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(戸波早紀となみ さき)あっ
あとで来よっか
(店員)いらっしゃいませ
桑野くわの様ですね
(桑野信介しんすけ)はい
(店員)こちらですね
(信介)どうも
結構ですよ
じゃあ これを
(店員)はい
シャツが 1 2 3枚
あっ ハンカチ入ってました
それも洗うんです
そうですか…
ハンカチが1枚 ハンカチが2枚 ハンカチが3枚 ハンカチが4枚…
(村上英治むらかみ えいじ)う〜ん ちょっと難しいんじゃないかな
(森山桜子もりやま さくらこ)とにかく 桑野さんに話してみてよ
(英治)うん
(英治)おはようございます (桜子)おはようございます
(一同) おはようございます
(信介)ああ
あっ オッケ オッケ
(村上のせきばらい)
桑野さん
桜子ちゃんが 新しい仕事の話 持ってきたんですけど
何だ 仕事の話か
俺の悪口言ってるのかと思った
えっ
えっ いや おお… お どんな?
あっ それが 店舗デザインの話なんですけど
店舗デザイン…
いきなり拒否モード
先方が—
桑野さんの建築にほれ込んで ぜひって言ってるそうなんです
勝手に ほれ込まれてもな…
それに俺は 人が暮らす建物を 造ることが好きなんで
商売をする場所に興味なんかない
まあ そう言わずに 話だけでも聞いてみませんか
先方の専務さんが うちの社長と仲がよくて—
社長も是非って言ってるんです
おたくの社長の思惑と俺と どういう関係があるんだよ
丁重に断ってくれ
(桜子)ああ〜 そうですか (英治)まあ まあ まあ
(桜子)報酬も 相当いいみたいなんですけどね
(桜子)報酬も 相当いいみたいなんですけどね (英治) うん うん うん
えっ
検討しよう
(店員)ありがとうございました
(大島おおしま雄作)この度は ありがとうございます
僕の知り合いが たまたま—
桑野先生の設計された家に 住んでましてね
その家を見て以来—
先生に店舗のデザインを お願いできないかって—
ずっと思ってたんですよ
そうですか
でも まあ…
桑野さんに 内装だけやっていただくなんて—
無理だろうなって思いながらも ダメもとで お願いしてみようと
(桜子)今日は とにかく お話を聞くということで
(大島)これが 今度 造りたい店の…
あっ すいません 平面図です
大人の男女が集う洗練された レストランバーを造りたいんです
場所はビルの半地下 広さは65平米です
現地は見られないんですか?
今は 他の店舗が営業中でしてね
でも 根本的に 造り替えるつもりなんで—
現地を見ていただいても 参考にはなりません
ああ… そうなんですか
チッ 僕がやると お金かかりますよ
(桜子)桑野さんは いろいろと こだわる人なんで…
(大島)全然かまいません
予算は 十分 用意させていただきます
例えば イスやテーブルなどの調度は—
B&B イタリアでどうですか
B&B?
B&Bって イタリアの 有名なメーカーですよね
私 社長と知り合いなんです
(英治)いいじゃないですか 桑野さんとB&Bのコラボなんて
(信介)なるほど この椅子だったらさ…
(信介)そうだな 逆にさ… (大島)それで あの…
(信介) 床とかは ウッドじゃなくたって いいんだよな…
(信介) 床とかは ウッドじゃなくたって いいんだよな… (大島)えっ あの…
(英治)あっ もう 構想に入ってるみたいなんで—
ほっといてやってください
おお〜
(携帯電話のバイブ音)
あっ 失礼
(桜子)ねえ (英治)んっ
(桜子)私たちの結婚のこと 桑野さんに言ってくれたの?
ああ 言うよ
まだ言ってないの
だから 言うよ
(大島)失礼…
いかがですか?
ちょっと構想を練ります
やっていただけるんですか?
