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綾部さん?
綾部さん。
綾部さん?
いらっしゃいます?
今月のお家賃がまだ…。
綾部さん?
あっ!
綾部さん…。
あっ…。
綾部さん! 綾部さん!
名前は綾部雪雄さん 年齢は70歳から80歳くらい。
部屋に身元が分かる所持品は 何も残されていなかった。
何も? 何も。
じゃ どうして 名前が分かったんですか?
大家さんの証言だ ただ
先代の時からの 古い住人だったらしくて
賃貸契約書とか そういうものは 何も残ってないらしい。
名前しか分からなかったそうだ。
でも名前分かってるの 大っきいですね。
行方不明者届は
出されてませんね。
うちに回ってきたってことは 事件性はないと?
ああ 死因は くも膜下出血だそうだ。
高齢者の孤独死…。
やめてくださいよ。
1人暮らしじゃ ないですからね 私。
まこっちゃんも気を付けなよ。 そうだね。
…って誰が高齢者よ! 心配してるんじゃん。
10歳も若い同期として。 あんた それ言いたいだけでしょ。
他に何か手掛かりになるような ものなんて…。
あったら うちに来ないだろ? ですよね。
あるよ。 あるの!?
これ 幾らあるんですか? 4000万だ。
4000万!?
警視庁には 全国で唯一
ご遺体の身元特定を 専門にしている部署がある
それがここ 身元不明人相談室
のこされた わずかな手掛かりを基に
1人でも多くのご遺体を 家族の元へとかえす
それが私たちの仕事だ
どうぞ。
失礼します。 お邪魔します。
こちらです。
綾部さんは いつ頃から こちらに?
父の代からなんで… もう40年ですね。
40年も こんな所に。
あっ! すいません。 いいんですよ。
私だって 父が死んだ時に 取り壊すつもりでしたから。
でもね 世の中には いろんな事情を抱えて
こんな所にしか住めない人も いるんです。
綾部さんは どんな方だったんですか?
すいません ホントによく知らないんですよ。
いつも朝早く出かけて
帰ってくるのも 結構 遅かったみたいで。
毎月 お家賃をもらう時に ほんの少し言葉を交わす程度で。
じゃあ 勤め先とかも 分からないですよね?
多分 日雇いの仕事だったと 思います。
もう10年くらい前
半年間 住み込みで 働くことになったから
しばらく部屋を空けるって 言いに来られて。
確か 福島の方に行くって 言ってました。
福島…。
この人に見覚えありませんか?
いや~ 知らないねぇ。
ありがとうございます。
いや~
見たこと… ないね。
ありがとうございます。
ご存じなんですか? うん。
よく野菜のくず 分けてくれって来てたけど。
野菜のくず? うん。
あのじいさん 何かあったの?
先日 部屋で
お1人で亡くなってるところを 発見されました。
えっ?
この方について 何かご存じなら 教えてもらいたいんです。
いや… あのじいさん ホームレスじゃなかったんだ。
てっきり そうなのかと。
あ…。
綾部さんさぁ あんなに お金持ってたのに
何でホームレスと間違われる ような生活してたのかな。
使いたくても使えなかった …とかね。
何それ。
とぼけないでよ 分かってるんでしょ。
何かの犯罪行為で手に入れたお金。
だから 足がつくことを恐れて 使えなかった。
世の中から隠れるように
ひっそりと息を潜めて 暮らしていた。
でもさぁ こんなに優しそうな おじいちゃんが
銀行強盗とか身代金誘拐とか できるのかな?
出た! いつもの思い込み。
犯罪に年齢は関係ない。
それに若い頃やった 犯行かもしれないでしょ?
それこそ まこっちゃんの思い込みじゃん。
大体さぁ 事件性あったら うちに来ないでしょ。
死因については 病死で間違いないと思うけど…。
でも…。
でも何?
福島。
彼が住み込みで働いていた 10年ほど前の福島といえば?
原発?
