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(桑野信介くわの しんすけ)これ
(吉山よしやままどか) あっ 私が出した 内容証明ですけど…
どうして桑野さんが?
僕が この旦那さんの家を—
設計することに なったんです
桑野さんが
旦那さんは—
裁判になっても 闘うと言ってますけど
(英語の会話)
(木村きむら)もともと家内とは—
特に 仲が悪かったわけじゃないんです
ケンカというほどの ケンカもしてないし…
なのに 私が退職した頃に 急に 離婚してくれって言いだして
熟年離婚の典型的パターンですね
(浅野)だとしても どうして—
別れた夫が家を建てるのを 阻止しようなんて…
きっと悔しいんですよ
こっちが 離婚されて落ち込むでもなく—
前向きに 次の人生を計画してるのが
実は… 相手の弁護士を ちょっと知ってるんですがね
(浅野)えっ
まあ 優秀な面もありますけども…
ねっ…
気の強さだけが取り柄というか
(浅野)いや 桑野さんには 今回 証人として—
出廷していただけないかと 思ってたんですよ
えっ
(浅野)相手の弁護士さんと お知り合いとなると…
お願いしにくいですね
かまいませんよ
(丸山裕太ゆうた) えっ 桑野さんが証人?
(村上英治むらかみ えいじ)うん 何か裁判に出るんだって
(横田詩織) 裁判って… 大丈夫なんですか?
(英治)まあ 被告じゃないからね
(沢村映子) 何を証言するんですか?
家を設計するいきさつとか—
作業が ここまで進んでますって 話をするだけだ
大したことじゃないよ
(田中有希江たなか ゆきえ) えっ 桑野さんが証人…
(まどか)まあ 気にすることもないと思うの
その家を設計してる立場として 証言するだけだから
(有希江・戸波早紀となみ さき)ああ…
(木村玲子)主人は もともと 悪い人じゃないんです
仕事は真面目だし 性格は穏やかだし
でも どう言うんでしょう…
あの人といても どこか孤独で…
離婚するってことになったら これ幸いとばかりに家を建てて—
1人で悠々とセカンドライフを 過ごそうだなんて…
何だか許せないんです
(工藤くどう)うれしそうですね (早紀)フフッ ホント
(早紀) この子たち見てると 世の中に いろんな争い事があるのが—
信じられないですね
(工藤)人は すぐ箱に入るから
(早紀)あっ
(工藤)どなたですか?
大体いつも箱に入ってる人です
(早紀) あの人と話してると 何か癒やされるんです
(信介) 怖がって逃げてたくせに 急展開だな
(早紀)フフッ あっ 桑野さん
裁判に証人で出るそうですね
もう情報が拡散されてんのか
どうして人って争うのかな…
それが 人間だからだよ
桑野さんも箱から出て—
自分から人に歩み寄ることを してみたらどうですか
自分が調子がいいからって ずいぶん 上から目線だな
(早紀)ほら そういうとこが
(信介) ひげの濃い彼女と仲良くしろよ
(信介)あれ ここ 寸法違うじゃねえか
(棟梁とうりょう)あっ そこな 予算削減で変更したんだよ
(信介)だったら早く言えよ (棟梁)今言ったからいいだろ
(信介)お前な… (棟梁)あっ そうそう
うち 息子が継ぐことになったから
(信介)えっ (棟梁)おい あきら
(小林こばやしあきら)んっ
あっ どうも 小林です
あんたも ついに引退か…
寂しくなるな…
引退なんかしねえよ
えっ
何が 人生100年だよ 俺は120まで生きるんだから
知ってっか?
120歳のことを 大還暦っていうんだぞ
やっぱり学があるんだな
ということで これからも 俺同様 仲良くしてくれ
俺たち 仲良かったのか…
(有希江)いらっしゃい (太田留美るみ)いらっしゃいませ
(信介)どうも (まどか)どうも
(信介)ブレンド お願いします (有希江)はい
明日 裁判ですね
(信介)そうですね
証言の準備はできてますか
守秘義務です
そうですか
しかし あなたと 裁判で対決することになるとはね
別に 対決なんかしません
どうですかね
対決したいんですか?