まだ検討 段階です
たぶん 大丈夫です
ああ…
いけるぞ…
(信介)あっ これも (英治)はい
(信介)ええ… (英治)あっ
(英治)あの 桑野さん… (信介)これもだ
今やってる仕事は まだ スケジュールに余裕があるな
こっち先やるぞ
(英治)はい…
(桜子)もう (英治)あっ
(英治)あとで話すよ
(田中有希江たなか ゆきえ) ありがとうございます
(吉山よしやままどか)何これ…
有希江さんに 店長を辞めろって言うの?
そうなのよ
だって ビルの社長さんから—
店の経営権を譲渡してもらう話に なってたんでしょ
会社の中で対立があるらしくて
どうやら会社の専務さんが—
店を造り替えようって 方針を出して—
社長と もめてるみたいなの
…で 社長さんは何て?
社長さんは 私にあの店を 任せたいって言ってくれたの
銀行の融資も決まって—
あとは 契約を交わすだけだったのに…
(まどか)ん…
大丈夫よ いよいよとなれば 地位保全の申し立てをして—
裁判で闘うっていう方法もあるから
とにかく できることをやってみる
(有希江)ありがとう… (まどか)うん
相談してよかった
(山下香織かおり) 桑野さんのお土産のバナナ 食べます?
(まどか)ありがとう
有希江さんもどうぞ はい
よいしょ サンキュー
ちょっと黒くなってる…
(まどか)おお〜
う〜ん おいしい
(有希江)そ… そうだ
うちの店でね 新しいメニュー作ったの
ごちそうするから来ない?
うん 行く
(有希江)ただいま〜
(太田留美るみ)おかえりなさい
(まどか)どうも〜
(有希江)最近 若い人も増えてきたから—
メニューの幅広げて 若い人たちにも—
喜んでもらえるように しようと思って
(まどか)いろいろ工夫してるのね
オーナーとしての自覚を 持とうと思って
その努力が 無駄にならないようにしないとね
(まどか)フフッ (留美)どうなりました?
あっ まどかさんが 何とかしてくれるって
(留美)あっ よかった もう (まどか)フフフッ
今 ハーブティー 用意するね
うん 楽しみ
(金属音) (まどか)わっ びっくりした (有希江)わあっ
(信介)どうも コンセントが 引っ掛かって外れてるだけでした
(留美)ありがとうございました (信介)ああ…
(まどか)いたんですか
いました 何かあったんですか?
このお店のことで ちょっと問題が
(信介)問題? (まどか)ええ
(信介)あっ なら この弁護士さんは最高ですよ
やっくんの件も きちんと解決してくれました
任せて安心です
分かりました
桑野さんが言うと 皮肉に聞こえます
素直じゃないな
さてと
(まどか)仕事ですか?
ええ ちょっと新しい案件が
何とかしないと…
よ〜し
♪〜
〜♪
(中川なかがわ良雄) おしゃれな店の デザインか いいな
(信介)イメージが できつつあるんだけどな
(中川)デートに使える 店なんていいな
ああいう店でさ—
カップル客を想定すんのは 当然だろ
(中川)カップルでもさ…
お忍びカップルのこと 考えてほしいんだよ
(信介)えっ (中川)…で
一緒にいるのを 人に見られたくない人向けの
こうさ… なっ
囲われてて 他から見えない席 作ってよ
需要があるのか そんな席
需要があるのか そんな席 (中川)はあ…
(中川)はあ…
あるに決まってんだろ
世の中 人目をはばかるカップルが どれだけいると思ってんだよ
100万組はいるぞ
どこの調査だ
それにさ 普通のカップルでも こう隔離されると—
いんびな感じになって 盛り上がるってもんだよ
検討しよう
うんうん うん
照明も大事だよな 薄暗くって
BGMも 適度にうるさい方がさ
こう 話す時に思わず近づくだろ こうやって ハハハッ
夢は膨らむな
(神崎)どんなお店か興味あります
開店したら 僕も連れてってください
えっ あっ うん…
(信介)フフッ
囲われてて 他から見えないか…
(中川) 普通のカップルでも こう隔離されてると—
いんびな感じになって 盛り上がるってもんだよ
(店員)いらっしゃいませ
あの 個室いいですか?