震災直後は 深刻な人手不足でね
訳ありの人もいたって 聞いたことがある。
いや そんなの偏見だよ。
う~ん そうだね…。
でも あの時は ホントに混乱していて
みんな必死で 生きるのに精いっぱいで
きれい事なんか 言ってられなかった。
え… まこっちゃん いたの? 福島に。
だけど やっぱり それだけで
綾部さんを犯罪者扱いするのは 間違ってるよ。
大体さ お金目当てに 犯罪を犯すような人が
こんな生活するなんて思えない。
私はやっぱり あのお金は
綾部さんが 必死に ためたものだって思う。
4000万だよ? 日雇いの仕事で ためられると思う?
何十年もかけて 一体 毎月 幾ら貯金したら たまるのよ。
それは…。
もう行くの? うん。
あなたの言う通り 私もまだ ただの思い込み。
だから ちょっと行ってくる。 行くって どこに?
福島!?
2011年に半年間 こちらで働いてたんですよね?
そうみたいだね。
俺は よく覚えてないんだけど。
覚えてる方は いらっしゃいませんか?
あの頃は 人の入れ替わりが 激しかったからね。
こちらの資料は? あ…。
住み込みで働いてた 派遣の入居者リストだよ。
この人の個人情報で 今も残ってるのは これだけだ。
これ… コピーを頂いても 構いませんか?
真さん?
手嶋君?
何で ここに…。
こんなことってあります? 私は仕事で。
そっちは? 俺は…。
あぁ… 何というか…。
あっ ごめん。
すいません。
もしかして 綾部雪雄?
誰です? ううん 何でもない。
手嶋さん 担当者の方 待ってますよ。
今行く。
もしよかったら これ。
じゃ 失礼します。
ご存じなんですか? いえ そんなんじゃなくて。
この子 散歩させる時に 何度か 見かけたことがあるってだけよ。
それは どの辺りで? そりゃ いろいろよ。
街中だったり 公園だったり…。
あっ 土手で 擦れ違ったこともあったわね。
あの 何かお話されたりとかは…。
ないない! あぁ… そうですか。
あっ ごめんなさいね お役に立てなくて。
あっ… いいえ。
他にも何人か知ってる人は いたんですけど
いつも 1人なんですよね このおじいちゃん。
あっ でもそういえば 一度だけ
男の人と 一緒にいるところ 見たことあるけど。
それって どんな人でした? どんなって言われても
おじいちゃんよりは 若かったけど…。
路地から出てきて
何か ちょっと人目を気にしてる みたいな感じだったわねぇ。
ありがとうございます。
♪~
何なら私 電車で帰りましょうか?
帰るぞ。
手嶋さん 今のセクハラです。
やっぱ電車で帰れ。
それはパワハラです。
♪~
いただきます。
♪~
ずっと1人で 何でそんなに お金をためてたの?
♪~
ありがとうございました 失礼します。
あぁ あぁ 大嘘つきだな あのじいさん。
この履歴書に書いてあることは 全て偽りです。
ということは 名前も偽名か?
お金の出どころも ますます怪しくなってきますねぇ。
4000万って 毎月10万ずつためたとしても
40年近くかかるんですよ? そんなの無理ですよ。
あれ? 今日は桜は?
桜?
ん… まこっちゃん。
おはよう。
あんた 防犯カメラ 1人で全部 チェックできるわけないでしょう。
しかも徹夜って…。
お肌 荒れるよ? あぁ だよねぇ どうしよう。
データ 半分よこしな。
あっ 大丈夫。
いいから よこしなって。 もう見つけたから。
雪雄さんが 男性と一緒に写ってる映像。
この人…。
ん?
そういう事情だから
この松平 大輝の犯罪歴を 調べてほしいの。
手嶋君?
昨日 僕が福島に行ったのは
松平大輝の人間関係を 確かめるためです。
え? 何で?
半年前に日本橋で起きた 被害額5000万円の強盗事件。
現場から採取された 指紋とDNAによって
一課は 松平が犯行グループの 1人だと断定しました。
それって…。 遺留品のお金のことを考えると
この綾部雪雄も 共犯の可能性がありますよね。
いや… ちょっと待ってよ 決め付けるのは早くないですか?
ほら あの… 松平に話を聞いてみなきゃ。
彼の居場所は分かってるの?
はい。 どこ?
ここだよ。 え?
さっき身柄を確保した これから事情聴取です。
先戻ってて。
分かりました。
どうだった?
