All language subtitles for Jukkakukan.no.Satsujin.EP04.1080p.HULU.WEB-DL.AAC2.0.H.264-MagicStar

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Original subtitles

(ポウ) カーは何らかの毒を飲んだ

(アガサ) キャー!

(ルルウ) 同一犯ってことですか?

(ポウ) これは思い込みを利用した仕掛けだな

(エラリイ) うわっ

(ポウ) エラリイ! (ルルウ) エラリイさん?

(エラリイ) 誰かがいたんだよ ここに

(江南孝明) 分かったのは――

中村千織は 父 中村青司から 愛されていなかったということ

(島田 潔) 中村千織の実の父親は 紅さんじゃないかってことさ

(守須恭一) 2人とも 少し踏み込みすぎじゃないですか

僕は ここで降りようと思います

(ルルウ)

(ポウ) また毒だ…

(エラリイ)“第三の被害者”か…

(エラリイ) その辺のがれきで やられたんだろう

(ヴァン) もう嫌だ

(ポウ) 死後硬直からすると 正確には言えんが――

死後5時間から 6時間といったところだ

夜明け前か

連れて帰ろう

おい エラリイ?

(エラリイ) ああ

代わろう

せーの

張り切ってたのにな 編集長

(ポウ) アガサは死後3時間ちょいと いったところだ

(ヴァン) これ アガサの

(エラリイ) こいつか

(ポウ) 気をつけろ

(ポウ) 正解だ

毒がたっぷり塗ってあるようだ

まさに死に化粧だ

白いドレスの死に装束 おまけに毒殺ときてる

まるで童話の姫君じゃないか

おやすみ 白雪姫

(ポウ) この中にいるんだな 4人を殺した犯人が

もう一度 最初から検討してみるかい?

(島田) 紅さんに真相を問いただす前に――

彼女の死を悼む

ロマンチストだね 君は

(江南) 守須の言ったことも 間違ってないと思います

(守須) しかも その人が 最も知られたくないと思っている部分に――

土足で踏み込むようなマネは 控えるべきだよ

いいんだぜ やめても

この花――

最近 誰か来たんですよね ここに

みたいだね

今でも彼女の死を悼んでいる

あの手紙の送り主かもしれない

俺が行かなくても 島田さんは行くんでしょ どうせ

最後までつきあいますよ 彼女のためにも

(エラリイ) 始まりは プレートだったね

犯人が あらかじめ 用意したものだろう

大してかさばるものでもないから 誰でも持ち込むことができる

3日目の朝 犯人は プレートの予告を実行に移した

“第一の被害者”はオルツィ

ポウ 君が遺体を調べた時――

凶器はどこにでもあるナイロンひも

それが首にかかったままだったと 言っていたね

(ポウ) ああ

問題は犯人がどうやって 部屋に侵入したか

遺体を発見した時 ドアも窓も鍵が開いていた

でもオルツィが 鍵を開けっぱなしで眠るとは思えない

だとすると 考えられる可能性は2つ

たまたま鍵をかけ忘れた窓から 誰かが忍び込んだ

もしくは 誰かがドアを開けさせた

(ヴァン) 窓から入ったんなら どうしてドアの鍵が開いてたんだ?

(エラリイ) プレートを貼り付けるために いったんホールへ出たとも解釈できる

(ヴァン) なるほど

(エラリイ) でも オルツィが いくら熟睡していたとしても――

侵入には物音が伴う

もしポウが言うように 仲間の誰かが犯人だとすれば――

理由を言って平和的に 部屋に入れてもらうね

(ヴァン) でも オルツィが 部屋に男を入れるだろうか

(エラリイ) 例えば緊急だと言われたら 彼女はむげには断れない性格だ

その線で考えると ポウ 君が一番怪しい

(ポウ) は? バカな

(エラリイ) 君たちは幼なじみだ 僕やヴァンよりも警戒されない

遺体を整えてやったのも 僕らを締め出したのも――

今 思うと疑わしいね

(ヴァン) そう言われると…

(ポウ) 冗談じゃない どうして俺がオルツィを!

