➡

ただ まとめると 面白くも おかしくもない映画に➡

なってしまうんですね

そのバランスは ひとえに 自分で取らざるをえない

ジャンルからは撮れないんですよ

普通こうするだろってのは ないんですよ

この手が 一番難しいです

やってて つらい

(藤井)つらかったですか? つらかったですね ええ

あのー…

変に抑制しちゃうんですよね 自分を

あの ムチャクチャに なっちゃいけないっていうんで

(スタッフ)そうですね くっついていないです

2人いるの 分かります? あっ いいですね

(スタッフ)ええ このぐらいのほうが

はい じゃあ えーっと おおよそ こういう体勢で

じゃあ ちょっと はい

なんか ある? 包丁みたいな…

(スタッフ) いや 余計にキツいかもしれない

薄いほうがいいかも うん (スタッフ)あっ そうなんだ

お茶でいいんですかね

(笹野)遠慮なくやってください はい

いや この上に 血のり 置きますがね

(笹野)あっ なるほどね ええ これは下地です 下塗りです

ちょっと かけますから (笹野)どうぞ

冷たいです

(藤井) このへん もう かなり慣れた 手つきで いらっしゃって

まあ こういうシーンは 慣れているっていうことも➡

大きいんですけど

まあ これも スタジオといえば スタジオだったけども➡

まあ 一応 普通の一軒家で 俳優さんもいて

こういうとこで 血のりをつけるっていうときって

まあ 助監督も美術部も 躊躇するんですよ

ただ 躊躇してはいけないので たっぷり要るときは たっぷりだ

そういうとき 僕が率先して ザーッとやると➡

「ああ やっていいんだ」って つまり➡

「汚した責任 僕 取りますから」 っていう姿勢が強いですね

(藤井)監督が かなり楽しそうだな という印象を 僕は抱いたんですが

ええ

ええ あの 楽しいっていうか

いや 誰がやっても これ 楽しいと思いますよ

だって 普通 汚しちゃいけないとこに➡

バーって 赤いもん まいたりするわけでね

ええ そんな楽しそうでした? (藤井)楽しそうでしたね

ははあ まあ そうですね

あの この映画で 唯一 血が出るとこですから

ええ あの…

ええ はい 楽しみました

とろ… とろーっと もう

ああ はいはいはい そういうこと この辺も いってみましょうかね

やっぱ垂らしたほうが…

ええ 気持ちだけ

「もう 俺は殺してやる」 っていうことなんですが➡

それを あの 今以上に➡

無理やり 表情で作ろうと しないほうがいいです はい

ええ 今でもオッケーなんですが 今以上に 本番だからって➡

こうやって 作りすぎないほうがいいです

分かりました はい

はい では次 本番いきますよ

現代の東京を舞台に 人間と人間がある葛藤

しかも それが肉体的な 表現として成立する➡

葛藤を演じるときって やっぱり んー…

どっかでね まあ 暴力的な表現

殺しっていうものに 還元されていきますね

それでもう それは絶対的な対立ですね

(浅井)まあ 黒沢さんが この映画ん中で➡

登場人物を殺すんですけれども➡

台本を書いてて 打ち合わせしてるときでも➡

「なんで彼らは殺されるのか」 「あまりにも普通だから」

えー どういうことかっていうと➡

決して その 普通の生活してる人を➡

彼は憎んでるわけじゃない

普通に いい気持ちで 生活をしたいっていう気持ちと➡

どっか それと裏腹な なんか狂気を持ってる

で それがまあ ある種➡

芸術的なものを作らせたりする 原動力になったり

あるいは こう 普通の生活の中でも➡

なんか 毎日のルーティンを 壊していくような➡

心の動きになったりするんだと 思うけど

まったく それをない人を なんか 監督は憎んでるなと

恐ろしく憎んでるんだな っていう気がして

まあ 人種間の対立とか それは ほかの国では もう➡

それは 本気で戦争してる 宗教間の対立とか➡