強盗に関しては 犯行を否定していますが
防犯カメラのことを話したら
綾部雪雄さんと会ったことは 認めました。
10日前 突然 綾部さんから 連絡があったそうです。
それで13年ぶりに 2人で会うことになったと。
よく俺の連絡先 覚えてたな
突然 すみません
実は…
そこで綾部さんは
ある場所に荷物を運んでほしいと 頼んできたそうです。
松平は承諾し 翌日 荷物を預かる約束をして別れた。
ところが…。
次の日 綾部さんは 現れなかったそうです。
ほらね! 会ったのが13年ぶりなら
宝石店の強盗は 2人の共犯じゃ ない
…ってことですよね? 松平の供述が事実ならね。
それと もう1つ
13年前のことを聞いた時に 松平が話していたことが。
綾部さんは 作業の合間や寝る前に
こっそり 写真を眺めていたそうなんです。
写真?
どうせ女の裸でも 写ってるんだろうって。
だから 隠して持ってたに違いないと。
遺留品の中に写真はない。
もし まだ大切に持ってたとしたら
きっと この部屋の中の どっかにあるはず。
うん 死因に事件性がない時点で
鑑識も入らなかったからね。
雪雄さんは 最後に何を見てたんだろう。
ちょっと うつぶせになって。 うっす。
よいしょと。
おぉ~。
ペタって 床にペタって くっつけてからの上。
失礼。 え~ ちょっと体勢キツっ!
ボストンバッグって この辺にあったんだよね?
バッグじゃ ない。
少しだけ ずれてる これ…。
あっち?
ちょっと この棚 動かそう。 あっ うん。
せ~の。 せ~の。
あった!
子供? 子供?
日付が印字されてますね…。
1984年8月2日。
ちょうど40年前か。
つまり この少年は今 40代半ば。
すっかり おっさんですね。 ハハっ。
ホントに探していいのかな。
今更 何言ってんの?
ここまで 必死に隠してたってことは
この子の存在を知られたく なかったってことでしょ?
あぁ 確かに そうですねぇ。 それに もし
あのお金が犯罪によって 得られたものだとしたら
見つけても ご遺族を 苦しめるだけかもしれない。
でもさぁ この写真は 布団のすぐそばに隠してあった。
きっと 寝る前に いつも眺めてたんだと思う。
この少年は 雪雄さんにとって
それだけ大切な存在だったんだよ。
だから会わせてあげたい。 犯罪者でも?
まだ そうと 決まったわけじゃないじゃん!
それに 受け入れるかどうかを 決めるのは
ご遺族だよ。
とはいえ これは なかなか難しいぞ。
この写真だけじゃね…。
よし。
ここは俺に任せとけ。
頼む! この通りだ! だから
いくら利根川室長の頼みでも ダメなものは ダメです。
あるよね? 科捜研には
未来の顔を予測して 合成写真を作る技術が。
ありますよ。
でも正確なものにするためには さまざまな条件を
入力しなきゃいけないんです。 ほお。
結構 時間のかかる 作業なんです~。
そうか。
今度さぁ 八蘭のラーメンおごるからさ。
いらないですし それ セクハラですよ。
また所長に泣き付こうとしても ダメです!
お帰りください。 お願いします…。
あっ…! 頼む! ねぇ。 お帰りください。
忙しいんですよ。 なっちゃん 頼む。
というわけで
無理だそうだ バ~ン。
弱っ! まぁ 期待してなかったけど。
おし!
こうなったら晴さん
いっちょ 目にもの見せてやろう じゃないか。
はい?
少年の40年後の似顔絵
よろしく頼みます。 えぇ!?
ちょっちょっ…。イエス! 私がですか?イエ~ス!
ちょっと待って そういうこと やったことないしな。
何を言ってるんだ できる 晴さんならできるよ。
そうやって あおったって ダメですよ。
私も見たいな~ 晴さんの本気の似顔絵。
うん 俺も見たいです。 私も見たいです。
あぁ…。
もう~…。
仕方がないなぁ…。
お~。 フフフ…。
CGだかAIだか 分かりませんが…。
最後には
人間が勝るっていうところを…。
見せてやろうじゃないですか。
カッコいい! よっ!
晴さん!
あっ… あぁ…。
あ~!
あ~!