まあ待てよ 可能性の話だ

手首の件は?

何だって俺が彼女の手首を 切り取って持ち去る必要があるんだ?

犯人は青屋敷事件を 意識していたことは確かだね

でも何のために見立てを行ったのか どう思う?

僕らをかく乱するためかな?

そのためだけに?

物音を立てずに 切り落とすだけでもかなり苦労するぞ

相応の必要性があったから… だろ?

知るかよ

話を進めよう 次は“第二の被害者”カーの事件だ

この3人の中だとヴァンだけ――

カーのカップに 毒を入れるチャンスはなかった

あらかじめ毒を塗っていたとしたら――

誰にでも犯行は可能だったわけだ

(ヴァン) それは毒入りのカップを 見分けられなければ成立しないよね

そこなんだよ

さんざん見ただろう 塗りムラも傷や汚れもなかった

(エラリイ) なあ あのカップは もともと この館にあったものなんだね?

(ヴァン) ああ 伯父さんは ここを丸ごと買い取ったんだ

前からあったものに違いないよ

(エラリイ) 十角館に合わせて 中村青司が特注したんだろうな

もしかすると とんでもない 見落としをしていたのかもしれない

(エラリイ) やっぱりそうか

(ヴァン) どうかした?

(ポウ) これが何だよ?

見えていないのさ

十角形の館に十角形のホール 十角形のテーブル 十角形の天窓

十角形の灰皿 十角形のカップ

いたるところに 散りばめられた十角形が――

大きなミスディレクションになったんだ

(ポウ) どういうことだ?

そのカップには目印があったんだよ

明らかに他とは違う点がね

(ポウ) 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10

11…

あ!

そう そのカップだけ11個の角がある

十一角形だったのさ

(ヴァン) どうして1個だけ こんなカップが?

青屋敷の時と同じだよ

あの時も僕たちは すべて同じ青色だと思い込んでいただろ?

ここもすべてが十角形 中村青司の心憎い趣向だね

(ポウ) これならカップを 見分けることができるな

ああ 犯人は毒を仕込んだカップが 自分に回ってきたとしても――

その時は口をつけなければ良かったのさ

(ポウ) つまり…

ここにいる3人とも犯行は可能だ

振り出しに戻る だね

(島田) 今日こそは いると 思ったんだけどなあ

勤務先の高校も もう春休みだし――

紅さんはどこで何をしているのやら… と

(江南) 途中で電話すれば良かったですね

紅さんはね いきなり 訪ねて来られるのが好きなんだ

驚きたいのさ

それ 島田さんがいきなり訪ねて 驚かせたいだけでしょ

(島田) 気が合うんだよ 僕と紅さんは

その割には いつもすれ違ってますけど

(島田) よし 今日は帰ってくるのを 待ち伏せするとするか

ええ!?

(島田) 驚くぞ 紅さん

ほら やっぱり

(エラリイ) カーの死亡後 犯人はどうしたのか

みんなが寝静まるのを待って 部屋に忍び込み――

カーの手首を切り落とした

(ポウ) どうした?

(エラリイ) 誰もが神経過敏になっている時に 相当な危険を冒してる

だけど見立ての理由は これも不明だな

(ヴァン) 次はアガサ いや ルルウが先かな

その前に青屋敷の地下室だ 僕の殺人未遂がある

カーが倒れる前に――

僕は“青屋敷に地下室はないか”と 口にしたんだ

中村青司が隠れるのに最適じゃないか

(うめき声)

(エラリイ) 犯人はそれを聞いて あんな罠を仕掛けたんじゃないだろうか?

(ポウ) 気をつけろ!

ああ 分かってるさ

大丈夫

大丈… うわっ

(ポウ) エラリイ!

(ポウ) あれがお前の 自作自演じゃなければな

(エラリイ) なるほど

探偵気取りの僕が 真犯人ってことか

(ポウ) ああ わざわざみんなを 青屋敷まで連れてって――

転んで見せたんじゃないのか?