もっと深刻な状況が 世界ではあるのは知っています

なかなか それで現代の日本で ドラマって作れないですよね

なくはないんだけど 発想できなくて

なんでもないような 普通に生きてるような人たちが➡

よーく見てみると 決定的な対立を生きていて

なんかのきっかけで どっちかが どっちかを殺すまでに

それは あっという間に 発展しますよっていう➡

ドラマですかね

(黒沢・スタッフたち) ありがとうございました

(スタッフ)はい 本日 以上です (一同)お疲れさまでした

僕が やはり➡

やりたくない 人間ドラマというのは➡

人間の心理のドラマなんですよね

人間の心と心が 葛藤するようなドラマが➡

イヤなんですよね

人間の肉体が葛藤するドラマは 全然オッケーで➡

人間の 非常に 肉体を通じて➡

ある葛藤が見えてくるものは➡

ロバート・アルドリッチが そうですし

俳優に対しての演出もそうで➡

一見 演出は ほとんどしてないですよ

あの どこで立ってとか➡

そういう なんか 位置 動きだけを指示してて

実際 映ってんのは肉体なわけです

あの 文字で書けば別ですよ 人間の心理は書けますけど

誰が どう見ても映ってるのは➡

肉体なのは分かってんですよね 映画ですから

ところが そこに心理が表れてっていったら

なんらかの欺瞞 ウソがあるんですよ

で 今回も 基本的には肉体 顔も含めてですけど

ある肉体としての人間が 描かれていればいい

と思って作り始めてる

今も そうしてるつもりなんですが➡

見ている人が ともすると 心理の側に引き込まれてしまう

それは俳優さんの力が すごかった っていうのもあるんですけど

変な言い方なんですけど➡

ここまでになると 思わなかったですね

あの 編集したものを 自分で見ても➡

心理に引き込まれるんですよ

(野下)あまり あの 人の感情が 全面的に むき出しになってる➡

強く表に出てきてる映画 っていうのを➡

撮られるタイプの 監督ではなかったので➡

逆に 感情に 支配されてるような人を➡

描いてみてもらいたいな っていうふうに思ったのが➡

黒沢さんを選んだ 理由だったと思います

まあ ある程度 それは狙いもしましたけど

でも これ 引き込まれすぎなんじゃないかな

あの もっと 肉体を見せたいのに っていうんで➡

編集では かなり 心理のドラマを➡

断ち切るような形に もってってんですけど➡

えー それでも やっぱりね➡

結構 濃密な心理ドラマが 展開していて

んー…

まあ あと…

これを まあ やみくもに断ち切ってっても➡

単なる ムチャクチャになるので➡

んー 心理ドラマは心理ドラマで➡

まあまあ あー… それはそれで生かしつつ➡

一方で それを凌駕するような 肉体のドラマのほうに➡

目を向けさせたいって 今は思ってんですけどね

まあ 最終的に 音楽とか 音も入って➡

ある程度 そうなればいいなと 思ってんですけど

んー…

いや こん… そうなんですよ

困ってんですよね

「頑固な人だな」と思うことは 何度もあったんですね

で あの 論理的に 話をされるので➡

ついつい いつも 監督の その話➡

会話の中に巻き込まれていって➡

最初 まあ私は 全然 論理的なタイプじゃないから➡

「なんで 監督 どうして?」 っていう感じで➡

始まってるんですけれども いつの間にか➡

「なるほどね」って言って 監督の話で➡

「うん 納得」っていうふうに 終わる場面が➡

何度も何度も あったような気がします

(浅井)女性が ほとんど出てこない

ある意味 女性のセンスで 選ばれてるキャスティングであり

今回の 男3人が出てくる 映画っていうのは➡

組み合わせとして すごい カッコイイなと思うし

あの 色気のある映画にしたいな っていう気持ちがあったんですね

だから もちろん 藤さんも そうなんですけれども➡