(店員)どうぞ どうぞ
(店員)あっ はい 中入ってください
どうぞ ゆっくり
(男性) すいません マンゴーラッシー 1ついいですか
(店員)はい マンゴーラッシー
(店員)いらっしゃいませ (女性)2名です
(店員)はい こちら どうぞ
(男性)では ここ座りましょう (女性)うん
なるほど
(信介の鼻歌)
(信介) よし 個室の奥行きを 500ミリ 広くして
(英治) あっ この壁ですね 分かりました
じゃあ この壁…
(大島)よし…
(大島)いや〜 ハハッ
すばらしいですよ〜
どうも
(大島)既成のものとは 違う発想がありますね
(信介)フッ
(大島)桑野先生に お願いしてよかった フフッ
いや それから これ
このカップル用に隔離された席が いいですね
あっ これはね カップルがね…
その… あれなんで フッ
とにかく これで すぐに進めさせていただきます
そうですか
(大島)あの店は ロケーションもいいんですよ
(信介)ふ〜ん ちょっと通りを入った所にあって
ちょっと通りを入った所にあって
隠れが的イメージもあるんです
(信介)ああ…
あれ
(大島)これで 新しいビジネスに乗り出せます
ハハッ
あの この店って あの…
広尾ひろお通りを入ったとこですか?
はい ご存じなんですか?
(信介)あっ いや… (大島)ハハッ よし じゃあ
そういうことで ハハッ すいません
(大島)ありがとうございました (信介)あっ どうも
あっ あっ あの…
(ドアの閉まる音)
(まどか) このお店のことで ちょっと問題が
(信介)あれ
オーナーさんと話したわ
とりあえず 有希江さんとの 契約解除については—
取締役会での決定を なるべく 待ってもらえるように話しておいた
やっぱり 女が自立するって難しいのかな…
(まどか) それとこれとは別でしょ
(早紀)そうそう 男か女か関係ないでしょ
(まどか)うん (有希江)そうね…
ありがとう
あなたたちだと 安心して弱音吐けるからいいわ
お役に立てて何よりです
(早紀・まどか)フフフッ
(留美)お先に失礼します (有希江)あっ 一緒にどう?
あっ すいません デートなんで
(早紀)ああ いいな 若いって〜
だから あなたが そういうこと言わないの
フフッ すいません
(留美)じゃあ 失礼します
(有希江)お疲れ (まどか・早紀)お疲れさまです
(留美)うわっ
(有希江)どうしたの?
桑野さんが…
(一同)えっ
(まどか)あっ
何してるんですか?
入ったらどうですか
(留美)お疲れさまでした…
(有希江)デート楽しんで
どうも
そこで何してたんですか?
アリのケンカを見てたんですよ
アリのケンカ?
今日は皆さんに おすそ分けしたいものがありまして
ドンサックのカレー味です… よかったら
これを わざわざ?
あなた ドンサック カレー味の 希少価値を分かってないんですか
(まどか)分かってません (信介)はあっ
そもそも ドンサックはね—
もともとは 全国で売られてたんですよ
ですが 今は 関西の一部でしか 扱いがないんです
しかも このカレー味は 特に生産量が少ないやつで—
東京で手に入るのは まれなんですよ
そうなんですか…
チッ
最後の1袋です
今日は 特別に皆さんに
いいんですか? そんな貴重なもの
どうぞ
(早紀)じゃあ いっちゃいますよ
(信介)どうぞ
待って!
何だか怪しい
桑野さんが そんな貴重なものを おいそれと差し出すとは思えません
何か… 意図があるんじゃないですか?
何言ってんですか 心外だな
(有希江)そうよ 人の親切は 素直に受け取りましょう
いい年して弁護士やってると そんなことまで疑うんですか
いい年は関係ないでしょ
(早紀)じゃあ 開けますよ
(信介)どうぞ
おお〜
フウ…
(まどか)んっ おいしい
ホント
でしょ ハハッ
(早紀)これが幻の味か…
ところで…
ちょっと お話があるんですが…
ちょっと お話があるんですが… (有希江)あっ
(有希江)それ 今やってる台本? (まどか)ん?