だとしたら迫真の演技だったろ 主演男優賞をもらわないと ハハハ…

ま 仕方ないね

あれを狂言じゃないと 証明する方法はなさそうだ

次はルルウの件

野外のあんな場所で しかも撲殺

今まで執着していた 手首の見立ては施されていない

他とはかなり異質な気がするね

ああ それは同感だ

(ヴァン) そうだね

ルルウの件はあとにしよう これはもう少し考えたい

(ヴァン) 最後はアガサか

明らかに死因は 口紅に塗られた毒のせいだ

(エラリイ) アガサはお互いの部屋を 調べることも拒否してた

あれだけ警戒していたのに いつ毒が仕込まれたんだろうな

(ヴァン) ちょっといい?

アガサの口紅 昨日よりも派手だった気がするんだ

確かにポーチの中には 口紅は2本あったね

到着した日か2日目か アガサが警戒する前に――

犯人は赤いほうの口紅に 毒を仕込んだんじゃないかな

それを今朝になってつけた

まるで時限装置だな

(ポウ) これもまた俺たち3人 誰にでもチャンスはあった

(ヴァン) そうかな? (ポウ) え?

(ヴァン) カーの時も議論になったけど 毒は普通 簡単に手に入らない

(エラリイ) ああ 入れるチャンスは 3人平等だとしても――

医学部のポウ先生は そもそも僕らより薬の入手がたやすい

ヴァンだって理学部だ 手に入るだろ?

(ヴァン) 気になってることはもう一つあって…

何だよ?

オルツィは発見された時 寝間着だったんだろ?

ポウには心を許してた

寝間着姿でドアを開けても おかしくはない

殺すわけない

どうして大事な幼なじみを あんなひどい目に遭わせられる?

俺がどんな思いで彼女を?

愛情がこじれることもある

痛いところを突いたかな

(ポウ) お前だって怪しいだろ!

カーと一番ぶつかっていたのはお前だ

(ヴァン) 落ち着いて (ポウ) 調子に乗るんじゃないぞ

お前の存在はいつも みんなの神経を逆なでしてるんだ

ポウ それは推理とは言わない ただの悪口だ

(ポウ) ああ!? (ヴァン) エラリイ…

冷静すぎるよ こんな状況なのに!

お前が犯人だからじゃないのか!

日ごろの行いには 気をつけろってことだな ハハハ…

(雨音)

ああ こんな時に

悪いね

僕もいい?

ああ

(エラリイ) さて 仕切り直して ルルウの件に戻ろう

ここまで用意周到だった犯人が――

そこら辺にあったがれきで 撲殺しているわけだ

明らかに他とは異質の事件

どうしてルルウだけ屋外だったのか

(ポウ) また雨か

(雷鳴)

(エラリイ) さっきの!

(ポウ) 何だ?

(ポウ) おい エラリイ!

2人とも この足跡が 消える前によく見てくれ

階段から来て…

ここで止まってる

これはルルウの足跡だと思うんだ でも こっちは…

つまり階段から来た 誰かがルルウを殺し――

また戻っていった

(ポウ) バカな 石段の下は海しかないぞ

(エラリイ) だから そういうことだよ

犯人は海から来て 海に戻っていったのさ

(ヴァン) 海に…

(エラリイ) やはりこれは 外部犯の仕業だよ

でも あれだけ探して 船はなかっただろう?

(エラリイ) 例えばモーター付きの ゴムボートなら畳んで隠せる

(ヴァン) やっぱり中村青司は生きている

それ以外考えられない

でもヤツが俺たちを 殺す動機なんて ないだろう!

動機なら ある

(島田) これじゃ紅さんを驚かす前に 僕らが風邪をひいてしまうな

出直すか

いえ ここまで来たんです もう少しだけ粘りましょう

(島田) 紅さん

(中村紅次郎) どうしたんだ 急に

(島田) 紅さん 作戦成功だ ああ~

(ヴァン) だけど 飲みたくないよね

ありがとう ヴァン 気持ちはもらっておく

聞かせてもらおうか 中村青司の動機を

(エラリイ) 気づいてないのかい?