それは… 成り行き次第ですよ
ハハッ そうそう
こないだの英治君の 結婚式の写真見る
(まどか)あっ 見る見る
(まどか)ああ フフフッ (有希江)ハハッ
(有希江)ああ〜 (まどか)ハハッ
(有希江) 桑野さんのスピーチ よかったですよね
(信介)ええ (まどか)まあ
誰かが 原稿 書かなかったもんだから
すいませんでしたね〜
結果的に いいスピーチができたんだから—
よかったじゃないですか
(まどか)ねえ (信介)まあね
(まどか)フフフッ
(まどか)あっ (有希江)あっ ブーケトス
フッ これね… つい真剣になってしまって
(有希江)うっ って ハハッ (まどか)フフフッ
(信介) …で ブーケトスの効果は あったんですか
まだ… 特には
フッ ハハッ ハハハッ
あっ ブーケトスが始まったのは 14世紀のイギリスで—
女性たちが 花嫁の身につけてるものや—
小物を勝手に取ってしまうことが 多くて
それを防ぐために あえて—
ブーケを 先に投げることにしたそうですよ
(有希江)へえ〜 そうなんですか (まどか)ふ〜ん
まあ 言うなれば 先にエサを散らして—
ごまかす作戦だったんですね
そんな言い方…
まあ それで 花嫁の幸せにあやかれたら—
結構なことなんですがね
今のを聞いて 激しくテンションが下がりました
まあ ブーケに悪気はないんでね
悪気があるのは あなたでしょ
フッ
(まどか)ハア…
(信介)ああ…
♪〜
〜♪
(横井) 今日は いいのないっすね〜
(前川)おっ この—
“建築工事差止請求事件”って 何かな?
(横井) 今日は証人質問か…
いや これだけじゃ 想像がつかないな〜
何すかね
あっ ここだ ここだ
(英治)うわ〜 (森山桜子もりやま さくらこ)うわ
(信介)何だ お前ら? (英治)えっ
(英治) 桑野さんの証人ぶり 見たいじゃないですか
知り合いが裁判に出るなんて めったにないですからね
暇人め…
応援します
応援は いい
(早紀) ええ〜 私 裁判所って初めて
(有希江) 私は 自分の離婚裁判以来
(信介)あれ
(英治)こっち座れば
(早紀)はい (英治)うん
(有希江)ありがとう
ったく 懇親会か チッ
(裁判官)では 原告代理人 質問はありますか?
(まどか)はい
では 質問します
どうぞ
(まどか)この家の建築のための 契約関係については分かりました
ところで… 証人によると—
この家に木村さん1人で暮らす ということですが…
それは本当ですか?
そうですよ
(まどか) 本当は 誰か 他の人と一緒に 住むんじゃないですか?
そんなことはありません
なぜ あなたに そう断言できるんですか?
設計するのは あなたでも—
できた家に1人で住むか 誰かと一緒に住むかなんて—
分からないじゃないですか
女と住むとでも 言いたいんですか
その疑いがあります
もし誰かと住むことを隠して 離婚協議を進め—
この土地を 取得しようとしていたとしたら—
この家の建築の正当性は 失われます
フッ 見当違いもいいとこですよ
なぜ あなたに分かるんですか?
私は あくまで 1人用の家を設計してますから
この家に 誰かと一緒に住むなんて 不可能なんです
どうして そこまで断言できるんですか?