(早紀) あっ そうなんです
(まどか)えっ
1人の男を 女同士が取り合う役なんですけど
取り合いたくなるような男と 出会ってみたい
(早紀・有希江)フフフフッ
何か 意地悪なこと言おうとしたでしょ
別に
でも 難しくて…
私 演出家の人に—
恋愛経験が足りないんじゃないか って言われたんです
それも 激しい恋愛の経験が
足りないの?
十分とは言えないかも
それが課題なんです
でもさ 激しい恋愛って何?
普通の恋愛と何が違うの
(まどか)そうよね
大体 恋愛なんて 最初は すごく好きになるもんでしょ
(信介)障害だな
(まどか)障害?
どんなに 愛し合っていたとしても—
障害がなければ 激しくなりようがない
例えば 親から反対されてるとか
遠距離とか そういう障害があるからこそ—
人の心は 激しく燃え上がるんですよ
(早紀)なるほどね
桑野さんから そんな意見が出るなんて意外
ホント
恋愛なんて バカにしてるかと思った
僕はね 結婚に疑問を持ってるだけで—
恋愛を否定したことは ありませんよ
第一 恋愛を否定したら—
恋愛を描いた いい映画や いい小説を—
全部 否定することに なるじゃないですか
えっ 桑野さんって 恋愛映画とかお好きなんですか?
お好きですよ
僕は ジャンルを 分けることはしないんです
いいものは いいんだ
(早紀)あっ あの…
オススメの恋愛映画って 何かありますか?
また検索か…
いいじゃないですか
いい映画を見なくたって 自分で恋愛すればいいじゃない
プハハハッ
ハア… いい恋をするにはね
それなりに 心の豊かさってものが 必要なんですよ
そのためには いいものをたくさん見て—
引き出しを増やしとかないと
それじゃあ 桑野さんは—
いい映画を たくさん見てらっしゃるから—
さぞかし激しい恋を たくさん してらっしゃるんでしょうね〜
それは…
僕だってしますよ
(一同)えっ
相手がいれば
(一同)ハアッ
(まどか)それは あなたみたいな人を—
受け入れてくれる相手が いればでしょ
ついに言いましたね 言っちゃいけない言葉を
まあ… 確かに 僕は—
一見 恋愛には 不向きかもしれませんよ
認めた
でもね…
そんな孤独な男は—
一たび恋に落ちた日には…
フフフフッ ハハッ
帰ります
(まどか)明らかに ごまかした
桑野さん 何かお話が あったんじゃないんですか?
(信介)それは また いずれ…
(早紀)ハア… 変なの
その変さに慣れてきた自分が怖い
(信介)フウ…
ドンサック カレー味 むだにした
チッ
(一同の笑い声)
ハア… ハハッ
(記者)じゃあ ウソをついたということですか?
(久保田真二朗)はい
いつかは言わなければならない と思っていました
でも その場の空気というか…
どうしても 本当のことが言えなかったんです
す すいません
(中川圭子けいこ)バカねーっ
いつかバレるんだから さっさと言えばいいのに
(桑野育代いくよ)それが なかなか言えないのが—
人間っていうもんなのよ
(圭子)ふ〜ん (中川)分かるな…
(中川ゆみ)ああっ お父さん 何か同情してる
(圭子)パパ 何か隠してる?
えっ ないよ 何も
(育代)ウソは 人生のスパイスともいうわね
(中川)そうそう 言うね (ゆみ)ああ〜
正当化しようとしてる
(圭子)怪しい (中川)いやいや 誤解だよ
信介 何とか言ってくれよ
この男は どんなウソをついたんだ?
(久保田) 気持ちに隙があったというか…
あれ 何だっけ?
不倫でしょ
不倫相手との間に 隠し子があったってこと
いやいや その子に—
奥さんにないしょで 財産分与しようとしたことだろ
要するに何でもありってことか
(桜子)いい加減にしてよ
もう いつになったら結婚のこと 桑野さんに話すつもり?