何か こう そこはかとなく 男の人としての色気が➡

あの 出るような人たちと➡

ご一緒できたら っていう気持ちがありました

オダギリさんに お願いしようと 思ったきっかけは➡

すごく色気がある人だな と思ったことと➡

自分で 何かをこう 見極めたいって思ってるような➡

若い人に思えたんですね

で 一目 会ったときから➡

これはもう 監督の言葉ですけれども➡

「もはや オダギリさん以外 考えられない」っていうくらいに

ホントに 初の主演を やらせていただけるということで

台本も すごく面白かったですし➡

監督も 黒沢 清監督ということで➡

もちろん 浅野さん 藤さんと➡

共演できる っていうものだったんで➡

自分でも もう気合いが 入りまくっちゃって

とにかく 自分が持ってる力の 倍ぐらいは出していきたい➡

っていうふうな

まあ 今回 特に驚いたのは➡

その 僕 北村さんが 衣装 入ってくれるっていうの➡

知らないで 衣装合わせ 行ってたから➡

「あれっ」と思って また北村さんが やってくれると思って

それでまあ 結構 だから…

僕もまあ 全然 衣装とか イメージしてなかったから➡

「ああ そっか 雄二って こういう服 着てたんだ」➡

っていうのを 僕が なんか知らされちゃった➡

っていうような感じがあって

ある意味で 衣装が ウイークポイントでもあるようなことを➡

監督が おっしゃってたんで

で 幸い 北村道子さんが台本を とっても気に入ってくださって

それから メインキャストの3人のことも とても気に入ってくださって

北村さんも 黒沢さんも 初顔合わせだったんですけれども

お互いを ものすごく信頼している っていうことが もう➡

すごく伝わってきて

北村さんが まず ものすごく パワフルな人だっていうことが ひとつ

そのパワーに 監督が触発された➡

っていうことも あったと思いますし

んー パワーは ええ ありますよ

(野下)あと あの 台本を ものすごく深く読んでこられて

私たちでも 指摘できなかったようなことを➡

北村さんが 何度も何度も

衣装 一つ一つに対しての なんですかね

考えがあったりとか 意味があったりとかするから

(北村)で 強引に 私がしゃべりまくった➡

っていうとこですよね (藤井)ああ

(北村)私は ちょっと セクシュアル入れてますよね

あの 守と雄二には

それは なんなのか分かんないけど

そこ 男だったら たぶん できないところに➡

女の衣装が ちょっと➡

デッドラインを穴開けてる➡

ってとこじゃないんですかね ええ

役が また変わってきたり するんですよね そういう

服 着てるだけで 雰囲気が変わるんではなくて➡

考えが変わってくるから それは すごい面白いですね

(北村)全部 それは 監督だなと思ってんですよね

黒沢監督の分身なんだろうと 思ってんですよね

で その中で 守の黒いコートは 監督からインスパイアされた➡

黒いコートを入れてるんですよね

(藤井)あっ 監督の (北村)ええ 黒の世界

私が監督と会ったときも➡

監督は タバコを吸い続け 真っ黒な世界だったから

黒沢監督で この脚本だから そういう 映画でしか出せない➡

ムードっていうものが 作れるんじゃないかなと思って➡

参加したつもりなんで ホントに そこだけが はい

クラゲにしても 何を考えてんのか➡

全然 分からないわけなんだけども

ただ そういった連中っていうのは なんか非常に 黒沢さんの中に➡

どっか分身として あるような気はするんですよね

結構 小さいころから なんとなく惹かれていたのは➡

裏で操作する 自分は表に出ない

私も結構パンクなんだけど 一番…

一番 そういう危険なものを はらんでるのは➡

監督なんじゃないのかな

つまり 目立つヤツいるわけですよ クラスでも

「あいつを裏から操作したい」 っていうね

それ ありましたね うん (藤井)ああ