できた…。
皆さん お待たせしました。
晴さん!
ちょっと これ見てよ。
すごいじゃん 菜津 天才かよ!
これぐらい当然よ。
科捜研 ナメないで。 これは想像以上だよ。
いや 君なら やってくれると信じてたよ。
え… でも何で急に? >> それは仕方ないじゃん。
だって…。
よいしょ あなたが やらないなら
私がやろうかしら え? えっ… は?
ちょうど はんこを押す作業も 飽きてきたし
いやいや… そんな そんな
所長が そんなわざわざ… 気にしないで
あなたは忙しいだろうから 私がやるから
いろいろと面倒だからね あの作業
うん! 私がやります あなたが やらないなら
うぅ…
やりま~す そう!
そこまで言うなら 今回は あなたに譲るわ
はい…
あの女狐…。
これは 貸しだから。
じゃ。
ありがとう。 ありがとう。
いや よかった よかった。 すごっ。
ねぇ 晴さん。
あ… 一応 あの…
晴さんのも見せてもらおうか。 あっ 見た~い!
誰が見せてやるもんか!
絶対見せてやるもんか~!
こちょこちょ…! ハハハ…!
よし見よう よし見よう。 ちょっと!
えっ? これ 警備員?
駅員さん! 何で?
うん それがね
この少年は 一体どんな大人に なってったんだろうなぁって
一生懸命 こう想像しながら描こうって
思ったんだけど…。
まぁ 結局あんまり うまくいかなくて
もう一度 この写真を よ~く観察していたら…。
ほら ここに 電車が写ってるでしょ?
あぁ。
この少年は 電車が好きだったんですよ。
だから大人になったら
駅員さんになってるに違いない! …っていうわけで
まぁ そんな絵に なってしまいました。
なるほど!
…って似顔絵って そういうことじゃないでしょ。
まぁ いいじゃないか じゃあ この科捜研のを基に
聞き込みしていこうか。 はい。
でも雪雄さんと40年前に 生き別れてるとしたら
今どこで何してるのか 雲を掴むような話だよね。
これ… この車両
秩父のローカル路線でしか 走ってません。
行ってきます!
おい! ローカル線っつったって 駅 幾つあると思ってんだよ。
片っ端から探してみます!
えぇ!? じゃあ あの… 行ってきます。
あ… た… 頼むぞ。 はい。
大丈夫か?
晴さん ファインプレーじゃないですか。
何か いい気分だなぁ。
ハッハッハッハッ まぁ… ハッハッ!
俺には 最初から
こうなることは 分かってたんだよ ハッハッ…!
何か 急に 気分が悪くなってきました。
うん。
どこから探すつもり?
あぁ…。
取りあえず 一番 乗降客の多そうな駅は…。
どうしたの?
この駅にしよう。
うん。
そのモニターに あなたが知ってる人が映ります。
あなたの犯罪に 関係した人かどうか
全て…。
いいえ で答えてください
いいえ
この人は あなたの犯罪に関係しましたか?
いいえ。
この人は?
いいえ。
それでは…
この人は どうですか?
お電話いただいた…。
警視庁身元不明人相談室の
月本です。 三田です。
どうぞ。
♪~
いかがですか?
似てるような気もしますが
もう40年も前のことなんで…。
私も まだ5歳でしたし。
では…。
こちらを。
そうですね… そうだと思います。
よく ここが分かりましたね。
こちらを。
お父さまは ずっと持っていらっしゃいました。
その写真に写ってる 鉄道と綾部川がヒントになって。
綾部川?
お父さまは ずっと 綾部雪雄と名乗っていました。
地元の地名などを 偽名に使う方が
これまでにも いましたので もしかしたらと。
この周辺で聞き込みをして たどり着くことができました。
この男の本名は 坂下雪雄です。
40年前に事業に失敗して 借金まみれになって
私と母を捨てて出ていきました。
連帯保証人になっていた母は 私を育てながら
必死に働いて 少しずつ借金を返していきました。
幸い いい人に巡りあえて
その新しい父のおかげで 借金も返すことができました。
それからも 裕福とはいえませんでしたが
家族で穏やかに 暮らしてこれたんです。
私の両親は この2人です。
あの男とは 何の関係もありません。
ちょっと待ってください。
雪雄さんは 4000万円もの お金をのこしています。
ご遺族には それを 相続する権利があるんです。
4000万?