(信介)聞きたいですか? (まどか)聞きたいです
ご説明しましょう
あれ出して
はい
(信介)もっと高く (浅野)あっ はい
(信介)もう少し もっと
これは 既に 提出してある 家の設計図の拡大版です
まず このリビング
一見 ただのつまらないリビングです
普通 リビングは 客が来ることも考えて—
余裕のある造りにするものです
しかし ご覧ください この家のリビングは—
食事から テレビ鑑賞 昼寝 筋トレなど—
すべて1人だけの世界で—
ほとんど動くことなく 行える仕様になってます
貧しかった独身時代に住んだ 狭苦しい4畳半のアパート…
あの状態を あえて再現してるんです
それだけじゃありません
玄関 バス トイレなど—
日常生活で使う場所が—
すべてリビングから5歩で 直 行ける設計になってます
裁判長
でも ここに 広い部屋があるじゃないですか
物置です
棚を並べる予定ですよ
(まどか)えっ ここは?
1人の寝室にしては広いですよね
趣味用のスペースを 確保するためです
趣味?
(信介)つまり この家全体が—
いかに 快適に1人暮らしをするか
その一点に集中した設計に なってるんですよ
そ そんなのは
今 誰かと住むんじゃないかって 言われて—
慌ててくっつけたことでしょ
(信介)いえ
私は 設計の最初の段階から それを考えてました
最初から? そんなことが 証明できるんですか
できますよ
(信介)ここと ここと ここと…
ここと ここ
家の中の壁の5か所に 穴が開いてますね
(まどか)何ですか? (信介)これは—
鉄道模型を走らせる穴です
えっ
(信介)鉄道模型が 家の中を縦横無尽に駆け抜ける—
まさに 夢のような設計ですよ
聞いたことありません
結婚生活の間—
旦那さんは鉄道模型の趣味は 持っていませんでした
その話は 虚偽じゃないんですか?
(信介)木村さんは ずっと鉄道模型が好きだった
しかし…
奥さんには黙っていたんです
えっ
なぜですか?
インテリアが趣味の奥さんに 気を遣って—
家で模型を走らせるのを 我慢してたんですよ
あなたは 一緒に同居する男性が—
家の中を 鉄道模型を走り回らせたい—
そのために家じゅうの壁に 穴を開けたいと言ったら—
オーケーしますか?
えっと…
あっ…
というか ここは あなたに質問する場です
私に聞かないでください
(信介)逃げるんですね (まどか)逃げてません
(信介) 人は 必ず誰かと一緒に 暮らしたいに決まってる—
そんな固定観念が—
女と一緒に 暮らすはずだなどという—
邪推を生んだんですよ
固定観念?
いくら自分がそうだからってね
そういう主観は排除して この場に立っていただきたい
誰かと暮らしたい 1人は寂しいというのは—
人として自然な感情でしょう
そうじゃない人間だっていますよ
(まどか)ごく一部です! (信介)異議あり!
裁判長 原告代理人は—
1人が嫌だという 個人的感情をぶつけています
(裁判官)証人に 異議申し立てる権利はありません
(信介)ないんですか? (裁判官)ありません
(裁判官) それと 原告代理人は冷静に
はい
(裁判官) 質問は まだ続きますか?
旦那さんは…
好きな模型の趣味を我慢して 寂しかったでしょう
でも…
奥さんだって 寂しかったんですよ
1人でも寂しいのに—
一緒にいて もっと寂しいなんて
そんなの…
お互いが…
お互いが ほんの少しでも心を開いて—
相手の立場に立てば…
それは質問ですか?
いえ 違います
失礼しました これで終わります
(裁判官) 証人は 席に戻ってください
(木村) しかし 相手の弁護士さん おもしろい人でしたね
フッ すぐに感情的になって…
どうなんですかね あれは弁護士として
(浅野) 弁護士も人ですから フフフッ
でも…
どうして模型のことを 奥さんに言えなかったんですか?
どうしてですかね…
(桑野の鼻歌)
(信介)フッ
“いつものように 1人キャンプにきたら—”
“思わぬ出会いが…”
“新しい友達と—”
“2人キャンプを 満喫してます”
“一人より二人が 楽しいですね”
フッ
“彼は 田舎暮らしの本を 出している人です”
“いろいろ 教えてもらってます”か…
金田かねだ
(インターホン)
(早紀)あっ… (信介)あれ
(信介)どうも
(早紀)私 これから 工藤さんと映画観みに行くんです
映画?