仕組んどいて なんか やらせて➡

自分は それを影で… 結果 影で見てるみたいなね

環境は

そういうのはありましたね 確かに

まあ 幅広く言うと それって ディレクションなんでしょうね

ええ

そんなんが こう… こうなっちゃったのかね ええ

(浅井)黒沢監督の中には 狂気がいっぱい潜まれてるね

だから 面白くて 全然 意味ないんだけど➡

監督が60ぐらいになってると➡

真一郎じゃないかなと 思ってるんですよ

ヒゲから この骨格 職人的な骨格

それを ワーッと20代まで 痩せ細ってくと 雄二になってく

で ちょっと 一重にして 危険になってくると➡

それは なんか 守になってくんですよね

分身だなって感じで

所詮 シナリオが 違う人が書いてるんだったら➡

違うんだけども 監督のシナリオなんで➡

やっぱ そんなもんじゃないの

で それをホントは 監督が全部やることなんだけども

ちょっと 手の届かない部分を キュッキュッキュってやりながら

ちょっと スケベっぽくしてるのが 私なんじゃないかな

どうでしょうか? はいはい

そこまで観察されてるとは 思ってなかったですね

ただ やっぱ鋭いですね

藤さんも オダギリさんも 浅野さんも➡

本人は違うんですけども まあ 脚本で書いた➡

3人っていうのは これはもう どっか僕なんですよ

それはね 別に 褒めたことじゃなくて➡

それは もう書けないですよ 全然 他人を

重要な人物であればあるほど

それは僕の脚本を書く 力の限界なんですけども

うーん 悲しいかな 僕自身を越えられないんですよ

脚本では ええ

で それを越えてくれるのが 衣装であったり➡

俳優さんであったり するわけですね

それはもう 北村さんの おっしゃるとおりなんですよ

たかが 僕の頭から 出てきただけの人物が➡

堂々としたね そこに存在する 人物になってくってことですね

脚本を忠実に 再現するんじゃなくて➡

それをこう どんどん その境界線を➡

さらに広げていこうという スタッフのありようってのは➡

もうホントに 頭が下がりますね ええ

一見 演出は ほとんどしてないですよね

あの どこで立ってとか➡

そういう なんか 位置 動きだけを指示してて

あとは その俳優が どういうふうに➡

監督自身が書いた台本を 読み込んでくるか

で それを なんかこう…

一種のセッションとして 撮影をする

っていうのを楽しんでる というように見えたし

だから そのセッションには 俳優も参加し カメラマンも参加し

えー 衣装 美術 さまざまな そこにスタッフが参加している

(藤)的確ですよ

なんとか こうね みんなで つかもう つかもうって

全セクションがね 一生懸命になるわけで

ということになれば そんな 難しいこともね 起きないしね

やっぱ 映画の現場って もう変な人がいっぱいいるから➡

変な人が みんな こう うん 一生懸命➡

1つの作品に対して こう やってるのは➡

やっぱ すごい居心地がいいことで 僕にとって

それがやっぱ一番ですかね うん

お互い持ってるものを こう➡

合わせていく作業のほうを 大切に今は…

今回 3週間だったんですよね

最初はプロデューサーに 「5週間くれ」って言ってたんです

たぶん 4週間でも足りないんで 5週間くれっつったら➡

「とんでもない」っつって 3週間だったんですね

(浅井)黒沢さんは最初に 「いや 僕は➡

予算とスケジュールを 絶対 守ります」と

えー まあ そういう意味では ぶっ飛ばして進めていきました

ただ 余っちゃってね

「あれ? 余ってるんだけど 時間」 っていう

「あれ? 急ぎすぎたかな」って

だから なんか 「いい映画を作る」とか➡

「面白い映画を作る」 っていう前に➡

なんか 「予算とスケジュールを守る」 っていう なんか宣言される…

プロデューサーに宣言する 監督っていうのは➡