きっと あなたたちのために
必死に ためて のこしたお金です。
受け取ってあげて もらえませんか?
そんな大金 あの男に ためられるはずがありません。
きっと汚い金に決まってます。
偽名を使ってたのも
何か やましいことが あったからじゃないですか?
いえ そんなことは…。 違うと証明できるんですか?
いや それは…。
ねぇ あなた。 いいから。
坂下雪雄さんは ある犯罪に 関与している可能性があります。
まこっちゃん!
やっぱり…。
そんな金 1円たりとも 受け取るわけにはいきません。
待ってください!
あの… 大変失礼ですが
あなた方のことを リサーチしました。
お子さんの手術費用のために 寄付を募っていますよね?
だから何なんですか?
あのお金が お役に立てられるのでは…。
冗談じゃ ない!
今更 この男の力なんて必要ない!
寄付金も間もなく 目標額に達しますので
ご心配なく。
息子のことは この私が守ります。
私は この男とは違う!
あなた 落ち着いて。
もうどうか お引き取りください。
何で あんなこと言ったの? 何?
坂下雪雄さんが犯罪に 関わってるかもしれないなんて。
本当のことでしょ。 まだ決まったわけじゃないのに。
隠しておいて 後で分かった方がよかった?
そんなこと言ってないじゃん! じゃあ 何が言いたいわけ?
いつも朝早く家を出る
あのじいさんに なりきる?
はい そうしたら 何か分かるかもしれないって。
霊媒師じゃないんだから。
室長 松平大輝に 事情聴取させてもらえませんか?
勘弁してくれよ。
一課が今 強盗事件で 取り調べ中だよ。
坂下雪雄さんとの関係を はっきりさせない限り
ご遺族に納得してもらうことは できません。
そん時は そん時だよ。
お前が事情聴取したところで 松平がゲロるとは思えないし
余計な波風立てないでくれ。
何よりも
私が知りたいんです。
えっ?
40年間 たった一人で
会うこともできない誰かを 思い続けて
生きていけるものなのか…。
失礼します。
週に2~3度 八百屋で野菜のくずをもらう
ほい 持ってきな。
ありがとうございます。
ここで人目を気にするように 松平と会っていたのを
犬の散歩中の主婦に目撃される
あら? この間の。
あぁ! おはようございます。 おはようございます。
どう? 探してた人は見つかった?
ええ まぁ…。 よかったわねぇ! ハハっ。
あの… おじいちゃんが会ってたのって
この人ですよね?
いや 違うわね。
えっ 違うんですか? うん…。
もっと ほら… 何ていうか
自由な人たちよ。
自由?
ポリグラフの結果を基に
松平の仲間を割り出して 取り調べたら
そのうちの1人が 全てを自白しました。
それで? 坂下雪雄さんは
事件とは無関係です。
間違いないの? はい。
盗み出した5000万円は 暗号資産に換えて
海外に送金したそうです。
そう…。
ありがとう わざわざ知らせてくれて。
室長に頼まれてましたから。
ん? 何か分かったら
一番に あなたと三田に 知らせてやってくれって。
真さん。
何ていうか…。
話し相手がほしい時は いつでも言ってください。
え?
え… あぁ いや…
俺 結構 暇してるんで。
フフっ フフフ。
一課の刑事が暇なのは いいことだね。
はい。
なので いつでも。
ありがとう。
おじいちゃんとは街中や公園や 土手で擦れ違うこともあった
土手…
自由な人たち…。
あの~…。
こんにちは。
何度来ていただいても 私の気持ちは変わりませんよ。
あれから 坂下雪雄さんについて 分かったことがあります。
まず はじめに
雪雄さんは犯罪とは無関係だった ことが分かりました。
軽はずみに あなたのお父さまを 疑ってしまったこと
おわびします 申し訳ありませんでした。
よしてください。
もう あの男とは関係ないと この間 言ったはずです。
少なくとも のこされた4000万円は
決して汚れたお金ではない ということだけは確かです。
信じられませんね。
じゃあ どうやって その金 ためたんですか?
何のために?