(ヴァン) 何?

中村千織だよ

覚えてるだろう? 去年の冬…

(強風の音)

(ポウ) おい! しっかりしろ!

(アガサ) ウソでしょ… 何で!?

(エラリイ) 僕らの不注意で 死なせてしまった後輩

あの中村千織

(ヴァン) 中村千織

中村青司

(ポウ) 中村… (エラリイ) よくある苗字だ

僕も気づいたのは昨夜のことだよ

いや まさかそんな 中村千織は中村青司の娘か

ああ 半年前に起きた 青屋敷事件の犯人も――

おそらく中村青司だろうね

行方不明になった庭師を身代わりにして この島に生き残ったんだ

そして娘を殺した僕たちに 復讐をするために

今もどこかに潜んでいる…

(うめき声)

(ポウのうめき声)

(ヴァン) どうした?

(ポウのうめき声)

(ヴァン) おい ポウ!

ポウ? ポウ?

あ… あっ…

何だ? 2人して改まって

(島田) うん 実はどうしても 知りたいことがあってね

で 無礼を承知で 立ち入ったことを聞くから――

もし腹が立ったら ぶん殴ってもいいぜ

(紅次郎) 前置きが長いな

彼がいるってことは 例の手紙に関わることだろ

(紅次郎) 早く言えよ (島田) うん

千織さんは 紅さんと和枝夫人との 子どもだったんじゃないのかい?

何を言い出すんだ

僕たちは青屋敷事件の犯人は 青司さんじゃないかと思っています

そして彼は今も生きていると

兄は死んだ 何度も言わせないでくれ

そう思いたいだけなんだろ?

庭師の奥さんから聞いたよ 本当は仲が悪かった

いや 恨まれてたんだろ お兄さんから

なぜそんなふうに なってしまったのか

青司さんは なぜ娘である千織さんを 自分の前から遠ざけたのか

僕の仮説が…

(江南のせきばらい)

僕らの仮説が正しければ すべて つじつまが合う

いい加減にしてくれ

まさかそんな妄想で 義理の姉との仲を疑われるとはね

紅さん 覚えてるかい?

去年の9月19日 青屋敷が燃えた前日――

めったに飲まない紅さんが その日 珍しくこの僕を誘ってきたんだ

(紅次郎) 大丈夫 大丈夫 大丈夫って

(島田) 水 持ってくる

(紅次郎) 許してくれ

すまない

許してくれ

(島田) 今 思えば――

あれは 和枝さんへの 言葉だったんじゃないのかい

(島田) 青屋敷が炎上したのは 20日の未明だ

でも紅さんは その前の晩に そうなることが分かってたんだろう?

バカな どうやって知ったって言うんだ

ん? 中村青司さん本人から聞いたのさ

和枝夫人の左手首は いまだに見つかっていない

青司さんは それを紅さんに 送りつけてきたんじゃないのかい?

私は…

私は…

僕はね――

紅さんと和枝夫人とのいきさつに とやかく言うつもりなんてないよ

誰にも紅さんを 責める権利なんてないさ

それが結果的に 青司さんの狂気を招いたとしてもね

しかしね あの事件が 起きると分かった時点で――

もし紅さんが警察に知らせていたら

使用人夫妻や庭師の吉川さんの 死は防げたかもしれない

あの日の沈黙は――

ある意味 紅さんが犯した 罪だったのかもしれないよ

(江南) あの手紙のおかげで千織さんの死と ちゃんと向き合うことができました

もっと早くそうするべきだった

すみませんでした

(エラリイ) また時限装置ってわけだ

(ヴァン) タバコに毒が

ああ 中村青司はポウのケースに 毒入りを紛れ込ませたんだ

(ヴァン) 僕らの誰がこうなっても おかしくなかったんだよ

なあ ヴァン

中村青司はこの館のあるじだ

建物の構造や島の地理を 熟知している上に――

全部の部屋の鍵を持ってる

(ヴァン) だから毒を仕込むのも 寝込みを襲うのも たやすかった

そう 僕たちは 十角館という罠に飛び込んだ――

哀れな獲物だったってわけさ

(ヴァン) ここは彼が設計したんだよ 逃げようがないじゃないか

(エラリイ) あるはずだ

罠を抜け出す何かが…

どこかに…

(エラリイ) 君は言ったよね

“どうして1個だけ こんなカップが?”って

(ヴァン) ああ

これは何かの暗示じゃないか?