(英治)分かってるよ (桜子)ハア…
ベストコンディションの時に 話したいんだよ
(桜子)何よ ベストコンディションって…
大体 桑野さんが 私たちの結婚に賛成するかな
形だけ報告するだけでも いいじゃない
でも 俺にとって桑野さんって—
何だかんだ言っても 親以上の存在っていうか
あの人がいたから 今 建築家としてやれてるんで
だから 桑野さんには—
ちゃんと俺たちの結婚に 賛成してほしいんだよ
分かるけど 結婚を否定してる人に—
それを求めても しょうがないんじゃない
まあ…
(男性)よし じゃあ… もう1軒 行こうよ
(男性)よし じゃあ… もう1軒 行こうよ (英治)あっ
(男性)行こうよ あっいいじゃん (女性)はいっ いきます
(男性)行こうよ あっいいじゃん (女性)はいっ いきます (桜子)あれっ
(早紀)じゃあ 私 ここで失礼します (男性) 行こう 行こう うん
(男性)えっ 行かないの?
(早紀)お疲れさまでした
(早紀)ハア…
よう 早紀ちゃん
あっ
(店主)はい お待ちどお
(早紀)ハア…
何か 浮かない顔だね
また お芝居 ダメ出しされちゃって…
(英治)あら
ああ やっぱり 恋愛経験が足りないのかな
どっかに男の人いませんか
私をほんろうして ボロボロにしてくれる最悪な男
う〜ん やけになるのは よそうね
いっそ 桑野さんにすれば
(村上・早紀)えっ (桜子)えっ
いや それは意味が違うだろ
あっ そういえば さっき桑野さん見かけました
えっ どこで?
(早紀) タピオカの店で並んでた…
真剣な顔で飲んでた…
(桜子)うわ…
私をほんろうして ボロボロに…
あっ 何か変なイメージが頭に
(英治)えっ (早紀)どうしよう
(英治)ヤバい ヤバい ヤバい 飲んで 飲んで 飲んで 飲んで ほら
(英治)ほらほら ほら (桜子)うう〜 ヒッ ヒッ
(英治)ああ〜 危なかった (早紀)ああ ハア… ハア…
(信介)フウ…
(店員)いらっしゃいませ
(留美)いらっしゃいませ (有希江)いらっしゃいませ
(大島)じゃあ ここ
何になさいますか?
帝和ていわコーポレーション 専務の大島です
あっ…
(大島)弁護士さんから 連絡を頂きました
ここを退去しないで 我々と闘うということですか
そ そうです
退去の費用を いくらか出しましょう
それで どうですか?
私は ここで お店がやりたいんです
1つ いいことを 教えてあげましょう
うちの社長はね—
この店には 将来性がないと思ってたんですよ
だから あなたに譲りたがった
いわば 押しつけようとしたんです
(有希江)ああ ハア…
(まどか)それで? (有希江)うん…
私 ここを出るつもりはない
最後には 裁判になっても 闘うつもりですって
よく言った!
のど カラカラだった
(まどか)ハッ (有希江)ハア…
(まどか)このお店に 将来性がないとか言うのは—
ただの脅しでしょ 気にすることないわ
(有希江)そうね (まどか)うん
私 社長さん 信じる
(まどか)うん
…で どんな店にするっていうの向こうは
(有希江)これだって
(まどか)かっ 何これ
いかにも クリエーターが 作りましたっていう感じ
スカしてるっていうか…
これ デザインしたやつって きっと—
ひげ生やして だて眼鏡かけてるようなやつよ
(有希江)うん (まどか)フフッ
(まどか)“クワノ シンスケ”…
えっ
(有希江)クワノ… シンス… ケ
(信介) “マンホールあれこれ”か…
のんきでいいな…
(携帯電話の着信音)
(丸山裕太ゆうた:小声で) さっきから 何度も鳴ってるのに…
(横田詩織:小声で)気にしない
(携帯電話の着信音)
(信介)はい
(まどか)お話があります
何でしょう
直接 お話しします
は〜い
そろそろ来る頃ね
ちょっと見て
(留美)はい…
(まどか)つまり 有希江さんの 店だとは知らなかったんですね
まあ そういうことです
だったら さっさと言えばいいのに
言ったら怒るでしょ
(まどか)怒ってません! (信介)ほら 怒ってる
(有希江) もう これ以上 桑野さん責めても しかたないじゃない
まったくですよ
自分で言わない
あの仕事は断ります それで勘弁してください
(有希江)桑野さんが断っても 他の人がやるだけでしょ
(まどか)それはそうね
それはそうですよ
もういいです 私たちで闘いますから
桑野さんは 高みの見物でも してればいいでしょ
…で これから どうするかなんだけど…
この専務からの契約終了に関する 通知に対しては無効を主張して—
地位保全の仮処分の 申し立てをしようと思ってる…
その手には乗りませんよ
えっ?