あいつと 激しい恋ができるといいな
ああ〜 最近
自分が激しい恋をしないと そういうお芝居が—
できないなんてこと ないんじゃないかって思うんです
フッ 調子がいいと強気だね
だって 殺人犯を演じるのに—
人殺ししなきゃいけない なんてこと ないですよね
まあ それはそうだ
(早紀)というわけで…
この子たち 預かってもらえませんか
調子がいいな
いいよ
(早紀)ありがとうございます (信介)おっと…
(早紀)いい子でね (信介)ハハッ
(まどか)誰かと暮らしたい 1人は寂しいというのは—
人として自然な感情でしょう
フウ…
フッ 別に…
(まどか)お互いが…
お互いが ほんの少しでも心を開いて—
相手の立場に立てば…
フウ…
(信介)チッ よし
ハア… よし
あれ あいつらは?
お前ら…
(有希江)えっ 長野に?
そうなの
こないだから母の具合が悪くって…
いっそ こっちの事務所を 畳んで—
向こうで 母の事務所を継ごうか なんて…
もう決めたの?
ううん まだ迷ってる
ハア… そりゃそうよ せっかく ここまでやってきて…
それに ほら…
こっちの人間関係だって いろいろあるでしょ
桑野さんには話した?
別に 桑野さんに話すことでも…
相談してみたら
ええ…
ああ…
“長野に行った方がいい その方が結婚できるよ フフッ”
…とか言うに決まってる
そうかな…
いや 有希江さんは 桑野さんと いい感じでしゃべれるから
でも 私は…
(有希江)私と桑野さんが いい感じに見えるのは—
私が あの人に合わせてるだけ
好きでやってるわけじゃないから
えっ そうなの?
そうよ
私だって ホントは あんなめんどくさい人 嫌よ
だって こないだ—
桑野さんと食事して 楽しかったって
すいません ウソでした
えっ
あなたを たきつけてみただけ
えっ どういうこと?
(有希江) 桑野さんと あんなに ちゃんとケンカできる人—
あなたしかいない
ケンカするってことは ちゃんと 向き合ってるってことだから
まあ それは外野の意見だから
ハア…
(山下香織かおり)おかえりなさ〜い (まどか)ただいま
(まどか)うわっ (香織)フフフフッ
どうも
どうも
(香織)フフッ
(信介)バナナ忘れました
(まどか)いいんですよ (信介)ハッ
何ですか 今日は
あの夫婦 どうなりそうですか?
裁判官から和解の提案が出てます
1度 話し合うことになると 思いますが…
そうですか…
ちょっと… 見てほしいものがあるんですけど
はい
(まどか)うん?
これ… 木村さんの
変更を加えてみたんです
どうして 私に?
あっ
2人が やり直す気に なってもいいように…
フッ 2人で 新しい暮らしを始めるための—
そんな家にしてみました
リビングは 2人が ゆっくり語らえるように—
狭すぎず 広すぎず
それぞれが 自分の世界を確保しつつも—
いつも お互いの存在を 忘れずにいられるような—
そんな設計にしてみました
いいじゃないですか
でも どうして これを私に?
あなたから あの夫婦に 提案してくれませんか
私から?
分かりました
お願いします
でも 急にどうしたんですか?
1人で暮らす家に あんなに こだわってたのに
まあ 人生100年…
1人で平気な人は それでいいんですがね
あなたが あんまり 1人じゃ寂しいとか—
1人じゃ死ぬとか 言うもんだからさ
死ぬとは言ってません
まあ とにかく そういうことです
(まどか)ありがとうございました
(ドアの開閉音)
(中川圭子なかがわ けいこ)たまには みんなで外食もいいわね
あっ ねえ 水ギョーザも頼む?