(ヴァン) 暗示?

この館には文字どおり10の部屋がある

君も違和感を覚えたんだろう?

十角形だらけの館に 十一角形のカップ

(ヴァン) まさか 11番目の部屋があるってこと?

その隠し部屋に 中村青司が潜んでるっていうのか?

ヤツは僕らの死角を縫って 動き回ってる

きっとどこかにあるはずだ

(エラリイ) 出してみよう

(ヴァン) ああ (エラリイ) よし

(エラリイ) よいしょ

(エラリイ) わあ… あった

これだ

(解錠音)

(エラリイ) ああ…

(紅次郎) あれは…

千織が生まれた年に植えたものなんだ

(島田) 藤棚

「源氏物語」か

(江南)「源氏物語」?

(島田) 父の妻である藤壺を 深く恋い慕った光源氏は――

彼女とただ一度だけ契りを結んだ

そのたった一夜で 藤壺は身ごもってしまった

2人は以後 夫を 父を欺き続けることとなった

藤壺は自分と光源氏が犯した罪を 生涯 許そうとしなかった

紅さん 昔から「源氏物語」は 好きだって言ってたよな

兄は優れた才能の持ち主だった反面――

どこか欠落したところがあった

(紅次郎) 妻の和枝さんを強く愛していたが――

それは狂おしいまでの独占欲に 塗り固められた――

いびつな愛情だった

青司さんは千織さんのことを 気づいてたんですか?

疑ってはいた

でも 自分の子だと 信じたい気持ちもあったと思う

兄にとっては――

それが 和枝さんとの 唯一の絆だったからね

その千織さんが 亡くなってしまった

ああ

唯一の絆を失って 兄は心のバランスを保てなくなった

妻は自分を愛していない

その心は弟の――

私にあるのではないかと嫉妬し 悩み 苦しんだ

その果てに…

(紅次郎) うわあ

(紅次郎) 兄は待ちかねたように電話に出た

(中村青司) 紅次郎 私たち夫婦は 次の段階を目指すんだ

(紅次郎) 兄さん 何を言ってんだ!?

(青司) 決めんたんだよ

使用人夫婦も庭師の吉川も 死んでもらうことにした

2人の旅立ちへのはなむけだ

何を考えてるんだ 兄さん

(青司) 和枝は永遠に私のものだ

(不通音)

兄さん 兄さん!

(紅次郎) 角島の青屋敷事件

あれは兄が企てた無理心中だった

和枝さんを殺して――

数日してから兄は 青屋敷に火をつけている

きっと 生きている間に 手の届かなかった妻を――

抱きしめるための時間だったんだよ

紅さん 最後に1つ

何だ?

和枝さんの左手は 今どこにあるんだい?

あそこで眠ってる

(エラリイ) ハハハ…

(ヴァン) ここはホールの真下か?

(エラリイ) 中村青司は ここで 僕たちの話に聞き耳を立ててたんだ

(ヴァン) もし そこに潜んでたら?

(エラリイ) だとしても2対1だ

(ヴァン・エラリイ) わあ!

(突風の音)

(江南) 島田さんでも 落ち込むことあるんですね

(島田) 君は僕を何だと思ってんだい?

(江南) すみません

(島田) 大ショックだよ

大筋の推理は正しかったのに――

肝心なところが間違ってたなんて

(江南) そこですか!?

(島田) 中村青司は やはりもう死んでいる

となると…

(江南) あの手紙を出したのは誰なのか

ミス研の部室で起きた 不幸な事故が――

あの青屋敷の惨劇につながった

そのせいで紅次郎さんは 実の娘を亡くしたばかりか――

最愛の人まで失ってしまった

俺たちを一番恨んでるのは…

紅さんだろうね

明日 角島へ行ってみませんか

ああ 朝イチで出発しよう

(電話の着信音)

(守須) はい 守須です

ああ 伯父さん

え 島で?