そうやって無視したら 僕が あまのじゃくだから—
何かやるとか言いだすとか 思ってるでしょ
全然
まっ 桑野さんは この大島という人に—
気に入られてるみたいだから
何か情報をつかめたりはしないかと 思ったりはしますけど
(まどか)別に無理にとは (信介)ほら 思ってた
言ってみただけです
あいにく 僕はね—
人に指図されるのが 大嫌いでしてね
ああ そうですか じゃあ 結構です
じゃあ 仮処分の 申し立てをするにあたって—
それに必要な委任状…
(香織)先生 飲食店の—
契約解除の無効を争ったケースの 仮処分なら—
ここにも判例が出てます
ああ ありがと
う〜ん やっぱり 仮処分か裁判でいくしかないか…
問題は時間がかかるってことかな…
(信介)フウ…
結構 うまくできたのにな…
(桜子) ほら ベストコンディション
(英治) いや どっちかって言うと バッドじゃないかな…
(詩織) 他のことを考え込んでる時は やめた方がいいですよ
(詩織) 他のことを考え込んでる時は やめた方がいいですよ (英治)うわっ
(詩織) 他のことを考え込んでる時は やめた方がいいですよ
なんで お前らまで参加してんだよ
(信介)何話してんだよ? (英治)えっ
(英治)あっ いや 別に (桜子)あっ 言えば…
ところでさ お前ら いつ結婚するんだ
(一同)えっ
桑野さん 知ってたんですか?
こないだから こちょこちょ こちょこちょ…
丸聞こえなんだよ
そんな…
聞こえたら言ってくださいよ
フッ どうなるか観察してた
ひどい…
そういうの どうかと思いますよ
でしょ だから 今言ったんだよ
じゃあ ちょっと お時間いいですか
結婚式の相談とか したいんですけど
俺に 何を相談するっていうんだよ 好きにすればいいだろ
いや そうじゃなくて
(信介)ちょっと時間がないからさ (英治)えっ
(信介)あとは頼むぞ (英治)いや ちょ ハア…
お話って何ですか?
(信介)あのですね…
(大島) 例の店は順調に進めてますので ご安心ください
その件なんですが 今回の仕事は やはり…
あっ 今 営業中の店は…
(大島)ああ…
店の雇われ店長が ちょっとごねてますけど
ハハッ そんなのは小さな問題です
(大島)気にすることありません (信介)いや あの…
(大島)それより 実は 折り入ってご相談がありましてね
今回のギャランティーなんですが 5割増しでお支払いします
(信介)えっ (大島)そのかわり—
そのうち3割を こちらに バックしていただきたいんです
それは…
(大島)先生には ご迷惑はかけませんので
決して悪い話じゃないでしょ?
チッ
ちょっと検討します
あっ…
ハア…
(男性)ちょっと
えっ
ハアッ
(大工)よし いきますよ (大工)後ろ気を付けて
(大工)はい はい (大工)はい 大丈夫ですか
(大工)はい 大丈夫 はい (大工)置きますよ
(大工)いいよ よし (大工)はい
(大工)よし (大工)あっ ちょっと (信介)チッ
(大工)ちょっと… (信介)チッ
何サボってんだよ
あれ
(棟梁とうりょう)おっ 何か
返せよ
何だよ こいつのファンなのかよ
(棟梁)んなわけねえだろ 嫌いだよ こんなやつ
金持ちのイケメンが嫌いなのか?