(桑野育代いくよ) ちょっと注文しすぎじゃないの?
(中川良雄) まあっ いいじゃないですか すいません 水ギョーザ
(ゆみのせき込み) (店員) はい かしこまりました
(店員) はい かしこまりました
(店員) はい かしこまりました (中川ゆみ) このマーボー豆腐 辛っ
ちょっと子供には辛かったかな
子供じゃありません
(信介)んっ
(育代)ゆみは 留学して何になりたいの?
(ゆみ)うん 私 自分で お金を稼げる人間になりたいの
(育代)うわ (中川)だったら 医者と結婚して
うちの病院継げば お金の心配いらないぞ
そうよ わざわざ苦労しなくたってね
(中川)うん (ゆみ)ハア… あのさ—
なんで 私が男と結婚する 前提で話すの?
女性を 好きになるかもしれないじゃない
(中川) えっ お前 それって…
例えばの話よ 可能性は無限にあるってこと
若いっていいわね
(中川) 信介 黙ってないで何か言えよ
やっぱり 1人の方がいい気がしてきた
(ゆみ)ハハッ
(信介)フッ
(育代)私 最近 調子よくてね
まあ しばらくは 当分 生きられそうな気がするわ
(信介)ほう よかったな
(育代)フフッ
1人でできることは1人でする
でも 困ったことがあったら お願いするわね
(信介)どうも
(まどか)どうも
(信介)ブレンド お願いします (有希江)はい
(まどか)木村さんの奥さん 訴えを取り下げました
あっ そうですか
しかも 離婚するのをやめて—
もう一度 やり直そうってことに なったそうです
ほう…
(留美)よかったですね
でも 急な展開ね
桑野さんの あの新しい設計図のおかげです
2人とも やり直したい気持ちは あったそうなんですけど—
なかなか 言いだせなかったそうです
でも あれを見て はっきり言えたんですって
ここで 2人で暮らそうって
(有希江)へえ〜
家って すごい力があるものなんですね
ヘヘッ
フフフッ
あと こんなことも言ってました
私と桑野さんのケンカ フッ を見て—
自分たち夫婦は ちゃんと—
ケンカしてなかったんだなって 思ったって
(信介)ケンカ? (まどか)フフフッ
(有希江)じゃあ 桑野さんと まどかさんが—
あの2人を仲直りさせたのね
テッ そんな…
ねえ フフッ…
でも ケンカしてたって 本当は…
あっ そうだ
もう1つ ご報告がありまして
(信介)何ですか? (まどか)フフッ
私 長野の母の事務所を 引き継ぐことになりました
(信介)えっ (まどか)フフッ
(有希江)決めたの?
う〜ん やっぱり 母の具合が いまひとつみたいで…
仕事 セーブすればいいのに 自分を頼ってくる依頼人を—
断るわけにはいかないって 言い張るし…
まあ ここは 私が 助っ人に入るしかないなと思って
東京にだって まどかさんの依頼人がいるでしょ
もちろん 今 抱えてる案件を 一区切りつけてからの話だけど
そう…
(留美)会えなくなるんですか?
(まどか) いや 長野と東京なんてね 新幹線で1時間ちょっとよ
いつだって会えるじゃない
(信介)ねえ ハハハハッ
じゃあ お母さん お大事に
ありがとうございます
えっ じゃあ 僕は これで失礼します
(有希江) あ あの コ コーヒーは?
あっ ちょっと まだ仕事が ちょこちょこっと残ってまして…
(信介)それじゃあ (まどか)どうも
おいしい
ハア…
(有希江)決めたのね (まどか)うん
(有希江)そう…
ごめんね 心配かけて
(有希江)ああ〜 残念 (まどか)んっ?