これは偉大な監督なのか それとも なんか うーん…

なんか どう解釈すればいいのかな と思ったんだけど

すばらしい人格者である と思うし➡

監督としても あの 演出家としても もちろん…

っていうか不思議ですね ええ (藤井)そうですね

あの ひと言で言うと 不思議な感じを➡

ずっと ええ 受けてましたね

クールというか どのスタッフとも こう キャストとも➡

距離を取る監督だな っていうところで➡

それがなんか 僕が今まで こう…

つきあってきた 知ってる監督と➡

なんか一番スタイルを 異にするとこかな

なんか コミュニケーション取らなきゃとか➡

仲よくならなきゃとか そういうものも➡

もう一切 必要に思わなかった 心地いい現場で

(藤井)ええ

その…

「心地よい沈黙みたいなものが あっ ホントに存在するんだな」

っていうのを感じたのは たくさんありましたね

それはやっぱり 皆さんが皆さん ある種 一緒の人間➡

一緒のカテゴリーに入る人間 だったからなのかもしれないし

まあ 黒沢さんのね 心の中 のぞくわけにはいきませんけども

少しでもね 黒沢さんが 伝えたいことをね➡

あの 僕は感じ取れて

それが結果として出ればね あの ホントに➡

望ましいですよね

楽しいですよ

「じゃあ 映画とは何か」 っていうことを➡

最後に申し上げますと➡

えー…

ある現実 記録された 現実のつながりを

えー ここが重要なんですけど

大勢の人と一緒に見る ということですね

これが映画ですね

あるシーンで ワーッと人が笑った 俺は おかしいとは思わない

で 誰も笑わないけど 俺は これ おかしいと思う

映像作品を通じて➡

社会の中で 自分は どういうとこにいるのかを➡

イヤでも認識する場 それが映画ですね

いや 家で 一人で見てる分には 分かんないわけですよ

自分が反応すればいいんで

これね 大勢と一緒に見るという これを…

まあ 逆に言うと みんなが笑ってるとこで➡

「自分も やっぱり面白かった」

「ああ みんなと一体になってる」 っていうのもありですよ

一体化してるか 孤独か

えー そういうことを知る場

それが映画ですね

それはなくならないと思います しばらくは

ある程度 コンスタントに 撮れていければね…

撮っていければいいんですけどね

今んところは 日本映画は まあ世界的には➡

かなり順調にいってるほうだと 思いますけども

明日は分かんないですね ええ

狙ってなかったんですけど 狙ったかのように➡

雨風 嵐みたいな

危ない! 触っちゃダメですよ!

(真一郎)仁村君!

どう考えても ドキュメンタリーと フィクションの境目はないですね

それ やらせか やらせじゃないか という違いはありますが➡

ある意味では ドキュメンタリーっつったって➡

ある程度 やらせはあるでしょうし

フィクションっつったって あの まったく➡

偶然 起こることは たくさんありますから

程度の差はあっても えー…

すべて同じですね

まあ 温めてあげるというか ええ

こう あわれな人を 優しく包み込むような…

それでカットです

(スタッフ)はい はい 続いていきます

藤さん すぐいくよ (藤)はい

(スタッフ)回りました (スタッフたち)はい 本番

はい よーい はい

はい カット オッケー (スタッフ)カット

(スタッフ)カット オッケー (スタッフたち)オッケー

(藤)ビショビショ… はい よかったですよ

(スタッフ) はい ありがとうございました

(藤)えーと 終わりですか? はい

ありがとうございます

ああ 寒ーい

ハハハハッ おおっ

(スタッフ) どうも ありがとうございました (藤)あっ ありがとうございます

ありがとうございました (拍手)

最後は ホント泣けて…

(藤) どうも ありがとうございました

ありがとうございました

(拍手)