どうしてそんな…

分かりました 僕もすぐ行きます

(ダイヤルを回す音)

(守須) もしもし 江南か

守須だ

落ち着いて聞けよ

(ラジオの声) 昨夜 大分県角島で 大規模な火災が発生し――

建物1棟が全焼しました

この火災で通称 十角館に 滞在をしていたとみられる――

大学生数名が遺体で見つかり――

警察は事件と事故の両面から…

(守須) 早かったな

(江南) うん なあ あいつら 本当に?

(守須) ああ 十角館は全焼

全員が遺体で発見されたらしい

さっき ご家族が島に渡ったから――

身元確認は これからだろうけど

何で こんなことに

やられたな

(守須) つまり 中村千織の 本当の父親である中村紅次郎が――

復讐のためにやったことだと?

証拠は何もない

でも このタイミングで全員が――

火災による不幸な事故死を 遂げたなんて偶然を信じるほど――

僕はお人よしにはなれないね

(江南) 昨日 俺たちと別れたあと――

すぐに島に向かったってことですか?

前に漁師の親父さんが言ってたよな

“エンジン付きのボートがあれば 島を行き来するのも不可能じゃない”って

かつてヨット部だった紅さんなら たやすいさ

ここ数日 論文のために 自宅にこもってたというのも――

あるいは その準備をしていたのかもしれない

(守須) 無責任な学生たちのせいで 娘を失い――

それがきっかけで 最愛の人を兄に殺された

動機としては十分ですね

俺はバカだ

あっちこっち嗅ぎまわっといて 誰も助けられなかった

せめて みんなに このことを伝えてたら…

(島田) 仕方ないさ

そんなの真に受けて僕らみたいに 奔走するほうがどうかしてんだよ

警察に言ったって ただのイタズラだって 言われてたのがオチさ

(島田 修) 警察が何だって? (島田) うん?

(修) また探偵ごっこか 潔?

(江南) 潔?

(島田) 紹介するよ

彼らはK大学ミステリ研究会の 守須君と――

元会員の江南君だ

どうも 県警捜査一課の島田です

(江南) 島田?

(島田) 警察に コネがあると言ったろ

うちの寺の次男坊さ

(江南) お兄さんですか!

(島田) 似てないだろ

(修のせきばらい)

(修) いや ひどいことが 起きたもんですな

ミステリ研究会ということは お仲間だったんでしょう?

(守須) ええ

(江南) あの 差し支えのない 範囲でいいんで――

みんなに何があったのか 教えてもらえませんか?

どうせ あとで根掘り葉掘り 聞かれますからな

まだ詳しいことは 分からんのですが――

1人を除いては――

焼かれる前に 死んでいたようなんです

それって…

他殺の疑いがあります

(守須) 1人を除いてというのは?

その1人は自ら灯油を かぶった痕跡があります

(島田) つまり自殺か

(修) 今のところ その男が他の全員を殺して――

自らは焼身自殺をしたという 見解になるでしょうな

その男って?

(修) えっと…

あっ

松浦… 松浦純也

松浦? エラリイが!?

(守須) 信じられないな エラリイがそんなことを

エラリイ? あだ名ですか?

ああ

彼らは海外の有名作家の名前を ニックネームにして呼び合ってんだ

(修) ほう じゃあ お二人にもあだ名が?

ええ 俺は恥ずかしながらドイルです コナン・ドイル

シャーロック・ホームズの作家だ

ということは 守須君は…

モーリス・ルブランあたりかな

(守須) いえ 僕は…

ヴァン・ダインです

♪~

~♪

(守須)

(修) 分からんのです 彼の動機が

(江南) 何もかも遅すぎた

(守須)

もう興味なくなってしまった?

あなたと一緒にしないでください

(松本邦子) やるべきことはやらなきゃ

(島田) 君の感想を聞かせてほしくてね

(守須)

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