これで あなたと桑野さんの ケンカも見納めか
何よ それ ハハハッ
ハア… なんてね
ありがとう
フフフフッ
(店員)いらっしゃいませ (店員)いらっしゃいませ
(信介)フウ…
あっ
(店員)いらっしゃいませ (店員)いらっしゃいませ
ポイントカードありますか?
ありません
(店員) ポイントカードありますか?
あっ あります
(店員) はい お預かりします
(信介) 自分が いつも行くコンビニで 知り合いを見かけると—
自分のテリトリーが—
侵食されたような 気分になりませんか?
(まどか)なりません
(信介)そうですか
…で いつですか?
(まどか)えっ
(信介)長野に帰るのは
ああ それは まだ
こっちで いろいろなことが片づいてから
あの それは いつ帰るか 分からないということですか
それとも—
帰るかどうか 分からないということでしょうか
えっ それは…
そう言われると…
どっちなんでしょう
はっ?
(まどか) やり残した仕事もあるし
有希江さんや早紀ちゃんたちとも 仲良くなれたのに…
(信介)ああ ハッ
桑野さんとも…
えっ
ああっ いや やっくんの件とか いろいろあったじゃないですか
(信介)ああ… (まどか)ハハッ…
でも 何だろう…
みんな置いてっちゃうみたいで…
まだ迷ってるのかな
フフッ 桑野さんには 笑われるかもしれませんけど—
私は1人じゃ…
もしかして—
行かないでほしいって 誰かが言ってくれたら…
ウフフッ そんな感じです
(信介)ハハハッ… (まどか)ウフフフッ
(信介)そんな感じですか (まどか)フフフッ
じゃあ 私 こっちなんで
(信介)あっ ハハッ それじゃあ
(まどか)どうも
(自動ドアの開く音)
(早紀)あっ こんばんは
やあ
(携帯電話のバイブ音)
お母さん
うん 今お墓参り
はいはい これから行きますよ
はい
フウ…
(信介)ハア…
一極集中…
ハア…
(携帯電話の呼び出し音)
(信介)ハア…
ハア…
(信介)どうも
(まどか)どうも
(信介)長野に帰ってたんですか?
(まどか) ええ 母に会ってきました
母は意地張って—
帰ってこなくていいって 言うんです
本当は 寂しいんだと思うんですけどね
でも 私は…
ちょっと… いいですか
えっ
あなたの話を聞く前に—
僕の話をしてもいいですか
はあ… どうぞ
(信介)やっぱり…
長野に帰るというのは…
どうなんですかね
えっ
いや 確かに長野に帰れば—
まあ お母さんの知り合いを 紹介してもらって—
まあ 仕事の心配はないだろうし
うまくいけば—
ついでに 結婚もできるかもしれませんよ
でも その反面ですよ
一から その 人間関係を 構築していくっていうのは—
なかなか手間と時間がかかります
まあ…
(信介)そう考えると
まあ 仮に不完全かもしれませんが こっちで築いた人間関係で—
ものを考えた方が いいんじゃないかと
それに…
東京一極集中は問題ですが—
ハハッ あなた1人が帰ったところで—
焼け石に水ですよ
それは…
それに まあ 極論にすれば—
1週間ごとに こっちと向こう 行ったり来たりすればいいわけで
そんな面倒なこと
(信介)あっ いや (まどか)フフフッ
新幹線で1時間ちょっとって 言ったじゃないですか
正確に言えば かがやきで80分ですよ
知ってます
(信介) まあ… そういうわけで
(まどか)どういうわけですか
長野に帰るのは—
やめた方がいいってことです
えっ
あなたがいないと…
つまらないし
寂しくなるので
(信介)まあ…
お母さんのことありますから 無理にとは言いませんけど
ハア…
男性に そういうこと言われるって…
うれしいもんですね
えっ
(まどか)ハア…
桑野さんがそこまで言うなら…
それじゃあ…
ハハッ
しかたないですね
帰るのやめます
ホントですか
母も それでいいって 言ってくれるでしょう
そうですか
ええ
(信介)ハッ ハッ (まどか)フフフッ
(信介)ハハッ (まどか)ハハハッ
ハハッ…
じゃあ…
次は本番で
えっ
(信介) リハーサルは うまくいったから
(まどか)え〜っと…
リハーサル?