ハァ まあ とにかく あったまってもらいましょう

いやー…

最後のカット オダギリさん…

まあ モニターで見てたんですけど

ムチャクチャよくて ちょっと 感動しちゃいましたね

(藤井)ああ そうですか ええ あの…

まあ こういう悪天候で いろんな状況があったんで➡

あの 冷静さを 失っているかもしれませんが

あの 映画自身のラストカット ではないんですけど➡

撮影の最後のカットで えー➡

こんな すごいカットが撮れた ってのは初めてで➡

それだけで よかったと 今は思ってるところです

アハッ

もう なんか… 言葉がないですね

こんな いい現場を経験できて

(浅井)で 一転して 今度 編集作業に移るとですね➡

監督自ら 僕に言ったんですよね

「いや 僕は編集に入ると 独裁者になります」と

で 特にこう 音楽とかは➡

「僕は独裁者として 決めていきますから」と

実は 今回の編集っていうのは➡

編集者ってのは ついてないんですよ

監督自身が やってるんですよ

まさしく 監督の仕事じゃなくて➡

こう 編集者としての仕事を やってるわけで

「共同作業ではない」という 監督の宣言があったので➡

撮影んときには 一見 民主的にやってて➡

編集んときに 独裁者になると宣言して

常に 撮影のときは もちろん➡

彼は 狂気を コントロールしてるわけだけど➡

編集のときには 自分のなんか 狂気の部分を➡

ガーッと出そうとする

そこがなんかね 面白いなと

一体化してるか 孤独か

えー そういうことを知る場

それが映画ですね

(スタッフ)はい オッケー はい いきます 本番

(スタッフ)この状態で 本番 はい よーい

じっと あれ見てね よーい はい (カチンコの音)

はい カット オッケー ありがとう (スタッフ)はい オッケーですね

はい ありがとう どうもね もうね 走んなくていいからね

じゃあ ちょっと もう…

(スタッフ)まだあるかな?

(スタッフ)移動車 バラしますよ

(スタッフたちの話し声)

(藤井)ふだん 撮る側にいる 黒沢さんが➡

逆に撮られる立場になる っていうのは➡

どういう心境ですか? これ いやー

過去は どんどん捨ててって➡

あの どんどん変化していきたいと (藤井)ああ はい

自分で 頭で思ってるものですから

その もう捨てていった過去が➡

「いや あなた こうでした」

って見せられるのって うーん…

つらいっていうとこですね

んー 僕らは 世代的には➡

幼いころの… スチール写真は➡

もちろんあるわけですよ

赤ん坊のころの

それを見ることには➡

さほどの抵抗はないんですよ

で もっと古い人たち

スチール写真などというものが➡

そもそも普及していなかった ころの人たちってのは➡

ひょっとすると あの写真見るだけで➡

ゾッとしたかもしれないし (藤井)ああ

逆に 今のホントの若い人たち 赤ん坊のころからビデオが残ってる

親が撮ってるじゃないですか

えー ひょっとすると自分が➡

母親のおなかから 出てくるとこまで➡

全部 ホームビデオで撮られてる

で それが もう何時間にもわたる テープで いつでも見れます

自分の成長記録がっていう人は 全然 違うかもしれません

(藤井)ああ それを考えただけで➡

「ああ 人間 違ってくるな」と 思いますけど

そんなものが残ってるっていう (藤井)ええ

僕は残念ながら スチールはオッケーですけど➡

動画 音も含めた動画としては ここで急に➡

「いや 記録して残ってます」 って言われると…

(藤井)恐怖を覚えるわけですね 恐怖 ええ

特に 声ですね (藤井)ああ そうですね

あの 外見っていうのは もちろん➡

スチール写真も含めて 鏡も含めて➡

まあ 外見っていうのは おおよそ 想像がつくわけですよ

まあ 僕らぐらいだったら (藤井)はい

もっと昔の人は別として (藤井)ええ

ただね 声ばかりは➡

客観的に 自分の声って そうそう聞かないですからね

(藤井)そうですね ええ ええ

8ミリフィルムで サイレントで➡

映像が残ってるぐらいなら まだ➡

動くスチール写真ぐらいの もんなんですけど➡

この音もね 自分の しゃべってるところ…

自分って こんな声してるのって

あれ 自分って こんなに 曖昧なしゃべり方してるのって

これじゃ 何 言ってるのか 分かんないじゃんとかいう

これ つらいですよね (藤井)はあ

コメンタリー見るのなんか さらにイヤですね じゃあ

もう ホントに つらいですね ええ (藤井)そうですか

すいません…

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