それはある
あるのか
(棟梁) 1度 仕事したことあんだけどよ 嫌な感じだったよ
“東京をリニューアル”
何でも新しくすりゃ いいってもんじゃねえだろ
“巧言令色鮮こうげんれいしょくすくなし仁”
うわべだけ調子のいいやつほど 中身がねえんだよ
論語には いい言葉があるな
意外に学があるな…
(信介)おい (棟梁)何だよ?
この男と前に仕事したって さっき言ったよな
ああ それが?
(大島)ハアッ どうも
どうも
(大島)フウ…
あっ コーヒー
(ウェイター) かしこまりました
例のキックバック ご了承いただけるそうですね
ええ まあ
ありがとうございます
じゃあ 振込先ですが—
こちらの方に お願いします
やっぱりな
(大島)何ですか?
これ 本来の会社の口座とは 別もんですよね
ああ… ええ それは ちょっと…
でも それが何か?
しかも あなたは 過去に何度も取り引き相手に—
この口座に 振り込みをさせている
えっ どうして そんなことを?
さる筋から調べたんですよ
それらの情報から総合すると—
あなたはギャラをリベートして キックバックさせて—
一部を流用している可能性がある
(大島)そ そんな…
それだけで 僕がそんなことしてる 証拠にはなりませんよ
詳しくは おたくの会社に 調べてもらえば分かることですよ
(大島)いや ここは 1つ 大人になりましょうよ
そんなことして あなたに 何のメリットがあるんですか
割り増しを払うんだから あなたにも得になるんですよ
第一 これで僕が失脚したら—
今回の仕事だって パアになりますよ
結構です もともと断るつもりだったんで
えっ しかし…
あの ブラウンクローバーって店はね—
実は 僕の行きつけの店なんですよ
えっ
ふと仕事に疲れた時や—
1人で考え事をしたい時に ちょうどいい場所なんです
重宝してるんですよ なくなると困るんです
そんなことで…
いや あんなカフェぐらい 何ですか
あんなカフェが 僕には大事なんですよ
(信介)ハア…
あっ
やっぱり あの店の コーヒーの方がうまいな
ハッ
ハア…
(有希江)いらっしゃい (留美)いらっしゃいませ
(有希江)あっ まどかさん (まどか)有希江さん ねえ
(まどか) このお店のことだけど—
他の取締役を説得して 取締役会で—
契約解除を撤回してもらえば いけるかもしれない
まあ 仮処分だと時間かかるから…
それで きっと このお店を守れると思う
(有希江)もういいの (まどか)えっ
今ね ビルの社長さんから 連絡があったの
(まどか)うん
大島専務が裏の口座を作って—
業者から勝手に リベートを受け取ってたんだって
(まどか)ええ (有希江)それを告発されて—
社内調査したら 他にも いろいろ出てきて
やったこと認めたらしいの
いや 告発って誰が?
さあ 匿名の人からの電話で 誰だか分かんないんだって
へえ〜
事を荒だてないかわりに—
会社を去れっていう社長の申し出を 大島専務 受け入れたんだって
そう…
えっ でも 急な展開ね
(有希江)社長さん—
心配かけて申し訳なかったって 言ってくれたの
来週 正式に お店の譲渡の契約をしようって
よかったわね
ホントに ありがとうございました
(まどか)いやいや いやいや (有希江)ハハッ
でも 告発って誰?
さあ
(ドアの開く音) (まどか)あっ
(有希江)あっ いらっしゃい (留美)いらっしゃいませ
(信介)どうも (まどか)どうも
(信介)ブレンド お願いします
(有希江)は〜い
(信介)ハア…
(まどか)桑野さん (信介)はい
(まどか) このお店のこと 解決しました
(信介)そうですか
ご心配おかけして すいませんでした
(信介)ああ いえいえ
(有希江)私ね (まどか)うん?
お店の名前 変えようかと思ってるの
へえ〜 何て?
(有希江)ピュルテ (まどか)ピュルテ?