ええ ゆうべね 寝ずに ず〜と—
言うことを考えてたんですよ フッ
意味が ちょっと…
なんで もう1回?
さっき ほら
大事なとこで ちょっと僕 かんじゃったし
ええ…
ああ
あの 最初からだと まどろっこしいんで—
東京一極集中あたりから いいですか
何ですか それ
(信介)えっ
(まどか)ていうか 私 泣いちゃったじゃないですか
どうしてくれるんですか
いや よかったら ほら 次も泣いたらいいじゃないですか
別の意味で泣きそうです
いや だって ほら あの…
男性から こういうこと言われると すごいうれしいんでしょ
もう1回言われたら 更に うれしいんじゃないの
1回で結構です!
ていうか…
さっきのも 台なしじゃないですか
あれ
あっ ああ〜 もう やだ
変な人!
ハア…
なんで?
(映子)これですよ ここ…
ゼロが 1個足りないじゃないですか
(英治)えっ (桜子)ちょっと…
(映子)しっかりしてくださいよ
(英治) でも 領収書いってません
(詩織)桑野さん
どうして不機嫌なんですか?
(英治)知るかよ
どうせ まどかさんと ケンカでもしたんだろ
(詩織)でも 今回 長いですね
(映子) 事務所の生産性に関わります
(映子) 事務所の生産性に関わります (裕太)えっ (英治)んっ
(裕太)えっ (英治)んっ
(裕太)えっ (英治)んっ (詩織)…で 結局 ケンカって何なんですか
(詩織)…で 結局 ケンカって何なんですか
(英治)だから 知るかって
(信介)何だ これ チッ
何っ ハア…
ハア… まどかさん
早紀ちゃんね 新しいお芝居 決まったんだって
そう おめでとう
(留美)結構 重傷みたいですね…
ああ〜 かなりひどいケンカだったみたい
ケンカってどんな?
それが 聞いても言わないの
(店員)いらっしゃいませ (店員)いらっしゃいませ
あっ
あっ
あの…
(信介)はい
(まどか)みんなも 気にしてるみたいだし
いい加減 仲直りしませんか
(信介) まあ そっちがそう言うなら
(まどか)じゃあ そういうことで
はい
食べますか?
はい
(信介)どうも
(信介)うん
これ おいしいですよね
(信介)でしょ (まどか)フフッ
(信介)あっ
あれから お母さんとは どうですか?
(まどか)ええ 時々電話して—
前より頻繁に 実家に帰って 顔見せるようにしてます
(信介)そうですか
母のことをちゃんと 考えられるようになったのは—
桑野さんのおかげです
いえ
そうだ
(まどか)ん?
(信介)映画のチケットが 2枚あるんですが…
行きませんか
(まどか)映画?
アクションものですか
ただの アクションじゃないんですよ
敵味方が入り乱れて 時空を越えて—
人工知能を奪い合う話です
ややこしそうですね
(信介)かなり
どうしようかな…
嫌なら 別に…
桑野さんの解説付きですか?
えっ
予習と復習… 懇切丁寧こんせつていねいな
あなたが どうしてもと言うなら
しょうがないから聞いてあげます
しょうがないな…
望むところですよ
(まどか)フフフッ (信介)フフフッ
(信介)あっ (まどか)ん?
もう時間がない 行きましょう
えっ 今からですか?
(信介)あっ そうですよ (まどか)あっ これ…
(まどか) ハリウッド映画ですか?
(信介)これはね フィンランド映画です
(まどか)フィンランド
うわ じゃあ 字幕がないと 絶対分かんないですね
(信介)大丈夫です 僕が全部説明しますから
(まどか) ハハッ ありがとうございます
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