決まってるじゃないですか あなたのためにです。
どうして そう言い切れるんですか?
私の写真を持ってたから?
そんなの ただの自己陶酔ですよ。
雪雄さんのことを よく知る人物に会いました。
もう何十年前かも忘れたけど
ここで釣りしてたら雪雄ちゃんに 声掛けられたんだよ
なんでも昔よく 息子さんと行ってた川と
ここが よく似てるって
綾部川…
それ以来 お互い いろんな話をしたよ
仕事のことや家族のことや…
雪雄ちゃん もういないんだ…
寂しくなるな
雪雄さんは
あなたとお母さんを置いて 家を出たことを
すごく後悔していて
残してきた借金を返済するために 必死に お金をためたそうです。
10年がたった頃
やっとの思いでためた 1000万円を持って
家に戻ろうとした。
でも そこで…。
じゃあ 午後から行くから
ハハハ… 頑張れよ! うん
頑張ってね
それから 家族への未練を断ち切るために
雪雄さんは名字を変えたそうです。
それでもお金は ため続けた。
贅沢なことなんて何一つせず
40年間ずっと…。
どうして…。
あなたの役に立つ日が きっと来ると
そう 信じてたからじゃないですか?
だから ニュースで
あなたと春樹くんのことを 知った時は
今こそ お金を渡すんだって 興奮してたそうです。
でも半分 世捨て人のような 生き方をしていた雪雄さんは
銀行口座もなくて 大金を振り込むすべがなかった。
そこで 以前 出稼ぎで知り合った男に
藁をも掴む思いで連絡を取って
お金を 届けてもらおうとしたんです。
これで春樹くんを救える。
きっと そう思った矢先に…。
あっ!
あっ…
あっ…
あぁ…
あっ…
あぁ… あぁ…
あ…
本当に悔しかったと思います。
やっと あなたの力になれると 思ったのに…。
今更ですよ…。
今更 そんな話されても…。
その話が本当だったとしても
遅過ぎます。
40年ですよ? 40年も そんな生活…。
哀れです。
自業自得です。
私も 最初はそう思ってました。
でも…。
お姉ちゃん 何も分かってねえよ
雪雄ちゃんを 勝手に不幸にすんじゃないよ
雪雄さん いつも日雇い仕事の帰りに
そこに立ち寄っては
今日は幾ら稼いだ 幾ら貯金したって
うれしそうに話すのが 日課だったそうです。
最初は 償いのために ため始めたお金だった…。
でも いつの間にか 秋信さんのことを思って
秋信さんのために 貯金をすることが
雪雄さんの生きがいに なっていたんだと思います。
あのお金が
あなたとの唯一の絆だった。
たとえ それを
あなたが手にすることが なかったとしても。
雪雄さんは
あなたに生かされてきたんです。
♪~
バカですよね。
何にも分かってないんです。
私も 母も
そんな金なんかより
少しでも 一緒にいてほしかった。
それだけなのに。
ホントにダメな父親です。
遺骨は…。
引き取らせてください。
ありがとうございます。
お金は…。
春樹の治療費に充てて
あとは寄付します。
はい。
いつか春樹が元気になったら→
あの川に 一緒に 釣りに行ってみます。
秋信 かかってるぞ! 引け引け! 引け引け!
よ~しよし よっしゃ~!
やった~!
よくやった でかした 秋信!
釣れたぞ~!
♪~
親父とも もう一度 一緒に
釣りに行きたかったよ。
♪~
お~い 弁当 届いたぞ~。
待ってました~!
フゥ~!
今日は 俺のおごりだ!
好きなもの どんどん 頼んでいいぞって言ったけど
三田 お前それ いくら何でも頼み過ぎだろ。
お前 どんだけ食うつもりなんだよ。
それ フードファイターの量ですよ。
じゃあ 私 出てきます 外で食べたい気分なんで!
え?
いつもなら 脇目も振らず食べ始めるのに。
最後くらい おいしいもの
食べさせてあげたいんじゃ ないですか?
え?
もしよかったら お弁当どうぞ。
ありがとう。 ハハハっ。
♪~
うわぁ…!
いただきます。
うまっ。
♪~
早く分かるといいね
あなたの名前も。
♪~
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