(有希江)うん フランス語で純粋さって意味
社長さんも気に入ってくれてるの
へえ〜 ステキ
(有希江)フフッ (まどか)フフフッ
(有希江)あっ (まどか)ん?
ということは 桑野さんの店舗デザインの仕事—
なくなったってことですか?
(信介)アハッ (まどか)あっ
(信介)ハハッ 大損害ですよ ハハッ
ごめんなさい
(信介) ああ いやいや 別に 別に
私も桑野さんの損害のことを 考えてませんでした
すいません
まあ もともと 嫌々やらされた仕事ですからね
それに僕は モテてモテて 引く手あまたですから
他にも たくさんいい仕事があるんでね
まあ 気にしないで結構ですよ
フフッ あっ そうですか
ええ
(信介の鼻歌)
(有希江)どうぞ (信介)あっ
(信介)どうも
ああ〜 うまい
(男性) では これで手続きは完了です よろしくお願いします
はい ありがとうございます
(男性)では これで
(配達員)こんにちは お届けものです
えっ
あの これ どこからですか?
(配達員)ええ…
桑野・村上建築設計事務所さん からです
えっ
(携帯電話の着信音)
(信介)はい
看板 ありがとうございます
びっくりしました
あっ いえいえ ほんのお礼というか
まあ あの店になくなってもらうと 困るんでね フフッ
うれしいです
ハッ あっ
桑野さんって…
(信介)えっ
いえ またお店に来てください
あっ はい
それじゃあ
それじゃあ
(信介)フウ…
(沢村映子)桑野先生 (信介)はい
(映子)先日の店舗デザインの 支払いがないんですが…
あれはなくなったんで
えっ どうして?
まあ どうしてっていうか…
また ケンカでもされたんですか
まあ そんなとこです
ハア…
(英治)桑野さん (信介)はい
こないだのあれ 俺と桜子ちゃんの結婚に—
賛成してくれるってことですよね
(信介)するのは自由だと言ったろ
しかし…
しかし 何ですか?
(信介)いいのか… (英治)えっ 何がですか?
あっ まあ その話はいいや
(英治) えっ いや よくないでしょ えっ ちょ どういうこと
(有希江・まどか・早紀)乾杯
(早紀)ハア… お店 頑張ってください
ありがと
(まどか)早紀ちゃんも頑張って 新しい恋 見つけないとね
(早紀)そんなの どこで見つかるんだろう
結婚もそうだけど 恋愛も相手次第よね
(早紀)うん (有希江)私 思うんだけど…
(まどか)うん?
桑野さんって 悪い人じゃないじゃない
まあ それは…
桑野さんと 好き同士になれる人がいたら—
意外と 幸せなんじゃないかなと思って
それは もし 仮に 好き同士になったらでしょ
ん… そんな人いるのかな
いないでしょ 無理 無理
ハハッ ですよね 何の罰ゲームだって感じですよね
難しいか… そうね
(一同の笑い声)
(まどか)んっ おいしい これ
(早紀)うん むっちゃビーフ (まどか)ハハッ ビーフ
(早紀)激うまです (まどか)何つってんの?
(早紀)激うま
(まどか) 取りすぎじゃない それ
(早紀)お腹減ったんです
(まどか)ハハハッ それにしてもよ
(“黒い瞳のナタリー”)
(操作音) (信介)チッ 違うな
スポック 頼むぞ
(“サンフラワー”)
(信介)おっ おっ
(“サンフラワー”)
障害か…
燃えるな
ああ… ハア…
(英治)俺たちの 結婚パーティーで—
主賓としてあいさつ してもらえませんか?
結婚をいいと 思ってないのに—
きれい事 言えますか?
(まどか)原稿 私が書きます
約束ですよ
みんな 他の女と比較してない
(英治) ちょっと待ってよ
(信介)あの 本日は…
(店員)ご主人様のお名前は?
信介…
(早紀)タツオが 何だか元気がないんです
(信介) 何か心に秘めた顔してるな
(有希江)あの人は あの人なりに 悩み事とかあるんじゃないの
桑野さんは普通ではない
(信介) いつものやつがなかったんで 今日は2つ
(信介)完璧だ…
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